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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A63F
管理番号 1283014
審判番号 不服2012-8991  
総通号数 170 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2014-02-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2012-05-16 
確定日 2013-12-25 
事件の表示 特願2011-130685号「ゲーム装置、当該ゲーム装置で使用可能な玩具体、当該玩具体からなる玩具人形、および、ゲームプログラム、当該ゲームプログラムが実行されるコンピュータで使用可能な玩具体、当該玩具体からなる玩具人形」拒絶査定不服審判事件〔平成25年 1月 7日出願公開、特開2013-135号〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成23年6月10日の出願であって、平成24年2月16日付けで拒絶査定がされ、この査定に対し、同年5月16日に本件審判が請求されたものである。

第2 本願発明について
1.本願発明
本件出願の請求項1?6に係る発明は、平成23年12月2日付け手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1?6に記載された事項により特定されるものと認められるところ、請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、次のとおりである。
「【請求項1】
画像表示手段と、複数のゲーム用データを記憶したデータ記憶手段、ゲームプログラムを記憶したプログラム記憶手段、および、前記ゲームプログラムに基づいて、前記データ記憶手段からゲーム用データを読み出し、当該読み出したゲーム用データを用いてゲームを実行する手段を有するゲーム装置であって、
それぞれ種別を特定するための種別情報が付された2以上の玩具人形の胴部玩具体と2以上の玩具人形の腕部玩具体のうち、少なくとも1つの玩具人形の胴部玩具体および1つの玩具人形の腕部玩具体の種別情報を入力可能な情報入力手段を有し、
前記データ記憶手段は、前記複数のゲーム用データとして、玩具人形の胴部玩具体の種別情報と対応付けられた胴部画像データおよび玩具人形の腕部玩具体の種別情報と対応付けられた腕部画像データを複数記憶しており、
さらに、前記ゲーム装置は、前記データ記憶手段に記憶されたゲーム用データに基づいて主キャラクタ画像を前記画像表示手段に表示する画像表示制御手段と、
ゲーム中に第1の条件が満たされたか否かを判定する条件判定手段と、
前記条件判定手段が前記第1の条件が満たされたと判定した時から第1の所定時間内に、前記情報入力手段に玩具人形の腕部玩具体の種別情報が入力されたか否かを判定する情報入力判定手段と、を有し、
前記ゲームを実行する手段は、
前記情報入力手段に入力された玩具人形の胴部玩具体の種別情報および玩具人形の腕部玩具体の種別情報に対応付けられた胴部画像データおよび腕部画像データを前記データ記憶手段から読み出し、
当該読み出された胴部画像データおよび腕部画像データに基づく胴部画像および腕部画像を結合して前記主キャラクタ画像として前記画像表示手段に表示するよう前記画像表示制御手段を制御し、
前記条件判定手段がゲーム中に前記第1の条件が満たされたと判定した時から前記第1の所定時間内に、前記情報入力判定手段が前記情報入力手段に玩具人形の腕部玩具体の種別情報が新たに入力されたと判定したときには、当該入力された玩具人形の腕部玩具体の種別情報と対応付けられた腕部画像データを前記データ記憶手段から読み出し、 当該読み出した腕部画像データに基づく腕部画像を、前記主キャラクタ画像として前記胴部画像と結合して表示されている腕部画像に代えて前記胴部画像と結合して、前記結合キャラクタ画像として前記画像表示手段に表示するよう前記画像表示制御手段を制御する、
ことを特徴とするゲーム装置。」

