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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A61K
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 A61K
管理番号 1283426
審判番号 不服2011-23836  
総通号数 171 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2014-03-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2011-11-04 
確定日 2014-01-08 
事件の表示 特願2006-526612「可溶性カルシウム金属イオン封鎖剤を含む組成物」拒絶査定不服審判事件〔平成17年 3月31日国際公開、WO2005/027858、平成19年 3月15日国内公表、特表2007-505863〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続きの経緯
本願は,平成16年9月21日(パリ条約に基づく優先権主張外国庁受理 2003年9月23日 英国)を国際出願日とする特許出願であって,平成22年3月18日付けで拒絶理由通知書を通知したところ,同年7月21日に,意見書及び手続補正書が提出されたが,平成23年6月29日付けで拒絶査定となり,これに対して,同年11月4日に拒絶査定不服審判の請求がなされるとともに,同日付で手続補正がなされ,同年12月22日に手続補正書(方式)が提出されたものである。

第2 平成23年11月4日付け手続補正について補正却下の決定
[結論]
平成23年11月4日付け手続補正を却下する。

[理由]
1 補正事項
平成23年11月4日付け手続補正(以下,「本件補正」という。)は,請求項1についての補正を含むものであり,その内容は次のとおりである。
(補正前の請求項1)
「【請求項1】
酸化剤ではない可溶性カルシウム金属イオン封鎖剤を含む練り歯みがきであって,該組成物は,30以下のRDA値および50以上のIVSR値(対照と比較したとき),ならびに口腔に許容可能なビヒクルを有し,その際,上記カルシウム金属イオン封鎖剤が,組成物の1?20重量%の比率で存在し,研磨材が組成物の0?5重量%の比率で存在する,上記練り歯みがき。」

(補正後の請求項1)
「【請求項1】
酸化剤ではない可溶性カルシウム金属イオン封鎖剤および口腔に許容可能なビヒクルからなり,研磨材を含んでいてもよい練り歯みがきであって,
30以下のRDA値および50以上のIVSR値(水,ソルビトール,グリセリン,ポリエチレングリコール,香味料,ラウリル硫酸ナトリウム,ナトリウムサッカリン,キサンタムガムおよびフッ化ナトリウムを含む通常の基材中に14%Zeodent(登録商標) 113研磨シリカを含む対照と比較したとき)を有し,
上記カルシウム金属イオン封鎖剤が,組成物の1?20重量%の比率で存在するトリポリリン酸五ナトリウムであり,
上記研磨材が組成物の0?2重量%未満の比率で存在する,上記練り歯みがき。」(なお,下線は補正箇所を示す。)

2 補正の目的について
上記補正事項は,
(1)カルシウム金属イオン封鎖剤について,補正前の請求項7に記載の内容を補正前の請求項1に加え,「トリポリリン酸五ナトリウム」と限定し,
(2)IVSR値の対照について,補正前の請求項9に記載の内容を補正前の請求項1に加え,
(3)研磨材の含有量の上限について「2重量%未満」と補正前より狭め,
(4)補正前の「口腔に許容可能なビヒクルを有し」とあり,研磨材について,「研磨材が組成物の0?5重量%の比率で存在する」とあった表現をまとめて,「口腔に許容可能なビヒクルからなり,研磨材を含んでいてもよい」と内容を整理したものである。

(1)?(3)の補正事項は,平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前(以下,「平成18年改正前」という。)の特許法第17条の2第4項第2号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
また,(4)の補正事項は,平成18年改正前の特許法第17条の2第4項第4号に規定する明りょうでない記載の釈明に該当する。

3 独立特許要件について
そこで,本件補正後の前記請求項1に記載された発明(以下,「補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(平成18年改正前の特許法17条の2第5項において準用する同法126条5項の規定に適合するか)について以下に検討する。

(1)引用刊行物記載の発明
原査定の拒絶理由で引用され,本願優先権主張日前に頒布された刊行物である特開2003-128528号公報(以下,「刊行物1」という。)には,以下の事項が記載されている。
また,本願優先権主張日前に知られた技術常識を示すものとして,本願優先権主張日前に頒布された刊行物である
特開平4-228000号公報(以下,「刊行物2」という。)
特開平1-213223号公報(以下,「刊行物3」という。)
特表平9-501679号公報(以下,「刊行物4」という。)
には,以下の事項が記載されている。
なお,下線は当審にて付記したものである。

ア 刊行物1記載の事項
(刊1-1)「【要約】
【解決手段】 フェノキシエタノールを含有すると共に,平均粒径が10?1,000μmでありかつ崩壊強度が10?200g/個である粒子を含有することを特徴とする口腔用組成物。
【効果】 本発明に係る口腔用組成物は,優れた着色ペリクル除去効果を有するものである。」

