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審決分類 審判 訂正 判示事項別分類コード:857 訂正する H04L
審判 訂正 ただし書き1号特許請求の範囲の減縮 訂正する H04L
管理番号 1281648
審判番号 訂正2013-390085  
総通号数 169 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2014-01-31 
種別 訂正の審決 
審判請求日 2013-06-07 
確定日 2013-10-24 
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第2132129号に関する訂正審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 特許第2132129号に係る明細書を本件審判請求書に添付された訂正明細書のとおり訂正することを認める。 
理由 第1.手続の経緯
本件の特許第2132129号は,平成4年7月3日(パリ条約による優先権主張 1991年7月9日 米国)の出願であって,平成7年11月15日に出願公告(特公平7-107987号)され,平成9年9月12日に設定登録がなされ,平成25年6月7日に本件訂正審判が請求されたものである。



第2.請求の趣旨
本件訂正審判の請求の趣旨は,特許第2132129号の明細書を本件請求書に添付した訂正明細書のとおり請求項ごと又は一群の請求項ごとに訂正することを認める,との審決を求めるものである。



第3.本件訂正の内容
本件訂正の内容は,次のとおりである。

1.訂正事項1
特許請求の範囲の訂正前の請求項1において,
「公称周波数および第1の位相を有する第1のクロック信号により指示される時刻に,(a)出て行く通信トラヒック(以下において「出行通信トラヒック」と称する)の送信,および(b)入って来る通信トラヒック(以下において「入来通信トラヒック」と称する)の受信,の少なくとも一方を行う第1のユニットと,」とあるうち,「(a)」および「,および(b)入って来る通信トラヒック(以下において「入来通信トラヒック」と称する)の受信,の少なくとも一方」を削除し,
同「前記公称周波数を有する第2のクロック信号によって指示される時刻に,受信された(a)入来通信トラヒック,および(b)出行通信トラヒック,の少なくとも一方を送信する第2のユニットと,」とあるのを,「前記公称周波数を有する第2のクロック信号によって指示される時刻に,受信された出行通信トラヒックを送信する第2のユニットと,」に訂正し,
同「(a)前記公称周波数を有し,かつ前記第1の位相から調節できるように固定された第1の量だけ転位させた第2の位相を有する第3のクロック信号によって指示された時刻に,第1のユニットから受信した出行通信トラヒックを第2のユニットに送ること,および(b)前記公称周波数を有し,かつ前記第1の位相から調節できるように固定された第2の量だけ転位させた第3の位相を有する第4のクロック信号によって指示された時刻に,第2のユニットから受信した入来通信トラヒックを第1のユニットに送ること,の少なくとも一方を行うことによって前記の第1および第2のユニット間の通信のインタフェースをとる第3のユニットと,」とあるのを,「前記公称周波数を有し,かつ前記第1の位相から調節できるように固定された第1の量だけ転位させた第2の位相を有する第3のクロック信号によって指示された時刻に,第1のユニットから受信した出行通信トラヒックを第2のユニットに送ることによって前記の第1および第2のユニット間の通信のインタフェースをとる第3のユニットと,」に訂正し,
同「前記第2のユニットを前記第3のユニットと接続し,それぞれ第2のユニットおよび第3のユニットによって受信のためにそれぞれ第3のユニットおよび第2のユニットに送られる通信トラヒック」とあるのを,「前記第2のユニットを前記第3のユニットと接続し,第3のユニットによって受信のために第2のユニットに送られる出行通信トラヒック」に訂正し,
同「(a)前記の受信された出行通信トラヒックの第2のユニットによる送信の時刻に先立つ第1の所定の時間枠の中で,第2のユニットが第3のユニットから出行通信トラヒックを受信するかどうかを判断する第1の手段,および(b)前記の受信された入来通信トラヒックの第3のユニットによる送信の時刻に先立つ第1の所定の時間枠の中で,第3のユニットが第2のユニットから入来通信トラヒックを受信するかどうかを判断する第2の手段のうちの少なくとも1つからなる遅延決定手段と,」とあるのを,「前記の受信された出行通信トラヒックの第2のユニットによる送信の時刻に先立つ第1の所定の時間枠の中で,第2のユニットが第3のユニットから出行通信トラヒックを受信するかどうかを判断する第1の手段からなる遅延決定手段と,」に訂正し,
同「第2のユニットにおける出行通信トラヒックの受信が第1の枠から外れていると判断するか,または第3のユニットにおける入来通信トラヒックの受信が第2の枠から外れていると判断した場合,これに応じて,前記の対応する枠から外れている受信を対応する枠の中に移すために,第2または第3の位相の第1の位相からの変位量を加減する第3の手段と」とあるのを,「第2のユニットにおける出行通信トラヒックの受信が第1の枠から外れていると判断した場合,これに応じて,前記の対応する枠から外れている受信を対応する枠の中に移すために,第2の位相の第1の位相からの第1の変位量を加減する第3の手段と」に訂正する。
(請求項1の記載を引用する訂正後の請求項2,3,6?8も同様に訂正する)。


2.訂正事項2
特許請求の範囲の訂正前の請求項1に
「出て行く通信トラヒック(以下において「出行通信トラヒック」と称する)」
とあるのを
「出て行く呼の音声通信トラヒック(以下において「出行通信トラヒック」と称する)」
に訂正する(請求項1の記載を引用する訂正後の請求項2,3,6?8も同様に訂正する)。


3.訂正事項3
特許請求の範囲の訂正前の請求項1に
「出行通信トラヒック,の少なくとも一方を送信する第2のユニットと,」
(訂正事項2により,当該記載部分は「出行通信トラヒックを送信する第2のユニット」となる。)
とあるのを
「出行通信トラヒックを無線電話に送信する第2のユニットと,」
に訂正する(請求項1の記載を引用する訂正後の請求項2,3,6?8も同様に訂正する)。


4.訂正事項4
特許請求の範囲の訂正前の請求項1に
「を伝送し,変動性の伝送遅延を有する通信媒体と,」
とあるのを
「を統計的に多重化されたパケットとして伝送し,変動性の伝送遅延を有する通信媒体と,」
に訂正する(請求項1の記載を引用する訂正後の請求項2,3,6?8も同様に訂正する)。


5.訂正事項5
特許請求の範囲の訂正前の請求項4,5,13,14を削除する。


6.訂正事項6
特許請求の範囲の訂正前の請求項6を
「【請求項6】 前記第3の手段が,通信の開始時に前記の第1の変位量を,1ステップに,対応する枠の外にある前記受信を対応する枠の中に移すのに必要な量だけ調整し,さらに通信中に前記の第1の変位量を,一連のステップにおいて各ステップ中に同じ所定量の整数倍だけ調整することを特微とする請求項1記載のシステム。」
に訂正する。


7.訂正事項7
特許請求の範囲の訂正前の請求項7を
「【請求項7】 前記第3の手段と連携して動作し,前記第2の位相の変位量が増大されている間は,第1のユニットから送信される出行通信トラヒックに付加的なトラヒックを挿入して第3のユニットに前記の付加的なトラヒックを受信させ,前記第2の位相の変位量が縮小されている間は,第3のユニットによって受信される出行通信トラヒックから第1のユニットによって送信される出行通信トラヒックの一部を削除する第4の手段をさらに備えたことを特徴とする請求項1記載のシステム。」
に訂正する。


8.訂正事項8
特許請求の範囲の訂正前の請求項8を
「【請求項8】 前記第1のユニットが,出行通信トラヒックのストリームを送信し,
前記第2のユニットが,出行通信トラヒックの送信のために出行通信トラヒックのパケットを受信し,前記第3のユニットが,
第1のユニットから出行通信トラヒックのストリームを受信し,これに応じて,受信した出行通信トラヒックをパケット化して,その受信した出行通信トラヒックの前記パケットを第2のユニットに前記第3のクロック信号によって指示される時刻に送信する第4の手段
を備え,
第2のユニットが第3のユニットから出行通信トラヒックのパケットを前記第1の所定の枠の範囲内で受信するかどうかを,前記第1の手段が判断することを特微とする請求項1記載のシステム。」
に訂正する。


9.訂正事項9
特許請求の範囲の訂正前の請求項10を
「【請求項10】 出行通信トラヒックの送信を行う第1のユニット,
受信された出行通信トラヒックを送信する第2のユニット,前記の第1および第2のユニットの間の通信のインタフェースを行う第3のユニット,
および変動性の伝送遅延を有し,前記第2のユニットを前記第3のユニットに接続する通信媒体を備えた通信システムにおいて;
公称周波数および第1の位相を有する第1のクロック信号によって指示される時刻に,第1のユニットからの出行通信トラヒックの送信を行うステップと;
受信された出行通信トラヒックを,前記公称周波数を有する第2のクロック信号によって指示される時刻に,第2のユニットから無線電話に送信するステップと;
第1のユニットによって送信された出行通信トラヒックを第3のユニットにおいて受信するサブステップに続いて,その第1のユニットから受信した出行通信トラヒックを,前記公称周波数を有し,かつ調節できるように固定された第1の量だけ前記第1の位相から変位した第2の位相を有する第3のクロック信号によって指示される時刻に第3のユニットから第2のユニットに送信するサブステップを行うステップと;
第3のユニットによって送信された出行通信トラヒックを,受信できるように前記通信媒体を介して第2のユニットに統計的に多重化されたパケットとして伝送するステップと;
前記の受信された出行通信トラヒックの第2のユニットによる送信の時刻に先立つ第1の所定の時間枠の範囲内に,第2のユニットが第3のユニットから出行通信トラヒックを受信するかどうかを判断するステップと;
第2のユニットにおける出行通信トラヒックの受信が前記第1の時間枠から外れていると判断した場合,これに応じて,対応する時間枠から外れている受信時刻を対応する時間枠に移すために,第2の位相の第1の位相からの変位量を加減するステップとを備えたことを特微とする通信システムの動作方法。」
に訂正する(請求項10の記載を引用する訂正後の請求項11,15も同様に訂正する)。


10.訂正事項10
特許請求の範囲の訂正前の請求項15を
「【請求項15】 前記の変位量を加減するステップが,通信の開始時に前記の第1の変位量を,1ステップに,対応する時間枠から外れている受信を対応する枠内に移すのに必要な量だけそれぞれ調節するステップと,
通信中に前記の第1の変位量を,一連のステップにおいて各ステップに同じ所定量の整数倍だけ調節するステップとからなることを特徴とする請求項10記載の方法。」
に訂正する。


11.訂正事項11
特許請求の範囲の訂正前の請求項16を
「【請求項16】 (a)出行通信トラヒックの送信および(b)入来通信トラヒックの受信の少なくとも一方を行う第1のユニット,受信された(a)入来通信トラヒックおよび(b)出行通信トラヒックの少なくとも一方を送信する第2のユニット,前記の第1および第2のユニットの間の通信のインタフェースを行う第3のユニット,および変動性の伝送遅延を有し,前記第2のユニットを前記第3のユニットに接続する通信媒体を備えた通信システムにおいて;公称周波数および第1の位相を有する第1のクロック信号によって指示される時刻に,(a)第1のユニットからの出行通信トラヒックの送信および(b)第1のユニットにおける入来通信トラヒックの受信の少なくとも一方を行うステップと;受信された(a)入来通信トラヒックおよび(b)出行通信トラヒックの少なくとも一方を,前記公称周波数を有する第2のクロック信号によって指示される時刻に,第2のユニットから送信するステップと;
(a)第1のユニットによって送信された出行通信トラヒックを第3のユニットにおいて受信するサブステップに続いて,その第1のユニットから受信した出行通信トラヒックを,前記公称周波数を有し,かつ調節できるように固定された第1の量だけ前記第1の位相から変位した第2の位相を有する第3のクロック信号によって指示される時刻に第3のユニットから第2のユニットに送信するサブステップを行うステップ,および
(b)第2のユニットにより送信された入来通信トラヒックを第3のユニットにおいて受信するサブステップに続いて,その第2のユニットから受信した入来通信トラヒックを,前記公称周波数を有し,かつ調節できるように固定された第2の量だけ前記第1の位相から変位した第3の位相を有する第4のクロック信号によって指示される時刻に第3のユニットから第1のユニットに送信するサブステップを実行するステップ
のうちの少なくとも1つのステップと;
(a)第3のユニットによって送信された出行通信トラヒックを,受信できるように前記通信媒体を介して第2のユニットに伝送するステップ,および
(b)第2のユニットによって送信された入来通信トラヒックを,受信できるように前記通信媒体を介して第3のユニットに伝送するステップ
のうちの少なくとも1つのステップと;
(a)前記の受信された出行通信トラヒックの第2のユニットによる送信の時刻に先立つ第1の所定の時間枠の範囲内に,第2のユニットが第3のユニットから出行通信トラヒックを受信するかどうかを判断するステップ,および
(b)前記の受信された入来通信トラヒックの第3のユニットによる送信の時刻に先立つ第2の所定の時間枠の範囲に,第3のユニットが第2のユニットから入来通信トラヒックを受信するかどうかを判断するステップ
のうちの少なくとも1つのステップと;第2のユニットにおける出行通信トラヒックの受信が前記第1の時間枠から外れていると判断するか,または第3のユニットにおける入来通信トラヒックの受信が前記第2の時間枠から外れていると判断した場合,これに応じて,対応する時間枠から外れている受信時刻を対応する時間枠に移すために,第2または第3の何れかの位相の第1の位相からの変位量を加減するステップとを備えた通信システムの動作方法であって,
第2の位相の変位量を増大させている間に,第1のユニットから送信された出行通信トラヒックに付加的なトラヒックを挿入して第3のユニットに前記の付加的なトラヒックを受信させるステップと;第2の位相の変位量を減少させている間に,第3のユニットによって受信される出行通信トラヒックから第1のユニットによって送信される出行通信トラヒックの一部を削除するステップと;第3の位相の変位量を増大させている間に,第3のユニットによって受信される入来通信トラヒックに付加的なトラヒックを挿入して,その付加的なトラヒックを第1のユニットに送るステップと;第3の位相の変位量を増大させている間に,第1のユニットによって送信される入来通信トラヒックから第3のユニットによって受信される入来通信トラヒックの一部を削除するステップとをさらに備えたことを特徴とする通信システムの動作方法。」
に訂正する。


12.訂正事項12
特許請求の範囲の訂正前の請求項17を
「【請求項17】 (a)出行通信トラヒックの送信および(b)入来通信トラヒックの受信の少なくとも一方を行う第1のユニット,受信された(a)入来通信トラヒックおよび(b)出行通信トラヒックの少なくとも一方を送信する第2のユニット,前記の第1および第2のユニットの間の通信のインタフェースを行う第3のユニット,および変動性の伝送遅延を有し,前記第2のユニットを前記第3のユニットに接続する通信媒体を備えた通信システムにおいて;公称周波数および第1の位相を有する第1のクロック信号によって指示される時刻に,(a)第1のユニットからの出行通信トラヒックの送信および(b)第1のユニットにおける入来通信トラヒックの受信の少なくとも一方を行うステップと;受信された(a)入来通信トラヒックおよび(b)出行通信トラヒックの少なくとも一方を,前記公称周波数を有する第2のクロック信号によって指示される時刻に,第2のユニットから送信するステップと;
(a)第1のユニットによって送信された出行通信トラヒックを第3のユニットにおいて受信するサブステップに続いて,その第1のユニットから受信した出行通信トラヒックを,前記公称周波数を有し,かつ調節できるように固定された第1の量だけ前記第1の位相から変位した第2の位相を有する第3のクロック信号によって指示される時刻に第3のユニットから第2のユニットに送信するサブステップを行うステップ,および
(b)第2のユニットにより送信された入来通信トラヒックを第3のユニットにおいて受信するサブステップに続いて,その第2のユニットから受信した入来通信トラヒックを,前記公称周波数を有し,かつ調節できるように固定された第2の量だけ前記第1の位相から変位した第3の位相を有する第4のクロック信号によって指示される時刻に第3のユニットから第1のユニットに送信するサブステップを実行するステップ
のうちの少なくとも1つのステップと;
(a)第3のユニットによって送信された出行通信トラヒックを,受信できるように前記通信媒体を介して第2のユニットに伝送するステップ,および
(b)第2のユニットによって送信された入来通信トラヒックを,受信できるように前記通信媒体を介して第3のユニットに伝送するステップのうちの少なくとも1つのステップと;
(a)前記の受信された出行通信トラヒックの第2のユニットによる送信の時刻に先立つ第1の所定の時間枠の範囲内に,第2のユニットが第3のユニットから出行通信トラヒックを受信するかどうかを判断するステヅプ,および(b)前記の受信された入来通信トラヒックの第3のユニットによる送信の時刻に先立つ第2の所定の時間枠の範囲に,第3のユニットが第2のユニットから入来通信トラヒックを受信するかどうかを判断するステップ
のうちの少なくとも1つのステップと;第2のユニットにおける出行通信トラヒックの受信が前記第1の時間枠から外れていると判断するか,または第3のユニットにおける入来通信トラヒックの受信が前記第2の時間枠から外れていると判断した場合,これに応じて,対応する時間枠から外れている受信時刻を対応する時間枠に移すために,第2または第3の何れかの位相の第1の位相からの変位量を加減するステップとを備えた通信システムの動作方法であって,
前記第1のユニットが,出行通信トラヒックのストリームの送信および入来通信トラヒックのストリームの受信を行い,前記第2のユニットが,受信した入来通信トラヒックのパケットの送信および出行通信トラヒックの送信のための出行通信トラヒックのパケットの受信を行う通信システムにおいて,
第1のユニットによって送信された出行通信トラヒックを第3のユニットにおいて受信するサブステップが,
第1のユニットから前記出行通信トラヒックのストリームを受信するサブステップと,
前記の受信した出行通信トラヒックをパケット化するサブステップとからなり,
第3のユニットから第2のユニットに送信するサブステップが,前記の受信した出行通信トラヒックのパケットを前記第3のクロック信号によって指示される時刻に第2のユニットに送るサブステップからなり,
第2のユニットにより送信された入来通信トラヒックを第3のユニットにおいて受信するサブステップが,
第2のユニットから前記入来通信トラヒックのパケットを受信するサブステップと,
前記の受信した入来通信トラヒックを非パケット化するサブステップとからなり,
第3のユニットから第1のユニットに送信するサブステップが,前記の受信し非パケット化した入来通信トラヒックを前記第4のクロック信号によって指示される時刻に第1のユニットに向けて送信するサブステップからなり,
第2のユニットが第3のユニットから出行通信トラヒックを受信するかどうかを判断するステップが,第2のユニットが第3のユニットから出行通信トラヒックのパケットを前記第1の所定の時間枠の範囲内に受信するかどうかを判断するステップからなり,
第3のユニットが第2のユニットから入来通信トラヒックを受信するかどうかを判断するステップが,第3のユニットが第2のユニットから入来通信トラヒックのパケットを前記第2の所定の時間枠の範囲内に受信するかどうかを判断するステップからなることを特微とする通信システムの動作方法。」
に訂正する。


13.訂正事項13
特許請求の範囲の請求項19として
「【請求項19】 公称周波数および第1の位相を有する第1のクロック信号により指示される時刻に,入って来る呼の音声通信トラヒック(以下において「入来通信トラヒック」と称する)の受信を行う第1のユニットと,
前記公称周波数を有する第2のクロック信号によって指示される時刻に,無線電話から受信された入来通信トラヒックを送信する第2のユニットと,
前記公称周波数を有し,かつ前記第1の位相から調節できるように固定された第2の量だけ転位させた第3の位相を有する第4のクロック信号によって指示された時刻に,第2のユニットから受信した入来通信トラヒックを第1のユニットに送ることによって前記の第1および第2のユニット間の通信のインタフェースをとる第3のユニットと,
前記第2のユニットを前記第3のユニットと接続し,第2のユニットによって受信のために第3のユニットに送られる入来通信トラヒックを統計的に多重化されたパケットとして伝送し,変動性の伝送遅延を有する通信媒体と,
前記の受信された入来通信トラヒックの第3のユニットによる送信の時刻に先立つ第2の所定の時間枠の中で,第3のユニットが第2のユニットから入来通信トラヒックを受信するかどうかを判断する第2の手段からなる遅延決定手段と,
第3のユニットにおける入来通信トラヒックの受信が第2の枠から外れていると判断した場合,これに応じて,前記の対応する枠から外れている受信を対応する枠の中に移すために,第3の位相の第1の位相からの第2の変位量を加減する第3の手段とを備えたことを特徴とする通信システム。」
を追加する。


14.訂正事項14
特許請求の範囲の請求項20として
「【請求項20】 第3のユニットにおける入来通信トラヒックの受信が前記第2の時間枠より遅れていると第2の手段が判断した場合,これに応じて,前記第3の手段が,前記第1の位相からの前記第3の位相の変位量を大きくすることを特微とする請求項19記載のシステム。」
を追加する。


15.訂正事項15
特許請求の範囲の請求項21として
「【請求項21】 第3のユニットにおける入来通信トラヒックの受信が前記第2の時間枠より進んでいると第2の手段が判断した場合,これに応じて,前記第3の手段が,前記第1の位相からの前記第3の位相の変位量を小さくすることを特微とする請求項20記載のシステム。」
を追加する。


16.訂正事項16
特許請求の範囲の請求項22として
「【請求項22】 前記第3の手段が,通信の開始時に前記の第2の変位量を,1ステップに,対応する枠の外にある前記受信を対応する枠の中に移すのに必要な量だけ調整し,さらに通信中に前記の第2の変位量を,一連のステップにおいて各ステップ中に同じ所定量の整数倍だけ調整することを特徴とする請求項19記載のシステム。」
を追加する。


17.訂正事項17
特許請求の範囲の請求項23として
「【請求項23】 前記第3の手段と連携して動作し,前記第3の位相の変位量が増大されている間は,第3のユニットによって受信される入来通信トラヒックに付加的なトラヒックを挿入して,その付加的なトラヒックを第1のユニットに送り,前記第3の位相の変位量が縮小されている間は,第1のユニットに送信される入来通信トラヒックから第3のユニットによって受信される入来通信トラヒックの一部を削除する第4の手段をさらに備えたことを特徴とする請求項19記載のシステム。」
を追加する。


18.訂正事項18
特許請求の範囲の請求項24として
「【請求項24】 前記第1のユニットが,入来通信トラヒックのストリームを受信し,
前記第2のユニットが,受信した入来通信トラヒックのパケットを送信し,前記第3のユニットが,
第2のユニットから入来通信トラヒックのパケットを受信し,これに応じて,
その受信した入来通信トラヒックのパケットを非パケット化して,その受信し非パケット化した入来通信トラヒックを第1のユニットに向けて第4のクロック信号によって指示される時刻に送信する第5の手段を備え,
第3のユニットが第2のユニットから入来通信トラヒックのパケットを前記第2の所定の枠の範囲内で受信するかどうかを,前記第2の手段が判断することを特徴とする請求項19記載のシステム。」
を追加する。


19.訂正事項19
特許請求の範囲の請求項25として
「【請求項25】 入来通信トラヒックの受信を行う第1のユニット,受信された入来通信トラヒックを送信する第2のユニット,前記の第1および第2のユニットの間の通信のインタフェースを行う第3のユニット,および変動性の伝送遅延を有し,前記第2のユニットを前記第3のユニットに接続する通信媒体を備えた通信システムにおいて;
公称周波数および第1の位相を有する第1のクロック信号によって指示される時刻に,第1のユニットにおける入来通信トラヒックの受信を行うステップと;
無線電話から受信された入来通信トラヒックを,前記公称周波数を有する第2のクロック信号によって指示される時刻に,第2のユニットから送信するステップと;
第2のユニットにより送信された入来通信トラヒックを第3のユニットにおいて受信するサブステップに続いて,その第2のユニットから受信した入来通信トラヒックを,前記公称周波数を有し,かつ調節できるように固定された第2の量だけ前記第1の位相から変位した第3の位相を有する第4のクロック信号によって指示される時刻に第3のユニットから第1のユニットに送信するサブステップを実行するステップと;
第2のユニットによって送信された入来通信トラヒックを,受信できるように前記通信媒体を介して第3のユニットに統計的に多重化されたパケットとして伝送するステップと;
前記の受信された入来通信トラヒックの第3のユニットによる送信の時刻に先立つ第2の所定の時間枠の範囲に,第3のユニットが第2のユニットから入来通信トラヒックを受信するかどうかを判断するステップと;
第3のユニットにおける入来通信トラヒックの受信が前記第2の時間枠から外れていると判断した場合,これに応じて,対応する時間枠から外れている受信時刻を対応する時間枠に移すために,第3の位相の第1の位相からの変位量を加減するステップとを備えたことを特徴とする通信システムの動作方法。」
を追加する。


20.訂正事項20
特許請求の範囲の請求項26として
「【請求項26】 前記の変位量を加減するステップが,第3のユニットにおける入来通信トラヒックの受信時刻が第2の時間枠より遅れているとの判断に応じて,第1の位相からの第3の位相の変位量を増大させるステップからなることを特微とする請求項25記載の方法。」
を追加する。


21.訂正事項21
特許請求の範囲の請求項27として
「【請求項27】 前記の変位量を加減するステップが,第3のユニットにおける入来通信トラヒックの受信時刻が第2の時間枠より進んでいるとの判断に応じて,第1の位相からの第3の位相の変位量を減少させるステップをさらに含むことを特徴とする請求項26記載の方法。」
を追加する。


22.訂正事項22
特許請求の範囲の請求項28として
「【請求項28】 前記の変位量を加減するステップが,通信の開始時に前記の第2の変位量を,1ステップに,対応する時間枠から外れている受信を対応する枠内に移すのに必要な量だけそれぞれ調節するステップと,
通信中に前記の第2の変位量を,一連のステップにおいて各ステップに同じ所定量の整数倍だけ調節するステップとからなることを特微とする請求項25記載の方法。」
を追加する。



第4.当審の判断
以下,訂正の目的の適否,新規事項の有無,及び特許請求の範囲の拡張・変更の存否について検討する。

1.訂正事項1?4について
訂正事項1?4は,特許請求の範囲の請求項1についての訂正事項である。

(1)訂正事項1について
訂正前の特許請求の範囲の請求項1は次のとおりである。
【請求項1】 公称周波数および第1の位相を有する第1のクロック信号により指示される時刻に,(a)出て行く通信トラヒック(以下において「出行通信トラヒック」と称する)の送信,および(b)入って来る通信トラヒック(以下において「入来通信トラヒック」と称する)の受信,の少なくとも一方を行う第1のユニットと,
前記公称周波数を有する第2のクロック信号によって指示される時刻に,受信された(a)入来通信トラヒック,および(b)出行通信トラヒック,の少なくとも一方を送信する第2のユニットと,
(a)前記公称周波数を有し,かつ前記第1の位相から調節できるように固定された第1の量だけ転位させた第2の位相を有する第3のクロック信号によって指示された時刻に,第1のユニットから受信した出行通信トラヒックを第2のユニットに送ること,および(b)前記公称周波数を有し,かつ前記第1の位相から調節できるように固定された第2の量だけ転位させた第3の位相を有する第4のクロック信号によって指示された時刻に,第2のユニットから受信した入来通信トラヒックを第1のユニットに送ること,の少なくとも一方を行うことによって前記の第1および第2のユニット間の通信のインタフェースをとる第3のユニットと,
前記第2のユニットを前記第3のユニットと接続し,それぞれ第2のユニットおよび第3のユニットによって受信のためにそれぞれ第3のユニットおよび第2のユニットに送られる通信トラヒックを伝送し,変動性の伝送遅延を有する通信媒体と,
(a)前記の受信された出行通信トラヒックの第2のユニットによる送信の時刻に先立つ第1の所定の時間枠の中で,第2のユニットが第3のユニットから出行通信トラヒックを受信するかどうかを判断する第1の手段,および
(b)前記の受信された入来通信トラヒックの第3のユニットによる送信の時刻に先立つ第1の所定の時間枠の中で,第3のユニットが第2のユニットから入来通信トラヒックを受信するかどうかを判断する第2の手段
のうちの少なくとも1つからなる遅延決定手段と,
第2のユニットにおける出行通信トラヒックの受信が第1の枠から外れていると判断するか,または第3のユニットにおける入来通信トラヒックの受信が第2の枠から外れていると判断した場合,これに応じて,前記の対応する枠から外れている受信を対応する枠の中に移すために,第2または第3の位相の第1の位相からの変位量を加減する第3の手段とを備えたことを特徴とする通信システム。

