• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 H04W
管理番号 1281064
審判番号 不服2012-25261  
総通号数 168 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2013-12-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2012-12-20 
確定日 2013-11-19 
事件の表示 特願2009-525698「無線通信システムにおけるプレコーディング制御表示(PCI)およびチャネル品質表示(CQI)のフィードバック」拒絶査定不服審判事件〔平成20年 2月21日国際公開、WO2008/022243、平成22年 1月21日国内公表、特表2010-502114、請求項の数(48)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成19年 8月16日(パリ条約による優先権主張 2006年 8月18日 (US)アメリカ合衆国)の出願であって、平成24年2月7日付けで拒絶理由が通知され、平成24年7月9日付けで手続補正がされ、平成24年8月15日付けで拒絶査定がされ、これに対し、平成24年12月20日に拒絶査定不服審判が請求されたものである。


第2 本願発明
本願発明は、平成24年7月9日付けの手続補正で補正された特許請求の範囲の請求項1乃至48に記載された事項により特定されるものであって、その内、請求項1に係る発明(以下、「本願発明1」という。)は、以下のとおりのものである。
なお、下線は出願人が付与した。

「【請求項1】
送信機から受信機へのデータ伝送のためのプレコーディング制御表示(PCI)を決定し、前記データ伝送のためのチャネル品質表示(CQI)を決定し、前記CQIのサイズ及び数はランクに関連し、前記PCIおよび前記CQIに基づいて単一の報告を形成し、前記報告を前記送信機に送るための少なくとも1つのプロセッサと、
前記少なくとも1つのプロセッサに結合されたメモリと
前記少なくとも1つのプロセッサが、前記データ伝送に関して使用するためのプレコーディング行列またはプレコーディングベクトルを選択し、前記PCIが前記選択されたプレコーディング行列または前記選択されたプレコーディングベクトルを備える、
装置。」


第3 原査定の理由の概要
この出願の下記の請求項に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

記 (引用文献等については引用文献等一覧参照)

引用文献1(表3,4および関連する記載参照)には、先符号化行列(プリコーディング)と、CQIとを、フィードバックするMIMOシステムが記載されている。
また、例えば、特表2004-535105号公報(段落【0139】-【0141】)、特表2007-505589号公報(段落【0066】)、特表2005-514801号公報(段落【0125】-【0127】)等に記載のように、CQIないしCSIを各送信データストリーム毎にフィードバックすること(本願における、CQIのサイズ及び数はランクに関連することに相当)、CQIないしCSIにコーディングに関する情報を含めること(本願における、単一の報告を形成することに相当)、はいずれも周知技術にすぎない。
したがって、補正後の請求項1、15-20、25-27、30-32、35、40、44、48に係る発明は、依然として引用文献1に記載された発明に基づいて、上記周知技術を勘案して当業者が容易になし得るものである。

引 用 文 献 等 一 覧

1.特開2006-141013号公報


第4 当審の判断
1.引用文献の記載事項
原査定の拒絶の理由で引用された本願の優先権主張の日前に頒布された刊行物である特開2006-141013号公報(以下、「引用文献1」という)には、図面とともに、次の事項が記載されている(なお、下線は当審が付した。)。

(1)「【請求項6】
多重入力多重出力(MIMO)方式を使用する広帯域無線接続通信システムにおいて、基地局が遂行する多重アンテナを支援する方法であって、
前記移動局からチャンネル品質情報を受信するステップと、
前記チャンネル品質情報に相当するようにMIMO方式を決定するステップと、
前記決定されたMIMO方式に相当するようにデータを符号化するステップと、
前記符号化されたデータ及び符号化のために使用された情報を下りリンクマップメッセージを構成して送信するステップと
を具備することを特徴とする多重アンテナ支援方法。 」

(2)「【0020】
このような構成を有する上記送信器は、チャンネルフィードバック情報を受信して、先符号化器105の行列値を生成し、フィードバック先符号化(例えば、SVD先符号化及びビーム形成先符号化など)、アンテナグルーピング先符号化、及びアンテナ選択先符号化などの多様なMIMOアルゴリズムを適用して動作することができる。」

