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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) A61K
管理番号 1282060
審判番号 不服2010-16535  
総通号数 169 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2014-01-31 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2010-07-23 
確定日 2013-11-28 
事件の表示 特願2003-511874「蛍光タンパク質をマーカーとして用いた感染の画像化」拒絶査定不服審判事件〔平成15年 1月23日国際公開、WO03/06069、平成17年 7月14日国内公表、特表2005-520781〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯

本願は、2002年7月9日(パリ条約による優先権主張 2001年7月9日、米国(US))を国際出願日とする出願であって、平成22年3月10日付けで拒絶査定がされ、これに対し、平成22年7月30日に拒絶査定不服審判が請求されるとともに、同日付けで手続補正がされた。
そして、平成24年11月6日付けで拒絶理由通知が出されたのに対し、平成25年3月7日付けで意見書及び手続補正書が提出された。

第2 本願発明

本願の請求項1?18に係る発明は、平成25年3月7日付け手続補正書における特許請求の範囲の請求項1?18に記載された事項により特定されるとおりのものであるところ、その請求項1には、以下のように記載されている。
「生存非ヒト哺乳動物被験体における感染の進行を空間的及び経時的にモニターする方法であって、
蛍光タンパク質を発現する、ウイルス以外の病原体で処置された前記哺乳動物被験体において、種々の位置における蛍光の存在、不在又は強度を時間の関数として観察することを含み、前記観察が無傷のヒト被実験検体における全身の蛍光光学的画像化により行われる、上記方法。」

ここで、上記「前記観察が無傷のヒト被検体における全身の蛍光光学的画像化により行われる」との記載において、全身の蛍光光学的画像化の対象は「ヒト被検体」であるが、補正前の請求項1(平成22年7月23日付け手続補正書)における対応箇所では「前記観察が無傷の非ヒト被験体における全身の蛍光光学的画像化により行われる」と記載されていたこと、及び前記対象が「ヒト被検体」である場合、「生存非ヒト哺乳動物被験体における感染の進行を空間的及び経時的にモニターする方法」という前提と整合しないことから前記「ヒト被検体」との記載は明らかな誤記であり、正しくは「非ヒト被験体」であると解するのが相当である。

よって、本願請求項1に係る発明は、
「生存非ヒト哺乳動物被験体における感染の進行を空間的及び経時的にモニターする方法であって、
蛍光タンパク質を発現する、ウイルス以外の病原体で処置された前記哺乳動物被験体において、種々の位置における蛍光の存在、不在又は強度を時間の関数として観察することを含み、前記観察が無傷の非ヒト被験体における全身の蛍光光学的画像化により行われる、上記方法。」(以下、「本願発明」という。)であるという解釈を前提として、以下の対比・判断を行うこととする。

第3 引用例に記載されている事項

平成24年11月6日付けの拒絶理由通知で引用された、本願優先日前に頒布された刊行物である「特表2000-502884号公報」(以下、「引用例1」という。)には、以下の事項が記載されている。なお、下線は当審合議体が付加した。

(ア)「 1.次の工程からなる哺乳類対象中の生物適合体の局在を検出する非侵襲的方法:
(a) その対象に、その生物適合体と発光成分の複合体を投与し、
(b) その複合体がその対象内で局在を達成しうる期間の後、その対象を光検出装置の検出フィールド内に固定し、
(c) その対象を固定状態に維持し、
(d) 当該維持中に、その対象中に局在した発光成分からの光子放射を、光子放射の画像を構築することができるまで、その光検出装置で測定し、
(e) その画像を構築する。

2.工程(b)から(e)までを選択した間隔で反復することをさらに含み、該反復が対象中の当該生物適合体の局在を経時的に追跡するのに有効である請求項1の方法。
(中略)
6.該投与が感染ターゲッティング成分を含有する複合体の投与を含む、哺乳類対象中の病原体による感染の局在を検出するための請求項1の方法。
(中略)
8.該投与が発光成分を含有する粒子である複合体の投与を含む請求項1の方法。
9.動物モデル中の病原体による感染症の局在を検出するための請求項1の方法であって、生物適合体がその病原体である方法。
10.病原体がサルモネラである請求項9の方法。
11.発光成分が発光性タンパク質である請求項1の方法。
(中略)
13.該投与が、抗体断片と発光性タンパク質の融合タンパク質である複合体の投与を含む請求項11の方法。
14.生物適合体が形質転換細胞であり、発光成分がその細胞から発現する異種遺伝子の産物である請求項11の方法。」(請求項1?14)