(刊1-2)「【請求項1】 フェノキシエタノールを含有すると共に,平均粒径が10?1,000μmでありかつ崩壊強度が10?200g/個である粒子を含有することを特徴とする口腔用組成物。
【請求項2】 プロピレングリコール0.1?25質量%及び/又はイソプロピルアルコール0.1?5質量%を含有することを特徴とする請求項1記載の口腔用組成物。
【請求項3】 下記一般式
M_(n+2)P_(n)O_(3n+1)
(但し,MはNa又はKを示し,nは2以上の整数である。)で示される直鎖状の水溶性ポリリン酸塩の1種又は2種以上を含有することを特徴とする請求項1又は2記載の口腔用組成物。」

(刊1-3)「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は,ステイン除去効果に優れた口腔用組成物に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】従来,様々なアプローチによりタバコヤニや茶渋などで着色した歯を白くする方法が検討されてきた。例えば,清掃性の高い研磨剤の開発,過酸化物による白色化,ポリエチレングリコールなどの溶剤による着色物の溶解,キレート剤による鉄イオンなどの除去,再石灰化による歯面の平滑化などがある。しかしながら,過酸化物を用いる方法以外は効果が不充分であり,また,過酸化物による方法も,エナメル質表面の有機物が脱却して耐酸性が低下するなどの問題点も指摘され,我が国では歯科医のみが可能な処置となっている。
【0003】以上のことから,穏和な条件で効果的に,かつ自分で手軽に歯を白く保つために,付着した汚れを効率的に除去する必要があり,その組成物の開発が待たれている。」

(刊1-4)「【0007】ここで,フェノキシエタノールの配合量は,特に制限されるものではないが,組成物全体の0.1?10%(質量百分率,以下同じ)が好ましく,更に好ましくは0.5?6%である。配合量が0.1%より低い場合,十分な着色ペリクル除去効果が得られず,10%を超える場合は口腔粘膜への刺激等を感じる場合がある。
【0008】本発明は,上記フェノキシエタノールに,平均粒径が10?1,000μmであり,崩壊強度が10?200g/個である粒子を併用する。
【0009】この場合,該粒子は,水不溶性粉体を結合剤を用いずに又は用いて顆粒状に形成したものが使用できるが,特には,結合剤を用いないものがよい。この場合,粒子のRDA値は約30以下であることが好ましく,物理的研磨性の低い物質であることがよい。
・・・(略)・・・
【0013】上記粒子の配合量は,組成物全体の0.1?30%,特に1?25%であることが好ましい。配合量が少なすぎると,優れた着色ペリクル除去効果が得られず,多すぎると,使用感が低下する場合がある。」

(刊1-5)「【0015】また,本発明の口腔用組成物には,直鎖状の水溶性ポリリン酸塩を配合することが好ましい。本発明の口腔用組成物において用いられる直鎖状の水溶性ポリリン酸塩は,下記一般式
M_(n+2)P_(n)O_(3n+1)
(但し,MはNa又はKを示し,nは2以上の整数である。)で示されるもので,重合度n=2のピロリン酸ナトリウムやピロリン酸カリウム,n=3のトリポリリン酸ナトリウムやトリポリリン酸カリウム,n=4のテトラポリリン酸ナトリウムやテトラポリリン酸カリウム,高重合度のメタリン酸ナトリウムやメタリン酸カリウムなどが挙げられ,これらの1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。これらの中では,特にn=2及び3のピロリン酸ナトリウム,トリポリリン酸ナトリウムが好ましい。
【0016】上記ポリリン酸塩の配合量は,組成物全体の0.1?15%,特に0.5?10%とすることが好ましい。配合量が少なすぎると,優れた着色ペリクル除去効果が得られず,多すぎると,組成物の味が悪くなる場合がある。」

(刊1-6)「【0017】本発明の口腔用組成物は,練歯磨,液状歯磨等の歯磨類,デンタルクリーム,デンタル美白パック,洗口剤,デンタル美白液などとして調製,適用できるが,本発明の口腔用組成物には,その種類に応じた通常の成分を配合することができる。例えば,歯磨剤の場合には,研磨剤,粘結剤,粘稠剤,界面活性剤,甘味剤,香料などを常用量で配合し得る。」

(刊1-7)「【0021】界面活性剤としては,ラウリル硫酸ナトリウム等のアニオン性界面活性剤,ラウリン酸デカグリセリル,ミリスチン酸ジエタノールアミド等の非イオン性界面活性剤,ベタイン系等の両性界面活性剤を配合し得る。」

