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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G06F
審判 査定不服 特17条の2、3項新規事項追加の補正 特許、登録しない。 G06F
管理番号 1281288
審判番号 不服2012-12755  
総通号数 168 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2013-12-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2012-07-04 
確定日 2013-11-08 
事件の表示 特願2006-284403「自動化されたデータ・ストレージ・ライブラリ、ロボット通信システム、コンピュータ・プログラム、およびデータ・ストレージ・システム(自動化されたデータ・ストレージ・ライブラリのためのバースト通信)」拒絶査定不服審判事件〔平成19年 5月17日出願公開、特開2007-122717〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続きの経緯

本件は、平成18年10月18日(パリ条約による優先権主張、2005年10月27日、米国)の出願であって、平成23年7月12日付けで拒絶理由が通知され、同年9月28日付けで手続補正がなされ、平成24年3月27日付けで拒絶査定がなされ、それに対して、同年7月4日に拒絶査定不服の審判が請求されるとともに、同時に手続補正がなされ、同年9月3日付けで前置報告がなされ、同年12月26日付けで審尋がなされ、平成25年2月26日付けで回答書が提出されたものである。

第2 平成24年7月4日付けの手続補正についての補正却下の決定

[補正却下の決定の結論]

平成24年7月4日付けの手続補正(以下、「本件補正」という。)を却下する。

[補正却下の決定の理由]

(1)補正後の本願発明
本件補正により、特許請求の範囲の請求項1は、
「【請求項1】
自動化されたデータ・ストレージ・ライブラリであって、
データ・ストレージ・カートリッジを格納する複数のストレージ棚と、
前記データ・ストレージ・カートリッジに対してデータを読み出しまたは書き込みもしくはその両方を行う少なくとも1つのデータ・ストレージ・ドライブと、
フレーム支持体によって支持された一対の離れたバス・バーと、
前記バス・バーと通信するライブラリ通信インターフェースと、
ロボット・アクセス機構であって、
前記ストレージ棚および前記少なくとも1つのデータ・ストレージ・ドライブに対して前記データ・ストレージ・カートリッジの少なくとも1つのアクセスおよび配送を行うピッカーと、
前記ロボット・アクセス機構を移動させて、少なくとも前記ピッカーが前記少なくとも1つのデータ・ストレージ・カートリッジに対するアクセスおよび配送を行うように位置付けることができるようにピッカーを位置付ける駆動システムと、
アクセス機構通信インターフェースと、
前記バス・バー同士を連結および開放するバス・バー・リレーと、
前記ロボット・アクセス機構を移動させるように前記駆動システムを動作させ、前記少なくとも1つのデータ・ストレージ・カートリッジをアクセスおよび配送するように前記ピッカーを動作させ、前記ロボット・アクセス機構が静止している場合には、前記バス・バー同士を連結するように前記バス・バー・リレーを動作させ、前記バス・バー・リレーが前記バス・バー同士を連結することに応じて、前記バス・バー・リレーおよび前記バス・バーを介して前記ライブラリ通信インターフェースとの通信機能を提供するように前記アクセス機構通信インターフェースを動作させるロボット制御器と
を備えている、前記ロボット・アクセス機構と
を備えている、前記自動化されたデータ・ストレージ・ライブラリ。」
と補正された。

審判請求人は、本件補正による特許請求の範囲の請求項1の補正について、審判請求書の請求の理由において、
「補正後の「フレーム支持体によって支持された一対の離れたバス・バー」は、図1乃至図4のバス・バー28および29、並びに、それらに対応する段落0032の記載「バス・バー28および29は、フレーム支持体41によって支持され」に基づきます。当該補正は、特許請求の範囲の減縮を目的とするものです。
補正後の「バス・バー同士」は、上記「フレーム支持体によって支持された一対の離れたバス・バー」とする補正の根拠、並びに段落0027の記載「バス・バー・リレー27は、ライブラリのバス・バー28および29を連結および開放するように構成される」から明白であると考えます。当該補正は、特許請求の範囲の減縮を目的とするものです。
補正後の「前記バス・バー・リレーが前記バス・バー同士を連結することに応じて、前記バス・バー・リレーおよび前記バス・バーを介して前記ライブラリ通信インターフェースとの通信機能を提供する」は、直前の「前記ロボット・アクセス機構が静止している場合には、前記バス・バー同士を連結するように前記バス・バー・リレーを動作させ」という操作に対応して、通信機能が提供されることを特定するものです。また、当該補正は、段落0035の記載「ロボット制御器33は、バス・バー・リレー27がバス・バーを連結する場合に、アクセス機構通信インターフェース43を動作させて、バス・バー・リレー27と、バス・バー28および29とを介して、ライブラリ通信インターフェース48との通信機能を提供するように構成される。」に基づきます。上記補正は、特許請求の範囲の減縮ないしは誤記の訂正を目的とするものです。」
と述べている。

