• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 査定不服 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) H04N
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) H04N
管理番号 1283052
審判番号 不服2012-18232  
総通号数 170 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2014-02-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2012-09-19 
確定日 2013-12-26 
事件の表示 特願2009-222332「画像符号化装置、画像復号装置、および画像符号化方法、画像復号方法」拒絶査定不服審判事件〔平成21年12月24日出願公開、特開2009-303263〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯
本願は、平成19年2月8日の出願の一部を平成21年9月28日に新たな特許出願としたものであって、その出願と同日に審査請求がなされ、平成24年1月30日付(起案日)で拒絶の理由が通知され、平成24年4月9日付で意見書・手続補正書が提出されたものの、平成24年6月8日付(起案日)で拒絶査定がなされたものである。
本件は、上記拒絶査定を不服として平成24年9月19日付で請求された拒絶査定不服審判であって、その審判請求と同時に手続補正書が提出され、当審において、前置報告書の内容について審判請求人の意見を求めるために、平成25年1月31日付(起案日)で審尋がなされ、平成25年4月8日付で回答書が提出され、平成25年7月12日付(起案日)で拒絶の理由が通知され、平成25年9月13日付で意見書・手続補正書が提出されたものである。

2.本願発明
本願の請求項1?2に係る発明は、平成24年4月9日付、平成24年9月19日付、平成25年9月13日付手続補正書によって補正された明細書、特許請求の範囲及び図面の記載からみて、それぞれ、その特許請求の範囲の請求項1?2に記載されたとおりのものと認められるところ、その請求項2に係る発明は請求項2に記載された次のとおりである。(以下「本願発明」という。)

「【請求項2】
4:4:4フォーマットのカラー画像を圧縮符号化してビットストリームを生成する画像符号化方法であって、
個々の独立したマクロブロックタイプ情報により各色成分信号を符号化する処理に相当する独立符号化処理により符号化するか否かを示す共通符号化・独立符号化識別情報と、
各色成分の逆量子化に用いる量子化重み付け係数とをビットストリームに多重する多重化ステップと、
前記共通符号化・独立符号化識別情報が、各色成分の信号を前記独立符号化処理によって符号化することを示す場合に、スライスヘッダに、当該スライスに含まれる符号化データがいずれの色成分の符号化データであるかを識別するための色成分識別フラグを多重するピクチャ符号化ステップと、
を備え、
前記多重化ステップは、当該スライスの符号化処理に使用する量子化重み付け係数を前記各色成分ごとに多重することを特徴とする画像符号化方法。」

3.引用刊行物
3.1.引用例1
3.1.1.引用例1の記載事項
当審における平成25年7月12日付の拒絶の理由で引用した『Shun-ichi Sekiguchi, Yoshimi Isu, Yoshihisa Yamada, Kohtaro Asai, Tokumichi Murakami, "Results of CE on separate prediction modes for 4:4:4 coding (CE9)", Joint Video Team (JVT) of ISO/IEC MPEG & ITU-T VCEG (ISO/IEC JTC1/SC29/WG11 and ITU-T SG16 Q.6) 18th Meeting: Bangkok, Thailand, 14-20 January, 2006, [JVT-R031], http://wftp3.itu.int/av-arch/jvt-site/2006_01_Bangkok/JVT-R031.zip』には、以下の記載がある。(なお、括弧内に当審で作成した日本語訳を添付する。)

“1 Summary
This contribution provides experimental results for CE9 (Separate prediction modes for 4:4:4 coding) [1], and proposed syntax modifications to the JFVM [2] based on the results. In the last Nice meeting, CE9 was established to investigate coding efficiency of separate prediction for each color plane over the JFVM, where one common prediction mode is used for all color planes. Since most of the discussions in Nice were about Intra-only coding architecture, effect of separate prediction for inter-coded picture has not sufficiently been understood. In this document, we will discuss not only the results for Intra-only coding but also for inter coding. A major technical point specific for inter coding is that the best coding option can be determined from much more coding modes than intra-only case, which has certain impact on coding efficiency. We focused on the fact that the three color planes of RGB video sometimes have different spatio-temporal statistics. Since the JFVM syntax does not provide a way to perform separate coding mode decision for each color plane, its coding gain could be limited in those cases. This drawback can be avoided by incorporating separate coding of macroblock overhead information for each color plane into JFVM.
The concept of this adaptive method has already been proposed for Intra-only coding with syntax specification [3], however, inter coding case has not specifically been proposed. We extend the syntax design of [3] to support separate prediction feature for inter coding. The proposed syntax provides encoder a flexibility to choose the best coding mode in inter-coded 4:4:4 pictures, while its decoding complexity is almost the same as that of the JFVM. Note also that our proposed syntax does not require any new coding tools, where the existing luma coding tools for high profile are simply applied to other two color planes. In addition, macroblock-level parallel processing in both encoder and decoder can easily be realized as addressed in [3]. We recommend JVT to adopt the proposed syntax to the WD for advanced 4:4:4 profiles.”(「1 要約 この提案は、CE9(4:4:4符号化ための独立予測符号化)[1]についての実験結果を提示するともに、その結果に基づいたJFVM[2]の文法の変更を提案するものである。直近のニースでの会合において、一つの共通予測符号化モードがすべての色平面に対して用いられるJFVMに対して、それぞれの色平面に独立予測符号化を用いた場合の符号化効率を調べるためにCE9は設立された。ニースでの議論は、殆どがイントラ符号化のアーキテクチャに関するものであって、インター符号化されたピクチャについての独立予測の効果については、十分に理解されていない。この文書では、イントラ符号化の結果についてのみではなく、インター符号化についても議論を行う。インター符号化についての最も大きな技術事項は、イントラのみの例に比べ、コーディングモードによってより大きな影響を受けることであって、これは当然符号化効率に影響を与える。我々は、RGBビデオの三つの色平面は時には互いに異なる空間-時間統計的特性を有しているという事実に注目した。JFVMの文法は、それぞれの色平面に対して独立した符号化モードを適用するという方法を許容しないため、その符号化利得はそのような事例では限定されたものとなる。このよう問題は、JFVMに対して、それぞれの色平面でのマクロブロックの独立符号化についての情報を加えることによって避けることができる。このような適応の方法についての考えは、文法仕様[3]において、イントラ符号化について既に提案されているが、インター符号化については特に提案されていない。我々はインター符号化において独立予測が行えるよう文法仕様[3]を拡張した。提案された文法は、復号化器の複雑性が殆どJFVMと同じ程度のまま、符号化器が、4:4:4画像をインター符号化するときに最適なモードを選択することをできるようにする。我々の提案は、既に存在するルマの符号化ツールを単に他の2つの色平面に適用するものであるので、新しい符号化ツールを必要としないというのも注目すべき点である。加えて、符号化器、復号化器双方における、マクロブロックのレベルにおいての並列処理が簡単であることも[3]において提案されている。我々は、JVTに対してこの提案する文法をアドバンスド4:4:4プロファイルのワーキングドラフトとして採用するように要請する。」)