(刊1-8)「【0029】
[実施例6]無研磨歯磨
粒子B 3.0%
(平均粒径80μm,崩壊強度60g/個,シリカ粒子)
ピロリン酸ナトリウム 3.0
トリポリリン酸ナトリウム 3.0
フェノキシエタノール 1.0
イソプロピルアルコール 3.0
プロピレングリコール 5.0
カルボキシメチルセルロース 1.0
カラギーナン 1.0
ブチルパラベン 0.1
サッカリンナトリウム 0.2
安息香酸ナトリウム 0.2
フッ化ナトリウム 0.2
増粘性シリカ 5
ラウリル硫酸ナトリウム 1.0
香料 1.0
精製水 バランス
計 100.0%
・・・(略)・・・
【0031】
[実施例8]練歯磨粒子C 4.0%
(平均粒径400μm,崩壊強度100g/個,ゼオライト粒子)
フェノキシエタノール 0.5
テトラポリリン酸ナトリウム 4.0
プロピレングリコール 15.0
カルボキシメチルセルロース 1.0
ポリアクリル酸ナトリウム 1.0
塩化セチルピリジニウム 0.2
水酸化アルミウム 40.0
増粘性シリカ 5
ラウリル硫酸ナトリウム 0.8
ミリスチン酸ジエタノールアマイド 1.0
サッカリンナトリウム 0.2
メチルパラベン 0.1
香料 1.0
精製水 バランス
計 100.0%」

(刊1-9)「【0024】
【発明の効果】本発明に係る口腔用組成物は,優れた着色ペリクル除去効果を有するものである。」

イ 刊行物2記載の事項
(刊2-1)「【0053】カルシウムイオン封鎖剤からなるビルダーとしては,アルカリ金属ポリリン酸塩,例えばトリポリリン酸ナトリウム;ニトリロトリ酢酸及びその水溶性塩;カルボキシメチルオキシスクシネート,エチレンジアミンテトラ酢酸,オキシコハク酸,メリット酸,ベンゼンポリカルボン酸,クエン酸のアルカリ金属塩;並びに米国特許第4,144,226号及び第4,146,495号に記載のポリアセタールカルボキシレートが挙げられる。」

(刊2-2)「【0059】本明細書で開示するペルオキシ酸漂白剤前駆体は様々な洗浄用製品,例えば洗濯用洗剤,洗濯用漂白剤,硬質面洗浄剤,便器洗浄剤,自動皿洗い機用組成物,更には歯磨き組成物に有用である。本発明の前駆体は様々な製品形態,例えば粉末状,シートもしくは他の支持体に担持された状態,袋に入れた状態,タブレット状,又は液体非イオン洗剤のような非水液の形態で導入することができる。」

ウ 刊行物3記載の事項
(刊3-1)「本発明の歯磨はトコフェロール類及びイミダゾリン型両性界面活性剤の他,通常歯磨に用いられる成分を配合することができる。
・・・(略)・・・
この他,必要に応じて金属イオン封鎖剤(例えばエチレンジアミンテトラアセティツクアシッド及びポリリン酸塩等),抗酸化剤(例えばブチルヒドロキシアニソール,・・・(略)・・・等,本発明の効果を損なわない範囲で配合することができる。」(2頁右下欄16行?3頁左上欄末行)

エ 刊行物4記載の事項
(刊4-1)「【要約】
本発明は,金属イオン封鎖剤および還元剤を用いた天然の歯および義歯を白色化するための組成物に関する。」

(刊4-2)「【特許請求の範囲】
1.口腔的に許容される担体中の有効量の口腔的に許容される金属イオン封鎖剤および口腔的に許容される還元剤からなる,天然の歯および義歯から表面に沈着した有色沈着物を減少または除去するための組成物。
2.金属イオン封鎖剤がトリポリリン酸およびビタミンCである請求項1の組成物。」

(2)刊行物1記載の発明
刊行物1の
「【請求項1】 フェノキシエタノールを含有すると共に,平均粒径が10?1,000μmでありかつ崩壊強度が10?200g/個である粒子を含有することを特徴とする口腔用組成物。」(刊1-2)
「【請求項3】 下記一般式
M_(n+2)P_(n)O_(3n+1)
(但し,MはNa又はKを示し,nは2以上の整数である。)で示される直鎖状の水溶性ポリリン酸塩の1種又は2種以上を含有することを特徴とする請求項1又は2記載の口腔用組成物。」(刊1-2)
「粒子のRDA値は約30以下であることが好ましく,物理的研磨性の低い物質であることがよい。」(刊1-4)
「上記ポリリン酸塩の配合量は,組成物全体の0.1?15%,特に0.5?10%とすることが好ましい。配合量が少なすぎると,優れた着色ペリクル除去効果が得られず,多すぎると,組成物の味が悪くなる場合がある。」(刊1-5)
「【0021】界面活性剤としては,ラウリル硫酸ナトリウム等のアニオン性界面活性剤,ラウリン酸デカグリセリル,ミリスチン酸ジエタノールアミド等の非イオン性界面活性剤,ベタイン系等の両性界面活性剤を配合し得る。」(刊1-7)
とする記載を請求項3に係る発明を中心に整理すると,刊行物1には,次の発明(以下,「引用発明」という。)が記載されていると認められる。

