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審決分類 審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 A61B
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A61B
管理番号 1281130
審判番号 不服2012-25696  
総通号数 168 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2013-12-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2012-12-26 
確定日 2013-11-05 
事件の表示 特願2007-203665号「働かないようにするハンドスイッチを有するハンドヘルド電気外科器具」拒絶査定不服審判事件〔平成20年2月21日出願公開、特開2008-36437号〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 理 由
I.手続の経緯
本願は、平成19年8月3日(パリ条約による優先権主張 平成18年8月4日 (US)アメリカ合衆国)の出願であって、平成24年4月6日付けで拒絶理由を通知したところ、同年7月11日付けで意見書が提出されるとともに、同日付けで手続補正がなされたが、同年8月28日付けで拒絶査定がなされたところ、同査定を不服として同年12月26日に拒絶査定不服審判の請求がなされると同時に手続補正がなされたものである。

II.平成24年12月26日付けの手続補正についての補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
平成24年12月26日付けの手続補正(以下、「本件補正」という。)を却下する。
[補正却下の理由]
1.補正後の本願発明
本件補正により、特許請求の範囲の請求項1は、次のように補正された。
「組織をシールするための電気外科鉗子であって、該電気外科鉗子は、
少なくとも1つのハンドルであって、該ハンドルは、それに取り付けられた少なくとも1つのシャフト部材を有し、該少なくとも1つのシャフト部材は、その遠位端に取り付けられた端部エフェクターを有し、該端部エフェクターは、1対の顎部材を有し、該1対の顎部材は、互いに対して間隔を置いた関係にある第1の位置から、該顎部材がそれらの間に組織を握るために協働する少なくとも1つの次の位置に移動可能であり、該顎部材の各々は、電気的に伝導性のシールプレートを含み、該シールプレートの間に保持された組織を通って電気外科エネルギーを伝達して組織シールを行い、該電気的に伝導性のシールプレートは、電気外科電源に接続されるように適合されている、ハンドルと、
該少なくとも1つのハンドルおよび該少なくとも1つのシャフト部材のうちの少なくとも1つに作動可能に結合されたハンドスイッチであって、該ハンドスイッチは、該電気外科電源に接続されるように適合されており、該ハンドスイッチは、該顎部材に該電気外科電源を電気的に接続するか、または、該顎部材から該電気外科電源を電気的に接続解除することにより、該鉗子の電気外科起動を開始するために選択的に起動可能である、ハンドスイッチと、
該少なくとも1つのハンドルおよび該少なくとも1つのシャフト部材のうちの少なくとも1つに作動可能に結合されたロックアウトスイッチであって、該顎部材が開放形態にある場合、および、該顎部材が閉鎖形態にある場合の両方において、該ロックアウトスイッチは、該ロックアウトスイッチが該ハンドスイッチの起動を可能にする第1の形態から、該ロックアウトスイッチが該ハンドスイッチの起動および該鉗子の電気外科起動を防ぐ第2の形態まで移動可能である、ロックアウトスイッチと
を含む、電気外科鉗子。」(下線部は補正個所を示す。)

2.補正の目的の適否及び新規事項の追加の有無
本件補正は、補正前の請求項1に記載した発明を特定するために必要な事項である「ロックアウトスイッチ」について、ロックアウトスイッチが「該顎部材が開放形態にある場合、および、該顎部材が閉鎖形態にある場合の両方において、」該ロックアウトスイッチは、該ロックアウトスイッチが該ハンドスイッチの起動を可能にする第1の形態から、該ロックアウトスイッチが該ハンドスイッチの起動および該鉗子の電気外科起動を防ぐ第2の形態まで移動可能であるとの限定を付加するものであり、かつ、補正後の請求項1に記載された発明は、補正前の請求項1に記載された発明と、産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるので、本件補正は、特許法第17条の2第5項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
そして、本件補正は、新規事項を追加するものではない。

3.独立特許要件
そこで、本件補正後の前記請求項1に記載された発明(以下、「本願補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか)、以下に検討する。

3-1.引用例の記載事項
(1)特開2006-95316号公報
本願の優先権主張日前に頒布された刊行物であり、原査定の拒絶の理由に引用された、特開2006-95316号公報(以下、「引用例1」という。)には、図面と共に次の事項が記載されている。

引1ア:「本開示は電気外科用鉗子に関し、そしてより詳細には、本開示は、組織をシールおよび/または切断するための内視鏡双極性電気外科用鉗子に関する。」(【0002】)