そこで本件補正による特許請求の範囲の請求項1の補正について詳細に検討すると、本件補正による特許請求の範囲の請求項1の補正の内容は以下の補正事項ア)?ウ)について補正を行うものである。

ア)「バス・バー」が「フレーム支持体によって支持された一対の離れた」ものであることを特定する補正。

イ)「前記バス・バーを連結および開放するバス・バー・リレー」を「前記バス・バー同士を連結および開放するバス・バー・リレー」とする補正。

ウ)「ロボット・アクセス機構が静止している場合」に、「前記バス・バーを連結するように前記バス・バー・リレーを動作」させ、「前記バス・バー・リレーが前記バス・バーを連結している場合には」、「通信機能を提供する」と記載されていたのを、「ロボット・アクセス機構が静止している場合」に、「前記バス・バー同士を連結するように前記バス・バー・リレーを動作」させ、「前記バス・バー・リレーが前記バス・バー同士を連結することに応じて」、「通信機能を提供する」とする補正。

(2)補正事項ア)?ウ)について
本件補正による特許請求の範囲の請求項1の補正の補正事項ア)?ウ)について、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第3項及び同第4項各号の規定に違反するものであるか検討する。

[補正事項ア)について]
補正事項ア)は、本件補正前から発明の構成要素となっている「バス・バー」に関して、「フレーム支持体によって支持された一対の離れた」ものであることをさらに特定する補正であるから、本件補正前の発明特定事項を限定的に減縮するものである。
ここで、本件の出願当初の明細書段落【0032】に「バス・バー28および29は、フレーム支持体41によって支持」と記載され、図2,図3には、バス・バー28とバス・バー29が互いに離れて設けられていることが示されているから、補正事項ア)は、本件の出願当初の明細書又は図面に記載した事項の範囲内のものといえる。

[補正事項イ)および補正事項ウ)について]
補正事項イ)および補正事項ウ)は何れも、「バス・バー・リレー」が「バス・バーを連結」するとあったものを「バス・バー・リレー」が「バス・バー同士を連結」するとするものであり、「バス・バー」が連結する対象を明確にするものであるから、一応、明りょうでない記載の釈明といえる。
しかしながら、本件の出願当初の明細書段落【0032】に「バス・バー・リレー27は、一実施形態において、単極単投(throw)リレーの対を備え、伝達アーム37および38を動作させて、リレー接点39および40を移動させてバス・バー28および29と連結させ、かつ、リレー接点を開放するアクチュエータ35および36を備える。」と、【0034】に「図2、図3、図4を参照すると、ロボット・アクセス機構18は、アクセス機構通信インターフェース43を備える。ワイヤ46および47は、リレー接点39および40とアクセス機構通信インターフェース43との間の直接通信リンクを提供してもよい。」と、【0035】に「ロボット制御器33は、バス・バー・リレー27がバス・バーを連結する場合に、アクセス機構通信インターフェース43を動作させて、バス・バー・リレー27と、バス・バー28および29とを介して、ライブラリ通信インターフェース48との通信機能を提供するように構成される。」と記載されていることから、本件の出願当初の明細書には、「伝達アーム」を動作させて、「リレー接点」を「バス・バー」と連結させ、「ワイヤ」、「リレー接点」、「バス・バー」を介して「アクセス機構通信インターフェイス」と「ライブラリ通信インターフェイス」との通信機能を提供するように構成することは記載されているといえるものの、「バス・バー同士を連結」することまでが記載されているとはいえない。
また、「バス・バー同士を連結」することが、本件の出願当初の明細書等の記載及び技術常識から自明であったとも認められない。
よって、補正事項イ)および補正事項ウ)は、本件の出願当初の明細書又は図面に記載した事項の範囲内のものとはいえない。
なお、このことは、平成24年12月26日付けの審尋に添付した前置報告書で指摘されていたことであるから、審判請求人には、釈明ないし反論の機会があったといえるが、審判請求人は何らの釈明も反論もしていない。

したがって、本件補正は、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第3項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

第3 本願発明について
平成24年7月4日付の手続補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明(以下,「本願発明」という。)は、平成23年9月28日付手続補正書の特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される、以下のとおりのものである。
「【請求項1】
自動化されたデータ・ストレージ・ライブラリであって、
データ・ストレージ・カートリッジを格納する複数のストレージ棚と、
前記データ・ストレージ・カートリッジに対してデータを読み出しまたは書き込みもしくはその両方を行う少なくとも1つのデータ・ストレージ・ドライブと、
バス・バーと、
前記バス・バーと通信するライブラリ通信インターフェースと、
ロボット・アクセス機構であって、
前記ストレージ棚および前記少なくとも1つのデータ・ストレージ・ドライブに対して前記データ・ストレージ・カートリッジの少なくとも1つのアクセスおよび配送を行うピッカーと、
前記ロボット・アクセス機構を移動させて、少なくとも前記ピッカーが前記少なくとも1つのデータ・ストレージ・カートリッジに対するアクセスおよび配送を行うように位置付けることができるようにピッカーを位置付ける駆動システムと、
アクセス機構通信インターフェースと、
前記バス・バーを連結および開放するバス・バー・リレーと、
前記ロボット・アクセス機構を移動させるように前記駆動システムを動作させ、前記少なくとも1つのデータ・ストレージ・カートリッジをアクセスおよび配送するように前記ピッカーを動作させ、前記ロボット・アクセス機構が静止している場合には、前記バス・バーを連結するように前記バス・バー・リレーを動作させ、前記バス・バー・リレーが前記バス・バーを連結している場合には、前記バス・バー・リレーおよび前記バス・バーを介して前記ライブラリ通信インターフェースとの通信機能を提供するように前記アクセス機構通信インターフェースを動作させるロボット制御器と
を備えている、前記ロボット・アクセス機構と
を備えている、前記自動化されたデータ・ストレージ・ライブラリ。」

