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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 H04Q
管理番号 1282842
審判番号 不服2013-3639  
総通号数 170 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2014-02-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2013-02-26 
確定日 2013-12-13 
事件の表示 特願2008- 65608「キーテレホンシステム」拒絶査定不服審判事件〔平成21年10月 1日出願公開、特開2009-224962〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯・本願発明
本願は,平成20年3月14日に特許出願されたものであって,平成24年6月1日付けで拒絶の理由が通知され,同年8月6日に意見書が提出されるとともに手続補正がなされたが,同年11月26日付けで拒絶査定がなされ,これに対し,平成25年2月26日に拒絶査定に対する審判が請求されたものである。

本願の請求項1に係る発明(以下,「本願発明」という。)は,平成24年8月6日に提出された手続補正書により補正された請求項1に記載された以下のとおりのものと認められる。

(本願発明)
「 表示器と複数の機能ボタンとを備えたボタン電話機と,前記複数の機能ボタンのうちの少なくとも二つのボタンに仮想内線をそれぞれ割り付けて仮想内線ボタンとして機能させる主装置とを含むキーテレホンシステムにおいて,
前記主装置が,前記機能ボタンの他の一つに発信者情報表示モードへ切り換える機能を割り付ける発信者情報表示モード割付手段と,前記発信者情報表示モードのとき前記仮想内線ボタンが押し下げられたことを検出して当該押し下げられた仮想内線ボタンに割り付けられた仮想内線を介した着信の発信者情報を前記表示器に表示させる発信者情報表示手段とを備えることを特徴とするキーテレホンシステム。」


2.引用発明
A 原査定の拒絶理由に引用された特開2006-157749号公報(以下,「引用例1」という。)には「キーテレホンシステム」として,図面とともに以下の事項が記載されている。

イ.「【0001】
本発明はキーテレホンシステム,発着信呼数制御装置及びそれに用いる発着信呼数制御方法並びにそのプログラムに関し,特にキーテレホンシステムにおけるダイヤルイン回線の発着信呼数の制御方法に関する。」(3頁)

ロ.「【0025】
次に,本発明の実施例について図面を参照して説明する。図1は本発明の一実施例によるキーテレホンシステムの構成を示すブロック図である。図1において,本発明の一実施例によるキーテレホンシステムはキーテレホンシステム主装置(発着信呼数制御装置)1と,内線電話機2-1?2-nとから構成されている。
【0026】
キーテレホンシステム主装置1にはダイヤルイン回線301?30nが接続されており,外線インタフェース11と,内線インタフェース12と,呼制御回路13と,CPU(中央処理装置)14と,CPU14が実行するプログラム及び各種データを格納するメモリ15とから構成されている。
【0027】(略)
【0028】
また,この仮想内線を内線電話機2-1?2-nに関連付けることによって,関連付けられた内線電話機2-1?2-nを鳴動または呼び出すことができるものである。この仮想内線の設定はメモリ15に記憶され,CPU14によって認識処理される。
【0029】(略)
【0030】(略)
【0031】
内線電話機2には,送受話器21と,表示機22と,ダイヤルパッド23と,発信ボタン24と,仮想内線ボタンA1?A3,B1?B4,・・・,Z1?Z3と,未設定のファンクションボタンA4,Z4とを備えている。
【0032】
ファンクションボタンA1?A4,B1?B4,・・・,Z1?Z4は各種機能を割り付け,押下することで割り付けられた機能の設定/解除を行うことができる。また,各ファンクションボタンA1?A4,B1?B4,・・・,Z1?Z4には,対応したLED(Light Emitting Diode)(図示せず)があり,使用状態を表示することができる。本実施例では,ファンクションボタンA1?A3,B1?B4,・・・,Z1?Z3が仮想内線に割り付けられている。
【0033】
仮想内線ボタンA1?A3,B1?B4,・・・,Z1?Z3が割り付けられている状態にて,該当の仮想内線が使用中であれば,LEDが点灯して使用状態を表示することができる。・・・(略)・・・
【0034】
尚,図2においては,仮想内線ボタンA1?A3,B1?B4,・・・,Z1?Z3が割り付けられているが,実際に使用するのは,内線電話機2が所属するグループに対応した仮想内線ボタンだけである。尚,仮想内線ボタンA1?A3,B1?B4,・・・,Z1?Z3は必要に応じて割り当てる内容の登録,消去,変更を行うことができる。」(5頁ないし6頁)


