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審決分類 審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 H01L
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 H01L
管理番号 1283072
審判番号 不服2013-9701  
総通号数 170 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2014-02-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2013-05-27 
確定日 2013-12-26 
事件の表示 特願2009-533058「照明用白色発光ランプとそれを用いた照明器具」拒絶査定不服審判事件〔平成21年 3月26日国際公開、WO2009/037848〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、2008年9月19日(優先権主張2007年9月21日、日本国)を国際出願日とする出願であって、平成24年11月9日付けで拒絶の理由が通知され、平成25年1月9日に手続補正がなされたが、同年2月19日付けで拒絶査定がなされ、これに対して、同年5月27日に拒絶査定不服審判が請求されると同時に手続補正がなされたものである。

第2 平成25年5月27日付け手続補正についての補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
平成25年5月27日付け手続補正(以下「本件補正」という。)を却下する。

[理 由]
1 補正内容
本件補正は、特許請求の範囲についてするものであり、その特許請求の範囲の請求項1については、
本件補正前(平成25年1月9日付け手続補正書のもの)に、
「ピーク波長が300nm以上430nm以下の範囲の光を出射する半導体発光素子と、
前記半導体発光素子の少なくとも発光面を覆うように配置され、厚さが0.4mm以上10mm以下である透明樹脂層と、
前記透明樹脂層上に設けられ、前記半導体発光素子から出射された光により励起されて白色光を発光する蛍光体層とを具備し、
前記蛍光体層は緑色蛍光体として、
一般式:(R_(1-X-Y))Ce_(X)Tb_(Y)BO_(3)(式中、RはSc、Y、La、GdおよびLuから選ばれる少なくとも1種の元素を示し、xおよびyは0.03<x<0.3、0.03<y<0.3を満足する数である)
で表される組成を有する3価のセリウムおよびテルビウムで付活された希土類硼酸塩蛍光体を含むことを特徴とする照明用白色発光ランプ。」とあったものを、

「ピーク波長が300nm以上430nm以下の範囲の光を出射する半導体発光素子と、
前記半導体発光素子の少なくとも発光面を覆うように配置され、厚さが0.4mm以上10mm以下である透明樹脂層と、
前記透明樹脂層上に接触して設けられ、前記半導体発光素子から出射された光により励起されて白色光を発光する蛍光体層とを具備し、
前記蛍光体層は、平均粒径が1μm以上の緑色蛍光体、青色蛍光体および赤色蛍光体を有し、
前記緑色蛍光体は、
一般式:(R_(1-X-Y))Ce_(X)Tb_(Y)BO_(3)
(式中、RはSc、Y、La、GdおよびLuから選ばれる少なくとも1種の元素を示し、xおよびyは0.03<x<0.3、0.03<y<0.3を満足する数である)
で表される組成を有する3価のセリウムおよびテルビウムで付活された希土類硼酸塩蛍光体を含むことを特徴とする照明用白色発光ランプ。」と補正する内容を含むものである(なお、下線は当審で付した。以下同じ。)。

2 補正目的
(1)請求項1についての上記補正は、本件補正前の請求項1に係る発明を特定するために必要な「蛍光体層」が、透明樹脂層上に接触して設けられるものであることを特定するとともに、平均粒径が1μm以上の緑色蛍光体、青色蛍光体および赤色蛍光体を有するものであることを特定するものであるから、特許法第17条の2第5項第2号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものと認められる。

(2)よって、本件補正後の請求項1に係る発明(以下「本願補正発明」という。)について、これが特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第5項の規定に適合するか)否かを、以下に検討する。

3 独立特許要件
(1)刊行物に記載された事項
原査定の拒絶の理由に引用され、本願の優先日前に頒布された刊行物である特開2006-299207(以下「引用文献」という。)には、図とともに以下の記載がある。

