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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 G06F 審判 査定不服 4号2号請求項の限定的減縮 取り消して特許、登録 G06F |
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管理番号 | 1282868 |
審判番号 | 不服2012-23464 |
総通号数 | 170 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2014-02-28 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2012-11-27 |
確定日 | 2014-01-07 |
事件の表示 | 特願2006-350187「PLMデータベース内のオブジェクトを選択する処理および本処理を実装した装置」拒絶査定不服審判事件〔平成19年 8月30日出願公開、特開2007-220089、請求項の数(22)〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 |
理由 |
第1 経緯 1 経緯 本願は、平成18年12月26日(パリ条約による優先権主張平成17年12月30日、欧州特許庁)の出願であって、平成23年10月24日付けで拒絶理由が通知され、平成24年5月1日付けで意見書が提出され、同日付で手続補正がなされたが、平成24年7月19日付け(発送日同年7月27日)で拒絶査定がなされたものである。 本件は、上記拒絶査定を不服とする平成24年11月27日付けで請求された拒絶査定不服審判であって、同時に手続補正がなされたものである。 2 査定の概要 原査定の理由は、概略、次のとおりである。 [査定の理由] 理由1(特許法29条2項)について 請求項1-22に係る発明は、下記の刊行物に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 記(引用文献一覧) 1 特開平6-215133号公報 2 特開平5-54087号公報 3 特開2002-366974号公報 4 特開平5-290110号公報(周知技術) 5 特開平9-6990号公報(周知技術) 理由2(特許法29条柱書き)について 請求項1-16,20-22に係る事項は、コンピュータを用いているものの、ソフトウエアによる情報処理がコンピュータのハードウエア資源と協働しているとはいえないから、依然として自然法則を利用した技術的思想の創作に該当しない。 理由3(特許法36条6項2号)について ・請求項1,17,20の「非結合のビュー」とは如何なる概念か依然として明りょうでない。 ・請求項3,4の「前記非結合のビューの特定されていないオブジェクト」とは如何なる概念か、依然として明りょうでない。 第2 補正却下の決定 平成24年11月27日付けの手続補正について次のとおり決定する。 [補正却下の決定の結論] 平成24年11月27日付けの手続補正を却下する。 [理由] 1 補正の内容 平成24年11月27日付けの手続補正(以下「本件補正」という。)は、特許請求の範囲についてする補正である。 補正前の請求項1?22 「 【請求項1】 コンピュータが、モデル化されたオブジェクトを含むPLMデータベース内のオブジェクトを選択する方法であって、 -グラフィカル・ユーザ・インタフェースを提供するステップと、 -単純化された製品構造の定義から描写を計算することにより、オブジェクトの組の各オブジェクトの描写を集めて非結合のビューを形成するステップであって、前記非結合のビューは、オブジェクトの組の個々のオブジェクトにしたがって区分けされていないグラフィック要素を有するビューである、ステップと、 -前記グラフィカル・ユーザ・インタフェース上に、前記PLMデータベースの前記オブジェクト(21、22、23、24)の組(20)の前記非結合のビューを表示するステップと、 -前記表示されたビュー内でボリューム(500)を定義するステップと、 -前記PLMデータベースを検索して、前記定義されたボリュームと交差する前記ビューのオブジェクト(23f、241f)を前記ユーザに対して特定するステップと を備えたことを特徴とする方法。 【請求項2】 オブジェクトを特定する前記ステップが、 -前記特定されたオブジェクト(23f、24lf)の描写を前記PLMデータベースか取り出すステップ を備えたことを特徴とする請求項1に記載の方法。 【請求項3】 特定する前記ステップが、 -前記特定されたオブジェクトのレンダリング・パラメータとは異なるレンダリング・パラメータを、前記非結合のビューの特定されていないオブジェクトに適用するステップをさらに備え、特定されていないオブジェクトは、前記定義されたボリュームによって交差されると特定されない前記非結合ビューのオブジェクトであることを特徴とする請求項2に記載の方法。 【請求項4】 前記非結合のビューの前記特定されていないオブジェクトに適用された前記レンダリング・パラメータが、前記非結合のビューの特定されていないオブジェクト全部を半透明にレンダリングするステップを備えたことを特徴とする請求項3に記載の方法。 【請求項5】 前記検索して特定するステップが、 -前記定義されたボリュームと交差するような、前記組(20)のそれぞれのオブジェクトの1つ以上の境界ボリューム(21b、22b、23b、24b)を特定するステップをさらに備えたことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の方法。 【請求項6】 前記非結合のビューを表示する前記ステップの前に、 -それぞれのオブジェクト(21、22、23、24)の前記境界ボリューム(21b、22b、23b、24b)を演算し、前記PLMデータベース内に格納するステップ をさらに備えたことを特徴とする請求項5に記載の方法。 【請求項7】 境界ボリュームを演算して格納する前記ステップにおいて、オブジェクトの前記組のうち、同じオブジェクトが複数回インスタンスされるオブジェクトであるマルチ・インスタンス化されるオブジェクトについて、境界ボリューム(21b、22b、23b、24b)が1つのみ格納されることを特徴とする請求項6に記載の方法。 【請求項8】 1つ以上の交差する境界ボリューム(21b、22b、23b、24b)を特定する前記ステップが、前記それぞれのオブジェクト間の前記PLMデータベース内に格納された関係に基づいて再帰的に実行されることを特徴とする請求項5乃至7のいずれか1項に記載の方法。 