2.引用刊行物とその記載事項
(1)原査定の拒絶の理由に引用された、本願出願前に頒布された刊行物である特開2008-104771号公報(以下「刊行物1」という。)には、ゲーム媒体、ゲーム機及びゲームシステムに関し、図面とともに、次の技術的事項が記載されている。
(ア)「【0001】・・
【背景技術】
【0002】
従来から、ゲームカードや、キャラクタを模した玩具体に記憶された情報に基づいて、ゲームのキュラクタの設定を行うゲーム機があった(例えば、特許文献1,2)。このタイプのゲーム機は、ゲーム機やサーバ等に記憶されたプレイヤのプレイ情報(対戦履歴等)と、プレイヤを特定する特定手段(例えば、IDカード等)の情報とを照合し、プレイヤの所持するゲームカード等の攻撃力等の情報を特定していた。」
(イ)「【0009】・・また、ゲーム機、サーバ等にゲーム媒体の情報を記憶させるための記憶装置を設けなくてもよいため、ゲーム機、サーバ等の負荷を軽減し、さらに、構成を簡略にすることができる。」という効果も生ずるものである。」
(ウ)「【0017】
以下、図面等を参照して、本発明のゲームシステムの実施例をあげて、さらに詳しく説明する。
図1は、本実施例のゲームシステム1のブロック図である。
図1に示すように、ゲームシステム1は、ロボット玩具10と、ゲーム機40と、モニタ60(表示部)とを備えている。ゲームシステム1は、インターネット等の通信網2を介して、ゲームに関する情報を、他のゲームシステム3やサーバ4との間で伝達可能であり、ゲームシステム1のプレイヤは、他のゲームシステム3のプレイヤと対戦したり、サーバ4とコンピュータ対戦することができる。
【0018】
ロボット玩具10は、ゲームに登場するキャラクタであり、胴体11と、頭部12と、右腕13と、武器14と、左腕15と、右足16と、左足17とからなるパーツ(ゲーム媒体)を組み立てることにより構成される。各パーツ11?17は、キャラクタの形態の該当部分を模した形状である。
【0019】
各パーツ11?17は、立体的なパーツであり、パーツ毎に市販されており、本実施例では、ロボット玩具10は、二足型の足(右足16、左足17)が取り付けられているが、この他にも、多足型や、キャタピラを備えたタンク型の足等が、別途市販されている。プレイヤは、これらの中から、好みのパーツや、胴体11等との相性のよいパーツを購入し、自分のロボット玩具10を、立体的に組み立てる。
各パーツ11?17には、キャラクタの該当部分(一部分)の形態と、その能力値(後述する)の情報とが記憶された半導体メモリ等の記憶装置(記憶部)を備えたRFIDタグ21?27が内蔵されている。つまり、胴体11にはRFIDタグ21が、頭部12にはRFIDタグ22が、右腕13にはRFIDタグ23が、武器14にはRFIDタグ24が、左腕15にはRFIDタグ25が、右足16にはRFIDタグ26が、左足17にはRFIDタグ26が、それぞれ、内蔵されている。
このように、各パーツ11?17にRFIDタグ21?27を内蔵することにより、ゲームシステム1は、各パーツ11?17とゲーム機40とを、ケーブル等を用いて接続することなく、ゲーム機40との間で、情報を容易に伝達し、また、RFIDタグ21?27の情報を容易に書き替えることができる。
【0020】
RFIDタグ21?27に記憶された能力値の情報は、例えば、各パーツ11?17の攻撃力、防御力、耐久度等の情報である。
攻撃力とは、武器14で攻撃した場合、対戦相手に与えるダメージの度合をいう。
防御力とは、各パーツ11?17が対戦相手から攻撃を受けた場合に、受けるダメージの度合をいう。
耐久度とは、各パーツ11?17の耐久度をいい、例えば、最初の耐久度が「10」であれば、攻撃を受ける度に減少していき、耐久度が「0」になった場合に、そのパーツは、ゲーム内で修復等しなければ使用不可能になる。また、耐久度は、例えば、武器14であれば残弾数、エネルギーを用いる武器であれば残エネルギー量等の情報である。
なお、以下は、他のパーツのRFIDタグに記憶された能力値の例である。
胴体11:耐久度、ジェネレーター性能
頭部12:耐久度、レーダー性能
腕部(右腕13、左腕15):握力、取り付け可能な武器
足部(左足17、右足16):機動性、最大積載量
本実施例では、各パーツ11?17にRFIDタグ21?27が設けられているので、これらの情報を、パーツ毎に記憶させることができる。」
(エ)「【0022】
ゲーム機40は、組み立てられたロボット玩具10の各パーツ11?17のRFIDタグ21?27の情報に基づいて、ゲームを進行する。ゲーム機40は、ゲームセンタ等に設置される大型ものであっても、家庭用の小型のものでもあってもよい。
ゲーム機40は、IDカードリーダ41と、タグリーダ・ライタ42と、コントローラ43と、プログラム記憶部44と、制御部50と、通信回路55とを備えている。
IDカードリーダ41は、プレイヤが所持し、プレイヤを特定するためのICカード等のIDカード(図示せず)の情報を、読み取るための装置である。・・・」
(オ)「【0024】・・・
プログラム記憶部44は、制御部50を駆動させるためのプログラムソフトが記憶された記憶装置であり、例えば、ハードディスク等である。このプログラムソフトには、ゲームに使用される映像等の情報が含まれている。」
(カ)「【0028】
図2は、本実施例のゲームシステム1の動作を示すフローチャートである。
ステップ(以下「S」という。)1において、プレイヤがコインをコイン投入口(図示せず)に投入することにより、制御部50がプレイ処理を開始する。」
(キ)「【0029】
S3において、プレイヤが各パーツ11?17からロボット玩具10を組み立て、タグリーダ・ライタ42のテーブル面42aに載置すると、タグリーダ・ライタ42は、各パーツ11?17のRFIDタグ21?27の情報を読み込んで、制御部50に出力する。
S4において、リーダ・ライタ制御部51は、タグリーダ・ライタ42によって読み出された各パーツ11?17のRFIDタグ21?27の情報に基づいて、キャラクタの全体の形態と能力値とを決定する。」
(ク)「【0030】)そして、ゲーム進行制御部52は、このキャラクタの全体のアニメ映像60aと能力値とを、モニタ60に表示する。」
(ケ)「【0031】・・・S6において、制御部50は、他のゲームシステム3との対戦プレイを開始する。」
(コ)「【0032】
S7において、対戦相手に攻撃することにより、武器14の残弾数が減少したり、攻撃を受けることにより、各パーツ11?17がダメージを受け、耐久度が減少した場合、タグリーダ・ライタ42は、適宜、各パーツ11?17のRFIDタグ21?27の情報を書き替える。つまり、ゲームシステム1は、プレイの進行に応じて各パーツ11?17の能力値が変化する場合に、その情報を、パーツ毎に書き替えて反映する。
このように、ゲームシステム1は、プレイの進行に応じて、ゲーム機40、サーバ4の記憶装置ではなく、RFIDタグ21?27の記憶装置の情報を書き替えるので、ゲーム機40、サーバ4の負荷を軽減することができる。
なお、各パーツ11?17は、ダメージを受け耐久度が0になった場合、補修、補給をしなければ、プレイに使用することはできない。補給等は、プレイヤが新たにコインを投入することにより行われる。例えば、武器14の残弾数が0になった場合には、プレイヤは、新たにコインを投入することにより、残弾数の補給を受けることができる。
また、複数のゲームシステムが、通信網2を介して接続され、複数のプレイヤが、例えば、2つのチームに分かれてチーム対戦する場合には、ゲームシステム1は、同じチームのプレイヤから、パーツ11?17の補給等ができるようにしてもよい。これにより、ゲームシステム1は、チームプレイ対戦における一体感を向上することができる。」

