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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 A63B |
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管理番号 | 1281843 |
審判番号 | 不服2013-12428 |
総通号数 | 169 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2014-01-31 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2013-07-01 |
確定日 | 2013-12-03 |
事件の表示 | 特願2009-141166「運動教習システム」拒絶査定不服審判事件〔平成21年 9月 3日出願公開、特開2009-195759、請求項の数(1)〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 |
理由 |
第1.手続の経緯 本件出願は、平成19年6月8日に出願した特願2007-152552号(以下「原出願」という。)の一部を平成21年6月12日に新たな特許出願としたものであって、平成21年6月19日付け、平成24年4月23日付け、及び同年7月10日付けで手続補正がなされ、平成25年3月29日付けで拒絶の査定がなされ、同年7月1日に拒絶査定に対する審判の請求がなされると同時に手続補正書が提出されて特許請求の範囲を補正する手続補正がなされ、これらに対し、同年8月6日付けで審尋がなされ、同年10月17日に回答書が提出されたものである。 第2.平成25年7月1日付け手続補正書による補正(以下「本件補正」という。)の適否 1.補正の内容 本件補正は、特許請求の範囲の請求項1を、 「複数の表示部を有する表示手段と、 複数種の身体ポーズに関するポーズデータを記憶したポーズデータ記憶手段と、 前記身体ポーズ毎に呼吸のタイミングデータを記憶した呼吸タイミングデータ記憶手段と、 前記ポーズデータに基づく身体ポーズを表示部に表示させるとともに、前記タイミングデータに基づく当該身体ポーズに対応する呼吸のタイミングを報知する報知手段と、を備え、 前記報知手段は、複数の表示部のうち身体ポーズを表示した表示部とは異なる表示部に所定画像を表示させるとともに、当該所定画像のサイズを前記タイミングデータに基づいて大小変化させることにより報知し、 前記ポーズデータに基づく身体ポーズの表示は、インストラクター画像の表示によって行い、 前記所定画像のサイズの大小変化は、前記インストラクター画像の吐く動作に同期させて『吐く』の文字を含む呼吸模式画像を順次小さく変化させ、前記インストラクター画像の吸う動作に同期させて『吸う』の文字を含む呼吸模式画像を順次大きく変化させるようにして行うものであり、 呼吸模式画像は、吸うタイミングとなると『吐く』の文字が『吸う』に変化し、吐くタイミングとなると『吸う』の文字が『吐く』に変化するものであることを特徴とする運動教習システム。」 と補正するものである。(下線は審決で付した。以下同じ。) 2.補正の適否 本件補正は、請求項1に係る発明を特定するために必要な事項である「呼吸模式画像」に関し、「呼吸模式画像は、吸うタイミングとなると『吐く』の文字が『吸う』に変化し、吐くタイミングとなると『吸う』の文字が『吐く』に変化するものである」と限定するものであって、補正前の請求項1に記載された発明と補正後の請求項1に記載された発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるから、特許法第17条の2第5項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。 また、特許法第17条の2第3項、及び第4項に違反するところはない。 そこで、本件補正後の前記請求項1に係る発明(以下「本願補正発明」という。)が、特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか)について以下に検討する。 (1)引用例 (ア)引用例1 原査定の拒絶の理由に引用された、本願の原出願前に頒布された「特開昭53-67537号公報 」(以下「引用例1」という。)には、次の事項が記載されている。 ・「運動動作の分解連続図と、運動動作の個々の姿勢時間においてとるべき呼吸の呼気、吸気、停止の別、その単位時間あたりの量を示す色彩濃淡図と、呼吸の速度を示す間隔指標とを、たがいに関連して表示した多数の連続図表を、被訓練者の眼前に順次、その運動の速度と同期する速度において展開せしめるように構成してなる運動訓練装置。」(第1頁左下欄第5?12行) ・「連続図表を順次展開させる手段として、映画手法を用いることを特徴とする特許請求の範囲第1項記載の運動訓練装置。」(第1頁右下欄第3?5行) また、図1から、以下の事項が看取できる。 ・「運動動作の分解連続図には、インストラクター画像を表示して、身体ポーズの表示を行っている。」 これらの記載事項、及び図示内容を総合すると、引用例1には、次の発明(以下「引用発明1」という。)が記載されているものと認められる。 「インストラクター画像を表示して、身体ポーズの表示を行っている運動動作の分解連続図と、運動動作の個々の姿勢時間においてとるべき呼吸の呼気、吸気、停止の別、その単位時間あたりの量を示す色彩濃淡図と、呼吸の速度を示す間隔指標とを、たがいに関連して表示した多数の連続図表を、被訓練者の眼前に順次、その運動の速度と同期する速度において展開せしめるように構成してなり、連続図表を順次展開させる手段として、映画手法を用いる運動訓練装置。」 (イ)引用例2 同様に引用された、本願の原出願前に頒布された「特開2005-224572号公報 」(以下「引用例2」という。)には、次の事項が記載されている。 ・「請求項1に記載する『多段階に分け、順を追って筋力トレーニングのフォームを習得する方法』を説明する映像において、多段階に分けた動きを動画として表現することに加え、息を吸う、息を吐くに対応させて、風船様のイラスト、もしくはアニメーションを膨張、収縮させることによって呼吸を説明する方法。」(【請求項4】) ・「また、第4の課題解決手段として、ビデオなどの映像では、多段階に分けた動きを動画として表現することに加え、息を吸う、息を吐くに対応させて、風船様のイラスト、もしくはアニメーションを膨張、収縮させることによって、呼吸の方法を説明したものである。」(段落【0009】) また、これらの記載から、以下の事項が示されているといえる。 ・「筋力トレーニングのフォームを習得する装置。」 これらの記載事項を総合すると、引用例2には、次の発明(以下「引用発明2」という。)が記載されているものと認められる。 「ビデオなどの映像で、筋力トレーニングのフォームを多段階に分けた動きを動画として表現することに加え、息を吸う、息を吐くに対応させて、風船様のイラスト、もしくはアニメーションを膨張、収縮させることによって、呼吸の方法を説明した筋力トレーニングのフォームを習得する装置。」 (ウ)引用例3 同様に引用された、本願の原出願前に頒布された「特開平9-61562号公報 」(以下「引用例3」という。)には、次の事項が記載されている。 ・「【発明の属する技術分野】本発明は、音声出力装置に関する。詳しくは、オンタイマモードで電源オン状態にあるとき、所定時間オフ状態とすることを可能とすることによって、目覚まし機能の向上を図るようにした音声出力装置に係るものである。」(段落【0001】) ・「なお、上述実施形態においては、オンタイマモードで設定時刻に電源オン状態になるとカラー受像管6の画面上に、チューナ2が選択したチャンネルの映像を表示させるものであるが、マイコン11によってOSD回路5aを制御して、OSD回路5aより出力される文字画像信号による文字画像をカラー受像管6の画面上にスーパーインポーズ表示させてもよい。」(段落【0048】) ・「また、スヌーズモード設定時にあっては、OSD回路9aを更に制御して、その表示文字画像を次第に大きくなるように変化させてもよいし、更に、上述した表示画像の色相や色の濃さなどを、OSD回路9aを制御して変化させたり、表示画像及び背景の輝度やコントラストなどを映像処理回路5を制御して変化させたり、表示画像を点滅させたりしてもよい。