【請求項9】 前記表示するステップの前に、 -それぞれの境界ボリューム(21b、22b、23b、24b)の、再分割された境界ボリュームを演算し、前記PLMデータベース内に格納するステップ をさらに備えたことを特徴とする請求項5乃至8のいずれか1項に記載の方法。 【請求項10】 前記定義されたボリュームと交差する1つ以上の再分割された境界ボリュームを特定するステップ をさらに備えたことを特徴とする請求項9に記載の方法。 【請求項11】 前記表示された非結合のビューは、三次元オブジェクトの組のビューであることを特徴とする請求項1乃至10のいずれか1項に記載の方法。 【請求項12】 ユーザが選択可能なエリアの起動の上で、前記特定されたオブジェクトは、編集のためにオーサリングツール上にロードされることを特徴とする請求項1乃至11のいずれか1項に記載の方法。 【請求項13】 前記特定されたオブジェクト(23f、24lf)と接触している前記オブジェクトも特定されることを特徴とする請求項1乃至12のいずれか1項に記載の方法。 【請求項14】 前記表示された非結合のビュー内で、ポインタ(32)のドラッグ・アンド・ドロップの動きを通じて前記ボリュームが定義されることを特徴とする請求項1乃至13のいずれか1項に記載の方法。 【請求項15】 前記ボリュームは、前記ビューの特定されたオブジェクトの前記ボリュームのオフセットによって定義され、前記オブジェクトは、前記ビュー内のオブジェクトの前記組(20)と、前記ビュー内で前記ビューの視点と前記ビューのポインタ(32)の位置を通る演算された線との間の前記交差の前記演算を通じて、特定されていることを特徴とする請求項1乃至13のいずれか1項に記載の方法。 【請求項16】 前記特定されたオブジェクトの前記特定は、前記定義されたボリュームが前記非結合のビュー内の動作で、更新されることを特徴とする請求項1乃至15のいずれか1項に記載の方法。 【請求項17】 モデル化されたオブジェクトを含むPLMデータベース内のオブジェクトを選択する装置であって、 -ディスプレイ上にグラフィカル・ユーザ・インタフェースを提供する手段と、 -単純化された製品構造の定義から描写を計算することにより、オブジェクトの組の各オブジェクトの描写を集めて非結合のビューを形成する手段であって、前記非結合のビューは、オブジェクトの組の個々のオブジェクトにしたがって区分けされていないグラフィック要素を有するビューである、手段と、 -前記グラフィカル・ユーザ・インタフェース上に、前記PLMデータベースの前記オブジェクト(21、22、23、24)の組(20)の前記非結合のビューを表示する手段と、 -前記ビュー内でボリュームを定義する手段と、 -前記PLMデータベースを検索し、前記定義されたボリュームと交差するオブジェクトを前記ユーザに対して特定する手段と を備えることを特徴とする装置。 【請求項18】 オブジェクト(23f、24lf)を特定する前記手段が、前記特定されたオブジェクトの描写を前記PLMデータベースから取り出す手段を備えることを特徴とする請求項17に記載の装置。 【請求項19】 ユーザが選択可能なエリアの起動の上で、前記特定されたオブジェクト(23f、24lf)を編集のためにオーサリングツール上にロードする手段をさらに備えている請求項17または18に記載の装置。 【請求項20】 モデル化されたオブジェクトを有するPLMデータベース内のオブジェクトを選択するために、コンピュータ可読記憶媒体上に格納されたコンピュータプログラムであって、前記コンピュータプログラムがコンピュータ上にロードされ、コンピュータに、 -グラフィカル・ユーザ・インタフェースを提供するステップと、 -単純化された製品構造の定義から描写を計算することにより、オブジェクトの組の各オブジェクトの描写を集めて非結合のビューを形成するステップであって、前記非結合のビューは、オブジェクトの組の個々のオブジェクトにしたがって区分けされていないグラフィック要素を有するビューである、ステップと、 -前記グラフィカル・ユーザ・インタフェース上に、前記PLMデータベースの前記オブジェクト(21、22、23、24)の組(20)の前記非結合のビューを表示するステップと、 -前記ビュー内でボリュームを定義するステップと、 -前記PLMデータベースを検索し、前記定義されたボリュームと交差するオブジェクトを前記ユーザに対して特定するステップと を実行させるためのコンピュータプログラム。 【請求項21】 オブジェクトを特定する前記ステップをコンピュータに行わせることを引き起こす前記コードは、前記特定されたオブジェクトの描写を前記PLMデータベースから取り出す前記ステップを行うことを前記コンピュータに引き起こすコードを備えていることを特徴とする請求項20に記載のコンピュータプログラム。 【請求項22】 ユーザが選択可能なエリアの起動の上で、前記特定されたオブジェクトを編集のためにオーサリングツール上にロードさせるステップを行うことを前記コンピュータに引き起こすコードを備えていることを特徴とする請求項20または21に記載のコンピュータプログラム。」 を、次のとおりの請求項1?22に補正するものである。 「 【請求項1】 コンピュータが、モデル化されたオブジェクトを含むPLMデータベース内のオブジェクトを選択する方法であって、 -ディスプレイ上にグラフィカル・ユーザ・インタフェースを表示するステップと、 -オブジェクトの組の各オブジェクトの描写に基づいて非結合のビューを形成するステップであって、前記非結合のビューはビューであり、前記ビュー内に表示されているとおりのオブジェクトの組を構成するオブジェクトは個々に選択することができない、ステップと、 -前記グラフィカル・ユーザ・インタフェース上に、前記PLMデータベースの前記オブジェクト(21、22、23、24)の組(20)の前記非結合のビューを表示するステップと、 -前記表示されたビュー内でボリューム(500)を定義するステップと、 -前記PLMデータベースを検索して、前記定義されたボリュームと交差する前記ビューのオブジェクト(23f、241f)を前記ユーザに対して特定するステップと を備え、前記特定するステップは、 前記ビューの子インスタンスとの交差を発見するステップと、 前記交差する子インスタンスの座標を再計算するステップと、 交差が発見されなくなるまで前記子インスタンスとの新しいスキャンを行うステップと を備えたことを特徴とする方法。 【請求項2】 オブジェクトを特定する前記ステップが、 -前記特定されたオブジェクト(23f、24lf)の描写を前記PLMデータベースから取り出すステップ を備えたことを特徴とする請求項1に記載の方法。 【請求項3】 特定する前記ステップが、 -前記特定されたオブジェクトのレンダリング・パラメータとは異なるレンダリング・パラメータを特定するステップで特定されるオブジェクト以外のオブジェクトの前記表示された描写に適用に適用するステップ をさらに備えたことを特徴とする請求項2に記載の方法。 