すると、刊行物1には、次の発明(以下「引用発明」という。)が開示されているものということができる。
「ロボット玩具10と、ゲーム機40と、モニタ60(表示部)とを備えているゲームシステム1であって、
ロボット玩具10は、ゲームに登場するキャラクタであり、胴体11と、頭部12と、右腕13と、武器14と、左腕15と、右足16と、左足17とからなるパーツを組み立てることにより構成され、
ボット玩具10は、二足型の足(右足16、左足17)が取り付けられているが、この他にも、多足型や、キャタピラを備えたタンク型の足等が、別途市販されていて、プレイヤは、これらの中から、好みのパーツや、胴体11等との相性のよいパーツを購入し、自分のロボット玩具10を、立体的に組み立て、
各パーツ11?17には、キャラクタの該当部分(一部分)の形態と、その能力値(後述する)の情報とが記憶された半導体メモリ等の記憶装置(記憶部)を備えたRFIDタグ21?27が内蔵され、
RFIDタグ21?27に記憶された能力値の情報は、例えば、各パーツ11?17の攻撃力、防御力、耐久度等の情報であり、
このように、各パーツ11?17にRFIDタグ21?27を内蔵することにより、ゲームシステム1は、各パーツ11?17とゲーム機40とを、ケーブル等を用いて接続することなく、ゲーム機40との間で、情報を容易に伝達し、また、RFIDタグ21?27の情報を容易に書き替えることができ、
ゲーム機40は、組み立てられたロボット玩具10の各パーツ11?17のRFIDタグ21?27の情報に基づいて、ゲームを進行し、
IDカードリーダ41と、タグリーダ・ライタ42と、コントローラ43と、プログラム記憶部44と、制御部50と、通信回路55とを備え、
プログラム記憶部44は、制御部50を駆動させるためのプログラムソフトが記憶された記憶装置であり、
ゲームシステム1の動作は、
ステップ(以下「S」という。)3において、プレイヤが各パーツ11?17からロボット玩具10を組み立て、タグリーダ・ライタ42のテーブル面42aに載置すると、タグリーダ・ライタ42は、各パーツ11?17のRFIDタグ21?27の情報を読み込んで、制御部50に出力し、
S4において、リーダ・ライタ制御部51は、タグリーダ・ライタ42によって読み出された各パーツ11?17のRFIDタグ21?27の情報に基づいて、キャラクタの全体の形態と能力値とを決定し、
ゲーム進行制御部52は、このキャラクタの全体のアニメ映像60aと能力値とを、モニタ60に表示し、
S6において、制御部50は、他のゲームシステム3との対戦プレイを開始するものであって、
S7において、対戦相手に攻撃することにより、武器14の残弾数が減少したり、攻撃を受けることにより、各パーツ11?17がダメージを受け、耐久度が減少した場合、タグリーダ・ライタ42は、適宜、各パーツ11?17のRFIDタグ21?27の情報を書き替える、つまり、ゲームシステム1は、プレイの進行に応じて各パーツ11?17の能力値が変化する場合に、その情報を、パーツ毎に書き替えて反映し、
各パーツ11?17は、ダメージを受け耐久度が0になった場合、補修、補給をしなければ、プレイに使用することはできず、
補給等は、プレイヤが新たにコインを投入することにより行われ、
また、同じチームのプレイヤから、パーツ11?17の補給等ができるようにしてもよい、
ゲームシステム1」