ア 「【請求項2】
紫外線発光ダイオード、紫色発光ダイオード、紫外線発光レーザまたは紫色発光レーザの少なくとも1種の発光素子と、蛍光体層を具備した白色LEDにおいて、前記蛍光体層中の緑色蛍光体が一般式1、青色蛍光体が一般式2または一般式3、赤色蛍光体が一般式4または一般式5を満たすことを特徴とする白色LED。
<緑色蛍光体>一般式1:M(_(1-X-Y))Ce_(X)Tb_(Y)BO_(3)(式中、MはSc、La、Luから選ばれるの少なくとも1種の元素、x、yは、0.03<x<0.3,0.03<y<0.3)で実質的に表される3価のセリウムおよびテルビウム付活希土類硼酸化物蛍光体。
<青色蛍光体>
一般式2:(M2、Eu)_(10)(PO_(4))_(6)・Cl_(2)(式中、M2はMg、Ca、SrおよびBaから選ばれる少なくとも1種の元素を示す)で実質的に表される2価のユーロピウム付活ハロ燐酸塩蛍光体、または
一般式3:a(M3、Eu)O・bAl_(2)O_(3)(式中、M3はMg、Ca、Sr,Ba,Zn、Li、RbおよびCsから選ばれる少なくとも1種の元素を示し、aおよびbは0<a、0<b、0.2≦a/b≦1.5を満足する数である)で実質的に表される2価のユーロピウム付活アルミン酸塩蛍光体。
<赤色蛍光体>
一般式4:(La_(1-X),Eu_(X))_(2)O_(2)S
(式中、0.01<x<0.15を満たす値である)
で表わされるユーロピウム付活酸硫化ランタン蛍光体、または
一般式5:(Y_(1-X),Eu_(X))_(2)O_(2)S
(式中、0.01<x<0.15を満たす値である)
で表わされるユーロピウム付活酸硫化イットリウム蛍光体。
【請求項3】
前記発光素子の発光波長が300?430nmであることを特徴とする請求項2記載の白色LED。
【請求項4】
前記蛍光体の平均粒径が1μm以上であることを特徴とする請求項2または請求項3記載の白色LED。」

イ 「【0002】
近年、一般照明、液晶表示装置用バックライト等に用いられてきた水銀ガス励起の蛍光灯管(FL)、冷陰極線管(CCFL)に対して、コンパクト性、長寿命、低電圧駆動、水銀フリー等の特徴をもつ、白色LEDの開発が行われるようになってきている。」

ウ 「【0003】
紫外線(または紫色)発光ダイオードを用いる場合、蛍光体層としては赤色、緑色、青色の3色の可視光発光蛍光体を用いて白色光を得ている。一方、青色発光ダイオードは赤色と黄色の2色の可視光発光蛍光体を用いて白色光を得ていることが多い。紫外線発光ダイオードを用いた方が蛍光体を3色用いることから、2色で白色光を得ている青色発光ダイオードより色再現性が良いことが分かってきている。・・・(略)・・・緑色成分としては発光波長が515nmと従来材料LaPO4:Ce,Tbの543nmに比較して短波長であり、完全互換とならないため、照明用途に用いる場合、演色性の低下などの問題があった。」

エ 「【0012】
図1に本発明の白色LEDの一例を示す断面図を示した。図1中、aは発光ダイオード、bは樹脂に埋め込まれた蛍光体層を、cは発光ダイオード及び蛍光体の発光を外部へ導く反射層を、dは発光部を支える樹脂枠を示している。LEDランプに印加された電気エネルギーは発光ダイオードにより紫外光あるいは紫色光に変換され、それらの光が発光ダイオード上部の蛍光体層によりより長波長の光に変換され、総計として白色光がLEDランプ外へ放出される仕組みになっている。
紫外線発光ダイオードまたは紫色発光ダイオードはInGaN系、GaN系、AlGaN系のダイオードなど様々なものが適用可能である。特に発光波長のピーク値が300?430nmの発光ダイオードであると、後述の蛍光体との組合せにより、高輝度かつ色再現性のより優れた白色LEDを為し得ることができる。発光波長のピーク値が320?400nmの紫外線発光ダイオードまたは紫色発光ダイオードであると後述の蛍光体と組合せた際に、より高輝度が得られるので好ましい。また、紫外線発光ダイオードまたは紫色発光ダイオードの代わりに紫外線発光レーザまたは紫色発光レーザを用いてもよい。なお、本発明では、紫外線発光ダイオード、紫色発光ダイオード、紫外線発光レーザおよび紫色発光レーザを総合して発光素子と称する。」