【請求項4】 前記特定するステップで特定されるオブジェクト以外のオブジェクトの前記表示された描写に適用された前記レンダリング・パラメータが、前記特定するステップで特定されるオブジェクト以外のオブジェクトの前記表示された描写全部を半透明にレンダリングするステップを備えたことを特徴とする請求項3に記載の方法。 【請求項5】 前記検索して特定するステップが、 -前記定義されたボリュームと交差するような、前記組(20)のそれぞれのオブジェクトの1つ以上の境界ボリューム(21b、22b、23b、24b)を特定するステップをさらに備えたことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の方法。 【請求項6】 前記非結合のビューを表示する前記ステップの前に、 -それぞれのオブジェクト(21、22、23、24)の前記境界ボリューム(21b、22b、23b、24b)を演算し、前記PLMデータベース内に格納するステップ をさらに備えたことを特徴とする請求項5に記載の方法。 【請求項7】 境界ボリュームを演算して格納する前記ステップにおいて、オブジェクトの前記組のうち、同じオブジェクトが複数回インスタンスされるオブジェクトであるマルチ・インスタンス化されるオブジェクトについて、境界ボリューム(21b、22b、23b、24b)が1つのみ格納されることを特徴とする請求項6に記載の方法。 【請求項8】 1つ以上の交差する境界ボリューム(21b、22b、23b、24b)を特定する前記ステップが、前記それぞれのオブジェクト間の前記PLMデータベース内に格納された関係に基づいて再帰的に実行されることを特徴とする請求項5乃至7のいずれか1項に記載の方法。 【請求項9】 前記表示するステップの前に、 -それぞれの境界ボリューム(21b、22b、23b、24b)の、再分割された境界ボリュームを演算し、前記PLMデータベース内に格納するステップ をさらに備えたことを特徴とする請求項5乃至8のいずれか1項に記載の方法。 【請求項10】 前記定義されたボリュームと交差する1つ以上の再分割された境界ボリュームを特定するステップ をさらに備えたことを特徴とする請求項9に記載の方法。 【請求項11】 前記表示された非結合のビューは、三次元オブジェクトの組のビューであることを特徴とする請求項1乃至10のいずれか1項に記載の方法。 【請求項12】 ユーザが選択可能なエリアの起動の上で、前記特定されたオブジェクトは、編集のためにオーサリングツール上にロードされることを特徴とする請求項1乃至11のいずれか1項に記載の方法。 【請求項13】 前記特定されたオブジェクト(23f、24lf)と接触している前記オブジェクトも特定されることを特徴とする請求項1乃至12のいずれか1項に記載の方法。 【請求項14】 前記表示された非結合のビュー内で、ポインタ(32)のドラッグ・アンド・ドロップの動きを通じて前記ボリュームが定義されることを特徴とする請求項1乃至13のいずれか1項に記載の方法。 【請求項15】 前記ボリュームは、前記ビューの特定されたオブジェクトの前記ボリュームのオフセットによって定義され、前記オブジェクトは、前記ビュー内のオブジェクトの前記組(20)と、前記ビュー内で前記ビューの視点と前記ビューのポインタ(32)の位置を通る演算された線との間の前記交差の前記演算を通じて、特定されていることを特徴とする請求項1乃至13のいずれか1項に記載の方法。 【請求項16】 前記特定されたオブジェクトの前記特定は、前記定義されたボリュームが前記非結合のビュー内の動作で、更新されることを特徴とする請求項1乃至15のいずれか1項に記載の方法。 【請求項17】 モデル化されたオブジェクトを含むPLMデータベース内のオブジェクトを選択する装置であって、 -ディスプレイ上にグラフィカル・ユーザ・インタフェースを表示する手段と、 -オブジェクトの組の各オブジェクトの描写に基づいて非結合のビューを形成する手段であって、前記非結合のビューはビューであり、前記ビュー内に表示されているとおりのオブジェクトの組を構成するオブジェクトは個々に選択することができない、手段と、 -前記グラフィカル・ユーザ・インタフェース上に、前記PLMデータベースの前記オブジェクト(21、22、23、24)の組(20)の前記非結合のビューを表示する手段と、 -前記ビュー内でボリュームを定義する手段と、 -前記PLMデータベースを検索し、前記定義されたボリュームと交差するオブジェクトを前記ユーザに対して特定する手段とを備え、前記特定する手段は、 前記ビューの子インスタンスとの交差を発見し、 前記交差する子インスタンスの座標を再計算し、 交差が発見されなくなるまで前記子インスタンスとの新しいスキャンを行う ように構成されていることを特徴とする装置。 【請求項18】 オブジェクト(23f、24lf)を特定する前記手段が、前記特定されたオブジェクトの描写を前記PLMデータベースから取り出す手段を備えることを特徴とする請求項17に記載の装置。 【請求項19】 ユーザが選択可能なエリアの起動の上で、前記特定されたオブジェクト(23f、24lf)を編集のためにオーサリングツール上にロードする手段をさらに備えている請求項17または18に記載の装置。 【請求項20】 モデル化されたオブジェクトを有するPLMデータベース内のオブジェクトを選択するために、コンピュータ可読記憶媒体上に格納されたコンピュータプログラムであって、前記コンピュータプログラムがコンピュータ上にロードされ、コンピュータに、 -ディスプレイ上にグラフィカル・ユーザ・インタフェースを表示するステップと、 -オブジェクトの組の各オブジェクトの描写に基づいて非結合のビューを形成するステップであって、前記非結合のビューはビューであり、前記ビュー内に表示されているとおりのオブジェクトの組を構成するオブジェクトは個々に選択することができない、ステップと、 -前記グラフィカル・ユーザ・インタフェース上に、前記PLMデータベースの前記オブジェクト(21、22、23、24)の組(20)の前記非結合のビューを表示するステップと、 -前記ビュー内でボリュームを定義するステップと、 -前記PLMデータベースを検索し、前記定義されたボリュームと交差するオブジェクトを前記ユーザに対して特定するステップと、前記特定するステップは、 前記ビューの子インスタンスとの交差を発見するステップと、 前記交差する子インスタンスの座標を再計算するステップと、 交差が発見されなくなるまで前記子インスタンスとの新しいスキャンを行うステップと を実行させるためのコンピュータプログラム。 