“5 Conclusion
A set of experimental results regarding CE9 (separate prediction mode) for 4:4:4 video coding has been reported. Two coding configurations, intra-only and inter, have been tested according to the common test conditions for 4:4:4 CEs, with our independent implementation over the JFVM software. In both configurations, we verified that the separate coding mode decision for each color plane provides significant coding gain by allowing encoder to make the best choice for each color plane, especially when the signal statistics among three color planes are different each other. The specification of the proposed syntax supporting separate prediction feature is attached in the annex of this document. We believe the coding gain thanks to the proposed feature should be significant especially for high-end video coding applications such as digital cinema. We recommend JVT to adopt the proposed syntax into the WD for advanced 4:4:4 coding profiles.”(「5 結論 CE9(4:4:4符号化のための独立予測符号化)における4:4:4ビデオ符号化についての実験結果を報告した。JFVMに対する我々の独自の修正について、イントラおよびインター符号化という2つの符号化設定双方について、4:4:4CEsの共通試験条件にもとづいて試験された。双方の設定において、特に信号の統計的特性が色平面同士で異なる場合に、個々の色平面に対して独立して符号化モードを決定する符号化器がそれぞれの色平面で最適な選択をすることによって符号化利得を得ることができることを我々は確認した。独立符号化を可能とする分歩法に関する提案書を、この文書の付属書としてつけている。この提案されたものによる符号化利得は、デジタル映画のような高級なビデオ符号化において重要なものと我々は考えている。我々は、JVTに対してこの提案する文法をアドバンスド4:4:4プロファイルのワーキングドラフトとして採用するように要請する。」)

“7 References
[1] Thomas Wedi, "CE9: Separate prediction modes for 4:4:4 coding", JVT-Q309, October 2005.
[2] Haoping Yu et.al., "Joint 4:4:4 Video Model (JFVM)", JVT-Q206, October 2005.
[3] Steffen Wittmann et.al., "Intra-only 4:4:4 Profile for H.264/AVC FRExt", JVT-Q086, October 2005.
[4] ISO 12640, Graphic technology - Prepress digital data exchange - CMYK standard color image data (CMYK/SCID) ("JIS X9201 CMYK/SCID" in Japanese).
[5] Shun-ichi Sekiguchi et. al., "An improved entropy coding for intra prediction modes", JVT-Q032, October 2005.
[6] Yoshimi Isu, et.al., "Verification results on the existing advanced 4:4:4 coding proposals", JVT-Q033, October 2005.
[7] Haoping Yu et.al., "JFVM reference software status", JVT-R025, January 2006.”