(イ)「動物モデルにおける感染の進行を追跡する手段を持つことが望ま
しい。その追跡を非侵襲的に行なうことができ、一匹の動物を必要な頻度で有害な影響を与えずに評価できれば、理想的である。本発明の方法と組成物は、哺乳動物などの生体内の病原体とその他の物体を検出し、位置決めし、追跡するための非侵襲的方法を提供する。」(第5頁第18?22行)

(ウ)「本発明は、哺乳類対象内の生物適合体の局在を検出する非侵襲的方法を包含する。
その生物適合体は分子であってもよいし、巨大分子、細胞、微生物(病原体を含む)、あるいは粒子などであってもよい。
この方法では、対象に当該物体と発光成分の複合体を投与する。発光成分は通例、光を放射する分子または高分子(巨大分子)である。この成分は、放射吸収の結果として発光したり(例えば蛍光性または燐光性分子)、あるいは化学反応の結果として発光することができる(例えば生物発光タンパク質)。発光成分の典型例は、ルシフェラーゼやエクオリンのような生物発光タンパク質および、黄色蛍光タンパク質やフェレドキシンIVのような有色または蛍光タンパク質である。」(第5頁24行?6頁4行)

(エ)「対象中で複合体が局在できた期間の後、対象を、十分な量の光子放射を(その光検出装置で)測定して画像を構築するのに有効な期間、光検出装置の検出フィールド内に固定する。典型的な光検出装置は、画像処理装置に接続した増倍化電荷結合素子(ICCD)カメラである。”固定されていない”対象が動く時間スケールに比べて短い時間内に画像を構築できるのであれば、対象は撮像中本質的に”固定されている”ことになり、特別な固定措置は必要ない。次に、光子放射データから画像を構築する。
撮像工程を選択した間隔で繰り返し、各間隔に対応する画像を構築することにより、上述の方法で、対象内の物体の局在を経時的に追跡することができる。」(第6頁第13?21行)

(オ)「発光成分と複合した病原体(例えばサルモネラ)を物体として使用すれば、この方法で、動物モデル内の病原体による感染部位を検出し、局在化(定位)することができる。」(第7頁第3?5行)

(カ)「本発明は、哺乳類対象中の発光性複合体の非侵襲的撮像および/または検出に関する方法と組成物を包含する。この複合体は、生物適合体と発光成分とを含有する。生物適合体には、環状有機分子などの小分子;タンパク質などの高分子;ウイルス、細菌、酵母、カビなどの微生物;あらゆるタイプの病原体および病原性物質;ビーズやリポソームなどの粒子が含まれるが、これらに限らない。また、生物適合体は、撮像される哺乳類対象を構成する細胞の全部または一部であってもよい。
発光能は、発光成分の複合体化によって物体に付与される。そのような成分には、蛍光分子、蛍光タンパク質、光子を放出する酵素反応、生物発光タンパク質などの発光物質がある。・・・例えば、その物体が撮像する哺乳類対象を構成する細胞である場合、その発光成分はその細胞に「共役(複合)」させた生物発光タンパク質または蛍光タンパク質であってよく、それはトランスジェニック動物またはキメラ動物の作出によりその細胞内に導入されたべクター構築物からのプロモーター制御的発現の局在性による。」(第12頁第3?18行)

(キ)「III.発光体
A.発光成分
本発明の実施に有用な発光成分(light-generating moiety; LGM)、発光分子または発光構築物は、その応用に応じて様々な形態のいずれをとってもよい。 (中略)
発光成分の例には、蛍光分子、化学発光化合物、燐光化合物、生物発光化合物などの光冷光(フォトルミネセンス)分子がある。」(第13頁第5?14行)

(ク)「蛍光成分としては、フルオレセインのような小さい蛍光分子と、緑色蛍光タンパク質(Chalfieら,1994,Science 263:802-805; MorinおよびHastings,1971,J.Cell.Physiol.77:313)やルマジンおよび黄色蛍光タンパク質(O’Kaneら,1991,PNAS 88:1100-1104; Daubnerら,1987,PNAS 84:8912-8916)のような蛍光タンパク質が挙げられる。」(第15頁第9?13行)