オ 「【0017】
また、さらに輝度を上げるために各蛍光体の平均粒径を大きくすることも有効である。平均粒径としては1μm以上、さらには10μm以上と大きくすることが好ましい。平均粒径を大きくする方法としては、1色の蛍光体同士を造粒する方法、3色の蛍光体を混合して造粒する方法などが挙げられる。また、他の方法としては、蛍光体を焼成する際に焼
成助剤を用いる方法や高温で長時間焼成する方法等が挙げられる。なお、平均粒径の上限値は特に限定されるものではないが、白色LEDの蛍光体層の厚さの90%以下が好ましい。蛍光体層の厚さより大きいと蛍光体粒子を樹脂で固めて蛍光体層を形成した際に蛍光体粒子の脱粒などの不具合が生じ易くなる。」

カ 「【0022】
(実施例5?8、比較例3?7)
実施例1?4および比較例1?2の緑色蛍光体と、一般式2または一般式3を満たす青色蛍光体と、一般式4または一般式5を満たす赤色蛍光体を用意し、それぞれ実施例5?8および比較例3?4に係る白色LEDを調整した。
また、一般式1を満たさない緑色蛍光体を用いた白色LEDを比較例5?7として用意した。
具体的には、本実施例の白色LEDの評価のために、断面が図1の構造を採用した。発光素子にはサイズ300μm四方の紫外線発光ダイオードを配し、平均粒径5μmの各蛍光体とシリコーン樹脂を混合してスラリーを得た後、前記紫外線発光ダイオード上にスラリーを滴下し、100?150℃で熱処理することによりシリコーン樹脂を硬化し、各実施例に係る白色LEDを形成した。
なお、紫外線発光ダイオードの波長、各蛍光体の組成は表2に示す通りとした。
各実施例および比較例に係る白色LEDの輝度を測定した。輝度測定は全光束測定方法を用い、具体的には各白色LEDを40mAの電流で発光させ、labshere社製10インチ積分球(DAS-2100)を用いて測定した。その結果を表2に示す。
【0023】


キ 図1は、以下ののものである。


(2)引用文献に記載された発明
ア 上記(1)アの記載によれば、
引用文献には、
「発光波長が300?430nmである紫外線発光ダイオードと、蛍光体層を具備した白色LEDにおいて、
蛍光体層中の緑色蛍光体が一般式1、青色蛍光体が一般式2または一般式3、赤色蛍光体が一般式4または一般式5を満たし、
各蛍光体の平均粒径が1μm以上である、白色LED。
<緑色蛍光体>
一般式1:M(_(1-X-Y))Ce_(X)Tb_(Y)BO_(3)(式中、MはSc、La、Luから選ばれるの少なくとも1種の元素、x、yは、0.03<x<0.3,0.03<y<0.3)で実質的に表される3価のセリウムおよびテルビウム付活希土類硼酸化物蛍光体。
<青色蛍光体>
一般式2:(M2、Eu)_(10)(PO_(4))_(6)・Cl_(2)(式中、M2はMg、Ca、SrおよびBaから選ばれる少なくとも1種の元素を示す)で実質的に表される2価のユーロピウム付活ハロ燐酸塩蛍光体、または
一般式3:a(M3、Eu)O・bAl_(2)O_(3)(式中、M3はMg、Ca、Sr,Ba,Zn、Li、RbおよびCsから選ばれる少なくとも1種の元素を示し、aおよびbは0<a、0<b、0.2≦a/b≦1.5を満足する数である)で実質的に表される2価のユーロピウム付活アルミン酸塩蛍光体。
<赤色蛍光体>
一般式4:(La_(1-X),Eu_(X))_(2)O_(2)S
(式中、0.01<x<0.15を満たす値である)
で表わされるユーロピウム付活酸硫化ランタン蛍光体、または
一般式5:(Y_(1-X),Eu_(X))_(2)O_(2)S
(式中、0.01<x<0.15を満たす値である)
で表わされるユーロピウム付活酸硫化イットリウム蛍光体。」
が記載されているものと認められる。

イ 上記(1)エ及びカの記載に照らせば、
上記アの「紫外線発光ダイオード」は、
発光波長のピーク値が300?430nm、サイズ300μm四方の、InGaN系、GaN系、AlGaN系のダイオードであってもよいものと認められる。