このようにすれば、スヌーズモード設定時にあっては、スピーカー10より出力される音量レベルが徐々に大きくなる効果と相乗して、使用者に設定時刻になったことを知らせる機能が、更に向上する。」(段落【0049】) これらの記載事項を総合すると、引用例3には、次の発明(以下「引用発明3」という。)が記載されているものと認められる。 「オンタイマモードで設定時刻に電源オン状態になるとカラー受像管6の画面上に、チューナ2が選択したチャンネルの映像を表示させるものであって、マイコン11によってOSD回路5aを制御して、OSD回路5aより出力される文字画像信号による文字画像をカラー受像管6の画面上にスーパーインポーズ表示させ、スヌーズモード設定時にあっては、OSD回路9aを更に制御して、その表示文字画像を次第に大きくなるように変化させる目覚まし機能の向上を図るようにした音声出力装置。」 (エ)引用例4 同様に引用された、本願の原出願前に頒布された「特開2006-218222号公報 」(以下「引用例4」という。)には、次の事項が記載されている。 ・「測定時に被測定者の呼吸を誘導する信号を発生させる信号発生手段と、この信号に基づき呼吸を誘導する表示を表示する表示手段とを備えた血圧計。」(【請求項1】) ・「前記表示手段は、表示図形の大きさを変化変化させることで息を吐くか吸うかを表示することを特徴とする請求項2記載の血圧計。」(【請求項4】) ・「図1において、血圧計1は、被測定者の上腕部に巻回されたカフ2と血圧計本体部3とからなる。本体部3は、内部にマイクロコンピュータ等を備え血圧計全体を制御する制御部4、制御部4に接続されカフ2に圧力を増加させたり、圧力を減少させたりする圧力制御部5、制御部4に接続されカフ2の圧力を検出する圧力検出部6、本体部3に電力を供給する電源部7、本体部3に電力を供給するための電源スイッチ8、測定結果を表示するための表示部9とを備える。この構成は、従来広く頒布されている血圧計の構成と同等であるので、その詳細については説明を省略する」(段落【0023】) ・「上記実施例では、7個の液晶を順次表示し、いくつの液晶を表示するかのレベルの変化の方向で息を吐くかすうかを示したが、図5に示すように7個の同心円状の液晶を備え、中心から外側に向かって順次表示し図形の大きさを変化させること、及び外側から中心方向に順次表示を消していき図形の大きさを変化させることで息を吐くかすうかを示してもよい。」(段落【0031】) また、図5から、以下の事項が看取できる。 ・「7個の同心円状の表示の外側に『息を吸う』及び『息を吐く』との文字が表示されている。」 これらの記載事項、及び図示内容を総合すると、引用例4には、次の発明(以下「引用発明4」という。)が記載されているものと認められる。 「表示部9を有する表示手段を備え、表示部9に7個の同心円状の液晶を備えて表示図形を表示し、その外側に『息を吸う』及び『息を吐く』との文字が表示されており、上記の同心円状の表示図形を中心から外側に向かって順次表示し図形の大きさを変化させること、及び外側から中心方向に順次表示を消していき図形の大きさを変化させることで息を吐くかすうかを示す血圧計。」 (エ)引用例5 審尋で引用された、本願の原出願前に頒布された「特開平10-43328号公報 」(以下「引用例5」という。)には、次の事項が記載されている。 ・「【発明の実施の形態】以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。図1には、本実施形態の呼吸法鍛錬装置10が示されている。呼吸法鍛錬装置10は、呼吸を合わせるための報知手段11と、この報知手段11に関する設定を行う設定手段12とを備えている。報知手段11は、呼気を合わせるための呼気用ランプLED1と、吸気を合わせるための吸気用ランプLED2と、呼吸の停止を合わせるための停止用ランプLED3とを含んで構成されている。」(段落【0011】) ・「このような本実施形態の呼吸法鍛錬装置10では、交互に点灯される各ランプLED1,LED2,LED3に合わせて呼吸法の鍛錬を行う。