(ケ)「対象内の意図する部位に局在した発光性複合体は、いくつかの方法で撮像できる。・・・また、局在という用語は、単に、物体を投与した後選択した時間におけるその物体の対象または動物内での位置をさす場合もある。例えば、本明細書に詳述する実験では、サルモネラを(例えば経口的に)投与し、その蔓延を時間の関数として追跡する。」(第25頁第7?21行)

(コ)「A.発光性サルモネラの構築
1.サルモネラ株 マウスに対する経口および腹腔内接種によって明らかになる病原性表現型が異なる3株のネズミチフス菌を、形質転換のために選択した。(中略)
2.luxオペロンによるサルモネラ株の形質転換
上記3株のそれぞれを、luxオペロンをコードするプラスミドで、実施例1に詳述するように形質転換する。土壌菌Xenorhabdus luminescens(Frackmanら,1990)から得られたこのプラスミドは、ヘテロ二量体ルシフェラーゼの2つのサブユニットと、3つの補助タンパク質luxC、luxDおよびluxEの発現によって、大腸菌に光子を放射する能力を与える。
luxC、luxDおよびluxEが含まれるので、そのルシフェラーゼ発現細胞には、脂肪族アルデヒド基質ルシフェリンを与える必要がない。本明細書に記述するような生体系内の真核ルシフェラーゼに基質を供給することは困難だろうから、X.luminescensの全luxオペロンを使用する。このオペロンは、当該脂肪族アルデヒド基質を生合成するための酵素をもコードする。」(第32頁第15行?第33頁第14行)

(サ)「4.luxサルモネラの生体内での特徴づけ
a.経口投与 経口接種はマウスやヒトにとって自然なサルモネラ感染経路であり、より遅延性の疾患進行をもたらす。この接種経路によるサルモネラ感染の進行を研究するために、2系統のマウスを3株のサルモネラに感染させる。耐性動物を用いて得た結果については、下記耐性マウスの感染という見出しの項で議論する。
実施例5に記述するように、Balb/cマウスを病原性SL1344lux、非侵入性BL66luxおよび低病原性LB5000luxサルモネラに経口的に感染させる。その感染の進行を外部撮像法(“材料と方法”の項)によって8日間にわたって追跡する。
典型的な画像を図5A?Fに示す。接種後(p.i.)24時間の時点で、生物発光シグナルはすべての感染動物内で単一の病巣に局在する(図5A、5Cおよび5E)。接種後7日までには、低病原性LB5000luxに感染したすべての動物で、生物発光が消える(図5B)。これに対し、病原性SL1344luxに感染した動物の場合、蔓延が始まる時点は動物ごとにかなり変動するものの、しばしば腹腔の大半に蔓延する激しい感染を示す(図5F)。BJ66luxによる感染は通例、持続し、単一の部位に局在したままとなる(図5D)。」(第35頁第12?27行)

(シ)「b.腹腔内接種 サルモネラの複製部位にルシフェリンの酸化とそれに続く発光(Campbell,1988,Chemiluminescence.Principles and Applications in Biology and Medicine(英国チチェスター: Ellis Horwood社およびVCH出版社))に足るO_(2)が存在するかどうかを評価するために、呼吸している動物の組識からの光放射を測定する。発光性のSL1344luxとLB5000luxを2群のBalb/cマウスの腹腔内に接種する。接種後(p.i.)32時間の時点で、透過した光子を撮像する(図6)。
SL1344luxに感染したマウス(図の左側)では、透過した光子が大きな表面上に確認され、様々な強度の焦点が見える。これらの画像は播種性感染を示し、内臓(おそらくは肝臓と腸間膜リンパ節を含む)の広範なコロニー形成と合致する。これに対し、LB5000luxに感染した動物からの透過光子の分布は極めて制限されており、限定的感染を示す。LB5000lux感染マウスは接種後数週間にわたって健康を維持したが、SL1344lux感染マウスは接種後4日でほぼ瀕死状態になり、安楽死させた。
これらの実験は、血中または組識中のO2レベルが、サルモネラから発現したluxルシフェラーゼの生物発光にとって十分であることを示している。また、これらの実験は、病原性が減少した研究室株LB5000と比較して病原性株SL1344の侵入性が強いこととも合致している。」(第35頁第28行?第36頁第16行)