(1)引用例
原査定の拒絶の理由に引用された本願の優先日前に頒布された、特開平5-250789号公報(以下「引用例1」という。)には、図面とともに、次の技術事項が記載されている。
a)「【0001】
【産業上の利用分野】本発明はデータ処理周辺データ記憶システムに関する。更に詳しくは、本発明は種々の、且つ非互換なデータ記憶カートリッジを使用する自動データ記憶及び検索システムに関する。」(【0001】の記載。下線は、当審にて付与。以下、同様。)

b)「【0012】
【発明が解決しようとする課題】本発明は単一の磁気媒体ライブラリ装置において、媒体テープを混合する改善方法及び装置に関する。こうした改善には、改善された物理的柔軟性及び効果的な制御が含まれる。」(【0012】の記載。)

c)「【0014】
【実施例】図を参照すると、同一番号は様々な図において同様のパーツ及び構成的機構を表す。図1から図3は本発明を実施する大型複数キャビネット複数媒体ライブラリ・データ記憶サブシステム10を示す。サブシステム10はホスト・プロセッサ11に通常に接続される。サブシステム10はキャビネット12-14を含み、これらは媒体収納カートリッジ、制御回路、媒体装置(レコーダ及びプレーア)などを含む。キャビネット15A及び15Bは後に説明されるように、カートリッジだけを収容する。これらのカートリッジだけを含むキャビネットは、同一サイズ或いはモジュラー・サイズのビンが使用可能であれば、いくつかの機構的構成の内のいずれか1つを含む。モジュラー・サイズのビンと言う用語は、全てのビンが最小ビン・サイズの整数倍であることを示す。媒体カートリッジは非常に多数のカートリッジ記憶リセプタクル16の間を、移動システム17及び媒体装置(ドライブ、レコーダ、プレーアなどとも称される)20、21及び21Aの内の選択される1つにより転送される。複数の装置20(図7)は小型の光ディスクに含まれる光媒体を読出しまた記録する。光ディスクは90mmの光ディスクを含むカートリッジ22(図18)を含む。異なる直径のディスク25をオペレートする他の光装置も使用可能である。典型的には光ディスク25は90mm(3.5インチ)、130mm(5.25インチ)、200mm、10或いは12インチを有する。ディスク25は特定に設計される光ディスク装置20に或いはから移動される。後に説明される制御(図20)はカートリッジ移動を管理し、媒体タイプが適切な装置にだけ移動されることを保証する。4角形の光記録カード(図示せず)もまた、他の装置(図示せず)と共に使用可能である。同様に、複数の磁気装置21(図6)がサブシステム10に含まれる。キャビネット13内の磁気装置21は、図14及び図15で示されるテープ・カートリッジ23と共に動作するように設計される。こうしたテープ・カートリッジは例えばIBM3490テープ・サブシステムにおいて使用される。キャビネット14内の磁気装置21はテープ・カートリッジ23と共には動作せず、むしろこれら後者の装置は、図16及び図17で示されるテープ・カートリッジ24と共に動作する。キャビネット14内の磁気装置21A(図8)はカートリッジ24と共に動作する。本発明によれば、3つの全ての非互換な媒体カートリッジがいずれかのリセプタクル16に格納され、後に述べられる制御の下で、それぞれのリセプタクル及び適切な装置の間で移動され、後に明らかにされるデータ処理オペレーションが実行される。
【0015】ホスト・プロセッサ11はデータを記憶及び検索するためにサブシステム10に要求を提供し、こうしたデータは1つ或いは複数の媒体カートリッジに記憶される。サブシステム10は媒体カートリッジをそれらのそれぞれの記憶リセプタクル16から移動することにより、ホスト・プロセッサ11の要求に応答する。全ての媒体カートリッジは取出し可能な記憶ビンに格納される。図35で見られるように、ハーフ・サイズのビン26及びフル・サイズのビン27はそれぞれ小型及び大型のカートリッジを格納する。2個のビン26がリセプタクル16の1個に挿入でき、一方、1個のビン27が1個のリセプタクルに挿入される。各リセプタクルはどちらのビンも受取ることができる。制御手段(周辺制御装置或いはホスト・プロセッサ11)30はマイクロプロセッサを含み、これは(通常)ホスト・プロセッサ11との通信、及び本発明を実施するためのサブシステム10のオペレーションの制御、及びこうしたサブシステムに通常関連する他の周知の機械オペレーションを担うプログラムを実行する。制御30は例えばキャビネット12などの1個のキャビネット内に存在することが好適である。装置20、21、21A、或いは制御30を収容する各キャビネットは、固有の電源31及び冷却システム32を有する。
【0016】カートリッジ移動手段は複数のトラベリング・エレベータ("ピッカ"とも称される)33-36を含む。図2で示されるように、ピッカ33及び34は共にキャビネット12及び15Aをサービスし、ピッカ35及び36はキャビネット13、14及び15Bをサービスする。1対の離れた静的なレール37は、リセプタクル16及び装置20-21Aなどを有するキャビネット内の記憶ラック(図36)の開放面に沿ってピッカが移動することを移動式に指示する。ピッカを移動し、カートリッジ・グリッパを制御する電気回路にパワー供給する電源は、軽量の可撓性のパワー・ケーブル(図示せず)により供給されるか、或いは通常にレール37上を伝送される。制御及び状態信号は各ピッカと制御30の間を可撓性ケーブル(図示せず)を介して伝達される。赤外線(IR)通信システムを使用することにより、ピッカ上のケーブルのはい回しを減らすことも望ましい。この目的のために、図2及び図3で最もよく表されるように、IRトランシーバ40-41が移動手段の終端に搭載される。トランシーバはおおよそピッカの半分の高さのところに搭載される。制御手段30は全てのトランシーバに電気的に接続され、全てのトランシーバとの間で制御及び状態情報を送受信し、この様子は図20に最もよく表されている。」(【0014】?【0016】の記載。)