【請求項21】 オブジェクトを特定する前記ステップをコンピュータに行わせることを引き起こす前記コードは、前記特定されたオブジェクトの描写を前記PLMデータベースから取り出す前記ステップを行うことを前記コンピュータに引き起こすコードを備えていることを特徴とする請求項20に記載のコンピュータプログラム。 【請求項22】 ユーザが選択可能なエリアの起動の上で、前記特定されたオブジェクトを編集のためにオーサリングツール上にロードさせるステップを行うことを前記コンピュータに引き起こすコードを備えていることを特徴とする請求項20または21に記載のコンピュータプログラム。」 2 補正の適合性 本件補正は、請求項の削除、特許請求の範囲の減縮、誤記の訂正又は明りょうでない記載の釈明を目的とするものとは認められない。 詳細は以下のとおりである。 本件補正は、補正前の請求項1における 「単純化された製品構造の定義から描写を計算することにより、オブジェクトの組の各オブジェクトの描写を集めて非結合のビューを形成するステップであって、前記非結合のビューは、オブジェクトの組の個々のオブジェクトにしたがって区分けされていないグラフィック要素を有するビューである、ステップ」を 「オブジェクトの組の各オブジェクトの描写に基づいて非結合のビューを形成するステップであって、前記非結合のビューはビューであり、前記ビュー内に表示されているとおりのオブジェクトの組を構成するオブジェクトは個々に選択することができない、ステップ」 とするものを含むものである。 本件補正における請求項1は、補正前の請求項1の「単純化された製品構造の定義から描写を計算することにより」の事項を削除しており、「単純化された製品構造の定義から描写を計算すること」以外のものを含むものと認められ、本件補正における請求項1は、発明を特定するために必要な事項を限定するものとは認められない。 したがって、本件補正は、特許請求の範囲の減縮ではない。 また、本件補正は、請求項の削除ではなく、誤記の訂正でもない。 そして、本件補正は、明りょうでない記載の釈明(拒絶理由通知に係る拒絶の理由についてするものに限る。)とも認められない。 3 まとめ 以上のように、本件補正は、請求項の削除、特許請求の範囲の減縮、誤記の訂正又は明りょうでない記載の釈明を目的とするものとは認められない。 したがって、本件補正は、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第4項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。 よって、補正却下の決定の結論のとおり決定する。 第3 本願発明について 1 本願発明 平成24年11月27日付けの手続補正は、上記のとおり却下されたので、本願の請求項1?22に係る発明(以下、請求項の番号を用いて、それぞれ「本願発明1」等という。)は、平成24年5月1日付け手続補正により補正された明細書、特許請求の範囲及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1?22に記載した事項により特定されるとおりのものであると認める。 2 容易想到性(特許法29条2項) (1)本願発明1について ア 本願発明1 本願発明1は、次のとおりである(再掲。上記第2の1参照)。 「コンピュータが、モデル化されたオブジェクトを含むPLMデータベース内のオブジェクトを選択する方法であって、 -グラフィカル・ユーザ・インタフェースを提供するステップと、 -単純化された製品構造の定義から描写を計算することにより、オブジェクトの組の各オブジェクトの描写を集めて非結合のビューを形成するステップであって、前記非結合のビューは、オブジェクトの組の個々のオブジェクトにしたがって区分けされていないグラフィック要素を有するビューである、ステップと、 -前記グラフィカル・ユーザ・インタフェース上に、前記PLMデータベースの前記オブジェクト(21、22、23、24)の組(20)の前記非結合のビューを表示するステップと、 -前記表示されたビュー内でボリューム(500)を定義するステップと、 -前記PLMデータベースを検索して、前記定義されたボリュームと交差する前記ビューのオブジェクト(23f、241f)を前記ユーザに対して特定するステップと を備えたことを特徴とする方法。」 イ 刊行物の記載 査定の理由で引用した刊行物2(特開平5-54087号公報)には、図面と共に以下の記載がある。 「【0001】 【産業上の利用分野】 本発明は図形処理方式に係わり、特に指定された三次元空間に全部又は一部が含まれる図形要素を高速に検索又は表示する図形処理方式に関する。 【0002】 【従来の技術】 CADシステムにおいては、三次元物体を構成する図形要素のうち、指定された三次元空間に含まれる図形要素のみを表示または検索する処理が頻繁に生じる。かかる処理においては、三次元物体を構成する個々の図形要素が指定された領域内に含まれているか否かをチェックする必要があり、従来は各図形要素の全図形データに対して指定された領域内に全部又は一部が含まれているかをチェックし、含まれていなければ表示又は検索の対象外とし、含まれていれば表示又は検索するようにしている。 【0003】 【発明が解決しようとする課題】 しかし、各図形要素の全図形データに対して指定領域に含まれているか否かを詳細にチェックする従来方式では、非常に多くの処理ステップを必要とし、表示・検索結果が得られる迄に相当の時間を必要とし、作業効率を低下させる問題があった。 【0004】 以上から本発明の目的は、指定された三次元空間に全部又は一部が含まれる図形要素を高速に検索又は表示し、作業効率を向上できる図形処理方式を提供することである。本発明の別の目的は、図形要素の占める領域を球又は直方体等の一定三次元形状で近似することにより、図形要素が指定された三次元空間に含まれるか否かを高速に判定する図形処理方式を提供することである。 【0005】 【課題を解決するための手段】図1は本発明の原理説明図である。11は図形データ処理部であり、11aは図形データベ-ス・領域管理テ-ブル作成部、11bは図形データアクセス部、12は図形要素毎に、(1) 図形データ(図形情報)と、(2) 図形要素の占める領域を球で近似したときの該球の中心位置と半径を三次元空間位置(領域情報)として記憶する図形データベ-ス、13はいくつかの図形要素をグル-プ化し、グル-プに属する全図形要素を包含する球の中心位置と半径を三次元空間位置(グル-プ領域情報)として記憶する領域管理テ-ブル、14は図形データ検索・表示部、15はディスプレイ装置である。 