3.1.2.引用例1記載の発明
上記記載について検討する。

第一に、引用例1の上記“1 Summary”(「1 要約」)の“This contribution provides experimental results for CE9 (Separate prediction modes for 4:4:4 coding) [1], and proposed syntax modifications to the JFVM [2] based on the results.”(「この提案は、CE9(4:4:4符号化ための独立予測符号化)[1]についての実験結果を提示するともに、その結果に基づいたJFVM[2]の文法の変更を提案するものである。」)、“In this document, we will discuss not only the results for Intra-only coding but also for inter coding.”(「この文書では、イントラ符号化の結果についてのみではなく、インター符号化についても議論を行う。」)、“We focused on the fact that the three color planes of RGB video sometimes have different spatio-temporal statistics.”(「我々は、RGBビデオの三つの色平面は時には互いに異なる空間-時間統計的特性を有しているという事実に注目した。」)との記載からみて、引用例1記載の発明は「4:4:4フォーマットのカラー画像信号の符号化」に関するものである。更に、引用例1の上記“1 Summary”(「1 要約」)の“The proposed syntax provides encoder a flexibility to choose the best coding mode in inter-coded 4:4:4 pictures, while its decoding complexity is almost the same as that of the JFVM.”(「提案された文法は、復号化器の複雑性が殆どJFVMと同じ程度のまま、符号化器が、4:4:4画像をインター符号化するときに最適なモードを選択することをできるようにする。」)、“In addition, macroblock-level parallel processing in both encoder and decoder can easily be realized as addressed in [3].”(「加えて、符号化器、復号化器双方における、マクロブロックのレベルにおいての並列処理が簡単であることも[3]において提案されている。」)との記載からみて、引用例1記載の発明は「符号化方法」に関するものである。加えて、引用例1の上記“1 Summary”(「1 要約」)の“This contribution provides experimental results for CE9 (Separate prediction modes for 4:4:4 coding) [1], and proposed syntax modifications to the JFVM [2] based on the results.”(「この提案は、CE9(4:4:4符号化ための独立予測符号化)[1]についての実験結果を提示するともに、その結果に基づいたJFVM[2]の文法の変更を提案するものである。」)の“JFVM”とは、[2]として引用している『Haoping Yu et.al., "Joint 4:4:4 Video Model (JFVM)", JVT-Q206, October 2005』(下記周知例)に記載される“Joint 4:4:4 Video Model”のことであって、この“Joint 4:4:4 Video Model”とは『Haoping Yu et.al., "Joint 4:4:4 Video Model (JFVM)", JVT-Q206, October 2005』の“Introduction”(「はじめに」)に“The purpose of this document is to describe the implementation of the Advanced 4:4:4 profiles with the current MPEG4-Part10/H.264 specification.”(「この文書の目的は、現在のMPEG4-Part10/H.264規格に対し、4:4:4アドバンスドプロファイルをどのように適用するかを説明することである。」)と記載されるように、“MPEG4-Part10/H.264”という変換符号化を用いた画像圧縮符号化に関する規格の改良に関するものである。したがって、これらをまとめると、引用例1記載の発明は、「4:4:4フォーマットのカラー画像信号を変換符号化を用いて画像圧縮符号化する符号化方法」である。更に、上記したように、引用例1記載の発明は“JFVM”の改良に関するものであって、“JFVM”自体が“MPEG4-Part10/H.264”という画像圧縮符号化に関する規格の改良に関するものであるから、引用例1の記載は“MPEG4-Part10/H.264”という画像圧縮符号化に関する規格を参酌して解釈すべきところ、引用例1の“mode_extension_flag equal to 0 specifies one common coding/prediction mode information multiplexed in the macroblock_layer() is used for decoding of all three color components. mode_extension_flag equal to 1 specifies separate coding/prediction mode information in the macroblock_layer() is used for decoding of each color component. When mode_extension_flag is not present in the bitstream, its default value shall be 0.”(「“mode_extension_flag”が0ということは、“macroblock_layer()”に多重された一つの符号化/予測モード情報がすべての3つの色成分の復号化に用いられることを意味する。“mode_extension_flag”が1ということは、“macroblock_layer()”に多重された3つの符号化/予測モード情報がそれぞれの色成分の復号化に用いられる。“mode_extension_flag”が“the bitstream”に存在しないときには、その値は0として扱う。」)との記載からは、“mode_extension_flag”が“the bitstream”の中に存在することが記載され、この“MPEG4-Part10/H.264”について記載されている引用例2の第5頁に“bitstream”の定義として“3.14 bitstream: A sequence of bits that forms the representation of coded pictures and associated data forming one or more coded video sequences. Bitstream is a collective term used to refer either to a NAL unit stream or a byte stream.”(「3.14 “bitstream” 一つまたはそれ以上のビデオシーケンスを形成し、符号化されたピクチャとそれに付属するデータの表現を形成するビットの列。」)と記載されているところからみて、この“the bitstream”とは、符号化された画像信号とそれに付属するデータを含むものであり、引用例1記載の発明は「ビットストリーム」を生成していると認めることができるから、結局、引用例1記載の発明は「4:4:4フォーマットのカラー画像信号を変換符号化を用いて画像圧縮符号化してビットストリームを生成する符号化方法」ということができる。
第二に、引用例1の“Annex A: Proposed syntax modifications to the JFVM”(「付属書A JFVMへの文法の修正の提案」)の“[Sequence parameter set RBSP syntax]”に“mode_extension_flag”が存在し、この“mode_extension_flag”について“mode_extension_flag equal to 0 specifies one common coding/prediction mode information multiplexed in the macroblock_layer() is used for decoding of all three color components. mode_extension_flag equal to 1 specifies separate coding/prediction mode information in the macroblock_layer() is used for decoding of each color component. When mode_extension_flag is not present in the bitstream, its default value shall be 0.”(「“mode_extension_flag”が0ということは、“macroblock_layer()”に多重された一つの符号化/予測モード情報がすべての3つの色成分の復号化に用いられることを意味する。“mode_extension_flag”が1ということは、“macroblock_layer()”に多重された3つの符号化/予測モード情報がそれぞれの色成分の復号化に用いられる。“mode_extension_flag”が“the bitstream”に存在しないときには、その値は0として扱う。」)と記載されているところからみて、引用例1記載の発明の“Sequence parameter set”に含まれる“mode_extension_flag”は、それが“0”であるときには、マクロブロック層に多重化された共通符号化情報が3つの色成分信号の復号化に用いられ、それが“1”である場合には、マクロブロック層に多重化された個々の独立符号化情報が、それぞれの色成分信号の復号化に用いられることを示すものである。そして、引用例1記載の発明は「4:4:4フォーマットのカラー画像信号を変換符号化を用いて画像圧縮符号化してビットストリームを生成する符号化方法」であるから、引用例1記載の発明は「それが“0”であるときには、マクロブロック層に多重化された共通符号化情報が3つの色成分信号の復号化に用いられ、それが“1”である場合には、マクロブロック層に多重化された個々の独立符号化情報が、それぞれの色成分信号の復号化に用いられることを示す“mode_extension_flag”を“Sequence parameter set”に多重化」するものである。
第三に、引用例1の“Annex A: Proposed syntax modifications to the JFVM”(「付属書A JFVMへの文法の修正の提案」)の“[Sequence parameter set RBSP syntax]”に“seq_scaling_matrix_present_flag”が存在している。そして、上記「第一に」で述べたように、引用例1を解釈するときに参酌すべき“MPEG4-Part10/H.264”について記載されている引用例2の“7.3.2 Raw byte sequence payloads and RBSP trailing bits syntax”および“7.4.2 Raw byte sequence payloads and RBSP trailing bits semantics”には、この“seq_scaling_matrix_present_flag”に続けて“Table 7-2 Assignment of mnemonic names to scaling list indices and specification of fall-back rule”に記載されるような“sequence-level scaling list”を送ることが、また、引用例2の“8.5 Transform coefficient decoding process and picture construction process prior to deblocking filter process”には、それを復号側で各色成分の変換係数の逆量子化の重みの係数として利用することが記載されているから、引用例1に記載される“seq_scaling_matrix_present_flag”にも“sequence-level scaling list”が続けて送られ復号され各色成分の変換係数の逆量子化の重みの係数として利用されることを認めることができる。そして、引用例1記載の発明は「4:4:4フォーマットのカラー画像信号を変換符号化を用いて画像圧縮符号化してビットストリームを生成する符号化方法」であるから、引用例1記載の発明は「“seq_scaling_matrix_present_flag”に続けて各色成分の変換係数の逆量子化の重みの係数として利用する“sequence-level scaling list”を“Sequence parameter set”に多重化」するものである。
第四に、引用例1の“Annex A: Proposed syntax modifications to the JFVM”(「付属書A JFVMへの文法の修正の提案」)の“[Slice data syntax]”の“if( mode_extension_flag ){”から“} /* mode_extension_flag = = 1 */”の間に“for( color_ comp = 0; color_ comp < 3; color_ comp ++ ) {”, “macroblock_layer( color_comp )”との記載が存在し、また、“colop_comp is used as the loop counter for decoding of each color component in the case that mode_extension_flag is equal to 1.”(「“colop_comp”は“mode_extension_flag”が1のときに、それぞれの色成分のいずれが復号されているかのループカウンタとして用いられる。」)との記載があるところからみて、引用例1記載の発明の“color_comp”は「スライス」に含まれるものであって、「後続するマクロブロック層に含まれる符号化データがいずれの色成分の符号化データであるか識別する」ためのものである。また、この記載からみて、“color_comp”は“mode_extension_flag is equal to 1”、すなわち、“mode_extension_flag”が“1”の時のみ存在する。そして、引用例1記載の発明は「4:4:4フォーマットのカラー画像信号を変換符号化を用いて画像圧縮符号化してビットストリームを生成する符号化方法」であるから、引用例1記載の発明は「後続するマクロブロック層に含まれる符号化データがいずれの色成分の符号化データであるか識別するためであって、“mode_extension_flag”が“1”の時のみ存在する“color_comp”をスライスに多重化」するものである。

