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審決分類 審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 B60T
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 B60T
管理番号 1282496
審判番号 不服2012-21452  
総通号数 170 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2014-02-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2012-10-30 
確定日 2013-12-05 
事件の表示 特願2008- 84992「ブレーキ制御装置およびブレーキ制御方法」拒絶査定不服審判事件〔平成21年10月15日出願公開、特開2009-234490〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯
本願は、平成20年3月27日の出願であって、平成24年7月27日付けで拒絶査定がなされ、これに対し、平成24年10月30日に審判請求がなされるとともに手続補正がなされたものである。

2.平成24年10月30日付けの手続補正についての補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
平成24年10月30日付けの手続補正(以下、「本件補正」という。)を却下する。
[理由]
(1)本件補正後の本願発明
本件補正により、特許請求の範囲は、
「【請求項1】
電動機の回生制御により回生制動力を発生させる回生ブレーキユニットと、
作動液の液圧制御により液圧制動力を発生させる液圧ブレーキユニットと、
運転者のブレーキ操作に応じて演算された目標制動力が満たされるように前記回生ブレーキユニットおよび前記液圧ブレーキユニットを制御するとともに、実行されている回生制動力を前記目標制動力から減ずることで目標となる液圧制動力を演算する制御部と、
を備え、
前記制御部は、
前記回生制動力を算出する過程で用いられる最小単位未満の桁処理により生じる誤差を抑制する桁処理誤差抑制部を有し、
前記桁処理誤差抑制部は、前記回生制動力を算出する過程で生じる前記最小単位未満の値を切り上げ処理することで当該回生制動力を算出することを特徴とするブレーキ制御装置。
【請求項2】
電動機の回生制御により回生制動力を発生させる回生ブレーキユニットと、
作動液の液圧制御により液圧制動力を発生させる液圧ブレーキユニットと、
運転者のブレーキ操作に応じて演算された目標制動力が満たされるように前記回生ブレーキユニットおよび前記液圧ブレーキユニットを制御するとともに、実行されている回生制動力を前記目標制動力から減ずることで目標となる液圧制動力を演算する制御部と、
を備え、
前記制御部は、
前記回生制動力を算出する過程で用いられる最小単位未満の桁処理により生じる誤差を抑制する桁処理誤差抑制部を有し、
前記桁処理誤差抑制部は、桁処理により生じる誤差を抑制する所定の値を、前記回生制動力を算出する過程で加算することで当該回生制動力を算出することを特徴とするブレーキ制御装置。
【請求項3】
前記制御部は、実行されている回生トルクが0より大きな第1の所定値より大きく、かつ、前記目標となる液圧制動力が第2の所定値より小さい場合、液圧ブレーキユニットにおけるブレーキの引きずりが発生しない値まで前記目標となる液圧制動力の値を低減することを特徴とする請求項1または2に記載のブレーキ制御装置。
【請求項4】
前記制御部は、実行されている回生トルクが0より大きな第1の所定値より大きく回生制動力として要求可能な上限値より小さい場合であって、かつ、前記目標となる液圧制動力が第2の所定値より小さい場合、液圧ブレーキユニットにおけるブレーキの引きずりが発生しない値まで前記目標となる液圧制動力の値を低減することを特徴とする請求項1または2に記載のブレーキ制御装置。
【請求項5】
前記液圧ブレーキユニットにおける液圧を減圧可能な減圧弁と、
車両の制御状態を検出する状態検出部と、
を更に備え、
前記減圧弁は、通電されていないときに流路が閉じている電磁弁であり、
前記制御部は、車両の制御状態が前記液圧ブレーキユニットにおける液圧を低減させてもよい状態か否かを前記状態検出部の検出情報に基づいて判定し、車両の制御状態が液圧を低減させてもよいと見込まれる所定の液圧低減許可条件を満たしたとき、前記減圧弁の開弁制御を開始することを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載のブレーキ制御装置。