ウ 上記(1)オの記載に照らせば、
上記アの「各蛍光体の平均粒径」の上限値は、
蛍光体層の厚さの90%以下が好ましいものと認められる。

エ 上記アないしウから、引用文献には次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。

「発光波長のピーク値が300?430nm、サイズ300μm四方の、InGaN系、GaN系、AlGaN系の紫外線発光ダイオードと、蛍光体層を具備した白色LEDにおいて、
蛍光体層中の緑色蛍光体が一般式1、青色蛍光体が一般式2または一般式3、赤色蛍光体が一般式4または一般式5を満たし、
各蛍光体の平均粒径が1μm以上、上限値が蛍光体層の厚さの90%以下である、白色LED。
<緑色蛍光体>
一般式1:M(_(1-X-Y))Ce_(X)Tb_(Y)BO_(3)(式中、MはSc、La、Luから選ばれるの少なくとも1種の元素、x、yは、0.03<x<0.3,0.03<y<0.3)で実質的に表される3価のセリウムおよびテルビウム付活希土類硼酸化物蛍光体。
<青色蛍光体>
一般式2:(M2、Eu)_(10)(PO_(4))_(6)・Cl_(2)(式中、M2はMg、Ca、SrおよびBaから選ばれる少なくとも1種の元素を示す)で実質的に表される2価のユーロピウム付活ハロ燐酸塩蛍光体、または
一般式3:a(M3、Eu)O・bAl_(2)O_(3)(式中、M3はMg、Ca、Sr,Ba,Zn、Li、RbおよびCsから選ばれる少なくとも1種の元素を示し、aおよびbは0<a、0<b、0.2≦a/b≦1.5を満足する数である)で実質的に表される2価のユーロピウム付活アルミン酸塩蛍光体。
<赤色蛍光体>
一般式4:(La_(1-X),Eu_(X))_(2)O_(2)S
(式中、0.01<x<0.15を満たす値である)
で表わされるユーロピウム付活酸硫化ランタン蛍光体、または
一般式5:(Y_(1-X),Eu_(X))_(2)O_(2)S
(式中、0.01<x<0.15を満たす値である)
で表わされるユーロピウム付活酸硫化イットリウム蛍光体。」

(4)対比
本願補正発明と引用発明とを対比する。
ア 引用発明の「発光波長のピーク値が300?430nm」は本願補正発明の「ピーク波長が300nm以上430nm以下」に相当し、以下同様に、
「InGaN系、GaN系、AlGaN系の紫外線発光ダイオード」は「半導体発光素子」に、
「蛍光体層」は「蛍光体層」に、
「平均粒径」は「平均粒径」に、
「緑色蛍光体」は「緑色蛍光体」に、
「青色蛍光体」は「青色蛍光体」に、
「赤色蛍光体」は「赤色蛍光体」に、
「白色LED」は「白色発光ランプ」に、それぞれ、相当する。

イ 引用発明の「蛍光体層」は、紫外線発光ダイオードから出射された光により励起されて白色光を発光することが当業者にとって自明であることに照らせば、
引用発明と本願補正発明と「半導体発光素子から出射された光により励起されて白色光を発光する蛍光体層」を備える点で一致する。

ウ また、引用発明と本願補正発明とは「一般式:(R_(1-X-Y))Ce_(X)Tb_(Y)BO_(3)
(式中、RはSc、Y、La、GdおよびLuから選ばれる少なくとも1種の元素を示し、xおよびyは0.03<x<0.3、0.03<y<0.3を満足する数である)
で表される組成を有する3価のセリウムおよびテルビウムで付活された希土類硼酸塩蛍光体を含む」点で一致する。

エ 以上のことから、本願補正発明と引用発明とは以下の点で一致する。
<一致点>
「ピーク波長が300nm以上430nm以下の範囲の光を出射する半導体発光素子と、
前記半導体発光素子から出射された光により励起されて白色光を発光する蛍光体層とを具備し、
前記蛍光体層は、平均粒径が1μm以上の緑色蛍光体、青色蛍光体および赤色蛍光体を有し、
前記緑色蛍光体は、
一般式:(R_(1-X-Y))Ce_(X)Tb_(Y)BO_(3)
(式中、RはSc、Y、La、GdおよびLuから選ばれる少なくとも1種の元素を示し、xおよびyは0.03<x<0.3、0.03<y<0.3を満足する数である)
で表される組成を有する3価のセリウムおよびテルビウムで付活された希土類硼酸塩蛍光体を含む、白色発光ランプ。」

