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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 F17C
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 F17C
管理番号 1281896
審判番号 不服2012-16139  
総通号数 169 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2014-01-31 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2012-08-20 
確定日 2013-11-20 
事件の表示 特願2009-514188「延長球形LNG貯蔵タンク及びその製造方法」拒絶査定不服審判事件〔平成19年12月13日国際公開、WO2007/142400、平成21年11月19日国内公表、特表2009-540233〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由
第1 手続の経緯
本願は、2007年2月21日(パリ条約による優先権主張外国庁受理 2006年6月5日(KR)韓国、2006年12月28日(KR)韓国)を国際出願日とする出願であって、平成24年4月4日付けで拒絶査定がなされ、これに対し、同年8月20日に拒絶査定不服審判の請求がなされ、同時に手続補正がなされたものである。
そして、当審において、平成25年1月18日付けで審尋を行ったが、審判請求人からの回答はなかった。

第2 平成24年8月20日付けの手続補正(以下、「本件補正」という。)についての補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
本件補正を却下する。

[理由]
本件補正により、特許請求の範囲の請求項1は、
「曲率半径Rを有する上部タンク部及び下部タンク部と、前記上部タンク部と下部タンク部との間に設けられLNG貯蔵容量を拡大させる連結タンク部とからなるLNG貯蔵タンクにおいて、
前記連結タンク部は、上部タンク部と下部タンク部を形成する円(C1、C2)の外側で2円に内接する円弧または放物線(C3)により形成され、
前記連結タンク部は、複数の厚みが異なるプレート片と赤道部との結合により構成され、前記上部タンク部側から前記下部タンク部側にいくにつれ前記プレート片が厚くなるように結合され、
前記複数の厚みが異なるプレート片のうち、前記下部タンク部に最も近く結合されるプレート片は、前記下部タンク部より厚いことを特徴とする延長球形LNG貯蔵タンク。」
と補正された。

上記補正は、請求項1に記載した発明を特定するために必要な事項である「連結タンク部」について、「赤道部」も結合されることを限定し、同じく「複数の厚みが異なるプレート片」について、「下部タンク部に最も近く結合されるプレート片は、前記下部タンク部より厚い」との限定を付加するものであって、補正前の請求項1に記載された発明と補正後の請求項1に記載された発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるから、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法(以下、「改正前特許法」という。)第17条の2第4項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
そこで、本件補正後の前記請求項1に記載された発明(以下、「本願補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(改正前特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に適合するか)について以下に検討する。

1.引用文献
(1)原査定の拒絶の理由に引用され、本願優先日前に頒布された刊行物である、特開平9-24891号公報(以下、「引用文献1」という。)には、図面とともに以下の事項が記載されている。

(1a)「【請求項1】 各々概ね半球形の上部分(11)と下部分(12)とを有する少なくとも2個の貨物タンク(2,3,4,5)を含み、前記上部分と下部分とが概ね同じ曲率半径を有する外洋運搬船(1)において、前記貨物タンク(2?4)の少なくとも1個が、前記タンクの上下部分(11,12)の間に位置し、相互に接続している円筒形の中間部分(10)を有することを特徴とする外洋運搬船。」

(1b)「【請求項3】 各タンクの下部分(12)がその上縁部において、タンク(2)の支持手段が接続される要素を形成する赤道形状部(13)を含むことを特徴とする請求項1または2に記載の運搬船。」

(1c)「【請求項8】 タンクの各中間部分(10)の厚さが前記タンクの上部分(11)の板厚より大きく、前記下部分(12)の板厚より小さいことを特徴とする請求項1から7までのいずれか1項に記載の運搬船。」

(1d)「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、特許請求の範囲の請求項1の前文に記載の外洋運搬船に関する。該運搬船は、専用ではないが特に、例えば貨物タンクに入れた液化天然ガス(LNG)のような液化ガスの搬送のためのものである。」

(1e)「【0015】図2は中間部分10の高さが約5mである最大の貨物タンク2を示す。中間部分10は概ね円筒形で環状の板の形態であり、これはタンクの強度並びに製作に関して有利である。
【0016】タンク2は半球形の頂部すなわち上部分11と、より厚い板から作られた同様寸法の半球形底部すなわち下部分12とを有する。上部分11と下部分12とはアルミニウム板を共に溶接したものから作られている。
【0017】図3は、中間部分10が従来の赤道形状部13の上縁部13′と、タンクの上部分11の下縁部11′との間に位置され、それらに溶接によって接続されていることを示す。」

(1f)図2、図3より、上部分(11)と下部分(12)との間に、中間部分(10)及び赤道形状部(13)が結合されていることが認められる。

以上によれば、引用文献1には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。

「各々概ね同じ曲率半径を有する半球形の上部分(11)と下部分(12)とを有する液化天然ガス(LNG)のための貨物タンク(2)であって、
上部分(11)と下部分(12)との間に、中間部分(10)及び赤道形状部(13)が結合されている貨物タンク(2)。」