つまり、呼気用ランプLED1点灯中に息を吐き続け、停止用ランプLED3点灯中には呼吸を停止し、吸気用ランプLED2点灯中に息を吸い続け、このサイクルを設定した回数N(n)で繰り返す。」(段落【0027】) これらの記載事項を総合すると、引用例5には、次の発明(以下「引用発明5」という。)が記載されているものと認められる。 「呼吸を合わせるための報知手段11と、この報知手段11に関する設定を行う設定手段12とを備え、報知手段11は、呼気を合わせるための呼気用ランプLED1と、吸気を合わせるための吸気用ランプLED2と、呼吸の停止を合わせるための停止用ランプLED3とを含んで構成されており、交互に点灯される各ランプLED1、LED2、LED3に合わせて呼吸法の鍛錬を行う呼吸法鍛錬装置10。」 (2)対比 そこで、本願補正発明と引用発明1とを対比すると、 後者における「『連続図表を順次展開させる手段』、及び『映画手法』」は、その機能、作用等からみて、前者における「表示手段」に相当し、以下同様に、「『身体ポーズの表示を行っている運動動作の分解連続図』、『運動動作の個々の姿勢時間においてとるべき呼吸の呼気、吸気、停止の別、その単位時間あたりの量を示す色彩濃淡図』、及び『呼吸の速度を示す間隔指標』」は「報知手段」に、「運動訓練装置」は「運動教習システム」に、それぞれ相当する。 また、後者における「『連続図表を順次展開させる手段』、及び『映画手法』」によって、被訓練者の眼前に連続図表を展開するから、後者における「『連続図表を順次展開させる手段』、及び『映画手法』」に「表示部」を有することは明らかである。 また、後者における「連続図表」には、身体ポーズの表示を行っている運動動作の分解連続図を表示されるものであって、上記のとおり、「連続図表を順次展開させる手段」は「表示部」を有するものであるから、後者における「表示部」は「身体ポーズを表示させている」といえる。 したがって、両者は、 「表示部を有する表示手段と、 身体ポーズを表示部に表示させるとともに、当該身体ポーズに対応する呼吸のタイミングを報知する報知手段と、を備え、 身体ポーズの表示は、インストラクター画像の表示によって行う、 運動教習システム。」 の点で一致し、以下の点で相違している。 [相違点1] 表示部に関し、本願補正発明は、「複数の」表示部を有するのに対し、引用発明1は、そのようなものではない点。 [相違点2] 本願補正発明は、「複数種の身体ポーズに関するポーズデータを記憶したポーズデータ記憶手段と、前記身体ポーズ毎に呼吸のタイミングデータを記憶した呼吸タイミングデータ記憶手段と、」を備えるのに対し、引用発明1は、そのようなものではない点。 [相違点3] 報知手段に関し、本願補正発明は、「ポーズデータに基づく」身体ポーズを表示部に表示させるとともに、「タイミングデータに基づく」当該身体ポーズに対応する呼吸のタイミングを報知する報知手段であり、前記報知手段は、「複数の表示部のうち身体ポーズを表示した表示部とは異なる表示部に所定画像を表示させるとともに、当該所定画像のサイズを前記タイミングデータに基づいて大小変化させることにより報知し、」「前記ポーズデータに基づく」身体ポーズの表示は、インストラクター画像の表示によって行い、「前記所定画像のサイズの大小変化は、前記インストラクター画像の吐く動作に同期させて『吐く』の文字を含む呼吸模式画像を順次小さく変化させ、前記インストラクター画像の吸う動作に同期させて『吸う』の文字を含む呼吸模式画像を順次大きく変化させるようにして行うものであり、呼吸模式画像は、吸うタイミングとなると『吐く』の文字が『吸う』に変化し、吐くタイミングとなると『吸う』の文字が『吐く』に変化するものである」のに対し、引用発明1は、「インストラクター画像を表示して、身体ポーズの表示を行っている運動動作の分解連続図と、運動動作の個々の姿勢時間においてとるべき呼吸の呼気、吸気、停止の別、その単位時間あたりの量を示す色彩濃淡図と、呼吸の速度を示す間隔指標とを、たがいに関連して表示した多数の連続図表を、被訓練者の眼前に順次、その運動の速度と同期する速度において展開せしめるように構成してな」る点。 (3)判断 上記相違点3について以下検討する。 引用発明2は、上記(1)(イ)のとおりであって、引用発明2における「風船様のイラスト、もしくはアニメーション」は、その構造、機能、作用等からみて、本願補正発明における「『所定画像』、及び『呼吸模式画像』」に相当し、以下同様に、「筋力トレーニングのフォームを習得する装置」は「運動教習システム」に相当する。 また、引用発明2は、「ビデオなどの映像で、筋力トレーニングのフォームを多段階に分けた動きを動画として表現する」から、「表示部を有する表示手段」を有することは明らかである。 また、引用発明2は、「筋力トレーニングのフォームを多段階に分けた動きを動画として表現することに加え、息を吸う、息を吐くに対応させて、風船様のイラスト、もしくはアニメーションを膨張、収縮させることによって、呼吸の方法を説明した」ものであるから、「身体ポーズを表示部に表示させるとともに、当該身体ポーズに対応する呼吸のタイミングを報知する報知手段を備え、前記報知手段は、風船様のイラスト、もしくはアニメーションのサイズを息を吸う、息を吐くという呼吸のタイミングに基づいて大小変化させることにより報知し、身体ポーズの表示は、インストラクター画像の表示によって行い、前記風船様のイラスト、もしくはアニメーションのサイズの大小変化は、前記インストラクター画像の吐く動作に同期させて呼吸模式画像を順次小さく変化させ、前記インストラクター画像の吸う動作に同期させて呼吸模式画像を順次大きく変化させるようにして行うものである」といえる。 してみると、引用発明2は、「表示部を有する表示手段と、身体ポーズを表示部に表示させるとともに、当該身体ポーズに対応する呼吸のタイミングを報知する報知手段と、を備え、前記報知手段は、所定画像のサイズを息を吸う、息を吐くという呼吸のタイミングに基づいて大小変化させることにより報知し、身体ポーズの表示は、インストラクター画像の表示によって行い、前記所定画像のサイズの大小変化は、前記インストラクター画像の吐く動作に同期させて呼吸模式画像を順次小さく変化させ、前記インストラクター画像の吸う動作に同期させて呼吸模式画像を順次大きく変化させるようにして行うものである運動教習システム。」を備える。 また、引用発明3は、上記(1)(ウ)のとおりであって、引用発明3における「カラー受像管6の画面」は、その構造、機能、作用等からみて、本願補正発明における「表示手段の表示部」に相当し、以下同様に、「表示文字画像」は「文字を含む所定画像」に相当する。 してみると、引用発明3は、「オンタイマモードで設定時刻に電源オン状態になると表示手段の表示部に、文字を含む所定画像を順次大きく変化させる目覚まし機能の向上を図るようにした音声出力装置。」を備える。 また、引用発明4は、上記(1)(エ)のとおりであって、引用発明4における「表示部9」は、その構造、機能、作用等からみて、本願補正発明における「表示部」に相当し、以下同様に、「(同心円状の)表示図形」は「『所定画像』、及び『呼吸模式画像』」に相当する。 また、引用発明4は、「同心円状の表示図形を中心から外側に向かって順次表示し図形の大きさを変化させること、及び外側から中心方向に順次表示を消していき図形の大きさを変化させることで息を吐くかすうかを示す」から、「呼吸のタイミングを報知する報知手段を備え、前記報知手段は、所定画像のサイズを息を吸う、息を吐くという呼吸のタイミングに基づいて大小変化させることにより報知し、前記所定画像のサイズの大小変化は、吐く動作に同期させて呼吸模式画像を順次小さく変化させ、吸う動作に同期させて呼吸模式画像を順次大きく変化させるようにして行うものである」といえる。 してみると、引用発明4は、「表示部を有する表示手段と、呼吸のタイミングを報知する報知手段を備え、前記報知手段の外側に『息を吸う』、及び『息を吐く』との文字が表示されており、前記報知手段は、所定画像のサイズを息を吸う、息を吐くという呼吸のタイミングに基づいて大小変化させることにより報知し、前記所定画像のサイズの大小変化は、吐く動作に同期させて呼吸模式画像を順次小さく変化させ、吸う動作に同期させて呼吸模式画像を順次大きく変化させるようにして行うものである血圧計。」