オ 一方で、本願補正発明と引用発明とは、以下の点で相違する。
<相違点1>
白色発光ランプの用途に関し、
本願補正発明は、「照明用」であるのに対して、
引用発明は、照明用であるか否か不明である点。

<相違点2>
蛍光体層の配置に関し、
本願補正発明は、「『前記半導体発光素子の少なくとも発光面を覆うように配置され、厚さが0.4mm以上10mm以下である透明樹脂層』『上に接触して設けられ』」ているのに対して、
引用発明は、透明樹脂層を備えていない点。

(5)判断
ア 上記<相違点1>について検討する。
(ア)引用文献に、「白色LED」が従来の一般照明や液晶表示装置用バックライト等に用いられてきた蛍光灯管等に代わる光源として開発が行われるようになってきている旨記載されていることに照らせば(摘記イ及びウを参照。)、
引用発明の「白色LED」を「照明用」として利用することは、当業者が容易になし得たことである。

(イ)以上の検討によれば、引用発明において、上記<相違点1>に係る本願補正発明の構成を採用することは、当業者が引用文献の記載に基づいて容易になし得たことである。

イ 上記<相違点2>について検討する。
(ア)半導体発光素子を封止した透明樹脂層上に蛍光体層を設けた白色LEDは、原査定の拒絶の理由に引用された特開2007-221071号公報(【0003】、【0016】及び図1を参照。
図1は、以下のものである。

)の他、特開2005-191197号公報(【0002】、【0037】
、【0042】ないし【0045】及び図1を参照。
図1は、以下のものである。

)及び特開平10-190065号公報(【0008】、【0056】ないし【0059】及び図2を参照。
図2は、以下のものである。

)に記載されているように、本願の優先日時点で周知である(以下「周知技術」という。)ことに照らせば、
引用発明の「『サイズ300μm四方の』、『紫外線発光ダイオード』」を透明樹脂により封止するとともに、その樹脂層上に蛍光体層を設けることは、当業者が容易になし得たことである。
その際、「『サイズ300μm四方の』、『紫外線発光ダイオード』」が完全に封止されるように、透明樹脂層の厚さを0.5ないし5mm程度とすることに格別の困難性は認められない。

(イ)以上の検討によれば、引用発明において、上記<相違点2>に係る本願補正発明の構成を採用することは、当業者が周知技術に基づいて容易になし得たことである。

ウ また、本願補正発明の奏する効果は、当業者が引用発明、引用文献に記載の事項及び周知技術から予測し得る範囲内のものである。

(6)独立特許要件についてのまとめ
本願補正発明は、当業者が引用発明、引用文献に記載の事項及び周知技術に基づいて容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

4 補正却下の決定のむすび
上記「3」のとおり、本願補正発明は特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができないものであるから、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第5項の規定に違反する。
したがって、本件補正は、同法第159条第1項の規定において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

第3 本願発明
1 本願発明
本件補正は上記のとおり却下されたため、本願の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、前記「第2 1」にて本件補正前の請求項1として記載したとおりのものである。

2 引用文献
原査定の拒絶の理由で引用された引用文献及びその記載事項は、前記「第2 3(1)」に記載したとおりである。

3 対比・判断
本願補正発明は、前記「第2 2(1)」に記載したとおり、本願発明を限定したものに相当する。
そうすると、本願発明の構成要件を全て含み、さらに限定を付加したものに相当する本願補正発明が前記「第2 3(5)」で検討したとおり、当業者が引用発明、引用文献に記載の事項及び周知技術に基づいて容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も同様の理由により、当業者が引用発明、引用文献に記載の事項及び周知技術に基づいて容易に発明をすることができたものである。

4 むすび
以上のとおり、本願発明は、当業者が引用発明、引用文献に記載の事項及び周知技術に基づいて容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2013-10-23 
結審通知日 2013-10-29 
審決日 2013-11-11 
出願番号 特願2009-533058(P2009-533058)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (H01L)
P 1 8・ 575- Z (H01L)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 角地 雅信小林 謙仁  
特許庁審判長 江成 克己
特許庁審判官 畑井 順一
星野 浩一
発明の名称 照明用白色発光ランプとそれを用いた照明器具  
代理人 特許業務法人サクラ国際特許事務所  
代理人 特許業務法人サクラ国際特許事務所  

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