上記摘記事項イ.及びロ.の記載及び図面並びにこの分野における技術常識を考慮すると,
a.上記摘記事項イ.によれば,引用例1記載のものは「キーテレホンシステム」に係るものである。
b.上記摘記事項ロ.及び,図1,2によれば,引用例1記載の「キーテレホンシステム」は,「表示機22」と「ファンクションボタンA1?A4,B1?B4,・・・,Z1?Z4」とを備えた「内線電話機」と,「キーテレホンシステム主装置(発着信呼数制御装置)1」とを有している。
c.上記摘記事項ロ.によれば,引用例1記載の「キーテレホンシステム」では,例えばAグループの内線電話機であれば,複数のファンクションボタンのうちのA1?A3に仮想内線が割り付けられ仮想内線ボタンとして機能しているが,このような割り付けを行っている主体については明記されていない。

したがって,摘記した引用例1の記載を総合すると,引用例1には以下のような発明(以下,「引用発明1」という。)が開示されているものと認められる。

(引用発明1)
「表示機と複数のファンクションボタンとを備えた内線電話機と,キーテレホンシステム主装置とを含み,前記複数のファンクションボタンのうちのA1?A3には仮想内線が割り付けられ,仮想内線ボタンとして機能しているキーテレホンシステム。」


B 原査定の拒絶理由に引用された特開平5-276238号公報(以下,「引用例2」という。)には「ボタン電話装置におけるISDN回線の発呼者側電話番号表示制御方式」として,図面とともに以下の事項が記載されている。

ハ.「【0001】
【産業上の利用分野】本発明は,ボタン電話装置に関し,特に,ISDNのS/T点インタフェースを収容し,網からの「呼設定」情報内の発番号をボタン電話機の文字表示器に表示する機能を有するボタン電話装置におけるISDNの発呼者側電話番号制御方式に関する。」(2頁1欄)

ニ.「【0003】
【発明が解決しようとする課題】上述した従来のボタン電話装置は,網から「呼設定」情報がきたときにボタン電話機の文字表示器に発番号を表示していたために,着信応答等により一度発番号表示が消えた後に,通話相手に折り返し電話をするときなど通話中に相手の番号を確認したいとき,長時間保留したとき,複数同時に保留したときなど,保留中に応答せずに相手を確認したいときなど,ボタン電話機使用者が相手の番号を知りたいときに発番号を表示できないという欠点がある。」(2頁1欄)

ホ.「【0008】図1を参照するに,本発明に係るボタン電話装置の一実施例は,文字表示器と発番号表示ボタンと外線ボタンとを備えたボタン電話機11?1n,ボタン電話機11?1nを収容するボタン電話機インタフェース31,ISDN回線21?2mを収容するISDNのS/T点インタフェース32,ボタン電話機11?1nとISDN回線21?2m,またはボタン電話機11?1n相互の通話路を形成する通話路スイッチ33,装置全体を制御する主制御部34,主制御部34のプログラムを格納するプログラム部35,プログラム部35に含まれる発番号制御プログラム部36,主制御部34のデータを格納するメモリ部37,メモリ部37に含まれる発番号メモリ部38から構成されている。」(2頁2欄)