d)「【0024】図4及び図5は1個のキャビネット・データ記憶サブシステム60のそれぞれ平面図及び立面図である。構成は一般には図1乃至図3のキャビネット12のそれに準じる。レール37上の単一のピッカ33、IRトランシーバ40、及びバー・コード・ワンド・リーダ53により、カートリッジ移動装置が構成される。他の全ての要素はキャビネット12で説明されるものと同様である。」(【0024】の記載。)

してみると、引用例1には以下の発明が(以下「引用例1記載の発明」という。)が記載されている。
「大型複数キャビネット複数媒体ライブラリ・データ記憶サブシステム10であり、
キャビネット12-14を含み、これらは媒体収納カートリッジ、制御回路、媒体装置(レコーダ及びプレーア)などを含み、
媒体カートリッジは非常に多数のカートリッジ記憶リセプタクル16の間を、移動システム17及び媒体装置(ドライブ、レコーダ、プレーアなどとも称される)20、21及び21Aの内の選択される1つにより転送され、
非互換な媒体カートリッジがいずれかのリセプタクル16に格納され、それぞれのリセプタクル及び適切な装置の間で移動され、
制御手段(周辺制御装置或いはホスト・プロセッサ11)30はマイクロプロセッサを含み、これはホスト・プロセッサ11との通信、及びサブシステム10のオペレーションの制御、及びこうしたサブシステムに通常関連する他の周知の機械オペレーションを担うプログラムを実行し、制御30は例えばキャビネット12などの1個のキャビネット内に存在することが好適であり、
カートリッジ移動手段は複数のトラベリング・エレベータ("ピッカ"とも称される)33-36を含み、
1対の離れた静的なレール37は、リセプタクル16及び装置20-21Aなどを有するキャビネット内の記憶ラックの開放面に沿ってピッカが移動することを移動式に指示し、
ピッカを移動し、カートリッジ・グリッパを制御する電気回路にパワー供給する電源は、通常にレール37上を伝送され、
制御及び状態信号は各ピッカと制御30の間を伝達され、赤外線(IR)通信システムを使用することにより、ピッカ上のケーブルのはい回しを減らすことも望ましく、
この目的のために、IRトランシーバ40-41が移動手段の終端に搭載され、
制御手段30は全てのトランシーバに電気的に接続され、全てのトランシーバとの間で制御及び状態情報を送受信し、
レール37上の単一のピッカ33、IRトランシーバ40、及びバー・コード・ワンド・リーダ53により、カートリッジ移動装置が構成される、
大型複数キャビネット複数媒体ライブラリ・データ記憶サブシステム10。」