(3)「【0049】
下記表4又は図3は、レイヤー数及びストリーム数(Mt)に従って可能な組合せを示す。これと共に、閉ループMIMOタイプのうち、フィードバック先符号化技術が指定されたMIMOタイプ=11である場合に、上記STC符号化器を使用しつつ、フィードバック先符号化のためのインデックス6ビットを通じて、該当フィードバック先符号化の行列を指示する。ここで、上記フィードバック先符号化の行列は、Mt(ストリーム数)×Nt(送信アンテナ数) の大きさを有し、最大64個の相互に異なる行列を有することができ、行列の値は、生成アルゴリズム、レイヤー数、ストリーム数、及び送信アンテナ数に従って変わることができる。
【0050】
【表4】
【0051】
上記表1のMIMOタイプフィールド値が‘01’にアンテナグルーピング技術が指定された場合に、表2のアンテナグルーピングインデックス4ビットを通じて、アンテナ先符号化の行列を指示することができる。
【0052】
表5は、表2のアンテナグルーピングインデックス4ビットで指示することができる行列の組合せを示す。ここで、表1で指示されたレイヤー数及びストリーム数(Mt)により、優先的に適用される図3でのMIMO技術が決定され、アンテナグルーピングインデックス4ビットフィールドにより、最終的に適用するMIMO技術が表5のように決定される。」

(4)「【0056】
表2において、Nep又はDIUC(Downlink Interval Usage Code)が明示されたフィールドは、レイヤー数だけ符号器及び変調器の集合で、それぞれに対する符号化率及び変調方式を4ビット値を通じて指示する。すなわち、複数のレイヤーがある場合に、H-ARQ(Hybrid Automatic Request)付加情報再送信(IR;Incremental Redundancy)モードでは、Nep方式にて、符号化率及び変調方式を指示し、端末機で、1つのレイヤーでもエラーがあると、NACK(Non ACKnowledgement)が発生するので、すべてのレイヤーのデータを符号化利得が高くなるように結合してデータを再送信する。また、最後のフィールドは、CQICHが割り当てられた場合に、レイヤーごとに1つのCQIフィードバック情報を乗せることができるようにするために、CQICHチャンネル割当情報を指示する。このような各レイヤーは、相互に異なる符号化及び変調方式を使用するので、それぞれのCQIフィードバック情報を必要とする。
【0057】
表3は、多重アンテナ又は多重レイヤーを有する構造において、移動局がチャンネル品質情報をフィードバックするために参照すべきフィールドである。フィードバックチャンネル個数を示すCQICH_NUMは、移動局が同時に送信するフィードバックチャンネル数を示す。上記各フィードバックチャンネルで送信するフィードバック情報の種類を示すCQIフィードバックタイプフィールドは、割り当てられた各フィードバックチャンネルに従って、異なるフィードバック情報を移動局が送信することを可能にする。これは、基地局が望む多様なフィードバック情報を移動局が送信することを可能にすることによって、MIMO技術をさらに効率的に動作させることができる。」

したがって、引用例1には次の発明(以下、「引用発明1」という。)が記載されているといえる。

「多重入力多重出力(MIMO)方式を使用する広帯域無線接続通信システムにおいて、基地局が遂行する多重アンテナを支援する方法であって、
前記移動局からチャンネル品質情報を受信し、符号化されたデータ及び符号化のために使用された情報を下りリンクマップメッセージを構成して送信するステップとを具備し、
前記下りリンクマップメッセージは、フィードバック先符号化の行列を指示するフィードバック先符号化のためのインデックス、及び、CQICHチャンネル割当情報の指示を含む
ことを特徴とする多重アンテナ支援方法。」

2.対比
引用発明1は「基地局が遂行する多重アンテナを支援する方法」なる発明であるが、併せて、「多重アンテナを支援する方法」を遂行する「基地局」なる発明が記載されているととらえることができる。
更に、「基地局」を「装置」といい得る。
してみると、引用発明1は、「装置」に係る発明であるといえる。