当該記載によれば,「(a)・・・,および(b)・・・,の少なくとも一方」の記載からみて,訂正前の請求項1では,出行通信トラヒックに関する構成,入来通信トラヒックに関する構成の少なくとも一方,すなわち,(i)「出行通信トラヒック」に関する構成のみ,(ii)「入来通信トラヒック」に関する構成のみ,(iii)「出行通信トラヒック」に関する構成及び「入来通信トラヒック」に関する構成の3態様を包含していたと認められる。
ここで,訂正前の請求項1の2段落目に「前記公称周波数を有する第2のクロック信号によって指示される時刻に,受信された(a)入来通信トラヒック,および(b)出行通信トラヒック,の少なくとも一方を送信する第2のユニット」と記載されており,「(a)」及び「(b)」と「出行通信トラヒック」及び「入来通信トラヒック」との関係がその他の段落のものと異なっているが,各段落の技術内容は,入来通信トラヒック(いわゆる逆方向リンクの通信トラフィックと認められる。)ごと,出行通信トラヒック(いわゆる順方向リンクの通信トラフィックと認められる。)ごとに関係することは当業者に自明であるから,「(a)」,「(b)」は単に2つの選択肢を区別のためのものであって,特段の意味はないことは明らかである。
そして,訂正事項1は,上記3態様の選択肢のうち「出行通信トラヒック」に関する構成のみに限定するものであるから,択一的記載の要素の削除ということができ,特許請求の範囲の減縮に該当する。また,訂正事項1は,出願当初の明細書の範囲内のものであり,実質上特許請求の範囲を拡張し,又は変更するものでもないことも明らかである。

(2)訂正事項2について
訂正事項2は,訂正前の請求項1では「通信トラヒック」としていたものを「呼の音声通信トラヒック」として限定するものであるから,特許請求の範囲の減縮に該当する。

また,特許明細書には以下の記載がある。
【0038】・・・水準2のプロトコルによって伝達される水準3のプロトコルのデータ単位は,一般にパケットと称し,水準2のプロトコルのデータ単位は,一般にフレームと称する。・・・DCS201からチャネル要素245へと出て行くパケット350の場合,パケット番号は,新たな各呼の開始時に0で始まる。チャネル要素245からDCS201に入って来るパケット350の場合,パケット番号は,全ての移動電話203およびセル202が同期しているマスター・タイミング信号から得られる。・・・音声/信号タイプのフィールド326により,パケット350によって伝達される情報の種類---音声トラヒックのみか,音声と信号か,または信号のみか---が識別される。そして,音声/信号データ・フィールド327により,呼の音声トラヒック,信号情報,または両者の混合体がチャネル要素245との間で伝達される。
【0055】・・・逆方向の場合,ボコーダ604は,160バイトのCPM音声標本を受信し,それに対し音声圧縮関数を実行して,圧縮された音声のトラヒック・フレームをバッファ603を介してプロセッサ602に規則的な間隔で(20ミリ秒ごとに)出力する。・・・
【0074】ボコーダ604から受信されたトラヒック・フレーム(音声情報の区分)についてプロセッサ602によって実行される関数を図15に示す。・・・
【0120】・・・ここで,図2のシステム全体に渡って呼経路が完全に確立され,呼トラヒックを収容するパケットが,選択されたチャネル要素245と呼の発信元との間をサービス回路612を通して流れることができる。

以上の記載によれば,第1のユニット,第2のユニット,第3のユニット間で送受信される「通信トラヒック」が「呼の音声通信トラヒック」であることは明らかである。
したがって,訂正事項2は,出願当初の明細書の範囲内のものであり,実質上特許請求の範囲を拡張し,又は変更するものでもないことも明らかである。

(3)訂正事項3について
訂正事項3は,訂正前の請求項1では特定されていなかった,第2のユニットによる出行通信トラヒックの「送信」を,「無線電話に」対して行うことに限定するものであるから,特許請求の範囲の減縮に該当する。
また,【0038】の「DCS201からチャネル要素245へと出て行くパケット350の場合,パケット番号は,新たな各呼の開始時に0で始まる。チャネル要素245からDCS201に入って来るパケット350の場合,パケット番号は,全ての移動電話203およびセル202が同期しているマスター・タイミング信号から得られる。」の記載によれば,「出行通信トラヒック」とは,いわゆる順方向リンクの通信トラフィックと認められ,第1のユニットに相当するボコーダ604→第3のユニットに相当するプロセッサ602→第2のユニットに相当するチャネル要素245→移動電話203に送信されるものであるから,出願当初の明細書の範囲内のものであり,実質上特許請求の範囲を拡張し,又は変更するものでもないことも明らかである。

(4)訂正事項4について
訂正事項4は,訂正前の請求項1では特定されていなかった,「通信トラヒックの伝送」を,「統計的に多重化されたパケットとして」行うことを限定するものであるから,特許請求の範囲の減縮に該当する。

また,特許明細書には以下の記載がある。
【0013】以下における説明用の実施例の説明では,水準3の「パケット」と水準2の「フレーム」を区別するが,分かりやすくするために,本文および特許請求の範囲において「パケット]という用語を使用する場合,「パケット」および「フレーム」の何れか,または両方を含むものとする。
【0030】・・・まず,個々のセル202が,DCS201の1つ以上のセル相互接続モジュール(CIM)209にトランク207によって接続される。さらに,個々のDCS201のセル相互接続モジュール209が,そのDCS201の各音声符号器モジュール(SCM)220に光ファイバ光学的パケット交換トランク210によってそれぞれ接続される。・・・
【0038】図9は,呼のトラヒック,信号またはその両方を伝えるために使用されるプロトコル350であり,一方,図10は,専ら特別な種類の信号を伝えるプロトコル351である。プロトコル350および351は,共に図7および8のフレームによって実現される。水準2のプロトコルによって伝達される水準3のプロトコルのデータ単位は,一般にパケットと称し,水準2のプロトコルのデータ単位は,一般にフレームと称する。・・・
【0040】セルラ・コントローラ244により,複数のチャネル要素245がTDMバス140に結合される。各クラスタ・コントローラ244は,割り当てられた入力および出力の「パイプ」を通してTDMバス140上で通信を行う。この割り当ては,管理が可能で,一般にシステムの初期化の際に行われる。具体的には,各「パイプ」によって,TDMバス140上に複数(例えば4つ)のタイムスロット(即ち,4つの64Kbpsのチャネル)が形成される。・・・クラスタ・コントローラ244の動作の結果として,それらが送受信したフレームは,TDMバス140上に統計的に多重化され,これによって,TDMバス140の帯域幅のトラヒック処理能力は,他の伝送方式を超えて大幅に増大する。
【0044】図3のセル202において,DS1インタフェース242は,通常の機能を果たす。即ち,TDMバス140から64Kbpsのタイムスロットを収集して,それらをトランク207で伝送するためにDS1フォーマットに多重化し,またこの逆の処理も行う。・・・クラスタ・コントローラ244が果たす機能を考察すると,フレームはトランク207上に統計的に多重化され,・・・即ち,DS1設備に関しては24の独立したDS0チャネルからなるのに対し,この場合の各設備は,それぞれ1つ以上のDS0チャネルの帯域幅からなる多数の独立した「パイプ」からなる。単一のクラスタ・コントローラ244によって生成されるLAPDフレームまたはこれを宛先とするLAPDフレームが,これらのパイプの各々によって伝達される。これにより,トランク207によって与えられる帯域幅のトランク処理容量は,通常の回路交換方式のような他の伝送方式より大いに増大する。・・・
【0045】・・・汎用DS1インタフェース252により,トランク207がLANバス250に接続される。・・・DS1トランク・インタフェース442は,集中ハイウェイ400から64Kbpsのタイムスロットを収集し,逆HDLCフォーマット(図3のセル202に関連して説明済み)を逆にして正常に戻し,さらにそのデータをトランク207上に送るためにDS1フォーマットへと多重化する機能およびその逆の機能を果たす。
【0046】・・・逆方向の場合,PPE401は,基板アドレス311を知るために,LANバス250上に送られた変形LAPDフレーム310を調べる。PPEは,求めるアドレス311を持つフレームを全て受信し,フレーム310からアドレス311および312を取り除き,それらをフラグ・フィールド301で置き換えてLAPDフレーム300を形成し,さらにそのフレーム300を集中ハイウェイ400上に送る。・・・
【0048】・・・拡張インタフェース253と同様の機能を有する拡張インタフェース263によって,セル相互接続モジュール209からのファイバ・トランク210が,LANバス260に接続される。・・・
【0049】・・・セル相互接続モジュール209の拡張インタフェース253によって各フレーム310の前に付けられた基板アドレス311に基づいて,各音声処理ユニット264が,それにアドレス指定されたフレーム310を受信し,それらの内容のパケット化を解除し(即ち,それらのプロトコルを終了させる),受信された各フレームの内容について音声伸張を含む種々の処理機能を果たし,さらに処理されたフレームの内容を1つ1つの呼ごとに割り当てられたタイムスロットにTDMバス130上に送り出す。逆方向の場合,音声処理ユニット264は,1つ1つの呼ごとに割り当てられたタイムスロットにTDMバス130上の情報を受信し,それを基に音声圧縮を含む種々の処理機能を果たし,処理された情報をパケット化し,特定のセル202の特定のチャネル要素245を特定するDLCI302を各フレームに含め,LANバス260上のそのフレームの受信先を特定する基板アドレス311およびポート・アドレス312を各フレームの前に付けて,そのフレーム310をLANバス260上に送り出す。
【0050】セル相互接続モジュール209および音声符号器モジュール220の動作の結果として,それらの間で伝送中のフレーム310は,トランク210上に統計的に多重化され,このトランク上でフレーム中継されるので,トランク210によって与えられる帯域幅のトラヒック伝送容量は,回路交換などの他の伝送方式を超えて大いに増大する。
【0075】・・・次に,ステップ1232において,書式化されたトラヒック・フレームをLAPDフレーム・フォーマットで包んで,LAPDフレーム300(図7参照)を形成する。これには,その呼の移動電話に向かう方向に関係付けられたDLCIで,且つその呼をサービスしている特定のセル202(図3参照)の特定のチャネル要素245を特定するものを取り出して,そのDLCIをLAPDフレーム300に含めることも含まれる。・・・

以上の記載及び図1?図6の記載によれば,音声のトラヒック・フレームは,ボコーダ604からプロセッサ602に出力され(【0055】),プロセッサ602においてLAPDフレーム300が形成される(【0075】)。プロセッサ602を構成要素として含む音声処理ユニット264は,受信先を特定する基板アドレス311等を各フレームの前に付けたフレーム310をLANバス260上に送り出す(【0049】)。LANバス260は,拡張インタフェース263によってファイバ・トランク210と接続され(【0048】),拡張インタフェース263は,各フレーム310の前に基板アドレス311を付ける(【0049】)。ここで,音声符号器モジュール220とセル相互接続モジュール209との間で伝送中のフレーム310は,トランク210上に統計的に多重化される(【0050】)。セル相互接続モジュール209の汎用DS1インタフェース252に設けられたPPE401は,求めるアドレス311を持つフレームを全て受信し(【0046】),フレーム310からアドレス311等を取り除いてLAPDフレーム300を形成し,これを汎用DS1インタフェース252の集中ハイウェイ400上に送る(【0046】)。汎用DS1インタフェース252に設けられたDS1トランク・インタフェース442は,集中ハイウェイ400のデータをDS1フォーマットヘと多重化し,DCS201のセル相互接続モジュール(CIM)209のLANバス250とセル202とを接続するトランク207上に送る(【0045】,【0030】)。セル202において,DS1インタフェース242は,トランク207上に統計的に多重されたフレームを受信し,TDMバス140に伝送し(【0044】),クラスタ・コントローラ244が送信したフレームはTDMバス140上に統計的に多重化される(【0040】)。
すなわち,第2のユニット(チャネル要素245)を第3のユニット(プロセッサ602)と接続する通信媒体(トランク210,207)が,「通信トラヒックの伝送」を「統計的に多重化されたフレームとして」行うことが記載されている。
ここで,上記【0013】,【0038】及び図7?図10,図15の記載によれば,水準2のフレームはそのデータフィールド304に水準3のパケットを含んでいるから,統計的に多重化されたフレームとして伝送することは,統計的に多重化されたパケットとして伝送するともいえることは明らかである。したがって,トランク210,207が「統計的に多重化されたパケットとして伝送し,変動性の伝送遅延を有する通信媒体」に相当するということができる。
したがって,訂正事項4は,出願当初の明細書の範囲内のものであり,実質上特許請求の範囲を拡張し,又は変更するものでもないことも明らかである。

(5)独立特許要件について
本件訂正前の請求項1に係る発明は,拒絶の理由を発見しないとして特許査定をされたものであって,当該事情を変更する新たな事由もないことから,本件訂正後の請求項1に係る発明についても,特許出願の際に独立して特許を受けることができるものである。

以上のとおりであるから,訂正事項1?4は,特許法第126条第1項ただし書き第1号に掲げる事項を目的とし,かつ,同条第5項,第6項及び第7項の規定に適合する。


2.訂正事項5について
訂正事項5は,特許請求の範囲の請求項4,5,13,14についての訂正事項である。
訂正事項5は,訂正前の請求項4,5,13,14を削除するものであるから,特許請求の範囲の減縮に該当する。そして,出願当初の明細書の範囲内のものであり,実質上特許請求の範囲を拡張し,又は変更するものでもないことも明らかである。
したがって,訂正事項5は,特許法第126条第1項ただし書き第1号に掲げる事項を目的とし,かつ,同条第5項及び第6項の規定に適合する。


3.訂正事項6?8について
訂正事項6,7,8は,それぞれ特許請求の範囲の請求項6,7,8についての訂正事項である。
訂正事項6,7,8は,訂正事項1により訂正前の請求項1が包含していた3つの選択肢を「出行通信トラヒック」に関する構成のみに限定したことに伴い,請求項1を引用する請求項6,7,8においても「出行通信トラヒック」に関する構成のみに限定するものであるから,特許請求の範囲の減縮に該当する。また,訂正事項6,7,8は,出願当初の明細書の範囲内のものであり,実質上特許請求の範囲を拡張し,又は変更するものでもないことも明らかである。
更に,本件訂正前の請求項6,7,8に係る発明は,拒絶の理由を発見しないとして特許査定をされたものであって,当該事情を変更する新たな事由もないことから,本件訂正後の請求項6,7,8に係る発明についても,特許出願の際に独立して特許を受けることができるものである。
以上のとおりであるから,訂正事項6?8は,特許法第126条第1項ただし書き第1号に掲げる事項を目的とし,かつ,同条第5項,第6項及び第7項の規定に適合する。


4.訂正事項9について
訂正事項9は,特許請求の範囲の請求項10についての訂正事項である。
訂正事項9は,方法の発明である訂正前の請求項1とカテゴリー違いの装置の発明として表現された訂正前の請求項10について,訂正事項1?4と同様の内容の訂正を行うものであるから,特許請求の範囲の減縮に該当する。
また,訂正事項9は,訂正事項1?4と同様に,出願当初の明細書の範囲内のものであり,実質上特許請求の範囲を拡張し,又は変更するものでもないことも明らかである。
更に,本件訂正前の請求項10に係る発明は,拒絶の理由を発見しないとして特許査定をされたものであって,当該事情を変更する新たな事由もないことから,本件訂正後の請求項10に係る発明についても,特許出願の際に独立して特許を受けることができるものである。
以上のとおりであるから,訂正事項9は,特許法第126条第1項ただし書き第1号に掲げる事項を目的とし,かつ,同条第5項,第6項及び第7項の規定に適合する。


5.訂正事項10について
訂正事項10は,特許請求の範囲の請求項15についての訂正事項である。
訂正事項10は,訂正事項9により訂正前の請求項10が包含していた3つの選択肢を「出行通信トラヒック」に関する構成のみに限定したことに伴い,請求項10を引用する請求項15においても「出行通信トラヒック」に関する構成のみに限定するものであるから,特許請求の範囲の減縮に該当する。また,訂正事項10は,出願当初の明細書の範囲内のものであり,実質上特許請求の範囲を拡張し,又は変更するものでもないことも明らかである。
更に,本件訂正前の請求項15に係る発明は,拒絶の理由を発見しないとして特許査定をされたものであって,当該事情を変更する新たな事由もないことから,本件訂正後の請求項15に係る発明についても,特許出願の際に独立して特許を受けることができるものである。
以上のとおりであるから,訂正事項10は,特許法第126条第1項ただし書き第1号に掲げる事項を目的とし,かつ,同条第5項,第6項及び第7項の規定に適合する。


6.訂正事項11,12について
訂正事項11,12は,それぞれ特許請求の範囲の請求項16,17についての訂正事項である。
訂正事項11,12は,訂正前の請求項16,17が訂正前の請求項10を引用していたのを,請求項16,17に訂正前の請求項10の記載を追加することによって独立請求項とするものであるから,他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすることに該当する。そして,訂正事項11,12は,出願当初の明細書の範囲内のものであり,実質上特許請求の範囲を拡張し,又は変更するものでもないことも明らかである。
したがって,訂正事項11,12は,特許法第126条第1項ただし書き第4号に掲げる事項を目的とし,かつ,同条第5項及び第6項の規定に適合する。


7.訂正事項13について
上記「1.」の「(1)訂正事項1について」のとおり,訂正前の請求項1では,出行通信トラヒックに関する構成,入来通信トラヒックに関する構成の少なくとも一方,すなわち,(i)「出行通信トラヒック」に関する構成のみ,(ii)「入来通信トラヒック」に関する構成のみ,(iii)「出行通信トラヒック」に関する構成及び「入来通信トラヒック」に関する構成の3態様を包含していたと認められるところ,訂正事項1により請求項1が(i)「出行通信トラヒック」に関する構成のみに限定されたことに伴い,訂正事項13は,訂正前の請求項1を(ii)「入来通信トラヒック」に関する構成のみに限定して新たに請求項19として追加するものである。
また,訂正事項13は,訂正事項2と同様に,訂正前の請求項1では「通信トラヒック」としていたものを「呼の音声通信トラヒック」として限定するものである。
また,訂正事項13は,訂正事項3と同様に,訂正前の請求項1では特定されていなかった,第2のユニットによる入来通信トラヒックの「受信」を,「無線電話から」受信されたことに限定するものである。
更に,訂正事項13は,訂正事項4と同様に,訂正前の請求項1では特定されていなかった,「通信トラヒックの伝送」を,「統計的に多重化されたパケットとして」行うことを限定するものである。
したがって,訂正事項13は,特許請求の範囲の減縮に該当する。

そして,上記「1.」の「(1)訂正事項1について」及び「(4)訂正事項4について」のとおり,「通信トラヒック」としていたものを「呼の音声通信トラヒック」とすること,「通信トラヒックの伝送」を「統計的に多重化されたパケットとして」行うこととすることは,いずれも出願当初の明細書の範囲内のものであり,実質上特許請求の範囲を拡張し,又は変更するものでもないことも明らかである。
また,【0038】の「DCS201からチャネル要素245へと出て行くパケット350の場合,パケット番号は,新たな各呼の開始時に0で始まる。チャネル要素245からDCS201に入って来るパケット350の場合,パケット番号は,全ての移動電話203およびセル202が同期しているマスター・タイミング信号から得られる。」の記載によれば,「入来通信トラヒック」とは,いわゆる逆方向リンクの通信トラフィックと認められ,移動電話203→第2のユニットに相当するチャネル要素245→第3のユニットに相当するプロセッサ602→第1のユニットに相当するボコーダ604に送信されるものであるから,第2のユニットによる入来通信トラヒックの「受信」を「無線電話から」受信されたこととすることも,出願当初の明細書の範囲内のものであり,実質上特許請求の範囲を拡張し,又は変更するものでもないことも明らかである。

そして,本件訂正前の請求項1に係る発明は,拒絶の理由を発見しないとして特許査定をされたものであって,当該事情を変更する新たな事由もないことから,本件訂正後の請求項19に係る発明についても,特許出願の際に独立して特許を受けることができるものである。

以上のとおりであるから,訂正事項13は,特許法第126条第1項ただし書き第1号に掲げる事項を目的とし,かつ,同条第5項,第6項及び第7項の規定に適合する。


8.訂正事項14,15について
訂正事項14,15は,訂正事項1により訂正前の請求項1が包含していた3つの選択肢を「出行通信トラヒック」に関する構成のみに限定したことに伴い,訂正事項13により,訂正前の請求項1を(ii)「入来通信トラヒック」に関する構成のみに限定して新たに請求項19として追加したことに対応して,訂正前の請求項1を引用する訂正前の請求項4,5の内容を,請求項19を引用する請求項20,21として追加するものであるから,特許請求の範囲の減縮に該当する。また,訂正事項14,15は,出願当初の明細書の範囲内のものであり,実質上特許請求の範囲を拡張し,又は変更するものでもないことも明らかである。
更に,本件訂正前の請求項4,5に係る発明は,拒絶の理由を発見しないとして特許査定をされたものであって,当該事情を変更する新たな事由もないことから,本件訂正後の請求項20,21に係る発明についても,特許出願の際に独立して特許を受けることができるものである。
以上のとおりであるから,訂正事項14,15は,特許法第126条第1項ただし書き第1号に掲げる事項を目的とし,かつ,同条第5項,第6項及び第7項の規定に適合する。


9.訂正事項16?18について
訂正事項16,17,18は,訂正事項1により訂正前の請求項1が包含していた3つの選択肢を「出行通信トラヒック」に関する構成のみに限定したことに伴い,訂正事項13により,訂正前の請求項1を(ii)「入来通信トラヒック」に関する構成のみに限定して新たに請求項19として追加したことに対応して,訂正前の請求項1を引用する訂正前の請求項6,7,8の内容に関して,「入来通信トラヒック」に関する構成のみに限定して,請求項19を引用する請求項22,23,24として追加するものであるから,特許請求の範囲の減縮に該当する。また,訂正事項16,17,18は,出願当初の明細書の範囲内のものであり,実質上特許請求の範囲を拡張し,又は変更するものでもないことも明らかである。
更に,本件訂正前の請求項6,7,8に係る発明は,拒絶の理由を発見しないとして特許査定をされたものであって,当該事情を変更する新たな事由もないことから,本件訂正後の請求項22,23,24に係る発明についても,特許出願の際に独立して特許を受けることができるものである。
以上のとおりであるから,訂正事項16,17,18は,特許法第126条第1項ただし書き第1号に掲げる事項を目的とし,かつ,同条第5項,第6項及び第7項の規定に適合する。


10.訂正事項19について
上記「4.訂正事項9について」のとおり,訂正前の請求項10では,出行通信トラヒックに関する構成,入来通信トラヒックに関する構成の少なくとも一方,すなわち,(i)「出行通信トラヒック」に関する構成のみ,(ii)「入来通信トラヒック」に関する構成のみ,(iii)「出行通信トラヒック」に関する構成及び「入来通信トラヒック」に関する構成の3態様を包含していたと認められるところ,訂正事項9により請求項10が(i)「出行通信トラヒック」に関する構成のみに限定されたことに伴い,訂正事項19は,訂正前の請求項10を(ii)「入来通信トラヒック」に関する構成のみに限定して新たに請求項25として追加するものである。
また,訂正事項19は,訂正事項9,13と同様に,訂正前の請求項10では「通信トラヒック」としていたものを「呼の音声通信トラヒック」として限定するものである。
また,訂正事項19は,訂正事項13と同様に,訂正前の請求項10では特定されていなかった,第2のユニットによる入来通信トラヒックの「受信」を,「無線電話から」受信されたことに限定するものである。
更に,訂正事項19は,訂正事項9,13と同様に,訂正前の請求項1では特定されていなかった,「通信トラヒックの伝送」を,「統計的に多重化されたパケットとして」行うことを限定するものである。
したがって,訂正事項19は,特許請求の範囲の減縮に該当する。

また,上記「7.訂正事項13について」のとおり,訂正事項19は実質上特許請求の範囲を拡張し,又は変更するものでもないことも明らかである。

更に,本件訂正前の請求項10に係る発明は,拒絶の理由を発見しないとして特許査定をされたものであって,当該事情を変更する新たな事由もないことから,本件訂正後の請求項25に係る発明についても,特許出願の際に独立して特許を受けることができるものである。
以上のとおりであるから,訂正事項19は,特許法第126条第1項ただし書き第1号に掲げる事項を目的とし,かつ,同条第5項,第6項及び第7項の規定に適合する。


11.訂正事項20,21について
訂正事項20,21は,訂正事項9により訂正前の請求項10が包含していた3つの選択肢を「出行通信トラヒック」に関する構成のみに限定したことに伴い,訂正事項19により,訂正前の請求項10を(ii)「入来通信トラヒック」に関する構成のみに限定して新たに請求項25として追加したことに対応して,訂正前の請求項10を引用する訂正前の請求項13,14の内容を,請求項25を引用する請求項26,27として追加するものであるから,特許請求の範囲の減縮に該当する。また,訂正事項20,21は,出願当初の明細書の範囲内のものであり,実質上特許請求の範囲を拡張し,又は変更するものでもないことも明らかである。
更に,本件訂正前の請求項13,14に係る発明は,拒絶の理由を発見しないとして特許査定をされたものであって,当該事情を変更する新たな事由もないことから,本件訂正後の請求項25,26に係る発明についても,特許出願の際に独立して特許を受けることができるものである。
以上のとおりであるから,訂正事項20,21は,特許法第126条第1項ただし書き第1号に掲げる事項を目的とし,かつ,同条第5項,第6項及び第7項の規定に適合する。


12.訂正事項22について
訂正事項22は,訂正事項9により訂正前の請求項10が包含していた3つの選択肢を「出行通信トラヒック」に関する構成のみに限定したことに伴い,訂正事項19により,訂正前の請求項10を(ii)「入来通信トラヒック」に関する構成のみに限定して新たに請求項25として追加したことに対応して,訂正前の請求項10を引用する訂正前の請求項15の内容に関して,「入来通信トラヒック」に関する構成のみに限定して,請求項25を引用する請求項28として追加するものであるから,特許請求の範囲の減縮に該当する。また,訂正事項22は,出願当初の明細書の範囲内のものであり,実質上特許請求の範囲を拡張し,又は変更するものでもないことも明らかである。
更に,本件訂正前の請求項15に係る発明は,拒絶の理由を発見しないとして特許査定をされたものであって,当該事情を変更する新たな事由もないことから,本件訂正後の請求項28に係る発明についても,特許出願の際に独立して特許を受けることができるものである。
以上のとおりであるから,訂正事項22は,特許法第126条第1項ただし書き第1号に掲げる事項を目的とし,かつ,同条第5項,第6項及び第7項の規定に適合する。



第5.むすび
したがって,本件審判の請求は,特許法第126条第1項ただし書き第1号もしくは第4号に掲げる事項を目的とし,かつ,同条第5項,第6項及び第7項の規定に適合する。