「フェノキシエタノールを含有すると共に,平均粒径が10?1,000μmでありかつ崩壊強度が10?200g/個である粒子を含有し,
上記粒子のRDA値は約30以下であることが好ましく,物理的研磨性の低い物質であることがよいものであり,
下記一般式
M_(n+2)P_(n)O_(3n+1)
(但し,MはNa又はKを示し,nは2以上の整数である。)で示される直鎖状の水溶性ポリリン酸塩の1種又は2種以上を含有し,
上記ポリリン酸塩の配合量は,組成物全体の0.1?15%,特に0.5?10%とすることが好ましく,配合量が少なすぎると,優れた着色ペリクル除去効果が得られず,多すぎると,組成物の味が悪くなる場合があり,
界面活性剤としては,ラウリル硫酸ナトリウム等のアニオン性界面活性剤,ラウリン酸デカグリセリル,ミリスチン酸ジエタノールアミド等の非イオン性界面活性剤,ベタイン系等の両性界面活性剤を配合し得る
ことを特徴とする口腔用組成物。」

(3)対比
補正発明と引用発明を対比する。
ア 練り歯みがきについて
引用発明の「口腔用組成物」は,「本発明の口腔用組成物は,練歯磨,・・・(略)・・・デンタル美白液などとして調製,適用できる」(刊1-6)と記載されているし,(刊1-8)に記載のように実施例8で練歯磨が示されている。
しかしながら,引用発明の「口腔用組成物」には,練歯磨が含まれるものの練歯磨に限定されるものではなく,補正発明の「練り歯みがき」とは,「口腔用製剤」という点で共通する。

イ カルシウム金属イオン封鎖剤について
引用発明の「M_(n+2)P_(n)O_(3n+1)(但し,MはNa又はKを示し,nは2以上の整数である。)で示される直鎖状の水溶性ポリリン酸塩」は,(刊1-5)によると,Mとしてナトリウムを選び,nとしてn=3を選ぶとトリポリリン酸ナトリウムとなり,その際ナトリウムの数は,n+2にn=3を代入すると5になるから,トリポリリン酸五ナトリウムとなる。
しかし,引用発明において「直鎖状のポリリン酸塩」として,トリポリリン酸ナトリウムのみが選択されているものでもないし,カルシウム金属封鎖剤として添加されているものではない。
また,引用発明において,その添加量は「組成物全体の0.1?15%,特に0.5?10%とすることが好ましい。」とされており,補正発明とは,範囲の一部が重複するものの下限と上限が異なる。
よって,引用発明の「水溶性ポリリン酸塩」とすることと,補正発明の「酸化剤ではない可溶性カルシウム金属イオン封鎖剤」であって「上記カルシウム金属イオン封鎖剤が,組成物の1?20重量%の比率で存在するトリポリリン酸五ナトリウム」とは,「ポリリン酸塩」であって「組成物の所定比率で存在するポリリン酸塩」という点で共通する。

ウ 研磨材について
補正発明の特定事項によれば,「研磨材を含んでいてもよい」とされ,「上記研磨材が組成物の0?2重量%未満の比率で存在する」とされているから,含んでいてもいなくてもよい成分として特定されている。
また,本願明細書の段落【0027】において「本発明の目的のためには,研磨材とは,30以上のRDAを有する材料として定義する。」とされており,RDAが30未満のものは,補正発明でいう「研磨材」には含まれないものとして定義されている。

他方,刊行物1には「練歯磨の場合であれば,研磨剤,粘稠剤,粘結剤,甘味剤,防腐剤,香料,各種有効成分等を水と混和し,常法に従って製造することができる。」(刊1-4)と記載されているように,練歯磨として実施する場合は,研磨剤を混和してもよいものとされている。
また,引用発明の「平均粒径が10?1,000μmでありかつ崩壊強度が10?200g/個である粒子」は,「粒子のRDA値は約30以下であることが好ましく,物理的研磨性の低い物質であることがよいもの」とされている。
引用発明の「粒子」は,「物理的研磨性の低い物質であることがよい」とされ「RDA値は約30以下であることが好まし」いとされてはいるから,RDA値が30未満のものが選択された場合は,引用発明の「粒子」は,上記補正発明の定義に照らすと研磨材ではなく,研磨材が含まれていない態様,すなわち,添加量の下限0重量%の態様となる。

さらに,上記補正発明の定義に照らすと,RDA値が30より大きいものが引用発明の「粒子」として選択されると,補正発明でいう「研磨材」が添加される態様となるし,また,上記(刊1-4)に記載されているように,別途研磨剤を添加する態様も記載されているが,添加量の上限については特段限定が無い。