原査定の拒絶の理由に引用された本願の優先日前に頒布された、特開2000-92606号公報(以下「引用例2」という。)には、図面とともに、次の技術事項が記載されている。
e)「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、生産設備等の移動機構において、軌道上を走行する移動体へ電力を供給する給電装置及び給電方法に係わり、特に、軌道上を高速で走行する高速移動体へ電力もしくは信号もしくはそれら両方の授受伝達に用いて有用な給電装置及び給電方法に関する。」(【0001】の記載。)

f)「【0026】本実施形態の給電装置において、図3に示すように、固定フレーム11の前面部には水平方向に沿って上下一対のガイドレール12が固定されており、この一対のガイドレール12に沿って移動体としての移動ベース13が移動自在に支持されている。また、固定フレーム11の一端には駆動モータ14によって駆動回転する駆動プーリ15が装着され、他端には従動プーリ16が装着され、この駆動プーリ15と従動プーリ16には無端の駆動ベルト17が掛け回されている。そして、この駆動ベルト17に移動ベース13が連結されることで、駆動モータ14を駆動すると駆動ベルト17が移動し、移動ベース13をガイドレール12に沿って移動することができる。」(【0026】の記載。)

g)「【0028】そして、固定フレーム11側に電力を供給する給電ユニット21が設けられる一方、移動ベース13側に給電ユニット21から電力を集電する集電ユニット22が設けられている。即ち、図1に示すように、給電ユニット21において、固定フレーム11にはガイドレール12と平行をなしてハウジング23が取付けられ、このハウジング23に形成された4つの溝にはそれぞれ給電バー24が取付けられている。なお、各給電バー24には図示しない電源部が接続されている。一方、集電ユニット22において、移動体13にはハウジング25がガイドロッド26によって給電バー24に対して接近離反自在に支持されると共に、スプリング27によって離間する方向に付勢支持されている。このハウジング25には4つの給電バー24に対向して集電部材としての4つの集電子28が装着され、スプリング29によって接近する方向に付勢支持されている。そして、移動ベース13には、集電子28を給電バー24に対して接触及び離脱させるために、ハウジング25を移動する接触離脱手段としてのアクチュエータ30が搭載され、プランジャ31の先端部がハウジング25に連結されている。
【0029】従って、アクチュエータ30への非通電状態では、図1に示すように、スプリング27によってハウジング25は移動ベース13に密着した位置にあり、各集電子28は給電バー24から離脱した位置に保持されている。そして、図2に示すように、アクチュエータ30へ通電すると、プランジャ31が突出してスプリング27の付勢力に抗してハウジング25を押圧して移動し、各集電子28を給電バー24に接触することができ、このとき、移動ベース13の移動ストロークの拘らず、スプリング29の付勢力により集電子28を給電バー24に所定の圧力で接触保持することができる。
【0030】また、図1に示すように、このアクチュエータ30には給電制御手段としてのコントローラ32が接続されており、このコントローラ32には移動ベース13の移動及び停止を検出する検出センサ33が接続されている。また、移動ベース13には充電ユニット34と整流ユニット35とバッテリ36とが搭載されており、充電ユニット34にコントローラ32が接続されている。
【0031】従って、検出センサ33が移動ベース13の停止を検出すると、コントローラ32はアクチュエータ30へ通電してハウジング25を移動し、各集電子28を給電バー24に接触すると共に、充電ユニット34を制御して給電バー24から集電子28を介して電力を充電し、整流ユニット35を介してバッテリ36に蓄電させることができる。」(【0028】?【0031】の記載。)

h)「【0036】一方、操作盤からコントローラ32に停止指令が入力されたり、移動ベース13が予め設定した位置に到達すると、コントローラ32は駆動モータ14を停止し、移動ベース13を所定の位置に停止する。このとき、検出センサ33は移動ベース13の停止を検出してコントローラ32に出力するため、図2に示すように、コントローラ32はアクチュエータ30へ通電し、ハウジング25を移動して各集電子28を給電バー24に接触させる。同時に、充電ユニット34を制御して給電バー24から集電子28を介して電力を充電し、整流ユニット35を介してバッテリ36に蓄電する。」(【0036】の記載。)

i)「【0046】そして、上述の実施形態では、集電子28が給電バー24から電力の給電を受けるものとしたが、この集電子28と給電バー24とを通信手段としてもよい。即ち、コントローラ32と充電ユニット34との間で制御信号を送信する手段として用いることもでき、電力と信号を併用することで、固定フレーム11側と移動ベース13側との配線が不要となり、設備を簡素化できる。」(【0046】の記載。)

