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審決分類 |
審判 査定不服 1項3号刊行物記載 特許、登録しない。 G03B 審判 査定不服 特17条の2、3項新規事項追加の補正 特許、登録しない。 G03B |
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管理番号 | 1282824 |
審判番号 | 不服2012-23582 |
総通号数 | 170 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2014-02-28 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2012-11-28 |
確定日 | 2013-12-12 |
事件の表示 | 特願2009-199355「写真シール作成装置、写真シール作成方法、およびプログラム」拒絶査定不服審判事件〔平成23年 3月17日出願公開、特開2011- 53249〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
第1 手続の経緯 本願は、平成21年8月31日の出願であって、平成24年5月22日付けで手続補正がなされ、同年8月22日付けで拒絶査定がなされ、これに対して、同年11月28日付けで拒絶査定不服審判が請求されると同時に手続補正がなされたものである。 なお、請求人は、当審における平成25年4月11日付け審尋に対して同年5月16日付けで回答書を提出している。 第2 平成24年11月28日付け手続補正についての補正却下の決定 〔補正却下の決定の結論〕 平成24年11月28日付け手続補正を却下する。 〔理由〕 1 本件補正の内容 平成24年11月28日付け手続補正(以下「本件補正」という。)は、特許請求の範囲及び発明の詳細な説明についてするものである。 (1)発明の詳細な説明についての本件補正は、本件補正前の段落【0011】、【0013】、【0017】及び【0018】に、 「 【0011】 本発明の第1の側面である写真シール作成装置は、利用者のライブビュー画像を取得するとともに、前記利用者を撮影して撮影画像を生成する撮影手段と、組み合わせパターンに前記ライブビュー画像を組み合わせた状態で利用者に提示する提示手段と、複数の前記撮影画像を前記組み合わせパターンにしたがって合成して合成画像を生成する合成手段と、前記撮影画像および前記合成画像を選択肢として前記利用者に編集対象画像を選択させる第1の選択手段と、選択された前記編集対象画像に所定の編集処理を施して編集済み画像を生成する編集手段と、前記編集済み画像を所定のシール紙に印刷する印刷手段とを備え、前記撮影手段は、前記提示手段により提示された、組み合わせパターンに前記ライブビュー画像を組み合わせた状態を確認した前記利用者からの操作に応じて前記利用者を撮影して前記撮影画像を生成する。」、 「 【0013】 本発明の第1の側面である写真シール作成装置においては、利用者のライブビュー画像を取得し、組み合わせパターンに前記ライブビュー画像を組み合わせた状態で利用者に提示し、提示された、組み合わせパターンに前記ライブビュー画像を組み合わせた状態を確認した前記利用者からの操作に応じて前記利用者を撮影して撮影画像を生成し、複数の前記撮影画像を前記組み合わせパターンにしたがって合成して合成画像を生成し、撮影画像および合成画像を選択肢として利用者に編集対象画像を選択させる。さらに、選択された編集対象画像に所定の編集処理を施して編集済み画像を生成し、編集済み画像を所定のシール紙に印刷する。」、 「 【0017】 本発明の第1の側面である写真シール作成方法は、写真シールを作成する写真シール作成装置の写真シール作成方法において、前記写真シール作成装置による、利用者のライブビュー画像を取得する取得ステップと、組み合わせパターンに前記ライブビュー画像を組み合わせた状態で利用者に提示する提示ステップと、提示された、組み合わせパターンに前記ライブビュー画像を組み合わせた状態を確認した前記利用者からの操作に応じて前記利用者を撮影して撮影画像を生成する撮影ステップと、複数の前記撮影画像を前記組み合わせパターンにしたがって合成して合成画像を生成する合成ステップと、前記撮影画像および前記合成画像を選択肢として前記利用者に編集対象画像を選択させる第1の選択ステップと、選択された前記編集対象画像に所定の編集処理を施して編集済み画像を生成する編集ステップと、前記編集済み画像を所定のシール紙に印刷する印刷ステップとを含む。」、及び、 「 【0018】 本発明の第1の側面であるプログラムは、写真シールを作成する写真シール作成装置の制御用のプログラムであって、撮影手段を制御して、利用者のライブビュー画像を取得させる取得制御ステップと、組み合わせパターンに前記ライブビュー画像を組み合わせた状態で利用者に提示する提示ステップと、前記撮影手段を制御して、提示された、組み合わせパターンに前記ライブビュー画像を組み合わせた状態を確認した前記利用者からの操作に応じて前記利用者を撮影して撮影画像を生成させる撮影制御ステップと、複数の前記撮影画像を前記組み合わせパターンにしたがって合成して合成画像を生成する合成ステップと、前記撮影画像および前記合成画像を選択肢として前記利用者に編集対象画像を選択させる第1の選択ステップと、選択された前記編集対象画像に所定の編集処理を施して編集済み画像を生成する編集ステップと、前記編集済み画像を所定のシール紙に印刷させる印刷制御ステップとを含む処理を写真シール作成装置のコンピュータに実行させる。」とあったものを、それぞれ、 「 【0011】 本発明の第1の側面である写真シール作成装置は、利用者のライブビュー画像を取得するとともに、前記利用者を撮影して撮影画像を生成する撮影手段と、前記撮影手段によって撮像された生成済みの複数の撮影画像が合成された組み合わせパターンに前記ライブビュー画像を組み合わせた状態で利用者に提示する提示手段と、前記撮影手段によって撮像された生成済みの複数の前記撮影画像と前記ライブビュー画像に基づいて撮影された撮影画像と前記組み合わせパターンにしたがって合成して合成画像を生成する合成手段と、前記撮影画像および前記合成画像を選択肢として前記利用者に編集対象画像を選択させる第1の選択手段と、選択された前記編集対象画像に所定の編集処理を施して編集済み画像を生成する編集手段と、前記編集済み画像を所定のシール紙に印刷する印刷手段とを備え、前記撮影手段は、前記提示手段により提示された、組み合わせパターンに前記ライブビュー画像を組み合わせた状態を確認した前記利用者からの操作に応じて前記利用者を撮影して前記撮影画像を生成する。」