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審決分類 審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 G01C
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G01C
審判 査定不服 1項3号刊行物記載 特許、登録しない。 G01C
管理番号 1282805
審判番号 不服2012-16280  
総通号数 170 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2014-02-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2012-08-22 
確定日 2013-12-12 
事件の表示 特願2006-256654「慣性力センサ」拒絶査定不服審判事件〔平成20年 4月 3日出願公開、特開2008- 76265〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯
本願は、平成18年9月22日の出願であって、平成24年4月5日付けで、特許請求の範囲についての補正がなされ(以下、「補正1」という。)、同年5月14日付けで(送達:同年同月22日)で拒絶査定がなされ、これに対し、同年8月22日に拒絶査定不服審判が請求されると同時に特許請求の範囲についての補正(以下、「本件補正」という。)がなされたものである。

2.補正却下の決定
[結論]
本件補正を却下する。
[理由]
(1)補正の内容
本件補正は、請求項1を次のとおり補正するものである。
(本件補正前)
「可撓体と、前記可撓体に配置され前記可撓体の歪を感知させる複数の感知手段を有する検出素子と、前記複数の感知手段に接続され前記可撓体に係る慣性力を検出する検出回路部を備え、
前記複数の感知手段はそれぞれ、前記可撓体の上に形成された下部電極と、前記下部電極の上に形成された圧電体と、前記圧電体の上に形成された上部電極とからなる感知電極部を有し、
前記検出回路部は、前記複数の感知手段が有する感知電極部の上部電極からそれぞれ出力される出力値を加算した加算値と、前記複数の感知手段が有する感知電極部の下部電極からそれぞれ出力される出力値を加算した加算値に基づいて、前記可撓体に係る慣性力を検出する慣性力センサ。」
(本件補正後)
「可撓体と、前記可撓体に配置され前記可撓体の歪を感知させる複数の感知手段を有する検出素子と、前記複数の感知手段に接続され前記可撓体に係る慣性力を検出する検出回路部を備え、
前記複数の感知手段はそれぞれ、前記可撓体の上に形成された下部電極と、前記下部電極の上に形成された圧電体と、前記圧電体の上に形成された上部電極とからなる感知電極部を有し、
前記検出回路部は、前記上部電極に接続される第1の電流電圧変換アンプと、前記下部電極に接続される第2の電流電圧変換アンプとを有し、さらに、前記複数の感知手段が有する感知電極部の上部電極からそれぞれ出力される電流値を加算した加算値と、前記複数の感知手段が有する感知電極部の下部電極からそれぞれ出力される電流値を加算した加算値に基づいて、前記可撓体に係る慣性力を検出する慣性力センサ。」
(下線は補正箇所。検討の便宜のために、改行してある。)

この補正は、請求項1に記載した発明を特定するために必要な事項である「検出回路部」について、「前記上部電極に接続される第1の電流電圧変換アンプと、前記下部電極に接続される第2の電流電圧変換アンプとを有」するとの限定を付加するとともに、「出力値」を「電流値」に限定するものであって、特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
そこで、本件補正後の請求項1に記載された発明(以下、「本願補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるかについて、以下に検討する。

(2)引用例記載の事項・引用発明
原査定の拒絶の理由に引用され、本願の出願前に頒布された刊行物である特開2006-23320号公報(発明の名称:角速度センサ、出願人:岡田和広、公開日:平成18年1月26日、以下「引用例」という。)には、次の事項(a)ないし(d)が図面とともに記載されている。

(a)「【技術分野】
【0001】
本発明は角速度センサに関し、特に、XYZ三次元座標系における所定軸まわりの角速度を検出することのできる角速度センサに関する。」