以上のことを踏まえると,引用発明と,補正発明の「研磨材を含んでいてもよ」く「上記研磨材が組成物の0?2重量%未満の比率で存在する」ものとを比較すると,両発明は,「研磨材を含んでいてもよ」く「上記研磨材が組成物の0重量%から所定の比率で存在する」ものである点で共通する。

エ ビヒクルについて
補正発明の「ビヒクル」について,本願明細書の段落【0024】には,
「加えて,口腔に許容可能なビヒクルは,随意に1種以上の界面活性剤,甘味料,香味料,う蝕予防剤(フッ化物イオン源以外に),抗歯垢剤,抗菌剤(例えば,トリクロサンまたは塩化セチルピリジニウム),歯の知覚鈍磨剤,着色剤および顔料を含む。有用な界面活性剤として,アルキル部分中に10?18個の炭素原子を含む硫酸アルキルの水溶性塩,例えば,ラウリル硫酸ナトリウムが挙げられるが,その他のアニオン界面活性剤,ならびにノニオン,双イオン,カチオンおよび両性界面活性剤を用いてもよい。」(なお,本願明細書の摘記箇所の下線は当審にて付記したものである。以下,同様である。)と記載されている。
この記載からすると,「口腔に許容可能なビヒクル」には,硫酸アルキルの水溶性塩等の界面活性剤が含まれることが分かる。

他方,練歯磨に口中に許容可能な界面活性剤を添加することは,例示するまでもなく,本願優先権主張日前からの常套手段であって,引用発明においても「界面活性剤としては,ラウリル硫酸ナトリウム等のアニオン性界面活性剤,ラウリン酸デカグリセリル,ミリスチン酸ジエタノールアミド等の非イオン性界面活性剤,ベタイン系等の両性界面活性剤」を配合し得るものとされている。しかも,引用発明の「口腔用組成物」を練歯磨とした実施例8(刊1-8)で,ラウリル硫酸ナトリウムが添加されている。
そうすると,引用発明の「界面活性剤」は,補正発明の「口腔に許容可能なビヒクル」に包含されるものであるといえる。

オ RDA値及びIVSR値について
引用発明においては「粒子のRDA値は約30以下であることが好まし」いとされているが,粒子のRDA値であって,引用発明の「口腔用組成物」のRDA値は不明である。
また,IVSR値は刊行物1に記載が無く不明である。

カ 引用発明のフェノキシエタノールについて
補正発明は,「酸化剤ではない可溶性カルシウム金属イオン封鎖剤および口腔に許容可能なビヒクルからなり,研磨材を含んでいてもよい練り歯みがき」と規定されているものであって,「のみからなる」と規定されていないから,補正発明は,特許請求の範囲で特に規定されている成分以外の成分を含むことを妨げていない。
したがって,引用発明の「フェノキシエタノール」は,補正発明の「酸化剤ではない可溶性カルシウム金属イオン封鎖剤および口腔に許容可能なビヒクルからな」るものに含まれ得る成分である。

仮に,補正発明の前記特定事項が「のみからなる」と解される場合についても念のために検討する。
補正発明の「ビヒクル」について,本願明細書の段落【0024】には,
「本発明の組成物,すなわち,歯ブラシ上に押出し可能な組成物において,口腔に許容可能なビヒクルは,一般に通常の組成物からなるものでよく,例えば,増粘剤,結合剤および保湿剤が含まれる。・・・(略)・・・加えて,口腔に許容可能なビヒクルは,随意に1種以上の界面活性剤,甘味料,香味料,う蝕予防剤(フッ化物イオン源以外に),抗歯垢剤,抗菌剤(例えば,トリクロサンまたは塩化セチルピリジニウム),歯の知覚鈍磨剤,着色剤および顔料を含む。」と記載されている。
この記載からすると,「口腔に許容可能なビヒクル」とは,「一般に通常用いられている組成物からなるものでよく」と規定されているのみであって,抗菌剤や界面活性剤等の例示はあるものの,いかなるものまでがビヒクルに相当するのか特段の規定はなく,口腔に許容可能なあらゆる成分を含むものと理解される。

他方,引用発明の「フェノキシエタノール」は,「フェノキシエタノールの配合量は,特に制限されるものではないが,・・・(略)・・・配合量が0.1%より低い場合,十分な着色ペリクル除去効果が得られず,10%を超える場合は口腔粘膜への刺激等を感じる場合がある。」(刊1-4)と記載されているように,着色ペリクル除去効果を期待して添加されているものである。また,フェノキシエタノールは,例示するまでもなく本願優先権主張日前から歯磨等の口腔用組成物において,抗菌剤として添加される周知の成分でもある。

そうすると,補正発明の「ビヒクル」には,口腔に許容可能なあらゆる成分を含むものと理解され,本願明細書において界面活性剤のような汚れを落とす成分や抗菌剤も例示されているのであるから,周知の抗菌剤であって着色ペリクル除去効果,すなわち,汚れを落とす効果があるとされるフェノキシエタノールも補正発明の「ビヒクル」に含まれ得るものといえる。