引用発明1は、「前記移動局からチャンネル品質情報を受信し、符号化されたデータ及び符号化のために使用された情報を下りリンクマップメッセージを構成して送信するステップとを具備し」ており、「前記下りリンクマップメッセージは、フィードバック先符号化の行列を指示するフィードバック先符号化のためのインデックス、及び、CQICHチャンネル割当情報の指示を含」んでいる。
そして、フィードバックされる上りのトランスポートチャネルの観点からみると、「移動局」を送信機、「基地局」を受信機といい得るとともに、フィードバック先符号化の行列を指示するフィードバック先符号化のためのインデックスを移動局から基地局へのデータ伝送のためのプレコーディング制御表示(PCI)といい得ることは明らかである。
さらに、基地局が「前記移動局からチャンネル品質情報を受信し、符号化されたデータ及び符号化のために使用された情報を下りリンクマップメッセージを構成して送信」していることからみて、プレコーディング制御表示(PCI)を基地局が決定しているといえる。
また、その決定の動作は基地局が内蔵するプロセッサが行っていることはみるのが当然である。
してみると、引用発明1は、「送信機から受信機へのデータ伝送のためのプレコーディング制御表示(PCI)を決定」するプロセッサを備えているといえる。

引用発明1は、基地局が「符号化されたデータ及び符号化のために使用された情報を下りリンクマップメッセージを構成して送信」しており、「前記下りリンクマップメッセージは、フィードバック先符号化の行列を指示するフィードバック先符号化のためのインデックス、及び、CQICHチャンネル割当情報の指示を含」んでいる。
基地局における送信等の動作が基地局の内蔵するプロセッサの制御の基で行われるとともに、該プロセッサがメモリと結合されているとみるのが当然である。
してみると、引用発明1は、「前記PCI」およびCQICHチャンネル割当情報の指示「に基づいて単一の報告を形成し、前記報告を前記送信機に送るための少なくとも1つのプロセッサ」及び「前記少なくとも1つのプロセッサに結合されたメモリ」を備えているといえる。

引用発明1は、「前記移動局からチャンネル品質情報を受信し、符号化されたデータ及び符号化のために使用された情報を下りリンクマップメッセージを構成して送信するステップとを具備し」ており、「前記下りリンクマップメッセージは、フィードバック先符号化の行列を指示するフィードバック先符号化のためのインデックス、及び、CQICHチャンネル割当情報の指示を含」んでおり、引用発明1の基地局が「前記移動局からチャンネル品質情報を受信し」て「下りリンクマップメッセージを構成して送信」しており、「下りリンクマップメッセージ」は「フィードバック先符号化の行列を指示するフィードバック先符号化のためのインデックス」を含んでいるということからすると、引用発明1の基地局は「フィードバック先符号化の行列」を選択を行っているとみるのが当然である。
そして、引用発明1の上記動作を基地局が備えるプロセッサが行っているとみるのが当然である。
してみると、引用発明1は、「前記少なくとも1つのプロセッサが、前記データ伝送に関して使用するためのプレコーディング行列またはプレコーディングベクトルを選択し」ているといえる。

引用発明1は、「前記下りリンクマップメッセージは、フィードバック先符号化の行列を指示するフィードバック先符号化のためのインデックス、及び、CQICHチャンネル割当情報の指示を含」んでいる。
してみると、引用発明1は、「前記PCIが前記選択されたプレコーディング行列または前記選択されたプレコーディングベクトルを備え」ているといえる。

したがって、本願発明1と引用発明1を対比すると、次の点で一致・相違する。

<一致点>
「送信機から受信機へのデータ伝送のためのプレコーディング制御表示(PCI)を決定し、前記PCIに基づいて単一の報告を形成し、前記報告を前記送信機に送るための少なくとも1つのプロセッサと、
前記少なくとも1つのプロセッサに結合されたメモリと
前記少なくとも1つのプロセッサが、前記データ伝送に関して使用するためのプレコーディング行列またはプレコーディングベクトルを選択し、前記PCIが前記選択されたプレコーディング行列または前記選択されたプレコーディングベクトルを備える、
装置。」

