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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 B21D
管理番号 1282889
審判番号 不服2013-3245  
総通号数 170 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2014-02-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2013-02-20 
確定日 2014-01-14 
事件の表示 特願2011- 28905「曲がり矯正方法」拒絶査定不服審判事件〔平成24年 9月 6日出願公開、特開2012-166233、請求項の数(2)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 1.手続の経緯と本件発明
本願は平成23年2月14日の出願であって、原審では平成24年4月23日付拒絶理由通知に対して平成24年7月16日に意見書が提出されたが、平成24年11月29日付で拒絶査定がなされたものである。これに対し、平成25年2月20日に該査定の取消を求めて本件審判が請求されると同時に、特許請求の範囲と明細書を補正対象とする手続補正書が提出された。その後、当審による平成25年6月7日付審尋に対し、平成25年8月8日に回答書が提出されている。
本願の請求項1及び2に係る発明(以下、それぞれ「本件発明1」及び「本件発明2」という。)は、平成25年2月20日提出の手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1及び2に記載された事項により特定されるとおり、以下のものと認める。
「 【請求項1】
上下に対向配置された超硬矯正ロールを用いる鋼材の曲がり矯正方法であって、
当該超硬ロールの硬さがHRA85?87であり、当該ロールの耐摩耗性および耐ヒートクラック性を確保することを特徴とする鋼材の曲がり矯正方法。
【請求項2】
被矯正材が自動車のエアバッグ用鋼管であることを特徴とする請求項1に記載の曲がり矯正方法。」

2.原査定の拒絶理由
原審による平成24年11月29日付拒絶査定の理由は、概略、本願の請求項1に係る発明は、本願の出願前に頒布された以下の刊行物1及び2に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであり、請求項2に係る発明は、本願の出願前に頒布された以下の刊行物1ないし3に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるため、ともに特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない、というものである。
刊行物1: 特開2005-103557号公報
刊行物2: 特開2004-136296号公報
刊行物3: 特開2010-132999号公報

3.刊行物に記載された発明または事項
刊行物1には、「金属管の両側に交互に配置されて金属管に転接する矯正ロールにより、金属管の外周を交互に押圧する工程を有する、金属管の巻きぐせを矯正する方法。」が記載されていると認める。
刊行物2には、「内層の外周に、押し込み硬さがHRA86以上である超硬合金からなる外層が接合してなる、圧延用複合ロール。」が記載されていると認める。
また、刊行物3には、「熱間製管した継目無鋼管素管を冷間加工を施して所定寸法の鋼管とし、2ロールタイプの圧延機により矯正加工を行った後に熱処理した、1000MPa以上の引張強度を有するエアバッグ用鋼管。」が記載されていると認める。

4.対比と判断
上記刊行物1ないし3のいずれにも、本件発明1の発明特定事項のうち、「上下に対向配置された超硬矯正ロールを用いる鋼材の曲がり矯正方法において」、「超硬ロールの硬さをHRA85?87とすること」について、明記されていない。
このうち、超硬ロールの硬さの下限値をHRA85とすることについて検討すると、矯正ロールを矯正しようとする鋼材よりも十分硬いものとすることによって、ロールの耐摩耗性を高めることは、当業者であれば容易に着想し得る程度の事項であり、そのHRA値は当業者が適宜選択し得る設計事項にすぎないということもできる。
しかしながら、超硬ロールの硬さの上限値をHRA87とすることは、本願の明細書の記載を参酌すると、耐ヒートクラック性を高めることを目的とするものと認められるところ、上記いずれの刊行物にも、矯正ロールの耐ヒートクラック性を高めるという課題も、課題の解決のために硬さの上限値を定めるという構成も、示唆する記載を見いだすことはできない。
したがって、本件発明1については、原審の拒絶理由によって、拒絶すべきものということはできない。
また、本件発明2は、本件発明1の発明特定事項をすべて含むから、同様に、原審の拒絶理由によって、拒絶すべきものということができない。

なお、本願の出願前に頒布された刊行物であって、当審の平成25年6月7日付審尋に引用された、周知技術を示す以下の文献についても、ここで検討する。
文献1: 特開昭62-24821号公報
文献2: 特開2004-195515号公報
文献1には、「上下に対向配置された矯正ロールを用いる鋼材の曲がり矯正方法。」が記載されていると認める。
また、文献2には、「ステンレス鋼の熱間圧延方法において、少なくとも表層が、硬度HV800以上で、現代の技術で製造可能な最大HV1200の超硬合金からなるロールを用いると、ロールはほとんど摩耗せず、ヒートクラックも発生しないこと。」が記載されていると認める。ここで、HV800はHRA83.4に、HV1200はHRA87.9にほぼ相当すると認められる。
文献2記載のロールは、その表層硬度が本件発明1のそれと一部重複し、表層硬度の最大値も定まっており、耐摩耗性と耐ヒートクラック性も備えている。しかしながら、文献2記載のロールはステンレス鋼の熱間圧延に用いるものであって矯正ロールではないこと、及び、表層硬度の最大値は現代の製造技術で可能な最大値であって、耐ヒートクラック性との関連性も示されていないこと、を考慮すると、文献2に記載された事項を刊行物1または2に記載された発明または事項と組み合わせて、本件発明1の「超硬ロールの硬さがHRA85?87であり、当該ロールの耐摩耗性および耐ヒートクラック性を確保する」という発明特定事項に到達することが当業者にとって容易であったということはできない。
したがって、本件発明1は刊行物1,2及び文献1,2に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではなく、本件発明2も同様に、刊行物1ないし3及び文献1,2に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではないから、出願時において独立して特許を受けることができないものということはできない。

5.むすび
以上のとおりであるから、本件発明1及び2については、原審の拒絶理由によって拒絶することはできない。また、他に拒絶理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
.
 
審決日 2013-12-26 
出願番号 特願2011-28905(P2011-28905)
審決分類 P 1 8・ 121- WY (B21D)
最終処分 成立  
前審関与審査官 村山 睦  
特許庁審判長 栗田 雅弘
特許庁審判官 豊原 邦雄
刈間 宏信
発明の名称 曲がり矯正方法  
代理人 特許業務法人 森道雄特許事務所  

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