引1イ:「(要旨)
本開示は、5mmトロカールまたはカニューレとともに利用されるよう設計されている内視鏡双極性鉗子に関し、そしてハウジングおよびこのハウジングの遠位端に固定されたシャフトを含む。好ましくは、このシャフトは、このシャフトがトロカールを通って自由に挿入可能であるように減少した直径を含む。このシャフトはまた、それを通って規定される長軸方向軸、およびその遠位端に取り付けられた一対の第1および第2の顎部材を含む。上記鉗子は、この第1の顎部材を、第2の部材に対し、これら顎部材が互いに対して間隔を置いた関係で配置される第1の位置から、これら顎部材が協働してそれらの間に組織を握る第2の位置まで移動するための、駆動アセンブリを含む。上記シャフトの長軸方向軸の上に位置決めされる回動点の周りを回転可能である移動可能なハンドルが含められる。このハンドルの移動は、駆動フランジを、駆動アセンブリと機械的協働するように係合し、上記顎部材を開放位置から閉鎖位置まで移動する。有利には、上記回動点は、上記長軸方向軸の上に固定された距離に位置決めされ、上記駆動フランジにレバー様機械的利点を提供する。上記駆動フランジは、上記長軸方向軸にほぼ沿って位置決めされる。上記鉗子は、各顎部材に、これら顎部材が、それらの間に保持された組織を通して双極性エネルギーを伝導して組織シールを行い得るように、電位を運ぶ電気外科用エネルギーの供給源に接続される。
なお別の実施形態では、上記鉗子は、上記ハウジング内に配置される、上記エネルギー供給源に電気外科用に接続されるハンドスイッチを含む。有利には、このハンドスイッチは、使用者が、上記顎部材に双極性エネルギーを選択的に供給し、組織シールを行うことを可能にする。」(【0015】?【0016】)

引1ウ:「図1に最良に見られるように、鉗子10はまた、この鉗子10を電気外科用エネルギーの供給源、例えば、電源(図示せず)に接続する電気外科用ケーブル310を含む。・・・」(【0030】)

引1エ:「上記で述べたように、端部エフェクターアセンブリ100は、シャフト12の遠位端14に取り付けられ、そして一対の対向する顎部材110および120を含む。ハンドルアセンブリ30の移動可能なハンドル40は、最終的には、駆動アセンブリ150に接続され、これらは一緒に機械的に協働して、これら顎部材110および120が互いに対して間隔を置いた関係で配置される開放位置から、これら顎部材110および120が協働してそれらの間に組織420を握る(図36)クランプまたは閉鎖位置へのこれら顎部材110および120の移動を与える。」(【0037】)

引1オ:「図8で最も良く示されるように、顎部材110はまた、顎ハウジング116を含み、これは、絶縁性基体または絶縁体114および電気的に伝導性の表面112を有する。絶縁体114は、好ましくは、電気的に伝導性のシーリング表面112と強固に係合する寸法である。これは、打ち抜き加工により、オーバーモールディングにより、打ち抜かれた電気的に伝導性のシーリングプレートのオーバーモールディングにより、および/または金属射出成型シールプレートのオーバーモールディングにより達成され得る。例えば、そして図17に示されるように、この電気的に伝導性のシーリングプレート112は、一連の上方に延びるフランジ111aおよび111bを含み、これらは、上記絶縁体114と接合して係合するように設計されている。この絶縁体114は、その遠位端に配置された靴様インターフェース107を含み、これは、スリップ適合様式でハウジング116の外側周縁116aと係合するような寸法である。この靴様インターフェース107はまた、製造工程の間に、顎110の外側周縁の周りにオーバーモールディングされ得る。リード311は、靴様インターフェース107内で、リード311がシールプレート112に電気的に接続する点(図示せず)で終結することが想定される。移動可能な顎部材110はまた、以下により詳細に記載されるように、ケーブルリード311をシーリングプレート112との電気的連続性に案内するよう設計されているワイヤチャネル113を含む。」(【0046】)

引1カ:「顎部材120は、絶縁体124、および絶縁体124と強固に係合するような寸法である電気的に伝導性のシーリング表面122を有する顎ハウジング126のような、顎部材110に類似の要素を含む。・・・」(【0051】)