よって,結論のとおり審決する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
通信システムおよび呼処理装置
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】公称周波数および第1の位相を有する第1のクロック信号により指示される時刻に、出て行く呼の音声通信トラヒック(以下において「出行通信トラヒック」と称する)の送信を行う第1のユニットと、
前記公称周波数を有する第2のクロック信号によって指示される時刻に、受信された出行通信トラヒックを無線電話に送信する第2のユニットと、
前記公称周波数を有し、かつ前記第1の位相から調節できるように固定された第1の量だけ転位させた第2の位相を有する第3のクロック信号によって指示された時刻に、第1のユニットから受信した出行通信トラヒックを第2のユニットに送ることによって前記の第1および第2のユニット間の通信のインタフェースをとる第3のユニットと、
前記第2のユニットを前記第3のユニットと接続し、第3のユニットによって受信のために第2のユニットに送られる出行通信トラヒックを統計的に多重化されたパケットとして伝送し、変動性の伝送遅延を有する通信媒体と、
前記の受信された出行通信トラヒックの第2のユニットによる送信の時刻に先立つ第1の所定の時間枠の中で、第2のユニットが第3のユニットから出行通信トラヒックを受信するかどうかを判断する第1の手段からなる遅延決定手段と、
第2のユニットにおける出行通信トラヒックの受信が第1の枠から外れていると判断した場合、これに応じて、前記の対応する枠から外れている受信を対応する枠の中に移すために、第2の位相の第1の位相からの第1の変位量を加減する第3の手段とを備えたことを特徴とする通信システム。
【請求項2】第2のユニットにおける出行通信トラヒックの受信が前記第1の時間枠より遅れていると第1の手段が判断した場合、これに応じて、前記第3の手段が、前記第1の位相からの前記第2の位相の変位量を小さくすることを特徴とする請求項1記載のシステム。
【請求項3】第2のユニットにおける出行通信トラヒックの受信が前記第1の時間枠より進んでいると第1の手段が判断した場合、これに応じて、前記第3の手段が、前記第1の位相からの前記第2の位相の変位量を大きくすることを特徴とする請求項2記載のシステム。
【請求項4】(削除)
【請求項5】(削除)
【請求項6】前記第3の手段が、通信の開始時に前記の第1の変位量を、1ステップに、対応する枠の外にある前記受信を対応する枠の中に移すのに必要な量だけ調整し、さらに通信中に前記の第1の変位量を、一連のステップにおいて各ステップ中に同じ所定量の整数倍だけ調整することを特徴とする請求項1記載のシステム。
【請求項7】前記第3の手段と連携して動作し、前記第2の位相の変位量が増大されている間は、第1のユニットから送信される出行通信トラヒックに付加的なトラヒックを挿入して第3のユニットに前記の付加的なトラヒックを受信させ、前記第2の位相の変位量が縮小されている間は、第3のユニットによって受信される出行通信トラヒックから第1のユニットによって送信される出行通信トラヒックの一部を削除する第4の手段をさらに備えたことを特徴とする請求項1記載のシステム。
【請求項8】前記第1のユニットが、出行通信トラヒックのストリームを送信し、
前記第2のユニットが、出行通信トラヒックの送信のために出行通信トラヒックのパケットを受信し、前記第3のユニットが、
第1のユニットから出行通信トラヒックのストリームを受信し、これに応じて、受信した出行通信トラヒックをパケット化して、その受信した出行通信トラヒックの前記パケットを第2のユニットに前記第3のクロック信号によって指示される時刻に送信する第4の手段
を備え、
第2のユニットが第3のユニットから出行通信トラヒックのパケットを前記第1の所定の枠の範囲内で受信するかどうかを、前記第1の手段が判断することを特徴とする請求項1記載のシステム。
【請求項9】本装置(呼トラヒック処理装置)と、
本装置に接続され変動性の伝送遅延を有する通信媒体と、
前記通信媒体に接続され、かつ各々が無線電話から受信された符号化された入接続呼トラヒック(入って来る呼トラヒック)の第1のフレームを収容する第1のパケットを前記媒体を通して本装置に送り、かつ本装置から前記媒体を通して受信した出接続呼トラヒック(出て行く呼トラヒック)を符号化された出接続呼トラヒックの第2のフレームを収容する第2のパケットに収容して前記無線電話に送る少なくとも1つのセルと、
前記セルを相互に接続するとともに、本装置から受信した入接続呼トラヒックの第1のデジタル・ストリームを伝送先に経路選択して送ることにより、また伝送元から受信した出接続呼トラヒックの第2のデジタル・ストリームを本装置に経路選択して送ることにより前記セルと電話網とを相互に接続する移動電話交換システムとを備えたセルラ無線電話システムにおいて、
前記の第1および第2のデジタル・ストリームが、公称周波数および第1の位相を有し、電話網から得られる第1のクロック信号に同期され、前記セルによる入接続呼トラヒックおよび出接続呼トラヒックの伝送が、前記公称周波数を有する第2のクロック信号に同期され、前記呼トラヒック処理装置が、
出接続呼トラヒックの第2のデジタル・ストリームを第1のクロック信号に同期して受信し、その受信した出接続呼トラヒックを符号化し、その符号化した出接続呼トラヒックの第2のフレームを、前記公称周波数を有し、かつ前記第1の位相から調節できるように固定された第1の量だけ変位した第2の位相を有する第3のクロック信号に同期して送信する出接続ボコーダ手段と、
前記公称周波数を有し、かつ前記第1の位相から調節できるように固定された第2の量だけ変位した第3の位相を有する第4のクロック信号に同期して前記の符号化された入接続呼トラヒックの第1のフレームを受信し、その受信した入接続呼トラヒックを復号して、入接続呼トラヒックの第2のデジタル・ストリームを前記第1のクロック信号に同期して送信する入接続ボコーダ手段と、前記出接続ボコーダ手段から前記の符号化された出接続呼トラヒックの前記第2のフレームを受信し、前記公称周波数を有し、かつ前記第1の位相から調節できるように固定された第3の量だけ変位した第4の位相を有する第5のクロック信号に同期して前記第2のパケットを前記セルに送る出接続処理手段と、前記セルから前記第1のパケットを受信し、その受信した第1のパケットを前記第1のフレームへと非パケット化して、前記公称周波数を有し、かつ調節できるように固定された第4の量だけ第1の位相から変位した第5の位相を有する第6のクロック信号に同期して前記第1のフレームを前記入接続ボコーダ手段に送る入接続処理手段と、
前記第1のクロック信号から前記の第3、第4、第5および第6のクロック信号を得るためのクロック信号発生手段と、
前記入接続処理手段による第1のフレームの前記入接続ボコーダ手段への伝送の時刻に先立つ第1の所定の時間枠の範囲内で、前記入接続処理手段が第1のパケットを受信するかどうかを判断する第1の手段と、
前記セルによる前記の受信された出接続呼トラヒックの前記移動電話への送信の時刻に先立つ第2の所定の時間枠の範囲内で、前記セルが第2のパケットを受信するかどうかを判断する第2の手段と、
前記の第1のパケットの受信が前記第1の時間枠から外れていると判断するか、前記の第2のパケットの受信が前記第2の時間枠から外れていると判断した場合、これに応じて、対応する時間枠から外れているパケット受信時刻を対応する時間枠内に移すために、前記第1の位相に関する前記の第2および第4の両位相または前記の第3および第5の両位相の変位量を前記クロック信号発生手段に加減させる第3の手段とを備えたことを特徴とするセルラ無線電話システムにおける呼処理装置。
【請求項10】出行通信トラヒックの送信を行う第1のユニット、受信された出行通信トラヒックを送信する第2のユニット、前記の第1および第2のユニットの間の通信のインタフェースを行う第3のユニット、および変動性の伝送遅延を有し、前記第2のユニットを前記第3のユニットに接続する通信媒体を備えた通信システムにおいて;
公称周波数および第1の位相を有する第1のクロック信号によって指示される時刻に、第1のユニットからの出行通信トラヒックの送信を行うステップと;
受信された出行通信トラヒックを、前記公称周波数を有する第2のクロック信号によって指示される時刻に、第2のユニットから無線電話に送信するステップと;
第1のユニットによって送信された出行通信トラヒックを第3のユニットにおいて受信するサブステップに続いて、その第1のユニットから受信した出行通信トラヒックを、前記公称周波数を有し、かつ調節できるように固定された第1の量だけ前記第1の位相から変位した第2の位相を有する第3のクロック信号によって指示される時刻に第3のユニットから第2のユニットに送信するサブステップを行うステップと;
第3のユニットによって送信された出行通信トラヒックを、受信できるように前記通信媒体を介して第2のユニットに統計的に多重化されたパケットとして伝送するステップと;
前記の受信された出行通信トラヒックの第2のユニットによる送信の時刻に先立つ第1の所定の時間枠の範囲内に、第2のユニットが第3のユニットから出行通信トラヒックを受信するかどうかを判断するステップと;第2のユニットにおける出行通信トラヒックの受信が前記第1の時間枠から外れていると判断した場合、これに応じて、対応する時間枠から外れている受信時刻を対応する時間枠に移すために、第2の位相の第1の位相からの変位量を加減するステップとを備えたことを特徴とする通信システムの動作方法。
【請求項11】前記の変位量を加減するステップが、システム2ユニットにおける出行通信トラヒックの受信が前記第1の時間枠より遅れているとの判断に応じて、第1の位相からの第2の位相の変位量を減少させるステップからなることを特徴とする請求項10記載の方法。
【請求項12】前記の変位量を加減するステップが、第2のユニットにおける出行通信トラヒックの受信時刻が第1の時間枠より進んでいるとの判断に応じて、第1の位相からの第2の位相の変位量を増大させるステップをさらに含むことを特徴とする請求項11記載の方法。
【請求項13】(削除)
【請求項14】(削除)
【請求項15】前記の変位量を加減するステップが、通信の開始時に前記の第1の変位量を、1ステップに、対応する時間枠から外れている受信を対応する枠内に移すのに必要な量だけそれぞれ調節するステップと、
通信中に前記の第1の変位量を、一連のステップにおいて各ステップに同じ所定量の整数倍だけ調節するステップとからなることを特徴とする請求項10記載の方法。
【請求項16】(a)出行通信トラヒックの送信および(b)入来通信トラヒックの受信の少なくとも一方を行う第1のユニット、受信された(a)入来通信トラヒックおよび(b)出行通信トラヒックの少なくとも一方を送信する第2のユニット、前記の第1および第2のユニットの間の通信のインタフェースを行う第3のユニット、および変動性の伝送遅延を有し、前記第2のユニットを前記第3のユニットに接続する通信媒体を備えた通信システムにおいて;公称周波数および第1の位相を有する第1のクロック信号によって指示される時刻に、(a)第1のユニットからの出行通信トラヒックの送信および(b)第1のユニットにおける入来通信トラヒックの受信の少なくとも一方を行うステップと;受信された(a)入来通信トラヒックおよび(b)出行通信トラヒックの少なくとも一方を、前記公称周波数を有する第2のクロック信号によって指示される時刻に、第2のユニットから送信するステップと;
(a)第1のユニットによって送信された出行通信トラヒックを第3のユニットにおいて受信するサブステップに続いて、その第1のユニットから受信した出行通信トラヒックを、前記公称周波数を有し、かつ調節できるように固定された第1の量だけ前記第1の位相から変位した第2の位相を有する第3のクロック信号によって指示される時刻に第3のユニットから第2のユニットに送信するサブステップを行うステップ、および
(b)第2のユニットにより送信された入来通信トラヒックを第3のユニットにおいて受信するサブステップに続いて、その第2のユニットから受信した入来通信トラヒックを、前記公称周波数を有し、かつ調節できるように固定された第2の量だけ前記第1の位相から変位した第3の位相を有する第4のクロック信号によって指示される時刻に第3のユニットから第1のユニットに送信するサブステップを実行するステップ
のうちの少なくとも1つのステップと;
(a)第3のユニットによって送信された出行通信トラヒックを、受信できるように前記通信媒体を介して第2のユニットに伝送するステップ、および
(b)第2のユニットによって送信された入来通信トラヒックを、受信できるように前記通信媒体を介して第3のユニットに伝送するステップ
のうちの少なくとも1つのステップと;
(a)前記の受信された出行通信トラヒックの第2のユニットによる送信の時刻に先立つ第1の所定の時間枠の範囲内に、第2のユニットが第3のユニットから出行通信トラヒックを受信するかどうかを判断するステップ、および
(b)前記の受信された入来通信トラヒックの第3のユニットによる送信の時刻に先立つ第2の所定の時間枠の範囲に、第3のユニットが第2のユニットから入来通信トラヒックを受信するかどうかを判断するステップ
のうちの少なくとも1つのステップと;第2のユニットにおける出行通信トラヒックの受信が前記第1の時間枠から外れていると判断するか、または第3のユニットにおける入来通信トラヒックの受信が前記第2の時間枠から外れていると判断した場合、これに応じて、対応する時間枠から外れている受信時刻を対応する時間枠に移すために、第2または第3の何れかの位相の第1の位相からの変位量を加減するステップとを備えた通信システムの動作方法であって、
第2の位相の変位量を増大させている間に、第1のユニットから送信された出行通信トラヒックに付加的なトラヒックを挿入して第3のユニットに前記の付加的なトラヒックを受信させるステップと;第2の位相の変位量を減少させている間に、第3のユニットによって受信される出行通信トラヒックから第1のユニットによって送信される出行通信トラヒックの一部を削除するステップと;第3の位相の変位量を増大させている間に、第3のユニットによって受信される入来通信トラヒックに付加的なトラヒックを挿入して、その付加的なトラヒックを第1のユニットに送るステップと;第3の位相の変位量を増大させている間に、第1のユニットによって送信される入来通信トラヒックから第3のユニットによって受信される入来通信トラヒックの一部を削除するステップとをさらに備えたことを特徴とする通信システムの動作方法。
【請求項17】(a)出行通信トラヒックの送信および(b)入来通信トラヒックの受信の少なくとも一方を行う第1のユニット、受信された(a)入来通信トラヒックおよび(b)出行通信トラヒックの少なくとも一方を送信する第2のユニット、前記の第1および第2のユニットの間の通信のインタフェースを行う第3のユニット、および変動性の伝送遅延を有し、前記第2のユニットを前記第3のユニットに接続する通信媒体を備えた通信システムにおいて;公称周波数および第1の位相を有する第1のクロック信号によって指示される時刻に、(a)第1のユニットからの出行通信トラヒックの送信および(b)第1のユニットにおける入来通信トラヒックの受信の少なくとも一方を行うステップと;受信された(a)入来通信トラヒックおよび(b)出行通信トラヒックの少なくとも一方を、前記公称周波数を有する第2のクロック信号によって指示される時刻に、第2のユニットから送信するステップと;
(a)第1のユニットによって送信された出行通信トラヒックを第3のユニットにおいて受信するサブステップに続いて、その第1のユニットから受信した出行通信トラヒックを、前記公称周波数を有し、かつ調節できるように固定された第1の量だけ前記第1の位相から変位した第2の位相を有する第3のクロック信号によって指示される時刻に第3のユニットから第2のユニットに送信するサブステップを行うステップ、および
(b)第2のユニットにより送信された入来通信トラヒックを第3のユニットにおいて受信するサブステップに続いて、その第2のユニットから受信した入来通信トラヒックを、前記公称周波数を有し、かつ調節できるように固定された第2の量だけ前記第1の位相から変位した第3の位相を有する第4のクロック信号によって指示される時刻に第3のユニットから第1のユニットに送信するサブステップを実行するステップ
のうちの少なくとも1つのステップと;
(a)第3のユニットによって送信された出行通信トラヒックを、受信できるように前記通信媒体を介して第2のユニットに伝送するステップ、および
(b)第2のユニットによって送信された入来通信トラヒックを、受信できるように前記通信媒体を介して第3のユニットに伝送するステップ
のうちの少なくとも1つのステップと;
(a)前記の受信された出行通信トラヒックの第2のユニットによる送信の時刻に先立つ第1の所定の時間枠の範囲内に、第2のユニットが第3のユニットから出行通信トラヒックを受信するかどうかを判断するステップ、および
(b)前記の受信された入来通信トラヒックの第3のユニットによる送信の時刻に先立つ第2の所定の時間枠の範囲に、第3のユニットが第2のユニットから入来通信トラヒックを受信するかどうかを判断するステップ
のうちの少なくとも1つのステップと;第2のユニットにおける出行通信トラヒックの受信が前記第1の時間枠から外れていると判断するか、または第3のユニットにおける入来通信トラヒックの受信が前記第2の時間枠から外れていると判断した場合、これに応じて、対応する時間枠から外れている受信時刻を対応する時間枠に移すために、第2または第3の何れかの位相の第1の位相からの変位量を加減するステップとを備えた通信システムの動作方法であって、前記第1のユニットが、出行通信トラヒックのストリームの送信および入来通信トラヒックのストリームの受信を行い、前記第2のユニットが、受信した入来通信トラヒックのパケットの送信および出行通信トラヒックの送信のための出行通信トラヒックのパケットの受信を行う通信システムにおいて、
第1のユニットによって送信された出行通信トラヒックを第3のユニットにおいて受信するサブステップが、
第1のユニットから前記出行通信トラヒックのストリームを受信するサブステップと、
前記の受信した出行通信トラヒックをパケット化するサブステップとからなり、第3のユニットから第2のユニットに送信するサブステップが、前記の受信した出行通信トラヒックのパケットを前記第3のクロック信号によって指示される時刻に第2のユニットに送るサブステップからなり、
第2のユニットにより送信された入来通信トラヒックを第3のユニットにおいて受信するサブステップが、
第2のユニットから前記入来通信トラヒックのパケットを受信するサブステップと、
前記の受信した入来通信トラヒックを非パケット化するサブステップとからなり、
第3のユニットから第1のユニットに送信するサブステップが、前記の受信し非パケット化した入来通信トラヒックを前記第4のクロック信号によって指示される時刻に第1のユニットに向けて送信するサブステップからなり、
第2のユニットが第3のユニットから出行通信トラヒックを受信するかどうかを判断するステップが、第2のユニットが第3のユニットから出行通信トラヒックのパケットを前記第1の所定の時間枠の範囲内に受信するかどうかを判断するステップからなり、
第3のユニットが第2のユニットから入来通信トラヒックを受信するかどうかを判断するステップが、第3のユニットが第2のユニットから入来通信トラヒックのパケットを前記第2の所定の時間枠の範囲内に受信するかどうかを判断するステップからなることを特徴とする通信システムの動作方法。
【請求項18】インタフェース構造と、
前記構造に接続され変動性の伝送遅延を有する通信媒体と、
前記通信媒体に接続され、かつ各々が無線電話から受信された符号化されて入って来る呼トラヒック(以下において「入接続呼トラヒック」と称する)の第1のフレームを収容する第1のパケットを前記媒体を通して前記構造に送り、かつ前記構造から前記媒体を通して受信した出て行く呼トラヒック(以下において「出接続呼トラヒック」と称する)を符号化された出接続呼トラヒックの第2のフレームを収容する第2のパケットに収容して前記無線電話に送る少なくとも1つのセルと、
前記セルを相互に接続するとともに、前記構造から受信した入接続呼トラヒックの第1のデジタル・ストリームを伝送先に経路選択して送ることにより、また伝送元から受信した出接続呼トラヒックの第2のデジタル・ストリームを前記構造に経路選択して送ることにより前記セルと電話網とを相互に接続する移動電話交換システムと
を備えたセルラ無線電話システムの前記インタフェース構造における呼トラヒックを処理する方法において、
前記の第1および第2のデジタル・ストリームが、公称周波数および第1の位相を有し、電話網から得られる第1のクロック信号に同期され、前記セルによる入接続呼トラヒックおよび出接続呼トラヒックの伝送が、前記公称周波数を有する第2のクロック信号に同期され、前記方法が、
入接続呼トラヒックの第2のデジタル・ストリームを前記第1のクロック信号に同期して受信するステップと、
前記の受信された出接続呼トラヒックを符号化するステップと、
前記公称周波数、および調節できるように固定された第1の量だけ第1の位相から変位した第2の位相を有する第3のクロック信号に同期して、前記の符号化された出接続呼トラヒックの第2のフレームを送信するステップと、
前記の符号化された出接続呼トラヒックの第2のフレームを受信するステップと、
前記の受信された第2のフレームを第2のパケットへとパケット化するステップと、
前記公称周波数と調節できるように固定された第3の量だけ第1の位相から変位した第4の位相とを有する第5のクロック信号に同期して、前記第2のパケットを前記通信媒体を介して前記セルに送るステップと、
前記セルから前記通信媒体を介して前記第1のパケットを受信するステップと、前記の受信した第1のパケットを前記第1のフレームへと非パケット化するステップと、
前記公称周波数と調節できるように固定された第4の量だけ第1の位相から変位した第5の位相とを有する第6のクロック信号に同期して、前記第1のフレームを送信するステップと、
前記公称周波数と調節できるように固定された第2の量だけ第1の位相から変位した第3の位相を有する第4のクロック信号に同期して、前記の符号化された入接続呼トラヒックの前記第1のフレームを受信するステップと、
前記の受信された入接続呼トラヒックを復号するステップと、
入接続呼トラヒックの前記第2のデジタル・ストリームを前記第1のクロック信号に同期して送信するステップと、
前記インタフェース構造による第1のフレームの送信の時刻に先立つ第1の所定の時間枠の範囲内に前記インタフェース構造が前記第1のパケットを受信するかどうかを判断するステップと、
前記セルが前記の受信した出接続呼トラヒックを前記移動電話に送信する時刻より前の第2の所定の時間枠の範囲内に前記セルが前記第2のパケットを受信するかどうかを判断するステップと、
前記第1のパケットの受信が前記第1の時間枠から外れていると判断するか、または前記第2のパケットの受信が前記第2の時間枠から外れていると判断した場合、これに応じて、前記の対応する時間枠から外れているパケット受信を対応する時間枠の中に移すために、前記第1の位相に関する前記の第2および第4の両位相または前記第1の位相に関する前記の第3および第5の位相の変位量を加減するステップとを備えたことを特徴とするセルラ無線電話システムにおける呼処理方法。
【請求項19】公称周波数および第1の位相を有する第1のクロック信号により指示される時刻に、入って来る呼の音声通信トラヒック(以下において「入来通信トラヒック」と称する)の受信を行う第1のユニットと、
前記公称周波数を有する第2のクロック信号によって指示される時刻に、無線電話から受信された入来通信トラヒックを送信する第2のユニットと、
前記公称周波数を有し、かつ前記第1の位相から調節できるように固定された第2の量だけ転位させた第3の位相を有する第4のクロック信号によって指示された時刻に、第2のユニットから受信した入来通信トラヒックを第1のユニットに送ることによって前記の第1および第2のユニット間の通信のインタフェースをとる第3のユニットと、
前記第2のユニットを前記第3のユニットと接続し、第2のユニットによって受信のために第3のユニットに送られる入来通信トラヒックを統計的に多重化されたパケットとして伝送し、変動性の伝送遅延を有する通信媒体と、
前記の受信された入来通信トラヒックの第3のユニットによる送信の時刻に先立つ第2の所定の時間枠の中で、第3のユニットが第2のユニットから入来通信トラヒックを受信するかどうかを判断する第2の手段からなる遅延決定手段と、
第3のユニットにおける入来通信トラヒックの受信が第2の枠から外れていると判断した場合、これに応じて、前記の対応する枠から外れている受信を対応する枠の中に移すために、第3の位相の第1の位相からの第2の変位量を加減する第3の手段とを備えたことを特徴とする通信システム。
【請求項20】第3のユニットにおける入来通信トラヒックの受信が前記第2の時間枠より遅れていると第2の手段が判断した場合、これに応じて、前記第3の手段が、前記第1の位相からの前記第3の位相の変位量を大きくすることを特徴とする請求項19記載のシステム。
【請求項21】第3のユニットにおける入来通信トラヒックの受信が前記第2の時間枠より進んでいると第2の手段が判断した場合、これに応じて、前記第3の手段が、前記第1の位相からの前記第3の位相の変位量を小さくすることを特徴とする請求項20記載のシステム。
【請求項22】前記第3の手段が、通信の開始時に前記の第2の変位量を、1ステップに、対応する枠の外にある前記受信を対応する枠の中に移すのに必要な量だけ調整し、さらに通信中に前記の第2の変位量を、一連のステップにおいて各ステップ中に同じ所定量の整数倍だけ調整することを特徴とする請求項19記載のシステム。
【請求項23】前記第3の手段と連携して動作し、前記第3の位相の変位量が増大されている間は、第3のユニットによって受信される入来通信トラヒックに付加的なトラヒックを挿入して、その付加的なトラヒックを第1のユニットに送り、前記第3の位相の変位量が縮小されている間は、第1のユニットに送信される入来通信トラヒックから第3のユニットによって受信される入来通信トラヒックの一部を削除する第4の手段をさらに備えたことを特徴とする請求項19記載のシステム。
【請求項24】前記第1のユニットが、入来通信トラヒックのストリームを受信し、
前記第2のユニットが、受信した入来通信トラヒックのパケットを送信し、前記第3のユニットが、
第2のユニットから入来通信トラヒックのパケットを受信し、これに応じて、その受信した入来通信トラヒックのパケットを非パケット化して、その受信し非パケット化した入来通信トラヒックを第1のユニットに向けて第4のクロック信号によって指示される時刻に送信する第5の手段を備え、
第3のユニットが第2のユニットから入来通信トラヒックのパケットを前記第2の所定の枠の範囲内で受信するかどうかを、前記第2の手段が判断することを特徴とする請求項19記載のシステム。
【請求項25】入来通信トラヒックの受信を行う第1のユニット、受信された入来通信トラヒックを送信する第2のユニット、前記の第1および第2のユニットの間の通信のインタフェースを行う第3のユニット、および変動性の伝送遅延を有し、前記第2のユニットを前記第3のユニットに接続する通信媒体を備えた通信システムにおいて;
公称周波数および第1の位相を有する第1のクロック信号によって指示される時刻に、第1のユニットにおける入来通信トラヒックの受信を行うステップと;
無線電話から受信された入来通信トラヒックを、前記公称周波数を有する第2のクロック信号によって指示される時刻に、第2のユニットから送信するステップと;
第2のユニットにより送信された入来通信トラヒックを第3のユニットにおいて受信するサブステップに続いて、その第2のユニットから受信した入来通信トラヒックを、前記公称周波数を有し、かつ調節できるように固定された第2の量だけ前記第1の位相から変位した第3の位相を有する第4のクロック信号によって指示される時刻に第3のユニットから第1のユニットに送信するサブステップを実行するステップと;
第2のユニットによって送信された入来通信トラヒックを、受信できるように前記通信媒体を介して第3のユニットに統計的に多重化されたパケットとして伝送するステップと;
前記の受信された入来通信トラヒックの3のユニットによる送信の時刻に先立つ第2の所定の時間枠の範囲に、第3のユニットが第2のユニットから入来通信トラヒックを受信するかどうかを判断するステップと;
第3のユニットにおける入来通信トラヒックの受信が前記第2の時間枠から外れていると判断した場合、これに応じて、対応する時間枠から外れている受信時刻を対応する時間枠に移すために、第3の位相の第1の位相からの変位量を加減するステップとを備えたことを特徴とする通信システムの動作方法。
【請求項26】前記の変位量を加減するステップが、第3のユニットにおける入来通信トラヒックの受信時刻が第2の時間枠より遅れているとの判断に応じて、第1の位相からの第3の位相の変位量を増大させるステップからなることを特徴とする請求項25記載の方法。
【請求項27】前記の変位量を加減するステップが、第3のユニットにおける入来通信トラヒックの受信時刻が第2の時間枠より進んでいるとの判断に応じて、第1の位相からの第3の位相の変位量を減少させるステップをさらに含むことを特徴とする請求項26記載の方法。
【請求項28】前記の変位量を加減するステップが、通信の開始時に前記の第2の変位量を、1ステップに、対応する時間枠から外れている受信を対応する枠内に移すのに必要な量だけそれぞれ調節するステップと、
通信中に前記の第2の変位量を、一連のステップにおいて各ステップに同じ所定量の整数倍だけ調節するステップとからなることを特徴とする請求項25記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、概して、通信ユニット間の伝送遅延が予め決められないような電気通信構造に関する。
【0002】
【従来の技術】デジタル通信システムにおいては、顧客構内装置(CPE)がこれらを相互接続する網通信装置(例えば、公衆交換電話網)と独立にタイミングがとられることが時々ある。特に、この重要な例は、デジタル・セルラ移動電話システムの重要な種類である符号分割多重アクセス(CDMA)無線電話システムである。CDMAシステムでは、無線機を収容したノード、即ち、移動無線電話およびセル地域の基地局(略して「セル」と称する)が、全地球的測位システム(GPS)の衛生からセルによって受信されたクロック信号に同期されているのに対し、基地局どおし、および基地局と公衆電話網とをデジタル通信によって相互接続する無線電話交換システムは、同様にGPSから受信されるが電話網によって分配されるクロック信号に同期されている。
【0003】この説明のために、2つの一連の事象、信号、または動作が、(a)同じ公称周波数で発生するか、またはこれらの一方が他方の周波数の整数倍の周波数で発生し、かつ(b)互いに一定の位相関係で発生する場合、これらは、互いに同期されている、または同期していると考える。この説明では、同期していない動作は、非同期であると考える。
【0004】通信システムの異なるユニットの動作が独立したタイミングであると、それらのユニットが、所定の安定かつ不変の周波数で、時間的に安定かつ不変の点、即ち一定の位相で互いに呼トラヒックを与えるという仮定が崩れてしまう。それどころか、独立したタイミングにより、相互のユニットが、一定の周波数および位相を中心に変動する速度および時点で互いに呼トラヒックを与えることになる。この非同期性は何とかして補償しなければならない。
【0005】独立した時間調整は、この非同期性の1つの原因に過ぎない。前記のCDMA無線電話システムのような通信システムに存在しうるもう1つの原因は、通信ユニット間に所定かつ一定の伝送遅延の欠如である。発信ユニットおよび着信ユニットが共通のクロックまたは互いに同期された個となるクロックの何れかによってタイミングがとられていると仮定すれば、ユニット間の伝送遅延が固定されていて予め判断できる場合、ユニットが互いに同期して動作できるように通信システムの設計において非同期性を補償することが可能である。しかし、遅延が予め決められずに可変的で変動する場合、実質的な影響は、ユニットが独立して時間調整されるようなものである。遅延の変動は、例えば、通信ユニット間を移動中の通信に伴う伝送路の偶発的変化、または通信ユニットの間を流れる通信トラヒックの負荷の可変性(これも通信ユニットによって扱うべきものである)の結果である。この非同期性も同様に補償しなければならない。
【0006】独立的な時間調整によって起こる問題に対する十分ではないが部分的な解決方法は、通信を行うユニット間の通信をデジタル形式でなくアナログ形式で処理することである。アナログ通信情報は、その伝送と非同期的に受信することができる。また、この非同期性のために、エラー、即ちグリッチが通信にもたらされるが、その問題は、音声のみの通信に対しては許容できる場合が多い。従って、CDMA無線電話システムにおいては、無線電話交換システムがアナログの音声のみの通信によって電話網にインタフェースがとられている場合、交換システムをGPS衛生のクロック信号に同期させて、結果的に無線電話および基地局に同期して動作するようにしてもよい。勿論、このような構造は、アナログ通信に関係するあらゆる不都合---例えば、低品質、低容量、干渉に対する敏感さ、さらには構造をデータ通信には不向きにする非同期起因性のグリッチの問題など---を招く。