したがって、引用例1記載の発明(以下「引用発明1」という。)は以下に記載されるものである。

「4:4:4フォーマットのカラー画像信号を変換符号化を用いて画像圧縮符号化してビットストリームを生成する符号化方法であって、
それが“0”であるときには、マクロブロック層に多重化された共通符号化情報が3つの色成分信号の復号化に用いられ、それが“1”である場合には、マクロブロック層に多重化された個々の独立符号化情報が、それぞれの色成分信号の復号化に用いられることを示す“mode_extension_flag”を“Sequence parameter set”に多重化し、
“seq_scaling_matrix_present_flag”に続けて各色成分の変換係数の逆量子化の重みの係数として利用する“sequence-level scaling list”を“Sequence parameter set”に多重化し、
後続するマクロブロック層に含まれる符号化データがいずれの色成分の符号化データであるか識別するためであって、“mode_extension_flag”が“1”の時のみ存在する“color_comp”をスライスに多重化する、
4:4:4フォーマットのカラー画像信号を変換符号化を用いて画像圧縮符号化してビットストリームを生成する符号化方法。」

3.2.引用例2
当審における平成25年7月12日付の拒絶の理由で引用した『"SERIES H: AUDIOVISUAL AND MULTIMEDIA SYSTEMS - Infrastructure of audiovisual services - Coding of moving video - Advanced video coding for generic audiovisual services H.264 (03/2005)", ITU-T TELECOMMUNICATION STANDARDIZATION SECTOR OF ITU, 2005.03, https://www.itu.int/rec/dologin_pub.asp?lang=e&id=T-REC-H.264-200503-S!!PDF-E&type=items』には、以下の記載がある。(なお、括弧内に当審で作成した日本語訳を添付する。)

“3 Definitions
For the purposes of this Recommendation | International Standard, the following definitions apply.”(第4頁)(「3 定義 この提案|国際標準において、以下の定義が適用される。」)
“3.14 bitstream: A sequence of bits that forms the representation of coded pictures and associated data forming one or more coded video sequences. Bitstream is a collective term used to refer either to a NAL unit stream or a byte stream.”(第5頁)(「3.14 “bitstream” 一つまたはそれ以上のビデオシーケンスを形成し、符号化されたピクチャとそれに付属するデータの表現を形成するビットの列。」)




3.3.引用例3
当審における平成25年7月12日付の拒絶の理由で引用した『Shun-ichi Sekiguchi, Yoshimi Isu, Yoshihisa Yamada, Kohtaro Asai, Tokumichi Murakami, "Results of Core Experiment on 4:4:4 Coding (CE5)", Joint Video Team (JVT) of ISO/IEC MPEG & ITU-T VCEG (ISO/IEC JTC1/SC29/WG11 and ITU-T SG16 Q.6) 20th Meeting: Geneva, Switzerland, 30 March - 8 April, 2006, [JVT-S014], http://wftp3.itu.int/av-arch/jvt-site/2006_04_Geneva/JVT-S014.zip』には、以下の記載がある。(なお、括弧内に当審で作成した日本語訳を添付する。)