引1キ:「図14および30?32の分解図に最も良く示されるように、電気的リード310a、310b、310cおよび311は、電気外科用ケーブル310によりハウジング20を通して供給される。より詳細には、電気外科用ケーブル310が、固定されたハンドル50を通してハウジング20の底に供給される。リード310cは、ケーブル310から回転アセンブリ80中に直接延び、そしてチューブ60に(ヒューズクリップまたはスプリングクリップなどを経由して)接続され、固定された顎部材120に第2の電位を伝導する。リード310aおよび310bは、ケーブル310から延び、そして手スイッチまたはジョイスティック様トグルスイッチ200に接続する。
スイッチ200は、好ましくは(一旦組み立てられた)ハウジング20の外側形状に一致する一対のウイング207aおよび207bを有する人間工学的な寸法のトグルプレート20を含む。スイッチ200は、使用者が種々の異なる配向で鉗子10を選択的に作動する、すなわち、マルチ配向作動を許容することが想定される。認識され得るように、これは、作動を単純にする。一対のプロング204aおよび204bは遠位方向に延び、そしてハウジング20内に配置された対応する対の機械的インターフェース21aおよび21bと嵌合される(図32を参照のこと)。プロング204aおよび204bは、好ましくは、組み立ての間にハウジング20にスナップ適合する。トグルプレート205はまた、スイッチインターフェース203を含み、スイッチボタン202と嵌合し、これは、次に、電気的インターフェース201に接続する。電気的リード310aおよび310bは、電気的インターフェース201に電気的に接続される。トグルプレート205が押し下げられるとき、トリガーリード311は、第1の電位を顎部材110に運ぶ。より詳細には、リード311は、インターフェース201から、回転アセンブリ80の複数のスロット84a、84bおよび84cを通り(図25および30を参照のこと)、そしてチューブ160の上部分に沿って延び、そして最終的に上記に記載のように、移動可能な顎部材110に接続する(図32、34および35を参照のこと)。
スイッチ200が押し下げられるとき、電気外科用エネルギーは、リード311および310cを顎部材110および120にそれぞれ移される。安全スイッチまたは回路(図示せず)が、顎部材110および120が閉鎖されない、および/または顎部材110および120がそれらの間に保持される組織420を有さない限り、このスイッチが発火することができないよう採用され得ることが想定される。後者の例では、センサー(図示せず)が、組織420がそれらの間に保持されるか否かを決定するために採用され得る。さらに、手術前、手術と同時(すなわち、手術の間)および/または手術後状態を決定するその他のセンサー機構が採用され得る。・・・
好ましくは、顎部材110および120は、互いから、電気外科用エネルギーが組織420を通って効率的に移動され、シール450を形成し得るように電気的に絶縁されている。・・・」(【0077】?【0080】)

引1ク:「図36は組織に接近する鉗子を示す。ハンドル40が握られ、そしてフランジ90が固定されたハンドル50のチャネル54中に取り込まれ、駆動フランジ47が、中央ピボットピン29aおよび29bに対する機械的利点により、ほぼ近位方向に回転され、スプリング67を圧縮する。同時に、往復移動するスリーブ60が、後部リング156の移動により近位方向に引かれ、これは、次に、スリーブ60のアパーチャ62をカム隆起117の近位方向にし、そして顎部材120に対して顎部材110を閉鎖する(図37?40を参照のこと)。
中央ピボット上の機械的利点は、使用者が、コイルスプリング67を特定距離だけ選択的に圧縮することを可能にし、これは、次に、往復移動するスリーブ60上に特定の負荷を与えることが想定される。この往復移動するスリーブ60の負荷は、顎部材103の周りのトルクに変換される。結果として、特定の閉鎖力が、対向する顎部材110および120に伝達され得る。上記で述べたように、これら顎部材110および120は、トリガーアセンブリ70のロックを解くことなくシーリングが所望されるまで、開かれ、閉じられ、および回転されて組織420を操作し得る。これは、使用者が、作動およびシーリングの前に鉗子10を配置または再配置することを可能にする。より詳細には、図4に示されるように、端部エフェクターアセンブリ100は、回転アセンブリ80の回転により長軸方向軸「A」の周りを回転可能である。
一旦、シーリング部位に対する所望の位置が決定され、そして顎部材110および120が適正に配置されると、ハンドル40は完全に、フランジ90のt形状端部95が三角形形状の部材57の頂上に位置する予備規定されたレールエッジ193を超えるように、圧縮され得る。一旦端部95が、エッジ193を超えると、この端部は、出口経路58内に位置するキャッチベイスン194に向けられる。より詳細には、ハンドル40のハンドル50に対する閉鎖圧力がわずかに減少すると、ハンドル40は、入口経路54に向かってわずかに遠位方向に戻るが、出口経路58に向かってキャッチベイスン194に再び方向付けられる(図38を参照のこと)。この時点で、駆動アセンブリ150の圧縮に起因し得、それにともなう解放圧力に直接比例する、ハンドル40と50との間の解放または戻り圧力は、フランジ90の端部95をキャッチベイスン194内に定住またはロックさせる。ハンドル40は、ここで、固定されたハンドル50内の位置に固定され、これは、次に、顎部材110および120を組織420に対して閉鎖位置にロックする。
この時点で、顎部材110および120は、組織420の周りに完全に圧縮される(図26)。さらに、鉗子10は、ここで、電気外科用エネルギーの選択的印加および引き続く組織420の分離のための準備が整い、すなわち、t形状端部95は、キャッチベイスン194内に着座し、ロックフランジ44は、トリガーアセンブリ70の作動を許容する位置に移動する(図44および45)。」(【0086】?【0089】)