キ 小括
以上の事項を総合すると,両発明は,次の(一致点)及び(相違点1)?(相違点4)を有する。

(一致点)
「口腔に許容可能なビヒクルからなり,研磨材を含んでいてもよい口腔用製剤であって,
組成物の所定の比率で存在するポリリン酸塩トリポリリン酸五ナトリウムであり,
上記研磨材が組成物の0重量%から所定の比率で存在する,上記口腔用製剤。」

(相違点1)
口腔用製剤が,補正発明では「練歯磨」であるのに対して,引用発明では「口腔用組成物」であって,その態様に練歯磨が含まれるものの練歯磨とまでは規定されていない点。

(相違点2)
ポリリン酸塩が,補正発明では「トリポリリン酸五ナトリウム」であり,「カルシウム金属イオン封鎖剤」として添加されており,その添加量が「1?20重量%」である点のに対して,引用発明では,「下記一般式
M_(n+2)P_(n)O_(3n+1)
(但し,MはNa又はKを示し,nは2以上の整数である。)で示される直鎖状の水溶性ポリリン酸塩」であり,また,その添加量は,「組成物全体の0.1?15%,特に0.5?10%とすることが好ましい」とされている点。

(相違点3)
研磨材の添加量の上限が,補正発明では「2重量%」であるのに対して,引用発明では,特段規定されていない点。

(相違点4)
RDA値およびIVSR値について,補正発明では「30以下のRDA値および50以上のIVSR値(水,ソルビトール,グリセリン,ポリエチレングリコール,香味料,ラウリル硫酸ナトリウム,ナトリウムサッカリン,キサンタムガムおよびフッ化ナトリウムを含む通常の基材中に14%Zeodent(登録商標) 113研磨シリカを含む対照と比較したとき)」と規定されているのに対して,引用発明では何等規定されていない点。

(4) 検討・判断
ア 相違点1について
引用発明の「口腔用組成物」は,「本発明の口腔用組成物は,練歯磨,・・・(略)・・・デンタル美白液などとして調製,適用できる」(刊1-6)と記載されているし,(刊1-8)に記載のように実施例8で練歯磨が示されている。
したがって,引用発明の「口腔用組成物」を練歯磨とする程度のことは,刊行物1記載の前記記載から,適宜対象となる製品を選んだだけのことであり,当業者が何の創作性もなくなし得たことといえる。

イ 相違点2について
(ア) トリポリリン酸五ナトリウムについて
本願明細書の段落【0017】によると,
「前記可溶性カルシウム-金属イオン封鎖剤は,カルシウムキレート剤でよい。好適な可溶性カルシウム金属イオン封鎖剤として,以下のものが挙げられる:
式:M^(+)_(n+2)[P_(n)O_(3n+1)]
(式中,n>1,M=アルカリ金属,水素イオンもしくはアンモニウムイオン)」
とされており,トリポリリン酸五ナトリウムを選択する臨界的な技術的意義について記載はない。

他方,刊行物1においては,上記「第2 3(3)イ カルシウム金属イオン封鎖剤について」で言及したように,引用発明の「ポリリン酸塩」は,「M_(n+2)P_(n)O_(3n+1) 」なる式で表されるものであって,「n=3のトリポリリン酸ナトリウム」,すなわち,トリポリリン酸五ナトリウムを含むものである。
トリポリリン酸五ナトリウムを引用発明の「ポリリン酸塩」として選択することに何の困難性もない。

(イ) カルシウム金属イオン封鎖剤について
トリポリリン酸塩を含むポリリン酸塩が,カルシウム等の金属イオンの封鎖剤であることは,刊行物2?4に記載のように歯磨きの技術分野において技術常識である。
引用発明において,添加されている「ポリリン酸塩」の金属イオンの封鎖剤としての機能に注目して,補正発明のごとく「カルシウム金属イオン封鎖剤」とすることに特段の困難性はない。

(ウ) 添加量について
補正発明において,トリポリリン酸五ナトリウムは,「実施例1は,カルシウム-金属イオン封鎖化学洗浄系がトリポリリン酸ナトリウム(STP)である,製剤である。」(本願明細書段落【0035】)と記載されているように,化学的洗浄剤としての作用を期待して添加されているものである。
そして,トリポリリン酸五ナトリウムの添加量の上限を20重量%としたことについて,本願明細書に特段の臨界的意義は記載されていない。