“1 Summary
This contribution provides experimental results for CE5 (4:4:4 Coding) [1] and proposed modifications to the latest 4:4:4 PDAM method [2] based on the results. In the Bangkok meeting, an integrated core experiment on 4:4:4 coding was established to verify the performance of all possible combinations of 4:4:4 coding tools using common software. In this contribution, we report verification results of color-channel independent coding tool [3,4]. The JFVM PDAM scheme is used as reference and we verified the performance of two possible scenarios: “slice-level independent coding” and “MB adaptive independent coding”. Note that “slice-level independent coding” does not mean “slice-adaptive”, but just to use independent coding only through whole sequence. And in this document, we refer to “MB adaptive” as the method supporting adaptive selection of PDAM-based MB coding and independent coding per each MB. Based on this result, it has been clarified that independent coding can provide significant coding gain at higher bitrate range where is important for 4:4:4 high-quality applications, and the performance of slice-level coding and MB-level coding is quite negligible around higher bitrates. As discussed in the recent meetings, independent coding also has several advantages from the viewpoint of implementation. Especially, slice-level coding has high parallel processing capability for both encoder and decoder, and allows the decoder to detect color-plane NAL unit without parsing variable length code, which is quite beneficial feature for high-resolution codec implementation. In addition to that, slice-level coding does not require any essential syntax changes compared with MB-based approach since it can fully re-use the syntax specification of existing 4:0:0 monochrome coding [4]. Thus, we recommend the group to adopt slice-level independent coding as a 4:4:4 coding tool that is useful for high-quality applications.”(「1 要約 この提案は、CE5(4:4:4符号化)[1]についての実験結果を提示するともに、その結果に基づいた4:4:4PDAM[2]の変更を提案するものである。バンコクでの会合において、共通ソフトウェアが用いる4:4:4符号化ツールのすべての可能な組み合わせの結果について検証するために、4:4:4符号化についての統合された中核的な実験が開始された。この提案では、色チャネル独立符号化ツール[3,4]の結果の確認について報告する。JFVM PDAMの手法は参考として扱われ、“スライスレベル独立符号化”と“マクロブロック適応独立符号化”の2つの可能なシナリオについて結果を確認した。“スライスレベル独立符号化”は“スライス適応”ではなく、シーケンス全体に対して独立符号化を用いているにすぎないことに注意されたい。そして、この文書では、“マクロブロック適応”とは、それぞれのマクロブロックで独立符号化を行い、PDAMに基づくマクロブロック符号化という適応選択を行える方法であるという意味である。この結果に基づき、4:4:4高品質符号化において重要な高ビットレートにおける大きな符号化利得を独立符号化が与えることが出来ることを確認し、高ビットレートにおいては、スライスレベル符号化の結果とマクロブロックレベル符号化の差は殆ど無いことも確認した。最近の会合で議論されたように、独立符号化は実現をするという観点でもいくつもの利点を有している。特に、スライスレベル符号化は、符号化器と復号化器の双方において並列処理を行えるという可能性を有し、復号化器が色平面NALを可変長符号を処理せずに検出できるという、高精細度符号化復号化器を実現するときに非常に有利な点をもっている。それに加えて、スライスレベル符号化は、既に存在する4:0:0白黒符号化[4]の文法を再利用することで、マクロブロックについての適用と比較しても、実質的な文法の変更は必要ない。したがって、我々は、高品質の応用に対して有用である4:4:4符号化ツールとしてスライスレベル独立符号化を採用するようにグループに提案する。」)

“7 References
[1] Teruhiko Suzuki , “CE5: 4:4:4 coding“, JVT-R305, January 2006.
[2] “Text of ISO/IEC 14496-10:2006/PDAM2 Advanced 4:4:4 Profiles “, ISO/IEC JTC1/SC29/WG11 N7792, January 2006.
[3] Steffen Wittmann et.al., “Intra-only 4:4:4 Profile for H.264/AVC FRExt”, JVT-Q086, October 2005.
[4] Shun-ichi Sekiguchi et. al., “Results of CE on separate prediction modes for 4:4:4 coding (CE9)”, JVT-R031, January 2006.”





3.4.周知例
引用例1の上記“1 Summary”の“This contribution provides experimental results for CE9 (Separate prediction modes for 4:4:4 coding) [1], and proposed syntax modifications to the JFVM [2] based on the results.”において、[2]として引用している『Haoping Yu et.al., "Joint 4:4:4 Video Model (JFVM)", JVT-Q206, October 2005』(http://wftp3.itu.int/av-arch/jvt-site/2005_10_Nice/JVT-Q206.doc)には以下の記載がある。(なお、括弧内に当審で作成した日本語訳を添付する。)

“Introduction
The purpose of this document is to describe the implementation of the Advanced 4:4:4 profiles with the current MPEG4-Part10/H.264 specification. As proposed in JVT-P017 and JVT-P016, the new Advanced 4:4:4 profiles apply all of the existing luma coding tools in the current specification to code all three input channels with addition of a new lossless intra residue DPCM process. In the meantime, the maximum bit depth for the input signals is extended to 14 bits in the Advanced 4:4:4 profiles.”(「はじめに この文書の目的は、現在のMPEG4-Part10/H.264規格に対し、4:4:4アドバンスドプロファイルをどのように適用するかを説明することである。JVT-P017とJVT-P016において提案されたように、新しい4:4:4アドバンスドプロファイルは、現在の規格に既に存在するルマ符号化ツールによって、すべての3つの入力を符号化すると共に、新しいイントラ符号化誤差無損失DPCM手順を導入するものである。それとともに、4:4:4アドバンスドプロファイルの入力信号のビット長は14ビットに拡張される。」)

4.対比
ここで、本願発明と引用発明1を対比する。

4.1.「4:4:4フォーマットのカラー画像を圧縮符号化してビットストリームを生成する画像符号化方法・・・画像符号化方法。」
引用発明1は「4:4:4フォーマットのカラー画像信号を変換符号化を用いて画像圧縮符号化してビットストリームを生成する符号化方法」であるから、引用発明1と本願発明は「4:4:4フォーマットのカラー画像を圧縮符号化してビットストリームを生成する画像符号化方法・・・画像符号化方法。」である点で一致している。