(b)「【0135】
<<< Section 5 第5の実施例 >>>
<5.1> 第5の実施例に係るセンサの構造
ここでは、本発明の第5の実施例に係る多軸角速度センサについて説明する。この第5の実施例も、前述した第4の実施例と同様に、振動機構および検出機構の双方に圧電素子を利用した機構を用いたセンサである。
【0136】
第57図は、この第5の実施例に係る多軸角速度センサの上面図である。可撓基板510はいわゆるダイヤフラムとして機能する可撓性をもった円盤状の基板であり、この可撓基板510の上には、いわゆるドーナツ盤状をした圧電素子520が配置されている。この圧電素子520の上面には、それぞれ図示したような形状をした16枚の上部電極層L1?L16が、それぞれ図示した位置に形成されている。また、この圧電素子520の下面には、上部電極層L1?L16のそれぞれと全く同じ形状をした16枚の下部電極層M1?M16(第57図には示されていない)が、上部電極層L1?L16のそれぞれと対向する位置に形成されている。第58図は、このセンサの側断面図である(図が繁雑になるのを避けるため、各電極層については、断面切り口部分のみを描いてある。以下の側断面図も同様)。この図に明瞭に示されているように、ドーナツ盤状の圧電素子520は、16枚の上部電極層L1?L16(第58図には、L1?L4のみ示されている)と、16枚の下部電極層M1?M16(第58図には、M1?M4のみ示されている)と、によって挟まれ、いわゆるサンドイッチの状態になっている。そして、下部電極層M1?M16の下面が可撓基板510の上面に固着されている。一方、可撓基板510の下面には、振動子550が固着されており、可撓基板510の周囲部分はセンサ筐体560によって固着支持されている。この実施例では、可撓基板510は絶縁性の材料によって構成されている。可撓基板510を金属などの導電性の材料によって構成した場合には、その上面に絶縁膜を形成することにより、16枚の下部電極層M1?M16が短絡するのを防ぐようにする。
【0137】
ここでは、説明の便宜上、可撓基板510の中心位置Oを原点としたXYZ三次元座標系を考えることにする。すなわち、第57図の右方向にX軸、下方向にY軸、そして紙面に垂直な方向にZ軸を定義する。第58図は、このセンサをXZ平面で切った断面図ということになり、可撓基板10、圧電素子20、各電極層L1?L16,M1?M16は、いずれもXY平面に平行に配置されていることになる(この第5の実施例では、説明の便宜上、側断面図における下方向をZ軸の正方向にとってある)。また、第57図に示すように、XY平面上において、X軸あるいはY軸と45°の角をなす方向にW1軸およびW2軸を定義する。W1軸およびW2軸はいずれも原点Oを通る。このような座標系を定義すると、上部電極層L1?L4および下部電極層M1?M4は、X軸の負方向から正方向に向かって順に配置されており、上部電極層L5?L8および下部電極層M5?M8は、Y軸の負方向から正方向に向かって順に配置されており、上部電極層L9?L12および下部電極層M9?M12は、W1軸の負方向から正方向に向かって順に配置されており、上部電極層L13?L16および下部電極層M13?M16は、W2軸の負方向から正方向に向かって順に配置されていることになる。
【0138】
さて、圧電素子の上面および下面にそれぞれ電極層を形成し、この一対の電極層間に所定の電圧を印加すると、この圧電素子内部に所定の圧力が発生し、逆に、この圧電素子に所定の力を加えると、一対の電極層間に所定の電圧が発生する性質があることは、既に述べたとおりである。そこで、上述した16枚の上部電極層L1?L16と、16枚の下部電極層M1?M16と、これらによって挟まれた圧電素子520の16個の部分と、によって、それぞれ16組の局在素子D1?D16が形成されたものと考えることにする。たとえば、上部電極層L1と下部電極層M1と、これらに挟まれた圧電素子520の一部分と、によって局在素子D1が形成されることになる。結局、16組の局在素子D1?D16は、第59図の上面図に示されるように配置されていることになる。
【0139】
ここで、このセンサにおける圧電素子520としては、第60図に示すような分極特性をもった圧電セラミックスが用いられている。すなわち、第60図(a) に示すように、XY平面に沿って伸びる方向の力が作用した場合には、上部電極層L側に正の電荷が、下部電極層M側に負の電荷が、それぞれ発生し、逆に、第60図(b) に示すように、XY平面に沿って縮む方向の力が作用した場合には、上部電極層L側に負の電荷が、下部電極層M側に正の電荷が、それぞれ発生するような分極特性をもっている。ここでは、このような分極特性をタイプIIIと呼ぶことにする。このセンサにおける16組の局在素子D1?D16は、いずれもタイプIIIの分極特性をもった圧電素子を有することになる。」