(2)原査定の拒絶の理由に引用された、本願出願前に頒布された刊行物である特開2006-95181号公報(以下「刊行物2」という。)には、ゲーム装置、記憶媒体及び取付体に関し、図面とともに、次の技術的事項が記載されている。
(ア)「【0015】
本発明における「変動値」とは、ゲーム上に登場する1のキャラクタに関するキャラクタ情報に含まれる数値であって、ゲームの進行状況又はプレーヤによって入力された指示に応じて変動(増加又は減少)する数値をいう。・・・ゲームの継続(終了)に間接的に影響する変動値としては、例えば、キャラクタが使用する銃の弾丸数や、キャラクタが装着する防具に設定された守備力値等を挙げることができる。・・・
【0031】
(ゲーム装置の構成)
図3は、ゲーム装置1の外観を示す斜視図である。・・・
【0032】
この迷宮対戦ゲームにおいては、プレーヤが用いるICチップ内蔵ディスクとICチップ内蔵ディスクを取り付け可能なアタッチメントとによってキャラクタの能力値が決定される。また、ICチップ内蔵ディスクに記憶されている情報は、対戦結果に応じて書き換えられる。すなわち、ICチップ内蔵ディスクに記憶されている情報には、プレーヤ自身のゲームの結果が反映されるようになっている。
なお、本実施形態では、本発明における記憶媒体としてICチップ内蔵ディスクを採用している場合について説明するがこれに限らない。・・・」
(イ)「【0040】
図4は内部の構成を中心に示すゲーム装置1のブロック図である。・・・
【0047】
報知画像表示制御手段としての画像制御回路71は、・・・画像表示を制御して、キャラクタを示す画像等の各種の画像を・・・表示させる。
【0048】
この画像制御回路71は、図5に示すように、・・・画像ROM71d・・・を有している。・・・
【0049】・・・画像ROM71dは、画像を形成するためのドットデータを記憶している。画像ROM71dは、認証ユニット15によるディスク情報の読み取りを開始する報知画像を表す報知画像データを記憶する記憶手段として機能するものである。・・・」
(ウ)「【0085】
ステップS10において、詳しくは後述するが、ゲーム装置1は、プレーヤによって認証ユニット15にセットされたアタッチメント40及びディスク45から情報を読み取り、読み取った情報に基づいてキャラクタ情報を生成する。」
(エ)「【0100】
図13は、キャラクタ情報生成テーブルの一例を示す図である。・・・始めに読み取ったディスク(ディスク1とする)のアイテムは、例えば、ショットガンを表しており、ディスク情報は“ディスクID「4000b」、攻撃力「20」、スロット数「1」、残り弾丸数「10」”である。また、2番目に読み取ったディスク(ディスク2とする)のアイテムは、例えば、防弾服を表しており、ディスク情報は“ディスクID「6000e」、防御力「20」、スロット数「1」”である(図13(a)参照)。」
(オ)「【0102】・・・具体的には、キャラクタ基本情報に2つのディスク情報(ディスク1及びディスク2)の能力値(生命力、攻撃力、防御力)が加算され、キャラクタ情報“生命力「200」、攻撃力「220」、防御力「220」、残り弾丸数「10」”が生成される(ステップS106)のである。」
(カ)「【0114】
(対戦処理)
図16は、図10に示すフローチャートのステップS18において実行されるサブルーチンを示すフローチャートである。対戦が開始されると、例えば、図21(a)のような対戦画像92が表示され、画面の左下には、残り弾丸数を表す残り弾丸数画像97が表示される。
【0115】
まず、ステップS120において、メインCPU32は、弾丸数が所定数(本実施形態では“0”)以下であるか否かを判断する。所定数以下ではない場合(ステップS120:NO)、処理をステップS123に移す。一方、所定数以下の場合(ステップS120:YES)、処理をステップS121に移す。
【0116】
ステップS121において、・・・画像ROM71dから報知画像データが抽出され、抽出された報知画像データの表示制御が行われる。・・・サブディスプレイ12には、例えば、図21(b)に示すように、弾丸数が“0”以下の場合に表示される報知画像96が、画面左下の残り弾丸数画像97の上側に表示される。また、読み取り開始ボタン画像96aが、画面左下の残り弾丸数画像97の右側に表示される。次に、ステップS122においては、ディスク交換処理を行う。プレーヤは、サブディスプレイ12に報知画像96が表示されると、弾丸数が“0”以下となったディスク45を他のディスク45と交換する。
次に、ステップS127において、プレーヤによる読み取り要求の指示があったか否かを判断する。タッチパネル11aを介して、読み取り開始ボタン画像96aに対応するディスク情報の読み取り開始の要求指示があれば、処理をステップS128に移し(ステップS127:YES)、一方、プレーヤによるディスク情報の読み取り開始の要求指示がなければ指示があるまで待機する(ステップS127:NO)。なお、プレーヤによる読み取り要求の指示の代わりに、所定の時間が経過(例えば、30秒)すれば、ディスク情報の読み取りを開始するとしてもよい。
【0117】
次に、ステップS128においては、・・・認証ユニット15を駆動してディスク情報を読み取り、・・・ディスク情報に含まれる残り弾丸数をキャラクタ情報の残り弾丸数とする。例えば、新しく取り付けたディスク45のディスク情報に含まれる残り弾丸数が「5」であれば、交換後(回復後)のキャラクタ情報の残り弾丸数は「5」である。
なお、本実施形態においては、交換するディスクは、武器(銃)に関するディスクとする
が、これに限らず、例えば、他のアイテムを表すディスク(例えば、防具)の交換を行うとしてもよい。
【0118】・・・本実施形態では、弾丸数(変動値)は、プレーヤによって入力された指示に応じて減少(変動)することとしたが、これに限定されず、本発明における変動値は、ゲームの進行状況に応じて変動するとしてもよい。例えば、変動値は、キャラクタが装備する防具の防御力であり、他のキャラクタから攻撃を受けることにより、ゲーム装置が防具の防御力を減少させる場合が挙げられる。
【0119】
ステップS125において、メインCPU32は、移動や防御等のその他の戦闘処理を行い、処理をステップS129に移す。
【0120】・・・次に、ステップS126において、対戦が終了したか否かを判断する。対戦が終了していないと判断した場合、処理をステップS120に戻し(ステップS126:NO)、対戦が終了したと判断した場合(ステップS126:YES)、本サブルーチンを終了する。」
(キ)「【0125】
以上、本発明によれば、ゲームの進行状況又はプレーヤによって入力された指示に応じて、キャラクタ情報に含まれるキャラクタが使用する銃の弾丸数が変動処理され、変動処理された銃の弾丸数が認証ユニット15(キャラクタ構成情報書換手段)によってディスク45に書き込まれる。そして、例えば、アタッチメント40に取り付けられているディスク45を他のディスク45へと物理的に交換することにより、他のディスク45からディスク情報が読み取られることとなるので、ディスク45を交換する前後でキャラクタ情報に含まれる弾丸数を他のディスク45が記憶している弾丸数へと更新させることができる。
その結果、ゲームの進行状況又はプレーヤによって入力された指示によってゲームの実行中に変動していく弾丸数を、ディスク45を物理的に交換することによって新たな弾丸数に更新(弾丸数を補充)しながら進めていくといった動的で新たな趣向性を有する戦略性の高いゲームを提供することが可能となる。
【0126】
また、このように、アタッチメント40に取り付けられているディスク45を他のディスク45へと物理的に交換することにより、交換する前後でキャラクタ情報に含まれる弾丸数を交換させることができるので、ゲームの実行中に弾丸数の異なるキャラクタ情報を生成することが可能となり、ゲームに飽きることがなく、ゲームの継続性を担保することができる。」
(ク)記載事項(カ)の「ステップS127において、プレーヤによる読み取り要求の指示があったか否かを判断する。タッチパネル11aを介して、読み取り開始ボタン画像96aに対応するディスク情報の読み取り開始の要求指示があれば、処理をステップS128に移し(ステップS127:YES)、一方、プレーヤによるディスク情報の読み取り開始の要求指示がなければ指示があるまで待機する(ステップS127:NO)。なお、プレーヤによる読み取り要求の指示の代わりに、所定の時間が経過(例えば、30秒)すれば、ディスク情報の読み取りを開始するとしてもよい。」は、「指示の代わりに、所定の時間が経過」する態様に着目すると、
「ステップS127において、所定の時間が経過(例えば、30秒)があったか否かを判断する。時間経過があれば、処理をステップS128に移す」ともいえる。
(ケ)記載事項(カ)の「弾丸数」は、、記載事項(【0118】)の「本実施形態では、弾丸数(変動値)は、プレーヤによって入力された指示に応じて減少(変動)することとしたが、これに限定されず、本発明における変動値は、ゲームの進行状況に応じて変動するとしてもよい。例えば、変動値は、キャラクタが装備する防具の防御力であり、他のキャラクタから攻撃を受けることにより、ゲーム装置が防具の防御力を減少させる場合が挙げられる。」ものであって、「変動値は、キャラクタが装備する防具の防御力であり、他のキャラクタから攻撃を受けることにより、ゲーム装置が防具の防御力を減少させる」態様に着目すると、「防具の防御力」と言い換えることができる。

すると、刊行物2には、次の発明(以下「刊行物2記載の発明」という。)が開示されているものということができる。
「防具の防御力が所定数(本実施形態では“0”)以下であるか否かを判断するステップS120と、
防具の防御力が“0”以下の場合に表示される報知画像96が、画面左下の残り防具の防御力画像97の上側に表示するステップS121と、
プレーヤがディスク45を他のディスク45と交換するステップS122と、
所定の時間が経過(例えば、30秒)があったか否かを判断するステップS127等を有し、
ステップS120において、メインCPU32は、防具の防御力が所定数(本実施形態では“0”)以下であるか否かを判断し、所定数以下の場合(ステップS120:YES)、処理をステップS121に移し、
ステップS121において、画像ROM71dから報知画像データが抽出され、抽出された報知画像データの表示制御が行われ、サブディスプレイ12には、例えば、図21(b)に示すように、防具の防御力が“0”以下の場合に表示される報知画像96が、画面左下の残り防具の防御力画像97の上側に表示され、
ステップS122においては、プレーヤは防具の防御力が“0”以下となったディスク45を他のディスク45と交換し、
ステップS127において、所定の時間が経過(例えば、30秒)があったか否かを判断し、時間経過があれば、処理をステップS128に移す、
ステップS128においては、認証ユニット15を駆動してディスク情報を読み取り、ディスク情報に含まれる防具の防御力をキャラクタ情報の防具の防御力とし、
ステップS125において、メインCPU32は、移動や防御等のその他の戦闘処理を行い、処理をステップS129に移し、
ステップS126において、対戦が終了していないと判断した場合、処理をステップS120に戻し、対戦が終了したと判断した場合、本サブルーチンを終了する
ゲーム装置。」

