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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A61K |
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管理番号 | 1282119 |
審判番号 | 不服2011-13480 |
総通号数 | 169 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2014-01-31 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2011-06-24 |
確定日 | 2013-11-25 |
事件の表示 | 特願2006-502733「単純疱疹の予防的治療のための調合物」拒絶査定不服審判事件〔平成16年 8月12日国際公開、WO2004/066971、平成18年 7月 6日国内公表、特表2006-516613〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
1.手続の経緯 本願は、2004年1月19日(パリ条約による優先権主張 2003年1月30日、オランダ(NL))を国際出願日とする出願であって、平成23年2月22日付けで拒絶査定がなされたのに対し、平成23年6月24日に拒絶査定不服審判が請求され、同日付けで手続補正書が出された後、平成23年8月12日付けで請求の理由を補正する手続補正書(方式)が出された。 そして、平成24年12月11日付けで審尋が出されたのに対し、平成25年4月12日付けで回答書が提出された。 2.本願発明 本願の請求項1?23に係る発明は、平成23年6月24日付け手続補正書における特許請求の範囲の請求項1?23に記載された事項により特定されるとおりのものであり、その請求項1に係る発明は、以下のとおりのものである。 「【請求項1】 熱性疱疹の予防的治療のための調合物であって、物理UVフィルター、抗ウイルス作用を持つ亜鉛塩、そして局所適用添加剤からなり、熱性疱疹が冒す可能性がある顔の部分に予防的に局所適用され、 前記亜鉛塩が硫酸亜鉛、塩化亜鉛、酢酸亜鉛、クエン酸亜鉛、硝酸亜鉛、酒石酸亜鉛、マレイン酸亜鉛、乳酸亜鉛、アミノ酢酸亜鉛、アスパラギン酸亜鉛、グルタミン酸亜鉛、プロピオン酸亜鉛、グルコン酸亜鉛、酪酸亜鉛、蟻酸亜鉛、亜鉛グリセリド、グリコール酸亜鉛、それらの水和物およびそれらの混合物からなる群より選択されることを特徴とする調合物。」(以下、「本願発明」という。) 2.引用例 原査定の拒絶の理由において引用された、本願優先日前に頒布された刊行物である特表2002-506799号公報(以下、「引用例1」という。)には、以下の事項が記載されている。なお、下線は当審で付加した。 (1a)「【請求項1】 皮膚のヘルペス病に対して予防的作用をもつ有機及び/又は無機の光防御フィルターを含有する日焼け止め製剤。 【請求項2】 口腔及び口唇領域における皮膚のヘルペス病に対する、請求項1に記載の日焼け止め製剤。 【請求項3】 単純ヘルペス及び口唇ヘルペスから成る群のウィルスによる皮膚のヘルペス病に対する、請求項1?2に記載の日焼け止め製剤。」(2頁2?7行) (1b)「本発明は、皮膚のヘルペス病に対する予防効果のある有機及び/又は無機の光防御フィルターを含有する固体状または液体状の日焼け止め製剤およびこれらの日焼け止め製剤の使用に関する。」(3頁3?5行) (1c)「本発明による製剤は、大変広い波長領域において効果的な防御を保証しているが、・・・特に皮膚のヘルペス病を防ぐために用いられうる。