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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 H01Q
管理番号 1282205
審判番号 不服2012-17152  
総通号数 169 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2014-01-31 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2012-09-04 
確定日 2013-11-27 
事件の表示 特願2009-545219「誘電体装荷アンテナ」拒絶査定不服審判事件〔平成20年 7月17日国際公開、WO2008/084205、平成22年 6月24日国内公表、特表2010-521828〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯と本願発明
本件出願は,2008年1月7日(パリ条約による優先権主張外国庁受理2007年1月8日,英国)を国際出願日とする出願であって,平成23年10月6日付け拒絶理由通知に対して平成24年1月11日付けで意見書と手続補正書が提出されたが,同年4月26日付けで拒絶査定がなされ,これに対し,同年9月4日に拒絶査定不服の審判請求がなされたものであって,その請求項1に係る発明(以下,「本願発明」という。)は,平成24年1月11日付け手続補正書の特許請求の範囲の請求項1に記載された以下のとおりのものと認める。

「200MHzを超える動作周波数を有する誘電体装荷アンテナであって,
5を超える比誘電率を有しコア外面によって画定される内部容積の大部分を占める固体材料から成る電気絶縁性コアと,
前記コア外面上にあるか又は該コア外面に隣接しており少なくとも3対の細長い導電性アンテナ素子を備える3次元アンテナ素子構造とを備え,
前記少なくとも3対の細長い導電性アンテナ素子は,実質的に軸方向に同一の広がりを有し,該アンテナの軸を中心に実質的に均一に離間し,協働して共通の円偏波共振を形成するように配置されている,
誘電体装荷アンテナ。」

2.引用発明
原査定の拒絶の理由に引用された米国特許出願公開第2005/0195126号明細書(以下,「引用例」という。)には,「DIELECTRICALLY-LOADED ANTENNA(誘電体装荷アンテナ)」(()内は当審仮訳。以下も同様。)に関し,図面とともに以下の事項が記載されている。

ア.「[0019]According to a third aspect of the invention, there is provided a dielectrically-loaded antenna for operation at frequencies in excess of 200 MHz, comprising an electrically insulative core of a solid material having a relative dielectric constant greater than 5, a feed connection, and an antenna element structure disposed on or adjacent the outer surface of the core, the material of the core occupying the major part of the volume defined by the core outer surface, wherein the antenna element structure comprises a plurality of groups of conductive elongate elements, each group comprising first and second substantially coextensive mutually adjacent elongate elements at least one of which comprises a conductive strip on the outer surface of the core, the strip having opposing edges of different lengths. Advantageously, the core is cylindrical and has a central axis and the feed connection comprises a feeder termination on an end face of the core. The antenna element structure may include a linking conductor in the form of an annular sleeve encircling the core and centred on the axis, the sleeve interconnecting conductive tracks of the element groups at a sleeve rim, the sleeve also being connected to the feeder structure at a position spaced from the feed connection. It is preferred that the first and second coextensive elongate elements comprise, respectively, first and second coextensive conductive tracks defining between them a channel the width of which is less than the spacing between the tracks of the respective said groups and the tracks of neighbouring groups, and wherein the electrical length of the channel is substantially a half wavelength in an operative frequency band of the antenna.
・・・(中略)・・・
[0022] In this preferred quadrifilar antenna, the composite elements forming the first pair of diametrically opposed antenna elements have a shorter average electrical length than those forming the second pair to yield substantial phase orthogonality between currents in the respective elements of the first and second pairs. As in conventional quadrifilar antennas, this phase orthogonality produces an operating band in which the antenna exhibits increased gain for circularly polarised signals.
([0019]「本発明の第3の態様によれば,200MHzを超える動作周波数を有する誘電体装荷アンテナであって,5を超える比誘電率を有した固体材料からなる電気絶縁性コア,給電接続,コア外面上にあるか又は該コア外面に隣接したアンテナ素子構造を含み,そのコアの材料はコア外面によって画定される内部容積の大部分を占め,ここにおいて,アンテナ素子構造は複数グループの導電性線要素からなり,各グループは第1及び第2の実質的に同一の広がりを有し互いに隣接した線要素からなり,そのうちの少なくとも1つはコアの外面上に導電性ストリップを含み,そのストリップは異なる長さの対向する端部を備えている。有利には,コアは円筒形であり,中心軸を持ち,給電接続はコアの端面に給電端子を備える。アンテナ素子構造は,コアを取り囲みその軸を中心とした円形スリーブ形状のリンキング導体を含んでも良く,そのスリーブはスリーブ縁で素子グループの導体軌道間を接続し,そのスリーブは給電接続から離れた位置で給電構造を接続される。好ましくは,第1及び第2の同一の広がりを有した線要素は,各々,第1及び第2の同一の広がりを有した軌道からなり,その軌道間のチャネルの幅は,上記各グループの軌道と隣接するグループの軌道の間隔よりも小さく,ここにおいて,チャネルの電気長は,アンテナの動作周波数での実質的に半波長である。
・・・(中略)・・・
[0022]この好ましい4素子アンテナでは,半径方向に対向したアンテナ要素の第1のペアを形成する合成要素は,第2のペアを形成する合成要素よりも短い平均電気長を有し,その結果,第1と第2のペア間に実質的に位相直交性を生じさせる。従来の4素子アンテナと同様,この位相直交性は,アンテナが円偏波信号に対するゲインの増加を示す動作帯域を生じさせる。)」(2頁右欄33行?3頁左欄25行)

