ポートフォリオを新規に作成して保存 |
|
|
既存のポートフォリオに追加保存 |
|
PDFをダウンロード |
審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 G06Q |
---|---|
管理番号 | 1282909 |
審判番号 | 不服2013-1642 |
総通号数 | 170 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2014-02-28 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2013-01-29 |
確定日 | 2014-01-14 |
事件の表示 | 特願2011-194142「アプリケーション提供サーバ、アプリケーション提供方法」拒絶査定不服審判事件〔平成25年 3月21日出願公開、特開2013- 54681、請求項の数(9)〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 |
理由 |
第1 手続の経緯 本願は,平成23年9月6日の出願であって,平成24年7月5日付けで拒絶理由通知がなされ,同年8月31日に手続補正がなされたが,同年10月30日付けで拒絶査定がなされ,これに対し,平成25年1月29日に拒絶査定不服審判が請求されるとともに手続補正がなされ,当審において,同年5月24日付けで審尋がなされたが,回答書は提出されなかったものである。 第2 補正の適否 1.補正の内容 平成25年1月29日の手続補正(以下,「本件補正」という。)により補正された特許請求の範囲は,次のとおりである(下線は,審判請求人が付与したものである。)。 <本件補正後の特許請求の範囲> 「 【請求項1】 複数のユーザにネットワークを介してゲームアプリケーションを提供するアプリケーション提供サーバであって、 前記アプリケーション提供サーバと接続するクライアントを利用する第1のユーザから、非対戦型のゲームアプリケーションの選択、その非対戦型のゲームアプリケーションの競争相手とする第2のユーザの指定、および選択した非対戦型のアプリケーションの達成すべき目標としてあらかじめ定められた複数の目標の中から選択した第2のユーザに指定する目標を受け付ける受付部と、 第1のユーザが指定した非対戦型のゲームアプリケーションを第1のユーザに提供するアプリケーション提供部と、 第1のユーザによる非対戦型のゲームアプリケーションの終了後、前記目標に対する達成度を第1のユーザから取得する達成度取得部とを含み、 前記アプリケーション提供部は、第1のユーザによる非対戦型のゲームアプリケーションの終了後、第1のユーザに提供した非対戦型のゲームアプリケーションを、前記目標とともに第2のユーザに提供し、 前記達成度取得部は、第2のユーザによる非対戦型のゲームアプリケーションの終了後、前記目標に対する第2のユーザの達成度を第2のユーザから取得し、 本アプリケーション提供サーバはさらに、 前記達成度取得部が取得した第1のユーザの達成度と第2のユーザの達成度とを比較して、達成度の優劣を第1のユーザおよび第2のユーザに通知する通知部を含むことを特徴とするアプリケーション提供サーバ。 【請求項2】 第1のユーザによるゲームアプリケーションの終了後、第1のユーザが実行したゲームアプリケーションの実行を促すメッセージを、第1のユーザが設定した目標とともに第2のユーザに通知する実行促進部をさらに含み、 前記通知部は、第2のユーザがゲームアプリケーションの実行を受け入れるか否かを決定するために定められた所定の受入決定期間内に第2のユーザがゲームアプリケーションを実行しない場合、第2のユーザがゲームアプリケーションを実行しない旨を第1のユーザに通知することを特徴とする請求項1に記載のアプリケーション提供サーバ。 【請求項3】 前記アプリケーション提供部が提供したゲームアプリケーションを実現するプログラムは、本アプリケーション提供サーバの計算リソースにおいて実行されることを特徴とする請求項1または2に記載のアプリケーション提供サーバ。 【請求項4】 前記アプリケーション提供部は、ゲームアプリケーションを実現するプログラムを、本アプリケーション提供サーバを利用するユーザの端末に送信し、 前記プログラムは、前記ユーザの端末において実行されることを特徴とする請求項1または2に記載のアプリケーション提供サーバ。 【請求項5】 複数のユーザにネットワークを介してゲームアプリケーションを提供するクライアント・サーバ型システムにおけるアプリケーション提供方法であって、 前記サーバと接続するクライアント端末を利用する第1のユーザが選択した非対戦型のゲームアプリケーションを第1のユーザに提供するステップと、 第1のユーザによる非対戦型のゲームアプリケーションの終了後、第1のユーザが指定した第2のユーザに、第1のユーザに提供したゲームアプリケーション、および当該アプリケーションの達成すべき目標としてあらかじめ定められた複数の目標の中から第1のユーザが選択した第2のユーザに対して指定する目標を提供するステップと、 第2のユーザによる非対戦型のゲームアプリケーションの終了後、第1のユーザのゲームの前記目標に対する達成度と第2のユーザのゲームの前記目標に対する達成度とを第1のユーザおよび第2のユーザのクライアント端末に通知するステップとを、前記サーバの計算リソースに実行させることを特徴とするアプリケーション提供方法。 【請求項6】 ゲームアプリケーションを提供するサーバとネットワークを介して接続し、当該サーバからアプリケーションの提供を受けるクライアント端末であって、 非対戦型のゲームアプリケーションの選択、その非対戦型のゲームアプリケーションの競争相手とするユーザの指定、およびその非対戦型のゲームアプリケーションで達成すべき目標としてあらかじめ定められた複数の目標の中から選択した、競争相手とするユーザに指定する目標を前記サーバに指示する指示部と、 指定したゲームアプリケーションの実行画面を表示する表示部とを含み、 前記表示部はさらに、競争相手として指定したユーザが前記ゲームアプリケーションを終了した後に前記サーバから取得した、当該ユーザの前記目標に対する達成度と、本クライアント端末を利用するユーザの前記目標に対する達成度とを表示することを特徴とするクライアント端末。 