してみると、引用例2には以下の発明が(以下「引用例2記載の発明」という。)が記載されている。
「軌道上を走行する移動体へ電力を供給する給電装置に係わり、
移動ベース13をガイドレール12に沿って移動することができ、
固定フレーム11側に電力を供給する給電ユニット21が設けられる一方、移動ベース13側に給電ユニット21から電力を集電する集電ユニット22が設けられ、
給電ユニット21において、固定フレーム11にはガイドレール12と平行をなしてハウジング23が取付けられ、このハウジング23に形成された4つの溝にはそれぞれ給電バー24が取付けられ、
集電ユニット22において、移動体13にはハウジング25がガイドロッド26によって給電バー24に対して接近離反自在に支持され、このハウジング25には4つの給電バー24に対向して集電部材としての4つの集電子28が装着され、
移動ベース13には、集電子28を給電バー24に対して接触及び離脱させるために、ハウジング25を移動する接触離脱手段としてのアクチュエータ30が搭載され、
このアクチュエータ30には給電制御手段としてのコントローラ32が接続されており、このコントローラ32には移動ベース13の移動及び停止を検出する検出センサ33が接続されており、
検出センサ33が移動ベース13の停止を検出すると、コントローラ32はアクチュエータ30へ通電してハウジング25を移動し、各集電子28を給電バー24に接触すると共に、充電ユニット34を制御して給電バー24から集電子28を介して電力を充電し、
操作盤からコントローラ32に停止指令が入力されたり、移動ベース13が予め設定した位置に到達すると、コントローラ32は駆動モータ14を停止し、移動ベース13を所定の位置に停止し、
この集電子28と給電バー24とを通信手段として、即ち、コントローラ32と充電ユニット34との間で制御信号を送信する手段として用いる、電力と信号を併用することで、固定フレーム11側と移動ベース13側との配線が不要となり、設備を簡素化できる、
給電装置。」
(2)対比
そこで、本願発明と引用例1記載の発明とを対比する。

あ)引用例1記載の発明の「大型複数キャビネット複数媒体ライブラリ・データ記憶サブシステム10」は、本願発明の「自動化されたデータ・ストレージ・ライブラリ」に相当する。

い)引用例1記載の発明の「キャビネット12-14」は、「媒体収納カートリッジ」などを含むものであるから、本願発明の「データ・ストレージ・カートリッジを収納する複数のストレージ棚」に相当する。

う)引用例1記載の発明の「媒体装置(ドライブ、レコーダ、プレーアなどとも称される)20、21及び21A」は、本願発明の「データ・ストレージ・カートリッジに対してデータを読み出しまたは書き込みもしくはその両方を行う少なくとも1つのデータ・ストレージ・ドライブ」に相当する。

え)本願の明細書段落【0047】には「図2、図3、および図4を参照すると、ライブラリの電源44は、バス・バー28および29に対して電力(交流ACまたは直流DCもしくはその両方)を供給してもよい。電源44は、当業者にとって既知の任意の適切な電源を備える。電力蓄積システム45は、バス・バー・リレーがバス・バー28および29を連結する場合に、バス・バー・リレー27を介して電力を受け取るように構成されている。」と記載されているから、本願発明の「バス・バー」は、「電力を供給」するものでもある。
一方、引用例1記載の発明において、「ピッカを移動し、カートリッジ・グリッパを制御する電気回路にパワー供給する電源は、通常にレール37上を伝送」されるものである。
したがって、引用例1記載の発明の「1対の離れた静的なレール37」は、本願発明の「バス・バー」に相当する。

お)本願の明細書【0021】には「複数のストレージ棚16に格納されたデータ・ストレージ・カートリッジにアクセスするためのロボット・アクセス機構18」と、本願の明細書【0034】には「ロボット・アクセス機構18は、アクセス機構通信インターフェース43を備える。」と、本願の明細書【0035】には「ロボット制御器33は、・・・アクセス機構通信インターフェース43を動作させて、バス・バー・リレー27と、バス・バー28および29とを介して、ライブラリ通信インターフェース48との通信機能を提供する」と記載されているから、本願発明の「バス・バーと通信するライブラリ通信インターフェース」は、「バス・バーを介してロボット・アクセス機構のアクセス機構通信インターフェースと通信するライブラリ通信インターフェース」を意味するものと認められる。
一方、引用例1記載の発明において、「カートリッジ移動手段は複数のトラベリング・エレベータ("ピッカ"とも称される)33-36を含」み、「制御及び状態信号は各ピッカと制御30の間を伝達され、」「赤外線(IR)通信システムを使用することにより、ピッカ上のケーブルのはい回しを減らす」ことができ、「IRトランシーバ40-41が移動手段の終端に搭載され、」「制御手段30は全てのトランシーバに電気的に接続され、全てのトランシーバとの間で制御及び状態情報を送受信」するものである。
したがって、引用例1記載の発明の「(カートリッジ)移動手段」は、本願発明の「ロボット・アクセス機構」に、引用例1記載の発明の「移動手段の終端に搭載され」た「IRトランシーバ40-41」は、本願発明の「ロボット・アクセス機構」に備えられた「アクセス機構通信インターフェース」にそれぞれ相当する。
また、引用例1記載の発明の「移動手段の終端に搭載され」た「IRトランシーバ40-41」「との間で制御及び状態情報を送受信」するための構成を「制御手段30」が有することは明らかであり、該構成は、本願発明の「バス・バーを介してロボット・アクセス機構のアクセス機構通信インターフェースと通信するライブラリ通信インターフェース」と「ロボット・アクセス機構のアクセス機構通信インターフェースと通信するライブラリ通信インターフェース」である点で共通する。