4.2.「個々の独立したマクロブロックタイプ情報により各色成分信号を符号化する処理に相当する独立符号化処理により符号化するか否かを示す共通符号化・独立符号化識別情報」
引用発明1の“mode_extension_flag”は「それが“0”であるときには、マクロブロック層に多重化された共通符号化情報が3つの色成分信号の復号化に用いられ、それが“1”である場合には、マクロブロック層に多重化された個々の独立符号化情報が、それぞれの色成分信号の復号化に用いられることを示す」ものであって、引用発明1の「マクロブロック層に多重化された個々の独立符号化情報」は、本願発明の「個々の独立したマクロブロックタイプ情報」と対応し、また、引用発明1において「独立符号化情報」を復号化に用いるときの符号化は「独立符号化処理」ということができるから、引用発明1の“mode_extension_flag”と本願発明の「共通符号化・独立符号化識別情報」は「個々の独立したマクロブロックタイプ情報により各色成分信号を符号化する処理に相当する独立符号化処理により符号化するか否かを示す」ものである点で一致している。

4.3.「各色成分の逆量子化に用いる量子化重み付け係数」
本願発明は「4:4:4フォーマットのカラー画像を圧縮符号化してビットストリームを生成する画像符号化方法」であって「各色成分の逆量子化に用いる量子化重み付け係数」を有するものであるが、本願明細書段落【0040】の『量子化重み付け係数12a、12b、12cは、いずれもこの周波数領域ごとに与える重み付けのパラメータであり、4x4ブロックサイズの変換用に16個の、8x8ブロックサイズの変換用に64個のパラメータが使用される。前述のように量子化重み付け係数12a、12b、12cはシーケンスパラメータセットに多重されるが、「独立符号化処理」を行う場合には3つの色成分でそれぞれ異なる量子化重み付け係数を使用することが可能であるため、12a、12b、12cと3つともすべて多重してもよいし、同じ値を使用する場合にはそのことを示す情報とともに1つだけを多重してもよい』、段落【0048】の「シーケンス単位に多重される共通符号化・独立符号化識別信号1、量子化重み付け係数12a?12c、イントラオンリー符号化指示情報13、画像サイズ情報14は、シーケンスパラメータセットの一部として上位ヘッダメモリ305に保持される。」、段落【0050】の「その際、各色成分で用いる量子化重み付け係数12a?12cを上位ヘッダメモリ305から参照して使用する。」との記載からみて、本願発明の「各色成分の逆量子化に用いる量子化重み付け係数」は「独立符号化処理」を行う場合には、それぞれの色成分に一組みづつ「量子化重み付け係数」が存在するものである。

これに対し、引用発明1は「“seq_scaling_matrix_present_flag”に続けて各色成分の変換係数の逆量子化の重みの係数として利用する“sequence-level scaling list”を“Sequence parameter set”に多重化」するものであるが、引用例1には“Sequence parameter set”に多重化された「“seq_scaling_matrix_present_flag”に続けて送られる“sequence-level scaling list”」が具体的にどのようなものであるかについての記載は何ら無く、また、引用例1を解釈するときに参酌すべき“MPEG4-Part10/H.264”について記載されている引用例2の“7.3.2 Raw byte sequence payloads and RBSP trailing bits syntax”や“Table 7-2 Assignment of mnemonic names to scaling list indices and specification of fall-back rule”には、色差成分のダウンサンプルを前提とした4:2:0フォーマットのYCbCrに対して“sequence-level scaling list”をどのように送るかについてのみ記載され、「4:4:4フォーマット」に対応した“sequence-level scaling list”をどのように送るかについては記載されておらず、また、その記載からみて「4:4:4フォーマット」に適用したときの“sequence-level scaling list”の詳細が自明であるともいえないから、引用発明1は「4:4:4フォーマットのカラー画像信号を変換符号化を用いて画像圧縮符号化してビットストリームを生成する符号化方法」であって、引用発明1の“sequence-level scaling list”が4:4:4フォーマットの各色成分の変換係数の逆量子化の重みの係数として利用されることは明らかではあるものの、その“sequence-level scaling list”に、4:4:4フォーマットのそれぞれの色成分に対応する一組みづつの係数が含まれているか否かは明らかではない。

そうすると、引用発明1の“sequence-level scaling list”は「各色成分の変換係数の逆量子化の重みの係数として利用」されるものであるから、引用発明1の“sequence-level scaling list”と本願発明の「量子化重み付け係数」は「各色成分の逆量子化に用いる量子化重み付け係数」である点で一致しているが、本願発明の「各色成分の逆量子化に用いる量子化重み付け係数」は、それぞれの色成分に対応する一組みづつの「量子化重み付け係数」が存在するのに対し、引用発明1の“sequence-level scaling list”に、4:4:4フォーマットのそれぞれの色成分に対応する一組みづつの係数が含まれているか否かは明らかではない点で相違する。

4.4.「共通符号化・独立符号化識別情報と、・・・量子化重み付け係数とをビットストリームに多重する多重化ステップ」
引用発明1は「4:4:4フォーマットのカラー画像信号を変換符号化を用いて画像圧縮符号化してビットストリームを生成する符号化方法であって、それが“0”であるときには、マクロブロック層に多重化された共通符号化情報が3つの色成分信号の復号化に用いられ、それが“1”である場合には、マクロブロック層に多重化された個々の独立符号化情報が、それぞれの色成分信号の復号化に用いられることを示す“mode_extension_flag”を“Sequence parameter set”に多重化し、“seq_scaling_matrix_present_flag”に続けて各色成分の変換係数の逆量子化に利用する“sequence-level scaling list”を“Sequence parameter set”に多重化」するものであるから、本願発明と引用発明1は「共通符号化・独立符号化識別情報と、・・・量子化重み付け係数とをビットストリームに多重する多重化ステップ」点で一致している。