3.本願発明と引用発明との対比
(1)両発明の対応関係
(a)引用発明の「モニタ60(表示部)」は、本願発明の「画像表示手段」に相当する。
(b)引用発明の「RFIDタグ21?27」は、「キャラクタの該当部分(一部分)の形態と、その能力値(後述する)の情報とが記憶された半導体メモリ等の記憶装置(記憶部)を備えた」ものであるので、本願発明の「複数のゲーム用データを記憶したデータ記憶手段」に相当する。
ただし、引用発明の「RFIDタグ21?27」は、各パーツ11?17それぞれに設けられるものであって、本願発明の「データ記憶手段」の様にゲーム用データとして、「玩具人形の胴部玩具体の種別情報と対応付けられた胴部画像データおよび玩具人形の腕部玩具体の種別情報と対応付けられた腕部画像データを複数記憶」しているものでは無い。
(c)引用発明の「プログラム記憶部44」は、「制御部50を駆動させるためのプログラムソフトが記憶された記憶装置」であるので、本願発明の「ゲームプログラムを記憶したプログラム記憶手段」に相当する。
(d)引用発明の「ゲームシステム1」は、
「ステップ(以下「S」という。)3において・・RFIDタグ21?27の情報を読み込んで・・・
S4において・・RFIDタグ21?27の情報に基づいて、キャラクタの全体の形態と能力値とを決定し・・モニタ60に表示し、
S6において・・対戦プレイを開始する」ものであって、
当該動作を実現するためには、ゲームシステム1が、当該各動作実行する手段、すなわちゲームを実行する手段を有するものであることが自明であるので、本願発明の「ゲームプログラムに基づいて、前記データ記憶手段からゲーム用データを読み出し、当該読み出したゲーム用データを用いてゲームを実行する手段を有するゲーム装置」に相当する。
(e)引用発明のRFIDタグ21?27の「キャラクタの該当部分(一部分)の形態と、その能力値(後述する)の情報」は、本願発明の「種別を特定するための種別情報」に相当する。
そして、引用発明の「パーツ11?17」は、「キャラクタの該当部分(一部分)の形態と、その能力値(後述する)の情報とが記憶された半導体メモリ等の記憶装置(記憶部)を備えたRFIDタグ21?27が内蔵されている」ものであるので、本願発明の「種別を特定するための種別情報が付され」た「玩具人形」の「玩具体」に相当する。
また、引用発明の「パーツ11?17」と、本願発明の「玩具人形の胴部玩具体」及び「玩具人形の腕部玩具体」とは、玩具人形の玩具体ある点で共通し、さらに、引用発明の「胴体11」、「腕部(右腕13、左腕15)」は、それぞれ本願発明の「玩具人形の胴部玩具体」、「玩具人形の腕部玩具体」にも相当する。
(f)引用発明の「タグリーダ・ライタ42」は、「プレイヤが各パーツ11?17からロボット玩具10を組み立て、タグリーダ・ライタ42のテーブル面42aに載置すると、タグリーダ・ライタ42は、各パーツ11?17のRFIDタグ21?27の情報を読み込んで、制御部50に出力」するものであるので、本願発明の「少なくとも1つの玩具人形の胴部玩具体および1つの玩具人形の腕部玩具体の種別情報を入力可能な情報入力手段」に相当する。
(g)引用発明の「RFIDタグ21?27」が「キャラクタの該当部分(一部分)の形態と、その能力値(後述する)の情報とが記憶された」ものであることと、本願発明の「データ記憶手段は、前記複数のゲーム用データとして、玩具人形の胴部玩具体の種別情報と対応付けられた胴部画像データおよび玩具人形の腕部玩具体の種別情報と対応付けられた腕部画像データを複数記憶」していることとは、
データ記憶手段は、ゲーム用データとして、玩具人形の胴部や腕部の形態を表すデータを記憶している点で共通する。
(h)引用発明の「ゲーム進行制御部52」は、
「S4において、リーダ・ライタ制御部51は、タグリーダ・ライタ42によって読み出された各パーツ11?17のRFIDタグ21?27の情報に基づいて、キャラクタの全体の形態と能力値とを決定・・・ゲーム進行制御部52は、このキャラクタの全体のアニメ映像60aと能力値とを、モニタ60に表示」するものであるので、
本願発明の「データ記憶手段に記憶されたゲーム用データに基づいて主キャラクタ画像を前記画像表示手段に表示する画像表示制御手段」に相当する。
(i)引用発明のパーツ11?17の「補給等」が行われることと、本願発明の「前記情報入力手段に玩具人形の腕部玩具体の種別情報が新たに入力され」ることとは、玩具人形の玩具体の情報が変更されることで共通する。
(j)引用発明の「・・ゲーム進行制御部52は、このキャラクタの全体のアニメ映像60aと能力値とを、モニタ60に表示し、・・
S7において、・・各パーツ11?17は、ダメージを受け耐久度が0になった場合、補修、補給をしなければ、プレイに使用することはできず」(なお、「耐久度」は「能力値」の一例。)の「耐久度が0」は、本願発明の「第1の条件」に相当し、上記動作を実現するためには、耐久度が0になった状態を判定する条件判定手段が存在することが自明であって、当該動作を実現する構成は、本願発明の「ゲーム中に第1の条件が満たされたか否かを判定する条件判定手段」に相当する。
(k)引用発明の「S7において、・・攻撃を受けることにより、各パーツ11?17がダメージを受け、耐久度が減少した場合、タグリーダ・ライタ42は、適宜、各パーツ11?17のRFIDタグ21?27の情報を書き替える、つまり、ゲームシステム1は、プレイの進行に応じて各パーツ11?17の能力値が変化する場合に、その情報を、パーツ毎に書き替えて反映し、
各パーツ11?17は、ダメージを受け耐久度が0になった場合、補修、補給をしなければ、プレイに使用することはできず」の「補修、補給」、すなわち補給等は、「補給等は、プレイヤが新たにコインを投入することにより行われ、
また、同じチームのプレイヤから、パーツ11?17の補給等ができるようにしてもよい、」ものであって、パーツ11?17の補給等ができ、その場合、それらが新たにプレイに使用できるものとなり、補給等がなされた各パーツの情報が変更され、変更された各パーツの情報でゲームを進行することになることは自明である。
そうすると、引用発明の「S7において、・・攻撃を受けることにより、各パーツ11?17がダメージを受け、耐久度が減少した場合、タグリーダ・ライタ42は、適宜、各パーツ11?17のRFIDタグ21?27の情報を書き替える、つまり、ゲームシステム1は、プレイの進行に応じて各パーツ11?17の能力値が変化する場合に、その情報を、パーツ毎に書き替えて反映し、
各パーツ11?17は、ダメージを受け耐久度が0になった場合、補修、補給をしなければ、プレイに使用することはでき」ない様に動作させることと、本願発明の「前記条件判定手段がゲーム中に前記第1の条件が満たされたと判定した時から前記第1の所定時間内に、前記情報入力判定手段が前記情報入力手段に玩具人形の腕部玩具体の種別情報が新たに入力されたと判定したときには、当該入力された玩具人形の腕部玩具体の種別情報と対応付けられた腕部画像データを前記データ記憶手段から読み出し、 当該読み出した腕部画像データに基づく腕部画像を、前記主キャラクタ画像として前記胴部画像と結合して表示されている腕部画像に代えて前記胴部画像と結合して、前記結合キャラクタ画像として前記画像表示手段に表示するよう前記画像表示制御手段を制御する」こととは、
第1の条件が満たされた後に、
玩具人形の玩具体の情報が変更されたときには、
変更された玩具人形の玩具体の情報でゲームを進行するように制御する点で共通する。
(l)そして、引用発明のゲームシステム1がS3?S7の動作を行うことと、本願発明の「前記ゲームを実行する手段は、
前記情報入力手段に入力された玩具人形の胴部玩具体の種別情報および玩具人形の腕部玩具体の種別情報に対応付けられた胴部画像データおよび腕部画像データを前記データ記憶手段から読み出し、
当該読み出された胴部画像データおよび腕部画像データに基づく胴部画像および腕部画像を結合して前記主キャラクタ画像として前記画像表示手段に表示するよう前記画像表示制御手段を制御し、
前記条件判定手段がゲーム中に前記第1の条件が満たされたと判定した時から前記第1の所定時間内に、前記情報入力判定手段が前記情報入力手段に玩具人形の腕部玩具体の種別情報が新たに入力されたと判定したときには、当該入力された玩具人形の腕部玩具体の種別情報と対応付けられた腕部画像データを前記データ記憶手段から読み出し、 当該読み出した腕部画像データに基づく腕部画像を、前記主キャラクタ画像として前記胴部画像と結合して表示されている腕部画像に代えて前記胴部画像と結合して、前記結合キャラクタ画像として前記画像表示手段に表示するよう前記画像表示制御手段を制御する」こととは、
ゲームを実行する手段は、
情報入力手段に入力された玩具人形の胴部や腕部の形態を表すデータをデータ記憶手段から読み出し、
当該読み出された胴部画像データおよび腕部画像データに基づく胴部画像および腕部画像を結合して主キャラクタ画像として画像表示手段に表示するよう画像表示制御手段を制御し、
第1の条件が満たされた後に、玩具人形の玩具体の情報が変更されたときには、変更された玩具人形の玩具体の情報でゲームを進行するように制御
する点で共通する。

