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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A47J
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 A47J
管理番号 1283020
審判番号 不服2012-13279  
総通号数 170 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2014-02-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2012-07-11 
確定日 2013-12-25 
事件の表示 特願2008-503394号「スタンドアロン型飲料分配機」拒絶査定不服審判事件〔平成18年10月5日国際公開、WO2006/102980、平成20年8月28日国内公表、特表2008-534094号〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、2006年3月13日(パリ条約による優先権主張外国庁受理2005年3月29日、欧州特許庁)を国際出願日とする出願であって、平成24年3月6日付けで拒絶査定がなされ、これに対し、平成24年7月11日に拒絶査定不服審判が請求されると同時に手続補正がされたものである。

第2 平成24年7月11日の手続補正についての補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
平成24年7月11日の手続補正(以下「本件補正」という。)を却下する。
[理由]
1.補正の内容
本件補正により、特許請求の範囲の請求項1は、
「カプセルから加圧抽出により飲料を供給するためのスタンドアロン型飲料分配機であって、
カプセルを受けるようになっているとともに、前記カプセル内に加圧水を注入する手段と、前記カプセルを受ける手段と、を備える抽出モジュールと、
前記抽出モジュールに水を供給するための水リザーバであって、幾つかのカプセルからの抽出のために前記抽出モジュールに連続的に給水できる十分な容量を有する水リザーバと、
前記水リザーバから水を引き出して、前記抽出モジュールの注入する手段から前記カプセルに加圧水を供給するためのポンプと、
抽出温度以上の保存温度まで前記水リザーバ内の水を加熱する為に正常に電力を供給するとともに、前記ポンプに給電するための電力供給手段と、
前記電力供給手段が切断されるとき、前記水リザーバ内の水を加熱するために電流を供給するように構成された低電圧電気アキュムレータと、
を備えるスタンドアロン型飲料分配機において、
前記水リザーバが、第1の電気素子と第2の電気素子とを備える加熱手段を備え、前記第2の電気素子は、前記アキュムレータによって給電され、前記第1の電気素子は、前記第2の電気素子から独立しており、前記電力供給手段からの電流により最初に給電され、前記水を前記保存温度まで加熱するために前記電力供給手段から給電され、前記第2の電気素子は、前記保存温度までの加熱後に熱損失を補償するために前記電力供給手段が切断されるときに前記電気アキュムレータから給電されるように構成されており、
前記加熱手段が、 前記水リザーバ内の温度センサと関連付けられ、前記素子の給電に作用して前記保存温度を略一定の値の範囲内に維持するように構成された温度制御装置を備える、スタンドアロン型飲料分配機。」と補正された。
上記請求項1に係る補正は、発明を特定するための事項である加熱手段に関し、「前記水リザーバ内の温度センサと関連付けられ、前記素子の給電に作用して前記保存温度を略一定の値の範囲内に維持するように構成された温度制御装置を備える」ことを限定するものであるから、特許法第17条の2第5項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
そこで、本件補正後の前記請求項1に記載された発明(以下「本願補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に適合するか)について以下に検討する。