【0007】同様に、変動する伝送遅延によって生じる問題に対して十分ではないが部分的な解決方法は、回路交換通信トラヒックであり、これによって、伝送遅延の通信トラヒック負荷への依存性が避けられる。しかし、回路交換方式は、多くの用途において別の理由から非効率的であり望ましくない。さらに、回路交換方式では、一般にCDMAの呼の「ソフト渡し(チャネル切り替え)」中に発生するような伝送路の変更に起因する伝送遅延の変動は除去されない。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】従って、本発明は、従来の技術の前記およびその他の不都合を解決することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】概して、本発明によれば、変動性の伝送遅延を与える伝送媒体(例えば、パケット交換通信媒体など)によって通信ユニットを相互に接続する通信システムにおいて、通信ユニットの幾つかと名目上は同期しているが、他のユニットの動作に対する位相関係の所定の枠(即ち、範囲)の中で動作し、かつ前記の幾つかのユニットの動作に対する放置すれば一定な位相関係を時々調節して前記の所定の枠の中の動作を実現し維持するようなインタフェースが、通信ユニット間に与えられる。これにより、種々のユニットの動作が、インタフェース構造の動作に同期するようになり、あたかもそれらが互いに同期し、かつ一定の伝送遅延を有する伝送媒体によって相互接続されているかのように、進行する。
【0010】さらに具体的には、ある公称周波数と第1の位相を有する第1のクロック信号によって指示される時刻に入来通信トラヒックの受信または出行通信トラヒックの送信を行う第1のユニット、前記の公称周波数を有するクロック信号によって指示される時刻に第1のユニットへの入来通信トラヒックの送信または第1のユニットから受信した出行通信トラヒックの送信を行う第2のユニット、第1および第2のユニット間の通信のインタフェースをとる第3のユニット、および第2のユニットと第3のユニットとの間で通信トラヒックを伝えるためにそれらを接続し、変動性の伝送遅延を有する通信媒体を備えた通信システムにおいて、インタフェース動作を次のように行う。第3のユニットが、前記の公称周波数を有するとともに前記第1の位相から調節できるように固定された量だけ変移させた第2の位相を有するクロック信号によって指示される時刻に、第2のユニットから受信した入来通信トラヒックを第1のユニットに送ったり、第1のユニットから受信した出行通信トラヒックを第2のユニットに送ったりする。受信された出行通信トラヒックの第2のユニットによる送信の時刻より前の所定の時間枠の中で第2のユニットが出行通信トラヒックを第3のユニットから受信するか、または、受信された入来通信トラヒックの第3のユニットによる送信の時刻より前の所定の時間枠の中で第3のユニットが入来通信トラヒックを第2のユニットから受信するかに関する判断を行う。次に、何れかの通信トラヒック型の受信がそれぞれ所定の枠の外に当たると判断した場合、これに応じて、前記の受信をそれぞれの枠内に移すために、それに影響する第2の位相の第1の位相からの変移量を必要に応じて加減する。
【0011】具体的には、本発明の説明のための実施例によれば、パケット伝送媒体によって相互に接続された無線電話交換システムおよび基地局(セル)を有するCDMA無線電話システムにおいて、無線電話交換システムが、それぞれデジタル通信インタフェース構造を備え、このインタフェース構造の電話網への接続は、電話網の動作に同期し、その基地局(セル)への接続は、やはり名目上は電話システムの動作に同期していても、1つひとつの呼に対しては、その呼を処理している基地局の動作に対する位相関係の所定の枠内で動作し、さらに電話システムの動作とのその位相関係を時々調節して、媒体によって受ける伝送遅延の変動を、所定の枠内での動作が実現・維持するように補償する。このインタフェース構造は、基地局と交換システムとの間でパケット交換通信を利用するので、位相関係の変動およびタイミングの調整は、パケット間の間隔の変化によって吸収され隠蔽される。さらに、説明のための実施例によれば、インタフェース構造は、交換システムと電話網との間で回路交換通信を利用するので、タイミング調整が、通信ビット・ストリームにおける滑り(ビットの挿入または削除)によって吸収される。
【0012】媒体によって伝送される通信トラヒック負荷の変動または通信トラヒックにより取られる伝送路のソフト渡し中の変化によって発生する伝送遅延の変動に起因し、交換システム、電話網、および基地局(セル)の動作の間で知覚される非同期性は、適切なデジタル通信システムの動作の必要に応じてインタフェース構造によって補償・調整される。
【0013】以下における説明用の実施例の説明では、水準3の「パケット」と水準2の「フレーム」を区別するが、分かりやすくするために、本文および特許請求の範囲において「パケット]という用語を使用する場合、「パケット」および「フレーム」の何れか、または両方を含むものとする。
【0018】
【実施例】本発明の説明に役立つ実施例を説明する前に、比較の基準として役立つ既存のセルラ移動無線電話システムを考察する。このシステムを図1に示す。この種のシステムの説明は、1988年の「AT&Tテクノロジー」誌、第3巻、第3号p.42-p.51のK.W.ストローム(Strome)による「オートプレックス・システム1000と共に巡業して(On the Road with AUTOPLEX System1000)」、および1990年の「AT&Tテクノロジー」誌、第5巻、第4号p.20-.p25のR.A.レンプ(Lemp)による「新オートプレックス・セル局がデジタル・セルラ通信に道を開く(New AUTOPLEX Cell Site Paves The Way For Digital Cellular Communications)」に見られる。
【0019】図1のシステムは、単にセル102と称するセル局として知られる地理的に散在するサービス・ノードを複数備え、それらの各々が、その付近にある無線式の利用者端末(移動無線電話103として周知である)に無線電話サービスを提供する。異なるセル102によって管轄される移動無線電話103の間、および移動無線電話103と公衆電話網100との間に無線電話サービスを与えるために、セル102は、本明細書においてデジタル・セルラ交換機(DCS)101と称する移動無線電話交換ノードによって、相互に且つ公衆電話網へとインタフェースがとられている。各交換機101は、実例としては、AT&TのAutoplex(登録商標)セルラ通信システムのデジタル・セルラ交換機である。各デジタル・セルラ交換機101は、通信トランク107によって複数の異なるセル102に接続され、通信トランク106によって電話網100に接続される。各トランク106および107は、実例としては、DS0(64Kbpsの時分割多重化)チャネルであり、複数のDS0チャネルが、陸上回線(T1回線)、光伝送、マイクロ波などの設備を介して運ばれるDS1設備によって実現されている。図1のシステムの制御ならびに種々のセル102およびDCS101の動作関係の調整は、管理セルラ・プロセッサ(ECP:Executive Cellula Processor)105によって実行される。ECP105は、各セル102およびセルラ交換機にプロセス間メッセージ交換機(IMS:Interprocess-Message Switch)104を通して制御リンク108によって接続される。ECP105およびIMS104が一体となってECP複合装置134を構成する。ECP複合装置134およびDCS101により、移動交換局(MSC:mobil switching center)199が形成される。ECP105およびIMS104は、実例としては、AT&TのAutoplex ECPおよびAT&TのAutoplex IMS(IMSリングによって相互接続された複数のセル局ノード・プロセッサ、デジタル交換機ノード・プロセッサおよびデータベース・ノード・プロセッサを含む)であり、リンク108は、実例としては、MSC内部のRS-449データ・リンクである。これ代わって、制御リンク108は、セル102と移動交換局199との間においてDS1設備の64KbpsのDS0チャネルとして実施しても良い。
【0020】各移動無線電話103は、一般に、複数の無線周波数の対のうちの任意の1対で動作可能なアナログFM無線電話からなる。各セル102は、それぞれが移動無線電話103の無線周波数の対のうちの1つで動作する複数のアナログFM無線機143を備えている。隣接するセル102の無線機143は、互いに干渉するのを避けるために、異なる周波数の対で動作する。しかし、各移動無線電話103は、一般に、すべてのセル102の周波数の対の任意の対で動作することができる。
【0021】これに代わる実施例では、アナログ式のFM無線機および無線電話を時分割多重アクセス(TDMA)モードで動作するデジタル式の無線機および無線電話で代用している。音声帯域圧縮機能は、この実施例では無線ユニットの一部とすることも可能であり、また交換機101に配置すること可能である。
【0022】セルラ・システムにおいては、移動無線電話の受信部が、所定の信号報知(ページング)チャネルの集合を走査する。しかし、最も強い信号報知チャネルに固定すると、以降、移動無線電話103は、システムから指示を得て、到来する呼を受信する。また、移動無線電話103は、呼を発するために、チャネルに送信も行う。呼(発信または受信を問わず)が成立すると、受信部は、特定の音声チャネルが割り当てられ、その送信および受信の周波数対に同調するように指示される。それと同時に、そのセル102と電話網100との間にデジタル・セルラ交換機101を介して接続が確立され、この交換機101により、通話できるように音声経路が完成される。
【0023】この音声接続が確立されると、セルの無線機143によって、その無線信号レベルが監視される。移動無線電話103が、あるセルから別のセルへと移動するにつれて、受信中のセル102は、信号強度の減少を検出し、周囲のセル102による測定を要求する。これらの測定の結果、別のセル102の方が良好なサービスを提供できることが示された場合、音声接続は、「ハード渡し」として周知の処理によって、そのセル102に切り替えられる。ハード渡しの処理は、ECP105の制御下にあり、まずDCS101によりサービス中のトランク106からサービス中のセル102と目標とするセル102との双方の無線チャネルへと音声回路を延長する3方向の接続を形成することを必要とする。この接続が確認されると、無線電話103は、目標のセル102において割り当てられた無線機143の周波数に同調し直すように指示される。その無線電話の目標のセル102との通信が確認されると、直ちに、DCS101は、新たにサービスしている(目標の)セル102とサービス中のトランク106との間の接続はそのままにして、元からサービス中のセル102から音声接続を取り除くように指示される。この渡し処理によって、電話の会話は、大した中断もなく継続する。このようにしている間に、元の音声チャネルは、別の加入者の使用に利用できるようになる。
【0024】このように行われるハード渡しには、ECP複合装置134およびデジタル・セルラ交換機101の両方のプロセッサ機能が使用される。3方向の接続の持続期間中は、ハード渡しに、付加的な交換構造(TDMバス130)の機能も使用される。選択された無線機143を収容する目標のセル102が、サービス中のトランク106を含む交換機モジュール120でない交換機モジュール120に接続されている場合、時間多重交換機(TMS)121を通して、その交換機要素の交換構造をさらに用いて3方向の接続を延長する必要がある。システムにおけるセル102の数が多くなるにつれて、渡しの数が、増加し、これに比例して多くのシステム・プロセッサおよび交換構造の資源を使用するので、システムの全体的な容量が減少する。
【0025】各セル102は、高速の時分割多重(TDM)バス140の周囲に編成される。TDMバス140は、実例としては、AT&TのDefinity(登録商標)通信システムのユニバーサル・モジュールの2.048MHzのTDMバスであり、物理的には、1フレームあたり256のタイムスロットをそれぞれ有する1つ以上のTDMバスからなる。具体的には、多数のTDMバスが、それらに接続されたユニットにより同時に使用されて、論理的には、1フレーム当たり256の倍数のタイムスロットを有する単一のTDMバスとして動作する。各タイムスロットは、64Kbpsの速度である。セル102の内部では、無線機143がTDMバス140に接続される。無線機143は、64Kbpsの速度のDS0チャネル・フォーマットで、無線伝送用の情報をTDMバス140から受信し、受信した無線情報をTDMバス140に供給する。各無線機への入力およびそれへの出力は、完全レートのパルス符号変調(PCM)で符号化された音声である。TDMバス140には、インタフェース142も1つ以上接続され、これらの各々によって、TDMバス140がトランク107に結合される。具体的には、トランク107は、DS1通信フォーマットを使用し且つ1.544Mbpsの速度で動作するT1設備によって維持されるので、インタフェース142は、DS1インタフェースである。DS1および前記のDS0のフォーマットは、1989年2月の「電気通信(Telecommunications)」p.39-p.47のT.H.マレー(Murray)による「DDS網の発展---その1(The Evolution of DDS Networks:Part 1)」において説明されている。インタフェース142は、複数の無線機143によって供給された情報をTDMバス140から受け取り、それらをDS1フォーマットに多重化して、トランク107に送る。逆方向には、インタフェース142は、DS1フォーマットに書式化された情報をトランク107から受信し、それらを分離(デマルチプレクス)して、無線機143に伝えるためにTDMバス140に供給する。TDMバス140は、コントローラ141の制御の下で動作する。このコントローラ141により、バス140上のタイムスロットが、無線機143およびインタフェース142のうちの別個のものに割り当てられる。具体的には、コントローラ141は、ECP複合装置によって制御リンク108を介して、それ自体に供給される制御情報に基づいて、この割り当てを行う。または、コントローラ141が、それ自体で自動的に割り当てを行うことを可能ならしめるデータベースを備えても良い。
【0026】各デジタル・セルラ交換機101は、1つ以上のデジタル交換機モジュール(DSM)120を備えている。モジュール120は、TDMバス140と同様のTDMバス130、コントローラ141と同様のTDMバス制御機能を与えるコントローラ131、およびバス130に接続されてインタフェース142と同様の機能を与える複数のインタフェース132からなるという点において、構造的にセル102に似ている。コントローラ131は、ECP複合装置134から発生する制御情報に基づいて、TDMバス130によりインタフェース132の間で情報が切り替えられるようにする。セル102から延びている各トランク107は、交換機モジュール120においてインタフェース132によって終端される。モジュール120の他のインタフェース132は、トランク106を終端する。トランク106は、トランク107と全く同じものであるが、公衆電話網100に接続されている。
【0027】交換機101が1つ以上のモジュール120を含む場合、その交換機101は、時間多重交換機(TMS)121も含む。この場合、TMSインタフェース133が、各モジュール120のTDMバス130に接続されて、TMS121に続くリンク109を終端する。インタフェース133は、例えば、AT&TのDefinity通信システムのユニバーサル・モジュールのモジュール制御複合装置(MCC)である。TMS121は、1つの移動無線電話交換機101のモジュール間に直接切り替えによる相互接続を与える。異なる移動無線電話交換機101のモジュール間の相互接続は、公衆電話網100によるか、または交換機101を直に相互接続するトランクによって与えられる。
【0028】デジタル・セルラ交換機101の全体的な制御、およびそのモジュール120および121の間の動作関係の調整は、DCSコントローラ161によって実施れる。DCSコントローラ161は、制御リンク108を介してECP複合装置134と直接連絡する。コントローラ161は、TMS121にはリンク150を通して、交換機モジュール120のコントローラ131にはリンク150およびTMSインタフェース133を通して、独自の制御接続を持つ。コントローラ161は、例えば、AT&TのDefinity通信システムの501CCプロセッサである。
【0029】次に、図2は、本発明によって構成されたセルラ移動無線電話システムの説明に役立つ実施例である。図1および2の両システムに共通の要素は、図1において使用したものと同じ番号表記を用いて図2に示す。
【0030】図2は、図1のものと同じではないが多くの点で類似したシステム・トポロジーである。図2のシステムは、複数の地理的に散在するセル202を備え、それらの各々が、その付近の移動無線電話203に無線電話サービスを提供する。本明細書において用いる場合、セル202とは、地理的な独立したセル局、または所与のセル局に接する複数の「面」の1つを指す。ただし、「面」とは、一般にセル局における方向性の送信アンテナを用いることによって実施されるようなセルの扇状区域である。すべての移動無線電話203およびセル202の動作は、例えば全地球的測位システムの衛星によって発生・放送されるタイミング信号のような共通のマスター・クロックに同期させる。セル202間の相互接続、およびセル202と公衆電話網100との間の相互接続は、デジタル・セルら交換機201によって2段階に行われる。まず、個々のセル202が、DCS201の1つ以上のセル相互接続モジュール(CIM)209にトランク207によって接続される。さらに、個々のDCS201のセル相互接続モジュール209が、そのDCS201の各音声符号器モジュール(SCM)220に光ファイバ光学的パケット交換トランク210によってそれぞれ接続される。デジタル・セルラ交換機201は、図1と同様に、それぞれ電話網100に複数のトランク106によって接続され、トランク106と機能的に等しいトランク206によって互いに直接接続される。交換機201の動作は、公衆電話網100のマスター・タイミング信号(図示せず)に同期されている。さらに、図1と同様に、セル202およびデジタル・セルラ交換機201は、これらが制御リンク108によって接続されるECP複合装置134の制御下で動作する。同様に、DCS201の種々のモジュール209および220が、共通のDCSコントローラ261に制御リンク208によって接続されて、その制御下で動作する。物理的には、DCSコントローラ261は、この場合も、例えば501CCプロセッサである。
【0031】図2のシステムにおいて、必ずしも全てではないが、移動無線電話203の幾つかは、デジタル無線電話である。説明のために移動体に登載されているように示したが、移動無線電話203は、携帯式の無線電話でも、たとえ定置式の無線電話でもよい。デジタル無線電話は、無線チャネル上で必要とされるデジタル伝送速度を下げるために音声圧縮技術を用いる。各デジタル無線電話は、その送信機に音声圧縮回路、その受信器に音声伸張回路を備えている。各無線電話は、広帯域無線周波数の複数の対のうちの任意の対で動作することができる。
【0032】パケット化トラヒックを扱う一方で、図1のシステムによって扱われるものと類似の非パケット化トラヒックを扱うために、図2のシステムのDCS201は、波線で示した要素---トランク109によってモジュール209および220に接続されたTMS121、およびCIM209を公衆電話網100に直接接続するトランク106---を含む。これらの用途を以下においてさらに説明する。
【0033】デジタル無線電話203は、時分割多重アクセス(TDMA)モード、符号分割多重アクセス(CDMA)モード、または他の何らかのデジタル若しくはアナログ的なモードの1つまたはそれ以上のモードで動作することができる。TDMAは、当分野において周知であり、無線チャネル(周波数)を多数のタイムスロットに分割することにより、多数の利用者に無線チャネルへのアクセスを与えるものである。一人の利用者に対して1つ以上のタイムスロットを割り当てることができる。TDMA無線機203は、例えば、TIA IS54デジタル・セルラ無線機である。TDMAでは、隣接するセルにおいて異なる周波数の用いるので、前述の「ハード渡し」処理を必要とする。
【0034】現在の実施例において、デジタル無線電話203は、CDMAモードで動作するか、または減速動作(フォールバック)時にはFDMA(アナログ)モードで動作する。CDMAは、隣接するセル202によってサービスされる地域における周波数の再使用を可能とする直接連続スペクトラム拡散方式である。従って、隣接するセル202は、異なる無線周波数で動作する必要がないので、そのようにせずに、同じ周波数を重複利用する。1つのセル202の周辺から他のセル202の周辺に移動する場合、移動無線電話203は、前記のように「ハード渡し」処理を受けるかもしれないが、図2のシステムのCDMA移動無線電話203の場合には、そうする代わりに、同一の周波数のセルの双方と同時に通信しながら選択的に「ソフト渡し」処理を受けても良い。CDMA方式およびそれに関係する処理および装置は、当分野において周知である。直接連続符号分割多重アクセスの基本原理は、絶対的または統計的に互いに直交する複数のそれぞれ異なる高速デジタル信号を用い、各々によって低速の(即ち、基本波の)利用者の信号を変調し、それら複数の変調信号を共通のデジタル信号へと結合し、これらのデジタル信号を無線周波変調機能に使用することである。元の基本波信号の復元および分離は、対応するデジタル変調信号を用いて時間同期的に復調することによって行われる。CDMAの説明は、例えば、米国特許第4,904,307号、および公布済みの国際特許出願WO91/07020、WO91/07036およびWO91/07037にある。
【0035】図3において、図1のセル102と同様に、セル202は、コントローラ241の制御下で動作するTDMバス140、およびTDMバス140をトランク207に結合するDS1インタフェース242を含む。コントローラ241は、例えば、AT&TのAutoplexシリーズIIのセル局の制御複合装置である。これは、セル102のコントローラ141と機能的に全く同じであるが、セル202が複数のデジタル無線機243からなる事実を考慮して、新たに後述の付加的な機能も果たす。デジタル無線機の信号の入出力は、すべて、対応する1つ以上のチャネル要素およびクラスタ・コントローラ244によってTDMバス140へとインタフェースがとられる。チャネル要素245は、個別の利用者にサービスを行うデジタル無線機243へのインタフェースである。チャネル要素245は、関係付けられた無線機243によって送受信されている個々のセルに対し、信号処理機能---この例では、基本波および拡散スペクトラム(CDMA)の信号処理機能---を与える。
【0036】各クラスタ・コントローラ244は、Cバス(CBUS)390を備えている。Cバス390は、例えば、通常のコンピュータの入出力(I/O)バスであり、Cバス390にはコンピュータのI/O装置としてチャネル要素245が接続されている。Cバス390およびチャネル要素245は、コントローラ393の制御下で動作する。コントローラ393は、例えば、汎用のマイクロプロセッサであり、具体的には通常のマイクロプロセッサの主要なバスであるバス391を備えている。バス391は、通常の設計によるI/Oインタフェースとして機能するCバス・インタフェース392によってCバス390に接続されている。コントローラ393は、チャネル要素245とセル202のTDMバス140との間のデータの移動(具体的には、20ミリ秒毎に、各チャネル要素245に対し各方向に1回の転送)が行われるようにし、クラスタ・コントローラ244に対する運用、管理、および維持(OA&M)機能を果たし、さらにチャネル要素245とTDMバス140との間を通るデータ(呼のトラヒックおよび信号)に関する水準2および水準3のプロトコル書式化/書式解消(ディフォーマッティング)機能を果たす。バス391にメモリ(MEMORY)394が接続され、このメモリ394は、トラヒック・バッファ用の一時記憶装置、およびコントローラ393用の命令記憶装置の役を果たす。また、バス391には、HDLCコントローラ(HDLC CONTROLLER)395も接続される。これは、チャネル要素245とTDMバス140との間を流れるトラヒックについてHDLC書式化/書式解消を行い、クラスタ・コントローラ244で使用されるバイト構成形式とTDMバス140上で使用されるビット構成形式との間でトラヒック変換も行い、さらにビット充填およびLAPDフラグ挿入の機能も含む。HDLCコントローラ395は、これをバス140に接続する通常の設計のTDMバス・インタフェース396を通してTDMバス140との間でHDLCのシリアル・ビット流を送受信する。
【0037】圧縮された呼のトラヒックおよび信号が、バイト構成の情報の区分ごとの形式でチャネル要素245とクラスタ・コントローラ244との間で伝送される。各チャネル要素245は、例えば20ミリ秒ごとのように規則的な間隔でバイト構成の情報の1区分を送受信する。クラスタ・コントローラ244は、DCS201に送るために、バイト構成の情報の各区分を水準3のプロトコルを含むLAPDプロトコル形式にフォーマットする。適切な水準3のプロトコルであれば何を使用してもよいが、典型的な水準3のプロトコル350および351を図9および10に示す。
【0038】図9は、呼のトラヒック、信号またはその両方を伝えるために使用されるプロトコル350であり、一方、図10は、専ら特別な種類の信号を伝えるプロトコル351である。プロトコル350および351は、共に図7および8のフレームによって実現される。水準2のプロトコルによって伝達される水準3のプロトコルのデータ単位は、一般にパケットと称し、水準2のプロトコルのデータ単位は、一般にフレームと称する。図9のプロトコル350は、少なくとも320-327の情報フィールドからなる。別の種類の情報のための付加的なフィールドをパケット350に含めることもできるが、そのようなフィールドは現在の説明には無関係である。パケット番号フィールド320には、所与の方向に送信される一連のパケットにおけるこのパケット350の通し番号が入る。DCS201からチャネル要素245へと出て行くパケット350の場合、パケット番号は、新たな各呼の開始時に0で始まる。チャネル要素245からDCS201に入って来るパケット350の場合、パケット番号は、全ての移動電話203およびセル202が同期しているマスター・タイミング信号から得られる。パケット・タイプのフィールド321により、そのパケットが図9のパケット350に相当するトラヒック・パケットか、または図10のパケット351に相当する信号パケットかを識別する。クロック調整フィールド322に入るのは、移動電話203およびセル202が同期させられるマスター・クロックと公衆電話網100およびDCS201が同期させられるマスター・クロックとの間の現実的かつ実質的な変位を補償するために使用されるクラスタ・コントローラ244からDCS201への情報である。フィールド322は、逆方向にのみ使用され、順方向の場合は、空である。空中CRCフィールド323は、移動電話203の送信トラヒックについてそれ自体が計算した通常のチェックサムの結果であり、移動電話203によってそのトラヒックと共に送られる。信号品質フィールド324には、チャネル要素245が移動電話203から受信する呼トラヒックの信号の品質に関してチャネル要素245により算出される報告が入る。フィールド323および324も逆方向の場合にのみ使用され、順方向の場合は空である。電力制御フィールド325には、チャネル要素245によってそれに対応する移動電話203に送られる電力制御指示の動向に関するセル202からの情報が入る。通常は、このフィールドも逆方向の場合にのみ使用されるが、さらに後述するように、ソフト渡しの最中は両方向で使用される。音声/信号タイプのフィールド326により、パケット350によって伝達される情報の種類---音声トラヒックのみか、音声と信号か、または信号のみか---が識別される。そして、音声/信号データ・フィールド327により、呼の音声トラヒック、信号情報、または両者の混合体がチャネル要素245との間で伝達される。
【0039】図10に示した信号パケット351は、図9の信号パケットより単純であり、この説明に関係する321および328-331のフィールドを有する。図9に関連して既に説明したパケット・タイプ・フィールド321は、信号パケットとしてパケット351を識別する。メッセージ・タイプ・フィールド328により、パケット351によって伝達される信号の種類が識別される。チャネル要素IDフィールド329により、このメッセージ交換に関与する特定のチャネル要素245が識別される。フレーム選択IDフィールド330により、このメッセージ交換に関与するプロセッサ602(図6参照)上の特定の仮想ポートが識別される。これらのフィールド329および330は、安全確保、保守、実行結果の観測、課金、経路選択などに使用してもよい。チャネル要素245およびフレーム選択IDは、システムの編成時に管理のために割り当てられ、それ以降、一定に維持される。そして、信号データ・フィールド331によって、伝送中の信号情報が伝達される。
【0040】セルラ・コントローラ244により、複数のチャネル要素245がTDMバス140に結合される。各クラスタ・コントローラ244は、割り当てられた入力および出力の「パイプ」を通してTDMバス140上で通信を行う。この割り当ては、管理が可能で、一般にシステムの初期化の際に行われる。具体的には、各「パイプ」によって、TDMバス140上に複数(例えば4つ)のタイムスロット(即ち、4つの64Kbpsのチャネル)が形成される。逆(内向きの)方向の場合、クラスタ・コントローラ244は、チャネル要素245から受信されたトラヒック区分を待ち行列に加え、それらをパケットへと書式化し、それらのパケットを逆HDLC形式のLAPD(水準2のプロトコルの)フレームに包んで、それらのLAPDフレームをTDMバス140上のそれに割り当てられた出力パイプへと次々に送信する。順(外向きの)方向の場合、クラスタ・コントローラ244は、TDMバス140上で割り当てられた入力パイプからLAPDフレームを受信して、そのLAPDプロトコルを打ち切り、パケットのフォーマットを解消して、それらのパケットの内容を受信したフレームに収容されているアドレス・フィールドに従ってチャネル要素245に分配する。クラスタ・コントローラ244の動作の結果として、それらが送受信したフレームは、TDMバス140上に統計的に多重化され、これによって、TDMバス140の帯域幅のトラヒック処理能力は、他の伝送方式を超えて大幅に増大する。
【0041】実例となるLAPDフレーム300を図7に示す。具体的には、301-305の複数フィールドからなる。301はフレームの境界を決めるために使用されるフラグ・フィールド、302はデータ・リンク接続識別子(DLCI)フィールド、303はLAPDフレームの種類を指定する制御フィールド、303は前記の水準3のプロトコル(パケット)350および351を収容する利用者データ・フィールド、そして305は誤りの検出に使用されるフレーム・チェック・シーケンス(FCS)フィールドである。DLCIフィールド302は、フレームの発着アドレス・フィールドであり、そのフレームを特定のセルに関係付ける仮想リンク番号またはインデックス(DLCI)が収容される。順方向の場合、DLCIにより特定のチャネル要素245が特定され、逆方向の場合、これによって、特定の音声処理ユニット264のサービス回路(図6参照)に対応するプロセッサ612の複数(例えば2つ)の仮想ポートのうちの特定の1つが特定される。クラスタ・コントローラ244の内部において、フレームの発信元または受信先となるチャネル要素245がDLCIによって特定される。この実施例では、システムの編成時にDLCIがポートおよびチャネル要素に管理的に割り当てられた後、一定に維持される。
【0042】クラスタ・コントローラ244とのフレーム伝送は、フレーム中継伝送方式によって実現されるので、フレームに関するプロトコルの終了は伝送の端点以外では起こることはなく、このため図2のシステムによるフレーム伝送の効率および速度は大いに高まる。フレーム中継方式は、米国特許第4,894,822号に説明がある。これを参照によって本明細書に取り入れる。