4.5.「前記共通符号化・独立符号化識別情報が、各色成分の信号を前記独立符号化処理によって符号化することを示す場合に、スライスヘッダに、当該スライスに含まれる符号化データがいずれの色成分の符号化データであるかを識別するための色成分識別フラグを多重するピクチャ符号化ステップ」
引用発明1は「後続するマクロブロック層に含まれる符号化データがいずれの色成分の符号化データであるか識別するためであって、“mode_extension_flag”が“1”の時のみ存在する“color_comp”をスライスに多重化する」ものであるから、引用発明1の“color_comp”と本願発明1の「色成分識別フラグ」は、いずれも「符号化データがいずれの色成分の符号化データであるかを識別する」機能を有している。そして、この“color_comp”は“mode_extension_flag”が“1”の時のみ存在するものであって、“1”以外の場合には存在しないから、引用発明1と本願発明は「前記共通符号化・独立符号化識別情報が、各色成分の信号を前記独立符号化処理によって符号化することを示す場合に、符号化データがいずれの色成分の符号化データであるかを識別するための色成分識別フラグを多重するピクチャ符号化ステップ」を有する点で一致している。しかしながら、本願発明の「色成分識別フラグ」は「スライスヘッダ」に含まれ「当該スライスに含まれる」符号化データがいずれの色成分の符号化データであるかを識別するものであるのに対し、引用発明1の“color_comp”はスライスに含まれ「後続するマクロブロック層に含まれる」符号化データがいずれの色成分の符号化データであるか識別するものである点で相違する。

4.6.「前記多重化ステップは、当該スライスの符号化処理に使用する量子化重み付け係数を前記各色成分ごとに多重する」
引用発明1は「“seq_scaling_matrix_present_flag”に続けて各色成分の変換係数の逆量子化の重みの係数として利用する“sequence-level scaling list”を“Sequence parameter set”に多重化」するものであって、上記『4.3.「各色成分の逆量子化に用いる量子化重み付け係数」』でも述べたように、引用発明1の“sequence-level scaling list”と本願発明の「量子化重み付け係数」は「各色成分の逆量子化に用いる量子化重み付け係数」である点で一致しており、また、引用発明1は「後続するマクロブロック層に含まれる符号化データがいずれの色成分の符号化データであるか識別するためであって、“mode_extension_flag”が“1”の時のみ存在する“color_comp”をスライスに多重化する」もの、すなわち、引用発明1で生成された「ビットストリーム」は「スライス」を有するものであるから、引用発明1と本願発明は「前記多重化ステップは、当該スライスの符号化処理に使用する量子化重み付け係数を多重する」点で一致している。
しかしながら、上記『4.3.「各色成分の逆量子化に用いる量子化重み付け係数」』でも述べたように、引用発明1の“sequence-level scaling list”に、4:4:4フォーマットのそれぞれの色成分に対応する一組みづつの係数が含まれているか否かは明らかではないことから、引用発明1が「“seq_scaling_matrix_present_flag”に続けて各色成分の変換係数の逆量子化に利用する“sequence-level scaling list”を“Sequence parameter set”に多重化」するときに、本願発明のように「各色成分ごとに多重しているということはできない。すなわち、本願発明の前記多重化ステップは、当該スライスの符号化処理に使用する量子化重み付け係数を「前記各色成分ごと」に多重するものであるのに対し、引用発明1は、そのようなものではない点で相違する。

5.一致点・相違点
したがって、本願発明と引用発明1は以下の点で一致し、相違する。

[一致点]
「4:4:4フォーマットのカラー画像を圧縮符号化してビットストリームを生成する画像符号化方法であって、
個々の独立したマクロブロックタイプ情報により各色成分信号を符号化する処理に相当する独立符号化処理により符号化するか否かを示す共通符号化・独立符号化識別情報と、各色成分の逆量子化に用いる量子化重み付け係数とをビットストリームに多重する多重化ステップと、
前記共通符号化・独立符号化識別情報が、各色成分の信号を前記独立符号化処理によって符号化することを示す場合に、符号化データがいずれの色成分の符号化データであるかを識別するための色成分識別フラグを多重するピクチャ符号化ステップと、
を備え、
前記多重化ステップは、当該スライスの符号化処理に使用する量子化重み付け係数を多重することを特徴とする画像符号化方法。」

という点で一致し、

[相違点]
(1) 本願発明の「各色成分の逆量子化に用いる量子化重み付け係数」は、それぞれの色成分に対応する一組みづつの「量子化重み付け係数」が存在し、「当該スライスの符号化処理に使用する量子化重み付け係数を前記各色成分ごとに多重」するのに対し、引用発明1の“sequence-level scaling list”に、4:4:4フォーマットのそれぞれの色成分に対応する一組みづつの係数が含まれているか否かは明らかではなく、そのため、当該スライスの符号化処理に使用する量子化重み付け係数を「前記各色成分ごと」に多重するものではない点。
(2) 本願発明の「色成分識別フラグ」は「スライスヘッダ」に含まれ「当該スライスに含まれる」符号化データがいずれの色成分の符号化データであるかを識別するものであるのに対し、引用発明1の“color_comp”はスライスに含まれ「後続するマクロブロック層に含まれる」符号化データがいずれの色成分の符号化データであるか識別するものである点。

という点で相違する。

6.当審の判断
上記相違点(1)(2)について検討する。

6.1.相違点(1)
引用例3の上記“Annex A: Proposed syntax modifications to the 4:4:4 PDAM”(「付属書A 4:4:4PDAMへの文法の修正の提案」)には、“Slice-level independent coding can be achieved by the modifications to slice_header() as follows.”(スライスレベル独立符号化は、“slice_header()”に対して以下の修正を行うことで実現できる。」)、“With this specification, slice data shall be regarded as 4:0:0 coded data that represents one of three color components.”(「この規格では、スライスデータは、4:0:0符号化されたデータであって、3つの色成分のうちの1つを表現するものとして取り扱う。」)、“This syntax has several advantages as follows, when dealing with 4:4:4 video contents. - Parameters closely related to coding efficiency such as slice type, reference picture list management, quantization, or deblocking filter controls can independently be determined per each color component.”(「この文法は、4:4:4ビデオ成分を扱うときに、以下のような、符号化効率に密接に関係するパラメータである、スライスタイプ、参照ピクチャリストの管理、量子化、デブロッキングフィルタ制御を、各色成分で独立に決定出来るという利点がある。」)との記載があるように、引用例3には、各色毎のスライスのデータを、4:0:0符号化、すなわち、Y成分のみを含むグレースケールの形をしている、スライスの段階で各色成分を分離した形の“4:4:4 video contents”として取り扱うときには、量子化に関するパラメータを各色独立に設定できること、すなわち、4:4:4フォーマットの各色成分毎に量子化に関するパラメータを独立して設けることができることが記載されている。