【請求項7】 複数のユーザにネットワークを介してゲームアプリケーションを提供するクライアント・サーバ型システムであって、 前記システムと接続する、第1のユーザが利用するクライアント端末は、 非対戦型のゲームアプリケーションの選択、その非対戦型のゲームアプリケーションの競争相手とする第2のユーザの指定、および選択した非対戦型のアプリケーションの達成すべき目標としてあらかじめ定められた複数の目標の中から選択した第2のユーザに指定する目標を前記サーバに指示する指示部と、 指定した非対戦型のゲームアプリケーションの実行画面を表示する表示部と、 非対戦型のゲームアプリケーションの終了後、前記目標に対する達成度を前記サーバに送信する達成度送信部とを含み、 前記システムのサーバは、 前記第1のユーザが利用するクライアント端末から、非対戦型のゲームアプリケーションの選択、その非対戦型のゲームアプリケーションで達成すべき目標、およびその非対戦型のゲームアプリケーションの競争相手とする第2のユーザの指定を受け付ける受付部と、 第1のユーザが指定した非対戦型のゲームアプリケーションを第1のユーザの利用するクライアント端末に提供するアプリケーション提供部と、 第1のユーザによる非対戦型のゲームアプリケーションの終了後、前記目標に対する達成度を第1のユーザから取得する達成度取得部とを含み、 前記アプリケーション提供部は、第1のユーザによる非対戦型のゲームアプリケーションの終了後、第1のユーザに提供した非対戦型のゲームアプリケーションを、前記目標とともに第2のユーザに提供し、 前記達成度取得部は、第2のユーザによる非対戦型のゲームアプリケーションの終了後、前記目標に対する第2のユーザの達成度を第2のユーザから取得し、 本システムはさらに、 第1のユーザの達成度と第2のユーザの達成度とを比較する比較部を、前記クライアント端末と前記サーバとの少なくとも一方に含み、 前記表示部は、前記比較部が比較した結果をさらに表示することを特徴とするシステム。 【請求項8】 前記プリケーション提供部が提供するアプリケーションは、当該アプリケーションを実現するためのプログラムを、前記クライアント端末と前記サーバとの少なくともの一方の計算リソースが実行することで実現されることを特徴とする請求項7に記載のシステム。 【請求項9】 第1ユーザが利用する第1クライアント端末と第2ユーザが利用する第2クライアント端末との少なくともふたつのクライアント端末と、当該クライアント端末にネットワークを介して接続するサーバとを含むシステムにおけるゲームアプリケーション提供方法であって、 第1クライアント端末を介して第1ユーザから、非対戦型のゲームアプリケーションの選択、その非対戦型のゲームアプリケーションの競争相手とする第2のユーザの指定、および選択した非対戦型のアプリケーションの達成すべき目標としてあらかじめ定められた複数の目標の中から選択した第2のユーザに指定する目標を受け付ける受付ステップと、 第1ユーザの指定した非対戦型のゲームアプリケーションを、第1クライアント端末に提供する第1アプリケーション提供ステップと、 第1ユーザによる非対戦型のゲームアプリケーションの終了後、前記目標に対する達成度を第1クライアント端末から取得する第1達成度取得ステップと、 第1ユーザによる非対戦型のゲームアプリケーションの終了後、第1ユーザに提供した非対戦型のゲームアプリケーションを、前記目標とともに第2ユーザに提供する第2アプリケーション提供ステップと、 第2ユーザによる非対戦型のゲームアプリケーションの終了後、前記目標に対する第2ユーザの達成度を第2クライアント端末から取得する第2達成度取得ステップと、 第1ユーザの達成度と第2ユーザの達成度との比較結果を表示する表示ステップとを含み、 前記サーバのプロセッサは、前記受付ステップ、第1達成度取得ステップ、および第2達成度取得ステップを実行し、 前記第1クライアント端末のプロセッサと前記第2クライアント端末のプロセッサとはともに、前記表示ステップを実行し、 前記第1アプリケーション提供ステップは、前記第1クライアント端末のプロセッサと前記サーバのプロセッサとの少なくとも一方によって実行され、 前記第2アプリケーション提供ステップは、前記第2クライアント端末のプロセッサと前記サーバのプロセッサとの少なくとも一方によって実行されることを特徴とするアプリケーション提供方法。」 本件補正は,特許請求の範囲において,「ゲームアプリケーション」を「非対戦型のゲームアプリケーション」に限定し,「相手」を「競争相手」に限定するものであるから,特許法第17条の2第5項に規定される特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。 また,特許法第17条の2第3項,第4項に違反するところはない。 そこで,本件補正後の請求項1?8に記載された発明(以下,「請求項1発明」?「請求項8発明」という。)が,特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条7項の規定に適合するか(特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか)について以下に検討する。 2.引用文献 (1)特開2006-174916号公報 原査定の拒絶の理由に引用された特開2006-174916号公報(以下,「引用文献1」という。)には,次の事項が記載されている(下線は,当審において付与した。)。 <対戦要求システムの構成に関する記載> ア.「【0001】 本発明は、対戦ゲームにおいて自らのキャラクタのプレイデータを特定の相手を指定してネットワークサーバ等に蓄積し、指定した相手と対戦ができるTVゲーム装置における対戦要求システムに関する。」 イ.「【0010】 図3は、本発明による対戦要求システムのゲーム機の回路の実施の形態を示すブロック図である。 ・・・(中略)・・・ROM29にはレースゲームの制御および実行するプログラムおよび必要なデータが格納されており、RAM30はCPU20が演算を行うときに作業エリアとして用いられる。RAM30は、また作成したデータや読み込んだデータを一時的に保持する。」 