UVA及びUVB放射に対して強烈な防御を備えた日焼け止め製剤の使用ですら、一般的に単純ヘルペスとして知られるヘルペスウィルスの活性化に対して、ここでは良い作用を示す。行われてきた実験において、良いVIS防御も保証し、可視領域において吸収する光防御フィルターを含む製剤は、口腔及び口唇領域のために優れていることが証明されてきた。前記光防御フィルターは無機フィルターでありうる。適した例は上述したように二酸化チタン及び酸化亜鉛に基づく光防御フィルターである。二酸化チタンはEuxoles T-2000という名前で商業的に入手できる二酸化チタン微粉でもよい。」(10頁7?17行) (1d)「光防御フィルターの好ましい選択、又は光防御フィルターの組み合わせ及び任意選択で他の添加剤を通して、本発明による日焼け止め製剤の効果的な成分は伝統的な化粧用キャリアーに均一に配分され、とくに、脂肪キャリアーにおいて、連続的な薄膜を形成することができ、こうして効果的な防御薄膜を形成するために皮膚に適用することが可能である。」(10頁19?23行) (1e)「本発明による発見は単純な推論によって先行技術から引き出すことはできない。なぜなら日焼け止め製剤は普通UVB、最近ではUVA領域においても放射を吸収し、また対照的に400から800nmの可視波長領域(VIS領域)及び赤外線領域において吸収しないような組成をもつからである。なぜなら放射の後者のタイプはこれまで皮膚にとって無害だと見なされてきたからである。しかしながら、知られているように、光のこの波長領域における照射ですら有害な効果をもつ。損傷の実際のメカニズムは明確に説明されていないが、この放射は、より深く、より活性化して、皮膚の層へと浸透でき、そこで放射は損傷をあたえる仕方で効果的になり、この光の効果そのものも皮膚の老化過程を促進することを意味する。このことは、皮膚がUV、可視又は赤外線波長領域における光によって照射されたかどうかにかかわり無く、皮膚細胞の損傷効果はいつも起こることを意味する。結果として、細胞における再生と防御反応が一方で求められる。同時に、有害な効果がバクテリア及びウィルスに対する皮膚の防御反応を弱める。ヘルペスウィルスの以前の感染のケースにおいて、または潜伏性のヘルペス感染の人々にとって、この効果がヘルペスウィルスの活性化に至り、皮膚のヘルペス病の原因となることができる。特に、これらの病気は口腔及び口唇領域に影響し、単純ヘルペスウィルス群のウィルスに起因する、口腔及び口唇領域において活発な型はHSV-1タイプであり口唇ヘルペスとして言及される。 」(10頁25行?11頁13行) また、原査定の拒絶の理由において引用された、本願優先日前に頒布された刊行物である国際公開02/098339号(以下、「引用例2」という。)には、以下の事項が記載されている。なお、原文は英語のため、日本語訳で記載する。また、下線は当審で付加した。 (2a)「【請求項1】 0.005質量%以上および20質量%以下の少なくとも1種の亜鉛化合物;0.001質量%以上および20質量%以下の少なくとも1種のフェノール性抗酸化剤;5質量%以上および80質量%以下の少なくとも1種のヒドロカルビル含有化合物;ならびに0.1質量%以上および60質量%以下の水を含有する、亜鉛含有抗ウイルス組成物。 【請求項2】 前記亜鉛化合物が、亜鉛、塩化亜鉛、酢酸亜鉛、クエン酸亜鉛、スドキシカム亜鉛、硫酸亜鉛、硝酸亜鉛、炭酸亜鉛、酒石酸亜鉛、リンゴ酸亜鉛、乳酸亜鉛、アミノ酢酸亜鉛、アスパラギン酸亜鉛、グルタミン酸亜鉛、プロピオン酸亜鉛、オレイン酸亜鉛、安息香酸亜鉛、グルコン酸亜鉛、酪酸亜鉛、蟻酸亜鉛、グリセリン酸亜鉛、グリコール酸亜鉛、酸化亜鉛、エチレンジアミン四酢酸亜鉛、ペントサンポリ硫酸亜鉛、オキシ酢酸亜鉛、およびそれらの水和物からなる群より選択される少なくとも1種を含む、請求項1に記載の亜鉛含有抗ウイルス組成物。」