【0043】同一のシステムにおいて通常のアナログ式またはデジタルTDMA式の無線電話103に無線電話サービスを提供するために、図3において波線のブロックによって提案したようにセル102に対して説明した要領でセル202におけるTDMバス140にアナログFM式またはTDMAデジタル式の無線機143も接続することができるので、好都合である。この代わりに、図2のシステム内部において、セル202と平行して従来のセル102を使用してもよい。TDMAトラヒックは、アナログ無線のトラヒックのような回路交換形式またはCDMAトラヒックのようなパケット交換形式の何れかで図2のシステム全体に伝えることができる。
【0044】図3のセル202において、DS1インタフェース242は、通常の機能を果たす。即ち、TDMバス140から64Kbpsのタイムスロットを収集して、それらをトランク207で伝送するためにDS1フォーマットに多重化し、またこの逆の処理も行う。この用途のために重要なことは、インタフェース242の内部において各DS0チャネルの信号に与えられる遅延時間が等しいことが各インタフェース242によって保証されることであるが、AT&TのTN464Cなど、多くの商用DS1インタフェースは、確かにこの条件を実際に満たしている。クラスタ・コントローラ244が果たす機能を考察すると、フレームはトランク207上に統計的に多重化され、トランク207を実施する設備の形式は、論理的にみれば、もはや図1のトランク107を実施するような純粋に従来的なDS1設備形式ではない。即ち、DS1設備に関しては24の独立したDS0チャネルからなるのに対し、この場合の各設備は、それぞれ1つ以上のDS0チャネルの帯域幅からなる多数の独立した「パイプ」からなる。単一のクラスタ・コントローラ244によって生成されるLAPDフレームまたはこれを宛先とするLAPDフレームが、これらのパイプの各々によって伝達される。これにより、トランク207によって与えられる帯域幅のトランク処理容量は、通常の回路交換方式のような他の伝送方式より大いに増大する。「パイプ」に組み込まれていない残りのトランク207(即ち、DS0チャネル)は、例えば通常の無線機143との間で情報を伝えるというように、回路交換ベースでそれぞれ単独に引き続き使用される。
【0045】図4にセル相互接続モジュール(CIM)209を示す。セル相互接続モジュール209は、具体的にはAT&TのDefinity通信システムのユニバーサル・モジュールにある。このモジュール209には、コントローラ251の制御下で動作するローカル・エリア・ネットワーク・バス(LAN BUS)250が含まれる。汎用DS1インタフェース252により、トランク207がLANバス250に接続される。各インタフェース252には、DS1インタフェース242のDS1設備インタフェース回路と同じ動作をするDS1トランク・インタフェース442、および集中ハイウェイ400によって相互に接続されたパケット処理要素(PPE)が含まれる。集中ハイウェイ400は、64Kbpsの速度をそれぞれ有する64のタイムスロットの時分割多重バスである。DS1トランク・インタフェース442は、集中ハイウェイ400から64Kbpsのタイムスロットを収集し、逆HDLCフォーマット(図3のセル202に関連して説明済み)を逆にして正常に戻し、さらにそのデータをトランク207上に送るためにDS1フォーマットへと多重化する機能およびその逆の機能を果たす。
【0046】PPE(パケット処理要素)401は、集中ハイウェイ400とLANバス250との間でLAPDフレームの中継機能を果たす。PPE401は、各DLCI302に対する回路基板アドレスおよびポート・アドレスを収容した変換テーブル(TABLE)411を備えている。変換テーブル411は、初期化時に処理される。PPE401は、集中ハイウェイ400の指定されたタイムスロット上のLAPDフレーム300を受け取るように管理される。集中ハイウェイ400上で受信された各LAPDフレームに対し、PPE401は、そのフレームのDLCIフィールド302の内容を用いてテーブル411の中のそれに対応する回路基板とポートのアドレスを見つける。その基板アドレスおよびポートアドレスによって、LANバス250上におけるフレーム300の意図された受信先が特定される。次に、PPE401は、フレーム300からフラグ・フィールド301を取り除き、さらに前記の発見した基板アドレスおよびポート・アドレスをフレームの前に付けて、図8に示した変形LAPDフレーム310を形成する。図7との比較により、フラグ・フィールド301が基板アドレス311およびポート・アドレス312によって置き換えられたことが分かる。次に、PPE401は、変形LAPDフレームをLANバス250上に送り出す。逆方向の場合、PPE401は、基板アドレス311を知るために、LANバス250上に送られた変形LAPDフレーム310を調べる。PPEは、求めるアドレス311を持つフレームを全て受信し、フレーム310からアドレス311および312を取り除き、それらをフラグ・フィールド301で置き換えてLAPDフレーム300を形成し、さらにそのフレーム300を集中ハイウェイ400上に送る。取り除いたアドレス312により、その特定のフレーム300が伝送されるべき特定のタイムスロットをPPE401に特定して知らせる。
【0047】セル相互接続モジュール209のLANバス250には、拡張インタフェース253も接続されている。各拡張インタフェース253によって、光ファイバ・トランク210がLANバス250に結合される。拡張インタフェース253は、単に経路選択要素として作用する。各拡張インタフェース253には、予め与えられたDLCI302、基板アドレス311およびポート・アドレス312を有する変形LAPDフレーム310を求めてLANバス250を監視するLANバス・インタフェース(LAN BUS INTFC.)450が含まれる。インタフェース450は、求めるDLCI302、基板アドレス311およびポート・アドレス312を有するフレーム310をすべて捕捉し、前に付けられた基板アドレス311を取り除いて、そのフレーム310をFIFOバッファ451に格納する。FIFOバッファ451は、そのフレーム310の前に付けられたポート・アドレス312、およびDLCI302を変換テーブル(TABLE)452に出力し、フレーム310のフィールド3002-305を変換挿入器453に出力する。テーブル452は、音声符号器モジュール220の基板アドレスおよびポート・アドレスの予め管理されたテーブルである。テーブル452では、テーブルがFIFOバッファ451からポインタとして受け取ったポート・アドレス312およびDLCI302を用いて、そのフレーム310に対する新たな基板アドレス311およびポート・アドレス312を見つけて、それらの新たなアドレス311および312を変換挿入器453に送る。挿入器453は、テーブル452から受信した新たな基板およびポートのアドレス311および312をFIFOバッファ451から受信したフレーム310のフィールドの前に付け加え、その新たなフレーム310をファイバ・インタフェース(FIBER INTFC.)454に送る。対応するアドレスが、テーブル452において見つからず送られて来ない場合、挿入器453は、受信したフレーム310を捨てる。ファイバ・インタフェース454は、フレーム310を光ファイバ・トランク210上に送る。トランク210上では、如何なる所望のプロトコルおよび伝送のフォーマットを使用してもよい。反対の方向の場合、ファイバ・インタフェース454は、トランク210上のフレーム310を受信し、それらをFIFOバッファ455に格納する。LANバス・インタフェース450は、FIFOバッファ455から格納されているフレーム310を取り出し、それらをLANバス250に送る。この結果、拡張インタフェース253は、それに取り付けられているファイバ・トランク210から受信したフレーム310を単にLANバス250に送るだけである。これらのフレーム310は、LANバス250上の送信先のインタフェース252を識別する基板アドレス311、およびLANバス250上で何れの拡張インタフェース253も捜さないポート・アドレス312を持つ。
【0048】通常の回路交換セルラ無線電話通信を扱うために、セル相互接続モジュール209は、図4において波線で示した要素を備えている。具体的には、セル相互接続モジュール(CIM)209が、TDMバス130と同じ機能を果たすTDMバス230を備え、各汎用DS1インタフェース252が、集中ハイウェイ400をTDMバス230に結合するタイムスロット交換器(TSI)402を備えている。TSI402は、通常のタイムスロット交換機能を果たす。即ち、集中ハイウェイ400およびTDMバス230上の指定された64Kbpsのチャネル(タイムスロット)を受信し、それらをTDMバス230および集中ハイウェイ400の指定されたタイムスロットにそれぞれ送り出す。TSI402は、セル毎にプログラムされる。これらの通常の通信を切り替えるために、TDMバス230は、図1について説明したように、TMSインタフェース133およびトランク109によってTMS121(図2参照)に接続される。これらの通常の通信を公衆電話網100に接続するために、TDMバス230は、DS1インタフェース132およびトランク106によって公衆電話網100にも接続される。
【0048】デジタル・セルラ交換機201の音声符号器モジュール220を図5に示す。各DCS201は、1つ以上の同じモジュール220を持つ。モジュール220は、具体的には、AT&TのDefinity通信システムのユニバーサル・モジュールである。モジュール220には、TDMバス130およびLANバス250と全く同様のLANバス260が含まれるが、双方ともコントローラ231の制御下で動作する。図1の場合のように、TDMバス130は、DS1インタフェース132およびトランク106によって公衆電話網100に接続される。拡張インタフェース253と同様の機能を有する拡張インタフェース263によって、セル相互接続モジュール209からのファイバ・トランク210が、LANバス260に接続される。DCS201の各セル相互接続モジュール209は、そのDCS201の各音声符号器モジュール220に接続されている。DCS201どおしの間の相互接続は、トランク106を通して公衆電話網100によって与えられる。
【0049】本明細書において音声符号器ユニット(SPU)264と称する複数の呼処理ノードによって、バス260および130が相互接続される。セル相互接続モジュール209の拡張インタフェース253によって各フレーム310の前に付けられた基板アドレス311に基づいて、各音声処理ユニット264が、それにアドレス指定されたフレーム310を受信し、それらの内容のパケット化を解除し(即ち、それらのプロトコルを終了させる)、受信された各フレームの内容について音声伸張を含む種々の処理機能を果たし、さらに処理されたフレームの内容を1つ1つの呼ごとに割り当てられたタイムスロットにTDMバス130上に送り出す。逆方向の場合、音声処理ユニット264は、1つ1つの呼ごとに割り当てられたタイムスロットにTDMバス130上の情報を受信し、それを基に音声圧縮を含む種々の処理機能を果たし、処理された情報をパケット化し、特定のセル202の特定のチャネル要素245を特定するDLCI302を各フレームに含め、LANバス260上のそのフレームの受信先を特定する基板アドレス311およびポート・アドレス312を各フレームの前に付けて、そのフレーム310をLANバス260上に送り出す。
【0050】セル相互接続モジュール209および音声符号器モジュール220の動作の結果として、それらの間で伝送中のフレーム310は、トランク210上に統計的に多重化され、このトランク上でフレーム中継されるので、トランク210によって与えられる帯域幅のトラヒック伝送容量は、回路交換などの他の伝送方式を超えて大いに増大する。
【0051】図3に関連して説明したように、通常の無線電話通信に対応するためにDCS201にTMS121を備えることができる。TMS121には、図1の交換モジュールについて説明した要領でトランク109およびTMSインタフェース133によって音声符号器モジュール220が接続される。
【0052】説明用の音声処理ユニット(SPU)264を図6に示す。各SPU264は、LANバス・インタフェース601を含む。インタフェース601は、所与の基板アドレス311を求めてLANバス260を進むフレーム310を監視し、求めるアドレス311を有するものを捕捉する。LANバス・インタフェース601は、バッファ620を含む。LANバス・インタフェース601は、フレーム310を捕捉すると直ちに、それにタイム・スタンプを追加し、それをバッファ620に格納してプロセッサ602に割り込み指示を出す。タイム・スタンプは、さらに後述するカウンタ623の現在の計数である。
【0053】フレーム310のポート・アドレス312により、SPU264によって実施される複数のサービス回路612のうちの1つが特定される。1つのセルに対し、そのセルの期間中またはハード渡しが起こるまで、サービス回路612が1つ割り当てられる。各サービス回路612は、独自の自動処理回路を持つ。しかし、すべてのサービス回路612が、時分割ベースでプロセッサ602のサービスを受ける。プロセッサ602は、SPU264のすべてのサービス回路612に対して、フレーム選択およびプロトコル処理の機能を果たす。LANバス・インタフェース601から受信されるフレーム310に対してプロセッサ602によって実行される関数を図11-14および図17-18に示し、サービス回路612から受信されるトラヒック区分(以下においては、トラヒック・フレームとも称する)についてプロセッサ602によって実行される関数を図15に示す。プロセッサ602は、各サービス回路612に対し、これらの関数の各々を20ミリ秒ごとに実行する。すべての関数の実行は、適応同期回路611およびインタフェース601によって与えられる割り込み信号により、割り込み駆動的に行われる。
【0054】出入りする呼トラヒックのトラヒック・フレームの交換は、プロセッサ602とサービス回路612との間でプロセッサ602のバッファ603を通して実行される。各サービス回路612は、それ自体の対応するバッファ603を持っている。プロセッサ602およびボコーダ604の入出力動作のタイミングにおける小さな差異および変動を補償するために、バッファ603により、サービス回路612のプロセッサ602とボコーダ604との間を通るトラヒック・フレームを緩衝する。
【0055】各サービス回路612は、独自のボコーダ604を有する。ボコーダ604は、音声の圧縮および伸張の機能を与える。各ボコーダは、プロセッサ602からバッファ603を介して圧縮された音声のトラヒック・フレームを規則的な間隔で(例えば、20ミリ秒ごとに)受信し、そのトラヒック・フレームを所定数(例えば、160バイト)のパルス符号変調(PCM)された音声標本へと伸張する。各バイトは、この例では125μ秒の期間(これを(「チックタック」の)「チック」と称する)を有する。逆方向の場合、ボコーダ604は、160バイトのCPM音声標本を受信し、それに対し音声圧縮関数を実行して、圧縮された音声のトラヒック・フレームをバッファ603を介してプロセッサ602に規則的な間隔で(20ミリ秒ごとに)出力する。ボコーダ604とプロセッサ602との間のトラヒック・フレームの交換は、ボコーダ604内部の入力クロック621および出力クロック622によって発生されるクロック信号によってタイミングをとる一方、ボコーダ604によるCPM標本の送受信は、クロック回路600によって発生されるクロック信号によってタイミングをとる。クロック621および622は、システムの初期化時およびサービス回路612のリセット時に、回路600のクロック信号のエッジによって同期がとられる。ボコーダ604は、当分野において周知である。具体的には、各ボコーダ604は、カルコム社(Qualcomm Inc.)のQCELP低ビット・レート可変速音声符号化/復号アルゴリズムを実施するAT&Tの16Aデジタル信号プロセッサ(DSP)を用いて実施される。QCELPアルゴリズムは、音声活動が低いか無い期間には極力少ない情報を送るように対応する。この実施例のフレーム伝送機構は、時間的に変化するトラヒック負荷に理想的に適応する。
【0056】CDMAおよびTDMAの両方のトラヒックを扱ってTDMAトラヒックもフレーム中継されるようなシステムの場合、サービス回路612の幾つかは、TDMAトラヒックを専門に扱い、それらのボコーダ604は、具体的にはTDMA通信のためのTIA IS-54規格に従ってプログラムされたAT&Tの16Aデジタル信号プロセッサである。
【0057】ボコーダ604から送られるPCM標本は、トーン挿入回路605を通る。各サービス回路612には独自のトーン挿入回路605がある。トーン挿入回路605は、プロセッサ602からのコマンドにより直ちに、ボコーダ604により出力されたPCM標本を一時的に阻止して放棄し、これに替えて、前記のコマンドによって指定されたタッチ・トーン信号のPCM標本を代用する。トーン挿入回路605は、ボコーダ604に入力されているPCM標本には影響しない。トーン挿入回路605の動作は、クロック回路600によって発生されるクロック信号によってボコーダ604の出力に同期される。
【0058】サービス回路612の構成順では、トーン挿入回路605の次にエコー・キャンセラー606が続く。サービス回路612には、それぞれ独自のエコー・キャンセラー606がある。これにより、ボコーダにより生成され電話網に向かうトラヒックを減衰させたコピーを取っておき、適切に遅らせたコピーを受信された電話網に向かうトラヒックから引くことによって、電話網100からの呼トラヒックから電話網100に向かう呼トラヒックのエコーを中和する。各エコー・キャンセラー606は、当分野において周知である。エコー・キャンセラー606の動作にタイミングは、クロック回路600によって発生されるクロック信号によって制御される。
【0059】エコー・キャンセラー606は、電話網からのトラヒックを集中ハイウェイ607から受信し、電話網に向かうトラヒックを集中ハイウェイ607に送り出す。集中ハイウェイ607は、64Kbpsのタイムスロットを伝送する受動直列TDMバスである。エコー・キャンセラー606は、集中ハイウェイ607においてそれ自体の入力タイムスロットおよびそれ自体の出力タイムスロットを静的に割り当てられる。
【0060】TDMバス・インタフェース608により、集中ハイウェイ607がTDMバス130に接続される。インタフェース608は、集中ハイウェイ607とバス130との間でタイムスロット交換(TSI)機能を果たす。この動作は、回路600によって発生されるクロック信号によってタイミングがとられ、変換維持ユニット609によって制御される。ユニット609は、その音声符号器モジュール220のコントローラ231の指示のもとで、各セルごとに集中ハイウェイ607からバス130へタイムスロットを割り当てる機能を果たす。ユニット609は、バス130によって実施される制御チャネルを介してコントローラ231と連絡をとる。この制御チャネルは、インタフェース608および(変換維持制御)バス613を通してユニット609へのインタフェースが与えられる。ユニット609は、制御リンク616を介してLANバス・インタフェース601に維持機能を施す。
【0061】ユニット609は、インタフェース608に対し、双方が接続されている変換維持制御バス613を介して制御を行う。同様に、プロセッサ602もプロセッサ制御バス610を介して回路601、603-606、および611を制御する。プロセッサ602とユニット609との間の通信は、バス610とバス613を結合するバッファ(BUFF.)614によって円滑に行われる。
【0062】クロック回路600は、TDMバス130に接続されていて、通常の要領でこれからタイミング情報を引き出す。そして、この情報を種々の速度のクロック信号の形で分配する。この信号には、2.048MHz、8KHzおよび50Hz(それぞれ500nsec、125μsecおよび20msecの周期に相当する)が含まれるが、これらをすべてクロック・バス615を介して回路604-606、608および611に同期させることにより、それらの動作をTDMバス130に同期させている。また、クロック回路600は、その情報をLANバス・インタフェース601にも与え、LANバス260のビット時間の同期化を図っている。TDMバス130の動作は、電話網100に同期されているので、クロック回路600により、種々の要素の動作が電話網100のマスター・クロックに同期する。
【0063】適応同期回路611においては、クロック回路600から得たクロック信号を用いて、クロック回路600によって発生された20msecのクロック信号に周波数は同期しているがそれから位相が変位している(変位量はプロセッサ602によって制御される)ようなクロック信号が生成される。これらのオフセット・クロック信号は、プロセッサ602の動作の時間調整に使用される。これらのオフセット・クロック信号の生成および使用については、以下においてさらに説明する。物理的には、回路611および600を1つの装置として実施してもよい。
【0064】回路611には、現在時カウンタ623も含まれる。カウンタ623は、PCM標本チック(標本周期で、例えば125μsec)ごとに1回その計数をインクリメントする。この計数は、クロック回路600からの50Hzの各クロック・パルスによって20msecごとにリセットされる。このように、カウンタ623は、クロック回路600によって発生される信号に関する現在時を示す。カウンタ623の第2の部分により、125μsecの計数をリセットする20msecのクロック・パルスによってインクリメントされるモジュロ8の計数が維持される。LANバス・インタフェース601が受信したフレーム310のタイム・スタンプとして使用できるように、カウンタ623は、計数をインタフェース601に与える。
【0065】ここで、プロセッサ602とそのパケット処理およびフレーム処理の説明に戻る。(水準2のプロトコル処理は一般にフレーム処理と称し、水準3のプロトコル処理は一般にパケット処理と称する。)プロセッサ602がLANバス260から受信したフレームに対してプロセッサ602が実行する関数を図11-14に示す。プロセッサ602は、これらの関数を各サービス回路612に対して20msecごとに実行する。特定のサービス回路612に対するこれらの関数の個別の関数の実行は、LANバス・インタフェース601および適応同期回路611から相応の受信割り込み信号を受信することを契機として行われる。
【0066】既に述べたように、LANバス・インタフェース601は、対応する音声処理ユニット(SPU)264にアドレス指定されたフレームを受信すると直ちに、その受信したフレームにタイム・スタンプを追加し、それをバッファ620に格納して、プロセッサ602に割り込みを掛ける。ステップ900において、プロセッサ602がLANバス・インタフェース601から受信割り込み信号によって呼び出されると、プロセッサ602は、ステップ902において、LANバス・インタフェース601のバッファ620から受信されたフレームを取り出す。次に、ステップ904において、そのフレームに対し通常の水準2の処理、即ちLAPDプロトコル処理を実行する。この処理にフレーム受信の承認を含めてもよい。水準2の処理が終わりしだい、ステップ906において、制御フィールド303を調べて、これが水準2のみのフレーム(例えば、鉢巻検査フレーム)かどうかを調べる。そうならば、フレームの処理を終了し、ステップ908において、単に呼び出し点に戻る。しかし、このフレームが水準2のみのフレームでない場合、即ち、その利用者データ・フールド304に水準3のプロトコルが入っている場合、ステップ910において、そのフレームのDLCI302を用いて、そのメモリからフレームが関係する呼に関して格納されている呼の状態情報を選択する。次に、ステップ911において、受信した水準3のプロトコルのパケット・タイプ・フィールド321を調べて、そのパケットの種類---トラヒックか、信号か---を判断する。フィールド321が、パケットが信号パケットであることを示す場合、そのパケットがセルから交換機への信号情報、即ちDCS201向けの信号を伝えることを意味する。従って、プロセッサ602は、ステップ970において、信号により指示された関数を実行する。これは、3つの関数のうちの何れかである。即ち、呼の確立もしくは破棄またはソフト渡し中の第2の呼の追加もしくは削除の何れかによって呼の状態情報を更新する関数、呼の電話網に向かう部分にトーンを挿入する関数、または初期クロック同期化(図17に関連して説明する)を行う関数の何れかである。次に、プロセッサ602は、ステップ946において、呼び出し点に戻る。音声/信号パケット350が、20msecの周期で送受信されるのに対し、信号のみのパケット351は、信号情報の送信要求に応じて何時でも送ることができる。
【0067】パケットがトラヒック・パケットであることをフィールド321が示す場合、プロセッサ602は、ステップ912において、クロック調整および同期化の関数を実行して、回路600によって発生されたクロック信号に対する回路611によって発生されたクロック信号のオフセットをプロセッサ602により決定された量または受信されたパケットのクロック調整フィールドにより指示された量だけ変化させる。これについては図18に関連して説明する。次に、ステップ914において、受信された水準3のパケットの音声/信号タイプ・フィールド326を調べて、そのパケットによって伝えられる情報の種類---音声のみ、音声と信号、または信号のみの何れか---を特定する。そのトラヒック・パケットが音声のみのパケットであるならば、ステップ916において、取り出した呼の状態情報を調べて、その呼がソフト渡し中かどうかを判断する。ソフト渡し中でない場合、ステップ918において、フレームの空中CRCフィールド323(セル202と移動電話203との間のCDMA伝送に関して算出されたチェック・サムの結果が収容されている)を検査する。空中CRCの検査結果が合わない場合、そのパケットは欠陥のある情報を伝えることになるので、ステップ923において、そのパケットを捨て、ステップ946において、戻る。このトラヒックの損失はボコーダ604により隠蔽される。ステップ918において空中CRC検査の結果が一致した場合、ステップ919において、パケットの信号品質フィールド324を調べて、音声品質が所定のしきい値を満たすかどうかを判断する。音声品質がそのしきい値を確かに満たす場合、ステップ920において、パケットにコマンドを追加することにより、そのパケットに「可」の印を付け、ステップ922において、その音声情報パケットを適切なサービス回路612に割り当てられたバッファ603に格納した後、ステップ946において、呼び出し点に戻る。音声品質が最小のしきい値を満たさない場合、ステップ921において、パケットに「不可」の印を付け、ステップ922において、その音声情報パケットを適切なサービス回路612に割り当てられたバッファ603に格納した後、ステップ946において、戻る。
【0068】以上の処理において、プロセッサ602は、受信されたパケットのパケット番号フィールド320を用いて、失われたり順序不同となったりしたパケットを通常の方法で検出し、処理する。
【0069】ステップ916に戻り、呼がソフト渡し中であるなら、プロセッサ602は、その呼に対し2つのパケット---それぞれ異なるセル202からであるが、一般に同一の情報を伝える---を20msecごとに受信しているはずである。従って、ステップ932において、2つの同じのパケットをまた受信したかどうかを調べる。同じパケットは、フィールド320に同じパケット番号を持つことから識別される。同じでない場合、予想される同じパケットのうちの一方だけを受信したか、または両方のセルからパケット番号の異なるパケットを受信したことになるので、ステップ933において、受信直後のパケットのパケット番号を調べて、そのパケット番号が、予想されるパケット番号と比較して大きいか、等しいか、または小さいかを判断する。受信されたパケットの番号が予測されるパケット番号より大きい場合、ステップ934において、受信されたパケットを記憶し、ステップ935において、以降に予測されるパケットが受信されたことを示すように、関係付けられた呼の状態情報を更新し、ステップ946において戻る。ステップ935における呼の状態情報の更新には、受信されたパケットの電力制御フィールド325の内容の記憶も含まれる。受信されたパケットの番号が予測されるパケット番号に等しい場合、前述のようにパケットを処理するためにステップ918およびそれ以降のステップを進む。そして、受信されたパケットのパケット番号が予測されるパケット番号より小さい場合、ステップ936において、その受信されたパケットを捨てて、ステップ946において戻る。この場合も、そのトラヒックの損失は、ボコーダ604により隠蔽される。
【0070】ステップ932に戻り、プロセッサ602が予想どおりの両パケットを受け取ったと分かった場合、プロセッサ602は、ステップ938において、その事を示すように呼の状態情報を更新する。これには、その受信されたパケットの電力制御フィールド325の内容を記憶することも含まれる。次に、ステップ940において、何れのパケットの方がよいか判断するために、(現在はバッファ603に記憶されている)最初に受信された予想どおりのパケットを取り出して、両方のパケットの空中CRCおよび信号品質の表示を比較する。次に、ステップ941において、良い方のパケットの音声品質を調べて、音声品質が所定のしきい値を満たすかどうかを判断する。満たす場合、ステップ943において、良い方のパケットにコマンドを追加することによって、そのパケットに「可」の印を付ける。満たさない場合、ステップ942において、その良い方のパケットに「不可」の印を付ける。そして、悪い方のパケットを捨て、ステップ944において、対応する呼のチャネルのバッファ603に良い方のパケットを格納する。次に、ステップ946において、戻る。
【0071】ステップ946に続いて図12に移る。ステップ950において、特定の(X番目の)サービス回路612に対する受信割り込み信号RX_INT_Xによって、プロセッサ602が呼び出されると、プロセッサ602は、ステップ951において、そのサービス回路612に対応するバッファ603を調べて、そのバッファ603が空かどうかを判断する。空でない場合、ステップ952において、バッファ603の内容を取り出し、取り出した内容をそのサービス回路612のボコーダ604に渡す。バッファ603が空の場合、ステップ953において、適切なサービス回路612のボコーダ604において、捨てられたパケットによって伝達される音声区分の損失を隠蔽する関数を呼び出す。ボコーダ604は、それが前に受信したパケットの関数として生成するPCM標本を回路605への出力として生成することによって前記の損失を隠蔽する。そして、プロセッサ602は、ステップ954において、呼び出し点に戻る。
【0072】再びステップ914を説明する。通常の状況の下では、所与の呼に関与するセル202から移動電話203に信号が直接送られるので、プロセッサ602は、「ソフト渡し」の期間に限って、信号情報を伝えるトラヒック・パケットに遭遇する。トラヒック・パケットが信号情報しか伝えない場合、プロセッサ602は図13のステップ955に進む。そこで、さらに音声/信号タイプ・フィールド326の内容を調べて、信号の方向---順方向か、逆方向か、または両方向か---を判断する。向きが順方向の場合、その信号がセル202によって発生され、かつ移動電話203に向かうものと見なし、ステップ956において、そのパケットを単に記憶して、ステップ970において、戻る。両方の信号方向が示された場合、ステップ957において、順方向の信号を記憶して、ステップ958に進む。方向が逆の場合、その信号が移動電話203によって発生され、かつセル202に向かうものと見なし、ステップ958において、信号パケットを両側から(即ち、その「ソフト渡し」に必然的に引き込まれたセル202の両方から)受信したかどうかを検査する。そうでない場合、ステップ960において、そのパケットを記憶し、ステップ962において、一方から信号パケットを受信したことを示すように、対応する呼の状態情報を更新する。そして、ステップ970において戻る。ステップ958の検査によって、両方から信号パケットを受信したことが分かった場合、ステップ964において、その事を示すように対応する呼の状態情報を更新し、ステップ966において、2つのパケットの空中CRCおよび信号品質のフィールド323および324を比較して、何れのパケットの方が信号品質が良いかを判断する。次に、ステップ968において、悪い方のパケットを捨て、良い方のパケットを記憶して、ステップ970において、戻る。
【0073】ステップ914に戻り、パケットが音声および信号の両方の情報を伝えると判断した場合、プロセッサ602は、図14のステップ985に進み、図13の信号処理ステップ955-968と全く同様の図14のステップ985-998を実行し、さらに図11のステップ932に進んで音声処理ステップを実行する。