ウ.「【0011】 ゲーム機は入出力制御装置24,ネットワークを介してサーバ装置14に接続されている。他のゲーム機も同様に接続されている。・・・(中略)・・・ CPU20は・・・(中略)・・・ROM29から読み込まれたプログラムにしたがって読み取りゲーム機全体を制御するとともにレースゲームを実行処理するゲーム制御部20aの各機能を有している。 ここでレースデータ(走行データ)とは、コース,車種,タイム,登録日時,各フレーム毎のハンドル,アクセル,ブレーキ,車の位置,速度,壁に当たったか、グリップしているかの情報などである。フレームとはゲームの処理1回のことを示し、通常は1/60秒毎である。」 <挑戦者側のプレイによってサーバ装置に走行データおよび挑戦状が蓄積される操作および動作> エ.「【0012】 図4は、対戦要求をする側と対戦要求を受ける側の操作および動作の手順の概略を説明するための図である。 このシステムは、挑戦者側のプレイによってサーバ装置にレースデータおよび挑戦状情報が蓄積される操作および動作(フロー(1))と、挑戦を受ける側のプレイおよびその結果情報がサーバ装置に蓄積される操作および動作(フロー(2))と、対戦結果を挑戦側がサーバ装置から受信する操作および動作(フロー(3))とから構成される。」 オ.「【0013】 図5Aは対戦要求,送信の流れを説明するためのフローチャート、図5Bは図5Aのフローチャートにおいて、ゲーム機やパソコン等の操作およびディスプレイに表示される画像例を示す図である。 「【0014】 ・・・(中略)・・・他の車に対戦要求、すなわち挑戦状を出す場合、ゲームを始める前に、予めパソコンまたは携帯電話機などでアクセスできるゲーム連動WEBコンテンツなどで、対戦するコースと相手を指定する操作を行うこととなる。・・・(中略)・・・ なお、対戦要求指定はWEBコンテンツではなく、ゲームセンタ内の専用端末やゲーム機本体で指定することも可能である。」 カ.「【0015】 ゲーム制御部20aは相手の指定を完了している場合、対戦要求作成部20bに制御を渡す。対戦要求作成部20bは、ゲームモードセレクトに挑戦状作成のモードを追加する(S004)。相手を指定していない場合には挑戦状作成モードの追加は行わない。 つぎにゲーム制御部20aは、ゲームモードを選択する画面を表示し、その中からプレイヤにゲームのモードを選択させる(S005)。プレイヤが操作部21により挑戦状作成モードを選択したときは、そのモードでレースをスタートする画面を表示し、レースを開始する(S006)。一方、他のモードを選択した場合には通常のゲームフローにブランチする。 図5B(c)に選択すべきモード例を示す。レースモード,タイムアタックモードに加えて挑戦状作成モードも表示される。 【0016】 ゲーム制御部20aはプレイヤの操作にしたがってレース処理を行い(S007)、レースデータ保存部20eによりレースの走行データをフレーム毎にRAM30に記録する(S008)。レース終了まで上記S007,S008が繰り返される。 図5B(d)にレース中の画面例を示す。レース終了と判断する(S009)と、挑戦状情報を付した走行データを入出力制御装置24を介しサーバ装置14に送信し、該サーバ装置14の記憶部14aに記録する(S010)。」 <挑戦を受ける側のプレイおよびその結果情報がサーバ装置に蓄積される操作および動作に関する記載> キ.「【0017】 図6Aは挑戦を受けるものが対戦要求を受信する流れを説明するためのフローチャートである。 ・・・(中略)・・・ ゲーム制御部20aはサーバ装置14にアクセスし、記憶部14aの内容を読みだして自分宛に挑戦状が届いているか否かのチェックを行う。すなわち自分宛の挑戦状が付された走行データが存在するか検索する(S103)。自分宛に挑戦状がある場合には挑戦状受信部20cに制御を渡し、該挑戦状受信部20cはゲームモードセレクトに挑戦状モードを追加する(S104)。これはゲームモードを選択する画面に挑戦状モードも選択可能なように設定するものである。 【0018】 ・・・(中略)・・・ 挑戦状モードを含む画面が表示され、プレイヤが操作部21により挑戦状モードを選択したときは挑戦状を受けるか否かを選択できる画面となる(S106)。・・・(中略)・・・ 【0019】 ゲーム制御部20aはS106においてプレイヤが挑戦状を受けた場合にはレースをスタートさせる画面を表示し、レースを開始する(S110)。これは挑戦状を受けてレースで勝敗を決するものである。 ・・・(中略)・・・ 【0020】 挑戦を受けた場合のレーススタート地点では、挑戦者の走行データにより再生された車ととも自分の車が並びスタートすることとなる。 ・・・(中略)・・・ 図6B(d)にレース中の相手の車(挑戦者)35と自分の車(挑戦を受けた者)36の画面の一例を示す。レース終了と判断する(S113)と、この時の走行データ,勝敗結果および決着情報を入出力制御装置24を介しサーバ装置14に送信し、該サーバ装置14の記憶部14aに記録する(S114)。 【0021】 ゲーム制御部20aはサーバ装置14への走行データ,勝敗結果および決着情報の記録が終了すると、画像処理部26を介して画像表示部7に確認表示を行う(S115)。 図6B(e)に確認表示例を示す。この例は挑戦者が勝った旨の記述およびその累計勝敗が表示されるとともに挑戦者に勝負結果が送られた旨の表示がされている。」 <対戦結果を挑戦側がサーバ装置から受信する操作および動作に関する記載> ク.「【0022】 図7Aは挑戦者が対戦結果を受信する流れを説明するためのフローチャートである。 ・・・(中略)・・・ ゲーム制御部20aはサーバ装置14にアクセスし、記憶部14aの内容を読みだして自分宛に決着情報が届いているか否かのチェックを行う(S203)。自分宛に決着情報がある場合には挑戦結果表示制御部20dに制御を渡し、該挑戦結果表示制御部20dはゲームモードセレクトに挑戦結果モードを追加する(S204)。すなわち、ゲームモードセレクトの画面に勝敗を確認するためのメニューが追加される。 【0023】 ・・・(中略)・・・ 挑戦結果モードを含む画面が表示され、プレイヤが操作部21により挑戦結果モードを選択したときは結果内容として勝敗決着済み,時間切れ,却下のいずれかが画像表示部7に表示されることとなる(S206)。 