(25頁3?19行) (2b)「しばしば熱水疱または口唇ヘルペスと呼ばれる単純ヘルペスウイルス1型は、小さく、澄明な、流動体が満たされた水疱であり、最も頻繁には、顔に生じる。頻繁ではないが、1型感染は、生殖器の領域に生じる。1型はまた、皮膚の損傷に発展し得る。」(2頁6?9行) (2c)「皮膚の疼痛または異常な圧痛は、最初の感染および再感染の両方が発現する前の1日?数日の間に始まり得る。これは前徴と呼ばれる。ヘルペスまたは他のウイルス感染の治療において、前徴は、本発明の抗ウイルス亜鉛含有組成物を塗布し始める合図であり得る。」(4頁6?10行) (2d)「ウイルスは、タンパク質、核酸、およびある場合には、脂質被膜(脂質-キャプシドウイルス)で構成される感染性因子である。一般的に言えば、本発明の抗ウイルス亜鉛含有組成物は、脂質-キャプシドウイルスに対して特に効果的である。本発明の抗ウイルス亜鉛含有組成物はまた、例えば、病変部、発疹、水疱、にきび、赤み、刺痛感、痒み、灼熱感などの、通常付随する皮膚症状を引き起こすウイルスに対して特に効果的である。より詳細には、抗ウイルス亜鉛含有組成物は、HSV1型、HSV2型、アシクロビル耐性HSV1型、アシロクロビル耐性HSV2型、水痘帯状疫疹ウイルス、サイトメガロウイルス、および乳頭腫ウイルスなどの、1以上のヘルペスウイルスに対して効果的である。」(4頁11?22行) (2e)「亜鉛含有組成物は、少なくとも1種の亜鉛化合物を含有する。いかなる理論によっても縛られることを意図しないが、亜鉛化合物(または亜鉛イオン)が、ターゲットウイルスの阻害、不活性化、ターゲットウイルスとの反応、またはターゲットウイルスの活性の阻害に寄与すると考えられる。 亜鉛化合物は、少なくとも1つの亜鉛原子を含む。亜鉛化合物としては、亜鉛、二価亜鉛イオンなどの亜鉛イオン、二価亜鉛塩などの亜鉛塩、亜鉛塩水和物などの亜鉛水和物(例えば、硫酸亜鉛7水和物)、および亜鉛酸化物が挙げられる。亜鉛塩としては、無機亜鉛塩および有機亜鉛塩が挙げられる。有機亜鉛塩としては、亜鉛カルボン酸塩、亜鉛ヒドロキシカルボン酸塩、および亜鉛アミノカルボン酸塩が挙げられる。 亜鉛化合物の例としては、亜鉛、塩化亜鉛、酢酸亜鉛、クエン酸亜鉛、スドキシカム亜鉛(sudoxicam zinc)、硫酸亜鉛、硝酸亜鉛、炭酸亜鉛、酒石酸亜鉛、リンゴ酸亜鉛、乳酸亜鉛、アミノ酢酸亜鉛、アスパラギン酸亜鉛、グルタミン酸亜鉛、プロピオン酸亜鉛、オレイン酸亜鉛、安息香酸亜鉛、グルコン酸亜鉛、酪酸亜鉛、蟻酸亜鉛、グリセリン酸亜鉛、グリコール酸亜鉛、酸化亜鉛、エチレンジアミン四酢酸亜鉛、およびそれらの水和物が挙げられる。」(4頁23行?5頁7行) (2f)「亜鉛含有組成物は、亜鉛含有組成物を皮膚および/または粘膜に接触させることによって患者に塗布される。亜鉛含有組成物の薄膜は、この組成物を皮膚および/または粘膜に徐々に擦り込みおよび広げることによって形成される。1つの実施態様においては、膜の厚さは、約0.1μmから約1mmまで変化し得る。他の実施態様においては、膜の厚さは、約1μmから約0.5mmまで変化し得る。亜鉛含有組成物の一部が皮膚および/または粘膜によって吸収され得るため、厚さの範囲の最低限度は、提供される範囲を超えてさらに変化し得る。亜鉛含有組成物は、ウイルスが誘導した病変部/発疹を防止するために必要な頻度で、例えば、数時間ごとに塗布され得る。」(20頁24行?21頁3行) 3.対比・判断 引用例1には、単純ヘルペス及び口唇ヘルペスから成る群のウィルスから成る群のウイルスによる皮膚のヘルペス病に対して予防的作用をもつ光防御フイルターを含有する日焼け止め製剤が記載されており(摘記(1a)及び(1b))、上記ウィルスとして「HSV-1タイプの単純ヘルペスウィルス」(摘記(1e))、上記光防御フイルターとして「二酸化チタン及び酸化亜鉛に基づく光防御フィルター」(摘記(1c))が、それぞれ記載されている。 