ここで、引用例3の上記“1 Summary”(「1 要約」)の“In the Bangkok meeting, an integrated core experiment on 4:4:4 coding was established to verify the performance of all possible combinations of 4:4:4 coding tools using common software. In this contribution, we report verification results of color-channel independent coding tool [3,4].”(「バンコクでの会合において、共通ソフトウェアが用いる4:4:4符号化ツールのすべての可能な組み合わせの結果について検証するために、4:4:4符号化についての統合された中核的な実験が開始された。この提案では、色チャネル独立符号化ツール[3,4]の結果の確認について報告する。」)、“In addition to that, slice-level coding does not require any essential syntax changes compared with MB-based approach since it can fully re-use the syntax specification of existing 4:0:0 monochrome coding [4].”(「それに加えて、スライスレベル符号化は、既に存在する4:0:0白黒符号化[4]の文法を再利用することで、マクロブロックについての適用と比較しても、実質的な文法の変更は必要ない。」)との記載、上記“7 References”の“[4] Shun-ichi Sekiguchi et. al., Results of CE on separate prediction modes for 4:4:4 coding (CE9), JVT-R031, January 2006.”との記載にもみられるように引用例3は引用例1を引用していることからみて、引用発明1に、引用例3に記載されるような、スライスの段階で各色成分を分離した形の“4:4:4 video contents”を適用することは、引用例3の記載自体が既に想定しているものと認められる。更に、引用例1の上記“A-2. Proposal-II”(「A-2 提案II」)に、引用例3の上記“Annex A: Proposed syntax modifications to the 4:4:4 PDAM”(「付属書A 4:4:4PDAMへの文法の修正の提案」)と同様の記載があるところからみて、引用発明1に、引用例3に記載されるような、スライスの段階で各色成分を分離した形の“4:4:4 video contents”を適用することは、引用例1自体も既に想定しているものと認めることができる。

そうすると、引用発明1に、引用例3の上記“Annex A: Proposed syntax modifications to the 4:4:4 PDAM”(「付属書A 4:4:4PDAMへの文法の修正の提案」)の記載を適用し、引用発明1の“sequence-level scaling list”を、4:4:4フォーマットのそれぞれの色成分に対応する一組みづつの係数を含むものとし、本願発明のように「当該スライスの符号化処理に使用する量子化重み付け係数を前記各色成分ごとに多重」したことは、当業者が容易に想到し得たことにすぎない。

6.2.相違点(2)
引用例3の上記“Annex A: Proposed syntax modifications to the 4:4:4 PDAM”(「付属書A 4:4:4PDAMへの文法の修正の提案」)の“Slice-level independent coding can be achieved by the modifications to slice_header() as follows.”(スライスレベル独立符号化は、“slice_header()”に対して以下の修正を行うことで実現できる。」)との記載からみて、上記「6.1.相違点(1)」で述べたように、引用例3には、各色毎のスライスのデータを、4:0:0符号化、すなわち、Y成分のみを含むグレースケールの形をしている、スライスの段階で各色成分を分離した形の“4:4:4 video contents”として取り扱うことが記載され、更に、引用例3には、“slice_header() {”以下、すなわち、スライスヘッダに“color_channel_idc”が存在すること、および、“color_channel_idc shall take integer value ranging from 0 to 2 that indicates which color plane the current slice belongs to.”(「“color_channel_idc”は、現在のスライスがどの色平面に関連するものかを表示する0から2までの範囲の整数値をとる。」)と、この“color_channel_idc”が、そのスライスがどの色成分に関するものかという値を有しているものであることが記載されている。
そして、上記「6.1.相違点(1)」で述べたように、引用発明1に、引用例3に記載されるような、スライスの段階で各色成分を分離した形の“4:4:4 video contents”を適用することは、引用例1,3の記載自体が既に想定しているものと認められるから、引用発明1における“color_comp”を用いたフォーマットを、引用例3に記載されるような“color_channel_idc”を用いたフォーマットに置き換え、本願発明の「色成分識別フラグ」のように「スライスヘッダ」に含まれ「当該スライスに含まれる」符号化データがいずれの色成分の符号化データであるかを識別するものとした点は、当業者が容易に想到し得たことにすぎない。

また、本願発明は、格別の作用効果を奏するものとも認められない。

したがって、本願発明は、引用発明1?3に基づき当業者が容易に発明できたものである。

7.むすび
以上のとおり、請求項2に係る発明は、引用例1?3に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、残る請求項1に係る発明について検討するまでもなく、本件出願は拒絶をすべきものである。

よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2013-10-24 
結審通知日 2013-10-29 
審決日 2013-11-11 
出願番号 特願2009-222332(P2009-222332)
審決分類 P 1 8・ 121- WZ (H04N)
P 1 8・ 537- WZ (H04N)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 坂東 大五郎  
特許庁審判長 松尾 淳一
特許庁審判官 小池 正彦
清水 正一
発明の名称 画像符号化装置、画像復号装置、および画像符号化方法、画像復号方法  
代理人 大宅 一宏  
代理人 鈴木 憲七  
代理人 飯野 智史  
代理人 吉田 潤一郎  
代理人 上田 俊一  
代理人 曾我 道治  
代理人 梶並 順  
  • この表をプリントする

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