ヘ.「【0011】まず,発番号データの格納と消去について説明する。網からISDN回線21?2mに「呼設定」情報がくると,この情報は,ISDNのS/T点インタフェース32で受信され,主制御部34に送られる。主制御部34は,「呼設定」情報内の発番号を,発番号メモリ部38の該ISDN回線のエリアに格納する。網からISDN回線21?2mに「切断」情報がくると,この情報は,ISDNのS/T点インタフェース32で受信され,主制御部34に送られる。主制御部34は,発番号メモリ部38内の該ISDN回線のエリアのデータを消去する。
【0012】次に,発番号の表示制御について説明する。ボタン電話機11?1nの発番号表示ボタン41を押す。ボタン電話機11?1nは,発番号表示ボタン41の押下を検出したら,この情報をボタン電話機インタフェース34を介して主制御部34に送る。主制御部34は,この情報により発番号表示制御プログラム36を起動し,「外線ボタン」押下情報を持つ。次に,外線ボタン42を押す。ボタン電話機11?1nは,外線ボタン42の押下を検出したら,この情報をボタン電話機インタフェース31を介して主制御部34に送る。主制御部34は,この情報からISDN回線を選択し,発番号メモリ部38の該ISDN回線のデータを読み出す。発番号が格納されていたときには,その発番号をボタン電話機インタフェース31を介してボタン電話機11?1nに送り,「発番号表示ボタン」押下情報を待つ。発番号が格納されていないときにはエラー処理を行い,発番号表示制御プログラム36を停止する。ボタン電話機11?1nは,文字表示器43を制御し,発番号を表示する。・・・」(2頁2欄ないし3頁3欄)

上記摘記事項ハ.ないしヘ.の記載及び図面並びにこの分野における技術常識を考慮すると,
d.上記摘記事項ハ.及びヘ.によれば,引用例2に記載のものは「ボタン電話機」と「主制御部」を有する「ボタン電話装置」に係るものということができる。
e.上記摘記事項ヘ.によれば,引用例2に記載の「ボタン電話装置」は,「ボタン電話機11?1nの発番号表示ボタン41を押」した後に,「外線ボタン42」を押下すると,当該外線に対応する回線の「発番号」を「ボタン電話機11?1n」の「文字表示器43」に表示するものである。

したがって,摘記した引用例2の記載を総合すると,引用例2には以下のような発明(以下,「引用発明2」という。)が開示されているものと認められる。

(引用発明2)
「ボタン電話機と主制御部を有するボタン電話装置であって,ボタン電話機の発番号表示ボタンを押した後に,外線ボタンを押下すると,当該外線に対応する回線の発番号をボタン電話機の文字表示器に表示するボタン電話装置。」


3.対比
本願発明と引用発明1とを対比すると,
引用発明1の「キーテレホンシステム」は,後述する点で相違はするものの,本願発明における「キーテレホンシステム」に相当する。そしてキーテレホンシステムとしての構成を勘案すれば,引用発明1の「表示機」「ファンクションボタン」及び「内線電話機」が,本願発明における「表示器」「機能ボタン」及び「ボタン電話機」にそれぞれ相当する。
本願発明における「主装置」は複数の機能ボタンのうちの少なくとも二つのボタンに仮想内線をそれぞれ割り付けて仮想内線ボタンとして機能させている。これに対して,引用発明1では,複数のファンクションボタンが仮想内線に割り付けられているものの,それが「キーテレホンシステム主装置」により行われているかは明確ではない。しかしながら,本願発明における「主装置」と,引用発明1における「キーテレホンシステム主装置」はキーテレホンシステムにおける主装置であるという点では対応する。
また,引用発明1において「仮想内線」が割り付けられた「ファンクションボタン」である「仮想内線ボタン」は本願発明の「仮想内線ボタン」に対応する。

以上を踏まえると,本願発明と引用発明1は以下の点で一致ないし相違するものと認められる。

(一致点)
「表示器と複数の機能ボタンとを備えたボタン電話機と,主装置とを含み,前記複数の機能ボタンのうちの少なくとも二つのボタンに仮想内線をそれぞれ割り付けて仮想内線ボタンとして機能させるキーテレホンシステム。」

(相違点1)
「複数の機能ボタンのうちの少なくとも二つのボタンに仮想内線をそれぞれ割り付けて仮想内線ボタンとして機能させる」動作に関して,本願発明では「主装置」が行っているのに対して,引用発明1では動作の主体が明確ではない点。