他方,引用発明においては「ポリリン酸塩の配合量は,組成物全体の0.1?15%,特に0.5?10%とすることが好ましい。配合量が少なすぎると,優れた着色ペリクル除去効果が得られず,多すぎると,組成物の味が悪くなる場合がある」とされているように,ポリリン酸塩は,着色ペリクル除去効果を狙ったものである。
その添加量の下限は,「配合量が少なすぎると,優れた着色ペリクル除去効果が得られず」と記載されているように,着色ペリクル除去の効果を考慮して適宜決め得ることといえる。
そして,その添加量の上限である15%は味が悪くなるという観点から決められたものであるから,当業者であれば,着色ペリクル除去効果を優先して15%より多い添加量とすることに困難性はない。
そうすると,引用発明において,ポリリン酸塩から刊行物1に例示されているトリポリリン酸ナトリウムを選び,周知のポリリン酸塩のカルシウム金属イオン封鎖剤としての機能に注目しカルシウムイオン封鎖剤とし,かつ,その添加量について着色ペリクルの除去効果を考慮して,補正発明のごとく1?20重量%とすることは当業者が適宜案出し得たことといえる。

ウ 相違点3について
本願明細書段落【0027】には,研磨材の添加量の上限について次のように記載されている。
「本発明の組成物は,研磨性材料,例えば,前述した練り歯みがき,例えば,Zeodent 113(商標)に通常用いられる周知のタイプの「研磨シリカ」を含んでいてもよい。しかし,30以下のRDAを達成するためには,この種の研磨材は,可能な限り少量含有させるのが好ましく,組成物の他の固体粒子(例えば,溶解していないカルシウム金属イオン封鎖剤や,存在するあらゆる増粘シリカなど)により生じる軽度の研磨作用以外に,好ましくは5重量%以下,さらに好ましくは2重量%以下,最も好ましくは0重量%の研磨材を含有する。」

他方,刊行物1には,
「【0003】以上のことから,穏和な条件で効果的に,かつ自分で手軽に歯を白く保つために,付着した汚れを効率的に除去する必要があり,その組成物の開発が待たれている。」(刊1-3)
と記載されており,穏和な条件で付着した汚れを効率的に除去するという発明が解決しようとする課題が強調されている。
その課題に沿って,引用発明の「粒子」は,「上記粒子のRDA値は約30以下であることが好ましく,物理的研磨性の低い物質であることがよい」とされ,さらに,実施例6において無研磨歯磨(刊1-7)も示されてもいる。

したがって,引用発明において,穏和な条件,すなわち,RDAに影響する,研磨剤の使用を低減して,その添加量の上限を2重量%とする程度のことは,当業者が容易になし得たことといえる。

ウ 相違点4について
(ア)RDA値について
RDAとは,「相対象牙質研磨性(RDA)」(本願明細書段落【0005】)であって,「好ましくは,前記RDA値は25以下であり,好ましくは20以下,さらには,組成物が実質的に非研磨性になるように,可能な限り低いのが最も好ましい。」(本願明細書段落【0016】)とされている。
他方,刊行物1においては,上記「イ 相違点2について」で言及したように,穏和な条件が求められており,かつ,「粒子のRDA値は約30以下であることが好ましく,物理的研磨性の低い物質であることがよい。」(刊1-4)ともされているのだから,引用発明の「口腔用組成物」についても研磨剤の使用量を上記「ウ 相違点3について」に記したように低減し,補正発明のごとく「30以下のRDA値」とする程度のことは当業者が容易に発明できたといえる。

(イ)IVSR値について
IVSRとは,「in vitro汚れ除去(IVSR)アッセイ(Layer TM, McConville PS and Wicks MA. Stain removal efficacy of whitening toothpastes - in vitro studies. J. Dent. Res. 79: 216 abstract 581, 2000)」(本願明細書段落【0006】)を意味するものであり,「本明細書で引用するIVSR値は,100という任意の値を割り当てた対照製剤に対するものである。」(本願明細書段落【0008】)と記載されているように,対象製剤と比較した相対的な測定値である。
そして,平成22年7月21日提出の意見書において,請求人はIVSRは口腔科学に接する当業者に知られたものあると主張すると共に,上記「Layer TM, McConville PS and Wicks MA. Stain removal efficacy of whitening toothpastes - in vitro studies. J. Dent. Res. 79: 216 abstract 581, 2000」(以下,「IVSR論文」という。)が添付されている。

IVSR論文の標題は
「Stain removal Efficacy of Whitening Toothpastes - In Vitro Studies.」(当審訳:「ホワイトニング練歯磨のステイン除去効果 - インヴィトロの研究。」)
というものであり,
その内,請求人が下線を付記した箇所には
「These results suppose the ability of the in vitro model to distinguish between con-whitening and whitening toothpaste treatment and ,in addition,confirm the strong stain removal performance of the whitening prototype.」(当審訳:「これらの結果は,コンホワイトニング及びホワイトニング練歯磨処理を識別するインヴィトロのモデルの能力を裏付け,さらに,ホワイトニングプロトタイプの強いステイン除去パフォーマンスを確認する。」)
と記載されていることから,IVSR値は,ステイン除去に関連する指標と理解される。