2.引用刊行物
(1)引用刊行物1
原査定の拒絶の理由に引用され、本願の優先日前に頒布された登録実用新案第3052809号公報(以下「引用刊行物1」という。)には、コーヒー販売カートに関して、図1及び2とともに以下の事項が記載されている。
ア.「第4の手段は、請求項4に記載したとおり、請求項1において、給湯タンクに設けた湯沸しヒータに給電する回路及び前記バッテリに給電する回路をカート本体内に別系統に設け、各回路に給電するコンセントをカート本体下部に設けたことを特徴とする。この手段によれば、給湯タンク加熱用の電源回路と各タンクの保温に主として用いられるバッテリ回路を別系統としたから、バッテリが小型ですみ、各コンセントが下部にあるから、販売準備時に充電用及び給湯タンク加熱用の電源コードが邪魔にならない。」(段落【0008】)
イ.「図1において、1はコーヒー販売カート、2はそのカート本体で全体が箱型をなし、頂部は天板部3で覆われ、底部に移動用の車輪4が取付けられ、天板部3の前部上面には点検扉3aが設けられている。カート本体2の前面中間部には横枠5が架設され、これに水抜き穴6aをもつカップ台6が載置される。該カップ台6と天板部3の下面との間には、サービス用の開口7が設けられ、カップ台6の上方にコーヒー販売用のカップCを挿入できる間隔を隔ててコーヒータンク8が設置され、該コーヒータンク8上に、ハンドル9aをもつドリッパ9が載置される。
ドリッパ9は、開口7から着脱でき、フィルタ及びコーヒー原料粉(レギュラーコーヒー)が収容される。・・・(中略)・・・
図2は、カート本体2に収容される要素の配置を示すもので、前記コーヒータンク8は、例えば10人分のコーヒー1400mlを収容できる容積を有し、上面にドリップ受穴8aが開けられ、前面に注出コック8bと透明の水位計8cが設けられ、後部にオーバフロー管8dが設けてある。・・・(中略)・・・
ドリッパ9は、例えば5人分のコーヒー原料粉を入れて700mlの熱湯を注入してドリップをするものであり、コーヒータンク8を満たすためには2回ドリップされる。コーヒータンク8の上方で天板部3の前板3bの内側部には、図2に示す熱湯タンク11が固定されており、該熱湯タンク11は、ドリップ弁11aと前面の透明な液面計11bを備え、その容量は、ドリッパ9と同じ700mlとされる。
12はカート本体2の内部下方に設置される大容量の給湯タンクで、該給湯タンク12は、例えば44人分の6.3lの容量を有し、図外の開口から操作される給水口12aと、液面計12b、給電コード12cを有し、内設したヒータにコード12cから給電され、内部の水を90?96℃に加熱するようになっており、内部の湯は、パイプ12dと電動ポンプ13で熱湯タンク11に供給される。
前記の各タンク8,11,12には、保温性の高い容器材料が使用されると共に、保温ヒータ8e,11c,12eが付設され、各保温ヒータで給湯タンク12及び熱湯タンク11内は90?96℃、コーヒータンク8内は80?86℃に維持するようになっている。
図中14はバッテリで、AC/DCコンバータ15から給電されて12V充電され、その直流電流をDC/ACインバータ14aで100Vの交流電流に変換して各保温ヒータ8e,11c,12cに給電し、更にパイプ12dに設けた保温ヒータや電動ポンプ13、操作用回路等に給電するようになっている。このバッテリ14は主として保温ヒータを作動させるためのものであるから小型軽量であり、該バッテリ14を含めてカート全体を55kg程度の重さにすることができる。
・・・(中略)・・・
扉23の下側には、100Vの交流電源コードが挿入されるコンセント24,25が設置され、一方のコンセント24は給湯タンク12のヒータに接続され、他方のコンセント25は、AC/DCコンバータ15に接続されてバッテリ14の充電に供される。」(段落【0010】?【0018】)
ウ.「以上の構成を備えるから、電源コードからの給電で給湯タンク12を所定温度に加熱し、且つバッテリ14に充電したのち、該電源コードを外して車内販売に移り、注文があったとき又は注文を予測して熱湯タンク11に給湯し、ドリッパ9内のコーヒー原料粉中に熱湯タンク11内の熱湯を注入してコーヒータンク8中にドリップさせ、抽出したコーヒーを、ドリップ中又はドリッパ9内の全量がドリップしたのちに注出コックからカップCに注いで販売することができる。したがって、適温で風味のよいコーヒーを販売することができる。」(段落【0020】)
エ.「以上の説明から明らかなとおり、請求項1の手段によれば、客の注文に応じてドリップしたての適温のコーヒーを常に販売できる効果がある。
・・・(中略)・・・
請求項4の手段によれば、バッテリは負荷が少なくてすむため小型でよく、カート全体を軽量にすることができ、販売時のカートの運搬が容易である。また準備時に給電するための電源コードが、カート本体下部のコンセントに接続されるから、該コードが歩行の邪魔にならない利点がある。」(段落【0022】?【0025】)
これらの記載事項ア.?エ.及び図面を総合すると、上記引用刊行物1には、
「ドリッパ9内のコーヒー原料粉中に熱湯タンク11内の熱湯を注入してコーヒータンク8中にドリップさせ、抽出したコーヒーをカップCに注いで販売することができる、電源コードを外して車内販売するコーヒー販売カートであって、
コーヒータンク8にドリッパ9が載置されて、ドリップ弁11aを有する熱湯タンク11からドリッパ9に熱湯を注入するようになされ、
内部の湯を、5人分の容量を有する熱湯タンク11を介して、5人分のコーヒー原料粉を入れてドリップをするドリッパ9に供給する、44人分の容量を有する大容量の給湯タンク12と、
給湯タンク12から内部の湯を熱湯タンク11に供給する電動ポンプ13と、
給湯タンク12内部の水を90?96℃に加熱する、給湯タンク12に内設した湯沸しヒータに接続された、コンセント24に挿入される100Vの交流電源コード、及び接続されるAC/DCコンバータ15がバッテリ14に給電し、そのバッテリ14の直流電流がDC/ACインバータ14aで100Vの交流電流に変換して電動ポンプ13に給電する、コンセント25に挿入される100Vの交流電源コードと、
電源コードを外して車内販売に移り、その直流電流をDC/ACインバータ14aで100Vの交流電流に変換して給湯タンク12及び熱湯タンク11に付設された各保温ヒータ11c,12eに給電する、12V充電されるバッテリ14と、
を備える、電源コードを外して車内販売するコーヒー販売カートにおいて、
給湯タンク12は湯沸しヒータを内設するとともに保温ヒータ12eが付設され、
保温ヒータ12eはバッテリ14からDC/ACインバータ14aで100Vの交流電流に変換して給電され、
湯沸しヒータに給電する回路と、保温ヒータ12eに給電するバッテリに給電する回路を別系統に設け、
100Vの交流電源コードからの湯沸しヒータへの給電で給湯タンク12内部の水を90?96℃に加熱し、そののち該電源コードを外して車内販売に移り、
保温ヒータ11c,12eで給湯タンク12及び熱湯タンク11内は90?96℃に維持するように、バッテリ14からDC/ACインバータ14aで100Vの交流電流に変換して給電される、
電源コードを外して車内販売するコーヒー販売カート。」