(c)「【0147】
<5.3> コリオリ力の検出機構
続いて、この第5の実施例に係るセンサにおいて各軸方向に作用したコリオリ力の検出方法について説明する。なお、紙面を節約する上で、前述した振動子の振動方法の説明に用いた第61図および第62図を、このコリオリ力の検出方法の説明においても用いることにする。
【0148】
まず、第61図に示すように、振動子550の重心Gに対してX軸方向のコリオリ力Fxが作用した場合を考える(第5図に示す原理によれば、このようなコリオリ力Fxの測定は、Y軸方向への振動Uyを与えた状態で行われるため、振動子550は第61図における紙面に垂直な方向に振動していることになるが、このようなY軸方向への振動現象は、X軸方向のコリオリ力Fxの測定には影響を与えない)。このようなコリオリ力Fxの作用により、ダイヤフラムの機能を果たす可撓基板510に撓みが生じ、第61図に示すような変形が起こる。この結果、X軸に沿って配置された局在素子D1,D3はX軸方向に伸び、同じくX軸に沿って配置された局在素子D2,D4はX軸方向に縮むことになる。これら各電極層に挟まれた圧電素子は、第60図に示すような分極特性を有するので、これら各電極層には、第61図に小円で囲った記号「+」または「-」で示すような極性の電荷が発生する。また、Y軸方向のコリオリ力Fyが作用した場合は、Y軸に沿って配置された局在素子D5?D8を構成する各電極層について、同様に所定の極性をもった電荷が発生する。
【0149】
次に、Z軸方向のコリオリ力Fzが作用した場合を考える。この場合は、ダイヤフラムの機能を果たす可撓基板510が第62図に示すように変形し、W1軸に沿って配置された局在素子D9,D12はW1軸方向に伸び、同じくW1軸に沿って配置された局在素子D10,D11はW1軸方向に縮むことになる。このため、局在素子D9?D12を構成する各電極層には、第62図に小円で囲った記号「+」または「-」で示すような極性の電荷が発生する。W2軸に沿って配置された局在素子D13?D16を構成する各電極層にも、同様に所定の極性をもった電荷が発生する。
【0150】
このような現象を利用すれば、各電極層に対して、第63図?第65図に示すような配線を施すことにより、コリオリ力Fx,Fy,Fzの検出を行うことができる。たとえば、X軸方向のコリオリ力Fyは、第63図に示すように、端子Tx1と端子Tx2との間に生じる電圧差Vxとして検出することができる。この理由は、第61図に示すような撓みにより、各電極層に発生する電荷の極性を考えれば容易に理解できる。第63図のような配線を施しておけば、正の電荷はすべて端子Tx1に集まり、負の電荷はすべて端子Tx2に集まり、両端子間の電位差VxがX軸方向のコリオリ力Fxを示すものになる。全く同様に、Y軸方向のコリオリ力Fyは、局在素子D5?D8を構成する各電極層に対して、第64図に示すような配線を施せば、端子Ty1と端子Ty2との間の電位差Vyとして検出することができる。また、Z軸方向のコリオリ力Fzは、局在素子D9?D16を構成する各電極層に対して、第65図に示すような配線を施せば、端子Tz1と端子Tz2との間に生じる電圧差Vzとして検出することができる。もっとも、局在素子D13?D16は必ず必要なものではなく、局在素子D9?D12の4つだけを用いても、Z軸方向のコリオリ力Fzの検出は可能である。」

(d)「【0151】
<5.4> 角速度の検出
以上述べたように、この第5の実施例に係る多軸角速度センサでは、所定の局在素子に交流信号を印加することにより、振動子550をX軸,Y軸,Z軸のいずれかの軸方向に沿って振動させることができ、そのときに発生した各軸方向のコリオリ力Fx,Fy,Fzを、それぞれ電位差Vx,Vy,Vzとして検出することができる。したがって、第3図?第5図に示す原理により、X軸,Y軸,Z軸のいずれかの軸まわりの角速度ωを検出することができる。」

記載事項(c)や図63?65によれば、引用例に記載の角速度センサが、角速度を検出するための何らかの検出回路部を備えることは、明らかである。 また、引用例において、可撓基板510、局在素子D1?D16、振動子550、及びセンサ筐体560からなる部分を検出素子部と呼ぶこととする。
以上の技術事項を踏まえ、記載事項(a)ないし(d)及び図63?65の記載内容によれば、引用例には、第5の実施例に関し、次の発明が記載されているものと認める。