(ス)上記(シ)に記載の図6


」(第65頁の【図6】)

平成24年11月6日付けの拒絶理由通知で引用された、本願優先日前に頒布された刊行物である「伊川正人 外1名,緑色に光るトランスジェニックマウス-新規マーカーGFPの応用,細胞工学,1997年4月1日,Vol.16 No.4,第581-587頁」(以下、「引用例2」という。)には、以下の事項が記載されている。 なお、下線は当審合議体が付加した。

(セ)「はじめに
現在よく用いられているレポーターには,β-ガラクトシダーゼ(β-galactosidase;β-gal),ルシフェラーゼ(生物発光を触媒するオキシゲナーゼの総称),・・・などがあるが,これらはいずれも酵素である。・・・基本的には生細胞での観察には不向きである。これに対し,最近注目されているGFP(green fluorescent protein)はそれ自身が蛍光を発するので,外来遺伝子の発現やタンパク質の挙動を生きた細胞中でリアルタイムに観察することが可能である。また,GFPは非常に安定でほとんど退色しないことも大きなメリットである。新しいレポーターとして多くの分野での応用が期待されている。」(第581頁左欄第1行?右欄第2行)

(ソ)「GFPをトランスジーンとして導入して発現させれば,バクテリアから植物,哺乳類に至るまで,嫌気的条件下でない限り環状化が起こり,青色光を吸収して緑色光を放出するようになる。
1992年にGFP cDNAクローンの塩基配列が報告され,また1994年にレポーターとしての有用性が示されたことにより,一躍GFPは脚光を浴びるようになった。特に,目的とするタンパク質との融合タンパク質として発現させることでその挙動を観察したり,細胞系譜を追跡するような実験には最適であり,すでに応用された生物種は原核生物,真核生物,植物から動物と多岐にわたる。」(第582頁右欄第3行?第583頁左欄第1行)

第4 対比・判断

引用例1には、哺乳類対象に、生物適合体と発光成分の複合体を投与し、哺乳類対象中の生物適合体の局在を経時的に追跡する非侵襲的方法が記載されており(摘記(ア))、この非侵襲的方法は、動物モデル中の病原体による感染症の局在を検出する手段として使用しうるものである(摘記(ア)及び(イ))。
そして、引用例1には、前記生物適合体としてウイルス以外のさまざまなタイプの病原体を用いること(摘記(ア),(オ),(カ))、前記発光成分としてルシフェラーゼ(生物発光タンパク質)を用いること(摘記(ア),(ウ))が記載されており、実施例では、発光成分であるルシフェラーゼを発現するサルモネラ菌をマウスに経口投与し、その感染の進行を外部撮像法により時間の関数として8日間にわたって追跡したことが記載されている(摘記(ケ)?(サ))。
以上の記載からみて、引用例1には、「マウスにおける感染の進行の局在を経時的に追跡する方法であって、前記追跡が、ルシフェラーゼを発現するサルモネラ菌を投与した前記マウスにおいて、感染の進行を時間の関数として、マウスを外部撮像法により追跡することにより行われる方法。」の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されている。
そして、引用発明における「マウス」、「投与した前記マウス」はそれぞれ本願発明における「生存非ヒト哺乳動物被験体」及び「処置された前記哺乳動物被験体」に相当する。また、引用発明における「感染の進行の局在を経時的に追跡する方法」及び「サルモネラ菌」は、それぞれ本願発明における「感染の進行を空間的及び経時的にモニターする方法」及び「ウイルス以外の病原体」に相当する。
また、引用発明における外部撮像法とは、マウス内の種々の位置における蛍光の存在、不在又は強度を、外部から非侵襲的に検出して画像化するものである(摘記(エ))ので、追跡対象のマウスが「無傷の非ヒト被験体」であることは明らかであるから、引用発明における「感染の進行を時間の関数として、マウスを外部撮像法により追跡する」工程は、種々の位置における発光の存在、不在又は強度を時間の関数として観察することを含み、前記観察が無傷の非ヒト被験体における光学的画像化により行われることを意味するものと解される。

そこで、本願発明と引用発明とを対比すると、両者は「生存非ヒト哺乳動物被験体における感染の進行を空間的及び経時的にモニターする方法であって、発光成分を発現する、ウイルス以外の病原体で処置された前記哺乳動物被験体において、種々の位置における発光の存在、不在又は強度を時間の関数として観察することを含み、前記観察が無傷の非ヒト被実験検体における光学的画像化により行われる、上記方法。」である点で一致し、以下の点で相違する。