(2)引用刊行物2
同じく引用され、本願の優先日前に頒布された特開2004-173823号公報(以下「引用刊行物2」という。)には、図1?21とともに以下の事項が記載されている。
ア.「【解決手段】内容器13内に貯留した液体を加熱する加熱手段(ヒータ14,15)と、内容器13内の液体を圧送する給水手段(液体圧送ポンプ16)と、給水経路に接続した注入用針22と、外装体11の正面側に設けられ密閉された飲料抽出パック1A,1Bを着脱可能に装着することにより該飲料抽出パック1A,1Bに注入用針22を貫通させて液体が注入されるパック装着機構37とを備えた飲料抽出機において、外装体11を、内容器13、加熱手段および給水手段を有する本体ユニット10と、パック装着機構37を有するパック装着ユニット32A,32Bとに分割し、これらを着脱可能に取り付けた構成とする。」(第1頁【要約】の項)
イ.「外装体内に設けた内容器と、該内容器内に貯留した液体を加熱する加熱手段と、前記内容器内の液体を所定圧力で圧送する給水手段と、該給水手段に接続される給水経路に接続した注入用針と、前記外装体の正面側に設けられ密閉された飲料抽出パックを着脱可能に装着することにより該飲料抽出パックに前記注入用針を貫通させて液体が注入されるパック装着機構とを備えた飲料抽出機において、」(請求項1)
ウ.「近年、20?30名程度の小オフィス用または一般家庭用に適した小型で、すぐに美味しく飲め、後片付けの簡単な使い勝手のよい飲料抽出機が提供されている。この飲料抽出機は、従来のドリップ方式とは異なり、コーヒーなどの粉末を容器やシートによって包装した飲料抽出パックを用い、所定の圧力を加えながら所定温度のお湯を圧送することにより、短時間で抽出できるようにしたものである。」(段落【0002】)
エ.「この飲料抽出機は、図1に示すように、大略、内容器13、加熱手段および給水手段を有する本体ユニット10と、飲料抽出パック1A,1Bを着脱可能に装着するパック装着ユニット32A,32Bとからなり、これらパック装着ユニット32A,32Bを前記本体ユニット10の正面に選択的に着脱可能に装着したものである。
具体的には、図2に示すように、前記本体ユニット10は、その外装体11の上部に蓋12を回動可能に取り付けたもので、その内部には、液体である水を貯留する内容器13が配設されている。この内容器13の底には、この内容器13内に貯留した水を沸騰させる加熱手段として湯沸ヒータ14と、所定温度で保温する保温ヒータ15とが配設されている。
また、外装体11と内容器13との間には、該内容器13内の水を後述するパック装着機構部37に所定圧力で圧送する給水手段として、液体圧送ポンプ16と気体圧送ポンプ17と三方弁18とが設けられている。前記液体圧送ポンプ16は、内容器13内のお湯を所定圧力で送出するものである。・・・(中略)・・・なお、図中19は、内容器13内の湯温を検出するための温度センサである。
さらに、前記外装体11の正面には、その上部に前方に突出するノーズ部11aが設けられている。このノーズ部11aの内部には、前記揚水管20の上端に接続され、給水経路の一部を構成する接続部材21が配設され、この接続部材21の先端に中空状の注入用針22が配設されている。この注入用針22は、ノーズ部11aの下面から突出されている。また、このノーズ部11aの内部には、前記ヒータ14,15、ポンプ16,17および三方弁18を制御する制御基板23が配設されるとともに、前記ポンプ16,17を動作させるための抽出スイッチ24が配設されている。」(段落【0026】?【0029】)