【0006】 【作用】 図形データベ-ス・領域管理テ-ブル作成部11aは、三次元物体を構成する個々の図形要素FG1,FG2,FG3,FG4・・・の図形情報が入力されると、各図形要素を包含する球CB1,CB2,CB3,CB4・・・の三次元空間位置(中心位置と半径)を求めて領域情報とし、該領域情報を図形情報と共に図形データベ-ス12に格納し、又、いくつかの図形要素をグル-プ化し、グル-プに属する全図形要素FG1?FG4を包含する球CBG1の三次元空間位置(中心位置と半径)を求めてグル-プ領域情報として領域管理テ-ブル13に登録する。かかる状態で、三次元空間における検索又は表示領域が指定されると、図形データアクセス部11bは、領域管理テ-ブル13に記憶されているグル-プ領域情報を参照して、指定領域にグル-プの球が属するか判定し、属しない場合には該グル-プを構成する全図形要素を検索又は表示の対象から除外する。しかし、属する場合には該グル-プを構成する各図形要素の図形情報と領域情報を図形デ-タ検索・表示部14に渡し、図形デ-タ検索・表示部14は図形要素毎にその領域情報を参照して指定領域に球が属するか判定し、属しない場合には該図形要素を検索又は表示の対象から除外し、一部又は全部が属する場合には該図形要素を検索又は表示の対象としてディスプレイ装置15に表示する。 【0007】 このように、図形要素の占める領域を一定三次元形状(球又は直方体等)で近似すると共に、いくつかの図形要素をグル-プ化し、グル-プに属する全図形要素の占める領域を一定三次元形状(球又は直方体等)で近似し、該一定三次元形状(球又は直方体等)を用いて図形要素が指定された領域に属するか否かを簡易的に判定し、属する図形要素のみを詳細に判定するようにしたから、指定された三次元空間に全部又は一部が含まれる図形要素を高速に検索又は表示でき、作業効率を向上することができる。」 ウ 刊行物2に記載された発明 刊行物2には、「指定された三次元空間に全部又は一部が含まれる図形要素を高速に検索又は表示する図形処理方式」(段落【0001】)が記載されている。 この「図形処置方式」は、「CADシステムにおいては、三次元物体を構成する図形要素のうち、指定された三次元空間に含まれる図形要素のみを表示または検索する処理が頻繁に生じ」、「かかる処理においては、三次元物体を構成する個々の図形要素が指定された領域内に含まれているか否かをチェックする必要があり、従来は各図形要素の全図形データに対して指定された領域内に全部又は一部が含まれているかをチェックし、含まれていなければ表示又は検索の対象外とし、含まれていれば表示又は検索するようにして」おり(段落【0002】)、「各図形要素の全図形データに対して指定領域に含まれているか否かを詳細にチェックする従来方式では、非常に多くの処理ステップを必要とし、表示・検索結果が得られる迄に相当の時間を必要とし、作業効率を低下させる問題があった」(段落【0003】)ことを課題とし、「指定された三次元空間に全部又は一部が含まれる図形要素を高速に検索又は表示し、作業効率を向上できる図形処理方式を提供すること」(段落【0004】)を目的とするものである。 刊行物2に記載された「図形処理方式」においては、 「図形データベ-ス・領域管理テ-ブル作成部11aは、三次元物体を構成する個々の図形要素FG1,FG2,FG3,FG4・・・の図形情報が入力されると、各図形要素を包含する球CB1,CB2,CB3,CB4・・・の三次元空間位置(中心位置と半径)を求めて領域情報とし、該領域情報を図形情報と共に図形データベ-ス12に格納し、又、いくつかの図形要素をグル-プ化し、グル-プに属する全図形要素FG1?FG4を包含する球CBG1の三次元空間位置(中心位置と半径)を求めてグル-プ領域情報として領域管理テ-ブル13に登録」し(段落【0006】)、「かかる状態で、三次元空間における検索又は表示領域が指定されると、図形データアクセス部11bは、領域管理テ-ブル13に記憶されているグル-プ領域情報を参照して、指定領域にグル-プの球が属するか判定し、属しない場合には該グル-プを構成する全図形要素を検索又は表示の対象から除外し」(段落【0006】)、「属する場合には該グル-プを構成する各図形要素の図形情報と領域情報を図形デ-タ検索・表示部14に渡し、図形デ-タ検索・表示部14は図形要素毎にその領域情報を参照して指定領域に球が属するか判定し、属しない場合には該図形要素を検索又は表示の対象から除外し、一部又は全部が属する場合には該図形要素を検索又は表示の対象としてディスプレイ装置15に表示する」(段落【0006】)。 刊行物2に記載された「図形処理方式」は、図形データベース・領域管理テーブル作成部において、図形データベース、領域管理テーブルが作成されたことを前提に、図形要素を検索、表示する方法として認定でき、その発明(以下「刊行物2発明」という。)は次のとおりである。 「図形データベ-ス・領域管理テ-ブル作成部11aは、三次元物体を構成する個々の図形要素FG1,FG2,FG3,FG4・・・の図形情報が入力されると、各図形要素を包含する球CB1,CB2,CB3,CB4・・・の三次元空間位置(中心位置と半径)を求めて領域情報とし、該領域情報を図形情報と共に図形データベ-ス12に格納し、又、いくつかの図形要素をグル-プ化し、グル-プに属する全図形要素FG1?FG4を包含する球CBG1の三次元空間位置(中心位置と半径)を求めてグル-プ領域情報として領域管理テ-ブル13に登録し、かかる状態で、 三次元空間における検索又は表示領域が指定されると、図形データアクセス部11bは、領域管理テ-ブル13に記憶されているグル-プ領域情報を参照して、指定領域にグル-プの球が属するか判定し、属しない場合には該グル-プを構成する全図形要素を検索又は表示の対象から除外し、属する場合には該グル-プを構成する各図形要素の図形情報と領域情報を図形デ-タ検索・表示部14に渡し、図形デ-タ検索・表示部14は図形要素毎にその領域情報を参照して指定領域に球が属するか判定し、属しない場合には該図形要素を検索又は表示の対象から除外し、一部又は全部が属する場合には該図形要素を検索又は表示の対象としてディスプレイ装置15に表示する方法。」 エ 対比 本願発明1と刊行物2発明とを対比する。 (ア)「コンピュータが、モデル化されたオブジェクトを含むPLMデータベース内のオブジェクトを選択する方法であって、・・・方法」 刊行物2発明は、刊行物2の従来技術に記載されているようにCADを前提とするものであって、コンピュータが主体となるものであり、モデル化されたオブジェクトを扱うものといえるから、「コンピュータが、モデル化されたオブジェクトを含むデータベース内のオブジェクトを選択する方法であって、・・・方法」といえる。 しかしながら、刊行物2発明においては、データベースがPLMデータベースではなく、本願発明1と相違する。 (イ)「グラフィカル・ユーザ・インタフェースを提供するステップ」 刊行物2発明は、「三次元空間における検索又は表示領域が指定される」ものであり、この指定は、ユーザが行うことは明らかであり、ユーザ・インタフェースがあることも明らかである。刊行物2発明においては、ユーザが「三次元空間における検索又は表示領域」を指定するために、ユーザ・インタフェースを提供するステップがあるといえる。 しかしながら、刊行物2発明の「ユーザ・インタフェース」は、「グラフィカル・ユーザ・インタフェース」ではなく、本願発明1と相違する。 (ウ)「単純化された製品構造の定義から描写を計算することにより、オブジェクトの組の各オブジェクトの描写を集めて非結合のビューを形成するステップであって、前記非結合のビューは、オブジェクトの組の個々のオブジェクトにしたがって区分けされていないグラフィック要素を有するビューである、ステップ」 「前記グラフィカル・ユーザ・インタフェース上に、前記PLMデータベースの前記オブジェクト(21、22、23、24)の組(20)の前記非結合のビューを表示するステップ」 刊行物2発明は、「いくつかの図形要素をグル-プ化し、グル-プに属する全図形要素FG1?FG4を包含する球CBG1の三次元空間位置(中心位置と半径)を求めてグル-プ領域情報として領域管理テ-ブル13に登録」するものであるが、「非結合のビュー」とはいえず、上記2つのステップを備えておらず、本願発明1と相違する。 (エ)「前記表示されたビュー内でボリューム(500)を定義するステップ」 刊行物2発明は、「三次元空間における検索又は表示領域が指定される」ものであり、「三次元空間における・・・領域が指定」されるのであるから、「ボリュームを定義」しているといえる。 しかしながら、上記(ウ)のとおり、「・・・非結合ビューを形成するステップ」「前記非結合のビューを表示するステップ」がないから、刊行物2発明は、「前記表示されたビュー内で」ボリュームを定義するものではなく、本願発明1と相違する。 (オ)「前記PLMデータベースを検索して、前記定義されたボリュームと交差する前記ビューのオブジェクト(23f、241f)を前記ユーザに対して特定するステップ」 刊行物2発明は、「三次元空間における検索又は表示領域が指定されると、図形データアクセス部11bは、領域管理テ-ブル13に記憶されているグル-プ領域情報を参照して、指定領域にグル-プの球が属するか判定し、属しない場合には該グル-プを構成する全図形要素を検索又は表示の対象から除外し、属する場合には該グル-プを構成する各図形要素の図形情報と領域情報を図形デ-タ検索・表示部14に渡し、図形デ-タ検索・表示部14は図形要素毎にその領域情報を参照して指定領域に球が属するか判定し、属しない場合には該図形要素を検索又は表示の対象から除外し、一部又は全部が属する場合には該図形要素を検索又は表示の対象としてディスプレイ装置15に表示する」ものであり、「三次元空間における検索又は表示領域が指定」して、「一部又は全部が属する場合には該図形要素を検索又は表示の対象としてディスプレイ装置15に表示する」ものであるから、「前記データベースを検索して、前記定義されたボリュームと交差するオブジェクトを前記ユーザに対して特定するステップ」を備えているといえる。 しかしながら、刊行物2発明においては「データベース」が「PLMデータベース」でない(上記(ア)と同じ)点で、本願発明1と相違する。また、刊行物2発明は、上記(ウ)のとおり、「・・・非結合ビューを形成するステップ」「前記非結合のビューを表示するステップ」がないから、「オブジェクト」が「前記ビューのオブジェクト」ではない点で、本願発明1と相違する。 オ 一致点、相違点 上記エ(エ)及び(オ)の「ビュー」に関する相違点は、刊行物2発明が、上記エ(ウ)における「非結合のビューを形成するステップ」、「前記非結合のビューを表示するステップ」を備えていないという相違点に基づくものであるから、1つの相違点とすることができる。 そうすると、一致点、相違点は、次のとおりである。 (一致点) コンピュータが、モデル化されたオブジェクトを含むデータベース内のオブジェクトを選択する方法であって、 ユーザ・インタフェースを提供するステップと、 ボリュームを定義するステップと、 前記データベースを検索して、前記定義されたボリュームと交差するオブジェクトを前記ユーザに対して特定するステップと を備えたことを特徴とする方法。 (相違点1) 「データベース」が、本願発明1においては、「PLMデータベース」であるのに対し、刊行物2発明においては、そうではない点。 (相違点2) 「ユーザ・インタフェース」が、本願発明1においては、「グラフィカル・ユーザ・インタフェース」であるのに対し、刊行物2発明においては、そうではない点。 (相違点3) 本願発明1においては、 「単純化された製品構造の定義から描写を計算することにより、オブジェクトの組の各オブジェクトの描写を集めて非結合のビューを形成するステップであって、前記非結合のビューは、オブジェクトの組の個々のオブジェクトにしたがって区分けされていないグラフィック要素を有するビューである、ステップと、 前記グラフィカル・ユーザ・インタフェース上に、前記PLMデータベースの前記オブジェクト(21、22、23、24)の組(20)の前記非結合のビューを表示するステップ」 とを備えているのに対し、刊行物2発明においては、上記2つのステップを備えておらず、 それに伴い、 「ボリュームを定義するステップ」が、本願発明1においては、「前記表示されたビュー内でボリュームを定義するステップ」であるのに対し、刊行物2発明においては、そうではなく、 「前記定義されたボリュームと交差するオブジェクトを前記ユーザに対して特定するステップ」における「オブジェクト」が、本願発明1においては「前記ビューのオブジェクト」であるのに対し、刊行物2発明においては、そうではない点。 カ 判断 (ア)相違点1について 製品ライフサイクル管理(PLM)は、周知の技術であり、PLMにおいてデータベースを備えることも周知の技術である。 そうすると、刊行物2発明を製品ライフサイクル管理に適用して、刊行物2発明におけるデータベースをPLMデータベースにすることは、当業者が容易に想到し得ることである。 (イ)相違点2について 「ユーザ・インタフェース」をして「グラフィカル・ユーザ・インタフェース」はよく知られているから、刊行物2発明の「ユーザ・インタフェース」を「グラフィカル・ユーザ・インタフェース」とすることは、当業者が容易に想到し得ることである。 (ウ)相違点3について 本願発明1における「非結合のビュー」は、請求項1に記載のとおり「オブジェクトの組の個々のオブジェクトにしたがって区分けされていないグラフィック要素を有するビューである」。 そして、明細書には、「非結合のビュー」に関し、次の記載がある。 