(2)原査定の拒絶の理由に引用され、本願優先日前に頒布された刊行物である、特公昭37-597号公報(以下、「引用文献2」という。)には、図面とともに以下の事項が記載されている。

(2a)「次にこの発明を図面について説明する。容器は中央樽部1を備えていて、この樽部の表面は線CDに就て軸的に対称をなしており、線CDの軸のまわりに線ABを回転させて形成させたものである。図面には半径R_(1)の円弧として示してある線ABは……如何なる彎曲でも差支えない。ABが円弧ならばその中心は図示のごとき容器の輪廓の外方にあることが判るはずである。……第1図において、端部キヤップ2,3は形状を同じくしてあり、この場合では双方をしてそれぞれ半径r_(1)とr_(2)との球面のものとしてある。」(1ページ左欄下から3行?右欄15行)

(2b)「しかしながらこの発明を利用すれば……作動圧力をして円筒容器における場合よりもはるかに大きなものを使用することが出来ると同時に、容器の大きさおよびその包囲体の大きさをして適当なだけに小型に出来るので球形容器では極めて無駄な空所が出来るものを、ずつとその無駄を省くことが出来るものである。」(2ページ左欄6行?15行)

(2c)「第1図




2.対比
引用発明の「液化天然ガス(LNG)のための貨物タンク(2)」は、本願補正発明の「LNG貯蔵タンク」に相当し、また、その形状は延長球形といえるから、本願補正発明の「延長球形LNG貯蔵タンク」に相当する。
引用発明の「各々概ね同じ曲率半径を有する」、「上部分(11)」、「下部分(12)」は、それぞれ、本願補正発明の「曲率半径Rを有する」、「上部タンク部」、「下部タンク部」に相当する。
引用発明の「中間部分(10)及び赤道形状部(13)」は、「上部分(11)と下部分(12)との間」に設けられ、これによって、LNG貯蔵容量が拡大することも明らかであるから、本願補正発明の「上部タンク部と下部タンク部との間に設けられLNG貯蔵容量を拡大させる連結タンク部」に相当する。
引用発明の「赤道形状部(13)」は、本願補正発明の「赤道部」に相当し、引用発明の「中間部分(10)及び赤道形状部(13)」と本願補正発明の「連結タンク部」は、少なくとも「赤道部と他の部材との結合により構成され」ている点で共通する。
よって、本願補正発明と引用発明との一致点、相違点は以下のとおりである。

[一致点]
「曲率半径Rを有する上部タンク部及び下部タンク部と、前記上部タンク部と下部タンク部との間に設けられLNG貯蔵容量を拡大させる連結タンク部とからなるLNG貯蔵タンクにおいて、
前記連結タンク部は、赤道部と他の部材との結合により構成された延長球形LNG貯蔵タンク。」

[相違点1]
本願補正発明の「連結タンク部」は、「上部タンク部と下部タンク部を形成する円(C1、C2)の外側で2円に内接する円弧または放物線(C3)により形成され」た形状であるのに対し、引用発明の「中間部分(10)及び赤道形状部(13)」は、このような形状ではない点。

[相違点2]
本願補正発明の「連結タンク部」は、「複数の厚みが異なるプレート片と赤道部との結合により構成され、前記上部タンク部側から前記下部タンク部側にいくにつれ前記プレート片が厚くなるように結合され、前記複数の厚みが異なるプレート片のうち、前記下部タンク部に最も近く結合されるプレート片は、前記下部タンク部より厚い」と特定されているのに対し、引用発明の「中間部分(10)及び赤道形状部(13)」は、このように特定されたものではない点。

3.判断
(1)相違点1について
引用文献2において、端部キヤップ2,3は、本願補正発明の上部タンク部、下部タンク部に相当し、中央樽部1は、本願補正発明の連結タンク部に相当するといえる。そして、端部キヤップ2,3はそれぞれ半径r_(1)、r_(2)の球面であり、中央樽部1を形成する線ABは半径R_(1)の円弧であるから、引用文献2には、連結タンク部を、「上部タンク部と下部タンク部を形成する円の外側で2円に内接する円弧により形成され」た形状とする技術事項が開示されているといえる。上記技術事項は、容器の作動圧力の増大と容器の小型化に寄与するものである(記載(2b))。
容器の作動圧力の増大と容器の小型化は、内圧を受ける容器一般において通常考慮されるべき課題といえるから、引用発明において当該課題を考慮することは普通のことである。
よって、相違点1に係る本願補正発明の構成は、引用発明において、上記課題を考慮して、上記引用文献2の技術事項を採用することにより、当業者が容易に想到し得たものである。