【請求項6】
前記減圧弁の少なくとも一部の温度を推定する温度推定部を更に備え、
前記制御部は、前記温度推定部により推定された前記減圧弁の一部の推定温度が減圧弁を強制的に閉弁させる所定の強制閉弁温度よりも高いと判定した場合、車両の制御状態が前記所定の液圧低減許可条件を満たしていても、前記減圧弁への通電制御を停止することを特徴とする請求項5に記載のブレーキ制御装置。
【請求項7】
前記制御部は、
車両の制御状態が前記所定の液圧低減許可条件を満たしている場合、前記強制閉弁温度よりも低く設定してある所定の温度よりも前記推定温度が高いと判定したときには、その温度に応じて前記減圧弁への通電量を徐々に減少させていくとともに、前記推定温度が前記強制閉弁温度よりも高いと判定したときには前記減圧弁への通電を停止することを特徴とする請求項6に記載のブレーキ制御装置。
【請求項8】
電動機を用いる回生制御と作動液を用いる液圧制御とを協調させる回生協調制御を含むブレーキ制御方法であって、
運転者のブレーキ操作に応じた目標制動力を演算する目標制動力演算工程と、
前記目標制動力の範囲内で実行可能な回生制動力を演算する回生制動力演算工程と、
実行されている回生制動力を前記目標制動力から減ずることで目標となる液圧制動力を演算する液圧制動力演算工程と、を備え、
回生制動力演算工程は、前記回生制動力を算出する過程で用いられる最小単位未満の桁処理により生じる誤差を抑制する桁処理誤差抑制工程を含み、
前記桁処理誤差抑制工程は、前記回生制動力を算出する過程で生じる前記最小単位未満の値を切り上げ処理することで当該回生制動力を算出することを特徴とするブレーキ制御方法。
【請求項9】
電動機を用いる回生制御と作動液を用いる液圧制御とを協調させる回生協調制御を含むブレーキ制御方法であって、
運転者のブレーキ操作に応じた目標制動力を演算する目標制動力演算工程と、
前記目標制動力の範囲内で実行可能な回生制動力を演算する回生制動力演算工程と、
実行されている回生制動力を前記目標制動力から減ずることで目標となる液圧制動力を演算する液圧制動力演算工程と、を備え、
回生制動力演算工程は、前記回生制動力を算出する過程で用いられる最小単位未満の桁処理により生じる誤差を抑制する桁処理誤差抑制工程を含み、
前記桁処理誤差抑制工程は、桁処理により生じる誤差を抑制する所定の値を、前記回生制動力を算出する過程で加算することで当該回生制動力を算出することを特徴とするブレーキ制御方法。」に補正された。
本件補正は、請求項1についてみると、本件補正前の請求項1に記載した発明を特定するために必要な事項である「桁処理誤差抑制部」について、「当該回生制動力を算出する」との限定を付加するものであって、これは、特許法第17条の2第5項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
そこで、本件補正後の請求項1に係る発明(以下、「本願補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか)について以下に検討する。
(2)引用例
(2-1)引用例1
原査定の拒絶の理由に引用された特開平8-163707号公報(以下、「引用例1」という。)には、下記の事項が図面とともに記載されている。
(あ)「【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、電動モータによって車輪を駆動し走行する電気自動車に関し、特に、モータによる回生制動を通じて車両の制動を制御するための、電気自動車の制動制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、大気汚染の防止や車両による騒音低減の観点から、内燃機関の代わりに電動モータで車輪を駆動する、電気自動車が注目されつつある。このような電気自動車では、所謂回生制動を容易に行なうことができる。この回生制動は、走行用モータへの電力供給を規制してこのモータを発電状態に切り換えることで行なえて、この時には、駆動輪に負荷を与えてこれを制動しつつこの駆動輪の回転エネルギを電気エネルギとして回収することができる。