<相違点1>
本願発明1は、「前記データ伝送のためのチャネル品質表示(CQI)を決定し」ているのに対して、引用発明1には、このような特定がなされていない点。

<相違点2>
本願発明1は、「CQIのサイズ及び数はランクに関連し」ているのに対して、引用発明1には、このような特定がなされていない点。

<相違点3>
本願発明1は、「PCIおよび前記CQIに基づいて単一の報告を形成し」ているのに対して、引用発明1は、PCIおよびCQICHチャンネル割当情報の指示に基づいて単一の報告を形成している点。

3.判断
上記した相違点1乃至相違点3について、以下で検討する。

(1)相違点1について
引用発明1のごとき、「多重入力多重出力(MIMO)方式を使用する広帯域無線接続通信システム」においては、MIMO方式のプレコーディングを行うためには、送信機がトランスポートチャンネル個々のチャネル状態を把握することが必須であるから、受信機からトランスポートチャネル個々のチャネル状態がフィードバックされているとみるのが当然であるとともに、受信機において、受信したトランスポートチャネルに基づいて、チャネル状態を示すCQIを決定し、決定したCQIをフィードバックすることは常套的に行われている事項である。
そして、引用発明1においても、基地局から移動局への下りトランスポートチャネルとともに、移動局から基地局への上りトランスポートチャネルが送信されているとみるのが自然である。
してみると、引用発明1における基地局のプロセッサが上りトランスポートチャネルにおけるデータ伝送のためのチャネル品質表示(CQI)を決定しているといい得る。
また、仮に、そうでなかったとしても、当業者であれば、引用発明1における基地局のプロセッサがデータ伝送のためのチャネル品質表示(CQI)を決定するように構成することは、容易になし得る事項である。

(2)相違点2について
CQIの「数」に関しては、原査定時に周知例として引用された、特表2004-535105号公報の段落【0139】の「CSIはマトリクス形態の信号成分(例えば、すべての送-受信アンテナ対に対するN_(T)×N_(R)複素エントリ)と、マトリクス形態の雑音プラス干渉成分(例えば、N_(T)×N_(R)複素エントリ)を構成する。送信機システムは適切な送-受信アンテナ対に対する信号成分と雑音プラス干渉成分を適切に合成して、データ送信のために使用される各送信チャネルに対する品質(例えば、受信機システムにおいて受信される、各送信データストリームに対する後処理されたSNR)を導出する。」、段落【0140】の「CSIは各送信データストリームに対するデータレートインジケータを構成する。データ送信のために使用されるべき送信チャネルの品質は、(例えば、送信チャネルに対して推定されたSNRに基づいて)最初に決定され、決定されたチャネル品質に対応するデータレートが(例えば、ルックアップテーブルに基づいて)識別される。」、及び、段落【0141】の「CSIは各送信データストリームに対して送信機システムにおいて使用されるべき特定の処理スキームの表示を構成する。」、同特表2007-505589号公報の段落【0066】の「上位層はストリーム当り報告されたCQIs(Channel Quality Indicator)に基づいて変調スキームと各ストリームのマルチコードの数を選択する。レートマッチングされたデータブロックはストリーム当りビット数の比率に比例して分割される。」、並びに、同特表2005-514801号公報の段落【0125】の「CSIは各送信データストリームに対するデータレートインジケータを含む。」なる記載に見られるように、CQI或いはCSIはトランスポートチャネル毎に決定され、送信されること、すなわち、CQI或いはCSIの数がトランスポートチャネルの数に対応することは周知である。
そして、引用発明1は「多重入力多重出力(MIMO)方式を使用」していることから、複数のトランスポートチャネルで信号を伝送していることは明らかであるとともに、トランスポートチャネルにおいてトランスポートブロックが伝送されることは技術常識であって、トランスポートブロックの数はトランスポートチャネルの数に対応する。
さらに、本願発明1における「ランク」は、本願明細書の段落【0006】の「ランクはデータ伝送に関して並行して送るためのトランスポートブロックの数を表示できる。」なる記載に鑑みると、トランスポートブロックの数を意味しているといえる。
してみると、引用発明1において、CQIの「数」をトランスポートブロックの「数」、即ち、ランクに関連させることは、当業者であれば容易になしえる事項である。