(3)引用刊行物3
同じく引用され、本願の優先日前に頒布された特開平11-318712号公報(以下「引用刊行物3」という。)には、図1?3とともに以下の事項が記載されている。
ア.「飲料の提供サービスに供されるドリンクサービスカートであって、
箱状をなしキャスターを備えたカート本体と、該カート本体内に配設されバッテリーを備えた給電部と、該カート本体内に配設され熱湯を貯溜するタンク部と、該カート本体に配設され熱風を供給,吹き出し可能な熱風供給部と、
該カート本体の上部に配設され、該タンク部からポンプを介して供給された熱湯を注出可能なノズルを備えた注出部と、飲料素材を封入してなり上部に注入受部を下部に開放可能部を備えた封入パックと、を有してなり、
該封入パックは、該注出部下にセットされ、該ノズルにて該注入受部が開孔されると共に熱湯が注入可能であり、かつ、該熱風供給部から吹き出された熱風にて、該開放可能部が剥離開放可能となっていること、を特徴とするドリンクサービスカート。」(請求項1)
イ.「まずカート本体1は、箱状をなしキャスター6を備えてなる。すなわちカート本体1は、天板,床板,側板,前後板等が、一体化されたプレート構造よりなり、床板の四隅下にキャスター6が付設されており、手で押して移動されると共に、ブレーキが付設されている。カート本体1は、このようになっている。次に給電部2は、カート本体1内に配設され、バッテリーを備えてなる。すなわち、電源装置たる給電部2は、カート本体1内の最下部に収納されており、バッテリーとその通電充電部とから構成されている。給電部2は、このようになっている。
又、タンク部3は、カート本体1内に配設され、熱湯Cを貯溜する。すなわちタンク部3は、カート本体1内の上下方向中央部に収納されており、グラスウール等を利用した断熱構造よりなり、図示例では13リットル程度(約100杯分程度)の熱湯Cを、余裕をもって貯溜可能な容量よりなる。そして使用時に、予め熱湯Cが外部から給湯,貯溜されると共に、事後は、この貯溜された熱湯Cが例えば90℃程度の所定温度を保持するように、給電部2にて駆動される100W程度のバックアップヒーター(図示せず)が、サーモスタット付で付設されている。なおタンク部3は、図示例の1槽式によらず2槽式その他の多槽式であってもよく、又、バックアップヒーターが付設されていないタイプでもよく、更に、冷水を給水して加熱ヒーターにて熱湯Cとする方式によることも考えられる。タンク部3は、このようになっている。」(段落【0011】及び【0012】)
ウ.「次に注出部5は、カート本体1の上部に配設され、タンク部3からポンプ10を介して供給された熱湯Cを注出可能なノズル9を備えてなる。このような注出部5について、更に詳述する。まず、カート本体1内の中央部に収納されたタンク部3には、注出部5の供給管11の基端が接続されており、この供給管11は、途中に給電部2にて駆動されるポンプ10を介した後、カート本体1の上部前面へと配設され、このような供給管11の先端に、ノズル9が取り付けられている。もって熱湯Cが、タンク部3からポンプ10にて供給管11中を圧送されてノズル9に至り、ノズル9から注出可能となっている。注出コックたるノズル9は、カート本体1の上部前面に下向きに配されており、直下にセットされる封入パックAの注入受部12に対し、密に接続可能な形状よりなると共に、常時は閉鎖されている注入受部12を開孔可能な形状よりなる。そして熱湯Cを、開孔された注入受部12を介し、封入パックA内に注出,注入可能となっている。
なお、このような注出部5による熱湯Cの注出,注入のオン,オフは、例えば、付設された制御部にて制御されており、封入パックAのセットの検知や、操作ボタンの押下の検知等のいずれかに基づき、ポンプ10が駆動されて、熱湯Cが供給管11にてノズル9へと供給され、もって一杯分の熱湯Cが供給されると、ポンプ10の駆動が停止されるようになっている。・・・(中略)・・・
次に封入パックAは、飲料素材Eを封入してなると共に、上部に注入受部12、下部に開放可能部Dを備えてなる。
そして、この封入パックAは、注出部5下にセットされ、ノズル9にて注入受部12が開孔されると共に熱湯Cが注入可能であり、かつ、熱風供給部4から吹き出された熱風等にて、開放可能部Dが剥離開放可能となっている。」(段落【0015】?【0017】)
エ.「本発明は、以上説明したように構成されている。そこで以下のようになる。このドリンクサービスカートにあっては、予め、箱状をなすカート本体1内の給電部2のバッテリーが、電力を供給可能に充電されると共に、タンク部3に熱湯Cが貯溜されている。そして使用に際し、キャスター6を利用して、乗客等のユーザーのもとへと移動される。もって、飲料の提供サービスに際しては、まず、例えばコーヒー,ココア,紅茶,その他の異なる種類の飲料素材Eが封入された封入パックAの中から、乗客等のユーザーの好みのものが選択され、この選択された封入パックAが、カート本体1上部の注出部5下にセットされる。これと共に通常は、このセットされた封入パックA下に、コップBがセットされ、適宜必要に応じ、氷供給部から細断された氷がコップB内に流下される。
それから、セットされた封入パックAについて、その上部の注入受部12が、注出部5側のノズル9にて開孔されると共に、ノズル9に接続される。そして、タンク部3からポンプ10を介して供給された熱湯Cがまず少量、ノズル9や開孔された注入受部12を介し、封入パックA内に注入され、内部に封入されていた飲料素材Eに混入されて、これをふやけさせる等、軟化熱処理する。しかる後、ほぼ一杯分に相当する熱湯Cが、ノズルや開放された注入受部12を介し、封入パックA内に順次注入されると共に、封入パックAの下部の開放可能部Dに対し、熱風供給部4から熱風が吹き出され、もって開放可能部Dが、この熱風と注入された熱湯Cの熱と重量等により剥離開放される。
そこで、封入パックA内において、前述により軟化熱処理された飲料素材Eに熱湯Cが混入され、ココアの場合を除き濾過部Fを通過してドリップされた後、下部の開放された開放可能部Dから、外部へと流下して行く。このようにして所望の飲料が得られ、例えばコップB内へと流下された後、乗客等のユーザーに提供される。さてそこで、このドリンクサービスカートによると、次の第1,第2,第3のようになる。
第1に、乗客等のユーザーへの提供サービスに際しては、上述したように、ドリンクサービスカートをそのユーザーの元へと移動させて、好みの封入パックAを選択してセットすると共にコップBをセットした後、熱湯Cが封入パックAに注入され、熱風が吹き出される。これらにより、所望の飲料が得られ、即その場で直接、乗客等のユーザーに提供される。このようにして、例えばドリップしたてで抽出直後のコーヒーや紅茶等の飲料、作りたてで香りと味に優れた新鮮な飲料を、酸化により品質が低下することなく、乗客等のユーザーに直接提供可能となる。」(段落【0024】?【0027】)