【0003】このような電気自動車では、ドライバがブレーキペダル等を操作して制動を指令すると、車輪に摩擦力を加えることで制動力を与える機械式ブレーキ(機械的制動装置)による制動力(機械的制動力)に、このモータの回生制動による制動力(回生制動力)を付加して、車両の制動を行なうことができる。一般的には、ドライバの制動指令に対して、機械的制動力を主として与えてこれに回生制動力を補助的に与えるようにするが、要求される制動力(目標制動力)に対して、これらの機械的制動力及び回生制動力をどのようにバランスさせて与えるかが課題となる。」
(い)「【0013】
【作用】上述の請求項1記載の本発明の電気自動車の制動制御装置では、回生制動と機械的制動とを併用して制動を行なうが、このとき、目標制動力設定手段が、ブレーキ操作検出手段で検出されたブレーキペダル操作量に基づいて目標制動力を設定する。回生制動については、回生制御手段が、ブレーキ操作検出手段で検出されたブレーキペダル操作量に基づいて目標回生制動力を設定し、この目標回生制動力に応じてモータによる回生制動を制御する。一方、機械的制動については、機械的制動制御手段が、上記目標制動力設定手段で設定した目標制動力と上記減速度検出手段からの検出減速度に基づく実制動力との差に応じて機械的制動装置の作動を制御する。したがって、機械的制動力を、目標制動力と実制動力との差を埋めるように発生させることができ、ブレーキペダル操作に応じた回生制動が行なわれない事態になっても、目標制動力は確実に発生するようになる。」
(う)「【0017】
【実施例】以下、図1?図5に基づいて、本発明の実施例について説明する。図1は本発明の一実施例としての電気自動車の制動制御装置を示す構成図である。図1に示すように、本制動装置は回生制動装置(回生ブレーキシステム)Aと機械的制動装置(機械ブレーキシステム)Bとをそなえている。
【0018】まず、回生ブレーキシステムAを説明する。図1において、1はバッテリ、2は走行用モータ、3は駆動輪であり、4はモータ制御部であり、モータ制御部4は、力行時にはバッテリ1からモータ2への電力供給を制御し、回生時にはモータ2が発電機として回生作動するように回生制御を行なう。このモータ制御部4は、走行マネージメントコントローラ5からの制御信号に応じてモータ2を制御する。すなわち、走行マネージメントコントローラ5では力行時には図示しないアクセルペダルの踏込量に応じたモータ出力が発生するようにモータ2への電力供給制御を指令し、回生時には要求される回生制動力(回生ブレーキトルク)が得られるようにモータ2による発電状態の制御を指令する。そして、モータ制御部4では、モータ2への電流を電流センサ8で監視しながら指令に応じてモータ2が作動するように電流供給や発電状態を制御する。」
(え)「【0024】一方、機械ブレーキシステムBでは、車輪に摩擦力を与える例えばブレーキディスク等をそなえる機械ブレーキ本体21の作動を油圧制御するようになっている。つまり、機械ブレーキ本体21の駆動油圧は、油圧発生部22から電磁バルブ23を通じて供給されるようになっており、電磁バルブ23は、機械的制動制御手段としての油圧制御部24からの指令信号によって作動するようになっている。
【0025】油圧制御部24では、機械ブレーキトルク設定部(機械的制動力設定手段)20で設定された機械制動力(機械的ブレーキトルク)に基づいて電磁バルブ23を通じて機械ブレーキ本体21の作動を制御する。この機械ブレーキトルク設定部20では、目標ブレーキトルク設定部(目標制動力設定手段)9の設定情報と、車両の減速度を検出する減速度検出手段としてのGセンサ15からの検出情報とに基づいて、機械ブレーキトルクを設定するが、目標ブレーキトルク設定部9では、ブレーキペダル踏込量センサ11からの検出情報(ブレーキ操作量)に応じて、例えば図2に示すような特性で、車両の目標とする制動力(目標ブレーキトルク)を設定する。また、回生制動によるブレーキトルクが加えられるとこれに応じて車両の減速度(減速G)が発生するので、Gセンサ15で検出される減速度は実際の回生ブレーキトルクに応じたものになる。そこで、機械ブレーキトルク設定部20では、目標ブレーキトルクからこの減速度に対応する実際の回生ブレーキトルク分を減算して機械ブレーキトルクを設定するのである。」
以上の記載事項及び図面からみて、引用例1には、次の発明(以下、「引用例1発明」という。)が記載されているものと認められる。
「走行用モータ2の回生制御により回生制動力を発生させる回生ブレーキシステムAと、
作動油の油圧制御により機械制動力を発生させる機械ブレーキシステムBと、