引1a:引1カの「スイッチ200が押し下げられるとき、電気外科用エネルギーは、リード311および310cを顎部材110および120にそれぞれ移される。安全スイッチまたは回路(図示せず)が、顎部材110および120が閉鎖されない、および/または顎部材110および120がそれらの間に保持される組織420を有さない限り、このスイッチが発火することができないよう採用され得ることが想定される。」との記載における「発火」が「起動」を意味するとともに、安全スイッチはスイッチ200及び電気外科鉗子10の誤った起動を防ぐためのものであって、該安全スイッチがハンドスイッチ200の起動を可能にする第1の状態から、該安全スイッチが該ハンドスイッチ200の起動及び該鉗子10の電気外科起動を防ぐ第2の状態まで変化可能であることは明らかである。
さらに、顎部材110及び120が閉鎖されない場合は、顎部材110及び120が開放位置にある場合を含むから、引1カの上記記載からして、「顎部材110及び120が開放位置にある場合において、該安全スイッチは、該安全スイッチがハンドスイッチ200の起動を可能にする第1の状態から、該安全スイッチが該ハンドスイッチ200の起動及び該鉗子10の電気外科起動を防ぐ第2の状態まで変化可能である」といえる。

これら記載事項及び図1?52の図示内容を総合すると、引用例1には、次の発明(以下、「引用発明1」という。)が記載されている。
「組織420をシールするための電気外科鉗子10であって、該電気外科鉗子10は、
ハンドルアセンブリ30であって、該ハンドルアセンブリ30は、それに取り付けられたシャフト12を有し、該シャフト12は、その遠位端に取り付けられた端部エフェクターアセンブリ100を有し、該端部エフェクターアセンブリ100は、1対の顎部材110及び120を有し、該1対の顎部材110及び120は、互いに対して間隔を置いた関係にある開放位置から、該顎部材110及び120がそれらの間に組織420を握るために協働する閉鎖位置に移動可能であり、該顎部材110及び120の各々は、電気的に伝導性のシールプレート112,122を含み、該シールプレート112,122の間に保持された組織420を通って電気外科エネルギーを伝達して組織シールを行い、該電気的に伝導性のシールプレート112,122は、電気外科電源に接続されるように適合されている、ハンドルアセンブリ30と、
該ハンドルアセンブリ30に作動可能に結合されたハンドスイッチ200であって、該ハンドスイッチ200は、該電気外科電源に接続されるように適合されており、該ハンドスイッチ200は、押し下げられるとき、電気外科用エネルギーが顎部材110及び120にそれぞれ移される、ハンドスイッチ200と、
安全スイッチであって、該顎部材110及び120が開放位置にある場合において、該安全スイッチは、該安全スイッチがハンドスイッチ200の起動を可能にする第1の状態から、該安全スイッチが該ハンドスイッチ200の起動及び該鉗子10の電気外科起動を防ぐ第2の状態まで変化可能である、安全スイッチと
を含み、
顎部材110及び120は、シーリングが所望されるまで、開かれ、閉じられ、および回転されて組織420を操作し得、シーリングの前に電気外科鉗子10を配置または再配置することが可能である、
電気外科鉗子10。」

(2)米国特許第4655215号明細書
本願の優先権主張日前に頒布された刊行物であり、原査定の拒絶の理由に引用された、米国特許第4655215号明細書(以下、「引用例2」という。)には、図面と共に次の事項が記載されている。(なお、『』内に当審による仮訳を記載する。)

引2ア:「TECHNICAL FIELD
The present invention relates to surgical instruments and, more particularly, to an improved hand control for electrosurgical electrodes for holding a scapel electrode capable of selectively cutting tissue and/or coagulating blood.
」(1欄5?10行)
『技術分野
本願発明は、外科用器具に関し、特に、選択的に組織をカットすることができかつ/又は、血液を凝固させることができる外科用メスの電極を保持する電気外科電極の改善された手動制御に関する。』

引2イ:「The construction of the present invention overcomes the difficulties mentioned above, and provides a device which is easy to use, safe, and versatile. 」(2欄15?18行)
『本願発明の構成により、上記問題点を克服し、使いやすく、安全で、用途が広い装置を提供することができる。』

引2ウ:「In addition, a three-position slide-locking mechansim for the activating switch is provided. With the slide-locking mechanism in the rear position, the activating switch can be freely moved to any mode position. With the slide-locking mechanism in the center position, the activating switch cannot be placed in the cutting mode position. This allows the device to be used exclusively for its coagulating function, without the possibility of inadvertent activation of the cutting mode. With the slide-locking mechanism in the forward position, the activating switch cannot be moved at all, and no current can reach the electrosurgical blade, thus protecting the patient from inadvertent burns caused by accidental movement of the activating switch.」(2欄35?48行)
『これに加えて、作動スイッチのための3位置スライドロッキング機構が提供される。スライドロッキング機構を後部の位置にすることで、作動スイッチは、どんなモード位置へも自由に動かすことができる。スライドロッキング機構を中央の位置にすることで、作動スイッチは、切断モード位置にすることができない。このことにより、装置は、不注意により切断モードを起動する可能性無しに、凝固機能のために使用することができる。スライドロッキング機構を前側の位置にすることで、作動スイッチは、全く動かすことができず、電気外科用ブレードに全く電流が流れない。その結果、作動スイッチが偶然動いて患者が不注意により火傷することを防ぐことができる。』