【0074】ボコーダ604から受信されたトラヒック・フレーム(音声情報の区分)についてプロセッサ602によって実行される関数を図15に示す。これらの関数は、各サービス回路612に対して20msecごとに実行される。特定のサービス回路612に対する関数の実行も、適応同期回路611によって与えられる相応の送信割り込み信号の受信によって、割り込み駆動される。
【0075】ステップ1200において、特定の(X番目の)サービス回路612に対する処理を開始するように送信割り込み信号TX_INT_Xによって呼び出されると、プロセッサ602は、ステップ1202において、このサービス回路612によってサービスを受けている呼について記憶されている呼の状態情報を調べて、その呼がソフト渡し中であるかどうかを判断する。ソフト渡し中でない場合、ステップ1227において、サービスされているサービス回路612のボコーダ604にアクセスして、完全レートで符号化された呼情報のトラヒック・フレームを要求する。ステップ1228において、ボコーダ604からトラヒック・フレームを受信すると直ちに、ステップ1230において、そのトラヒック・フレームを水準3のプロトコルで書式化する。これには、その呼トラヒックの先頭にパケット番号およびパケット・タイプを付けることも含まれる。次に、ステップ1232において、書式化されたトラヒック・フレームをLAPDフレーム・フォーマットで包んで、LAPDフレーム300(図7参照)を形成する。これには、その呼の移動電話に向かう方向に関係付けられたDLCIで、且つその呼をサービスしている特定のセル202(図3参照)の特定のチャネル要素245を特定するものを取り出して、そのDLCIをLAPDフレーム300に含めることも含まれる。次に、ステップ1234において、このDLCIを用いて、このDLCIに対応する基板アドレス311およびポート・アドレス312をテーブルから捜し、発見したアドレス311および312をLAPDフレーム300の先頭に付けて、変形LAPDフレーム310(図8参照)を形成する。ステップ1236において、フレーム310をLANバス260へと送る出すために、これをLANバス・インタフェース601に渡す。そして、プロセッサ602は、ステップ1238において、呼び出し点に戻る。
【0076】ステップ1202に戻り、呼がソフト渡し中であるとプロセッサ602が判断した場合、プロセッサ602は、ステップ1204において、その呼について記憶されている呼の状態情報を調べて、この回路に対して順方向の信号が何か記憶されているかどうかを判断する。順方向の信号であれば、その呼を扱ってきたセル202(マスター・セル202と称する)のみから受信されて、図13のステップ956もしくは957、または図14のステップ986もしくは987で記憶されていることになる。順方向の信号が記憶されていない場合、ステップ1206において、サービスされているサービス回路612のボコーダ604にアクセスして、完全レートで符号化された通信情報のトラヒック・フレームを要求する。ただし、順方向の信号が記憶されている場合は、順方向の信号情報のための余地をパケット中に確保しなければならないので、ステップ1208において、ボコーダ604をアクセスして、不完全レートで符号化された通信情報のみのトラヒック・フレームを要求する。
【0077】ボコーダ604は、一般に完全レートで符号化された情報のトラヒック・フレームを与えるので、不完全レートで符号化された情報のトラヒック・フレームに対する要求には即座に応答できない可能性がある。さらに、音声活動に中断があれば、完全レートで符号化されたトラヒック・フレームが要求された場合でも、不完全レートで符号化されたトラヒック・フレームが供給されることもある。プロセッサ602は、ステップ1218において、この状態を検査することになる。
【0078】プロセッサ602は、ステップ1209において、ボコーダ604からトラヒック・フレームを受信すると、ソフト渡しに関係する両方のセル202に送るために複製を持つように、ステップ1210において、トラヒック・フレームの複製を作る。次に、ステップ1212において、ソフト渡しに関係する両方のセル202から図11のステップ935および938において格納されたと思われるの電力制御情報を取り出し、それら2つのセル202の各々に対し双方のセル202の他方から受信された電力制御情報が送られるように、前記の取り出した情報を交換して、交換した情報を複製のパケットに電力制御フィールド325として挿入する。次に、ステップ1214において、呼の状態情報(ステータス)を調べて、呼に対し逆方向の信号が受信されて図13のステップ968または図14のステップ998で記憶されたかどうかを判断する。逆方向の信号が利用できる場合、ステップ1216において、それを複製のパケットの両方に追加する。ステップ1216に続いて、あるいは逆方向の信号が利用できない場合、ステップ1218において、完全レートで符号化されるか不完全レートで符号化されたフレームがボコーダ604によって供給されているかどうかを判断する。トラヒック・フレームが完全レートで符号化されている場合、そのフレームには順方向の信号情報のための余地がないので、プロセッサ602は、ステップ1230以降に進んで、両方の複製パケットのフォーマット化、パケット化、および送信を行う。ステップ1234におけるパケット化には、各複製パケットのフレーム・プロトコル300に異なるDLCIを含めることにより、2つのパケットがソフト渡しに関わる異なるセル202にそれぞれ進むようにすることも含まれる。ステップ1218に戻り、トラヒック・フレームが不完全レートで符号化されている場合、ステップ1220において、呼の状態情報を調べて、その呼に対する順方向の信号が図13のステップ956または図14のステップ986で受信され記憶されたかどうかを判断する。順方向の信号が利用できる場合、ステップ1222において、それを両方の複製パケットに加える。ステップ1222に続いて、あるいは順方向の信号が利用できない場合、ステップ1230以降に進む。
【0079】ここで、セル202および音声処理ユニット(SPU)264の動作の同期化を図16-22に関係付けて詳細に説明する。
【0080】電話網100から移動無線電話203へのトラヒックの流れに対する初期のタイミング調整の状況を図19に示す。前述のように、すべての移動無線電話203およびすべてのセル202のすべてのチャネル要素245の動作は、全地球的測位衛星によって放送される信号などの共通のタイミング信号によって駆動され同期化される。これから、各セル202が20msecのセル・クロック1000信号を獲得し、このクロック1000が誘引となって、20msecごとに時刻1300において、呼に関係する各チャネル要素245が、対応する移動電話203への送信を行う。所与の呼に対し、プログラムされた一定のオフセット(これはゼロの場合もある)が、存在することがある(即ち、セル・クロック1000の立ち上がりと時刻Tx1300との間のオフセット)。この一定のオフセットにより、信号1304、1307、1308および1309の相対位置が、このオフセット分だけ影響を受ける。
【0081】時刻1300に呼トラヒックを送ることができるためには、チャネル要素245が、時刻1300の最低でもある最小の期間だけ前の時刻tmin1301には、呼トラヒックを受信しなければならない。チャネル要素245は、前の送信の時刻1300のわずか後で現在の送信に関する前記の受信期限1301のわずか前に存在する時間枠1302の期間内に、送信情報を受信することが望ましい。このように、時間枠1302により、小さな時間的変動に対して余裕が与えられる。しかし、呼が確立されつつあるときは、その呼を扱うチャネル要素245が、送信するための呼トラヒックのパケットをSPU264から何時受信するかは不明である。これは、既に述べたように、移動電話交換機201の動作が、セル202のクロックとは異なるクロックによって制御され、このクロックが、セル・クロック1000から独立していて、これに同期していないからである。さらに、その他の要因、即ち移動電話交換機201と異なるセル202との間の距離の相違、およびこれらの間で伝送される異なるトラヒック負荷---さらにこれらの間で結果的に異なる伝送遅延時間---なども、受信時刻を不明にする。従って、チャネル要素245とSPU264との間で呼の経路が最初に確立され、かつ空のトラヒックがこれらの間を流れ始めたとき、SPU264からのパケットは、時間枠1302の外側にある時刻1303---さらに最悪の場合には、時刻tmin1301の後の時刻1303---に、チャネル要素245によって受信される可能性がある。このような場合、そのチャネル要素に対応するチャネル・コントローラ244が、信号パケットをSPU264に送って、SPU264からのパケットの送信時間の調整の必要性を示すと共に、チャネル要素245におけるパケットの受信時間を時間枠1302内に安全に位置付けるために送信時間を調節しなければならない分の時間も示す。
【0082】セル202において実行されるクロック調整関数を図16に示す。これらの関数によって、クラスタ・コントローラ244においてパケットの受信時に呼び出されプロセッサによって実行されるルーチンが構成される。ステップ1001において、このルーチンが呼び出されると、ステップ1002において、受信されたパケットが呼に対して受信された最初のトラヒック・パケットかどうかを調べる。最初のパケットである場合、ステップ1004において、そのパケットが受信された時間を時間枠1302(この範囲はクラスタ・コントローラ244に記憶されている)と比較し、ステップ1006において、時間枠1302との関連で何時、そのパケットが受信されたかを判断する。パケットが枠1302のほぼ中心で受信された場合、クロックの調整は必要ないので、ステップ1022において、ルーチンは、単にその呼び出し点に戻る。パケットの受信が早すぎた場合、ステップ1008において、セル交換機タイプの信号パケットが呼を処理しているSPU264のプロセッサ602に送られるようにすることで、その呼に対するTX_INT_X割り込みの時間を同様にパケット中で指定された時間だけ遅らせるようにプロセッサ602に要求することにより、受信時間を枠1302のほぼ中央に移すようにする。逆に、パケットの受信が遅すぎた場合、ステップ1010において、セル交換機タイプの信号パケットがプロセッサ602に送られるようにすることで、その呼に対するTX_INT_X割り込みの時間を指定された時間だけ早めすように要求する。そして、ステップ1022において、ルーチンはその呼び出し点に戻る。
【0083】また一方では、最初に受信されるトラヒック・パケットのみに応じる必要はなく、複数の受信されるトラヒック・パケットの受信に基づいて必要とされるクロック調整の平均時間を算出してもよい。
【0084】チャネル要素245のパケット受信時間1303は、SPU264におけるパケット送信時間に対応する。前述のように、SPU264からチャネル要素245へのパケットの送信は、適応同期回路611によってプロセッサ602に発行される送信割り込み信号TX_INT_Xによって誘発される。結果的に、チャネル要素245におけるパケットの受信時間をある量だけ調節するためには、回路611のTX_INT_X信号を同じ量だけ調節する必要がある。従って、プロセッサ602は、前記の信号パケットをチャネル要素245から受信すると、これに応じて、図11ステップの970において、適応同期回路611に指示して、対応するサービス回路612に対するTX_INT信号を指定された量だけ調節させる。回路611は、これに応じて、その送信割り込み信号を指定された期間(図19において1310として示した)だけ変更する。このようにして、パケットの送信時間は、SPU264において時刻1304から時刻1305へと変更される。時刻1305は、チャネル要素245において枠1302の中にあるパケット受信時刻1306に相当する。
【0085】しかし、パケットを所与の時刻に送信できるためには、プロセッサ602が、ボコーダ604からのそのパケットに含まれているトラヒック・フレーム(呼トラヒックの区分)を送信時刻よりある程度早い時刻に受信しなければならない。パケット送信時刻1304が、フレーム受信時刻1307に対応し、さらにこれが、ボコーダ604のトラヒック・フレーム送信時刻1308に対応するのに対し、変更されたパケット送信時刻1305は、変更されたトラヒック・フレーム受信時刻1311に対応し、さらにこれが、ボコーダ604のトラヒック・フレーム送信時刻1309に対応する。結果として、プロセッサ602は、ボコーダ604がそのトラヒック・フレーム送信時刻を時刻1308から時刻1309に変更するようにしなければならない。
【0086】ボコーダ604では、内部の出力クロック622を用いてトラヒック・フレームの送信時刻が調節される。X番目のサービス回路612のクロック622は、クロック回路600から受信したクロック入力信号に最初に同期される。プロセッサ602は、ボコーダ604にコマンドを送り、回路600のクロックの入力信号に対するボコーダ604の出力クロック622信号のオフセットをプロセッサ602がチャネル要素245から受信した信号パケットにおいて指定された前記の期間だけ調節させる。ボコーダ604は、これを実行することにより、そのトラヒック・フレーム送信時刻を時刻13008から時刻1309に変更する。最終的な結果として、チャネル要素245、サービス回路612、およびプロセッサ602の同期を要する動作が互いに同期化された。
【0087】セル202からのクロック調整制御パケットの受信に対するプロセッサ602の応答状況を図17に示す。ステップ1050において、受信された信号パケットによりクロック調整の実行を要求していると判断すると、プロセッサ602は、ステップ1052において、パケットの内容を調べて、タイミング信号を移動させるべき方向を判断する。それを遅らせなければならない場合、ステップ1054において、適応同期回路611にコマンドを送り、後続のTX_INT_X割り込み信号をそのパケットで指定された量の時間だけ遅らせるようにする。また、ステップ1056において、ボコーダ604にもコマンドを送り、クロック600信号に対するボコーダ604の出力クロック622のオフセットを指定された同じ量の時間だけ増加させようにして、ステップ1062において、戻る。タイミング信号を時間的に進める場合、ステップ1058において、適応同期回路611にコマンドを送り、後続のTX_INT_X割り込み信号を受信した信号パケットで指定される量の時間だけ進めるようにする。また、ステップ1060において、ボコーダ604にもコマンドを送り、クロック600信号に対するボコーダ604の出力クロック622のオフセットを同じ量の指定時間だけ小さくするようにして、ステップ1062において、戻る。
【0088】移動無線電話203から電話網100へのトラヒックの流れに対する最初の時間調整のようすを図20示す。前述のように、移動無線電話203およびセル202を互いに同期させる。セル・クロック1000に相当するクロック(これは、セル202から移動電話が受信したトラヒックからそれが得る)により、移動無線電話203が、その呼を扱っているチャネル要素245に20msecごとに送信を行い、これによって、チャネル要素245は、その送信を時刻1400に受信し、さらにそれをパケットでSPU264に宛て時刻1403に送る。チャネル要素245におけるパケット送信時刻1403は、SPU264のプロセッサ602におけるパケット受信時刻に対応する。受信時刻1400は、セル・クロック1000から、送信時刻1300に関してプログラムされた一定の(セル202における)オフセットの量だけ相対的に変位している。従って、送信時刻1300におけるオフセットのため、受信時刻1400にも同様のオフセットが生じる。このオフセットは、ここで説明する機構によって補償される。
【0089】特定の(X番目の)サービス・チャネル612に対するチャネル要素245からのパケットの受信は、適応同期回路611によって発生されたそのサービス・チャネル612に対する受信割り込み信号RX_INT_Xによってプログラム602において誘発される。パケットを処理するための時間をプロセッサ602に十分与えるためには、そのパケットに収容されている呼のトラヒック・フレームをボコーダ604に送るより、そのパケットの受信の方が、ある最小時間だけ先行しなければならない。まず、プロセッサ602からのトラヒック・フレーム送信時刻1406に対応する時刻1408に、ボコーダ604はトラヒック・フレームを受信することになっている。従って、ボコーダ604に対しトラヒック・フレームを時刻1406に送るためには、プロセッサ602が、相応のパケットをチャネル要素245から遅くとも時刻tmin1401には受信しなければならない。なるべく、プロセッサ602は、ボコーダ604への前のフレーム伝送の送信時刻1406の少し後で現在のフレームの送信時刻tmin1401の少し前にある時間枠1402の中で、各パケットを受信することが好ましい。このように、時間枠1402によって、少々の時間的変動に対しては、ある程度の余裕が与えられる。
【0090】しかし、呼が確立される途上にあるときは、プロセッサ602がチャネル要素245から情報パケットを受信する時刻は不明である。これは、前記のように、チャネル要素245もプロセッサ602からパケットを何時受信するか不明だからである。従って、チャネル要素245とSPU264との間で呼の経路が最初に確立され、さらにこれらの間で空のトラヒックが流れ始めると、チャネル要素245からのパケットは、枠1402の外側にある時刻1404、さらに最悪の場合には、時刻tmin1401の後の時刻1404にプロセッサ602によって受信される。プロセッサ602は、チャネル要素245がパケットを送信する時刻1403を変更することはできないので、それらのパケットをプロセッサ602が受信する時刻1404も変更できない。プロセッサ602は、ボコーダ604にフレームを送る時刻1406を変更できるだけである。従って、時刻1404が枠1402の外にある場合、プロセッサ602がパケットを受信する時刻1404を枠1402の中に安全に位置付けるために、プロセッサ602は、ボコーダ604にフレームを送る時間を調節しなければならない期間1410を決定する。次に、プロセッサ602は、適応同期回路611にコマンドを送り、対応するサービス回路612に対する受信割り込み信号RX_INT_Xを指定した量だけ調節させる。回路611は、これに応じて、受信した割り込み信号を指定された期間1410だけ変更する。このように、プロセッサ602からボコーダ604へのフレーム送信時刻が、時刻1406から時刻1407へと変更され、これによって、プロセッサ602におけるパケット受信時刻1404が、枠1402の内側に移される。
【0091】しかし、フレーム送信時刻を時刻1406から時刻1407に移すことができるためには、プロセッサ602は、ボコーダ604に、そのフレーム受信時刻を時刻1408から時刻1409に変更させる必要がある。ボコーダ604は、内部の入力クロック621の出力を用いてフレームの受信時刻を調節する。出力クロック622と同様に、入力クロック621もクロック600の入力信号に同期している。従って、プロセッサ602は、ボコーダ604にコマンドを送り、クロック600入力信号に対する入力クロック621信号のオフセットを前記の期間1410だけ調節させる。ボコーダ604は、これを行うことによって、そのフレーム受信時刻を時刻1408から時刻1409へと変更する。この場合も、最終的な結果として、チャネル要素245、サービス回路612およびプロセッサ602の同期を要する動作が互いに同期した。
【0092】以上の説明したクロック調整関数は、図11のステップ912においてプロセッサ602によって実行されが、これを図18に示す。ステップ1070においてクロック調整関数の実行を開始すると、プロセッサ602は、ステップ1072において、取り出した呼の状態情報および受信したパケット・タイプから、その受信したパケットがその呼に対する最初のパケットかどうかを判断する。そうならば、ステップ1073において、そのパケットの受信タイム・スタンプ(LANバス・インタフェース601によってパケットに追加される)を枠1402(この範囲は、プロセッサ602が扱う各呼に対して計算し記憶している)と比較し、ステップ1074において、その枠1402との関連において何時パケットが受信されたかを判断する。前記のパケットが枠1302のほぼ中央で受信された場合、クロック調整の必要はないので、ステップ1090に進む。パケットの受信が早すぎた場合、ステップ1075において、適応同期回路611にコマンドを送り、受信時刻を枠1402のほぼ中央に移すのに必要であるとプロセッサ602が判断した量の時間だけ、後続のRX_INT_X割り込み信号を進めるようにする。また、ボコーダ604にもコマンドを送り、クロック600信号に対するボコーダ604の入力クロック621のオフセットを同じ量の指定時間だけ増やすようにする。逆に、パケットの受信が遅すぎた場合、ステップ1077において、適応同期回路611にコマンドを送り、受信時刻を枠1402のほぼ中央に移すために必要であるとプロセッサ602が判断した量の時間だけ、後続のRX_INT_X割り込み信号を遅らせるようにする。また、ステップ1078において、ボコーダ604にもコマンドを送り、クロック600信号に対するボコーダ604の入力クロック621のオフセットを同じ量の指定時間だけ小さくするようにする。ステップ1076および1078に続いて、ステップ1090(以下において説明する)に進む。
【0093】呼が進むにつれて、システムのトラヒック負荷の変化、またはセル202が同期化されるマスター・クロックと移動電話交換機201が同期化されるマスター・クロックとの間のドリフトによって、図21に例示したようにチャネル要素245のパケット受信時刻1306が枠1302から外れたり、図22に例示したようにSPU264のプロセッサ602におけるパケット受信時刻1404が枠1402から外れたりすることもある。システムのトラヒック負荷の変化によるドリフトは、時刻1306および1404に関して同じ方向となる傾向にある。枠1302に関して時刻1306を進ませるようなドリフト(図21に示した)は、一般に枠1402に関して時刻1404も進ませる(図示せず)のに対し、枠1402に関して時刻1404を遅らせるドリフト(図2に示した)は、一般に枠1302に関して時刻1306も遅らさせる(図示せず)。逆に、マスター・クロック間の非同期性によるドリフトは、逆向きとなる傾向がある。
【0094】時刻1306の枠1302外へのドリフトは、チャネル要素の対応するクラスタ・コントローラ244によって検出される。これに対するその応答を図16に示す。クラスタ・コントローラ244においてパケットが受信されると、ステップ1001において図16のルーチンが呼び出される。このルーチンは、ステップ1002において、受信されたパケットがその呼に対して受信された最初のトラヒック・パケットかどうかを調べる。呼は進行するので、これが最初に受信されたトラヒック・パケットではないであろうから、ステップ1014に進む。ここで、ステップ1004の場合と同様に、パケットが受信された時刻を枠1302と比較し、ステップ1016において、枠1302との関連において何時そのパケットが受信されたかを判断する。そのパケットが枠1302の中で受信された場合、クロック調整の必要はないので、ステップ1022において、戻るだけである。そのパケットが枠1302の発生の前に受信された場合、ステップ1018において、その呼を扱っているSPU264のプロセッサ602に送られるこの呼に対する次のトラヒック・パケットに、そのクロック調整フィールド322の中にこの呼に対するTX_INT_X割り込みの時刻を1チック(例えば、PCM音声の1標本時間)だけ遅らせる要求を入れて運ばせる。逆に、パケットが枠1302の発生の後に受信された場合、ステップ1022において、この呼に対する次のトラヒック・パケットに、そのクロック調整フィールド322の中にこの呼に対するTX_INT_X割り込みの時刻を1チック(例えば、PCM音声の1標本時間)だけ進める要求を入れて運ばせる。
【0095】そのトラヒック・パケットを受信すると、プロセッサ602は、続いて図11のステップ912において、その必要な調整を行う。時刻1404の枠1402から外れるドリフトは、プロセッサ602自体によって検出される。プロセッサ602は、調整の必要性および調整の方向を記録し、また図11のステップ912において、引き続き、必要な調整をチックずつ行う。
【0096】プロセッサ602の動作のタイミングの変化によってパケット送信時刻が時刻1305から時刻1505へと進み、このためにパケット受信時刻1306が枠1302に対して進むと、結果的に、図21に示したように、枠1302の中の後方に位置する新たなパケット受信時刻1506となる。プロセッサ602602の動作のタイミングの変化によって、枠1402およびフレーム送信時刻1406が時刻1404に関して進むと、結果的に、図22に示したように、新たなフレーム送信時刻1606、および枠1402の中で後方に位置するパケット受信時刻1404が生じる。
【0097】回路611によって出力されるTX_INT_XおよびRX_INT_Xの変移には、ボコーダ604のクロック621および622の出力信号に相応の変移を起こさせることにより、図21および22の例において、ボコーダ604のトラヒック・フレーム送信時刻を時刻1309から時刻1509に変化させ、かつボコーダ604のトラヒック・フレーム受信時刻を時刻1409から時刻1609に変化させ、このようにしてボコーダ604の動作をプロセッサ602の時間変移された動作に揃えることが必要となる。しかし、この揃える瞬間に、ボコーダ604は、割り込み信号を進めるべきかまたは遅らせるべきかの判断によって、20msecに相当する通常の160の標本の代わりに、それぞれ159または161のPCM標本を回路605から収集するだけの時間がたってから呼トラヒックのトラヒック・フレームをプロセッサ602に送らなければならず、さらに通常の160の代わりにそれぞれ159または161のPCM標本の期間内に呼トラヒックのフレームを回路605に出力しなければならない。この状態を補償するために、プロセッサ602は、回路611に命じて、図21および22にそれぞれ示したこのサービス回路612に対する信号TX_INT_XおよびRX_INT_Xに時間転移を起こさせるようにすると同時に、プロセッサ602は、この同じサービス回路612のボコーダ604に命じて、そのPCM出力から1つのPCM標本バイトを落とすようにさせ、さらにそのPCM入力において付加的に1つのPCM標本バイトを生成させる。ボコーダ604がこれらを行うと、この場合も結果として、ボコーダ604のトラヒック・フレームの入力および出力の動作が、PCM標本の出力および入力の動作にそれぞれ揃うようになる。
【0098】図21および22に示したものと反対のドリフトの場合、そのドリフトを補償するためにとるステップは、図21および22に対して説明したものと反対である。具体的には、プロセッサ602によって、回路601に指示を与え、このサービス回路612に対する回路601のTX_INT_XおよびRX_INT_Xの割り込み信号出力を1PCM標本期間だけ遅らせる、さらにボコーダ604に命じて、そのPCM出力において1PCM標本バイトを付加的に生成させ、かつそのPCM入力から1PCM標本バイトだけ削除させる。
【0099】プロセッサ602のこれらの動作を図18においてステップ1080以降に示す。既に述べたように、プロセッサ602が図11のステップ912のクロック調整動作を始めると、ステップ1070において、新たに受信されたパケットが呼の最初のトラヒック・パケットかどうかを判断する。呼が進むうちに、受信されるパケットは最初に受信されたパケットではなくなるので、プロセッサ602はステップ1080に進む。そこで、受信されたパケットのタイム・スタンプを受信枠1404と比較し、ステップ1081において、そのパケットがその枠1404との関係において何時受信されたかを判断する。パケットが枠1404の中で受信された場合、タイミングの調整の必要がないので、ステップ1090に進む。パケットが枠1404の前で受信された場合、ステップ1082において、適応同期回路611に命じて、それに対応するサービス回路612に対するRX_INT_X信号を1チックだけ進ませ、さらにステップ1083において、ボコーダ604に、その入力クロック621のオフセットを1チックだけ小さくするように命令する。ボコーダ604では、これを実行するために、クロック621を160という通常の計数の代わりに計数159の後にリセットする。しかし、ボコーダ604は、160のPCM標本バイトの情報に匹敵する分を収容して到来する呼トラヒックの満杯のトラヒック・フレームを依然として受信する。そこで、ボコーダ604は、そのPCM出力においてタイミングの再整列を隠すために、それらの標本バイトの1つを捨てる。
【0100】ステップ1081に戻り、パケットが枠1404の後に受信されていたことが分かった場合、ステップ1084において、プロセッサ602は、適応同期回路611に、それに対応するサービス回路612に対するRX_INT_X信号を1チックだけ遅らせるように命令し、さらにステップ1085において、ボコーダ604に、その入力クロック621のオフセットを1チックだけ大きくするように命令する。ボコーダ604では、これを行うために、通常の計数160の代わりに計数161の後にクロック621をリセットする。しかし、ボコーダ604は、160のPCM標本バイトの情報に匹敵する分を収容して到来する呼トラヒックのトラヒック・フレームを依然として受信する。そこで、ボコーダ604は、そのPCM出力においてタイミングの再整列を隠すために、付加的な標本バイトを生成する。
【0101】プロセッサ602は、ステップ1083または1085に続いてステップ1090に進む。そこで、受信されたトラヒック・フレームのクロック調整フィールド322を調べて、クロック調整があれば、呼を取扱い中のセル202によってどのようなクロック調整が要求されたかを判断する。調整が要求された場合、ステップ1091において、適応同期回路611に命じて、呼に対応するサービス回路612に対するTX_INT_X割り込みの発生時刻を要求された方向に1チックだけ調節させ、さらにステップ1092において、ボコーダ604に命じて、その出力クロック621のオフセットを同じ方向に1チックだけ調節させる。このために、ボコーダ604では、クロック621が通常の計数である160の代わりに159または161の計数の後にリセットするようにする。従って、ボコーダ604では、159または161のPCMバイトの外に向かうトラヒック標本を集めて、160のPCM標本バイトを収容したフレームでプロセッサ602に供給する。プロセッサ602への出力においてタイミングの再整列を隠すために、ボコーダ604は、第1の場合には付加的なPCM標本を1つ生成し、第2の場合にはPCM標本の1つを捨てる。ステップ1092に続いてクロック調整動作を終了し、ステップ1093において、図11のセルの処理動作に戻る。
【0102】さらに早い速度で同期を達成するために、クロック調整を125μsecの倍数のチックで行っても良い。また、同期化が行われる速度を制御するために、(異なる20msec周期で)複数チックの調整と単一チックの調整との組み合わせを用いることも可能である。さらに、目の粗い調整(多数の125μsecチックを伴う)を行って、1つの呼の間に大幅な同期の変更を行うことも可能である。この大きな調整は、音声活動の低い期間中に行うと好都合である。
【0103】ソフト渡しの開始時に、その時まで単独で呼を処理してきたセル202のチャネル要素245と平行して、第2のセル202のチャネル要素245が、その呼の処理を開始する。正に呼が初めて確立されるときのように、第2のチャネル要素245におけるパケット受信時刻1302が、枠1302の中にあるか外にあるか(図19参照)も、第2のチャネル要素245によって送られるパケットのパケット受信時刻1404が、プロセッサ602において枠1402の中にあるか外にあるか(図20参照)も事前に知ることはできない。受信時刻1306および1404が、それぞれ第2のチャネル要素245に対する枠1302および1402の外側にある場合、呼が最初に確立されるときに使用された図19および20のクロック調整方式をここで使用することはできない。これは、その呼が既に確立された進行中の呼であるため、その方式を用いると、知覚できる混乱(聞こえるほどの「欠陥(グリッチ)」)が呼に発生するからである。従って、図21および22のさらに漸進的ではあるが事実上「無欠陥」のクロック調整方式を用いて、受信時刻1306および1404を第2のチャネル要素245に対する枠1302および1402の内側にそれぞれ移すように試みる。所望の効果を上げるためには、この調整を何度も繰り返す必要もありうる。