ドライバのブレーキ操作に応じて設定された目標制動力が発生するように前記回生ブレーキシステムAおよび前記機械ブレーキシステムBを制御するとともに、実際の回生ブレーキトルクを前記目標制動力から減算して目標となる機械的制動力を設定する、目標ブレーキトルク設定部9、機械ブレーキトルク設定部20等から成る制御手段と、
を備えた制動制御装置。」
(3)対比
本願補正発明と引用例1発明とを比較すると、
後者の「走行用モータ2」は前者の「電動機」に相当し、以下同様に、「回生ブレーキシステムA」は「回生ブレーキユニット」に、「作動油の油圧制御」は「作動液の液圧制御」に、「ドライバ」は「運転者」に、「実際の回生ブレーキトルク」は「実行されている回生制動力」に、「目標ブレーキトルク設定部9、機械ブレーキトルク設定部20等から成る制御手段」は「制御部」に、「制動制御装置」は「ブレーキ制御装置」にそれぞれ相当する。
引用例1発明の「機械的制動力」、「機械ブレーキシステムB」は、作動油の油圧制御で制動力を発生させることから、本願補正発明の「液圧制動力」、「液圧ブレーキユニット」にそれぞれ相当する。
引用例1発明の「ブレーキ操作に応じて設定された目標制動力が発生するように」は、目標制動力が演算により設定されていることは明らかであるから、本願補正発明の「ブレーキ操作に応じて演算された目標制動力が満たされるように」に相当する。
引用例1発明の「減算して機械的制動力を設定する」は、本願補正発明の「減ずることで目標となる液圧制動力を演算する」に相当する。
以上より、本願補正発明の用語に倣って整理すると、両者は、
「電動機の回生制御により回生制動力を発生させる回生ブレーキユニットと、
作動液の液圧制御により液圧制動力を発生させる液圧ブレーキユニットと、
運転者のブレーキ操作に応じて演算された目標制動力が満たされるように前記回生ブレーキユニットおよび前記液圧ブレーキユニットを制御するとともに、実行されている回生制動力を前記目標制動力から減ずることで目標となる液圧制動力を演算する制御部と、
を備えたブレーキ制御装置。」である点で一致し、以下の点で相違している。
[相違点]
本願補正発明の「前記制御部」は、
「前記回生制動力を算出する過程で用いられる最小単位未満の桁処理により生じる誤差を抑制する桁処理誤差抑制部を有し、
前記桁処理誤差抑制部は、前記回生制動力を算出する過程で生じる前記最小単位未満の値を切り上げ処理することで当該回生制動力を算出する」のに対し、
引用例1発明の「前記制御部」は、そのような桁処理誤差抑制部を有しているか否か明らかでない点。
(4)判断
(4-1)相違点について
引用例1発明は、「実際の回生ブレーキトルクを前記目標制動力から減算して目標となる機械的制動力を設定する」ものであり、これに関して、引用例1には、「【0025】…この機械ブレーキトルク設定部20では、目標ブレーキトルク設定部(目標制動力設定手段)9の設定情報と、車両の減速度を検出する減速度検出手段としてのGセンサ15からの検出情報とに基づいて、機械ブレーキトルクを設定する…」と記載されている。すなわち、「機械的制動力」を設定するにあたっては、まず、「目標制動力」及び「実際の回生ブレーキトルク」ないしこれらの関連物理量を算出し、「目標制動力」から「実際の回生ブレーキトルク」を減算する。このような演算過程で各数値の桁処理を行うことは、例えば、特開平4-298668号公報(特に請求項1、段落【0026】)、特開平9-4553号公報(特に段落【0012】、【0017】)に示されているように従来周知の技術であり、引用例1発明の「実際の回生ブレーキトルク」に係る演算過程においても特に異なるものではない。
桁処理を行なう場合、それは、基本的には、切り上げか切り下げのいずれかである。そして、「実際の回生ブレーキトルク」を算出する場合、切り上げ処理を行うと、機械的制動力が理論値(桁処理することなく四則演算した値)より小さく算出され、したがって、機械的制動力を軽減し、特に、理論値が切り上げ処理に基づく誤差以下のときは機械的制動力を零とすることができる一方、切り下げ処理を行なうと、機械的制動力が理論値より大きく算出され、十分な制動力を発生させて安全性の向上等を図ることができる。この程度のことは技術常識であり、当業者にとって格別のことではない。何れの処理を行なうかは、車両の用途・所要特性等に応じて適宜なし得る設計的事項であって、機械的制動力の場合にブレーキの引きずりを抑制すべきことが、例えば、特開平10-278764号公報(特に第4欄第1?7行)、特開平10-315946号公報(特に段落【0051】、【0054】)に示されているように、従来から広く知られている一般的な課題であることからすると、「実際の回生ブレーキトルク」に係る桁処理にあたって、ブレーキの引きずりを抑制するという観点から切り上げ処理を行うように構成することは当業者が容易に想到し得たものと認められる。