「可撓基板510と、前記可撓基板510に配置され前記可撓基板510の歪を感知させる局在素子D1?D4を有する検出素子部と、前記局在素子D1?D4に接続され前記可撓基板510に係る角速度を検出する検出回路部とを備え、
前記局在素子D1?D4はそれぞれ、前記可撓基板510の上に形成された下部電極層M1?M4と、前記下部電極層M1?M4の上に形成された圧電素子520と、前記圧電素子520の上に形成された上部電極層L1?L4とからなり、
前記検出回路部は、前記局在素子D1?D4の上部電極層L1,L3、及び下部電極層M2,M4に発生する正の電荷を全て集めた端子Tx1の電位と、前記局在素子D1?D4の上部電極層L2,L4、及び下部電極層M1,M3に発生する負の電荷を全て集めた端子Tx2の電位との電位差Vxに基づいて、前記可撓基板510に係る角速度を検出する角速度センサ。」(以下、「引用発明」という。)

(3)対比
本願補正発明と引用発明とを、主な構成要件について対比する。
ア まず、引用発明における「可撓基板510」は、本願補正発明における「可撓体」に相当し、引用発明における「検出素子部」は、本願補正発明における「検出素子」に相当し、以下、同様に、「下部電極層M1?M4」は「下部電極」に、「圧電素子520」は「圧電体」に、「上部電極層L1?L4」は「上部電極」に、それぞれ相当する。

イ また、本願補正発明において、「慣性力センサ」とは、角速度センサや加速度センサのことをいう(本願明細書段落【0003】)から、引用発明における「角速度」、「角速度センサ」は、それぞれ、本願補正発明における「慣性力」、「慣性力センサ」に、それぞれ、相当する。

ウ また、引用発明における「局在素子D1?D4」は、本願補正発明における「複数の感知手段」に相当し、引用発明における「局在素子D1?D4」のそれぞれが、本願補正発明における「感知電極部」に相当する。

エ また、電流とは、単位時間当たりに通過する電荷量のことをいうから、引用発明における「発生する正の電荷を全て集ねた端子Tx1の電位」や、「発生する負の電荷を全て集めた端子Tx2の電位」は、本願補正発明における「出力される電流値を加算した加算値」に相当するといえる。

オ ところで、請求項5には、「・・・前記第1感知手段の2つの前記感知電極部の内、前記第1感知手段の互いに正極の上部電極と下部電極から出力された電流値を加算した加算値と、前記第1感知手段の互いに負極の上部電極と下部電極から出力された電流値を加算した加算値と、前記第2感知手段の2つの前記感知電極部の内、前記第2感知手段の互いに正極の上部電極と下部電極から出力された電流値を加算した加算値と、前記第2感知手段の互いに負極の上部電極と下部電極から出力された電流値を加算した加算値に基づいて、・・・」とあり、加算する対象電極は、正極又は負極の電極同士となっている。そして、請求項5は請求項1に従属しているから、本願補正発明において、「・・・上部電極からそれぞれ出力される電流値を加算した加算値と、前記複数の感知手段が有する感知電極部の下部電極からそれぞれ出力される電流値を加算した加算値に基づいて、・・・」との記載における、「上部電極からそれぞれ出力される電流値を加算した加算値」には、上部電極同士から出力される電流値を加算したものはもとより、下部電極から出力される電流値も含まれるし、「下部電極からそれぞれ出力される電流値を加算した加算値」には、下部電極同士から出力される電流値を加算したものはもとより、上部電極から出力される電流値も含まれると解すべきである。
してみると、引用発明における「前記局在素子D1?D4の上部電極層L1,L3、及び下部電極層M2,M4に発生する正の電荷を全て集めた端子Tx1の電位」は、上記相当関係アないしウを踏まえると、本願補正発明における「感知電極部の上部電極からそれぞれ出力される電流値を加算した加算値」に相当するといえるし、同様に、引用発明における「前記局在素子D1?D4の上部電極層L2,L4、及び下部電極層M1,M3に発生する負の電荷を全て集めた端子Tx2の電位」は、本願補正発明における「感知電極部の下部電極からそれぞれ出力される電流値を加算した加算値」に相当するといえる。

カ 以上の相当関係アないしオを総合すると、本願補正発明と引用発明との一致点、相違点は、以下のとおりである。

(一致点)
「可撓体と、前記可撓体に配置され前記可撓体の歪を感知させる複数の感知手段を有する検出素子と、前記複数の感知手段に接続され前記可撓体に係る慣性力を検出する検出回路部を備え、
前記複数の感知手段はそれぞれ、前記可撓体の上に形成された下部電極と、前記下部電極の上に形成された圧電体と、前記圧電体の上に形成された上部電極とからなる感知電極部を有し、
前記検出回路部は、前記複数の感知手段が有する感知電極部の上部電極からそれぞれ出力される電流値を加算した加算値と、前記複数の感知手段が有する感知電極部の下部電極からそれぞれ出力される電流値を加算した加算値に基づいて、前記可撓体に係る慣性力を検出する慣性力センサ。」
(相違点)
本願補正発明では、検出回路部が、「前記上部電極に接続される第1の電流電圧変換アンプと、前記下部電極に接続される第2の電流電圧変換アンプとを有」するのに対し、引用発明では、検出回路部がそのような電流変換アンプを備えているかどうかが明らかでない点。