【0024】 勝敗決着済みの場合には勝敗が表示され(S207)、図7B(c)の上欄に示すような画面(「挑戦結果、あなたの負けです。累計7勝3敗」,「挑戦結果、おめでとうございます。あなたの勝ちです。累計8勝2敗」)が表示される。」 前記ア.?ク.によれば,引用文献1には,次の発明(以下,「引用発明」という。)が記載されているといえる。 <引用発明> 「複数のレースゲーム機が,ネットワークを介してサーバ装置に接続され, 挑戦者のレースゲーム機は,ROMから読み込まれたプログラムにしたがって読み取りゲーム機全体を制御するとともにレースゲームを実行処理し,対戦要求相手を指定して,レースゲームを完了すると,挑戦状情報を付した走行データをサーバ装置に発信し, 走行データは,コース,車種,タイム,登録日時,各フレーム毎のハンドル,アクセル,ブレーキ,車の位置,速度,壁に当たったか,グリップしているかの情報などであり,フレームはゲームの処理1回のことを示し,通常は1/60秒毎であり, サーバ装置は,挑戦状情報を付した走行データを記憶部に蓄積し, 挑戦を受ける者のレースゲーム機は,サーバ装置にアクセスして,記憶部の内容を読み出して自分あてに挑戦状が届いているか否かのチェックを行い,自分あての挑戦状がある場合には,挑戦状情報を付した走行データを受信し,挑戦状を受けるか否かを選択する画面において挑戦状を受ける選択がなされた場合には,レースゲームを開始し,レースゲームのスタート地点では,挑戦者の走行データにより再生された車ととも自分の車が並びスタートし,レース終了と判断すると,勝敗結果をサーバ装置に送信し, サーバ装置は,勝敗結果を記憶部に記録し, 挑戦を受ける者のレースゲーム機は,サーバ装置への勝敗結果の記録が終了すると,勝敗結果を表示し, 挑戦者のレースゲーム機は,サーバ装置にアクセスし、記憶部の内容を読みだして自分あて勝敗結果を受信している場合は挑戦結果モードを含むゲームモードセレクトの画面を表示し,挑戦結果モードが選択されたときは勝敗結果を表示する,対戦要求システム。」 (2)特開2011-086293号公報 原査定の拒絶の理由に引用された特開2011-086293号公報(以下,「引用文献2」という。)には,次の事項が記載されている(下線は,当審において付与した。)。 ケ.「【0001】 本発明は、ブラウザベースのゲームをプレイする方法、システム、およびコンピュータプログラムに関し、特に代替コントローラおよび改良されたインタフェースを用いてブラウザベースのゲームをプレイする方法、システム、およびコンピュータプログラムに関する。」 コ.「【0027】 図1は、実施の形態に係るブラウザベースのゲーム(BBG)をプレイするためのネットワーク環境を示す概略図である。ゲームプロバイダによってホストされたウェブサーバ102は、標準的なhttp(Hypertext Transfer Protocol)転送を用いて、ユーザ114aからユーザ114cにウェブページを配信する。ウェブページは、ウェブブラウザの機能を用いて多くのデバイスのうちのひとつでBBGをプレイするためのコードを含む。」 サ.「【0030】 ウェブゲームサーバ104は、BBGに関する情報を提供する。」 シ.「【0032】 プレイヤは、携帯電話118、ゲームコンソール106、PC(Personal Computer)126、PDA(Personal Digital Assistants)、ラップトップ、ワークステーションのような、ブラウザを含む任意のデバイスを通してBBGにアクセスすることができる。BBGはしばしばマウスとキーボードとの入力用に設計されているが、本発明の実施の形態によれば、プレイヤ114aから114cは、キーボードやマウスを使うのと同様にゲームのインタフェースとして他の方法やデバイスを使うことができる。これらのデバイスはタッチスクリーンやテンキー、カメラ110(プレイヤの動きや音声を取得するため)、両手コントローラ(two-handed controller)114、片手コントローラ(single-hand controller)112、リモコン122等を含む。 ・・・(中略)・・・ 【0035】 ウェブブラウザ210は、ウェブサーバ上の情報リソースの検索、提示、および横断のための拡張されたブラウザである。BBGを含むウェブページはHTTP(Hypertext Transfer Protocol)のような標準的なウェブプロトコルを用いてゲームウェブサイト208からダウンロードされる。」 ス.「【0050】 図3は、実施の形態に係るフラッシュ(登録商標)ゲームをプレイするためのゲームウェブページを示す図である。・・・(中略)・・・ 【0051】 ウェブブラウザ用のコマンドを入力するために用いられるメニューバー304とは反対に、ゲームカテゴリ選択メニュー308によってユーザはウェブページに関連する命令を入力することができる。ゲームがプレイされるゲームエリア312はウェブページの中央の目立つ場所に位置している。・・・(中略)・・・ 【0052】 ゲーム選択エリア314はゲームを選択するために用いられる。図3はテキストによる選択メニューの実施の形態を示すが、グラフィクス、アニメーション、プルダウンメニュー、スクロースバー等、他のメニュー領域も使用可能である。他の実施の形態では、ゲーム選択は別個のウェブページで実施され、ひとたびユーザによってゲームが選択されると、ゲームエリア312を含むページがダウンロードされる。」 前記ケ.?ス.によれば,引用文献2には,次の事項が記載されているといえる。 <引用文献2の記載事項> 「ブラウザベースのゲーム(BBG)をプレイするシステムであって, ゲームプロバイダのウェブサーバは,BBGをプレイするためのコードを含むウェブページをユーザに配信し, ウェブゲームサーバは,BBGに関する情報を提供し, プレイヤは,ブラウザを含む任意のデバイスを通してBBGにアクセスすることができ, 当該ウェブページには,ゲームがプレイされるゲームエリアと,ゲームを選択するために用いられるゲーム選択エリアを有し,ユーザによってゲームが選択されると,ゲームエリアを含むページがダウンロードされる,システム。」 (3)特開2000-37559号公報 原査定の拒絶の理由に引用された特開2000-37559号公報(以下,「引用文献3」という。)には,以下の事項が記載されている(下線は,当審において付与した。)。 セ.「【0045】ゲームシステムは、ゲームプレーヤーがゲームをプレーするゲーム装置100と、伝送路300を含むネットワークを介してコンピュータ端末400に前記ゲームの関連データを配信するゲームデータ配信装置200とを含む。」 ソ.「【0055】ゲーム装置100は、ゲームプレーヤーが操作部110を用いて操作したゲーム結果が、所定のゲーム条件を満たすかどうか判定する条件判定部120と、ゲーム条件を満たした場合に関連データにアクセスするためのアクセス用データ142をゲームプレーヤーに伝達する伝達部130とを含んで構成されている。」 タ.「【0057】ここで、ゲーム条件は、ゲームプレーヤーが、所定の選択を行うことが必要な選択条件および所定の成果を上げることが必要な成果条件の少なくとも一方と、ゲームをプレーした時点が所定の期間内であることが必要な期間条件とを含む。 【0058】選択条件としては、例えば、プレーするキャラクターの選択や、プレーするコースの選択等が該当し、成果条件としては、例えば、対戦ゲームでの連勝や、ゲームステージのクリア等が該当し、期間条件としては、例えば、7月20日から10月10日までといった日単位の期間等が該当する。」 チ.「【0083】ゲームデータ配信装置200は、関連データを記憶する記憶部230と、コンピュータ端末400から伝送路300を介してアクセス用データ142を、送受信部210により受信した場合に、アクセス用データ142が所定の配信条件を満たすかどうか判定し、前記配信条件を満たした場合に前記記憶手段から前記関連データを取り出し、送受信部210を用いて前記コンピュータ端末に配信するアクセス制御部220とを含む。」 前記セ.?チ.によれば,引用文献3には,次の事項が記載されている。 <引用文献3の記載事項> 「 ゲーム装置と,ネットワークを介してコンピュータ端末に前記ゲームの関連データを配信するゲームデータ配信装置とを含むゲームシステムであって, 前記ゲーム装置は, ゲームプレーヤーの操作結果が,所定のゲーム条件を満たすかどうか判定する手段と, 前記ゲーム条件を満たした場合に前記関連データにアクセスするためのアクセス用データをゲームプレーヤーに伝達する手段と, を含み, 前記ゲーム条件は,ゲームプレーヤーが,所定の選択を行うことが必要な選択条件と,所定の成果を上げることが必要な成果条件と,ゲームをプレーした時点が所定の期間内であることが必要な期間条件とを含み, 前記ゲームデータ配信装置は, 前記関連データを記憶する記憶手段と, 前記コンピュータ端末から前記アクセス用データを受信した場合に,前記アクセス用データが所定の配信条件を満たすかどうか判定し,前記配信条件を満たした場合に前記記憶手段から前記関連データを取り出し,前記コンピュータ端末に配信するための手段と, を含むことを特徴とするゲームシステム。」 (4)特開2007-69010号公報 原査定の拒絶の理由に引用された特開2007-69010号公報(以下,「引用文献4」という。)は分割出願に係る公報であり,引用文献3に係る出願を原出願とするものである。 そして,引用文献4には,前記<引用文献3の記載事項>と同様の事項が記載されている。 3.対比,判断 (1)請求項1発明 請求項1発明と引用発明とを対比する。 ・引用発明のサーバ装置は,ネットワークを介して,挑戦を受ける者のレースゲーム機には挑戦者の挑戦状情報を付した走行データを送信し,挑戦者のレースゲーム機には勝敗結果を送信するから,複数のユーザにネットワークを介して,これらのゲーム情報を提供するといえる。 したがって,引用発明のサーバ装置と,請求項1発明の「複数のユーザにネットワークを介してゲームアプリケーションを提供するアプリケーション提供サーバ」は,「複数のユーザにネットワークを介してゲーム情報を提供する提供サーバ」の点で共通する。 ・引用発明の「挑戦者のレースゲーム機」と,請求項1発明の「前記アプリケーション提供サーバと接続するクライアント」は,「前記提供サーバと接続するクライアント」の点で共通する。 ・引用発明の「挑戦者」は,レースゲーム機を用いてゲームを行うから,請求項1発明の「クライアントを利用する第1のユーザ」に相当する。 ・引用発明の挑戦者のレースゲーム機は,「対戦要求相手を指定して,レースゲームを完了すると,挑戦状情報を付した走行データをサーバ装置に発信」するから,サーバ装置が,挑戦状情報として,挑戦者から対戦要求相手の指定を受け付けることは明らかである。 したがって,引用発明のサーバ装置が挑戦状情報を受信するための手段と,請求項1発明の「前記アプリケーション提供サーバと接続するクライアントを利用する第1のユーザから、非対戦型のゲームアプリケーションの選択、その非対戦型のゲームアプリケーションの競争相手とする第2のユーザの指定、および選択した非対戦型のアプリケーションの達成すべき目標としてあらかじめ定められた複数の目標の中から選択した第2のユーザに指定する目標を受け付ける受付部」は,「前記提供サーバと接続するクライアントを利用する第1のユーザから,ゲームアプリケーションの競争相手とする第2のユーザの指定を受け付ける受付部」の点で共通する。 ・引用発明のサーバ装置は,挑戦者がレースゲームを完了すると,その走行データを受信する。この走行データは,挑戦者のゲーム結果といえる。 一方,請求項1発明のアプリケーション提供サーバは,「第1のユーザによる非対戦型のゲームアプリケーションの終了後、前記目標に対する達成度を第1のユーザから取得する達成度取得部」を含むが,この「目標に対する達成度」は,第1のユーザによるゲームの結果である。 したがって,引用発明のサーバ装置が,挑戦者のレースゲームを完了した後に,その走行データを受信するための手段と,請求項1発明の「第1のユーザによる非対戦型のゲームアプリケーションの終了後、前記目標に対する達成度を第1のユーザから取得する達成度取得部」は,「第1のユーザによるゲームアプリケーションの終了後、ゲーム結果を第1のユーザから取得する取得部」の点で共通する。 ・引用発明のサーバ装置は,挑戦を受ける者から,レースゲームの終了後に勝敗結果を受信する手段を有するといえる。