引2エ:「In addition, the device is safer and more secure to use as a result of the three-position slide-locking mechanism, which allows either (1) complete freedom of choice of current mode, (2) coagulating current mode only, or (3) no current at all to the electrosurgical blade. 」(6欄48?53行)
『加えて、装置は、(1)電流モードを完全に自由選択できる(2)凝固電流モードのみ選択できる(3)電気外科ブレードに全く電流が流れない、のいずれかにすることができる、3位置スライドロッキング機構を使用することにより、より安全で確実となっている。』

引2a:引2ウの記載及び引2エの記載からして、3位置スライドロッキング機構が後部の位置及び中央の位置にある場合は、スイッチ14をどんな電流モード位置へも自由に動かすことができたり、凝固電流モード位置へのみ動かすことができたりするから、スイッチ14は起動が可能になっているといえ、3位置スライドロッキング機構が前側の位置にある場合は、スイッチ14を全く動かすことができず、電気外科ブレードに全く電流が流れないから、該スイッチ14の起動及び該電気外科用器具の電気外科起動が防がれているといえる。

引用例2に記載された電気外科用器具が電気外科電源を備えていることは明らかであって、引用例2の記載事項及び図1?9の図示内容を総合すると、引用例2には、次の発明が記載されている。
「電気外科用器具であって、該電気外科用器具は、
電気外科電源に接続されるように適合されている、ハウジングBと、
該ハウジングBに作動可能に結合されたスイッチ14であって、該スイッチ14は、該電気外科電源に接続されるように適合されており、該スイッチ14は、該電気外科用電極10に該電気外科電源を電気的に接続するか、または、該電気外科用電極10から該電気外科電源を電気的に接続解除することにより、該電気外科用電極10の電気外科起動を開始するために選択的に起動可能である、スイッチ14と、
該ハウジングBに作動可能に結合された3位置スライドロッキング機構であって、該3位置スライドロッキング機構は、該3位置スライドロッキング機構が該スイッチ14の起動を可能にする後部の位置及び中央の位置から、該3位置スライドロッキング機構が該スイッチ14の起動及び該電気外科用器具の電気外科起動を防ぐ前側の位置まで移動可能である、3位置スライドロッキング機構と
を含み、
3位置スライドロッキング機構によりスイッチ14が偶然動いて患者が不注意により火傷することを防ぐことができる、
電気外科用器具。」(以下、「引用発明2」という。)

3-2.対比
本願補正発明と引用発明1とを対比する。
引用発明1の「組織420」は本願補正発明の「組織」に相当し、以下同様に、「電気外科鉗子10」は「電気外科鉗子」に、「ハンドルアセンブリ30」は「ハンドル」に、「シャフト12」は「シャフト部材」に、「端部エフェクターアセンブリ100」は「端部エフェクター」に、「1対の顎部材110及び120」は「1対の顎部材」に、「互いに対して間隔を置いた関係にある開放位置」は「互いに対して間隔を置いた関係にある第1の位置」及び「該顎部材が開放形態にある場合」に、「該顎部材がそれらの間に組織420を握るために協働する閉鎖位置」は「該顎部材がそれらの間に組織を握るために協働する次の位置」及び「該顎部材が閉鎖形態にある場合」に、「電気的に伝導性のシールプレート112,122」は「電気的に伝導性のシールプレート」に、「ハンドスイッチ200」は「ハンドスイッチ」に、それぞれ相当する。

引用発明1の「電気外科用エネルギーが顎部材110及び120にそれぞれ移される」は本願補正発明の「該顎部材に該電気外科電源を電気的に接続する」に相当するとともに、「該ハンドスイッチ200は、押し下げられるとき」電気外科鉗子10は電気外科起動を開始するといえる。
また、引用発明1の「該ハンドスイッチ200は、押し下げられ」ないとき、「電気外科用エネルギーが顎部材110及び120にそれぞれ移され」ない、つまり「該顎部材から該電気外科電源を電気的に接続解除」するとともに、電気外科鉗子10が電気外科起動しないことは明らかである。
そうすると、引用発明1の「該ハンドスイッチ200は、押し下げられるとき、電気外科用エネルギーが顎部材110及び120にそれぞれ移される」は、本願補正発明の「該ハンドスイッチは、該顎部材に該電気外科電源を電気的に接続するか、または、該顎部材から該電気外科電源を電気的に接続解除することにより、該鉗子の電気外科起動を開始するために選択的に起動可能である」に相当する。