3.対比・判断
本願補正発明と引用発明とを対比すると、後者の「ドリッパ9内のコーヒー原料粉中に熱湯タンク11内の熱湯を注入してコーヒータンク8中にドリップさせ、抽出したコーヒーをカップCに注いで販売することができる、電源コードを外して車内販売するコーヒー販売カート」は、「電源コードを外して車内販売する」から前者の「スタンドアロン型」と同様であるので、前者の「抽出により飲料を供給するためのスタンドアロン型飲料分配機」に相当する。
また、後者の「コーヒータンク8にドリッパ9が載置されて、ドリップ弁11aを有する熱湯タンク11からドリッパ9に熱湯を注入するようになされ」る構成は、「熱湯を注入してコーヒータンク8中にドリップさせ、抽出」するものであるから、前者の「カプセルを受けるようになっているとともに、前記カプセル内に加圧水を注入する手段と、前記カプセルを受ける手段と、を備える抽出モジュール」とは、熱湯を注入する抽出部材である点に限って共通する。
後者の「内部の湯を、5人分の容量を有する熱湯タンク11を介して、5人分のコーヒー原料粉を入れてドリップをするドリッパ9に供給する、44人分の容量を有する大容量の給湯タンク12」は、「大容量の給湯タンク12」は「44人分の容量を有する」から、「5人分のコーヒー原料粉を入れてドリップをするドリッパ9」により複数回のドリップができる容量であるので、前者の「抽出モジュールに水を供給するための水リザーバであって、幾つかのカプセルからの抽出のために前記抽出モジュールに連続的に給水できる十分な容量を有する水リザーバ」とは、抽出部材に水を供給するための水リザーバであって、複数回の抽出のために前記抽出部材に連続的に給水できる十分な容量を有する水リザーバである点で共通する。
後者の「給湯タンク12から内部の湯を熱湯タンク11に供給する電動ポンプ13」は前者の「前記水リザーバから水を引き出して、」「供給するためのポンプ」に相当する。
後者の「給湯タンク12内部の水を90?96℃に加熱する、給湯タンク12に内設した湯沸しヒータに接続された、コンセント24に挿入される100Vの交流電源コード」について、「90?96℃」という温度は「保温ヒータ11c,12eで給湯タンク12及び熱湯タンク11内は90?96℃に維持する」温度であるから前者の保存温度に相当し、かつ「熱湯タンク11からドリッパ9に熱湯を注入する」から前者の抽出温度に相当し、「コンセント24に挿入される100Vの交流電源コード」はそのための電力を供給するものといえるから、前者の「抽出温度以上の保存温度まで前記水リザーバ内の水を加熱する為に正常に電力を供給する」「電力供給手段」に相当する。
また、後者の「接続されるAC/DCコンバータ15がバッテリ14に給電し、そのバッテリ14の直流電流がDC/ACインバータ14aで100Vの交流電流に変換して電動ポンプ13に給電する、コンセント25に挿入される100Vの交流電源コード」について、「コンセント25に挿入される100Vの交流電源コード」からの電力は、接続されるAC/DCコンバータ15、バッテリ14、DC/ACインバータ14aを介するものの、結局は電動ポンプ13に給電するものであるといえるから、前者の「ポンプに給電するための電力供給手段」に対応する。
後者の「電源コードを外して車内販売に移り、その直流電流をDC/ACインバータ14aで100Vの交流電流に変換して給湯タンク12及び熱湯タンク11に付設された各保温ヒータ11c,12eに給電する、12V充電されるバッテリ14」について、「電源コードを外して車内販売に移」るときは前者の「電力供給手段が切断されるとき」に相当し、その「電源コードを外し」ているときにおいて「12V充電されるバッテリ14」は「その直流電流をDC/ACインバータ14aで100Vの交流電流に変換して給湯タンク12及び熱湯タンク11に付設された各保温ヒータ11c,12eに給電」しているから、前者の「電力供給手段が切断されるとき、前記水リザーバ内の水を加熱するために電流を供給するように構成された低電圧電気アキュムレータ」に相当する。
後者の「給湯タンク12は湯沸しヒータを内設するとともに保温ヒータ12eが付設され」る態様は、前者の「水リザーバが、第1の電気素子と第2の電気素子とを備える加熱手段を備え」る態様に相当し、後者の「保温ヒータ12eはバッテリ14からDC/ACインバータ14aで100Vの交流電流に変換して給電され」ることは前者の「第2の電気素子は、前記アキュムレータによって給電され」ることに相当し、後者の「湯沸しヒータに給電する回路と、保温ヒータ12eに給電するバッテリに給電する回路を別系統に設け」ることは、湯沸しヒータと保温ヒータ12eが別体でもあるので、前者の「前記第1の電気素子は、前記第2の電気素子から独立して」いることに相当する。
そして、後者の「100Vの交流電源コードからの湯沸しヒータへの給電で給湯タンク12内部の水を90?96℃に加熱し、そののち該電源コードを外して車内販売に移」ることは、「車内販売」の前に「100Vの交流電源コードからの湯沸しヒータへの給電で給湯タンク12内部の水を90?96℃に加熱」するものであるから、前者の「電力供給手段からの電流により最初に給電され、前記」水リザーバ内の「水を前記保存温度まで加熱するために前記電力供給手段から給電され」ることに相当する。
また、後者の「100Vの交流電源コードからの湯沸しヒータへの給電で給湯タンク12内部の水を90?96℃に加熱し、そののち該電源コードを外し」ていることは、前者の「保存温度までの加熱後」であって、「電力供給手段が切断されるとき」に相当し、後者の「保温ヒータ」「12eで給湯タンク12」「内は90?96℃に維持するように、バッテリ14からDC/ACインバータ14aで100Vの交流電流に変換して給電される」ことは、「100Vの交流電源コードからの湯沸しヒータへの給電」がなくても「90?96℃に維持する」ことであるから、前者の「前記第2の電気素子は、前記保存温度までの加熱後に熱損失を補償するために」「前記電気アキュムレータから給電される」ことに相当する。したがって、後者の「そののち該電源コードを外して車内販売に移り、保温ヒータ11c,12eで給湯タンク12及び熱湯タンク11内は90?96℃に維持するように、バッテリ14からDC/ACインバータ14aで100Vの交流電流に変換して給電される」とは、前者の「第2の電気素子は、前記保存温度までの加熱後に熱損失を補償するために前記電力供給手段が切断されるときに前記電気アキュムレータから給電される」ことに相当している。
そうすると、両者は、「抽出により飲料を供給するためのスタンドアロン型飲料分配機であって、
抽出部材と、
抽出部材に水を供給するための水リザーバであって、複数回の抽出のために前記抽出部材に連続的に給水できる十分な容量を有する水リザーバと、
前記水リザーバから水を引き出して、供給するためのポンプと、
抽出温度以上の保存温度まで前記水リザーバ内の水を加熱する為に正常に電力を供給するとともに、前記ポンプに給電するための電力供給手段と、
前記電力供給手段が切断されるとき、前記水リザーバ内の水を加熱するために電流を供給するように構成された低電圧電気アキュムレータと、
を備えるスタンドアロン型飲料分配機において、
前記水リザーバが、第1の電気素子と第2の電気素子とを備える加熱手段を備え、前記第2の電気素子は、前記アキュムレータによって給電され、前記第1の電気素子は、前記第2の電気素子から独立しており、前記電力供給手段からの電流により最初に給電され、前記水を前記保存温度まで加熱するために前記電力供給手段から給電され、前記第2の電気素子は、前記保存温度までの加熱後に熱損失を補償するために前記電力供給手段が切断されるときに前記電気アキュムレータから給電されるように構成されている、
スタンドアロン型飲料分配機。」である点で一致し、以下の点で相違すると認められる。