(4-2)効果について
本願補正発明の作用効果は、引用例1に記載された発明及び周知技術から当業者が予測し得た程度であって、格別のものではない。
(4-3)まとめ
したがって、本願補正発明は、引用例1に記載された発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。
(5)むすび
本願補正発明について以上のとおりであるから、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項の規定において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

3.本願発明
平成24年10月30日付けの手続補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1?9に係る発明は、平成24年1月23日付け手続補正により補正された明細書、特許請求の範囲及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1?9に記載された事項により特定されるとおりのものであり、そのうち、請求項1に係る発明の特許請求の範囲は以下のとおりである。
「【請求項1】
電動機の回生制御により回生制動力を発生させる回生ブレーキユニットと、
作動液の液圧制御により液圧制動力を発生させる液圧ブレーキユニットと、
運転者のブレーキ操作に応じて演算された目標制動力が満たされるように前記回生ブレーキユニットおよび前記液圧ブレーキユニットを制御するとともに、実行されている回生制動力を前記目標制動力から減ずることで目標となる液圧制動力を演算する制御部と、
を備え、
前記制御部は、
前記回生制動力を算出する過程で用いられる最小単位未満の桁処理により生じる誤差を抑制する桁処理誤差抑制部を有し、
前記桁処理誤差抑制部は、前記回生制動力を算出する過程で生じる前記最小単位未満の値を切り上げ処理することを特徴とするブレーキ制御装置。」

3-1.本願の請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)について
(1)本願発明は上記のとおりである。
(2)引用例
引用例1及びその記載事項は、上記「2.平成24年10月30日付けの手続補正についての補正却下の決定」に記載したとおりである。
(3)対比・判断
本願発明は、本願補正発明から「当該回生制動力を算出する」との事項を削除して拡張したものに相当する。
そうすると、本願発明の構成要件をすべて含み、さらに他の構成要件を付加したものに相当する本願補正発明が、上記「2.平成24年10月30日付けの手続補正についての補正却下の決定」に記載したとおり、引用例1に記載された発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明は、実質的に同様の理由により、引用例1に記載された発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
(4)むすび
したがって、本願発明は、引用例1に記載された発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条2項の規定により特許を受けることができない。

4.結語
以上のとおり、本願発明が特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものである以上、他の請求項2?9に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2013-09-30 
結審通知日 2013-10-01 
審決日 2013-10-21 
出願番号 特願2008-84992(P2008-84992)
審決分類 P 1 8・ 575- Z (B60T)
P 1 8・ 121- Z (B60T)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 谷口 耕之助  
特許庁審判長 山岸 利治
特許庁審判官 島田 信一
森川 元嗣
発明の名称 ブレーキ制御装置およびブレーキ制御方法  
代理人 森下 賢樹  
代理人 村田 雄祐  
代理人 三木 友由  

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