イ.「[0079]Referring now to FIGS. 8 to 10 , a quadrifilar antenna in accordance with the invention has an antenna element structure with four longitudinally extending groups of radiating conductive tracks 10 AA, 10 AB, 10 BA, 10 BB, 10 CA, 10 CB, 10 DA, 10 DB which are formed on the cylindrical outer surface 12 C of a solid ceramic core 12 .
・・・(中略)・・・
[0082] In this embodiment of the invention the four groups 10 AA, 10 AB- 10 DA, 10 DB of conductive tracks 10 AA- 10 DB are helical and have different lengths. Two of the groups 10 BA, 10 BB; 10 DA, 10 DB being longer than the other two 10 AA, 10 AB; 10 CA, 10 CB by virtue of extending nearer to the proximal end of the core 12 . The elements of each pair of conductive track groups 10 AA, 10 AB, 10 CA, 10 CB; 10 BA, 10 BB, 10 DA, 10 DB are diametrically opposite each other on opposite sides of the core axis and each group of helical tracks 10 AA- 10 DB follows a helical path centred on the axis of the cylindrical core.
・・・(中略)・・・
[0083] As described in, for instance, the above-mentioned British Patent No. 2310543, the differing lengths of the conductive paths constituted by the combinations of the radial tracks 10 AR- 10 DR and helical track groups 10 AA, 10 AB- 10 DA, 10 DB produce different transmission delays at a central operating frequency located between the resonant frequencies associated with the longer and shorter conductive paths, such that the antenna has a resonant mode for receiving or transmitting circularly polarised signals.
([0079]今,図8?10を参照すれば,この発明の4素子アンテナは,固体セラミックコア12の円筒形外面12C上に形成された,4つの縦方向に延びた放射導電路10 AA, 10 AB, 10 BA, 10 BB, 10 CA, 10 CB, 10 DA, 10 DBのグループからなるアンテナ素子構造を備えている。
・・・(中略)・・・
[0082]本発明の実施例では,導電性軌道10 AA- 10 DB10の4つのグループ10AA, 10 AB- 10 DA, 10 DBは,ヘリカルで異なる長さを持つ。コア12の近位端のより近くまで延びているために,そのグループのうちの2つ10 BA, 10 BB; 10 DA, 10 DBは,他の2つ10 AA, 10 AB; 10 CA, 10 CBよりも長い。導電性軌道のグループ10 AA, 10 AB, 10 CA, 10 CB; 10 BA, 10 BB, 10 DA, 10 DBの各ペアーの要素は,コアの軸にの反対側で,互いに半径方向に対向している。ヘリカル軌道10 AA- 10 DBの各グループは,円筒形コアの軸を中心としたヘリカルパスに従う。
・・・(中略)・・・
[0083]例えば,上記の英国特許番号2310543号に記載されているように,半径方向軌道10 AR- 10 DRとヘリカル軌道グループ10 AA, 10 AB- 10 DA, 10 DBとのコンビにより形成される導電路の異なる長さは,長い導電路と短い導電路それぞれに関しての共振周波数の間の中央動作周波数において異なる伝送遅延を生じさせ,それによりアンテナは円偏波信号を送受信できる共振モードを有する。)」(7頁左欄4行?同頁右欄12行)