また,補正発明において,IVSR値を測定する際の対照製剤は「水,ソルビトール,グリセリン,ポリエチレングリコール,香味料,ラウリル硫酸ナトリウム,ナトリウムサッカリン,キサンタムガムおよびフッ化ナトリウムを含む通常の基材中に14%Zeodent(登録商標) 113研磨シリカを含む対照」,と規定されているものであって,Zeodent(登録商標),すなわち,市販されている歯磨製剤である。

以上のことから,補正発明の「50以上のIVSR値」とは,市販されている歯磨製剤であるZeodent(登録商標)を100としたときに,50以上を意味する,ステイン除去に関連する指標であると解される。

他方,引用発明は「本発明は,ステイン除去効果に優れた口腔用組成物に関する。」(刊1-3)とされるものであって,その効果を確かめるべく口腔科学に接する当業者に知られたステイン除去に関するIVSRによる測定を試みようとすることは難なくなし得ることである。また,引用発明もステイン除去効果に優れているのであるから,引用発明において,市販のZeodent(登録商標)の半分である50程度のIVSR値を達成する程度のことは,当業者にとって容易になし得たことといえる。

エ 補正発明の効果について
補正発明の効果は,刊行物1?4記載の事項から予測し得る程度のものであって,格別顕著なものとはいえない。

(5)むすび
以上のことから,補正発明は,刊行物1記載の発明及び周知の技術的事項に基づき当業者が容易に発明できたものであって,特許法第29条第2項の規定に該当し,特許出願の際独立して特許を受けることができない。
よって,この補正は,平成18年改正前の特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に違反するものであるから,同法第53条第1項の規定により上記結論のとおり決定する。

第3 本願発明について
上記「第2」に記したように,本件補正は却下されたので,本願請求項1?11に係る発明(以下,「本願発明1?11」という。)は,平成22年7月21日付け手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1?11に記載されたとおりのものと認める。
そのうち,請求項1に係る発明(以下,「本願発明」という。)は,次の事項により特定される発明である。
「【請求項1】
酸化剤ではない可溶性カルシウム金属イオン封鎖剤を含む練り歯みがきであって,該組成物は,30以下のRDA値および50以上のIVSR値(対照と比較したとき),ならびに口腔に許容可能なビヒクルを有し,その際,上記カルシウム金属イオン封鎖剤が,組成物の1?20重量%の比率で存在し,研磨材が組成物の0?5重量%の比率で存在する,上記練り歯みがき。」

1 引用刊行物記載の事項及び引用発明
刊行物記載の事項及び刊行物1記載の発明は,それぞれ上記「第2 3(1)引用刊行物記載の発明」及び上記「第2 3(2)刊行物1記載の発明」に記したとおりである。

2 対比・判断
本願発明は,
補正発明の「カルシウム金属イオン封鎖剤」が,「トリポリリン酸五ナトリウム」とあったのを,「トリポリリン酸五ナトリウム」を削除して「カルシウム金属イオン封鎖剤」に関する化合物の限定を外し,
補正発明の「研磨材が組成物の0?2重量%未満の比率」という比率を「0?5重量%」と上限を拡張し,
補正発明のIVSR値について,「水,ソルビトール,グリセリン,ポリエチレングリコール,香味料,ラウリル硫酸ナトリウム,ナトリウムサッカリン,キサンタムガムおよびフッ化ナトリウムを含む通常の基材中に14%Zeodent(登録商標) 113研磨シリカを含む対照と比較したとき」とあったのを,「対照と比較したとき」に戻し,
補正発明の「口腔に許容可能なビヒクルからなり,研磨材を含んでいてもよい」との事項を削除したものである。

そうすると,本願発明の構成要件をすべて含み,さらに他の構成要件を付加したものに相当する補正発明が,上記「第2 3(4) 検討・判断」に記載したとおり,刊行物1に記載された発明及び周知の技術的事項に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたものであるから,本願発明も同様の理由により,刊行物1に記載された発明及び周知の技術的事項に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたものである。

第4 結語
以上のとおり,本願発明は,刊行物1記載の発明及び周知の技術的事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから,特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであって,本願は,他の請求項に係る発明について検討するまでもなく拒絶すべきものである。
よって,結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2013-07-24 
結審通知日 2013-07-30 
審決日 2013-08-26 
出願番号 特願2006-526612(P2006-526612)
審決分類 P 1 8・ 575- Z (A61K)
P 1 8・ 121- Z (A61K)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 福井 美穂▲高▼岡 裕美  
特許庁審判長 郡山 順
特許庁審判官 小川 慶子
板谷 一弘
発明の名称 可溶性カルシウム金属イオン封鎖剤を含む組成物  
代理人 藤田 節  
代理人 新井 栄一  
代理人 平木 祐輔  
代理人 田中 夏夫  

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