、 「 【0013】 本発明の第1の側面である写真シール作成装置においては、利用者のライブビュー画像を取得し、撮像された生成済みの複数の前記撮影画像が合成された組み合わせパターンに前記ライブビュー画像を組み合わせた状態で利用者に提示し、提示された、撮像された生成済みの複数の前記撮影画像が合成された組み合わせパターンに前記ライブビュー画像を組み合わせた状態を確認した前記利用者からの操作に応じて前記利用者を撮影して撮影画像を生成し、複数の前記撮影画像を前記組み合わせパターンにしたがって合成して合成画像を生成し、撮影画像および合成画像を選択肢として利用者に編集対象画像を選択させる。さらに、選択された編集対象画像に所定の編集処理を施して編集済み画像を生成し、編集済み画像を所定のシール紙に印刷する。」、 「 【0017】 本発明の第1の側面である写真シール作成方法は、写真シールを作成する写真シール作成装置の写真シール作成方法において、前記写真シール作成装置による、利用者のライブビュー画像を取得する取得ステップと、撮影されて生成済みの複数の撮影画像が合成された組み合わせパターンに前記ライブビュー画像を組み合わせた状態で利用者に提示する提示ステップと、提示された、撮影されて生成済みの複数の撮影画像が合成された前記組み合わせパターンに前記ライブビュー画像を組み合わせた状態を確認した前記利用者からの操作に応じて前記利用者を撮影して撮影画像を生成する撮影ステップと、撮影されて生成済みの複数の前記撮影画像と前記ライブビュー画像に基づいて撮影された撮影画像とを前記組み合わせパターンにしたがって合成して合成画像を生成する合成ステップと、前記撮影画像および前記合成画像を選択肢として前記利用者に編集対象画像を選択させる第1の選択ステップと、選択された前記編集対象画像に所定の編集処理を施して編集済み画像を生成する編集ステップと、前記編集済み画像を所定のシール紙に印刷する印刷ステップとを含む。」、及び、 「 【0018】 本発明の第1の側面であるプログラムは、写真シールを作成する写真シール作成装置の制御用のプログラムであって、撮影手段を制御して、利用者のライブビュー画像を取得させる取得制御ステップと、撮影されて生成済みの複数の撮影画像が合成された組み合わせパターンに前記ライブビュー画像を組み合わせた状態で利用者に提示する提示ステップと、前記撮影手段を制御して、提示された、撮影されて生成済みの複数の撮影画像が合成された前記組み合わせパターンに前記ライブビュー画像を組み合わせた状態を確認した前記利用者からの操作に応じて前記利用者を撮影して撮影画像を生成させる撮影制御ステップと、撮影されて生成済みの複数の前記撮影画像と前記ライブビュー画像に基づいて撮影された撮影画像とを前記組み合わせパターンにしたがって合成して合成画像を生成する合成ステップと、前記撮影画像および前記合成画像を選択肢として前記利用者に編集対象画像を選択させる第1の選択ステップと、選択された前記編集対象画像に所定の編集処理を施して編集済み画像を生成する編集ステップと、前記編集済み画像を所定のシール紙に印刷させる印刷制御ステップとを含む処理を写真シール作成装置のコンピュータに実行させる。」とするものである(下線は審決で付した。以下同じ。)。 (2)特許請求の範囲についての本件補正は、本件補正前に、 「 【請求項1】 利用者のライブビュー画像を取得するとともに、前記利用者を撮影して撮影画像を生成する撮影手段と、 組み合わせパターンに前記ライブビュー画像を組み合わせた状態で利用者に提示する提示手段と、 複数の前記撮影画像を前記組み合わせパターンにしたがって合成して合成画像を生成する合成手段と、 前記撮影画像および前記合成画像を選択肢として前記利用者に編集対象画像を選択させる第1の選択手段と、 選択された前記編集対象画像に所定の編集処理を施して編集済み画像を生成する編集手段と、 前記編集済み画像を所定のシール紙に印刷する印刷手段と を備え、 前記撮影手段は、前記提示手段により提示された、組み合わせパターンに前記ライブビュー画像を組み合わせた状態を確認した前記利用者からの操作に応じて前記利用者を撮影して前記撮影画像を生成する 写真シール作成装置。 【請求項2】 前記組み合わせパターンを前記利用者に選択させる第2の選択手段を さらに備える請求項1に記載の写真シール作成装置。 【請求項3】 写真シールを作成する写真シール作成装置の写真シール作成方法において、 前記写真シール作成装置による、 利用者のライブビュー画像を取得する取得ステップと、 組み合わせパターンに前記ライブビュー画像を組み合わせた状態で利用者に提示する提示ステップと、 提示された、組み合わせパターンに前記ライブビュー画像を組み合わせた状態を確認した前記利用者からの操作に応じて前記利用者を撮影して撮影画像を生成する撮影ステップと、 複数の前記撮影画像を前記組み合わせパターンにしたがって合成して合成画像を生成する合成ステップと、 前記撮影画像および前記合成画像を選択肢として前記利用者に編集対象画像を選択させる第1の選択ステップと、 選択された前記編集対象画像に所定の編集処理を施して編集済み画像を生成する編集ステップと、 前記編集済み画像を所定のシール紙に印刷する印刷ステップと を含む写真シール作成方法。 【請求項4】 写真シールを作成する写真シール作成装置の制御用のプログラムであって、 撮影手段を制御して、利用者のライブビュー画像を取得させる取得制御ステップと、 組み合わせパターンに前記ライブビュー画像を組み合わせた状態で利用者に提示する提示ステップと、 前記撮影手段を制御して、提示された、組み合わせパターンに前記ライブビュー画像を組み合わせた状態を確認した前記利用者からの操作に応じて前記利用者を撮影して撮影画像を生成させる撮影制御ステップと、 複数の前記撮影画像を前記組み合わせパターンにしたがって合成して合成画像を生成する合成ステップと、 前記撮影画像および前記合成画像を選択肢として前記利用者に編集対象画像を選択させる第1の選択ステップと、 選択された前記編集対象画像に所定の編集処理を施して編集済み画像を生成する編集ステップと、 前記編集済み画像を所定のシール紙に印刷させる印刷制御ステップと を含む処理を写真シール作成装置のコンピュータに実行させるプログラム。」とあったものを、 「 【請求項1】 利用者のライブビュー画像を取得するとともに、前記利用者を撮影して撮影画像を生成する撮影手段と、 前記撮影手段によって生成済みの複数の撮影画像が合成された組み合わせパターンに前記ライブビュー画像を組み合わせた状態で利用者に提示する提示手段と、 前記撮影手段によって生成済みの複数の前記撮影画像と前記ライブビュー画像に基づいて撮影された撮影画像と前記組み合わせパターンにしたがって合成して合成画像を生成する合成手段と、 前記撮影画像および前記合成画像を選択肢として前記利用者に編集対象画像を選択させる第1の選択手段と、 選択された前記編集対象画像に所定の編集処理を施して編集済み画像を生成する編集手段と、 前記編集済み画像を所定のシール紙に印刷する印刷手段と を備え、 前記撮影手段は、前記提示手段により提示された、組み合わせパターンに前記ライブビュー画像を組み合わせた状態を確認した前記利用者からの操作に応じて前記利用者を撮影して前記撮影画像を生成する 写真シール作成装置。 