【0104】しかし、図21および22の調整はその呼を扱っているチャネル要素245の両方に対して受信時刻1306および1404に影響を及ぼすことに注意する必要がある。従って、第2のチャネル要素245して時刻1306および1404を枠1302および1402の中に移そうとする調整のために、第1のチャネル要素245に対して時刻1306および1404を枠1302および1402の外に移す結果となる可能性もある。
【0105】2つのチャネル要素245の何れの時刻1306および1404もそれぞれの枠1302および1402より遅れない(即ち、それらの後に発生しない)ことが必須である。これに対して、枠1302および1404にそれぞれ先行する(即ち、それらの前にそれぞれ発生する)時刻1306および1404は、チャネル要素245およびSPU264において時期尚早に受信されたパケットをバッファで緩衝することによって補償することができる。従って、ソフト渡しの期間に、一方のチャネル要素245によって進んでいる時刻1306が報告され、他方のチャネル要素245によって遅れている時刻1306が報告されている場合、プロセッサ602602は、進んでいる時刻1306を報告中のチャネル要素245のクロック調整要求は無視して、遅れている時刻1306を報告中のべつのチャネル要素245の要求のみに応答する。
【0106】プロセッサ602およびソフト渡しに関わる2つのチャネル要素245の間の伝播遅延時間の差が非常に大きいために、セル・クロック1000の同じクロック周期に双方のチャネル要素245によって送られるパケットが、プロセッサ602において、そのチャネル要素245に対するプロセッサ602の受信割り込みクロックRX_INT_Xの異なるクロック周期に受信されると考えられる。また、プロセッサ602によって送信割り込みクロックTX_INT_Xの同じクロック周期にソフト渡しに関わる双方のチャネル要素245に送られる複製のパケットは、それらのチャネル要素245によってセル・クロック1000の異なるクロック周期に受信されると考えられる。受信されたパケットを正しいクロック周期に関係付けることが、トラヒック・フレーム350のパケット番号フィールド320(図9参照)によって運ばれるパケット番号の目的である。この関係付けは図11のステップ932-036において行われる。
【0107】既に言及したように、チャネル要素245が使用するパケット番号は、セル・クロック1000から計算されるので、これとは明確な関係がある。これゆえ、セル・クロック1000の何れのクロック周期においても、すべてのチャネル要素245が、同じパケット番号を有するパケットを送信する。従って、プロセッサ602は、受信された2つのパケットのパケット番号を比較することによって、両方のパケットがセル・クロック1000の同じクロック周期に対応するものかどうかを、そしてそれらが対応しない場合には、それらが関係する順序は何かを直ちに判断することができる。
【0108】パケット流が、プロセッサ602からチャネル要素245に向かい、逆方向である場合、パケット番号とセル・クロック1000のクロック周期との間には明確に定義された関係がない。しかし、ソフト渡しの最初に、その時まで呼を処理していたチャネル要素245が、その呼の扱いを始めかけているチャネル要素245にメッセージ(HANDOFF_REQ)が送られるようにし、このメッセージによって、セル・クロック1000の最新のクロック周期の番号およびそのクロック周期に第1のチャネル要素245が受信したパケットのパケット番号が報告される。パケット番号は連続しているので、第2のチャネル要素245は、どのパケット番号がセル・クロック1000の後続のどのクロック周期に関係付けられるかをこの受信した情報から容易に判断することができる。このようにして、第2のチャネル要素245は、受信されたパケットが対応するセル・クロック1000のクロック周期を決定する。
【0109】ここで、図2のシステムにおける呼の確立、渡し(チャネル切り替え)、中止の状況を図23-35との関連で説明する。例示する動作は、例えばSPU264とセル202、セル202とECP複合装置134、またはECP複合装置134とDCSコントローラ261などの要素の対の間で水準3でパケット化された信号メッセージを交わす結果として起こる。これらの図は、その要素対のみの間のメッセージ交換のタイミング関係を表すのであり、不定の要素対の間のものではない。ECP複合装置134が送受信するメッセージは、すべて制御リンク108を流れるものと仮定し、チャネル要素245とサービス回路612との間のパケットは、すべてトランク207および210によってフレーム中継されるものと仮定する。
【0110】図23は、移動電話203において発生した呼に対してパケット交換(される)呼経路を確立するための制御信号を示す。移動電話203では、アクセス・チャネル上で呼び出される電話の電話番号を伝えるORIGINATION信号(具体的には、1つ以上のデジタル・メッセージ)を送信することによって呼を開始する。図面において、信号の空中経由の送信または受信は、信号の矢印の垂直な部分によって示す。ORGINATION信号は、セル202の中の1つにおいてDCMAアクセス・チャネルとして設計されたチャネル要素245によって受信され、これによって、メッセージとしてそのクラスタ・コントローラ244に送られ、さらにこれによって、そのセル202のコントローラ241に渡される。各コントローラ241は、その呼を送るための自由なCDMA空中チャネルを指定した後、指定したチャネルの対応するチャネル要素245の識別情報と共に前記のメッセージを通常の要領でECP複合装置134に送る。
【0111】ECP複合装置134において、CELL_ORIGINATIONメッセージを受信し、その呼を処理するためにDCS201、CIM209、SCM220を選択し、さらに選択された音声符号器モジュール220のサービス回路612およびトランク106群を選択する。次に、MSC_FS_ASSIGNMENTメッセージを呼を発信中のセル202のコントローラ241に送って、選択されたサービス回路612のDLCIを知らせる。また、ECP複合装置134は、呼び出された電話番号を伝えるとともに選択されたSCM220、トランク106群、およびサービス回路612を特定するSETUPメッセージを選択されたSCM220を制御するDCSコントローラ261に送る。
【0112】コントローラ241は、MSC_FS_ASSIGNMENTメッセージを受信すると、これを選択されたチャネル要素245のクラスタ・コントローラ244に渡す。クラスタ・コントローラ244は、そのメッセージに含まれる情報を呼を処理するために選択されたチャネル要素245に知らせる。選択されたチャネル要素245は、その呼を処理するために、それ自体を確立した後、相互接続設備のチャネルによってパケットを伝送するフレーム中継方式を用いてFS_CONNECTパケット351を選択されたサービス回路612に送る。パケット351は、選択されたサービス回路612の受信されたDLCIをフィールド302におけるパケット・アドレスとして使用し、選択されたチャネル要素245のDLCIをデータ・フィールド304に入れて運ぶ。
【0113】選択されたサービス回路612を補助するプロセッサ602が、FS_CONNECTパケットを受信すると、そのプロセッサ602は、FS_CONNECTパケットのフィールド304に含まれるDLCIをFS_ACKパケットのフィールド302におけるパケット・アドレスとして用いて、FS_ACKパケット351をFS_ACKパケット受信の承認として選択されたチャネル要素245に返す。具体的には、このとき、プロセッサ602は、選択されたサービス回路612に対応するすべてのDLCIをセル202に送る。プロセッサ602は、これらの作業をLAPD処理の一部として図11のステップ904において実行する。次に、プロセッサ602は、選択されたチャネル要素245の送られたDLCIを選択されたサービス回路612に関係付けられた呼の状態情報の一部として格納し、さらにその呼の状態情報に有効な呼に該当するとして印す。このとき、選択されたチャネル要素245とサービス回路612との間に接続が成立する。次に、選択されたクラスタ・コントローラ244が、FS_CLOCK_ADJUSTパケットで応答し、これに初期クロック調整情報を入れて選択されたサービス回路612を補助するプロセッサ602に送る。このパケットは、図16のステップ1001-1010に関連して説明済みである。プロセッサ602は、これに応じて、FS_ACKパケットをクラスタ・コントローラ244に送り、その受信したパケットを図17に関して説明した要領で処理する。ここで、チャネル要素245とサービス回路612との間に呼の経路が確立し、呼トラヒックが利用できるようになるまで、両者によって、空のトラヒック・パケットが20msecごとに交換され始める。選択されたチャネル要素245は、第2のFS_ACKパケットを受信すると、これに応じて、CHANNEL_CONFIRMATIONメッセージがそのセルのコントローラ241によってECP複合装置134に送られるようにして、その接続のこの端の完成をコントローラ241に通知する。
【0114】DCSコントローラ261は、前記のSETUPメッセージを受信すると、これに応じて、選択されたSCM220のコントローラ231に、特定されたトランク106群のトランク106(DS0チャネル)を捕捉させ、その捕捉されたトランク106上に呼び出された電話番号をパルス出力させる。選択されたトランク106は、TDMバス130上の特定のタイムスロットに応答する。また、DCSコントローラ261は、選択されたサービス回路612を収容している音声処理ユニット264の変換維持プロセッサ609に、前記のDS0チャネルをTDMバス130からTDMバス・インタフェース608を介して選択されたサービス回路612に割り当てられた集中ハイウェイ607のそのタイムスロットに接続させることにより、そのサービス回路612に問題の呼を処理するように指示する。次に、DCSコントローラ261は、CONNACKメッセージをECP複合装置134に送って、それに対し接続のこの端の順調な完成を通知する。応答指示が、電話網100の電気通信設備から選択されたトランク106を介してコントローラ231によって受信されると、これによりDCSコントローラ261に通知され、代わって、DCSコントローラ261が、ANSWERメッセージをECP複合装置134に送り、これに呼の完成を知らせる。このとき、図2のシステムによって呼が完全に成立し、呼のトラヒックが、電話網100の電気通信設備および呼の受信先との間で双方向にサービス回路612およびトランク106を通してチャネル要素245の間で流れることができる。
【0115】図4は、公衆電話網100において発生する呼に対する呼経路の確立のための制御信号を示す。電話網100において通常の要領で、トランク106を捕捉し、それに呼び出される電話番号の数をパルス出力することによって、呼を開始する。そのトランク106を補助する音声符号器モジュール220のコントローラ231が、この場合も通常のようにTDMバス130のそのトランクの対応するタイムスロットの捕捉を検出し、ダイヤルされた数を収集した後、DCSコントローラ261に知らせる。次に、DCSコントローラ261が、ECP複合装置134にINCALLメッセージを送ることによって、それに知らせる。このINCALLメッセージによって、呼び出される電話番号、ならびにSCM220およびトランク106のI.D.(識別情報)が送られる。
【0116】ECP複合装置134は、INCALLメッセージに応じて、MSC_PAGE_REQUSTメッセージを図2のシステムにおけるすべてのセル202に放送する。MSC_PAGE_REQUSTメッセージにより、呼び出される移動電話203が特定される(例えば、呼び出される電話番号が伝えられる)。
【0117】各セル202のコントローラ142は、MSC_PAGE_REQUSTメッセージに応じて、このMSC_PAGE_REQUSTメッセージをクラスタ・コントローラ244を介してCDMAアクセスチャネル要素245に送る。これに応じて、アクセスチャネル要素245が、CDMA構造に対して指定された要領で、呼び出される移動電話203の信号報知(ページング)を行う。
【0118】これに応じて、呼び出された移動電話203が、RESPONSE信号を送信すると、ページング・チャネル要素245のうちの1つ以上がその信号を受信し、各々が、その信号をそれぞれのクラスタ・コントローラ244に渡す。クラスタ・コントローラ244は、そのメッセージをそれぞれのセル202のコントローラ241に渡す。すべてのセル202のコントローラ241は、絶えずメッセージ(図示せず)を交わして、既存の呼および未解決の呼に対するそれぞれの状態情報の相互のデータベースを更新する。それぞれのセル202のコントローラ241は、これらのメッセージから、その呼を扱うには何れのセル202が最適であるかを決定する。次に、その選択されたセル202のコントローラ241が、CELL_PAGE_RESPONSEメッセージをECP複合装置134に送り、呼処理のためにそのセルを選択したことをECP複合装置134に知らせる。
【0119】ECP複合装置134は、CELL_PAGE_RESPONSEメッセージを受信し、呼経路の他端において呼を扱うために呼が接続される先のSCM220のサービス回路612を選択する。次に、ECP複合装置134は、MSC_FS_ASSIGNMENTメッセージを選択されたセル202のコントローラ241に送る。このメッセージは、移動電話の呼の発信について説明したものと同じであり、同様の応答を引き出す---即ち、図23に対して説明したとおり、セル202とSPU264との間のFS_CONNECT、FS_ACK、FS_CLOCK_ADJUST、およびFS_ACKのパケット交換シーケンスに続いて、CHANNEL_CONFIRMATIONメッセージがセル202からECP複合装置134に送られる。また、ECP複合装置134は、呼が接続されるSCM220を制御するDCSコントローラ261にTONE_REQUESTメッセージを送る。これに応じて、DCSコントローラ261は、SCM220のコントローラ231が電話網100の電気通信設備との間で双方向に呼を伝えるトランク106に呼び出し音(リングバック)を与えるようにする。
【0120】ECP複合装置134へのCHANNEL_CUNFORMATIONメッセージの送信に続いて、選択されたチャネル要素245が、呼び出される移動電話203にRINGING信号を送信する。呼び出された移動電話203が、ANSWER信号で応答すると、選択されたチャネル要素245によって、そのセルのコントローラ241からECP複合装置134へとANSWERメッセージが送られる。ECP複合装置134は、これに応じて、呼が接続されるSCM220のDCSコントローラ261にACCEPTメッセージを送る。このメッセージにより、呼を扱うために選択されたサービス回路612のI.D.が伝えられる。これに応じて、DCSコントローラ261は、コントローラ231が呼から呼び出し音を除去するようにした後、移動電話を発端とする呼に対する説明の要領で、TDMバス130上で呼を伝えるDS0チャネルと選択されたサービス回路612との間で接続が行われるようにする。次に、DCSコントローラ261が、CONNACKメッセージをECP複合装置134に送り、その接続のこの端の順調な完了をそれに知らせる。ここで、図2のシステム全体に渡って呼経路が完全に確立され、呼トラヒックを収容するパケットが、選択されたチャネル要素245と呼の発信元との間をサービス回路612を通して流れることができる。
【0121】図25において、移動電話203が、共にしている確立された呼の切断を、HANGUP信号を送ることにより開始する。この信号は、その呼を扱っているチャネル要素245が受信する。これに応じて、チャネル要素245は、FS_REMOVEパケット351をその呼を扱っているサービス回路612に送り、それに呼の切断を知らせる。
【0122】そのFS_REMOVEに応じて、プロセッサ602が、FS_REMOVEパケットのプロトコル処理の一部としてFS_ACKパケット351をチャネル要素245に返し、さらに呼を扱っているサービス回路612に対する呼の状態情報を更新して、呼が切断されたことを示す。その呼のトラヒックは、このときチャネル要素245とサービス回路612との間で流れなくなり、チャネル要素245は、RELEASE_MSCメッセージがセルのコントローラ241によってECP複合装置134に送られるようにして、呼経路のこの端の切断をそれに知らせる。
【0123】これに応じて、ECP複合装置134は、CLEARメッセージを呼を扱っている音声符号器モジュール220のDCSコントローラ261に送り、さらにMSC_RELEASE_ACKメッセージをその呼を扱っていたセル202のコントローラ241に送って、その呼を扱ってきたチャネル要素245が現在自由であり、新たな呼を扱うのに利用できることを知らせる。DCSコントローラ261は、CLEARメッセージに応じて、SCM220のコントローラ231にその呼を伝えるトランク106を開放させ、さらにその呼を扱っているサービス回路612を収容している音声処理ユニット264の変換維持プロセッサ609に、そのサービス回路612に割り当てられた集中ハイウェイ607からその呼を運んでいるDS0チャネルを切断させる。次に、DCSコントローラ261は、CLEAR_ACKメッセージをECP複合装置105に送って、呼経路のこの端も切断されたことを知らせる。
【0124】図26において、電話網100が呼を運ぶトランク106を開放する。この開放は、その呼を扱っている音声符号器モジュール220のコントローラ231が検出して、DCSコントローラ261に知らせ、さらにDCSコントローラ261が、DISCONNECTメッセージをECP複合装置134に送って、これに知らせる。
【0125】ECP複合装置134は、このDISCONNECTメッセージの受信に応じて、その呼を扱っているチャネル要素245に対しセルのコントローラ241およびクラスタ・コントローラ244を通してMSC_NETWORK_RELEASEメッセージを送る。これに応じて、チャネル要素245は、その呼に関与する移動電話203にRELEASE信号を送るとともに、FS_REMOVEパケット351がその呼を扱っているサービス回路612に送られるようにする。FS_REMOVE信号は、移動電話主導の切断に対して説明したものと同じであり、同様の応答を引き出す。
【0126】RELEASE信号の受信に応じて、移動電話203は、その呼を中止して、HANGUP信号を送る。この信号は、その呼を扱っているチャネル要素245が受信する。チャネル要素245は、これに応じて、RELEASE_CONFIRMATIONメッセージがセルのコントローラ241によってECP複合装置134に送られるようにして、呼のこの端の切断をそれに知らせる。
【0127】これに応じて、ECP複合装置134は、その呼を扱ってきた音声符号器モジュール220のDCSコントローラ261にCLEARメッセージを送る。このCLEARメッセージは、移動電話主導の切断に対する説明のものと同じであり、同様の応答を引き出す。
【0128】図27-29は、一方のセル202から他方への呼のソフト渡しに対する制御信号を示す。第2のセル202(スレーブ・セル称する)が、その呼をその時まで扱ってきたセル202(マスター・セルと称する)と連携して、その呼を扱い始めるときのソフト渡しの開始に対する信号授受を図27に示す。呼に関係する移動電話203は、マスター・セル202を含む複数のセル202から受信する監視チャネル信号の強度を監視して、これらの受信した電力レベルに関するPWR.INFO.報告をマスター・セル202に周期的に送る。その呼を扱っているチャネル要素245が、この報告をマスター・セル202のコントローラ241に渡す。この情報およびセル202自体の間で交換された情報に基づいて、マスター・セル202のコントローラ241は、マスター・セル202のみがその呼の扱いを続けるべきかどうか、またはその呼に別のセル202が加わるべきかどうかを判断する。マスター・セル202のコントローラ141が、その呼に別の呼を加えるべきであり、かつこのスレーブ・セル202がCDMAおよびマスター・セル202と同じ移動チャネルを用いてその呼を扱うことができると判断した場合、マスター・セル202のコントローラ142が、HANDOFF_REQメッセージを制御リンク108およびIMS104を通してスレーブ・セル202のコントローラ241に送る。HANDOFF_REQメッセージにより、この呼に対しマスター・セル202によって使用されていない呼処理中のサービス回路612のDLCI、およびその呼を伝送中の移動チャネルのI.D.が送られる。
【0129】スレーブ・セル202のコントローラ241は、そのHANDOFF_REQを受信し、その呼を処理するために、スレーブ・セル202のチャネル要素245および呼を扱っている回路612の受信されたDLCIの中の1つを選択する。(このようにする代わりに、この呼に対するマスター・セル202によって使用される呼処理中のサービス回路612のDLCIをHANDOFF_REQメッセージで送り、スレーブ・セル202のコントローラ241によって、そのメッセージに含まれるそのDLCIの最下位ビットの値を単に反転させることにより、そのDLCIの値をその呼を扱っているサービス回路612に対応する第2のDLCIへと変更してもよい。)次に、コントローラ241は、選択したDLCIを受信したメッセージの他の内容と共にクラスタ・コントローラ244を通して選択されたチャネル要素245に送る。選択されたチャネル要素245は、指定された移動チャネルにおいて呼を処理するために自体を確立した後、FS_JOINパケット351がその呼を扱っているサービス回路612に送られるようにする。このパケットでは、コントローラ241から選択されたチャネル要素245によって受信されたサービス回路612のDLCIがフィールド302においてパケット・アドレスとして使用され、選択されたチャネル要素245のDLCIがこのデータ・フィールド304に収容される。
【0130】その呼を扱っているサービス回路612を補助するプロセッサ602において、FS_JOINパケットを受信すると、図11のステップ904におけるLAPD処理の一部として、FS_JOINパケットの受信を承認してFS_ACKパケット351を選択されたチャネル要素245に返す。次に、選択されたチャネル要素245に関して送られたDLCIをその呼を扱っているサービス回路612に関係付けられた呼の状態情報の一部として記憶し、呼の状態情報にソフト渡し中の印を付ける。ここで、スレーブ・セル202の選択されたチャネル要素245とその呼を扱っているサービス回路612との間に接続が確立し、これらの間で呼のトラヒック・パケットの交換を開始する。
【0131】スレーブ・セル202のチャネル要素245において、FS_ACKパケットを受信すると、これに応じて、HANDOFF_ACKメッセージをこのセルのコントローラ241から制御リンク108およびIMS104を介してマスター・セル202に送り、接続の完了を知らせる。スレーブ・セル202のコントローラ241もHANDOFF_INFORMATIONメッセージをECP複合装置134に送って、ソフト渡しを知らせる。さらにECP複合装置134において、そのデータベースを更新する。ここで、その1つのサービス回路612とその呼を扱っているマスターおよびスレーブの両セル202のチャネル要素245との間で呼のトラヒック・パケットが流れるようになる。
【0132】図28および29は、呼を処理している2つのセル202の一方がその処理を終えるソフト渡しの終了時の信号授受を示す。必ずしもそうとは限らないが、この時処理を終了するのは、一般にマスター・セル202である。このようすを図28に示す。ソフト渡しの期間中、マスターおよびスレーブのセル202において、移動電話203により測定された監視チャネルの電力レベルに関するPWR.INFO.報告を受信する。尚、このPWR.INFO.報告は、ソフト渡し中に両方のセル202からプロセッサ602によって受信されてその2つのセル202の間で交換される電力制御向き情報とは異なる。各セル202では、その呼を扱っているサービス回路612に送る次のパケットに、受信したPWR.INFO.を逆方向の信号として含める。
【0134】その呼を扱っているサービス回路612を補助するプロセッサ602では、PWR.INFO.を逆方向の信号として両方の202から受信し、図13のステップ968または図14のステップ998において、1つのセル202のみからPWR.INFO.を選択して保存した後、図15のステップ1216および1236において保存したPWR.INFOを両方のセル202に送り返す。プロセッサ602が行う動作を考慮して、移動電話203から比較的良好な品質の信号を受信したセル202によって送られるPWR.INFO.をこの渡しに関係する各セル202で受信する。受信されたPWR.INFO.は、その受信中のセルのコントローラ241に渡される。
【0135】コントローラ241では、この情報を用いて、両者の中の一方が呼の処理を何時止めるべきかを決定する。マスター・セル202のコントローラ241において、それが呼の処理を止めるべきであると判断すると、HANDOFF_DIRECTION信号パケットをその呼を扱っているサービス回路612を補助するプロセッサ602に送る。このパケットにより、その呼の処理がスレーブ・セル202に引き渡されていることを示す。プロセッサ602では、図15に示したように、その信号を複製してマスターおよびスレーブの両セル202に返す。
【0136】マスターおよびスレーブの両セル202のチャネル要素245では、HANDOFF_DIRECTION信号を受信すると直ちに、そのHANDOFF_DIRECTION情報を移動電話203に送り、それからこれを評価する。次に、マスター・セル202のコントローラ241が、MASTER_TRANSFERメッセージを制御リンク108およびIMS104を介してそのソフト渡しに関係する他方のセル202に送り、渡しの完了およびそれが新たなマスター・セル202となったことを知らせ、さらにその情報のコピーを呼を、その扱っているそれ自体のセル202のチャネル要素245に渡す。これに応じて、チャネル要素245が、移動電話203との通信を中止し、FS_REMOVEパケットがその呼を扱っているサービス回路612に送られるようにして、その呼へのその関わりの中止を知らせる。
【0137】プロセッサ602では、そのFS_REMOVEパケットに応じて、FS_REMOVEパケットのプロトコル処理の一部としてFS_ACKパケットを送信中のチャネル要素245に返し、さらにサービス回路612に対する呼の状態情報を更新して、その呼が既にソフト渡し中ではないことを示す。前のマスター・セル202のコントローラ241が、FS_ACKパケットを受信すると、これに応じて、そのセルのその呼への関係を断つ。その呼のトラヒックは、前のマスター・セル202とその呼を扱っているサービス回路612との間で流れなくなるが、サービス回路612と前のスレーブ・セル202のチャネル要素245との間で流れ続ける。ここで、HANDOFF_INFORMATIONメッセージを前のマスター・セル202のコントローラ241からECP複合装置134に送って、渡しの完了およびその結果を知らせる。ECP複合装置134において、そのデータベースを相応に更新する。
【0138】サービスを行うDCS201のDCSコントローラ261は、図27および28の処理に全く関与しない状態を維持し、そのECP複合装置134もその処理の完了を通知される以外は関係しない。従って、DCSコントローラ261およびECP複合装置134の呼処理動作は、ソフト渡し処理によって悪影響を受けることはない。
【0139】スレーブ・セル202が呼のサービスを中止し、マスター・セル202が単独で呼のサービスを続けるようなソフト渡し完成の状況を図29に示す。この場合も処理の最初に、マスター・セル202およびスレーブ・セル202が、監視チャネルのPWR.INFO.報告を呼を扱っているサービス回路612を補助するプロセッサ602に送り、プロセッサ602が、移動電話203から比較的良好な信号を受信しているセル202によって与えられたPWR.INFO.を両方のセル202に返す。マスター・セル202のコントローラ241において、それらと他の報告に基づいて、スレーブ・セル202がその呼の処理を中止するべきであると判断した場合、呼の処理がマスター・セル202によって取り戻されようとしていることを示すHANDOFF_DIRECTION信号パケットをプロセッサ602に送る。プロセッサ602では、この場合も図15に示したように、この信号を複製して、マスターおよびスレーブの両セル202に返す。
【0140】マスターおよびスレーブの両セル202のチャネル要素245において、HANDOFF_DIRECTION信号を受信すると直ちに、HANDOFF_DIRECTION情報を移動電話203に送り、それからこれを評価する。次に、マスター・セル202のコントローラ241が、INTRA/INTER_CELL_HANDOFF_REMOVEメッセージを制御リンク108およびIMS104を介してスレーブ・セル202のコントローラ241に送り、渡しが完了したことおよびそれが呼の処理を中止するべきであることを知らせる。スレーブ・セル202のコントローラ241は、その呼を扱っているスレーブ・セル202をチャネル要素245に知らせる。チャネル要素245は、マスター・セル202のチャネル要素245に対して図28に関連して説明したように応答して、移動電話203との間で呼トラヒックを交わすことを中止して、プロセッサ602と共にFS_REMOVE、およびFS_ACKのパケット交換を開始する。トランクの流れは、スレーブ・セル202のチャネル要素245とその呼を扱っているサービス回路612との間では中止されるが、サービス回路612とマスター・セル202のチャネル要素245との間では継続する。ここで、前のスレーブ・セル202のコントローラ241から、INTRA/INTER_CELL_HANDOFF_ACKメッセージをマスター・セル202に、HANDOFF_INFORMATIONメッセージをECP複合装置134に送って、渡しの完了およびその結果をそれらに知らせる。ECP複合装置134は、そのデータベースをそのように更新する。
【0141】図28の場合のように、DCSコントローラ261および134は、この渡し終了処理にはほとんど、あるいは全く関係しない。
【0142】呼のソフト渡し中に移動電話203によって開始される呼の切断に関する制御信号を図30に示す。移動電話203において、RELEASE信号を送ることによって呼の切断を開始する。この信号は、マスターおよびスレーブの両セル202においてその呼を扱っているチャネル要素245によって受信される。各チャネル要素245では、これに応じて、そのRELEASE信号を伝えるセル・移動体間の逆方向の信号情報をその呼を扱っているサービス回路612への次のパケット350で送る。
【0143】サービス回路612を補助するプロセッサ602において、両方のセル202から信号情報を受信するが、図13のステップ968または図14のステップ998において1つだけ複製を保存して、図15のステップ1216または1222およびステップ1236においてRELEASE信号の保存した方のコピーを次のパケット530でマスターおよびスレーブの両セル202のチャネル要素245に送り返す。マスター・セル202のコントローラ241では、そのRELESE信号情報の戻りに応じて、セル・移動体間のMOBILE_DISCONNECT順方向信号情報を、その呼を扱っているサービス回路612に送られる次のパケット351で送る。
【0144】サービス回路612を補助するプロセッサ602では、図13のステップ956または図14のステップ986においてその信号情報を受信して格納し、さらに図15のステップ1222および1236において、それをつぎのパケットでマスターおよびスレーブの両セル202のチャネル要素245に返す。マスターおよびスレーブの両セル202のチャネル要素245は、それぞれ、MOBILE_DISCONNECT信号情報の受信に応じてRELEASE信号を移動電話203に送る。次に、マスター・セル202のコントローラ241が、セル・移動体間の信号情報であるNULL_TRAFFICコマンドを次のパケットでサービス回路612に送る。このコマンドは、MOBILE_DISCONNECT信号情報に対して正に説明した要領でプロセッサ602によって両方のセル202に返される。マスターおよびスレーブの両セル202の各チャネル要素245により、NULL_TRAFFICコマンドの受信に応じて、移動電話203への呼トラヒックの送信を止め、代わりに、空のトラヒックの送信を開始する。また、両方のチャネル要素245により、FS_REMOVEパケット351がその呼を扱っているサービス回路612に送られる。これらのパケットは、既に説明したものと同じであり、プロセッサ602から同様の応答を引き出す。各セルのチャネル要素245は、プロセッサ602からFS_ACKパケットを受信すると、直ちに移動電話203との通信を止め、そのセルのコントローラ241によってRELEASE_MSCメッセージがECP複合装置134に送られるようにし、対応するセルがその呼の処理を中止したことをECP複合装置134に知らせる。ECP複合装置134は、そのデータベースを相応に更新し、MSC_RELEASE_ACKメッセージをマスターおよびスレーブの両セル202のコントローラ241に送る。また、ECP複合装置134では、第2のRELEASE_MSCメッセージの受信に続いて、CLEARメッセージをその呼を扱っている音声符号器モジュール220のDCSコントローラ261に送る。このメッセージは、図25に対して説明したものと同じであり、DCSコントローラ261から同様の応答を引き出す。