か)引用例1記載の発明の「カートリッジ移動手段」に含まれる、「トラベリング・エレベータ("ピッカ"とも称される)33-36」が、「媒体カートリッジは非常に多数のカートリッジ記憶リセプタクル16の間を、移動システム17及び媒体装置(ドライブ、レコーダ、プレーアなどとも称される)20、21及び21Aの内の選択される1つにより転送され、非互換な媒体カートリッジがいずれかのリセプタクル16に格納され、それぞれのリセプタクル及び適切な装置の間で移動」という動作を実現するものであることは明らかである。
したがって、引用例1記載の発明の「トラベリング・エレベータ("ピッカ"とも称される)33-36」は、本願発明の「ロボット・アクセス機構」に備えられた「ストレージ棚および前記少なくとも1つのデータ・ストレージ・ドライブに対して前記データ・ストレージ・カートリッジの少なくとも1つのアクセスおよび配送を行うピッカー」に相当する。

き)引用例1記載の発明は「ピッカを移動し、カートリッジ・グリッパを制御する電気回路」を有し、該電気回路に「パワー供給する電源は、」「通常にレール37上を伝送される」のであるから、前記「電気回路」は「カートリッジ移動手段」に設けられるものである。
したがって、引用例1記載の発明の「ピッカを移動し、カートリッジ・グリッパを制御する電気回路」は、本願発明の「ロボット・アクセス機構」に備えられた「ロボット・アクセス機構を移動させて、少なくとも前記ピッカーが前記少なくとも1つのデータ・ストレージ・カートリッジに対するアクセスおよび配送を行うように位置付けることができるようにピッカーを位置付ける駆動システム」に相当する。
また、引用例1記載の発明の前記「電気回路」は、本願発明の「ロボット・アクセス機構」に備えられた「前記ロボット・アクセス機構を移動させるように前記駆動システムを動作させ、前記少なくとも1つのデータ・ストレージ・カートリッジをアクセスおよび配送するように前記ピッカーを動作させ、前記ロボット・アクセス機構が静止している場合には、前記バス・バーを連結するように前記バス・バー・リレーを動作させ、前記バス・バー・リレーが前記バス・バーを連結している場合には、前記バス・バー・リレーおよび前記バス・バーを介して前記ライブラリ通信インターフェースとの通信機能を提供するように前記アクセス機構通信インターフェースを動作させるロボット制御器」と、「ロボット・アクセス機構」に備えられた「前記ロボット・アクセス機構を移動させるように前記駆動システムを動作させ、前記少なくとも1つのデータ・ストレージ・カートリッジをアクセスおよび配送するように前記ピッカーを動作させるロボット制御器」である点で共通する。

したがって両者は、
「自動化されたデータ・ストレージ・ライブラリであって、
データ・ストレージ・カートリッジを格納する複数のストレージ棚と、
前記データ・ストレージ・カートリッジに対してデータを読み出しまたは書き込みもしくはその両方を行う少なくとも1つのデータ・ストレージ・ドライブと、
バス・バーと、
ロボット・アクセス機構のアクセス機構通信インターフェースと通信するライブラリ通信インターフェースと、
ロボット・アクセス機構であって、
前記ストレージ棚および前記少なくとも1つのデータ・ストレージ・ドライブに対して前記データ・ストレージ・カートリッジの少なくとも1つのアクセスおよび配送を行うピッカーと、
前記ロボット・アクセス機構を移動させて、少なくとも前記ピッカーが前記少なくとも1つのデータ・ストレージ・カートリッジに対するアクセスおよび配送を行うように位置付けることができるようにピッカーを位置付ける駆動システムと、
アクセス機構通信インターフェースと、
前記ロボット・アクセス機構を移動させるように前記駆動システムを動作させ、前記少なくとも1つのデータ・ストレージ・カートリッジをアクセスおよび配送するように前記ピッカーを動作させるロボット制御器と
を備えている、前記ロボット・アクセス機構と
を備えている、前記自動化されたデータ・ストレージ・ライブラリ。」で一致し、次の点で相違する。

[相違点]
本願発明の「ライブラリ通信インターフェース」は「バス・バーを介してロボット・アクセス機構のアクセス機構通信インターフェースと通信する」ものであり、その「ロボット・アクセス機構」は「バス・バーを連結および開放するバス・バー・リレー」を備え、該「ロボット・アクセス機構」の「ロボット制御器」は「ロボット・アクセス機構が静止している場合」に「前記バス・バーを連結するように前記バス・バー・リレーを動作させ、前記バス・バー・リレーが前記バス・バーを連結している場合には、前記バス・バー・リレーおよび前記バス・バーを介して前記ライブラリ通信インターフェースとの通信機能を提供するように前記アクセス機構通信インターフェースを動作させる」ものであるのに対し、引用例1記載の発明の「ライブラリ通信インターフェース」は「バス・バーを介してロボット・アクセス機構のアクセス機構通信インターフェースと通信する」ものではなく、その「ロボット・アクセス機構」は「バス・バーを連結および開放するバス・バー・リレー」を備えるものではなく、該「ロボット・アクセス機構」の「ロボット制御器」は「ロボット・アクセス機構が静止している場合」に「前記バス・バーを連結するように前記バス・バー・リレーを動作させ、前記バス・バー・リレーが前記バス・バーを連結している場合には、前記バス・バー・リレーおよび前記バス・バーを介して前記ライブラリ通信インターフェースとの通信機能を提供するように前記アクセス機構通信インターフェースを動作させる」ものではない点。