【請求項2】 前記組み合わせパターンを前記利用者に選択させる第2の選択手段を さらに備える請求項1に記載の写真シール作成装置。 【請求項3】 写真シールを作成する写真シール作成装置の写真シール作成方法において、 前記写真シール作成装置による、 利用者のライブビュー画像を取得する取得ステップと、 撮影されて生成済みの複数の撮影画像が合成された組み合わせパターンに前記ライブビュー画像を組み合わせた状態で利用者に提示する提示ステップと、 提示された、撮影されて生成済みの複数の撮影画像が合成された前記組み合わせパターンに前記ライブビュー画像を組み合わせた状態を確認した前記利用者からの操作に応じて前記利用者を撮影して撮影画像を生成する撮影ステップと、 撮影されて生成済みの複数の前記撮影画像と前記ライブビュー画像に基づいて撮影された撮影画像とを前記組み合わせパターンにしたがって合成して合成画像を生成する合成ステップと、 前記撮影画像および前記合成画像を選択肢として前記利用者に編集対象画像を選択させる第1の選択ステップと、 選択された前記編集対象画像に所定の編集処理を施して編集済み画像を生成する編集ステップと、 前記編集済み画像を所定のシール紙に印刷する印刷ステップと を含む写真シール作成方法。 【請求項4】 写真シールを作成する写真シール作成装置の制御用のプログラムであって、 撮影手段を制御して、利用者のライブビュー画像を取得させる取得制御ステップと、 撮影されて生成済みの複数の撮影画像が合成された組み合わせパターンに前記ライブビュー画像を組み合わせた状態で利用者に提示する提示ステップと、 前記撮影手段を制御して、提示された、撮影されて生成済みの複数の撮影画像が合成された前記組み合わせパターンに前記ライブビュー画像を組み合わせた状態を確認した前記利用者からの操作に応じて前記利用者を撮影して撮影画像を生成させる撮影制御ステップと、 撮影されて生成済みの複数の前記撮影画像と前記ライブビュー画像に基づいて撮影された撮影画像とを前記組み合わせパターンにしたがって合成して合成画像を生成する合成ステップと、 前記撮影画像および前記合成画像を選択肢として前記利用者に編集対象画像を選択させる第1の選択ステップと、 選択された前記編集対象画像に所定の編集処理を施して編集済み画像を生成する編集ステップと、 前記編集済み画像を所定のシール紙に印刷させる印刷制御ステップと を含む処理を写真シール作成装置のコンピュータに実行させるプログラム。」とするものである。 (3)本件補正は、要するに、次のア及びイの補正からなるものであるといえる。 ア 「組み合わせパターンにライブビュー画像を組み合わせた状態で利用者に提示」する「組み合わせパターン」を「撮影手段によって撮像された生成済みの複数の撮影画像が合成された」ものであるとする補正 イ 「複数の前記撮影画像を前記組み合わせパターンにしたがって合成して合成画像を生成する」における「複数の前記撮影画像」を「前記撮影手段によって撮像された生成済みの複数の前記撮影画像と前記ライブビュー画像に基づいて撮影された撮影画像と」であるとする補正 2 新規事項の追加について (1)上記1(3)アの補正に係る本件補正は、組み合わせパターンにライブビュー画像を組み合わせた状態で利用者に提示する又は提示された「組み合わせパターン」が「撮影手段によって撮像された生成済みの複数の撮影画像が合成された」ものであるとするものである。 しかしながら、「撮影手段によって撮像された生成済みの複数の撮影画像が合成された組み合わせパターンにライブビュー画像を組み合わせた状態で利用者に提示する」との事項は、本願の願書に最初に添付された特許請求の範囲、明細書又は図面(以下「当初明細書」という。)に記載されていない。 (2)当初明細書には、次のアないしウの記載がある。 ア 「【0090】 また、ディスプレイ123は、シャッタータイミングに先立ち、カメラ51によって取得される被写体の動画像を、背景または前景となる合成用画像が合成された状態で表示する(ライブビュー表示を行う)。ディスプレイ123に表示されたライブビュー表示を見ることにより利用者は、自身の写り具合を確認することができる。また、ディスプレイ123は、撮影結果として、カメラ51により撮影された静止画像に合成用画像を合成した合成静止画像を表示する。」 イ 「【0164】 ステップS2において、撮影処理部202は、撮影部111の各部を制御し、撮影空間32内において行われる、写真シール作成ゲームの撮影作業に関する処理であるライブビュー撮影処理を実行する。ライブビュー撮影処理では、利用者を被写体とする動画像に合成用画像が合成された状態でタッチパネルモニタ52に常時表示される。したがって、利用者はタッチパネルモニタ52の画像を見ながら、自身の写り具合を確認することができる。なお、ライブビュー撮影処理については、図14を参照して後述する。」 ウ 「【0170】 次に、上述した写真シール作成ゲームの一連の処理におけるステップS2のライブビュー撮影処理について、図14を参照して詳述する。 【0171】 ステップS101において、撮影処理部202の操作入力処理部211は、タッチパネルモニタ52を用いて、例えば図15Aに示すような撮影コース選択画面230を表示させ、利用者に撮影コースの選択を促す。 【0172】 ここで、こだわりコースが選択された場合、従来と同様に、撮影回数と同じ数の撮影画像が得られ、その中から複数の編集対象画像を選択することになる。 【0173】 一方、組み合わせ画像コースが選択された場合、撮影回数よりも多い数の画像が得られ、その中から複数の編集対象画像を選択することになる。以下、組み合わせ画像コースが選択された後の第1の動作例について説明を継続する。 【0174】 ステップS102において、撮影処理部202の管理部214は、ライブビュー撮影処理の経過時間tの計時を開始する。 【0175】 ステップS103において、操作入力処理部211は、タッチパネルモニタ52を用いて、例えば図15Bに示すような撮影イメージ選択画面231(撮影イメージ選択画面の第1の表示例)を表示させ、利用者に組み合わせパターンの選択を促す。 【0176】 ここで、組み合わせパターンとは、X回の撮影により得られるX枚の被写体静止画像を組み合わせて1枚の合成静止画像を生成する際の、複数の被写体静止画像の配置を示すものである。なお、組み合わせパターンに前景および背景が含まれていてもよい。 【0177】 同図Bには、6枚の撮影画像P1乃至P6を組み合わせて1枚の合成静止画像を生成する際の、2種類の組み合わせパターンが表示されており、左側の組み合わせパターンが利用者によって選択された状態を示している。なお、選択肢の数は2種類に限定されるものではない。 