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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 H01G
審判 査定不服 1項3号刊行物記載 特許、登録しない。 H01G
管理番号 1281777
審判番号 不服2013-10915  
総通号数 169 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2014-01-31 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2013-06-11 
確定日 2013-11-14 
事件の表示 特願2008-251549「電気二重層キャパシタ用分極性電極及びそれを用いた電気二重層キャパシタ」拒絶査定不服審判事件〔平成21年 5月 7日出願公開、特開2009- 99978〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成20年9月29日(優先権主張 2007年9月28日 日本国(JP))の出願であって、平成24年8月30日付けで手続補正がなされるとともに、平成25年2月28日付けで拒絶査定がなされ、これに対し、同年6月11日に拒絶査定に対する審判請求がなされたものである。

第2 本願発明について
本願の請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、平成24年8月30日付け手続補正書の特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される、以下のとおりのものである。
「アニオンとしてフッ素イオンを含む電解液を有する電気二重層キャパシタに用いられる分極性電極において、単位面積当たりの静電容量が50?100μF/cm^(2)であってアルミニウムエッチング箔である集電体を有することを特徴とする電気二重層キャパシタ用分極性電極。」

(1)引用文献等に記載された発明
(ア)引用例1:特開2001-216956号公報
原査定の拒絶の理由に引用され、本願の優先権主張の日前に日本国内において頒布された引用例1には、「電池・キャパシタ用電極の製造方法」(発明の名称)に関して、図1とともに以下の事項が記載されている。(なお、下線は、引用箇所のうち特に強調する部分に付加した。以下、同様。)

「【0004】このような蓄電池または電気二重層キャパシタに用いられる電極は、基本的には、金属箔よりなる集電体と、この集電体の表面に形成された活物質層とから構成されている。例えば、キャパシタ用電極であれば、アルミニウム箔等の集電体と、この集電体の表面に形成され分極性電極として機能する活物質層とから構成されている。この活物質としては、数千m^(2)/gの高比表面積材料である活性炭が一般的に用いられている。」

「【0021】
【発明の実施の形態】以下、実施例により本発明を更に具体的に説明する。
(実施例1)本実施例は、本発明の電池・キャパシタ用電極の製造方法を電気二重層キャパシタ用電極の製造に適用した例である。」

「【0023】集電体としてのアルミニウム箔2は、厚さ17μm、幅150mm、長さ500mの帯状体である。このアルミニウム箔2の一表面(活物質層が形成される側の表面)には、図1(a)および(b)に示すように、エッチング処理により凹凸2aが形成されている。この凹凸2aの大きさは、平均開口径が1μm、凹凸の平均高さが4μmである。なお、本実施例のアルミニウム箔2としては、日本蓄電池工業株式会社製の商品名「エッチドアルミ箔 JCC-15CB」を用いた。このアルミニウム箔2上に配置する結着剤粉末3としては、信越化学製のメチルセルロース粉末(商品名「SM-100」、平均粒子径数百nm)を用いた。」

「【0033】本発明の方法により製造された電極は、ニッケル-カドミウム電池、ニッケル-水素電池やリチウムイオン二次電池等の蓄電池、または電気二重層キャパシタとして用いることができる。」

上記【0004】及び【0023】にあるように、引用例1には、電気二重層キャパシタの分極性電極において、エッチング処理したアルミニウム箔集電体を用いることの開示があり、具体的商品名として、日本蓄電池工業株式会社製の「エッチドアルミ箔 JCC-15CB」があげられている。
したがって、引用例1には、「電気二重層キャパシタに用いられる分極性電極において、日本蓄電池工業株式会社製の商品名「エッチドアルミ箔 JCC-15CB」を用いた集電体を有することを特徴とする電気二重層キャパシタ用分極性電極。」(以下、「引用発明」という。)が記載されている。(なお、「日本蓄電池工業株式会社」は、「日本蓄電器工業株式会社」の誤記であると認める。)

(イ)引用例2:陰極箔性能一覧表、ホームページ,[online],日本,日本蓄電器工業株式会社,1999年12月10日,[検索日:2012年6月21日],URL,http://web.archive.org/web/19991210193552/http://www.jcc-foil.co.jp/frame.htm