相違点A:本願補正発明が「カプセルから加圧抽出により飲料を供給する」ものであって、
抽出部材が「カプセルを受けるようになっているとともに、前記カプセル内に加圧水を注入する手段と、前記カプセルを受ける手段と、を備える抽出モジュール」であり、
水リザーバが「幾つかのカプセルからの抽出のために」連続的に給水できる十分な容量を有しており、
ポンプが「水リザーバから水を引き出して、前記抽出モジュールの注入する手段から前記カプセルに加圧水を供給するためのポンプ」であるのに対して、
引用発明は「ドリッパ9内のコーヒー原料粉中に熱湯タンク11内の熱湯を注入してコーヒータンク8中にドリップさせ、抽出」するものであって、
上記のような抽出モジュールではなく、
給湯タンク12が複数回の抽出のために連続的に給水できる十分な容量を有しているにすぎず、
ポンプが「給湯タンク12から内部の湯を熱湯タンク11に供給する電動ポンプ13」である点。
相違点B:本願補正発明が「前記加熱手段が、前記水リザーバ内の温度センサと関連付けられ、前記素子の給電に作用して前記保存温度を略一定の値の範囲内に維持するように構成された温度制御装置を備える」のに対して、引用発明が「湯沸しヒータへの給電で給湯タンク12内部の水を90?96℃に加熱し、そののち」「保温ヒータ11c,12eで給湯タンク12及び熱湯タンク11内は90?96℃に維持するように、バッテリ14からDC/ACインバータ14aで100Vの交流電流に変換して給電される」ものの、そのような温度制御装置を備えているか否か不明である点。