ウ.「42 . A helical antenna for circularly polarised electromagnetic radiation comprising first and second pairs of helical conductive track groups on or adjacent the outer generally cylindrical surface of a generally cylindrical insulative substrate, the track groups being substantially uniformly distributed around said outer surface and each comprising at least a pair of generally helical tracks which each have one edge longer than the other and each of which is nearer to the other track of said pair that it is to the tracks of the other groups.
(42.略円筒形絶縁基板の略円筒形の外面上にあるか又は外面に隣接した第1及び第2のヘリカル導電軌道グループの対からなる円偏波放射用ヘリカルアンテナであって,該軌道グループは,上記外面上に実質的に均一に離間し,各グループは,一方の端部が他方の端部よりも長い少なくとも1ペアーの略ヘリカル軌道からなり,該軌道の各々は,他のグループの軌道よりもそのペアーの他の軌道の方により近いヘリカルアンテナ。)」(10頁右欄請求項42)

上記引用例の記載及び図面ならびにこの分野における技術常識を考慮すると,
a.上記引用例の図8?11に例示された「誘電体装荷アンテナ」について,「この発明の4素子アンテナは,固体セラミックコア12の円筒形外面12C上に形成された,4つの縦方向に延びた放射導電路10 AA, 10 AB, 10 BA, 10 BB, 10 CA, 10 CB, 10 DA, 10 DBのグループからなるアンテナ素子構造を備えている」(摘記事項イの[0079])と記載されているが,
a1.その動作周波数に関して,「200MHzを超える動作周波数を有する誘電体装荷アンテナ」(摘記事項アの[0019])とあるから,
「200MHzを超える動作周波数を有する」「誘電体装荷アンテナ」である。
a2.上記「コア12」について,「5を超える比誘電率を有した固体材料からなる電気絶縁性コア・・・(中略)・・・そのコアの材料はコア外面によって画定される内部容積の大部分を占め」(摘記事項アの[0019])とあるから,
「5を超える比誘電率を有しコア外面によって画定される内部容積の大部分を占める固体材料から成る電気絶縁性コア」を備えている。
a3.上記「アンテナ素子構造」について,「コア外面上にあるか又は該コア外面に隣接したアンテナ素子構造」(摘記事項アの[0019])とあり,また,そのアンテナ素子長さについて「そのグループのうちの2つ 10 BA, 10 BB; 10 DA, 10 DB は,他の2つ10 AA, 10 AB; 10 CA, 10 CBよりも長い」(摘記事項イの[0082])とあるから,上記「4素子アンテナ」の「4素子」とは,「10 AA, 10 AB」「10 BA, 10 BB」「10 CA, 10 CB」「10 DA, 10 DB 」の4グループを指すことは明らかであり,また,この4素子は,短いアンテナ素子対(「10 AA, 10 AB」と「10 CA, 10 CB」)と長いアンテナ素子対(「10 BA, 10 BB」「10 DA, 10 DB 」)の2対のアンテナ素子対と言え,さらに,各アンテナ素子が「細長い」こと,及び,アンテナ素子構造が「3次元」であることは明らかであるから,
「前記コア外面上にあるか又は該コア外面に隣接しており2対の細長い導電性アンテナ素子を備える3次元アンテナ素子構造とを備え」ている。
b.上記「誘電体装荷アンテナ」の共振モードに関し,「半径方向軌道10 AR- 10 DRとヘリカル軌道グループ10 AA, 10 AB- 10 DA, 10 DBとのコンビにより形成される導電路の異なる長さは,長い導電路と短い導電路それぞれに関しての共振周波数の間の中央動作周波数において異なる伝送遅延を生じさせ,それによりアンテナは円偏波信号を送受信できる共振モードを有する。」(摘記事項イの[0083])とあるように,「前記2対の細長い導電性アンテナ素子」は「協働して共通の円偏波共振を形成する」ものである。
c.上記b.に関連して,円偏波共振するためのアンテナ素子配置に関し,「略円筒形絶縁基板の略円筒形の外面上にあるか又は外面に隣接した第1及び第2のヘリカル導電軌道グループの対からなる円偏波放射用ヘリカルアンテナであって,該軌道グループは,上記外面上に実質的に均一に離間し」(摘記事項ウの請求項42),「ここにおいて,アンテナ素子構造は複数グループの導電性線要素からなり,各グループは第1及び第2の実質的に同一の広がりを有し互いに隣接した線要素からなり」(摘記事項アの[0019])とあるから,
「前記2対の細長い導電性アンテナ素子は,実質的に同一の広がりを有し,略円筒形コアの外面上に実質的に均一に離間」していると言える。