しかしながら、CQIの「サイズ」に関しては、本願明細書の段落【0047】の「異なる粒度を異なる数のトランスポートブロックに関するCQI値に関して使用することが可能である。例えば、5ビットのCQI値を1つのトランスポートブロックに関して提供することができ、2個の4ビットのCQI値を2つのトランスポートブロックに関して提供することができる。」などの記載を参酌すると、本願発明1における「CQIのサイズ」は、CQIの個々のサイズを意味しているといえるが、トランスポートチャネル(或いはトランスポートブロック)の数に関連してCQI或いはCSIの個々のサイズを設定することは、原査定時に提示した周知文献には開示されていない。

このため、相違点2、特に「CQIのサイズ」はランクに関連する点に関しては、引用発明1や周知文献から、容易になし得たものであるとはいえない。

なお、原査定の理由では、「CQIないしCSIを各送信データストリーム毎にフィードバックすること」が「本願における、CQIのサイズ及び数はランクに関連することに相当」すると認定しているが、上記のごとく、CQIの数については、「CQIないしCSIを各送信データストリーム毎にフィードバックすること」から、CQIの「数」は「ランクに関連することに相当」といえるものの、CQIの「サイズ」は、フィードバックされるCQIのトータルの「サイズ」というよりも、CQIの個々の「サイズ」ととらえるべきであるから、「ランクに関連することに相当」といえない。
そして、CQI或いはCSIの個々のサイズをトランスポートブロック(トランスポートチャネル)の数に関連させることが周知(公知)であると示す先行技術文献も発見されていない。
したがって、上記の認定には瑕疵があるといわざるを得ない。

(3)相違点3について
引用発明1は、PCIおよびCQIに基づいて単一の報告を形成する構成となっていない。
さらに、原査定時に引用した周知例には、コーディングを決定するためにCQI或いはCSIを用いること(CQI或いはCSIに基づいてコーディングを決定すること)は開示されているものの、CQIないしCSIにコーディングに関する情報を含めたり、CQI或いはCSIとコーディングに関する情報とに基づいて単一の報告を形成することは開示されていない。
このため、相違点3に関して、引用発明1における報告を、PCIおよびCQICHチャンネル割当情報の指示に基づく単一の報告から、PCIおよびCQIに基づく単一の報告に、構成の変更することが当業者にとって容易になし得るものであるとはいえない。

なお、原査定の理由では、周知文献を挙げて、「CQIないしCSIにコーディングに関する情報を含めること」が周知技術であると認定しているが、該周知文献に記載されている事項は、コーディングを決定するためにCQI或いはCSIを用いること、或いは、CQI或いはCSIに基づいてコーディングを決定することにとどまり、CQIないしCSIにコーディングに関する情報を含めることまでは開示されていない。
また、CQIないしCSIを送信するためのメッセージに、PSI等のコーディングに関する情報を含めることが周知(公知)であると示す先行技術文献も発見されていない。
したがって、「CQIないしCSIにコーディングに関する情報を含めること」が周知技術であるとする上記の認定には瑕疵があるといわざるを得ない。


第5 むすび
以上のとおり、本願発明は、引用発明1に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものとすることができないから、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。

また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。

よって、結論のとおり審決する。
 
審決日 2013-11-07 
出願番号 特願2009-525698(P2009-525698)
審決分類 P 1 8・ 121- WY (H04W)
最終処分 成立  
前審関与審査官 石井 則之  
特許庁審判長 水野 恵雄
特許庁審判官 江口 能弘
佐藤 聡史
発明の名称 無線通信システムにおけるプレコーディング制御表示(PCI)およびチャネル品質表示(CQI)のフィードバック  
代理人 岡田 貴志  
代理人 赤穂 隆雄  
代理人 井上 正  
代理人 砂川 克  
代理人 竹内 将訓  
代理人 峰 隆司  
代理人 幸長 保次郎  
代理人 蔵田 昌俊  
代理人 中村 誠  
代理人 福原 淑弘  
代理人 白根 俊郎  
代理人 河野 直樹  
代理人 佐藤 立志  
代理人 野河 信久  
代理人 堀内 美保子  
代理人 井関 守三  

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