(相違点2)
本願発明では「前記主装置が,前記機能ボタンの他の一つに発信者情報表示モードへ切り換える機能を割り付ける発信者情報表示モード割付手段と,前記発信者情報表示モードのとき前記仮想内線ボタンが押し下げられたことを検出して当該押し下げられた仮想内線ボタンに割り付けられた仮想内線を介した着信の発信者情報を前記表示器に表示させる発信者情報表示手段とを備える」のに対して,引用発明1はそのような構成を有さない点。


4.当審の判断
上記(相違点1)について検討する。
上記摘記事項ロ.の【0028】段落に,引用例1において仮想内線と内線電話機の関連付けがキーテレホンシステム主装置内のメモリー15に記憶されることが記載されていることをみれば,ファンクションボタンの設定のような他の設定についてもキーテレホンシステム主装置側で割り付けるようにすることも格別の事項ではない。
また,そもそもキーテレホンシステムにおいては,様々な設定を主装置側で行うことは常套手段である(例えば,特開2001-211244号公報【0015】段落,特開2004-274315号公報【0011】段落参照)。こうした技術常識を踏まえてみても引用発明1において,機能ボタンへの仮想内線の割り付けを主装置側で行うことは格別な事項とはいえず,相違点1とした本願発明の構成は当業者が設計に際して適宜なし得る程度の事項にすぎない。

上記(相違点2)について検討する。
引用例2に係る上記摘記事項ニ.にも記述があるように,発信者側の電話番号を確認したいという要請は,電話システムにおいて一般的な事項ということができる。したがって引用発明1においてもこのような要請は内在されているといえ,その解決を目的とした引用発明2を引用発明1に適用しようと試みることは格別困難とはいえない。
そこで,引用発明2をみると,ボタン電話装置(本願発明の「キーテレホンシステム」に相当。)において,ボタン電話機の発番号表示ボタンを押した後に,外線ボタンを押下することで,当該外線に対応する回線の発番号をボタン電話機の文字表示器に表示するものであり,仮想内線に係る構成は有していない。しかしながら,引用発明2を引用発明1に適用するに際し,外線ボタンも仮想内線ボタンも,接続しようとする回線を選択するボタンであって,発番号を表示させようとする回線に対応したボタンであるという点で共通していることを勘案すれば,引用発明2の外線ボタンに替えて仮想内線ボタンを押下する構成とすることは,当業者が容易に想到できた事項にすぎない。
また,引用発明2では発番号の表示指示にボタン電話機に別途設けた発番号表示ボタンを使っているが,これを本願発明のように機能ボタンの他の一つを使うようにすることは,引用例1に係る上記摘記事項ロ.の【0031】に未設定のファンクションボタンの存在が記載されていることをみれば,これを発番号の表示用に割り付けることは単なる設計的事項にすぎず,また(相違点1)について検討したように,このようなファンクションボタンの割り付けを,キーテレホンシステム主装置側の手段によって行うことも格別な事項ではない。
発番号を表示させる手段についても,発番号は外線に接続されるキーテレホンシステム主装置が認識していることから,キーテレホンシステム主装置側に設けることも格別の事項ではなく,また,発番号が本願発明の発信者情報に含まれることも明らかである。
さらに,発番号表示ボタンが押された状態を発信者情報表示モードと称するのは任意である。
したがって,相違点2とした本願発明の構成は当業者が容易に想到することができたものである。

そして,本願発明の作用効果も,引用発明1,2及び技術常識から当業者が予測し得る範囲のものである。


5.むすび
以上のとおり,本願の特許請求の範囲の請求項1に係る発明は,上記引用発明1,2及び技術常識に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから,特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって,本願は,他の請求項について検討するまでもなく,拒絶すべきものである。

よって,結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2013-10-15 
結審通知日 2013-10-16 
審決日 2013-10-30 
出願番号 特願2008-65608(P2008-65608)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (H04Q)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 松原 徳久  
特許庁審判長 菅原 道晴
特許庁審判官 山中 実
山本 章裕
発明の名称 キーテレホンシステム  
代理人 池田 憲保  
代理人 福田 修一  
代理人 佐々木 敬  
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