【0145】呼のソフト渡し中に公衆電話網100から開始される呼切断に対する制御信号を図31に示す。電話網100において、呼を伝達しているトランク106を開放する。この開放は、その呼を扱っている音声符号器モジュール220のコントローラ231によって検出され、コントローラ231によってDCSコントローラ261に通知され、さらに、これがDISCONNECTメッセージをECP複合装置134に送って知らせる。
【0146】ECP複合装置134では、これに応じて、NETWORK_RELEASEメッセージをマスターおよびスレーブの両セル202のセル・コントローラ241に送る。これに応じて、マスター・セル202のコントローラ241が、RELEASE信号を伝えるセル・移動体間の順方向の信号情報をその呼を扱っているサービス回路612への次のパケットで送る。
【0147】サービス回路612を補助するプロセッサ602では、図13のステップ956または図14のステップ986において、そのRELEASE信号を受信して格納した後、図15のステップ1222および1236において、格納したRELEASE信号を次のトラヒック・パケットでマスターおよびスレーブの両セル202のチャネル要素245に送る。マスターおよびスレーブの両セル202の各チャネル要素245は、その信号情報に応じて、RELEASE信号をその呼に関わる移動電話203に送る。
【0148】移動電話203では、そのチャネル要素245によって送られたRELEASE信号を受信すると、これに応じて、その呼を中止し、確認としてMOBILE_DISCONNECT信号を送信する。この信号は、マスターおよびスレーブの両セル202のチャネル要素245によって受信される。その呼を扱っている各チャネル要素245は、これに応じて、FS_REMOVEパケット351がその呼を扱っているサービス回路612に送られるようにする。このパケットは、既に説明したものと同じであり、プロセッサ602から同様の応答を引き出す。各チャネル要素245において、プロセッサ602からのFS_ACKパケットを受信すると、これに応じて、RELEASE_CONFIRMATIONメッセージがECP複合装置134に送られるようにして、これに呼切断を知らせる。
【0149】ECP複合装置134では、第2のRELEASE_CONFIRMATIONメッセージの受信に続いて、CLEARメッセージをその呼を扱っている音声符号器モジュール220のDCSコントローラ261に送る。このメッセージは、図25に対して説明したものと同じであり、同様の応答を引き出す。
【0150】1つのチャネル要素245から別のものへの部分ソフト渡しに対する制御信号を図32に示す。部分ソフト渡しは、同じセル202または同じDCS201に接続された異なるセル202のチャネル要素245の間で発生し、その呼を伝えている移動チャネルの変更を伴う。ソフト渡しに関しては、その呼を扱っているセル202(処理中のセル202)のコントローラ241が、移動電話203によって供給されるPWR.INFO.を監視して、処理中のチャネル要素245がその処理を継続するべきかどうか、あるいはその呼は同じセル202または異なる(新たな)セル202にある新たなチャネル要素245に渡すべきかどうかを判断する。処理中のセル202のコントローラ241が、その呼を新たなチャネル要素245にソフト渡しするべきであり、新たなセル202がCDMAを用いて呼を処理できると判断した場合、処理中のコントローラ241からHANDOFF_REQメッセージが制御リンク108およびIMS104を介して新たなセル202のコントローラ241に送る。(処理中のセル202および新たなセル202が、同じセルならば、このメッセージは、そのセルから外には送られない。)このメッセージは、ソフト渡しに対して説明したものと同じであり、スレーブ・セル202から引き出すのとお同じ応答を新たなセル202から引き出す。しかし、新たなチャネル要素245は、移動電話203および処理中のチャネル要素245と同じ移動チャネル上で動作しないので、新たなチャネル要素245は、移動電話203と通信状態ではなく、新たなチャネル要素245からその呼を扱っているサービス回路612に空のトラヒック・パケットが流れるだけである。
【0151】新たなセル202によって処理中のセル202に送り返されるHANDOFF_ACKメッセージによって、新たなチャネル要素245が動作対象とする移動チャネルが指定される。処理中のセル202のコントローラ241において、HANDOFF_ACKメッセージを受信し、これに応じて、処理中のチャネル要素245に移動電話203宛に信号を送らせ、そのチャネル要素245の動作を新たなチャネル要素245が動作対象とする移動チャネルへと切り替えるように指示させる。移動電話203がこれを実行すると、移動電話203、新たなチャネル要素245、およびサービス回路612の間でトラヒックが流れ始めるが、移動電話203と処理中のチャネル要素245との間では流れなくなり、空のトラヒック・パケットのみが処理中のチャネル要素245からサービス回路612に流れ始める。
【0152】新たなチャネル要素245において、移動電話203からの呼トラヒックの受信が始まると、これに応じて、HANDOFF_INFORMATIONメッセージがECP複合装置134に、INTERCELL_HANDOFFメッセージが処理中のサービス回路612に送られるようにして、それらに渡しを知らせる。ECP複合装置134がそのデータベースを更新し、一方で処理中のセル202のコントローラ241は、そのセル202にその呼のサービスを止めさせる。具体的には、処理中のセル202のチャネル要素245により、FS_REMOVEパケットがその呼を扱っているサービス回路612に送られる。このパケットは、既に説明したものと同じであり、同じ応答を引き出す。このようにして、処理中のチャネル要素245とサービス回路612との間でトラヒックは流れなくなる。処理中のチャネル要素245では、サービス回路612からFS_ACKパケットを受信すると、これに応じて、HANDOFF_INFORMATIONメッセージがECP複合装置134に送られるようにして、これに渡しの完了を知らせる。
【0153】この場合も、処理中のDCS201のDCSコントローラ261は、図31の処理には全く無関係のままであり、ECP複合装置134も処理の完了を通知される以外は無関係である点に注目される。結果として、DCSコントローラ261およびECP複合装置134の呼処理能力は、部分ソフト渡し処理によって悪影響を受けることはない。
【0154】図33は、CDMAセル202から他のセルへのハード渡しに対する制御信号を示す。CDMAにおいて、ハード渡しは、移動チャネルの変更を必ずしも伴わないが、その呼を扱っているデジタル・セルラ交換機201(図2参照)の変更を伴う。
【0155】ソフト渡しおよび部分ソフト渡しについては、その呼を扱っているセル202(処理中のセル202と称する)のコントローラ241によって、移動電話203によって供給されるPWR.INFO.を監視し、これと共に他の状態情報を用いて、処理中のセル202がその呼の処理を継続するべきかどうか、あるいは処理中のセル202ではなく異なる移動電話交換機201に接続された別のセル202(新たなセル202と称する)にその呼渡すべきかを判断する。処理中のセル202のコントローラ241が、その呼を渡すことに決めた場合、コントローラ241は、HARD_HANDOFF_REQメッセージをECP複合装置134に送る。このメッセージにより、その呼、提示された新たなセル202、処理中のセル202によってその呼のために使用されていている移動チャネルが指定される。
【0156】ECP複合装置134では、そのメッセージに応じてその呼を扱うために、何れのDCS201が新たなセル202に接続されるかを判断し、そのDCS201の内部で新たな音声符号器モジュール220を選択し、さらにその新たなモジュールのサービス回路612を選択する。次に、ECP複合装置134において、処理中のDCS201の処理中の音声符号器モジュール220を新たなDCS201の新たな音声符号器モジュール220に接続するトランク206を選択し、さらにその選択した新たな音声符号器モジュール220、サービス回路612、およびトランク206を特定するほか、処理中の音声符号器モジュール220にあってその呼を伝えるトランク106も特定するSETUPメッセージを、処理中のDCS201のコントローラ261に送る。
【0157】処理中のDCS201のDCSコントローラ261は、SETUPメッセージを受信し、これに応じて、処理中のSCM220のコントローラ231に特定されたトランク206を捕捉させ、選択されたSCM220およびサービス回路612の識別情報をそのトランク206上にパルス出力させ、さらに呼伝送中のトランク106を会議配置にあるトランク206に接続する。この結果、新たなSCM220におけるトランク206の捕捉、および新たなSMCのコントローラ231によるパルス出力された識別情報の収集が行われる。次に、DCS201のDCSコントローラ261により、CONNACKメッセージをECP複合装置134に送り、処理中のSCM220と新たなSCM220との間の接続の成立を知らせ、他方では、新たなSCM220のコントローラ231により、収集されパルス出力された情報を新たなDCS201のDCSコントローラ261に送り、これによって、収集されパルス出力された情報を伝えるINCALLメッセージをECP複合装置134に送り、これに入ってくる呼を知らせる。
【0158】ECP複合装置134は、受信したCONNACKおよびINCALLメッセージをそれらの内容を基に関係付ける。これらのメッセージは、新たなSCM220および処理中のSCM220のTDMバス130が206によって既に相互接続されていることをECP複合装置134に確認する働きをする。次に、ECP複合装置134は、MSC_NEW_HANDOFFメッセージを新たなセル202のコントローラ241に送る。このメッセージにより、新たなセル202に対し、それがその呼を扱うように選択されたことを知らせるとともに、その呼を現在運んでいる移動チャネルの識別情報を伝える。新たなセルのコントローラ241では、これに応じて、新たなセル202が呼を扱う呼とができるかどうか、そして可能ならば、何れの移動チャネルに対してかを判断する。次に、新たなセルのコントローラ241が、呼の情報を伝えるCHANNEL_ACTIVATION_CONFIRMATIONメッセージをECP複合装置134に送り返す。その新たなセル202が呼を扱う呼とができるものとして、ECP複合装置134が、呼を扱うように選択された新たなSCM220のサービス回路612のDLCIを伝えるMSC_FS_ASSIGNMENTメッセージを新たなセルのコントローラ241に送る。このメッセージは、図23に関連して既に説明したものと同じであり、それと同様の応答を引き出す。新たなセル202は、FS_CONFIRMATIONメッセージをECP複合装置134に返し、代わって、ECP複合装置134が、MSC_OLD_HANDOFFメッセージを処理中のセル202に送って、新たなチャネル要素245と新たなサービス回路612との間の接続の完成、およびその新たなチャネル要素245の動作対象である移動チャネルをそれらに知らせる。
【0159】ECP複合装置134は、FS_CONFIRMATIONメッセージに応じて、ACCEPTメッセージを新たなDCS201のDCSコントローラ261に送る。これに応じて、新たなDCS201のDCSコントローラ261は、既にACCEPTメッセージに対して説明した要領で、新たなSCM220のコントローラ231に、新たなサービス回路612と新たなSCM220を処理中の22に接続するトランク206との間に接続を形成させる。この結果、新たなサービス回路612および処理中のサービス回路612の出力が処理中の音声符号器モジュール220のTDMバス130の同じタイムスロットに接続され、会議配置となる。新たなチャネル要素245および処理中のそれが、共に同一の移動チャネル上で動作している場合、同じタイムスロットに完全に符合する出力が重なり合うので、タイムスロットの内容にはほとんど全く影響しない。それら2つのチャネル要素245が、同一の移動チャネル上で動作していない場合、同じタイムスロットに実際のトラヒック標本と空のトラヒック標本---音声またはデータと無音---が重なり合うので、この場合も、タイムスロットの内容にはほとんど全く影響しない。次に、新たなDCS201のDCSコントローラ261が、CONNACKメッセージをECP複合装置134に返し、これに接続の完了を知らせる。接続の完了は、処理中のSCM220のコントローラ231が、検出して処理中のDCS201のDCSコントローラ261に知らせ、これがANSWERメッセージをECP複合装置134に返して知らせる。
【0160】処理中のセル・コントローラ241は、ECP複合装置134から受信したMSC_OLD_HANDOFFメッセージに応じて、そのメッセージの内容を調べ、新たなチャネル要素245が処理中のチャネル要素245と同じ移動チャネルで動作しているかどうかを判断する。そうでない場合、処理中のセル・コントローラ241の制御によって、処理中のチャネル要素245が移動電話203に信号を送り、(図33において波線で示したように)それが現在使用中の移動チャネルから新たなチャネル要素245によって使用されている移動チャネルへと動作を切り替えるように命令する。移動電話203がこれを実行すると、トラヒックの流れは、(波線で示したように)処理中のセル202から新たなセル202へと切り替えられる。
【0161】新たなセル202のチャネル要素245は、呼トラヒックの受信開始に応じて、新たなセル・コントローラ241にHANDOFF_VOICE_CHANNEL_CONFIRMATIONメッセージをECP複合装置134宛に送らせる。このメッセージにより、その渡しの成功をECP複合装置134に知らせる。これに応じて、ECP複合装置134は、MSC_CHANNEL_DEACTIVATIONメッセージを処理中のセル202に、CLEARメッセージを処理中のDCS201のDCSコントローラ261に送り、処理中のセル202および処理中のSPU264にその呼の扱いを止めさせる。
【0162】処理中のセル202のコントローラ241では、MSC_CHANNEL_DEACTIVATIONメッセージを処理中のチャネル要素245に渡すと、これに応じて、このチャネル要素245は、FS_REMOVEパケットが処理中のサービス回路612へと中継されるようにする。このパケットは、既に説明したものと同じであり、同様の応答を引き出す。処理中のセル202が呼を扱うのを止めると、そのコントローラ241が、FS_CONFIRMATIONメッセージをECP複合装置134に送り、そのことをこれに知らせる。
【0163】処理中のDCS201のDCSコントローラ261では、受信したCLEARメッセージを処理中のSCM220のコントローラ231に渡す。これに応じて、コントローラ231が、処理中のサービス回路612を含む音声処理ユニット264の変換維持プロセッサ609にそのサービス回路612に割り当てられた集中ハイウェイ607のタイムスロットからその呼を分離させる。しかし、新たなSCM220の新たなサービス回路612は、処理中のSCM220のTDMバス130との間で呼を双方向に伝えるトランク106にトランク206を介して接続されているので、処理中のSCM220のコントローラ231は、そのトランク106およびTDMバス130のタイムスロットは開放しない。次に、処理中のDCS201のDCSコントローラ261は、CLEAR_ACKメッセージをECP複合装置134に送り、処理中のSCM220の処理中のSPU264がその呼のサービスを中止したことを知らせる。CLEAR_ACKおよびFS_CONFIRMATIONの両メッセージの受信によって、渡しが完了したことをECP複合装置134に示す。
【0164】図34および35は、処理中のセル202のCDMA無線機243から新たなセル102または202の通常のアナログ無線機143へのハード渡しに対する制御信号を示す。図34は、同一のDCS201に接続された2つのセル202の間の渡しに対する制御信号を示し、図34は、異なるDCS201に接続された2つのセル202の間の渡しに対する制御信号を示す。
【0165】図34を考察する。通常の移動電話方式のセル102であればCDMA監視チャネルが装備されている。装備されている場合、制御通信は、(新たなセル202についてそうであるように)新たなセル102を続行する。新たなセル102がCDMA監視チャネルを備えていない場合、通常の移動電話方式への呼の変換が、処理中のセル202で発生するが、通常のハード渡しの要領で呼が処理中のセル202から新たなセル102に渡されるのは、この時のみである。
【0166】既に説明した渡しの種類について、処理中のセル202のコントローラ241が、移動電話203によって供給されるPWR.INFO.を監視して、その呼を別なセルに渡すべきかどうかを判断する。処理中のセル202のコントローラ241が、その呼をセル202または102の通常の無線機143に渡すべきであると判断し、かつ新たなセル202または102が処理中のセル202と同じ移動電話交換機201に接続されている場合、そのコントローラ241は、ANALOG_HANDOFF_REQUESTメッセージをECP複合装置134に送る。このメッセージによって、提示された新たなセル102または202が特定される。ECP複合装置134では、これに応じて、新たなセル102または202が接続されている交換機モジュール120または220のトランク109を選択し、さらにMSC_NEW_HANDOFFメッセージを新たなセル102または202のコントローラ141または241に送る。このメッセージにより、選択されたトランク109を特定するとともに、新たなセル102または202がその呼を扱うことができるかどうかを問い合わせる。新たなセル102または202のコントローラ141または241は、それが呼を処理するところの通常の移動チャネルを特定するCHANNEL_ACTIVATION_CONFIRMATIONメッセージによってECP複合装置134に応答するとともに、その移動チャネルを選択されたトランク109に接続する。ECP複合装置134は、これに応じて、処理中のSCM220に接続されているトランク109を選択し、CONNECTメッセージを処理中のDCS201のDCSコントローラ261に送る。これにより、新たなセル102または202が接続された新たなモジュール120または220、新たなモジュール120または220が接続されている選択されたトランク109、および処理中の音声符号器モジュール220から出る選択されたトランク109が特定される。
【0167】DCS201のDCSコントローラ261では、CONNECTメッセージを受信し、これに応じて、処理中のSCM220のコントローラ231に、呼(TDMバス130のタイムスロット)を会議配置にある特定された出トランク109に接続させ、さらにTMS121に、2つの特定されたトランク109を互いに接続させる。次に、DCS201のDCSコントローラ261は、CONNACKメッセージをECP複合装置134に送って処理中のSCMと新たなSMCとの間の接続の完成を知らせる。
【0168】ECP複合装置134では、これに応じて、MSC_OLD_HANDOFFメッセージを処理中のセル202のコントローラ241に送り、新たなセル102または202が呼を処理するところの移動チャネルを知らせる。これに応じて、そのコントローラ241の制御により、処理中のチャネル要素245が、信号を移動電話203に送り、移動電話203が通常の移動電話式の処理に切り替えてMSC_NEW_HANDOFFメッセージにおいて指定された移動チャネルを使用するよう、これに命令する。
【0169】移動電話203が、これを実行し、さらに新たな移動チャネル上の送信を始めると、新たなセル102または202が、その送信を受信して、HANDOFF_VOICE_CHANNEL_CONFIRMATIONメッセージによってECP複合装置134に通知する。ECP複合装置134は、これに応じて、MSC_CHANNEL_DEACTIVATIONメッセージを処理中のセル202へ、そしてCLEARメッセージを処理中のDCS201のDCSコントローラ261へ送ることにより、処理中のセル202および処理中のSPU264に、その呼の処理を止めさせる。このメッセージは、CDMAどうしの間のハード渡しに関して説明したものと同じであり、同様の応答を引き出す。その場合のように、CLEAR_ACKおよびFS_CONFIRMATIONの両メッセージの受信により、その渡しが完了したことをECP複合装置134に示す。
【0170】ここで、図35について説明する。処理中のセル202以外の異なる交換機101または201に接続された新たなセル102または202への渡しは、図34で示したように始まる。しかし、新たなDCS101または201によってサービスされるセル102に呼を渡すことに決定すると、以降、処理中のセル202のコントローラ241は、ANALOG_HANDOFF_REQUESTメッセージをECP複合装置134に送り渡しを要求する。このメッセージにより、提示された新たなセル102または202を特定する。ECP複合装置134では、このメッセージに応じて、その呼を扱うために、交換機101または201の何れが新たなセル102または202に接続されているかを判断し、その交換機101または201の新たな交換機モジュール120または220を選択し、さらにその選択したモジュール120または220に接続されたトランク106を選択する。次に、このECP複合装置134は、処理中のSCM220に接続された出トランク106を選択し、SETUPメッセージを処理中のDCS201のDCSコントローラ261に送ることにより、選択された新たなモジュール120または220およびそれに接続されたトランク106、処理中の音声符号器モジュール220から出るトランク106、および呼を伝える処理中の音声符号器モジュール220のトランク106を知らせる。
【0171】SETUPメッセージは、図33に関して説明したものと同じであり、同様の応答を引き出す。従って、渡しは図33に説明したように進行する。しかし、新たなDCS101または210における呼の処理には何れのSPU264も関与しないので、ECP複合装置134は、図33のようにFS_ASSIGNメッセージを新たなセル102または202に送る代わりに、直にACCEPTメッセージを新たなDCS101または210のDSCコントローラ161または261に送る。DCS161または261では、これに応じて、新たなモジュール120のコントローラ131またはセル相互接続モジュール(CIM)209のコントローラ251が新たなモジュール120または220の選択されたトランク106をその呼(即ち、モジュール120のTDMバス130またはCIM209のTDMバス230の何れかのそのセルの対応するタイムスロット)に接続することによって、その選択されたトランク106と新たなセル102または202との間に接続を確立する。図33と同様に、この結果、新たなセル102または202、および処理中のセル202の両方の出力が、処理中の音声符号器モジュール220のTDMバス130の同じタイムスロットに接続される。次に、新たなDCS101または201のDCSコントローラ161または261が、CONNACKメッセージをECP複合装置134に返して接続の完成をそれに知らせる一方、処理中のSCM220のコントローラ231が、その接続の完成を検出してDCSコントローラ261に知らせると、DCSコントローラ261は、これに応じて、ANSWERメッセージをECP複合装置134に返す。
【0172】ECP複合装置134では、CONNACKメッセージの受信に応じて、MSC_OLD_HANDOFFメッセージを処理中のセル202のコントローラ241に送る。このメッセージは、図34に関連して説明したものと同じであり、従って、渡しは、完了するまで図34に関する説明のように進行する。
【0173】以上の説明は、本発明の一実施例に関するもので、この技術分野の当業者であれば、本発明の種々の変形例が考えられる。例えば、非同期伝送モード(ATM)のような他のパケット伝送方式を用いることも可能である。あるいは、セル、ECP複合装置、およびデジタル・セルラ交換機のすべての制御部分の間で機能の分割を行うことができる。また、デジタル・セルラ交換機内部のモジュール(CIM209およびSCM220)は、直にトランクによって接続する代わりに、中央段の交換機によって接続してもよい。さらに、以上説明したシステムは、移動電話以外の疑似同期無線アクセス・システム---例えば、個人通信網(PCN)---に応用することも可能である。以上のような変更および修正いずれも本発明の技術的範囲に包含される。
【0174】
【発明の効果】以上述べたように、本発明によれば、可能な限り既存の実証済みの方式および構成単位を用いることにより、符号化された(パケット交換)無線電話トラヒックおよび符号化されていない(回路交換)無線電話トラヒックを平行して扱うことができるので、CDMAセルラ無線電話システム(図2)などの高容量、高効率かつ高速の無線アクセス通信システムを安価に実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来のセルラ無線電話システムのブロック図である。
【図2】本発明の説明に役立つ実施例を取り入れたセルラ無線電話システムのブロック図である。
【図3】図2のシステムの1つのセルのブロック図である。
【図4】図2のシステムのセル相互接続モジュールのブロック図である。
【図5】図2のシステムの音声符号器モジュールのブロック図である。
【図6】図5のモジュールの音声処理ユニットのブロック図である。
【図7】図2のシステムのLAPDフレームのブロック図である。
【図8】図2のシステムのLAPDフレームを修正したフレームのブロック図である。
【図9】音声および(または)信号の情報を図7および8のフレームで送るために使用される水準3のプロトコルのブロック図である。
【図10】信号情報を図7および8のフレームで送るために使用される水準3のプロトコルのブロック図である。
【図11】図6のユニットのプロセッサの受信パケット処理関数の流れ図である。
【図12】図6のユニットのプロセッサの受信パケット処理関数の流れ図である。
【図13】図6のユニットのプロセッサの受信パケット処理関数の流れ図である。
【図14】図6のユニットのプロセッサの受信パケット処理関数の流れ図である。
【図15】図6のユニットのプロセッサの送信パケット処理関数の流れ図である。
【図16】図3のセルのクラスタ・コントローラのクロック調整関数の流れ図である。
【図17】図11のステップ970において実行される図6のユニットのプロセッサのクロック調整関数の流れ図である。
【図18】図11のステップ912において実行される図6のユニットのプロセッサのクロック調整関数の流れ図である。
【図19】図6のユニットのサービス回路に対して呼の確立時に行われるパケット送信のクロック調整のタイミング図である。
【図20】図6のユニットのサービス回路に対して呼の確立時に行われるパケット受信のクロック調整のタイミング図である。
【図21】図6のユニットのサービス回路に対して、確立された呼の期間に行われるパケット送信のクロック調整のタイミング図である。
【図22】図6のユニットのサービス回路に対して、確立された呼の期間に行われるパケット受信のクロック調整のタイミング図である。
【図23】図2のシステムにおける移動電話を発端とする呼の確立の信号図である。
【図24】図2のシステムにおける通信網を発端とする呼の確立の信号図である。
【図25】図2の信号における呼の移動電話を発端とする切断の信号図である。
【図26】図2の信号における呼の通信網を発端とする切断の信号図である。
【図27】図2の信号における呼のソフト渡しの開始の信号図である。
【図28】マスター・セルが離れるようなソフト渡しの終了の信号図である。
【図29】スレーブ・セルが離れるようなソフト渡しの終了の信号図である。
【図30】図2のシステムにおけるソフト渡し処理中の呼の移動電話を発端とする切断の信号図である。
【図31】図2のシステムにおけるソフト渡し処理中の呼の通信網を発端とする切断の信号図である。
【図32】図2のシステムにおける呼の部分ソフト渡し処理の信号図である。
【図33】図2のシステムにおける呼のCDMAからCDMAへのハード渡し処理の信号図である。
【図34】図2のシステムにおいて同一のデジタル・セルラ交換機によって管轄されるセル間の呼のCDMAからアナログへのハード渡し処理の信号図である。
【図35】図2のシステムにおいて異なるデジタル・セルラ交換機によって管轄されるセル間の呼のCDMAからアナログへのハード渡し処理の信号図である。
【符号の説明】
100 公衆電話網
101、201
DCS(デジタル・セルラ交換機)
102、202
CELL(セル)
103、203
利用者端末(移動無線電話)
104 IMS(プロセス間メッセージ交換機)
105 ECP(管理セルラ・プロセッサ:Executive Cellula Processor)
106 通信トランク
121 時間多重交換機(TMS)
132、142、242
DS1インタフェース(DS1 INTFC.)
133 TMSインタフェース(TMS INTFC.)
134 ECP複合装置
143 アナログFM無線機(またはTDMAデジタル無線機)
161、261
DCSコントローラ
199 移動交換局(MSC:mobil switching center)
209 セル相互接続モジュール(CIM)
210 光ファイバ光学的パケット交換トランク
220 音声符号器モジュール(SCM)
241 コントローラ
243 デジタル無線機
244 クラスタ・コントローラ
245 チャネル要素
390 Cバス(CBUS)
392 Cバス・インタフェース(CBUS INTFC.)
394 メモリ(MEMORY)
395 HDLCコントローラ(HDLC CONTROLLER)
396 TDMバス・コントローラ(TDM BUS CONTROLLER)
252 汎用DS1インタフェース
253 拡張インタフェース
400 集中ハイウェイ
401 パケット処理要素(PPE)
402 タイムスロット交換器(TSI)
411、452
変換テーブル(TABLE)
442 DS1トランク・インタフェース
450 LANバス・インタフェース(LAN BUS INTFC.)
451、455
FIFO
453 変換挿入器
454 ファイバ・インタフェース(FIBER INTFC.)
600 クロック回路(CLK.CKT.)
601 LANバス・インタフェース
602 プロセッサ
603、614、620
バッファ(BUFFERまたはBUFF.)
604 ボコーダ
605 トーン挿入回路
606 エコー・キャンセラー
607 集中ハイウェイ
608 TDMバス・インタフェース
609 変換維持ユニット
610 プロセッサ制御バス
611 適応同期回路
612 サービス回路
613 変換維持制御バス
615 クロック・バス
621 入力クロック(INPUT CLK.)
622 出力クロック(OUTPUT CLK.)
623 現在時カウンタ
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
審決日 2013-10-15 
出願番号 特願平4-198951
審決分類 P 1 41・ 857- Y (H04L)
P 1 41・ 851- Y (H04L)
最終処分 成立  
前審関与審査官 梅沢 俊  
特許庁審判長 菅原 道晴
特許庁審判官 竹井 文雄
山本 章裕
登録日 1997-09-12 
登録番号 特許第2132129号(P2132129)
発明の名称 通信システムおよび呼処理装置  
代理人 岡本 尚美  
代理人 服部 誠  
代理人 相田 義明  
代理人 小林 純子  
代理人 黒川 恵  
代理人 相田 義明  
代理人 服部 誠  
代理人 黒田 薫  
代理人 黒川 恵  
代理人 岡本 尚美  
代理人 片山 英二  
代理人 黒田 薫  
代理人 片山 英二  
代理人 小林 純子  

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