本願明細書の「電気外科エネルギーの不注意の供給を防ぐために、ハンドヘルド電気外科器具のハンドスイッチを働かないようにし得るシステムおよび方法に対する必要性が存在する。」(【0004】)との記載及び「図6A?Bおよび7A?Bに示される機械的ロックアウト機構200に加え、種々の電気的および電気機械的ロックアウト機構が企図される。図8は、電気的ロックアウト機構400を示す。・・・回路板52はまた、これもまた起動スイッチ52aと連続している安全スイッチ52bを含む。これらスイッチのいずれかが開いている限り、この回路は完成せず、そして組織に電気外科エネルギーは供給されない。」(【0060】)との記載からして、本願補正発明の「ロックアウトスイッチ」は「安全スイッチ」といえる。
そうすると、引用発明1の「安全スイッチ」と本願補正発明の「ロックアウトスイッチ」とは、「安全スイッチであって、該顎部材が開放形態にある場合において、該安全スイッチは、該安全スイッチが該ハンドスイッチの起動を可能にする第1の状態から、該安全スイッチが該ハンドスイッチの起動および該鉗子の電気外科起動を防ぐ第2の状態まで変化可能である、安全スイッチ」である点で一致する。

以上によれば、本願補正発明と引用発明1とは次の点で一致する。
(一致点)
「組織をシールするための電気外科鉗子であって、該電気外科鉗子は、
少なくとも1つのハンドルであって、該ハンドルは、それに取り付けられた少なくとも1つのシャフト部材を有し、該少なくとも1つのシャフト部材は、その遠位端に取り付けられた端部エフェクターを有し、該端部エフェクターは、1対の顎部材を有し、該1対の顎部材は、互いに対して間隔を置いた関係にある第1の位置から、該顎部材がそれらの間に組織を握るために協働する少なくとも1つの次の位置に移動可能であり、該顎部材の各々は、電気的に伝導性のシールプレートを含み、該シールプレートの間に保持された組織を通って電気外科エネルギーを伝達して組織シールを行い、該電気的に伝導性のシールプレートは、電気外科電源に接続されるように適合されている、ハンドルと、
該少なくとも1つのハンドルおよび該少なくとも1つのシャフト部材のうちの少なくとも1つに作動可能に結合されたハンドスイッチであって、該ハンドスイッチは、該電気外科電源に接続されるように適合されており、該ハンドスイッチは、該顎部材に該電気外科電源を電気的に接続するか、または、該顎部材から該電気外科電源を電気的に接続解除することにより、該鉗子の電気外科起動を開始するために選択的に起動可能である、ハンドスイッチと、
安全スイッチであって、該顎部材が開放形態にある場合において、該安全スイッチは、該安全スイッチが該ハンドスイッチの起動を可能にする第1の状態から、該安全スイッチが該ハンドスイッチの起動および該鉗子の電気外科起動を防ぐ第2の状態まで変化可能である、安全スイッチと
を含む、電気外科鉗子。」

そして、両者は次の点で相違する。
(相違点)
「安全スイッチ」が、本願補正発明では、「該少なくとも1つのハンドルおよび該少なくとも1つのシャフト部材のうちの少なくとも1つに作動可能に結合されたロックアウトスイッチであって、該顎部材が開放形態にある場合、および、該顎部材が閉鎖形態にある場合の両方において、該ロックアウトスイッチは、該ロックアウトスイッチが該ハンドスイッチの起動を可能にする第1の形態から、該ロックアウトスイッチが該ハンドスイッチの起動および該鉗子の電気外科起動を防ぐ第2の形態まで移動可能である、ロックアウトスイッチ」であるのに対して、
引用発明1では、「安全スイッチであって、該顎部材110及び120が開放位置にある場合において、該安全スイッチは、該安全スイッチがハンドスイッチ200の起動を可能にする第1の状態から、該安全スイッチが該ハンドスイッチ200の起動及び該鉗子10の電気外科起動を防ぐ第2の状態まで変化可能である、安全スイッチ」であって、「顎部材110及び120は、シーリングが所望されるまで、開かれ、閉じられ、および回転されて組織420を操作し得、シーリングの前に電気外科鉗子10を配置または再配置することが可能である」ものの、「安全スイッチ」は、「ハンドルアセンブリ30」(ハンドル)及び「シャフト12」(シャフト部材)のうちの少なくとも1つに作動可能に結合されているか否か不明であり、「顎部材110及び120」(顎部材)が閉鎖位置(閉鎖形態)にある場合において「該安全スイッチは、該安全スイッチがハンドスイッチ200の起動を可能にする第1の状態から、該安全スイッチが該ハンドスイッチ200の起動及び該鉗子10の電気外科起動を防ぐ第2の状態まで変化可能である」ものであるか否か不明である点。