(2)両発明の一致点
「画像表示手段と、複数のゲーム用データを記憶したデータ記憶手段、ゲームプログラムを記憶したプログラム記憶手段、および、前記ゲームプログラムに基づいて、前記データ記憶手段からゲーム用データを読み出し、当該読み出したゲーム用データを用いてゲームを実行する手段を有するゲーム装置であって、
それぞれ種別を特定するための種別情報が付された少なくとも1つの玩具人形の胴部玩具体および1つの玩具人形の腕部玩具体の種別情報を入力可能な情報入力手段を有し、
前記データ記憶手段は、ゲーム用データとして、玩具人形の胴部や腕部の形態を表すデータを記憶しており、
さらに、前記ゲーム装置は、前記データ記憶手段に記憶されたゲーム用データに基づいて主キャラクタ画像を前記画像表示手段に表示する画像表示制御手段と、
ゲーム中に第1の条件が満たされたか否かを判定する条件判定手段と、
を有し、
ゲームを実行する手段は、
情報入力手段に入力された玩具人形の胴部や腕部の形態を表すデータをデータ記憶手段から読み出し、
当該読み出された胴部画像データおよび腕部画像データに基づく胴部画像および腕部画像を結合して主キャラクタ画像として画像表示手段に表示するよう画像表示制御手段を制御し、
第1の条件が満たされた後に、玩具人形の玩具体の情報が変更されたときには、変更された玩具人形の玩具体の情報でゲームを進行するように制御するゲーム装置。」

(3)両発明の相違点
ア.ゲーム装置の玩具人形の胴部玩具体および玩具人形の腕部玩具体が、本願発明は「2以上の玩具人形の胴部玩具体と2以上の玩具人形の腕部玩具体のうち」の少なくとも1つであるのに対して、引用発明は胴体11と腕部(右腕13、左腕15)が、2以上用意されたものであるか不明な点。

イ.データ記憶手段が、本願発明は「複数の」ゲーム用データとして、玩具人形の「胴部玩具体の種別情報と対応付けられた胴部画像データおよび玩具人形の腕部玩具体の種別情報と対応付けられた腕部画像データを複数」記憶するもので、
ゲームを実行する手段は、「胴部玩具体の種別情報および玩具人形の腕部玩具体の種別情報に対応付けられた胴部画像データおよび腕部画像データを」データ記憶手段から読み出し、主キャラクタ画像として表示するものなのに対して、
引用発明のデータ記憶手段に相当するものは、各パーツ11?17に内蔵された、「記憶装置(記憶部)を備えた」RFIDタグ21?27であって、胴部画像データと腕部画像データの両方、かつ複数記憶するものでなく、ゲームを実行する手段に相当するゲームシステム1も「胴部画像データおよび腕部画像データ」の両方をデータ記憶手段から読み出すものではない点。