(相違点1)
本願発明では「全身」の光学的画像化を行うのに対し、引用発明では光学的画像化を行う範囲は特定されていない点。

(相違点2)
本願発明では、発光成分として「蛍光タンパク質」を用いて蛍光光学的画像化を行うのに対し、引用発明では、発光成分として「ルシフェラーゼ」(生物発光タンパク質)を用いて光学的画像化を行う点。

これらの相違点について、以下に検討する。

まず、相違点1について検討する。
引用例1の図6には、いずれもルシフェラーゼを発現する病原性サルモネラ菌SL1344luxと低病原性サルモネラ菌LB5000lux(摘記(コ)及び(サ))をマウスに腹腔内に接種した後、32時間後に透過した光子を撮像して感染の局在を追跡した光学的画像が記載されており(摘記(シ)及び(ス))、上記図6(摘記(ス))は、撮像された画像の形状からみて、マウスの「全身」を光学的画像化したものであると解される画像である。
このように、引用例1の光学的画像化の実施態様の一つとして、上記図6のようにマウスの「全身」を撮像した態様があることを勘案すれば、引用発明において、光学画像化を行う範囲を「全身」にすることは、当業者が、個々の病原菌の感染経路や感染能力、感染の進行の局在を経時的に追跡する(モニターする)目的等を勘案して、適宜調整しうる事項にすぎない。

次に、相違点2について検討する。
引用例1には、発光成分として、実施例で用いられているルシフェラーゼ(生物発光タンパク質)に限らず、蛍光分子、黄色蛍光タンパク質や緑色蛍光タンパク質のような蛍光タンパク質など他の発光物質を用いてもよく、その応用に応じて様々な形態のいずれをとってもよいことが記載されている(摘記(ウ)、(カ)?(ク))。
一方、引用例2には、GFP(green fluorescent protein)、すなわち緑色蛍光タンパク質は、それ自身が蛍光を発するので、外来遺伝子の発現やタンパク質の挙動を生きた細胞中でリアルタイムに観察することが可能であり、非常に安定でほとんど退色しないという大きなメリットを持っており、新しいレポーターとして多くの分野でも応用が期待されていること、また、GFPをトランスジーンとして導入して発現させれば,哺乳類においても緑色光を放出するようになり、目的とするタンパク質との融合タンパク質として発現させることでその挙動を観察しうること、すでに多くの生物種で応用されていることが記載されている(摘記(セ)及び(ソ))。
そうすると、引用例1に接した当業者であれば、引用発明の発光成分の実施態様として、実施例のルシフェラーゼに限らず、蛍光タンパク質を用いる態様もあることを容易に理解するはずであるところ、引用例2には、それ自身が蛍光を発する「緑色蛍光タンパク質」が、観察対象物の挙動を生きた細胞中でリアルタイムに観察するために適した発光成分であって、哺乳類においても緑色光を放出すること、すでに多くの生物種で応用されている優れた発光成分であることが記載されているのであるから、引用発明の発光成分として引用例2の緑色蛍光タンパク質を用いて蛍光光学的画像化を行うことは、当業者が容易に想到しえた事項であるといえる。

このように、引用例1及び引用例2の記載からみて、本願発明の構成を得ることに、格別の困難性を要したとは認められない。
そして、本願発明の構成をとることによる効果(本願明細書の段落[0010],[0011],[0025]、実施例等)は、既に指摘した引用例1及び2の記載からみて、当業者が予測しえた程度のものであり、格別顕著な効果であるとはいえない。

第5 むすび

以上のとおり、本願の請求項1に係る発明は、引用例1及び2に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができない。
したがって、その余の請求項に係る発明について論及するまでもなく、本願は拒絶されるべきである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2013-05-30 
結審通知日 2013-06-05 
審決日 2013-07-17 
出願番号 特願2003-511874(P2003-511874)
審決分類 P 1 8・ 121- WZ (A61K)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 横井 宏理  
特許庁審判長 内田 淳子
特許庁審判官 中村 浩
前田 佳与子
発明の名称 蛍光タンパク質をマーカーとして用いた感染の画像化  
代理人 柴田 五雄  
代理人 柴田 富士子  
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