「処理は、グラフィカル・ユーザ・インタフェース上にデータベースのオブジェクトの組のビュー、できれば3次元のビュー、を表示するステップを備えている。前記ビューは非結合のビューであり、すなわち、前記ビューのグラフィック要素は、システムの観点から見て、組の個々のオブジェクトに従って区分けされていない。従って、ユーザは組の各オブジェクトを選択しなくてもよい。」(段落【0025】) 「取得されたビュー、すなわち統合された描写は、できれば本発明で使用されるオブジェクトの組の単純化された描写を形成することが望ましい。これを達成するため、例えば単純化された製品構造の定義が使用されてもよい。しかし、最終的なビューは前記製品構造についての情報を含んでいないことに留意されたい。このようなビューは、非結合のビューとして知られる。」(段落【0043】) 「統合のステップの結果として取得されたビューは非結合のビューである。前述のとおり、これは、ビューを形成するグラフィック要素が、システムの観点から見て、オブジェクトの組の個々の部品に従って区分けされていないことを意味する。従って、ビュー内で描写されているオブジェクトの組は、コンテンツ・アドレス可能ではなく、ユーザはビュー内に表示された組を構成する個々のオブジェクトをまったく選択しない可能性がある。例えば、ビットマップもラスターイメージも、描写されたオブジェクトに関してコンテンツ・アドレス可能ではない。ベクトルのビューは、パーティションで各種の描画要素に区切られているため、概念的に異なる。それでもやはり、描画要素がPLMデータベース内に格納されたオブジェクトの組のさまざまな部分に関連していないので、本発明の意味ではそれは非結合のビューの一例である。」(段落【0046】) 明細書の記載をみても、「非結合のビュー」は、「オブジェクトの組の個々のオブジェクトにしたがって区分けされていないグラフィック要素を有するビューであ」り、請求項1に記載のとおりである。 このような「非結合のビュー」は、査定の理由で引用された、刊行物1、3及び周知技術である刊行物4、5には、開示されていない。 刊行物1(特開平6-215133号公報)には、オブジェクトとピッキング・ボリュームと交差するかどうかを決める技術が記載されている。 刊行物3(特開2000-366974号公報)には、操作対象オブジェクトの選択という本来の操作の準備操作のために、対象となるオブジェクト群の物理的内位置、配置を変えることなく、ユーザが本意とするオブジェクトを容易かつ確実に選択できるユーザインターフェースを実現可能なオブジェクトの選択方法に関する技術が記載されている。 刊行物4、5には、境界線を表示、非表示する技術が記載されている。 以上のとおり、刊行物1、3、4、5には、「非結合のビュー」は開示されておらず、「非結合のビュー」を形成すること、「非結合のビュー」を表示することは開示されていない。 したがって、刊行物2発明に、刊行物1、3に記載された発明、周知技術(刊行物4、5)を適用しても、相違点3の構成に想到することはできない。 また、上記判断は、本願発明1と刊行物2発明とを対比したが、本願発明1と刊行物1または刊行物3に記載された発明とを対比としても、上記相違点3と同様の相違点があり、この相違点の構成は、査定の理由で引用された他の刊行物に開示されておらず、刊行物1または刊行物3に記載された発明に査定の理由で引用された他の刊行物に記載された発明を適用しても、上記相違点3の構成に想到することはできない。 キ まとめ 以上のとおり、本願発明1は、刊行物1?3に記載された発明、周知技術に基づいて、当業者が容易になし得たものとは認められない。 (2)本願発明2?本願発明16について 本願発明2?本願発明16は、請求項1を直接又は間接的に引用しているから、上記(1)と同じ理由で、刊行物1?3に記載された発明、周知技術に基づいて、当業者が容易になし得たものとは認められない。 (3)本願発明17?19について 本願発明17は、本願発明1の方法の発明を装置の発明としたものであって、上記(1)と同様な理由で、刊行物1?3に記載された発明、周知技術に基づいて、当業者が容易になし得たものとは認められない。 本願発明18、本願発明19は、請求項17を直接又は間接的に引用しているから、上本願発明17と同じ理由で、刊行物1?3に記載された発明、周知技術に基づいて、当業者が容易になし得たものとは認められない。 (4)本願発明20?本願発明22について 本願発明20は、本願発明1の方法をコンピュータプログラムの発明としたものであって、上記(1)と同じ理由で、刊行物1?3に記載された発明、周知技術に基づいて、当業者が容易になし得たものとは認められない。 本願発明21、本願発明22は、請求項20を直接又は間接的に引用しているから、上本願発明20と同じ理由で、刊行物1?3に記載された発明、周知技術に基づいて、当業者が容易になし得たものとは認められない。 (5)まとめ 請求項1?22に記載された発明は、査定の理由で引用された刊行物1?3、周知技術(刊行物4、5)に基づいて、容易になし得たものとは認められない。 3 発明該当性(特許法29条1項柱書き) 本願発明1?22は、「コンピュータに実装した方法とシステムとの分野に関し、さらに詳しくは、モデル化されたオブジェクトを描写するデータのデータベースを含む、製品ライフサイクル管理ソリューションに関する」(段落【0001】)ものである。 背景技術として、「部品あるいは部品のアセンブリを設計するために、」「コンピュータ支援設計(CAD)システムにより、ユーザは、オブジェクトまたはオブジェクトのアセンブリの複雑な3次元(3D)モデルを構築し、操作し、表示させることが可能」(段落【0002】)であり、また、「製品ライフサイクル管理(PLM)ソリューションも存在し」(段落【0003】)、「このようなPLMソリューションは、製品のリレーショナル・データベースを備え」、「データベースは通常、迅速な検索および取り出しのために体系化されたデータの集合(典型的には、データおよびデータ間の関係)として定義され」、「データベースは、多様なデータ処理操作に関連して、データの格納、取り出し、修正、削除を容易にするよう構成されている」(段落【0004】)というものがあり、本願発明1?22は、「CADシステムにおいて製品を描写するファイルの典型的なサイズ(航空機などの製品は数百万の部品を含むことがある)のために、前記オブジェクトのビューをレンダリングする時間は、極端に長」く(段落【0006】)、「時間と資源を浪費する」(段落【0010】)という課題を解決するために、「データベース内に格納されたオブジェクトの組から、前記オブジェクトのグラフィック描写を使用して、ユーザがオブジェクトを迅速に選択することを可能とする」(段落【0012】)ものである。 