(4)判断
一般に、この種の加速度センサにおいて、加速度の大きさに対応する電極間の電圧を測定するために、上部電極や下部電極に発生した電荷量、すなわち電流を電圧値に変換するための手段を、上部電極や下部電極と電圧測定手段との間に設けることは、周知技術である。
この点については、原審で引用された特開平8-94661号公報(発明の名称:圧電素子を用いた加速度・角速度センサ)の特に、図26に示された、上部電極A1,A2と出力端子Txxとの間に設けられたQ/V変換回路や、国際公開第2005/078389号(発明の名称:角速度センサ)の特に、図4に示された、上面電極15a,16aと差動アンプ64との間に設けられたカレントアンプ62,63を参照のこと。
してみると、端子Tx1の電位と、端子Tx2の電位との電位差Vxに基づいて角速度を検出するようにしている引用発明において、その各端子Tx1,Tx2に上記周知技術を適用して、本願補正発明の如く、それぞれ電流電圧変換アンプを設ける構成とすることは、当業者ならば容易に想到し得たことである。

そして、本願補正発明の作用効果も、引用発明や周知技術から予測可能なものであって、格別のものではない。
よって、本願補正発明は、引用発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、同法第29条第2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

(5)むすび
以上のとおり、本件補正は、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第5項で準用する同法第126条第5項の規定に違反するものであるから、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

3.本願発明について
本件補正は前記のとおり却下されたので、本願の請求項1ないし6に係る発明は、補正1によって補正された特許請求の範囲請求項1ないし6に記載された事項により特定されるとおりのものと認められるところ、その請求項1に係る発明は次のとおりである。
「可撓体と、前記可撓体に配置され前記可撓体の歪を感知させる複数の感知手段を有する検出素子と、前記複数の感知手段に接続され前記可撓体に係る慣性力を検出する検出回路部を備え、
前記複数の感知手段はそれぞれ、前記可撓体の上に形成された下部電極と、前記下部電極の上に形成された圧電体と、前記圧電体の上に形成された上部電極とからなる感知電極部を有し、
前記検出回路部は、前記複数の感知手段が有する感知電極部の上部電極からそれぞれ出力される出力値を加算した加算値と、前記複数の感知手段が有する感知電極部の下部電極からそれぞれ出力される出力値を加算した加算値に基づいて、前記可撓体に係る慣性力を検出する慣性力センサ。」(以下、「本願発明」という。)

(1)引用例記載の事項・引用発明
原査定の拒絶の理由に引用された発明や技術事項は、前記「2.(2)引用例記載の事項・引用発明」に記載したとおりである。

(2)対比・判断
本願発明は、前記「2.(1)補正の内容」で検討した本願補正発明から「検出回路部」についての限定事項である「前記上部電極に接続される第1の電流電圧変換アンプと、前記下部電極に接続される第2の電流電圧変換アンプとを有」するとの発明特定事項を省くとともに、「電流値」を、「出力値」に上位概念化するものである。
そうすると、前記「2.(3)対比」を踏まえると、本願発明と引用発明との相違点はないことになるから、本願発明は、引用発明にほかならない。

(3)むすび
以上のとおり、本願発明は、引用例に記載された発明(引用発明)であるから、特許法第29条第1項3号の規定により特許を受けることができない。
したがって、他の請求項に係る発明について審理するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2013-10-08 
結審通知日 2013-10-15 
審決日 2013-10-28 
出願番号 特願2006-256654(P2006-256654)
審決分類 P 1 8・ 113- Z (G01C)
P 1 8・ 121- Z (G01C)
P 1 8・ 575- Z (G01C)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 岸 智史櫻井 健太目黒 大地  
特許庁審判長 飯野 茂
特許庁審判官 中塚 直樹
関根 洋之
発明の名称 慣性力センサ  
代理人 内藤 浩樹  
代理人 寺内 伊久郎  
代理人 藤井 兼太郎  

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