【0178】 ステップS104において、管理部214は、カメラ51を制御して、被写体の動画像(被写体動画像)の取得を開始させる。 【0179】 ステップS105において、撮影処理部202の合成処理部212は、被写体動画像を組み合わせパターン上の所定の位置(具体的には、1回目の撮影時にはP1の位置、2回目の撮影時にはP2の位置など)に合成する。 【0180】 さらに、ステップS105において、撮影処理部202の表示制御部213は、タッチパネルモニタ52を用いて、例えば図16Aに示すようなライブビュー画面232を表示させる。具体的には、ステップS104で取得が開始された被写体動画像と、当該被写体動画像が組み合わせパターンに合成された合成動画像とを含むライブビュー画面232を表示する。このライブビュー画面232を見ることによって利用者は、自身の写り具合と、組み合わせパターンにおける配置を確認することができる。 【0181】 ステップS106においては、管理部214は、シャッタータイミングまでのカウントダウン(例えば、初期値が3秒)を開始するとともに、タッチパネルモニタ52に、例えば「3,2,1,0」などとシャッタータイミングまでの残り秒数を示すカウントダウンインジケータをライブビュー画面232に重畳して表示させ、さらに、スピーカ55からもカウントダウンの音声を出力させて利用者にシャッタータイミングを通知し、カメラ51を制御してシャッタータイミングに同期して撮影を実行させる。これにより、カメラ51からは被写体静止画像が出力されて保存される。 【0182】 また、合成処理部212では、被写体静止画像が組み合わせパターン上の所定の位置に合成されて合成静止画像が生成される。なお、2回目以降の撮影においては、1回目の撮影で生成された合成生成画像に、2回目の被写体静止画像が組み合わされて合成静止画像が生成される。 【0183】 ステップS107において、表示制御部213は、タッチパネルモニタ52を用いて、例えば図16Bに示すような撮影結果画面233、または図16Cに示すような撮影結果画面234を表示させる。なお、図16Cに示す撮影結果画面234のように、合成静止画像を被写体静止画像と同じサイズで表示することにより、利用者による合成静止画像の確認が容易となる。 【0184】 ステップS108において、管理部214は、撮影回数が所定数X(例えば、6回)に到達したか否かを判定する。そして、撮影回数が所定数Xに到達していないと判定された場合、処理はステップS105に戻されて、それ以降が繰り返される。その後、ステップS108において、撮影回数が所定数Xに到達したと判定された場合、処理はステップS109に進められる。」 (3)上記(2)の記載から、次のアないしカのことが把握できる。 ア カメラによって取得される被写体の動画像を、背景または前景となる合成用画像が合成された状態で表示するライブビュー表示すること。 イ 利用者を被写体とする動画像に合成用画像が合成された状態でタッチパネルモニタに常時ライブビュー表示すること。 ウ 被写体動画像を組み合わせパターン上の所定の位置(具体的には、1回目の撮影時にはP1の位置、2回目の撮影時にはP2の位置など)に合成し、タッチパネルモニタを用いて合成された合成動画像を表示し、組み合わせパターンにおける配置を確認できるようにすること。 エ シャッタータイミングに同期して撮影を実行させ、被写体静止画像が出力されて保存され、被写体静止画像が組み合わせパターン上の所定の位置に合成されて合成静止画像が生成され、2回目以降の撮影においては、1回目の撮影で生成された合成生成画像に、2回目の被写体静止画像が組み合わされて合成静止画像が生成され、タッチパネルモニタを用いて、合成静止画像を被写体静止画像と同じサイズで表示すること。 オ 撮影回数が所定数Xに到達していないと、動画像の表示(ライブビュー表示)と、撮影実行後の静止画像の表示とが繰り返されること。 カ 合成用画像とは、背景または前景となるものであり、組み合わせパターンとは、X回の撮影により得られるX枚の被写体静止画像を組み合わせて1枚の合成静止画像を生成する際の、複数の被写体静止画像の配置を示すもので、前景および背景が含まれていてもよいものであって、いずれも、撮影手段によって撮像された生成済みの撮影画像ではないこと。 (4)上記(3)からみて、「撮影手段によって撮像された生成済みの複数の撮影画像が合成された組み合わせパターンを利用者に提示する」こと(上記(3)エ)、及び、「組み合わせパターンにライブビュー画像を組み合わせた状態で利用者に提示する」ことは、いずれも、当初明細書の記載から把握できる事項であるが、当初明細書の記載において、ライブビュー画像を組み合わせた状態で利用者に提示される「組み合わせパターン」や「合成用画像」は、「撮影手段によって撮像された生成済みの撮影画像」ではないから、「撮影手段によって撮像された生成済みの複数の撮影画像が合成された組み合わせパターンにライブビュー画像を組み合わせた状態で利用者に提示する」との事項を追加する補正は、当初明細書のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入しないものでない。 したがって、「撮影手段によって撮像された生成済みの複数の撮影画像が合成された組み合わせパターンにライブビュー画像を組み合わせた状態で利用者に提示する」との事項を追加する補正を含む本件補正は、当初明細書のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入しないものでないので、当初明細書に記載した事項の範囲内でなされたものではない。 (5)本件補正は、以上のとおり、当初明細書に記載した事項の範囲内でなされたものではないので、特許法17条の2第3項に規定する要件を満たしていない。 3 小括 本件補正は、上記2のとおり、特許法第17条の2第3項の規定に違反するものであるから、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。 第3 本願発明について 1 本願発明 本件補正は上記「第2」のとおり却下されたので、本願の請求項1ないし4に係る発明は、平成24年5月22日付けで補正された特許請求の範囲の請求項1ないし4に記載された事項によって特定されるものであるところ、請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、平成24年5月22日付けで補正された明細書、特許請求の範囲及び図面の記載からみて、上記「第2〔理由〕1(2)」に本件補正前の請求項1として記載したとおりのものである。 2 引用例 原査定の拒絶の理由に引用された「本願の出願前に頒布された刊行物である特開2004-170829号公報(以下「引用例」という。)」には、次の事項が図とともに記載されている。 (1)「【0027】 【発明の実施の形態】 この発明の一実施形態を以下図面と共に説明する。 