この勝敗結果は,挑戦を受ける者のゲーム結果を含むといえる。 一方,請求項1発明の「前記達成度取得部は、第2のユーザによる非対戦型のゲームアプリケーションの終了後、前記目標に対する第2のユーザの達成度を第2のユーザから取得し」は,第2のユーザによるゲームアプリケーションの終了後に、ゲーム結果である達成度を第2のユーザから取得することといえる。 したがって,引用発明の上記手段が勝敗結果を受信することと,請求項1発明の「前記達成度取得部は、第2のユーザによる非対戦型のゲームアプリケーションの終了後、前記目標に対する第2のユーザの達成度を第2のユーザから取得し」は,「前記取得部は、第2のユーザによるゲームアプリケーションの終了後、第2のユーザのゲーム結果を第2のユーザから取得し」の点で共通する。 ・引用発明のサーバ装置は,挑戦者のレースゲーム機の勝敗結果を送信するが,これは,第1のユーザである挑戦者にゲーム結果の優劣を通知することといえる。 したがって,引用発明のサーバ装置における,挑戦者に勝敗結果を送信する手段と,請求項1発明の「前記達成度取得部が取得した第1のユーザの達成度と第2のユーザの達成度とを比較して、達成度の優劣を第1のユーザおよび第2のユーザに通知する通知部」は,「ゲーム結果の優劣を第1のユーザに通知する通知部」の点で共通する。 したがって,請求項1発明と引用発明は,以下の点で一致する。 <一致点> 「複数のユーザにネットワークを介してゲーム情報を提供する提供サーバであって, 前記提供サーバと接続するクライアントを利用する第1のユーザから,ゲームアプリケーションの競争相手とする第2のユーザの指定を受け付ける受付部と, 第1のユーザによるゲームアプリケーションの終了後、ゲーム結果を第1のユーザから取得する取得部とを含み, 前記取得部は、第2のユーザによるゲームアプリケーションの終了後、第2のユーザのゲーム結果を第2のユーザから取得し, 本提供サーバはさらに, ゲーム結果の優劣を第1のユーザに通知する通知部を含むことを特徴とする提供サーバ。」 そして,請求項1発明と引用発明は,次の点で相違する。 <相違点1> 提供サーバが,請求項1発明では「ゲームアプリケーションを提供するアプリケーション提供サーバ」であるのに対し,引用発明では,ゲームアプリケーションを提供しない点。 <相違点2> ゲームアプリケーションが,請求項1発明では「非対戦型」であるのに対し,引用発明では,挑戦者の車と挑戦を受ける者の車が並びスタートするレースゲームであるところから,「対戦型」である点。 <相違点3> 受付部が,請求項1発明では,「非対戦型のゲームアプリケーションの選択」と,「選択した非対戦型のアプリケーションの達成すべき目標としてあらかじめ定められた複数の目標の中から選択した第2のユーザに指定する目標」とを受け付けるのに対し,引用発明では,これらの情報を受け付けない点。 <相違点4> 請求項1発明は,「第1のユーザが指定した非対戦型のゲームアプリケーションを第1のユーザに提供するアプリケーション提供部」を含み,「前記アプリケーション提供部は、第1のユーザによる非対戦型のゲームアプリケーションの終了後、第1のユーザに提供した非対戦型のゲームアプリケーションを、前記目標とともに第2のユーザに提供」するのに対し,引用発明は,上記アプリケーション提供部を含まない点。 <相違点5> 取得部が,請求項1発明では「達成度取得部」であり,第1のユーザ及び第2のユーザから目標に対する「達成度」を取得するのに対し,引用発明では,「達成度」を取得するものではなく,挑戦者からの「走行データ」と,挑戦を受ける者からの「勝敗結果」を取得する点。 <相違点6> 取得部が,請求項1発明では,「取得した第1のユーザの達成度と第2のユーザの達成度とを比較」し,「達成度」の優劣を第1のユーザと第2のユーザに通知するのに対し,引用発明では,「取得した第1のユーザの達成度と第2のユーザの達成度とを比較」しておらず,また,挑戦者(第1のユーザ)に通知される情報は,「達成度」の優劣ではなく「勝敗結果」であり,挑戦を受ける者(第2のユーザ)には通知されない点。 次に,前記相違点1?6について検討する。 ア.請求項1発明は,相違点3,4に係る構成を備えることにより,第1のユーザが,第2のユーザとの競争に用いるゲームアプリケーションを選択すると,ゲームアプリケーション提供サーバは,選択されたゲームアプリケーションを第1のユーザと第2のユーザに提供するものである。 一方,引用発明は,レースゲーム機がROMにゲームプログラムを有することを前提としており,サーバ装置は,レースゲーム機にゲームアプリケーションを提供しない。 また,引用文献2には,ウェブサーバが「BBG(ブラウザベースのゲーム)をプレイするためのコードを含むウェブページをユーザに配信」すること,「ユーザによってゲームが選択されると,ゲームエリアを含むページがダウンロードされる」ことが記載されているものの,ユーザは,他のユーザとの競争に用いるゲームを選択しているのではなく,ウェブサーバは,選択されたゲームを競争相手(第2のユーザ)に提供しない。 したがって,引用文献2には,サーバが,第1のユーザから,競争に用いる「非対戦型のゲームアプリケーションの選択」を受け付け,選択されたゲームアプリケーションを第1のユーザと競争相手である第2のユーザに提供することは記載されていない。 イ.また,請求項1発明は,相違点3?6に係る構成を備えることにより,第1のユーザによって選択された「ゲームアプリケーションの達成すべき目標」を受け付けると,その目標を第2のユーザに提供し,その目標に対する達成度を第1のユーザと第2のユーザとから取得して比較し,その達成度の優劣を第1のユーザと第2のユーザに通知することができる。これにより,第1のユーザは,ゲームアプリケーションを用いて競争をする場合に,優劣を決めるための目標を選択できる。 一方,引用文献3,4に記載された選択条件,成果条件,期間条件は,ゲームデータ配信装置から関連データを得るために,ゲームプレーヤーがゲームを行う際に満たさなければならない条件であり,ゲームで競争をする場合の優劣を決めるための目標ではなく,ゲームプレーヤーが選択するものでもない。 