また、上記日焼け止め製剤の効果的な成分は、伝統的な化粧用キャリアーに均一に配分され、効果的な防御薄膜を形成するために皮膚に適用することが記載されており(摘記(1d))、上記「HSV-1タイプの単純ヘルペスウィルス」は口腔及び口唇領域において活発な型のウィルスであるので(摘記(1e))、上記日焼け止め製剤は、HSV-1タイプの単純ヘルペスウィルスが冒す可能性がある口腔及び口唇領域に予防的に局所適用されるものである。 そうすると、引用例1には、「HSV-1タイプの単純ヘルペスウィルスによる皮膚のヘルペス病に対して予防的作用をもつ日焼け止め製剤であって、二酸化チタン及び酸化亜鉛に基づく光防御フィルター及び伝統的な化粧用キャリアーを含有し、HSV-1タイプの単純ヘルペスウィルスが冒す可能性がある口腔及び口唇領域に予防的に局所適用される、日焼け止め製剤。」の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されているといえる。 そこで、本願発明と引用発明とを対比する。 本願発明における「熱性疱疹」とは、HSV-1タイプの単純疱疹ヘルペスウイルスの増殖期に、顔内の皮膚上に明らかになる水ぶくれ、痒み、燃えるような感覚及びかさぶた形成のいずれか一つ以上の症状のことを意味するので(本願明細書の段落[0002]?[0007]を参照。)、引用発明における「HSV-1タイプの単純ヘルペスウィルスによる皮膚のヘルペス病」は、本願発明における「熱性疱疹」に相当し、引用発明の「HSV-1タイプの単純ヘルペスウィルスによる皮膚のヘルペス病に対して予防的作用をもつ日焼け止め製剤」は、本願発明の「熱性疱疹の予防的治療のための調合物」に相当する。 また、引用発明における「HSV-1タイプの単純ヘルペスウィルスが冒す可能性がある口腔及び口唇領域に予防的に局所適用される」ことは、本願発明における「熱性疱疹が冒す可能性がある顔の部分に予防的に局所適用され」ることに相当し、引用発明における「二酸化チタン及び酸化亜鉛に基づく光防御フィルター」及び「伝統的な化粧用キャリアー」は、それぞれ本願発明における「物理UVフィルター」及び「局所適用添加剤」に相当する。 そうすると、本願発明と引用発明とは、「熱性疱疹の予防的治療のための調合物であって、物理UVフィルター及び局所適用添加剤を含有し、熱性疱疹が冒す可能性がある顔の部分に予防的に局所適用されるものである調合物。」である点で一致し、以下の点で相違する。 [相違点] 本願発明は、抗ウイルス作用を持つ、硫酸亜鉛、塩化亜鉛、酢酸亜鉛、クエン酸亜鉛、硝酸亜鉛、酒石酸亜鉛、マレイン酸亜鉛、乳酸亜鉛、アミノ酢酸亜鉛、アスパラギン酸亜鉛、グルタミン酸亜鉛、プロピオン酸亜鉛、グルコン酸亜鉛、酪酸亜鉛、蟻酸亜鉛、亜鉛グリセリド、グリコール酸亜鉛、それらの水和物およびそれらの混合物からなる群より選択される亜鉛塩を含有するのに対し、引用発明は、抗ウイルス作用を持つ亜鉛塩を含有していない点。 上記相違点について、以下に検討する。 引用例2には、引用例1と同様に皮膚のヘルペス病に対して局所適用される亜鉛含有抗ウイルス組成物が記載され(摘記(2a)及び(2f))、当該亜鉛含有抗ウイルス組成物は、熱水疱または口唇ヘルペスと呼ばれる単純ヘルペスウイルス1型(摘記(2b)及び(2d))すなわち引用例1の「HSV-1タイプの単純ヘルペスウィルス」に対する抗ウイルス作用を有するものであり、当該組成物における有効成分である各種亜鉛化合物のうち、摘記(2a)の請求項2及び摘記(2e)において下線を付加した亜鉛化合物は、本願発明における、抗ウイルス作用を持つ亜鉛塩に相当する。 そして、引用例2には、ウイルスの最初の感染や再感染が発現する前の1日?