まず、図1に示す写真シール作成機1の概観斜視図、図2に示す写真シール作成機1の平面図(一部断面図)、及び図3に示す筐体9の一部断面図と共に、写真シール作成機1の構成について説明する。 【0028】 写真シール作成機1は、ボックス状の枠体5で全体を囲繞し、該枠体5の正面及び側面の正面側には被覆カーテン3,3,3を、側面の上方中央部には丈の短い出入口カーテン4,4(右側面図示省略)を、それぞれ上辺から吊るして備えている。 【0029】 前記枠体5の幅方向中央部には、上端の前後にカーテンレール6を架設し、該カーテンレール6に仕切りカーテン7を吊るして、枠体5内を撮像空間A及び撮像空間Bに分割している。 【0030】 前記枠体5の正面奥側には筐体9を備えており、撮像空間A及び撮像空間Bの正面手前側には図2の平面図に示すように平面視コの字型に背景カーテン2,2を吊るしている。 【0031】 該背景カーテン2は、色若しくは模様の異なる等幅のカーテン(面)を横方向に3つ連結して構成し、利用者が幅寄せ等を行うことで、背景に使用する色若しくは模様を撮像空間A,Bのそれぞれで個別に選択できるように構成している。 【0032】 前記筐体9には、正面の鉛直方向中央部に前下がりの傾斜面を形成して該傾斜面にモニタ14(表示手段)を備える。該モニタ14には、タッチパネル15aを重ねて設け、その左右に備えたタッチペン15b,15bと共に入力装置15を構成し、タッチペン15bでタッチパネル15aをタッチさせて、利用者の入力を許容する。 【0033】 前記傾斜面の上方の鉛直面には、左右(幅方向)にデジタルカメラ12A,12Bを配設し、各デジタルカメラ12(12A,12B)の左右にストロボ発光する照明装置13A,13A,13B,13Bを配設する。 【0034】 なお、該照明装置13(13A,13B)は、ボックス状に形成して正面を白色半透明の拡散板で形成し、他の面を白色塗装した反射板で形成する。これにより、ストロボ発光体で奥側に向かって照射する照射光を前記反射板で反射し、その反射光を拡散板で拡散して主に被写体を略均一に照明する。 【0035】 また、デジタルカメラ12Aは、照明装置13Aの照明光を利用して撮像空間A内の被写体を撮像し、デジタルカメラ12Bは、照明装置13Bの照明光を利用して撮像空間B内の被写体を撮像する。 【0036】 加えて、前記仕切りカーテン7は、撮像時には撮像空間A及び撮像空間Bを完全に分割するように閉めて、それぞれの撮像空間の撮像条件(照明光や反射光による照明条件、又は/及び外界が写らない背景条件)を整え、編集時には仕切りカーテン7を開けて、別々に撮像した利用者が合成画像を前記入力装置15で一緒に落書き等の画像編集を行うことができる。 【0037】 前記傾斜面の下方の鉛直面には、硬貨の投入を許容する貨幣投入口16aを備え、筐体9の右側面下部には、作成した写真シールシートを排出する写真シール排出口18aを備える。 【0038】 該写真シール排出口18aの内部には、図3の部分拡大図(一部断面図)に示すように、パーソナルコンピュータで構成した制御装置11とその上方に設置したプリンタ18を備える。 【0039】 該プリンタ18は、インクジェットプリンタで構成し、シール紙ユニット30のシール紙32に写真印刷等の印刷を行う。また、シール紙ユニット30をセット可能(着脱可能)に形成しており、背面側にIDタグリーダ/ライタ17を備える。 【0040】 前記シール紙ユニット30は、ロール状のシール紙32とその側面に備えたIDタグ31で構成し、該IDタグ31は前記IDタグリーダ/ライタ17によるデータの読書きを許容する。なお、前記プリンタ18でシール紙32に画像が印刷されて作成された写真シールシート33は、前記写真シール排出口18aから排出する。 【0041】 以上の構成により、複数人の利用者が撮像空間A及びBで別々に撮像し、各撮像画像を合成した合成画像の編集を入力装置15で一緒に行うことが出来る。撮像の際に各利用者は、背景カーテン2の色若しくは模様の異なる面のうち使用する面をそれぞれが自由に選択でき、好みの背景で撮像することができる。」 (2)「【0042】 次に、図4に示すブロック図と共に、写真シール作成機1の制御回路の構成について説明する。 制御装置11は、CPU,ROM,及びRAMを内蔵して各装置の制御を実行し、該制御装置11に接続して以下の各装置を備える。なお、制御装置11は、記憶装置19に格納したプログラムに従って各処理を実行し、利用者に選択されたコラージュパターン(後述)に基づく合成処理も実行する。 【0043】 デジタルカメラ12A,12Bは、制御装置11からのシャッタ信号を受けて撮像を実行し、該撮像による撮像画像を静止画データで、また撮像前のプレビュー画像を動画データで、それぞれ画像データとして制御装置11に送信する。 【0044】 照明装置13A,13Bは、制御装置11からの照明制御信号に従ってストロボ発光を実行し、撮像時に被写体を略均一に照明する。なお、該照明装置13は、ストロボ発光するストロボ照明装置に加えて蛍光灯照明装置又は/及び白熱灯照明装置を追加しても良く、またストロボ照明装置に替えて蛍光灯照明装置又は/及び白熱灯照明装置を備えても良い。 【0045】 モニタ14は、制御装置11からのRGB信号に従って、プレビュー、撮像画像、画像編集時のペンツールやスタンプルール等のアイテム画像等、必要な画像を表示する。 【0046】 入力装置15は、前述のタッチパネル15a(図1)とタッチペン15bで構成し、利用者にタッチペン15bでタッチされた座標を入力信号として制御装置11に送信する。 【0047】 貨幣処理装置16は、前述の貨幣投入口16a(図1)の内部に位置して設けており、該貨幣投入口16aから投入された硬貨等のコインの真偽判別及び金種判別を実行する。該真偽判別及び金種判別が正であれば、プレイを開始する起動信号を制御装置11に送信する。 【0048】 IDタグリーダ/ライタ17は、制御装置11の更新信号に従ってシール紙ユニット30のIDタグ31に印刷残回数などの設定データを記憶させる。また、読出信号として前記IDタグ31に記憶のIDナンバーや印刷残回数などの設定データを制御装置11に送信し、シール紙ユニット30の適否判断を可能にする。 【0049】 プリンタ18は、制御装置11からプリント画像データを受信し、該プリント画像をシール紙32に印刷して作成した写真シールシート33を排出する。 記憶装置19は、照明光度やプレイ料金等の各種設定データ、必要なプログラム、及びコラージュパターン(後述)データを記憶する。 【0050】 以上の回路構成により、2つのデジタルカメラ12A,12Bで撮像したそれぞれの撮像画像を合成パターンに基づいて1つの画像に合成し、プリンタ18で印刷した写真シールシート33を排出することができる。」 (3)「【0051】 次に、図5、図7に示す処理フロー図と共に、図6、図8に示す画面イメージ図を参照して、写真シール作成機1の制御装置11の動作について説明する。 