(3)当審の判断
以下、上記相違点について検討する。
はじめに、引用例2記載の発明と本願発明の上記相違点に係る構成との対応について検討する。

く)引用例2記載の発明の「移動ベース13」は、「ガイドレール12に沿って移動する」ものであり、本願発明の「ロボット・アクセス機構」と「移動させ」られる「移動手段」である点で共通する。

け)引用例2記載の発明の「給電バー24」は、「給電バー24から集電子28を介して電力を充電」し「集電子28と給電バー24とを通信手段として」用いるものであるから、本願発明の「バス・バー」に相当する。

こ)引用例2記載の発明の「移動ベース13」に搭載される「アクチュエータ30」は、「集電子28を給電バー24に対して接触及び離脱させる」ものであるから、引用例2記載の発明の「集電子28」および「アクチュエータ30」は、本願発明の「ロボット・アクセス機構」に備えられる「バス・バーを連結および開放するバス・バー・リレー」に相当する。

さ)引用例2記載の発明の「コントローラ32」は「移動ベース13を所定の位置に停止」させ、「移動ベース13の停止を検出すると」「アクチュエータ30へ通電してハウジング25を移動し、各集電子28を給電バー24に接触すると共に、充電ユニット34を制御して給電バー24から集電子28を介して電力を充電し」、「この集電子28と給電バー24とを通信手段として」用いるものであるから、引用例2記載の発明の「コントローラ32」は、本願発明の「前記ロボット・アクセス機構を移動させるように前記駆動システムを動作させ、前記少なくとも1つのデータ・ストレージ・カートリッジをアクセスおよび配送するように前記ピッカーを動作させ、前記ロボット・アクセス機構が静止している場合には、前記バス・バーを連結するように前記バス・バー・リレーを動作させ、前記バス・バー・リレーが前記バス・バーを連結している場合には、前記バス・バー・リレーおよび前記バス・バーを介して前記ライブラリ通信インターフェースとの通信機能を提供するように前記アクセス機構通信インターフェースを動作させるロボット制御器」と「移動手段を移動させるように動作させ、前記移動手段が静止している場合には、前記バス・バーを連結するように前記バス・バー・リレーを動作させ、前記バス・バー・リレーが前記バス・バーを連結している場合には、前記バス・バー・リレーおよび前記バス・バーを介して通信機能を提供する制御器」である点で共通する。

したがって両者は、
「バス・バーと、
移動手段であって、
前記バス・バーを連結および開放するバス・バー・リレーと、
前記移動手段を移動させるように動作させ、前記移動手段が静止している場合には、前記バス・バーを連結するように前記バス・バー・リレーを動作させ、前記バス・バー・リレーが前記バス・バーを連結している場合には、前記バス・バー・リレーおよび前記バス・バーを介して通信機能を提供する制御器と
を備えている、前記移動手段。」で一致する。

そして、引用例1記載の発明と引用例2記載の発明は共に、軌道に沿って移動する移動手段に対して電力伝送および通信を行うものにおいて、配線を減らす技術に関するものであり、引用例1記載の発明においても引用例2記載の発明が有用かつ採用可能であることは明らかであるから、引用例1記載の発明に引用例2記載の発明を適用することに格別の困難性は認められない。

したがって、引用例1記載の発明に引用例2記載の発明を適用して、IRトランシーバに代えて、電力伝送を行うバス・バーにより、移動手段が停止している場合に通信を行うための構成を移動手段に設け、相違点に係る構成を得ることは、当業者が容易に想到し得たことである。

(4)むすび
以上のとおり、本願発明は、引用例1に記載された発明および引用例2に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、本願は、他の請求項について検討するまでもなく、拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2013-06-10 
結審通知日 2013-06-13 
審決日 2013-06-25 
出願番号 特願2006-284403(P2006-284403)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (G06F)
P 1 8・ 561- Z (G06F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 菅原 浩二  
特許庁審判長 小曳 満昭
特許庁審判官 五十嵐 努
山田 正文
発明の名称 自動化されたデータ・ストレージ・ライブラリ、ロボット通信システム、コンピュータ・プログラム、およびデータ・ストレージ・システム(自動化されたデータ・ストレージ・ライブラリのためのバースト通信)  
代理人 市位 嘉宏  
復代理人 松井 光夫  
代理人 太佐 種一  
代理人 上野 剛史  
復代理人 村上 博司  
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