数日の間に始まり得る前徴である皮膚の疼痛または異常な圧痛の出現を合図に上記亜鉛含有抗ウイルス組成物の塗布を開始すること(摘記(2c))、また、上記亜鉛含有抗ウイルス組成物は、ウイルスが誘導した病変部/発疹を防止するために必要な頻度で、例えば、数時間ごとに塗布され得るものであること(摘記(2f))が記載されているところ、前徴を合図に開始する塗布とは、前徴の後に皮膚表面に出現するであろう本格的な症状を「予防」するための塗布に他ならず、また、ウイルスが誘導した発疹を防止するために必要な頻度の塗布とは、皮膚表面への発疹の出現を「予防」するための塗布であることは明らかである。 そうすると、引用例2の上記亜鉛塩が有する「ターゲットウイルスの阻害、不活性化、ターゲットウイルスとの反応、またはターゲットウイルスの活性の阻害」という抗ウイルス作用(摘記(2e))は、皮膚表面に出現した本格的な症状を治療する作用だけでなく、皮膚表面への本格的な症状の出現を「予防」する作用も有すると解するのが相当であり、引用例2に接した当業者であれば、上記亜鉛塩を、引用発明と同様に「HSV-1タイプの単純ヘルペスウィルス」による熱性疱疹の予防的治療のために局所適用しうる有効成分として用いることを自然に想起するといえるのであるから、引用発明の調合物に、目的を同じくする引用例2に記載の塩化亜鉛、酢酸亜鉛、クエン酸亜鉛、硫酸亜鉛、硝酸亜鉛、酒石酸亜鉛、乳酸亜鉛等の各種亜鉛塩を併用して本願発明の調合物を得ることは、当業者が容易に想到しえた事項であり格別の創意工夫を要したとはいえない。 そして、本願発明の調合物により、当業者の予測しうる範囲を超えるほどの格別顕著な効果が得られたとはいえない。 なお、請求人は、平成23年8月12日付けの手続補正書(方式)により補正された「請求の理由」において、引用例2の抗ウイルス組成物は、ウイルスが誘導した病変部/発疹を防止するためのものであり、ヘルペス感染若しくはその前兆がないところでの予防的な局所適用を示唆しているわけではないことを、引用例2の段落[0075]、[0013]および[0014]の記載を根拠として主張している。 しかし、既に指摘したように、引用例2に記載の抗ウイルス作用を有する亜鉛塩は、皮膚表面への本格的な症状の出現を「予防」する作用を有するものであり、このような「予防」と、本願発明における「予防的治療」とが別個の技術思想であるとはいえないのであるから、請求人の上記主張は認められない。 したがって、本願発明は、引用例1及び引用例2に記載されている発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 4.むすび 以上のように、本願請求項1に係る発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 したがって、その余の請求項に係る発明について論及するまでもなく、本願は拒絶されるべきである。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2013-06-24 |
結審通知日 | 2013-06-28 |
審決日 | 2013-07-10 |
出願番号 | 特願2006-502733(P2006-502733) |
審決分類 |
P
1
8・
121-
Z
(A61K)
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最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 松波 由美子、原口 美和 |
特許庁審判長 |
内藤 伸一 |
特許庁審判官 |
増山 淳子 前田 佳与子 |
発明の名称 | 単純疱疹の予防的治療のための調合物 |
代理人 | 大西 正悟 |