(2)相違点2について
引用文献1の「上部分11と下部分12とはアルミニウム板を共に溶接したものから作られている」(記載(1e))との記載や、図2の記載を参照すれば、引用文献1には、上部分(11)と下部分(12)を複数のプレート片から構成することが示唆されているといえ、同様に図示されている中間部分(10)についても複数のプレート片から構成することが示唆されているといえる。
また、原査定の拒絶の理由に引用された特開昭56-146485号公報に「球形タンク3を構成する各ブロック部材、またはモジユールを溶接し、組立てを行なつている。」(2ページ右上欄8行?10行)と記載されていることも参照すれば、タンクを複数のプレート片から構成することは周知ともいえる。
そうすると、引用発明の中間部分(10)を複数のプレート片から構成し、「複数のプレート片と赤道部との結合により構成され」た連結タンク部とすることは、引用文献1の技術事項ないし周知技術を考慮して、当業者が容易に想到し得たことである。

ところで、引用文献1には、タンク下方の板厚を大きくする旨の記載があり(記載(1c))、タンク下方ほど板厚を厚くすることは周知であり(原査定に周知例として示された特開昭62-135180号公報(従来の技術)、特開平10-305896号公報(【0036】、図8)、特開2002-235453号公報(【0040】、図7)参照。)、また、タンクに加わる荷重を考慮して板厚を定めることが、強度設計上の慣用技術である。
さらに、特表平9-508600号公報(4ページ18行?19行)に示されるように、半球状端部と円筒状中間部からなるタンクにおいて、円筒状中間部の肉厚を半球状端部の肉厚よりも厚くすることが慣用技術であり、一方、本願補正発明の「前記複数の厚みが異なるプレート片のうち、前記下部タンク部に最も近く結合されるプレート片は、前記下部タンク部より厚い」との構成について、その技術的意義は明細書に記載されていないから、上記本願補正発明の構成は、上記慣用技術に基づく程度のものというべきである。
したがって、プレート片を「複数の厚みが異なるプレート片」とし、「前記上部タンク部側から前記下部タンク部側にいくにつれ前記プレート片が厚くなるように結合され、前記複数の厚みが異なるプレート片のうち、前記下部タンク部に最も近く結合されるプレート片は、前記下部タンク部より厚い」構成とすることは、上記引用文献1の技術事項ないし周知・慣用技術を考慮して、当業者が容易に想到し得たことである。

よって、相違点2に係る本願補正発明の構成は、引用発明、引用文献1の技術事項ないし周知・慣用技術に基いて、当業者が容易に想到し得たものである。

(3)まとめ
本願補正発明が、引用発明、引用文献2の技術事項、及び、引用文献1の技術事項ないし周知・慣用技術から予測できない格別顕著な効果を奏するものとは認められない。
したがって、本願補正発明は、引用発明、引用文献2の技術事項、及び、引用文献1の技術事項ないし周知・慣用技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

4.むすび
以上のとおり、本件補正は、改正前特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に違反するので、同法第159条第1項の規定において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

第3 本願発明
本件補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、平成24年1月6日付けの手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される、以下のとおりのものである。

「曲率半径Rを有する上部タンク部及び下部タンク部と、前記上部タンク部と下部タンク部との間に設けられLNG貯蔵容量を拡大させる連結タンク部とからなるLNG貯蔵タンクにおいて、
前記連結タンク部は、上部タンク部と下部タンク部を形成する円(C1、C2)の外側で2円に内接する円弧または放物線(C3)により形成され、
前記連結タンク部は、複数の厚みが異なるプレート片の結合により構成され、前記上部タンク部側から前記下部タンク部側にいくにつれ前記プレート片が厚くなるように結合されることを特徴とする延長球形LNG貯蔵タンク。」

第4 引用文献
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献及びその記載事項は、前記「第2[理由]1.引用文献」に記載したとおりである。

第5 対比・判断
本願発明は、前記「第2」で検討した本願補正発明から「連結タンク部」について、「赤道部」も結合される旨の限定を省き、「複数の厚みが異なるプレート片」について、「下部タンク部に最も近く結合されるプレート片は、前記下部タンク部より厚い」との限定を省いたものである。
そうすると、本願発明の発明特定事項を全て含み、さらに他の限定を付加したものに相当する本願補正発明が、前記「第2 3.」に記載したとおり、引用発明、引用文献2の技術事項、及び、引用文献1の技術事項ないし周知・慣用技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も、同様の理由により、引用発明、引用文献2の技術事項、及び、引用文献1の技術事項ないし周知・慣用技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

第6 むすび
以上のとおり、本願発明は、引用発明、引用文献2の技術事項、及び、引用文献1の技術事項ないし周知・慣用技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、本願は、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2013-06-14 
結審通知日 2013-06-18 
審決日 2013-07-04 
出願番号 特願2009-514188(P2009-514188)
審決分類 P 1 8・ 575- Z (F17C)
P 1 8・ 121- Z (F17C)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 高橋 裕一  
特許庁審判長 千葉 成就
特許庁審判官 二ッ谷 裕子
紀本 孝
発明の名称 延長球形LNG貯蔵タンク及びその製造方法  
代理人 大貫 進介  
代理人 伊東 忠彦  
代理人 伊東 忠重  
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