ウ.「玩具人形の玩具体の情報が変更されたときには、変更された玩具人形の玩具体の情報でゲームを進行するように」制御するときの制御内容が、本願発明は「前記条件判定手段がゲーム中に前記第1の条件が満たされたと判定した時から前記第1の所定時間内に、前記情報入力判定手段が前記情報入力手段に玩具人形の腕部玩具体の種別情報が新たに入力されたと判定したときには、当該入力された玩具人形の腕部玩具体の種別情報と対応付けられた腕部画像データを前記データ記憶手段から読み出し、 当該読み出した腕部画像データに基づく腕部画像を、前記主キャラクタ画像として前記胴部画像と結合して表示されている腕部画像に代えて前記胴部画像と結合して、前記結合キャラクタ画像として前記画像表示手段に表示するよう前記画像表示制御手段を制御する」ものであって、該制御を実現する為に、「前記条件判定手段が前記第1の条件が満たされたと判定した時から第1の所定時間内に、前記情報入力手段に玩具人形の腕部玩具体の種別情報が新たに入力されたか否かを判定する情報入力判定手段」を有するのに対して、引用発明は、制御内容がその様に特定されていない点。

4.本願発明の容易推考性の検討
(1)相違点ア.について
刊行物1記載事項(ウ)に「各パーツ11?17は、立体的なパーツであり、パーツ毎に市販されており、本実施例では、ロボット玩具10は、二足型の足(右足16、左足17)が取り付けられているが、この他にも、多足型や、キャタピラを備えたタンク型の足等が、別途市販されている。プレイヤは、これらの中から、好みのパーツや、胴体11等との相性のよいパーツを購入し、自分のロボット玩具10を、立体的に組み立てる。」と記載されており、また、本願明細書においても、特開2008-21117号公報の図2に「【0029】・・人形フィギュア9の左肩に装着する外装部品(10´a?10´d)」を「他の商品」としているものを背景技術として例示しているように、玩具人形の部位となるパーツを複数用意して選択可能とすることは、周知慣用技術であり、引用発明の胴体11、及び腕部(右腕13、左腕15)を、それぞれ複数用意してゲームで選択可能として、本願発明の相違点ア.に係る発明特定事項とすることは当業者が容易に想到し得たことである。

(2)相違点イ.について
(a)引用発明は、刊行物1記載事項(ア)の「従来から、ゲームカードや、キャラクタを模した玩具体に記憶された情報に基づいて、ゲームのキュラクタの設定を行うゲーム機があった(例えば、特許文献1,2)。このタイプのゲーム機は、ゲーム機やサーバ等に記憶されたプレイヤのプレイ情報(対戦履歴等)と、プレイヤを特定する特定手段(例えば、IDカード等)の情報とを照合し、プレイヤの所持するゲームカード等の攻撃力等の情報を特定していた。」ものを「【背景技術】」として、刊行物1記載事項(イ)の「また、ゲーム機、サーバ等にゲーム媒体の情報を記憶させるための記憶装置を設けなくてもよいため、ゲーム機、サーバ等の負荷を軽減し、さらに、構成を簡略にすることができる。」という効果も生ずるものである。
(b)当該「ゲーム機、サーバ等の負荷を軽減」や「構成を簡略にする」ことは、「【背景技術】」のゲームのキュラクタの設定を行う基本機能に対して付加的な機能と認識されるものであるので、引用発明のゲーム媒体の情報を記憶させるための記憶装置であるRFIDタグ21?27の記憶装置の部分を、刊行物1記載事項(イ)の「ゲーム機に・・記憶させる」ものとして、RFIDタグ21?27を簡単な構成とすることは、当業者が容易に選択し得ることである。
そして、記憶装置の配置をゲーム機側に変更することにともなって、記憶装置の記憶内容が「胴体11と、頭部12と、右腕13と、武器14と、左腕15と、右足16と、左足17とからなるパーツ(ゲーム媒体)」や、それ以外のゲームに使用される全てのパーツに対応するものとなること、すなわち「胴部玩具体の種別情報と対応付けられた胴部画像データおよび玩具人形の腕部玩具体の種別情報と対応付けられた腕部画像データを複数」記憶するものとなることも自明である。
(c)そうすると、引用発明の「キャラクタの該当部分(一部分)の形態と、その能力値(後述する)の情報」を記憶する記憶装置の配置を「RFIDタグ21?27」側からゲーム機側に変更して本願発明の相違点イ.に係る発明特定事項とすることは当業者が容易に想到し得たことである。

(3)相違点ウ.について
ア.本願発明と刊行物2記載の構成との対応関係
(a)刊行物2記載の発明の「防具の防御力が所定数(本実施形態では“0”)以下であるか否かを判断するステップS120」は、本願発明の「ゲーム中に第1の条件が満たされたか否かを判定する条件判定手段」に相当し、以下同様に、
「防具の防御力が所定数(本実施形態では“0”)以下であるか否かを判断し、所定数以下の場合(ステップS120:YES)、処理をステップS121に移す」時点は、「ゲーム中に前記第1の条件が満たされたと判定した時」に、
「所定の時間・・(例えば、30秒)」は、「第1の所定時間」に、
相当する。
(b)刊行物2記載の発明の「防具」と、本願発明の「玩具人形の腕部玩具体」及び「玩具人形の腕部玩具体」とは、前者が、刊行物2記載事項(ア)の「キャラクタが装備する防具」であるので、両者は、キャラクタのパーツであるの点で共通する。
また、刊行物2記載の発明の「ディスク情報」と、本願発明の「玩具人形の腕部玩具体の種別情報」とは、キャラクタのパーツの情報である点で共通する。
(c)そして、刊行物2記載の発明の「ステップS128においては、認証ユニット15を駆動してディスク情報を読み取り、ディスク情報に含まれる防具の防御力をキャラクタ情報の防具の防御力とし」は、「ステップS127において、所定の時間が経過(例えば、30秒)があったか否かを判断し、時間経過があれば、処理をステップS128に移す」後に行われるステップであり、情報は新たに入力されたものといえるので、刊行物2記載の発明の「ステップS120において、メインCPU32は、防具の防御力が所定数(本実施形態では“0”)以下であるか否かを判断し、所定数以下の場合(ステップS120:YES)、処理をステップS121に移し、」「ステップS127において、所定の時間が経過(例えば、30秒)があったか否かを判断し、時間経過があれば、処理をステップS128に移す、
ステップS128においては、認証ユニット15を駆動してディスク情報を読み取り、ディスク情報に含まれる防具の防御力をキャラクタ情報の防具の防御力」とする構成と、
本願発明の「前記条件判定手段がゲーム中に前記第1の条件が満たされたと判定した時から前記第1の所定時間内に、前記情報入力判定手段が前記情報入力手段に玩具人形の腕部玩具体の種別情報が新たに入力されたと判定したときには、当該入力された玩具人形の腕部玩具体の種別情報と対応付けられた腕部画像データを前記データ記憶手段から読み出し、 当該読み出した腕部画像データに基づく腕部画像を、前記主キャラクタ画像として前記胴部画像と結合して表示されている腕部画像に代えて前記胴部画像と結合して、前記結合キャラクタ画像として前記画像表示手段に表示するよう前記画像表示制御手段を制御する」とは、
条件判定手段がゲーム中に第1の条件が満たされたと判定した時から第1の所定時間内に、キャラクタのパーツの情報が新たに入力されたときには、当該入力されたキャラクタのパーツの情報でゲームを進行するように制御する点で共通する。