原査定の拒絶の理由に引用され、本願の優先権主張の日前に日本国内において、電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった引用例2には、「陰極箔性能一覧表」(題名)に関して、以下の事項が記載されている。








(ウ)周知例3:特開2003-324038号公報
例えば、本願の優先権主張の日前に日本国内において頒布された上記周知例3には、「電気化学キャパシタ用電解液及びそれを用いた電気化学キャパシタ」(発明の名称)に関して、以下の事項が記載されている。

「【請求項1】 強酸のアニオンと強塩基のカチオンとからなる電解質塩が非水溶媒に溶解されてなる電気化学キャパシタ用電解液であって、該アニオンとカチオンの当量比が0.99?1.01であることを特徴とする電気化学キャパシタ用電解液。
【請求項2】 電解質塩が一般式(1)で表される第4級アンモニウム塩又は第4級ホスホニウム塩であることを特徴とする、請求項1記載の電解液。
Q^(+)X^(-) (1)
[式中、Q^(+)は第4級アンモニウムイオン又は第4級ホスホニウムイオンを表し、X^(-)はPF_(6)^(-)、BF_(4)^(-)、AsF_(6)^(-)、SbF_(6)^(-)、N(RfSO_(2))_(2)^(-)、C(RfSO_(2))_(3)^(-)、RfCOO^(-)、及びRfSO_(3)^(-)(Rfは炭素数1?12のフルオロアルキル基)よりなる群から選ばれる対イオンを表す。]」

「【0029】集電体は、電気化学的及び化学的に耐腐食性のものであればよく、特に限定されるものではないが、例えば、正極集電体としてはステンレス、アルミニウム、チタン、タンタル等;負極集電体としては、ステンレス、アルミニウム、ニッケル及び銅等が好適に使用される。」

(2)本願発明と引用発明との対比・判断
本願発明と引用発明とを対比すると、引用発明の「エッチドアルミ箔」は、本願発明の「アルミニウムエッチング箔」に相当する。

ゆえに、両者は「電気二重層キャパシタに用いられる分極性電極において、アルミニウムエッチング箔である集電体を有することを特徴とする電気二重層キャパシタ用分極性電極。」である点で一致し、以下の点で相違する。

{相違点1}
本願発明は、アルミニウムエッチング箔である集電体が「単位面積当たりの静電容量が50?100μF/cm^(2)であ」るのに対して、引用発明は「日本蓄電器工業株式会社製の商品名「エッチドアルミ箔 JCC-15CB」」を用いた集電体としている点。
{相違点2}
本願発明は、「アニオンとしてフッ素イオンを含む電解液を有する」電気二重層キャパシタであるのに対し、引用発明は上記構成を明記していない点。

そこで、上記相違点について検討する。
{相違点1について}
引用例2の前記一覧表には、その一番目の項目に、引用発明に用いられている日本蓄電器工業株式会社製の商品名「JCC-15CB」のアルミニウムエッチング箔は、単位面積当たりの静電容量が、「67μF/cm^(2)」と記載されているから、引用発明において、アルミニウムエッチング箔である集電体が「単位面積当たりの静電容量が50?100μF/cm^(2)」とする相違点1は実質的な相違点ではない。
{相違点2について}
周知例3の請求項2に「X^(-)はPF_(6)^(-)、BF_(4)^(-)、・・・」とあることからも明らかなように、電気二重層キャパシタの電解液において、「アニオンとしてフッ素イオン(F^(-))」を含ませることは周知であるから、引用発明において「アニオンとしてフッ素イオンを含む電解液を有する」電気二重層キャパシタを用いることは、当業者が容易に想到し得ることである。

よって、本願発明は、引用例に記載された発明及び周知の技術に基づいて、当業者が容易に発明することができたものである。

第3 むすび
以上のとおり、本願発明は、引用例に記載された発明及び周知の技術に基づいて、当業者が容易に発明することができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができず、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2013-09-12 
結審通知日 2013-09-17 
審決日 2013-09-27 
出願番号 特願2008-251549(P2008-251549)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (H01G)
P 1 8・ 113- Z (H01G)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 小山 和俊  
特許庁審判長 石井 研一
特許庁審判官 大澤 孝次
関谷 隆一
発明の名称 電気二重層キャパシタ用分極性電極及びそれを用いた電気二重層キャパシタ  
代理人 木内 光春  

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