まず仕切りカーテン7を開いた状態にし、利用者によって貨幣投入口16aにコインが投入されると(ステップn1)、制御装置11は図6の(1)に示す撮像モード選択画面をモニタ14に表示し、利用者にコラージュグループ、若しくは通常撮像を選択させる(ステップn2)。 【0052】 ここでコラージュグループとは、図6の(2)に示すように、撮像画像の合成パターンであるコラージュパターン41の集合体を指す。該コラージュグループ40は、合成する各撮像画像が均等サイズとなる均等配置、合成する各撮像画像のサイズが一方は大で他方は小となる大小配置、及び、3以上の撮像画像を様々に配置するバリエーション配置等に、コラージュパターン41をグループ分けしている。 【0053】 また、コラージュパターン41とは、合成する各撮像画像の配置パターンを指し、例えば撮像空間Aの撮像画像を中央に大きく表示し、該撮像画像の円周上に小さく表示する撮像空間Bの撮像画像を等間隔に配置するパターン(図6の(2)の右上のコラージュパターンを参照)等が存在する。 【0054】 さらにコラージュパターンには、利用者を全身撮像するか上半身撮像するかを設定しており、コラージュパターンの選択に従ってデジタルカメラ12のズーム率(光学ズーム又は/及びデジタルズーム)を確定する。 【0055】 また、コインの投入口である貨幣投入口16aは1箇所であり、前記ステップn1から後述のステップn11までの処理を、単体の写真シール作成機1で1プレイとして実行する。 【0056】 前記ステップ2でコラージュグループが選択された場合には(ステップn3)、制御装置11は撮像空間A及び撮像空間Bのそれぞれで撮像処理を実行する(ステップn4,n5)。ここで、制御装置11のマルチタスク機能により、撮像空間A及び撮像空間Bでの各撮像処理はそれぞれ独立して実行する。 【0057】 該撮像処理について詳述すると、図7に示すように、制御装置11はモニタ14に図8に示すコラージュパターン選択画面を表示する(ステップs1)。なお、図8はバリエーション配置のコラージュグループが選択された場合を示す。 【0058】 また、このコラージュパターンの選択は、仕切りカーテン7を閉めた状態で実行するため、横方向中央に画面分割線43で分割し、撮像空間A,Bそれぞれでそれぞれのタッチペン15bで選択できるように構成している。 【0059】 また仕切りカーテン7を閉めるためには、ステップs1の手前で「仕切りカーテンを閉めてください」といったメッセージを、モニタ14に表示又は音声でアナウンス(スピーカ等の適宜発音手段を利用)することが望ましい。 【0060】 このようにして、利用者によって入力装置15で、条件指定の選択としてコラージュパターンが選択(例えば各2つ選択)されて決定ボタンがタッチされると、制御装置11は利用するコラージュパターンを選択されたものに確定(決定)し、図9の(3)に示すようにプレビュー画像をリアルタイムに動画表示する。(ステップs2)。このとき、背景カーテン2(図1)を撮像に利用する面にセットする準備や、ポーズをとってシャッタボタン(撮像ボタン)を押すことを、モニタ14または音声で案内する。 【0061】 なお、前記プレビュー画像では、隣の撮像空間での撮像画像は表示せず、自分だけがコラージュパターン41の部分枠42内に表示されてプレビューできるように構成する。 【0062】 これにより、撮像が終了するまで仕上がりが予測できない面白さを演出する。なお、この実施形態では、前記部分枠42を枠として線画で表示しているが、枠線自体は表示せずに部分枠42内の被写体(利用者)のみを表示しても良い。 【0063】 画面上の配置入替ボタンがタッチされた場合は、撮像空間Aで撮像する利用者Aと撮像空間Bで撮像する利用者Bの配置関係を図中の(4)に示すように逆転して表示する。これにより、コラージュパターン選択時での選択数を減少して選択時間削減を図り、また配置関係をわかりやすく表示して最終決定できるようにしている。 【0064】 このようにしてプレビュー確認を行い、利用者によって画面上の撮像ボタン(シャッタボタン)が押下されると(ステップs3)、制御装置11はモニタ14の表示又は音声によるカウントダウンを開始し、カウントダウンのタイミングに合わせて照明装置13をストロボ発光させると共にデジタルカメラ12での静止画撮像を実行する(ステップs4)。 【0065】 制御装置11は撮像画像を確認させる確認画面をモニタ14に表示して利用者に撮像画像を確認させる(ステップs5)。 前記確認画面で利用者にOKボタンが選択されれば規定枚数(例えば2枚)撮像したか否かをチェックして規定枚数撮像までステップs2から繰り返し、規定枚数撮像すれば撮像処理を終了する(ステップs6)。 【0066】 図5の処理フロー図に戻り、制御装置11は、前記撮像処理で取得した各撮像画像を、図7のステップs1で選択されたコラージュパターンに従ってクロマキー合成する合成処理を実行する(ステップn6)。なお、クロマキー合成とは、背景色(例えば白色や青色)の部分を切り抜き、被写体である利用者を残して合成する処理を指す。 【0067】 制御装置11は、撮像空間A及びBの両撮像処理が終了するのを待ち、両方終了すれば利用者に仕切りカーテン7を開けることをモニタ14のメッセージ表示又は音声でアナウンスして、編集処理を実行する(ステップn7)。 【0068】 該編集処理では、縁どりペンやらめペン等のペンツール、及び、さくらんぼや犬等の画像をスタンプのように書き込めるスタンプツール等の落書きツールを表示し、利用者にタッチペン15bで選択された撮像画像に対して落書きツールを利用した落書き編集等の編集操作を許容する。 【0069】 また編集処理として、前記クロマキー合成を利用して利用者の背景に書き込みを行う背景描画も許容する。この背景描画は、利用者A及び利用者Bの背景に描画する、利用者Aの背景に描画する(すなわち利用者Aのみマスクをかけて利用者Bの上には書き込める)、及び利用者Bの背景に描画する(すなわち利用者Bのみマスクをかけて利用者Aの上には書き込める)といった描画方法を利用者が任意に選択できるように構成する。 【0070】 前述のステップn3でコラージュグループが選択されずに通常撮像が選択された場合には、撮像空間Aのみを利用して撮像処理を実行する(ステップn8)。該撮像処理では、図7と共に説明した撮像処理からステップs1のコラージュパターン選択処理を削除し、ステップs2のプレビュー表示(ライブビュー表示)でデジタルカメラ12からの映像で動画表示をそのまま表示するよう変更し、他の処理は同一の処理とした通常撮像処理を実行する。 【0071】 また、該通常撮像処理では、撮像空間Bは不使用であることを明確にするため、撮像空間B側の照明光度を落とすと共に、モニタ14は撮像空間A側の半面のみで表示する。 【0072】 該通常撮像処理が終了すると、制御装置11は編集処理を実行する(ステップn9)。