そうすると、刊行物2記載の発明は、本願補正発明の表現に倣えば
「条件判定手段がゲーム中に第1の条件が満たされたと判定した時から第1の所定時間内に、キャラクタのパーツの情報が新たに入力されたときには、当該入力されたキャラクタのパーツの情報でゲームを進行するように制御するゲーム装置。」と言い換えることができる。

イ.引用発明に刊行物2記載の発明を適用することについて
引用発明と刊行物2記載の発明とは、共に、ゲーム中に、「残弾数」、「耐久度」、「弾丸数」、「防具の防御力」等のパーツの情報が変化するゲームである点で共通するものであり、さらに、例えば、国際公開第2005/105238号の段落[0195]に「遊技者に所定時間内でカード入力を行わせるため、・・所要時間の計測を開始する」と記載されているように、遊戯者に所定時間内に入力を行わせることは本願出願以前にゲームの分野において周知の事項でもあるので、引用発明のS7の「各パーツ11?17は、ダメージを受け耐久度が0になった場合、補修、補給」してゲームを進行する、すなわち「玩具人形の玩具体の情報が変更されたときには、変更された玩具人形の玩具体の情報でゲームを進行する」制御を実施するにあたり、刊行物2記載の発明の様な、ゲーム中に第1の条件が満たされたと判定した時から第1の所定時間内に、キャラクタのパーツの情報](玩具人形の腕部玩具体の種別情報)が新たに入力された(と判定した)ときには、当該入力されたキャラクタのパーツの情報でゲームを進行するものとすることは、当業者が容易になし得ることである。

ウ.玩具人形の玩具体の情報が変更された後の表示について
(a)引用発明のS7の動作は、変更された玩具人形の玩具体の情報でゲームを進行するものであるものの、そのとき画像表示手段に表示する内容、及び表示の制御態様を具体的に特定するものではない。
(b)しかし、引用発明が、基本的にS3?S4記載の制御、すなわち、タグリーダ・ライタ42(本願発明の「情報入力手段」に相当するもの)に入力された、キャラクタの該当部分の形態と、その能力値の情報(本願発明の「玩具人形の胴部玩具体の種別情報および玩具人形の腕部玩具体の種別情報に対応付けられた胴部画像データおよび腕部画像データ」と、「玩具人形の胴部や腕部の形態を表すデータ」である点で相当するもの)をRFIDタグ21?27(本願発明の「データ記憶手段」に相当するもの)から読み出し、
当該読み出されたRFIDタグ21?27の情報に基づいて、キャラクタの全体の形態と能力値とを決定し、
ゲーム進行制御部52は、このキャラクタの全体のアニメ映像60aと能力値とを、モニタ60に表示する制御を行うものであり、
かつ、上記変更された玩具人形の玩具体の情報でゲームを進行する時点において、同様の表示を変更しなければならない様な特段の事情も存在しないことを考慮すると、引用発明のS7の変更された玩具人形の玩具体の情報でゲームを進行するときの表示内容、及び表示の制御態様として、上記基本的なものを採用することは、当業者が容易になし得ることであり、かつ、その場合、入力情報が「新たに入力」されたものとなり、「読み出し」等の処理が再度なされることは自明である。

エ.「腕部画像データを前記データ記憶手段から読み出」す(なお、「前記データ記憶手段」は、相違点イ.の「胴部玩具体の種別情報と対応付けられた胴部画像データおよび玩具人形の腕部玩具体の種別情報と対応付けられた腕部画像データを複数」記憶するもの)ことについて
上記「(2)」の、引用発明の「キャラクタの該当部分(一部分)の形態と、その能力値(後述する)の情報」を記憶する記憶装置の配置を「RFIDタグ21?27」側からゲーム機側に変更して本願発明の相違点イ.に係る発明特定事項とすることにともない、変更された玩具人形の玩具体の情報でゲームを進行するときの表示制御においても、キャラクタの該当部分の形態が、当該ゲーム機側の胴部玩具体の種別情報と対応付けられた胴部画像データおよび玩具人形の腕部玩具体の種別情報と対応付けられた腕部画像データを複数記憶するデータ記憶手段から読み出す構成となることは自明である。

オ.まとめ
そうすると、上記ア.の「玩具人形の玩具体の情報が変更されたときには、変更された玩具人形の玩具体の情報でゲームを進行するよう」に制御するにあたり、刊行物2記載の発明の様な、ゲーム中に第1の条件が満たされたと判定した時から第1の所定時間内に、キャラクタのパーツの情報が新たに入力されたときには、当該入力された情報でゲームを進行するものとすると共に、上記「(2)」の記憶装置の配置の変更をして、本願発明の相違点ウ.に係る発明特定事項とすることは当業者が容易に想到し得たことである。

(4)総合判断
そして、本願発明の作用効果は、引用発明、刊行物2記載の発明、及び周知技術から当業者であれば予測できた範囲のものである。
したがって、本願発明は、引用発明、刊行物2記載の発明、及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。

5.むすび
以上のとおり、本願発明は、引用発明、刊行物2記載の発明、及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、他の請求項について検討するまでもなく、本願は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
そうすると、本願は拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2013-10-31 
結審通知日 2013-11-01 
審決日 2013-11-13 
出願番号 特願2011-130685(P2011-130685)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (A63F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 植田 泰輝  
特許庁審判長 中川 真一
特許庁審判官 杉浦 淳
高橋 三成
発明の名称 ゲーム装置、当該ゲーム装置で使用可能な玩具体、当該玩具体からなる玩具人形、および、ゲームプログラム、当該ゲームプログラムが実行されるコンピュータで使用可能な玩具体、当該玩具体からなる玩具人形  

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