したがって,引用文献3,4には,第1のユーザが「ゲームアプリケーションの達成すべき目標」を選択したり,その目標を第2のユーザに提供したり,ゲーム終了後に,その目標に対する達成度を取得して,第1のユーザの達成度と第2のユーザの達成度とを比較したり,達成度の優劣を第1のユーザと第2のユーザに通知するしたりすることは,何ら記載されていない。 ウ.したがって,引用発明に引用文献2?4に記載された発明を組み合わせたとしても,少なくとも相違点3?6に係る事項,特に相違点3,4に係る事項を含む,請求項1発明の受付部,アプリケーション提供部,達成度取得部,通知部を容易に想到し得えず,請求項1発明は,引用発明及び引用文献2?4に記載された発明に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたものではない。 (2)請求項2発明?請求項4発明 請求項2発明?請求項4発明は,請求項1を引用して,請求項1発明を更に限定したものであるから,請求項1発明と同様に,引用発明及び引用文献2?4に記載された発明に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたものではない。 (3)請求項5発明 請求項5発明の,「前記サーバと接続するクライアント端末を利用する第1のユーザが選択した非対戦型のゲームアプリケーションを第1のユーザに提供するステップ」,及び,「第1のユーザによる非対戦型のゲームアプリケーションの終了後、第1のユーザが指定した第2のユーザに、第1のユーザに提供したゲームアプリケーション、および当該アプリケーションの達成すべき目標としてあらかじめ定められた複数の目標の中から第1のユーザが選択した第2のユーザに対して指定する目標を提供するステップ」は,実質,請求項1発明のアプリケーション提供部で実行される手順に相当する。 また,請求項5発明の「第2のユーザによる非対戦型のゲームアプリケーションの終了後、第1のユーザのゲームの前記目標に対する達成度と第2のユーザのゲームの前記目標に対する達成度とを第1のユーザおよび第2のユーザのクライアント端末に通知するステップ」は,実質,請求項1発明の通知部で実行される手順に相当する。 そして,請求項1発明において検討したとおり,アプリケーション提供部,通知部は,引用発明及び引用文献2?4に記載された発明に基づいて,容易に想到し得るものではないから,請求項5発明も,引用発明及び引用文献2?4に記載された発明に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたものではない。 (4)請求項6発明 請求項6発明と引用発明とを対比する。 ・引用発明のレースゲーム機は,ネットワークを介してサーバ装置に接続され,サーバ装置から,挑戦状情報を付した走行データや勝敗結果を受信するところから,ゲーム情報を提供するサーバとネットワークを介して接続し,当該サーバからゲーム情報の提供を受けるクライアント端末といえる。 したがって,引用発明のレースゲーム機と,請求項6発明の「ゲームアプリケーションを提供するサーバとネットワークを介して接続し、当該サーバからアプリケーションの提供を受けるクライアント端末」は,「ゲーム情報を提供するサーバとネットワークを介して接続し,当該サーバからゲーム情報の提供を受けるクライアント端末」の点で共通する。 ・引用発明のレースゲーム機は,対戦要求相手を指定し,挑戦状情報を付した走行データをサーバ装置に発信するから,ゲームアプリケーションの競争相手とするユーザの指定を行う指示部を備えるといえる。 したがって,引用発明の上記指示部と,請求項6発明の「非対戦型のゲームアプリケーションの選択、その非対戦型のゲームアプリケーションの競争相手とするユーザの指定、およびその非対戦型のゲームアプリケーションで達成すべき目標としてあらかじめ定められた複数の目標の中から選択した、競争相手とするユーザに指定する目標を前記サーバに指示する指示部」は,「ゲームアプリケーションの競争相手とするユーザの指定を前記サーバに指示する指示部」の点で共通する。 ・引用発明のレースゲーム機は,ROMから読み込まれたプログラムにしたがってレースゲームを実行処理し,車がスタート地点から走行するような画面を表示するといえるから,実行画面を表示する表示部を備えるといえる。 したがって,引用発明の上記表示部は,請求項6発明の「指定したゲームアプリケーションの実行画面を表示する表示部」に相当する。 ・引用発明における挑戦者のレースゲーム機は,挑戦を受ける者のレースが終了した後,その勝敗結果をサーバ装置から読み出して表示する。したがって,引用発明は,表示部が競争相手として指定したユーザがゲームアプリケーションを終了した後にサーバから取得した、当該ユーザのゲーム結果を表示するといえる。 一方,請求項6発明の表示部によって表示される「当該ユーザの前記目標に対する達成度」もゲーム結果である。 したがって,引用発明の上記表示部と,請求項6発明の「前記表示部はさらに、競争相手として指定したユーザが前記ゲームアプリケーションを終了した後に前記サーバから取得した、当該ユーザの前記目標に対する達成度と、本クライアント端末を利用するユーザの前記目標に対する達成度とを表示する」は,「前記表示部はさらに,競争相手として指定したユーザが前記ゲームアプリケーションを終了した後に前記サーバから取得した,当該ユーザのゲーム結果を表示する」の点で共通する。 したがって,請求項6発明と引用発明は,以下の点で一致する。 <一致点> 「ゲーム情報を提供するサーバとネットワークを介して接続し,当該サーバからゲーム情報の提供を受けるクライアント端末であって, ゲームアプリケーションの競争相手とするユーザの指定を前記サーバに指示する指示部と, 指定したゲームアプリケーションの実行画面を表示する表示部とを含み, 前記表示部はさらに,競争相手として指定したユーザが前記ゲームアプリケーションを終了した後に前記サーバから取得した,当該ユーザのゲーム結果を表示するクライアント端末。」 そして,請求項6発明と引用発明は,以下の点で相違する。 <相違点1> 請求項6発明は,サーバからゲームアプリケーションの提供を受けるのに対し,引用発明は,サーバ装置からゲームアプリケーションの提供を受けるものではなく,ゲームアプリケーションは,レースゲーム機のROMに記憶されている点。 <相違点2> 指示部が,請求項6発明では,「非対戦型のゲームアプリケーションの選択」,「非対戦型のゲームアプリケーションで達成すべき目標としてあらかじめ定められた複数の目標の中から選択した、競争相手とするユーザに指定する目標」をサーバに指示するのに対し,引用発明では,これらの情報をサーバに指示しない点。 <相違点3> 表示部が,請求項6発明では,サーバから取得した「当該ユーザの前記目標に対する達成度」と、「本クライアント端末を利用するユーザの前記目標に対する達成度とを表示する」のに対し,引用発明では,サーバ装置から読み出した「勝敗結果」を表示する点。 次に,前記相違点1?3について検討する。 ア.請求項6発明は,相違点2に係る構成により,競争に用いるゲームアプリケーションを選択して,これをアプリケーション提供サーバに指示することができる。 一方,引用発明は,レースゲーム機がROMにゲームプログラムを有することを前提としており,競争に用いるゲームアプリケーションを選択することはできず,これをサーバ装置に指示することもない。 また,引用文献2には,ウェブサーバが「BBG(ブラウザベースのゲーム)をプレイするためのコードを含むウェブページをユーザに配信」すること,「ユーザによってゲームが選択されると,ゲームエリアを含むページがダウンロードされる」ことが記載されているものの,他のユーザとの競争に用いるゲームを選択して,これをウェブサーバに指示するものではない。 したがって,引用文献2には,クライアント端末が,競争に用いるゲームアプリケーションを選択して,そのゲームアプリケーションをアプリケーション提供サーバに指示することは,記載されてない。 イ.請求項6発明は,相違点2,3に係る構成により,ゲームアプリケーションで達成すべき目標を選択して,その目標に対する達成度で競争することができる。 一方,引用文献3,4に記載された選択条件,成果条件,期間条件は,ゲームデータ配信装置から関連データを得るために,ゲームプレーヤーがゲームを行う際に満たさなければならない条件であり,他のゲームプレーヤーと競争する際の目標となるものではなく,ゲームプレーヤーが選択して,競争相手とするゲームプレーヤーに指定できるものでもない。 したがって,引用文献3,4には,「非対戦型のゲームアプリケーションで達成すべき目標としてあらかじめ定められた複数の目標の中から選択した、競争相手とするユーザに指定する目標」を「ゲームアプリケーションを提供するサーバ」に指示したり,「当該ユーザの前記目標に対する達成度」と,「本クライアント端末を利用するユーザの前記目標に対する達成度」を表示したりすることは記載されていない。 ウ.したがって,引用発明に引用文献2?4に記載された発明を組み合わせたとしても,少なくとも相違点2,3に係る事項を含む,請求項6発明の指示部,表示部は容易に想到し得えず,請求項6発明は,引用発明及び引用文献2?4に記載された発明に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたものではない。 (5)請求項7発明 請求項7発明は,請求項1発明の受付部,アプリケーション提供部,達成度取得部,及び,請求項6発明の指示部を,実質備えるものである。 そして,これらの構成は,請求項1発明及び請求項6発明において検討したとおり,引用発明に引用文献2?4に記載された発明を組み合わせたとしても,容易に想到し得るものではないから,請求項7発明は,引用発明及び引用文献2?4に記載された発明に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたものではない。 (6)請求項8発明 請求項8発明は,請求項7を引用して,請求項7発明を限定したものであるから,請求項7発明と同様に,引用発明及び引用文献2?4に記載された発明に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたものではない。 (7)請求項9発明 請求項9発明の受付ステップは,請求項1発明の受付部に対応し,請求項9発明の第1アプリケーション提供ステップ及び第2アプリケーション提供ステップは,請求項1発明のアプリケーション提供部に対応する。 また,請求項9発明の第1達成度取得ステップ及び第2達成度取得ステップは,請求項1発明の達成度取得部に対応する。 そして,請求項1発明において検討したとおり,請求項1発明の上記受付部,アプリケーション提供部,達成度取得部は,引用発明及び引用文献2?4に記載された発明に基づいて容易に想到し得えないから,これらに対応した請求項9発明の受付ステップ,第1アプリケーション提供ステップ,第2アプリケーション提供ステップ,第1達成度取得ステップ,第2達成度取得ステップも容易に想到し得ない。 したがって,請求項9発明は,引用発明及び引用文献2?4に記載された発明に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたものではない。 4.むすび 本件補正は,特許法第17条の2第3項ないし第5項の規定に適合するとともに,特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合する。 第3 本願発明 本件補正は上記のとおり,特許法第17条の2第3項ないし第6項の規定に適合する。 そして,本願については,原査定の拒絶理由を検討してもその理由によって拒絶すべきものとすることはできない。 また,他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。 よって,結論のとおり審決する。 |
審決日 | 2013-12-27 |
出願番号 | 特願2011-194142(P2011-194142) |
審決分類 |
P
1
8・
121-
WY
(G06Q)
|
最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 小島 哲次 |
特許庁審判長 |
清田 健一 |
特許庁審判官 |
石川 正二 手島 聖治 |
発明の名称 | アプリケーション提供サーバ、アプリケーション提供方法 |
代理人 | 青木 武司 |
代理人 | 村田 雄祐 |
代理人 | 三木 友由 |
代理人 | 森下 賢樹 |