本願発明1は、 「コンピュータが、モデル化されたオブジェクトを含むPLMデータベース内のオブジェクトを選択する方法であって、 -グラフィカル・ユーザ・インタフェースを提供するステップと、 -単純化された製品構造の定義から描写を計算することにより、オブジェクトの組の各オブジェクトの描写を集めて非結合のビューを形成するステップであって、前記非結合のビューは、オブジェクトの組の個々のオブジェクトにしたがって区分けされていないグラフィック要素を有するビューである、ステップと、 -前記グラフィカル・ユーザ・インタフェース上に、前記PLMデータベースの前記オブジェクト(21、22、23、24)の組(20)の前記非結合のビューを表示するステップと、 -前記表示されたビュー内でボリューム(500)を定義するステップと、 -前記PLMデータベースを検索して、前記定義されたボリュームと交差する前記ビューのオブジェクト(23f、241f)を前記ユーザに対して特定するステップと を備えたことを特徴とする方法。」 であり、上記の課題のとおり、コンピュータが、ビューをレンダリングする時間が長く、時間と資源を浪費し、ユーザがオブジェクトを迅速に選択することを可能にする解決法が必要であり、本願発明1の構成にすることにより、従来のものより、オブジェクトを迅速に選択することを可能になるものと認められる。 本願発明1は、ユーザがオブジェクトを選択するのにコンピュータが時間と資源を浪費していた従来のものを、迅速にするものであって、コンピュータ自体の自然法則を利用した資源の特徴を利用するものといえる。 そして、上記の本願発明1の構成により、ユーザがオブジェクトを選択するのを迅速にするものであるから、全体として、自然法則を利用した技術思想の創作であり、発明に該当する。 したがって、本願発明1は、自然法則を利用した技術思想の創作であって、発明に該当する。 本願発明2?16は、請求項1を直接又は間接的に引用しているので、本願発明1と同じ理由で、発明に該当する。 また、本願発明20は、本願発明1の方法の発明の各ステップを実行させるためのコンピュータプログラムとしたものであり、上記本願発明1が発明に該当する理由と同じ理由で、発明に該当する。 本願発明21?22は、請求項20を直接又は間接的に引用しているので、本願発明1と同じ理由で、発明に該当する。 4 明確性(特許法36条6項2号) (1)「非結合のビュー」について 請求項1、17、20における「非結合のビュー」は、請求項1、17、20に記載されているとおり、「前記非結合のビューは、オブジェクトの組の個々のオブジェクトにしたがって区分けされていないグラフィック要素を有するビューであ(る)」り、明確である。 そして、明細書には、「非結合のビュー」に関し、次の記載がある。 「処理は、グラフィカル・ユーザ・インタフェース上にデータベースのオブジェクトの組のビュー、できれば3次元のビュー、を表示するステップを備えている。前記ビューは非結合のビューであり、すなわち、前記ビューのグラフィック要素は、システムの観点から見て、組の個々のオブジェクトに従って区分けされていない。従って、ユーザは組の各オブジェクトを選択しなくてもよい。」(段落【0025】) 「取得されたビュー、すなわち統合された描写は、できれば本発明で使用されるオブジェクトの組の単純化された描写を形成することが望ましい。これを達成するため、例えば単純化された製品構造の定義が使用されてもよい。しかし、最終的なビューは前記製品構造についての情報を含んでいないことに留意されたい。このようなビューは、非結合のビューとして知られる。」(段落【0043】) 「統合のステップの結果として取得されたビューは非結合のビューである。前述のとおり、これは、ビューを形成するグラフィック要素が、システムの観点から見て、オブジェクトの組の個々の部品に従って区分けされていないことを意味する。従って、ビュー内で描写されているオブジェクトの組は、コンテンツ・アドレス可能ではなく、ユーザはビュー内に表示された組を構成する個々のオブジェクトをまったく選択しない可能性がある。例えば、ビットマップもラスターイメージも、描写されたオブジェクトに関してコンテンツ・アドレス可能ではない。ベクトルのビューは、パーティションで各種の描画要素に区切られているため、概念的に異なる。それでもやはり、描画要素がPLMデータベース内に格納されたオブジェクトの組のさまざまな部分に関連していないので、本発明の意味ではそれは非結合のビューの一例である。」(段落【0046】) 明細書の記載をみても、「非結合のビュー」は、「オブジェクトの組の個々のオブジェクトにしたがって区分けされていないグラフィック要素を有するビューである」ことを意味しており、請求項1に記載のとおりである。 したがって、請求項1、17、20に記載された発明は明確である。 (2)「前記非結合のビューの特定されていないオブジェクト」について 請求項3及び請求項4に「前記非結合のビューの特定されていないオブジェクト」の記載がある。 請求項の引用関係から、請求項1における「前記PLMデータベースを検索して、前記定義されたボリュームと交差する前記ビューのオブジェクト(23f、241f)を前記ユーザに対して特定するステップ」によって、特定された「前記ビューのオブジェクト」があり(「前記ビュー」は、「非結合のビュー」であることは請求項1の記載から明らかである。)、この「特定された前記ビュー(非結合のビュー)のオブジェクト」でないものが「前記非結合のビューの特定されていないオブジェクト」であると認められる。 そして、上記(1)のとおり、「非結合のビュー」は明確である。 したがって、「前記非結合のビューの特定されていないオブジェクト」は明確であり、請求項3及び4に記載された発明は、明確である。 5 まとめ 以上のとおり、本願については、原査定の拒絶理由を検討してもその理由によって拒絶すべきものとすることはできない。 また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審決日 | 2013-12-12 |
出願番号 | 特願2006-350187(P2006-350187) |
審決分類 |
P
1
8・
572-
WY
(G06F)
P 1 8・ 121- WY (G06F) |
最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 田中 幸雄 |
特許庁審判長 |
奥村 元宏 |
特許庁審判官 |
小池 正彦 清水 正一 |
発明の名称 | PLMデータベース内のオブジェクトを選択する処理および本処理を実装した装置 |
復代理人 | 濱中 淳宏 |
代理人 | 特許業務法人 谷・阿部特許事務所 |
復代理人 | 藤田 英治 |