3-3.判断
上記相違点について検討する。
(1)引用発明1に基く容易想到性
引用発明1の「電気外科鉗子10」において、「顎部材110及び120は、シーリングが所望されるまで、開かれ、閉じられ、および回転されて組織420を操作し得、シーリングの前に電気外科鉗子10を配置または再配置することが可能である」とともに、「安全スイッチ」は「電気外科鉗子10」の誤起動を防ぐためのものであることは明らかである。加えて、安全性を高めるためにスイッチを多重化することは慣用手段にすぎない。
そうすると、引用発明1の「電気外科鉗子10」において、シーリングを行う前に顎部材110及び120を閉じた状態で、安全に、組織420を操作し電気外科鉗子10を再配置するために、顎部材110及び120の開放、閉鎖に関わりなくハンドスイッチ200及び電気外科鉗子10の誤起動を防ぐことができるように、「安全スイッチ」を、「該顎部材110及び120が閉鎖形態にある場合」においても「該安全スイッチがハンドスイッチ200の起動を可能にする第1の状態から、該安全スイッチが該ハンドスイッチ200の起動及び該鉗子10の電気外科起動を防ぐ第2の状態まで変化可能である」ものとすることに格別の困難性は見出せない。
上記の場合、引用発明1の「安全スイッチ」を電気外科鉗子10の何処に設けるかは適宜決定される程度の事項であるとともに、スイッチにおいて異なる形態に移動可能なものとすることも慣用手段にすぎないことからして、引用発明1の「安全スイッチ」を本願補正発明の「ロックアウトスイッチ」と同様に、「ハンドルアセンブリ30及びシャフト12のうちの少なくとも1つに作動可能に結合された」ものとするとともに、「第1の形態」から「第2の形態」まで「移動可能」なものとすることは、当業者であれば必要に応じて適宜なし得る設計事項にすぎない。
以上によれば、相違点に係る本願補正発明の発明特定事項は、当業者が引用発明1に基いて容易に想到し得るものである。

そして、本願補正発明の効果は、当業者が引用発明1から予測し得る範囲内のものである。

したがって、本願補正発明は当業者が引用発明1に基いて容易に発明をすることができたものである。

(2)引用発明1及び引用発明2に基く容易想到性
引用発明2の「ハウジングB」は手で把持されることが明らかだから「把持部」といえ、以下同様に、「スイッチ14」は手で操作されることが明らかだから「ハンドスイッチ」といえ、「3位置スライドロッキング機構」は、「スイッチ14の起動及び該電気外科用器具の電気外科起動を防」ぎ、「スイッチ14が偶然動いて患者が不注意により火傷することを防ぐことができる」ものであるから、「安全スイッチ」といえ、「該3位置スライドロッキング機構が該スイッチ14の起動を可能にする後部の位置及び中央の位置」は「該安全スイッチが該ハンドスイッチの起動を可能にする第1の形態」といえ、「該3位置スライドロッキング機構が該スイッチ14の起動および該電気外科用器具の電気外科起動を防ぐ前側の位置」は「該安全スイッチが該ハンドスイッチの起動および該鉗子の電気外科起動を防ぐ第2の形態」といえるから、引用発明2は、
「電気外科用器具であって、該電気外科用器具は、
電気外科電源に接続されるように適合されている、把持部と、
該把持部に作動可能に結合されたハンドスイッチであって、該ハンドスイッチは、該電気外科電源に接続されるように適合されており、該ハンドスイッチは、該電気外科用電極に該電気外科電源を電気的に接続するか、または、該電気外科用電極から該電気外科電源を電気的に接続解除することにより、該電気外科用電極の電気外科起動を開始するために選択的に起動可能である、ハンドスイッチと、
該把持部に作動可能に結合された安全スイッチであって、該安全スイッチは、該安全スイッチが該ハンドスイッチの起動を可能にする第1の形態から、該安全スイッチが該ハンドスイッチの起動及び該電気外科用器具の電気外科起動を防ぐ第2の形態まで移動可能であって、ハンドスイッチが偶然起動して患者が不注意により火傷することを防ぐことができる、安全スイッチと
を含む、電気外科用器具。」
といえる。