該編集処理は、前記ステップn7で説明した編集操作のうち、背景描画に関して被写体である利用者全員の背景を描画する機能に限定されるだけで(すなわち複数の利用者で各々にマスクをかけて描画することはできない)、後は同一の編集を許容する。 【0073】 前記編集処理(ステップn7又はステップn9)が終了すると、制御装置11は、印刷画像選択処理を実行する(ステップn10)。該印刷画像選択処理では、前記編集処理で編集して作成された編集画像を、どのように分割して印刷するかを選択させる。例えば、均等16分割や、大小取り混ぜた混合8分割等、予め設定された分割数の中から利用者の好みの分割数を選択させる。 【0074】 前記印刷画像選択処理が終了すると、制御装置11は印刷処理を実行し、編集画像を分割数に従って図3に示したプリンタ18でシール紙32に印刷して、図10の平面図に示す写真シールシート33を写真シール排出口18aから排出する(ステップn11)。 【0075】 以上の動作により、利用者は複数人で別々の撮像空間で背景に使用するカーテン2の面を自由に選択し、それぞれの好みの撮像条件で撮像することができる。このように別々に撮像した撮像画像をコラージュパターンに従って配置合成した合成画像を取得し、該合成画像に一緒に落書き等の編集処理を行い、作成した編集画像を印刷した写真シールシート33を取得することができる。このように自動作成した写真シールシート33から、利用者は写真シール34を剥離し、ノートや手帳、筆箱といった持ち物等に自由に貼付することができる。 【0076】 複数の利用者が別々の撮像空間に分かれて撮像することで、合成処理のバリエーションが増加すると共にクロマキー合成の精度も向上し、アミューズメント性の豊富な編集処理を提供することが可能となる。 【0077】 特に撮像空間の数に対応した利用者、すなわちこの実施形態では2人の利用者がコラージュパターンを利用する場合は、一人ずつの撮像空間を確保することで理想的な照明条件を提供することができる。従って、複数人で撮像する場合のように、他者の影による影響等を受けず、美しく撮像した上で合成することが可能となる。 【0078】 また、撮像空間を1つしか備えない従来の写真シール作成機1と比較して、デジタルカメラ12及び照明装置13の追加程度で済むため、コスト増を抑制して提供することができる。 【0079】 なお、前述した図7のステップs2のプレビュー表示では、相手側(隣側)の撮像空間で撮像中(プレビュー表示中)又は撮像済みの場合に、相手側の映像も動画表示し、利用者同士で協力して合成画像を作成できるように構成しても良い。この場合は、コラージュパターンを利用した遊びのある合成画像を協力して仕上げる楽しさが提供できる。」 (4)上記(1)ないし(3)から、引用例には次の発明が記載されているものと認められる。 「ボックス状の枠体5で全体を囲繞し、該枠体5の幅方向中央部の上端の前後にカーテンレール6を架設し、該カーテンレール6に仕切りカーテン7を吊るして、該枠体5内を撮像空間A及び撮像空間Bに分割し、該枠体5の正面奥側には筐体9を備え、該筐体9には、正面の鉛直方向中央部に前下がりの傾斜面を形成して該傾斜面にモニタ14を備え、該モニタ14には、タッチパネル15aを重ねて設け、その左右に備えたタッチペン15b,15bと共に入力装置15を構成し、タッチペン15bでタッチパネル15aをタッチさせて、利用者の入力を許容し、前記傾斜面の上方の鉛直面には、左右(幅方向)にデジタルカメラ12A,12Bを配設し、前記傾斜面の下方の鉛直面に、硬貨の投入を許容する貨幣投入口16aを備え、前記筐体9の右側面下部に、作成した写真シールシートを排出する写真シール排出口18aを備え、該写真シール排出口18aの内部には、パーソナルコンピュータで構成した制御装置11とその上方に設置したプリンタ18を備え、 デジタルカメラ12A,12Bは、制御装置11からのシャッタ信号を受けて撮像を実行し、該撮像による撮像画像を静止画データで、また撮像前のプレビュー画像を動画データで、それぞれ画像データとして制御装置11に送信し、 前記モニタ14は、制御装置11からのRGB信号に従って、プレビュー、撮像画像、画像編集時のペンツールやスタンプルール等のアイテム画像等、必要な画像を表示し、 前記制御装置11は、利用者に選択されたコラージュパターンに基づく合成処理も実行し、 複数人の利用者が撮像空間A及びBで別々に撮像し、各撮像画像を合成した合成画像の編集を入力装置15で一緒に行うことが出来る、写真シール作成機であって、 前記制御装置11は、撮像モード選択画面をモニタ14に表示し、合成する各撮像画像の配置パターンであり、例えば撮像空間Aの撮像画像を中央に大きく表示し、該撮像画像の円周上に小さく表示する撮像空間Bの撮像画像を等間隔に配置するパターンであるコラージュパターン41の集合体を指すコラージュグループ、若しくは通常撮像を、利用者に選択させ、 利用者によって入力装置15で、条件指定の選択としてコラージュパターンが選択されて決定ボタンがタッチされると、前記制御装置11は、利用するコラージュパターンを選択されたものに確定し、プレビュー画像をコラージュパターン41の部分枠42内にリアルタイムに動画表示し、 プレビュー確認を行い、利用者によって画面上の撮像ボタン(シャッタボタン)が押下されると、前記制御装置11は、カウントダウンを開始し、カウントダウンのタイミングに合わせて前記デジタルカメラ12での静止画撮像を実行し、取得した各撮像画像を、選択されたコラージュパターンに従って背景色の部分を切り抜き被写体である利用者を残すクロマキー合成をする合成処理を実行し、 前記制御装置11は、撮像空間の両撮像処理が終了するのを待ち、別々に撮像した撮像画像をコラージュパターンに従って配置合成した合成画像を取得し、利用者にタッチペン15bで選択された撮像画像に対して落書きツールを利用した落書き編集等の編集操作を許容して、該合成画像に落書き等の編集処理を行い、該編集処理を終了すると、制御装置11は、作成された編集画像を、どのように分割して印刷するかを利用者に選択させて印刷処理を実行し、編集画像を分割数に従ってプリンタ18でシール紙32に印刷して、写真シールシート33を写真シール排出口18aから排出する、写真シール作成機。」(以下「引用発明」という。) 3 対比・判断 (1)引用発明の「利用者」、「プレビュー画像」、「撮像画像」、「デジタルカメラ12A,12B」、「コラージュパターン」、「モニタ14」、「合成画像」、「『合成処理も実行』する『制御装置11』」、「選択された撮像画像」、「『タッチパネル15aを重ねて設け』た『モニタ14』と共に『入力装置15を構成』する『タッチペン15b,15b』」、「落書き等の編集処理」、「編集画像」、「『落書きツールを利用した落書き編集等の編集操作』を許容して、『落書き等の編集処理』を行う『制御装置11』」、「シール紙32」、「プリンタ18」、「画面上の撮像ボタン(シャッタボタン)が押下」及び「写真シール作成機」は、それぞれ、本願発明の「利用者」、「ライブビュー画像」、「撮影画像」、「撮影手段」、「組み合わせパターン」、「提示手段」、「合成画像」、「合成手段」、「編集対象画像」、「第1の選択手段」、「所定の編集処理」、「編集済み画像」、「編集手段」、「所定のシール紙」、「印刷手段」、「操作」及び「写真シール作成装置」に相当する。 (2)引用発明において、「撮影手段(デジタルカメラ12A,12B)」は、制御装置11からのシャッタ信号を受けて撮像を実行し、該撮像による「撮影画像(撮像画像)」を静止画データで、また撮像前の「ライブビュー画像(プレビュー画像)」を動画データで、それぞれ画像データとして制御装置11に送信するものであり、撮像は、複数人の「利用者」が撮像空間A及びBで別々に行うようになっているから、引用発明の「撮影手段」と本願発明の「撮影手段」とは「利用者のライブビュー画像を取得するとともに、前記利用者を撮影して撮影画像を生成する」点で一致する。 (3)引用発明において、「提示手段(モニタ14)」は、制御装置11からのRGB信号に従って、「ライブビュー画像(プレビュー)」、「撮影画像(撮像画像)」、画像編集時のペンツールやスタンプルール等のアイテム画像等、必要な画像を表示し、「合成手段(制御装置11)」は、「利用者」に選択された「組み合わせパターン(コラージュパターン)」に基づく合成処理も実行し、前記制御装置11は、撮像モード選択画面を「提示手段」に表示し、合成する各「撮影画像」の配置パターンであり、例えば撮像空間Aの「撮影画像」を中央に大きく表示し、該「撮影画像」の円周上に小さく表示する撮像空間Bの「撮影画像」を等間隔に配置するパターンである「組み合わせパターン」の集合体を指すコラージュグループ、若しくは通常撮像を、「利用者」に選択させ、「利用者」によって入力装置15で、条件指定の選択として「組み合わせパターン」が選択されて決定ボタンがタッチされると、前記制御装置11は、利用する「組み合わせパターン」を選択されたものに確定し、「ライブビュー画像」を「組み合わせパターン」の部分枠42内にリアルタイムに動画表示するところ、この表示が「提示手段」になされることが当業者に自明であり、また、「ライブビュー画像」確認を行い、「利用者」によって「操作(画面上の撮像ボタン(シャッタボタン)が押下)」されると、前記「合成手段」は、カウントダウンを開始し、カウントダウンのタイミングに合わせて前記「撮影手段(デジタルカメラ12)」での静止画撮像を実行し、取得した各「撮影画像」を、選択された「組み合わせパターン」に従って背景色の部分を切り抜き被写体である「利用者」を残すクロマキー合成をする合成処理を実行し、前記「編集手段(制御装置11)」は、撮像空間の両撮像処理が終了するのを待ち、別々に撮像した「撮影画像」を「組み合わせパターン」に従って配置合成した「合成画像」を取得し、「利用者」に「第1の選択手段(タッチペン15b)」で選択された「撮影画像」に対して落書きツールを利用した落書き編集等の編集操作を許容して、該「合成画像」に「所定の編集処理(落書き等の編集処理)」を行い、該「編集処理」を終了すると、制御装置11は、作成された「編集済み画像(編集画像)」を、どのように分割して印刷するかを「利用者」に選択させて印刷処理を実行し、「編集済み画像」を分割数に従って「印刷手段(プリンタ18)」で「所定のシール紙(シール紙32)」に印刷して、写真シールシート33を写真シール排出口18aから排出するから、引用発明の「提示手段」と本願発明の「提示手段」とは「組み合わせパターンに前記ライブビュー画像を組み合わせた状態で利用者に提示する」点で一致し、引用発明の「合成手段」と本願発明の「合成手段」とは「複数の前記撮影画像を前記組み合わせパターンにしたがって合成して合成画像を生成する」点で一致し、引用発明の「第1の選択手段」と本願発明の「第1の選択手段」とは「前記撮影画像および前記合成画像を選択肢として前記利用者に編集対象画像を選択させる」点で一致し、引用発明の「編集手段」と本願発明の「編集手段」とは「選択された前記編集対象画像に所定の編集処理を施して編集済み画像を生成する」点で一致し、引用発明の「印刷手段」と本願発明の「印刷手段」とは「前記編集済み画像を所定のシール紙に印刷する」点で一致し、引用発明の「撮影手段」と本願発明の「撮影手段」とは「前記提示手段により提示された、組み合わせパターンに前記ライブビュー画像を組み合わせた状態を確認した前記利用者からの操作に応じて前記利用者を撮影して前記撮影画像を生成する」点でも一致する。 (4)上記(1)ないし(3)から、本願発明と引用発明とは、 「利用者のライブビュー画像を取得するとともに、前記利用者を撮影して撮影画像を生成する撮影手段と、 組み合わせパターンに前記ライブビュー画像を組み合わせた状態で利用者に提示する提示手段と、 複数の前記撮影画像を前記組み合わせパターンにしたがって合成して合成画像を生成する合成手段と、 前記撮影画像および前記合成画像を選択肢として前記利用者に編集対象画像を選択させる第1の選択手段と、 選択された前記編集対象画像に所定の編集処理を施して編集済み画像を生成する編集手段と、 前記編集済み画像を所定のシール紙に印刷する印刷手段と を備え、 前記撮影手段は、前記提示手段により提示された、組み合わせパターンに前記ライブビュー画像を組み合わせた状態を確認した前記利用者からの操作に応じて前記利用者を撮影して前記撮影画像を生成する 写真シール作成装置。」である点で一致し、相違するところはない。 したがって、本願発明は引用発明と同一の発明であり、引用例に記載された発明である。 なお、原査定の拒絶の理由は、特許法第29条第1項第3号に該当するというものではないが、審判請求人は、審判請求書において、本願発明と上記引用例とを対比し、容易性のみならず、同一性についても検討していることは明らかである。 4 むすび 本願発明は、以上のとおり、刊行物に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し特許を受けることができない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2013-10-16 |
結審通知日 | 2013-10-17 |
審決日 | 2013-10-29 |
出願番号 | 特願2009-199355(P2009-199355) |
審決分類 |
P
1
8・
113-
Z
(G03B)
P 1 8・ 561- Z (G03B) |
最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 登丸 久寿 |
特許庁審判長 |
小牧 修 |
特許庁審判官 |
清水 康司 鉄 豊郎 |
発明の名称 | 写真シール作成装置、写真シール作成方法、およびプログラム |
代理人 | 稲本 義雄 |