以上を総合すると,上記引用例には,以下の発明(以下,「引用発明」という。)が開示されていると認める。

「200MHzを超える動作周波数を有する誘電体装荷アンテナであって,
5を超える比誘電率を有しコア外面によって画定される内部容積の大部分を占める固体材料から成る電気絶縁性コアと,
前記コア外面上にあるか又は該コア外面に隣接しており2対の細長い導電性アンテナ素子を備える3次元アンテナ素子構造とを備え,
前記2対の細長い導電性アンテナ素子は,実質的に同一の広がりを有し,略円筒形コアの外面上に実質的に均一に離間し,協働して共通の円偏波共振を形成するように配置されている,
誘電体装荷アンテナ。」

3.対比
本願発明と引用発明とを対比するに,
a.引用発明の「2対の細長い導電性アンテナ素子」と本願発明の「少なくとも3対の細長い導電性アンテナ素子」とは,「複数対の細長い導電性アンテナ素子」で共通する。
b.引用発明の「実質的に同一の広がりを有し」が,略円筒形コアの軸方向への「広がり」であることは図面の記載より明らかであるから,本願発明の「実質的に軸方向に同一の広がりを有し」との間に実質的な差異は無い。
c.引用発明の「略円筒形コアの外面上に実質的に均一に離間し」と本願発明の「該アンテナの軸を中心に実質的に均一に離間し」とは,「実質的に均一に離間し」で共通する。

従って,両者は以下の点で一致ないし相違している。

(一致点)
「200MHzを超える動作周波数を有する誘電体装荷アンテナであって,
5を超える比誘電率を有しコア外面によって画定される内部容積の大部分を占める固体材料から成る電気絶縁性コアと,
前記コア外面上にあるか又は該コア外面に隣接しており複数対の細長い導電性アンテナ素子を備える3次元アンテナ素子構造とを備え,
前記複数対の細長い導電性アンテナ素子は,実質的に軸方向に同一の広がりを有し,実質的に均一に離間し,協働して共通の円偏波共振を形成するように配置されている,
誘電体装荷アンテナ。」

(相違点1)
「複数対の細長い導電性アンテナ素子」の数が,
本願発明では「少なくとも3対」であるのに対し,
引用発明では「2対」である点。

(相違点2)
細長い導電性アンテナ素子が「実質的に均一に離間し」ているのが,
本願発明では「該アンテナ軸を中心に」であるのに対し,
引用発明では「略円筒形コアの外面上に」である点。

4.検討
上記相違点につき検討する。

(相違点1)について
引用例の「長い導電路と短い導電路それぞれに関しての共振周波数の間の中央動作周波数において異なる伝送遅延を生じさせ,それによりアンテナは円偏波信号を送受信できる共振モードを有する」(摘記事項イの[0083])との記載によれば,引用発明では,実質的に均一に離間して配列された2対(4本)の導電性アンテナ素子に,順次,伝送遅延による信号位相差を生じさせて円偏波を励振していると認められるが,このような円偏波の励起が3対(6本)以上の導電性アンテナ素子に対しても同様の方法で達成できることは当業者にとり明らかである。
そして,引用例には,誘電体装荷アンテナのアンテナ素子構造の1形態として,3対の導電性アンテナ素子を備えた構造自体は開示されている(図5A?図5C)から,引用発明の「細長い導電性アンテナ素子」の数を「少なくとも3対」とすることは,当業者が必要に応じて適宜なし得るものである。

(相違点2)について
引用例には,コアの形状に関し「有利には,コアは円筒形であり,中心軸を持ち」(摘記事項アの[0019])とあり,図面の記載も参酌すれば,引用発明の「略円筒形コア」は,その円筒形の中心軸をアンテナ軸として該アンテナ軸に関して略対称性を有した構造であると認められるところ,引用発明のように「略円筒形コアの外面上に」「実質的に均一に離間し」た細長い導電性アンテナ素子が,「該アンテナ軸を中心に」「実質的に均一に離間し」たものとなることは自明である。
とすると,上記相違点2は単なる文言上の違いであって実質的な相違と言うことはできない。

そして,本願発明が奏する効果も引用発明から容易に予測できる範囲内のものである。

5.むすび
以上のとおり,本願発明は,上記引用発明に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたものであるから,特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

よって,結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2013-06-19 
結審通知日 2013-06-25 
審決日 2013-07-16 
出願番号 特願2009-545219(P2009-545219)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (H01Q)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 佐藤 当秀  
特許庁審判長 田中 庸介
特許庁審判官 新川 圭二
矢島 伸一
発明の名称 誘電体装荷アンテナ  
代理人 川口 嘉之  
代理人 今堀 克彦  
代理人 関根 武彦  
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