引用発明1の「電気外科鉗子10」は、「顎部材110及び120は、シーリングが所望されるまで、開かれ、閉じられ、および回転されて組織420を操作し得、シーリングの前に電気外科鉗子10を配置または再配置することが可能である」とともに、「安全スイッチ」は「電気外科鉗子10」の誤起動を防ぐためのものであることは明らかである。加えて、安全性を高めるためにスイッチを多重化することは慣用手段にすぎない。
そうすると、引用発明1の「電気外科鉗子10」において、シーリングを行う前に顎部材110及び120を閉じた状態で、安全に、組織420を操作し電気外科鉗子10を再配置するために、顎部材110及び120の開放、閉鎖に関わりなくハンドスイッチ200及び電気外科鉗子10の誤起動を防ぐことができるように、引用発明2の「電気外科用器具」の「ハンドスイッチが偶然起動して患者が不注意により火傷することを防ぐことができる」「安全スイッチ」に係る構成を引用発明1に適用することに格別の困難性は見出せない。
上記の場合、引用発明2の「3位置スライドロッキング機構」(安全スイッチ)は「ハウジングB」(把持部)に作動可能に結合されているものであるから、引用発明1の「ハンドルアセンブリ30に作動可能に結合された」ものとすることは、当業者であれば必要に応じて適宜なし得る設計事項にすぎない。

以上によれば、相違点に係る本願補正発明の発明特定事項は、当業者が引用発明1及び引用発明2に基いて容易に想到し得るものである。

そして、本願補正発明の効果は、当業者が引用発明1及び引用発明2から予測し得る範囲内のものである。

したがって、本願補正発明は当業者が引用発明1及び引用発明2に基いて容易に発明をすることができたものである。

(3)まとめ
以上のとおり、本願補正発明は、引用発明1に基いて、又は引用発明1及び引用発明2に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるので、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができない。

3-4.むすび
したがって、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

III.本願発明
本件補正は、上記のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明(以下、同項記載の発明を、「本願発明」という。)は、拒絶査定時の平成24年8月28日付けの手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載される、以下のとおりのものである。
「組織をシールするための電気外科鉗子であって、該電気外科鉗子は、
少なくとも1つのハンドルであって、該ハンドルは、それに取り付けられた少なくとも1つのシャフト部材を有し、該少なくとも1つのシャフト部材は、その遠位端に取り付けられた端部エフェクターを有し、該端部エフェクターは、1対の顎部材を有し、該1対の顎部材は、互いに対して間隔を置いた関係にある第1の位置から、該顎部材がそれらの間に組織を握るために協働する少なくとも1つの次の位置に移動可能であり、該顎部材の各々は、電気的に伝導性のシールプレートを含み、該シールプレートの間に保持された組織を通って電気外科エネルギーを伝達して組織シールを行い、該電気的に伝導性のシールプレートは、電気外科電源に接続されるように適合されている、ハンドルと、
該少なくとも1つのハンドルおよび該少なくとも1つのシャフト部材のうちの少なくとも1つに作動可能に結合されたハンドスイッチであって、該ハンドスイッチは、該電気外科電源に接続されるように適合されており、該ハンドスイッチは、該顎部材に該電気外科電源を電気的に接続するか、または、該顎部材から該電気外科電源を電気的に接続解除することにより、該鉗子の電気外科起動を開始するために選択的に起動可能である、ハンドスイッチと、
該少なくとも1つのハンドルおよび該少なくとも1つのシャフト部材のうちの少なくとも1つに作動可能に結合されたロックアウトスイッチであって、該ロックアウトスイッチは、該ロックアウトスイッチが該ハンドスイッチの起動を可能にする第1の形態から、該ロックアウトスイッチが該ハンドスイッチの起動および該鉗子の電気外科起動を防ぐ第2の形態まで移動可能である、ロックアウトスイッチと
を含む、電気外科鉗子。」

IV.引用例の記載事項
原査定の拒絶の理由に引用された引用例1、引用例2及び、その記載事項は、前記「II.独立特許要件3-1.引用例の記載事項」に記載したとおりである。

V.対比・判断
(1)対比
本願発明は、前記「II.1補正後の本願発明」の本願補正発明から、「ロックアウトスイッチ」についての限定事項である「該顎部材が開放形態にある場合、および、該顎部材が閉鎖形態にある場合の両方において、」との構成を省いたものである。
そうすると、本願発明の発明特定事項をすべて含み、さらに、他の発明特定事項を付加したものに相当する本願補正発明が、前記II.3-3に記載したとおり、引用発明1に基いて、又は引用発明1及び引用発明2に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も、同様に、引用発明1に基いて、又は引用発明1及び引用発明2に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。

VI.むすび
以上のとおり、本願発明は、引用発明1に基いて、又は引用発明1及び引用発明2に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2013-06-14 
結審通知日 2013-06-17 
審決日 2013-06-25 
出願番号 特願2007-203665(P2007-203665)
審決分類 P 1 8・ 575- Z (A61B)
P 1 8・ 121- Z (A61B)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 村上 聡  
特許庁審判長 横林 秀治郎
特許庁審判官 村田 尚英
蓮井 雅之
発明の名称 働かないようにするハンドスイッチを有するハンドヘルド電気外科器具  
代理人 大塩 竹志  

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