そこで、上記相違点について検討する。
(1)相違点Aについて
引用刊行物2には、「コーヒーなどの粉末を容器やシートによって包装した飲料抽出パック1A,1Bを用い、所定の圧力を加えながら所定温度のお湯を圧送することにより、短時間で抽出できるようにした飲料抽出機」に関する発明が記載されており、本願補正発明の「カプセルから加圧抽出により飲料を供給する」飲料分配機に相当する。
そして、引用刊行物2にはその構造として、
給水手段に接続される給水経路に接続した注入用針22と、外装体11の正面側に設けられ密閉された飲料抽出パック1A,1Bを着脱可能に装着することにより該飲料抽出パック1A,1Bに注入用針22を貫通させて液体が注入されるパック装着機構37と、
外装体内に設けた内容器13と、
内容器13内の水をパック装着機構部37に所定圧力で圧送する給水手段としての液体圧送ポンプ16と
内容器13内に貯留した液体である水を加熱する加熱手段であって、この内容器13内に配設される、貯留した水を沸騰させる加熱手段としての湯沸ヒータ14及び所定温度で保温する保温ヒータ15と、
内容器13内の湯温を検出するための温度センサ19が示されている。
上記「給水手段に接続される給水経路に接続した注入用針22」は給水手段が所定圧力で水を圧送するものであって「飲料抽出パック1A,1Bに注入用針22を貫通させて液体が注入される」から、本願補正発明の「カプセル内に加圧水を注入する手段」に相当し、「パック装着機構37」は「飲料抽出パック1A,1Bを着脱可能に装着する」から本願補正発明の「カプセルを受ける手段」に相当する。
さらに、引用刊行物2に「近年、20?30名程度の小オフィス用または一般家庭用に適した小型で、すぐに美味しく飲め、後片付けの簡単な使い勝手のよい飲料抽出機が提供されている。」(2.(2)ウ.)と飲料抽出機として近年ドリップ方式に換えて「コーヒーなどの粉末を容器やシートによって包装した飲料抽出パックを用い、所定の圧力を加えながら所定温度のお湯を圧送することにより、短時間で抽出できるようにした飲料抽出機」を用いることが示唆されていることから、ドリッパを用いる引用発明を、引用刊行物2に記載の飲料抽出パック1A,1Bを用いる飲料抽出機とすべく、引用発明の「コーヒータンク8にドリッパ9が載置されて、ドリップ弁11aを有する熱湯タンク11からドリッパ9に熱湯を注入するようになされ」る抽出部材や「44人分の容量を有する大容量の給湯タンク12」から「内部の湯を、5人分の容量を有する熱湯タンク11を介して、5人分のコーヒー原料粉を入れてドリップをするドリッパ9に供給する、」「給湯タンク12から内部の湯を熱湯タンク11に供給する電動ポンプ13」等の給湯タンク12から内部の湯をドリッパ9に供給する構成に代えて、上記引用刊行物2に記載の構造を適用することは、当業者が格別の困難性を要することなくなし得たことである。
そして、そのように構成されるとき、引用発明の給湯タンク12は、複数回の抽出のために連続的に給水できる十分な容量を有していることから、これを複数個の飲料抽出パック1A,1Bからの抽出ができる容量とすることも、当業者が必要に応じて適宜なし得た設計的事項にすぎない。
したがって、引用発明に引用刊行物2に記載の事項を適用して、相違点Aに係る本願補正発明の構成とすることは、当業者が容易になし得たことであって、そのことによる格別の効果もない。
なお、引用刊行物3にも、引用発明と同様のバッテリにより保温した湯でコーヒーを抽出するドリンクサービスカートにおいて、飲料素材Eが封入された封入パックAから抽出するように、タンク部3の熱湯Cをポンプ10で圧送し抽出することが示されており、このことからも、上記のように引用発明に引用刊行物2に記載の事項を適用することに格別の困難性はない。