を備える。 また、引用発明5は、上記(1)(オ)のとおりであって、引用発明5における「『報知手段11』、『呼気用ランプLED1』、『吸気用ランプLED2』及び『停止用ランプLED3』」は、その構造、機能、作用等からみて、本願補正発明における「報知手段」に相当する。 また、引用発明5における「報知手段11」は、呼吸を合わせるためのものであるから、「呼吸のタイミングを報知する」ものといえる。 また、引用発明5は、「報知手段11は、呼気を合わせるための呼気用ランプLED1と、吸気を合わせるための吸気用ランプLED2と、呼吸の停止を合わせるための停止用ランプLED3とを含んで構成されており、交互に点灯される各ランプLED1、LED2、LED3に合わせて呼吸法の鍛錬を行う」から、「吸気用ランプLED2は、吸うタイミングとなると点灯し、呼気用ランプLED1は、吐くタイミングとなると点灯する」といえる。 してみると、引用発明5は、「呼吸のタイミングを報知する報知手段を備え、報知手段である吸気用ランプLEDは、吸うタイミングとなると点灯し、報知手段である呼気用ランプLEDは、吐くタイミングとなると点灯する呼吸法の鍛錬を行う呼吸法鍛錬装置。」を備える。 しかしながら、引用発明2ないし5には、少なくとも上記相違点3に係る本願補正発明の発明特定事項である呼吸模式画像に「『吐く』、及び『吸う』の文字を含む」点、並びに呼吸模式画像は、「吸うタイミングとなると『吐く』の文字が『吸う』に変化し、吐くタイミングとなると『吸う』の文字が『吐く』に変化するものである」点は示されておらず、係る点により、本願明細書に記載の「レッスン中における呼吸のタイミングをユーザがスムーズに認識することができる。」(段落【0011】)、「レッスン中における呼吸のタイミングを認識することができ、正しい呼吸を伴うレッスンを行うことができる。」(段落【0052】)という作用効果を奏するものである。 しかも、引用発明3ないし5の属する技術分野は、それぞれ「目覚まし機能の向上を図るようにした音声出力装置」、「血圧計」、「呼吸法鍛錬装置」であって、引用発明1、及び2の属する「運動教習システム」という技術分野とは異なるから、そもそも引用発明1、及び2に引用発明3ないし5を適用することは、当業者が容易に想到し得るものではない。 したがって、引用発明1において、引用発明2ないし5を適用することにより、相違点3に係る本願補正発明の発明特定事項とすることは、当業者が容易に想到し得るものではない。 よって、上記相違点1、及び2を検討するまでもなく、本願補正発明は、引用発明1ないし5に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。 (4)むすび 以上のとおりであって、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合する。 第3.本願の発明について 本件補正は、上記のとおり、特許法第17条の2第3項ないし第6項の規定に適合するから、本願の請求項1に係る発明は、本件補正により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定されるとおりのものである。 そして、本願については、原査定の拒絶理由を検討してもその理由によって拒絶すべきものとすることはできない。 また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審決日 | 2013-11-20 |
出願番号 | 特願2009-141166(P2009-141166) |
審決分類 |
P
1
8・
121-
WY
(A63B)
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最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 池谷 香次郎、加藤 範久 |
特許庁審判長 |
吉野 公夫 |
特許庁審判官 |
黒瀬 雅一 佐々木 訓 |
発明の名称 | 運動教習システム |
代理人 | 田村 良介 |