(2)相違点Bについて
引用発明は「湯沸しヒータへの給電で給湯タンク12内部の水を90?96℃に加熱し」、「保温ヒータ11c,12eで給湯タンク12及び熱湯タンク11内は90?96℃に維持するように」と、一定範囲内の温度に加熱、維持するものであるから、当業者は、そのような範囲内になるように温度制御することを、通常想定できたといえる。さらに、引用刊行物2には、飲料抽出機の加熱手段である保温ヒータ15が所定温度で保温することや内容器13内の湯温を検出するための温度センサ19が示されていて、当業者であればそれによる温度制御が直ちに想定できるものでもある。そうすると、引用発明において、給湯タンク12内部の水を、90?96℃である一定範囲内の温度に加熱及び維持するために、温度を検知し一定範囲内の温度に維持する温度制御装置を備えることは、当業者が必要に応じて適宜なし得たことである。
さらに、引用刊行物3には、貯溜された熱湯Cが例えば90℃程度の所定温度を保持するように、バッテリーからなる給電部2にて駆動される100W程度のバックアップヒーターが、サーモスタット付で付設されることが記載されており、また、例えば、実公平4-40599号公報等にも示されるように、一般に、湯沸かしヒータを、サーモスタット等、温度センサを用いて給電する電力を制御して一定範囲内の温度に制御することが周知であることから、引用発明を一定範囲内の温度に加熱、維持するに際して、湯沸しヒータ及び保温ヒータ12eについて、上記引用刊行物3や周知の事項に倣って、温度センサを用いて温度を検知し一定範囲内の温度に維持するように、それぞれのヒータについて給電を制御する温度制御装置を備えることも、当業者が格別の困難性を要することなし得たことである。
そうすると、相違点Bに係る本願補正発明の構成とすることも当業者が容易になし得たことといえ、その効果も格別であるとはいえない。

さらに、相違点A及びBを合わせみても、その効果が格別であるとはいえない。

4.むすび
上記したように、本願補正発明は、引用発明、引用刊行物2及び3に記載の事項並びに周知の事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができない。
したがって、本件補正は、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

第3 本願発明について
本件補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、平成23年12月27日に手続補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される、以下のとおりのものである。
「カプセルから加圧抽出により飲料を供給するためのスタンドアロン型飲料分配機であって、
カプセルを受けるようになっているとともに、前記カプセル内に加圧水を注入する手段と、前記カプセルを受ける手段と、を備える抽出モジュールと、
前記モジュールに水を供給するための水リザーバであって、幾つかのカプセルからの抽出のために前記モジュールに連続的に給水できる十分な容量を有する水リザーバと、
前記リザーバから水を引き出して、前記抽出モジュールの水注入手段から前記カプセルに加圧水を供給するためのポンプと、
抽出温度以上の保存温度まで前記リザーバ内の水を加熱する為に正常に電力を供給するとともに、前記ポンプに給電するための電力供給手段と、
前記電力供給手段が切断されるとき、前記リザーバ内の水を加熱するために電流を供給するように構成された低電圧電気アキュムレータと、
を備えるスタンドアロン型飲料分配機において、
前記リザーバが、第1の電気素子と第2の電気素子とを備える加熱手段を備え、前記第1の電気素子は、前記アキュムレータによって給電され、前記第2の電気素子は、前記第1の電気素子から独立しており、前記電力供給手段からの電流により最初に給電され、前記水を前記保存温度まで加熱するために前記電力供給手段から給電され、前記第1の電気素子は、前記保存温度までの加熱後に熱損失を補償するために前記電力供給手段が切断されるときに前記電気アキュムレータから給電されるように構成されている、スタンドアロン型飲料分配機。」

1.引用刊行物
原査定の拒絶の理由に引用された刊行物の記載事項は、前記「第2の2.(1)」に記載したとおりである。

2.対比・判断
本願発明は、前記「第2の1.」で検討した本願補正発明を特定するための事項である、加熱手段に関し、「前記水リザーバ内の温度センサと関連付けられ、前記素子の給電に作用して前記保存温度を略一定の値の範囲内に維持するように構成された温度制御装置を備える」との限定を省いたものである。
そうすると、本願発明の発明特定事項をすべて含み、さらに、他の発明特定事項を付加したものに相当する本願補正発明が、前記「第2の3.」に記載したとおり、引用発明、引用刊行物2及び3に記載の事項、並びに周知の事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も、同様に、引用発明、引用刊行物2及び3に記載の事項、並びに周知の事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

3.むすび
以上のとおり、本願発明は、引用発明、引用刊行物2及び3に記載の事項、並びに周知の事項項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。そうすると、本願の他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2013-07-24 
結審通知日 2013-07-30 
審決日 2013-08-12 
出願番号 特願2008-503394(P2008-503394)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (A47J)
P 1 8・ 575- Z (A47J)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 渡邉 洋  
特許庁審判長 平上 悦司
特許庁審判官 山崎 勝司
鳥居 稔
発明の名称 スタンドアロン型飲料分配機  
代理人 清水 義憲  
代理人 黒川 朋也  
代理人 池田 正人  
代理人 池田 成人  
代理人 城戸 博兒  
代理人 長谷川 芳樹  
代理人 戸津 洋介  

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