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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) G06F
管理番号 1283546
審判番号 不服2011-24339  
総通号数 171 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2014-03-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2011-11-10 
確定日 2014-01-06 
事件の表示 特願2005-175397「プログラム、携帯ゲーム装置、情報処理方法、および情報処理システム」拒絶査定不服審判事件〔平成18年12月28日出願公開、特開2006-350649〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯・本願発明

本願は,平成17年6月15日を出願日とする出願であって,
平成20年6月11日付けで審査請求がなされ,
平成22年12月3日付けで拒絶理由通知(同年同月10日発送)がなされ,
平成23年2月8日付けで意見書が提出されるとともに,同日付けで手続補正がなされたが,
同年8月5日付けで拒絶査定(同年同月10日謄本送達)がなされ,
同年11月10日付けで審判請求がされ,
その後,当審において平成25年7月29日付けで拒絶理由通知(同年同月30日発送)がなされ,
平成25年9月27日付けで意見書の提出,及び手続補正がなされたものであって,
その請求項1に係る発明は,平成25年9月27日付け手続補正書によって補正された特許請求の範囲の請求項1に記載されたとおりの次のものと認める。(以下,「本願発明」という。)

「表示画面を有する携帯ゲーム装置のコンピュータで実行されるプログラムであって,
前記コンピュータに,
ユーザの操作に応じた入力を受け付ける入力受付ステップ,
複数の見出し語データにそれぞれ対応するテキストデータ形式の文章データを少なくとも含む電子辞書データに対して,前記入力受付ステップが受け付けた入力に応じた見出し語データを決定し,当該見出し語データに対応する文章データを検索する検索ステップ,
前記検索ステップで検索した文章データに基づく文章画像の少なくとも一部を前記表示画面に表示する表示制御ステップ,
前記入力受付ステップにおいて受け付けられた入力に応じて,前記表示制御ステップで表示した前記文章画像を編集する編集ステップ,および
他の携帯ゲーム装置へデータを送信する通信手段を介して,前記編集ステップで編集した文章画像を他の携帯ゲーム装置へ送信して,当該他の携帯ゲーム装置が有する画面に当該文章画像を表示させる送信ステップを実行させ,
前記編集ステップは,前記入力受付ステップにおいて受け付けられた入力に応じて,前記表示制御ステップで表示した文章画像のうちの少なくとも一部を消去する消去ステップを含み,
前記送信ステップでは,前記消去ステップにおいて少なくとも一部が消去された文章画像が他の携帯ゲーム装置へ送信されて,当該他の携帯ゲーム装置が有する画面に当該少なくとも一部が消去された文章画像を表示させる,プログラム。」


第2 先行技術及び引用発明
本願の出願前に頒布又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となり,当審による上記平成25年7月29日付けの拒絶理由通知において引用された,下記引用文献には,関連する図面とともに,それぞれ下記の事項,及び,引用発明が記載されている。

<引用文献1>
“知らない言葉に出会いたくなる「DS楽引辞典」”,[online],2005年5月26日,ITmedia,アイティメディア株式会社,[平成25年7月23日検索],インターネット<URL:http://www.itmedia.co.jp/games/articles/0505/26/news040.html>

A「ニンテンドーDSに紙辞書の“手軽さ”,電子辞書の“快適さ”を活かした辞書ソフトが登場。ピクトチャット機能による,最大16人のクイズも可能という本作の内容とは・・・・・・。
2005年6月16日,ニンテンドーDSに「楽に」「楽しく」引けることを開発コンセプトにした快適な辞書ソフトが登場する。その名も「DS楽引(らくびき)辞典」。価格は4800円(税込)。
本作のインターフェースには,紙辞書の“手軽さ”と電子辞書の“快適さ”を活かした「ページスライド方式」を採用。ページをめくりながら気になる言葉を見つけたら,次々に意味を表示させていくことが可能となっている。」(本文1行?6行)

B「タッチペンによる手書き入力なので直感的で分かりやすい

紙の辞書を引く感覚でページをめくり・・・・・・

調べたい言葉(単語),ここでは「温故知新」をタッチすると・・・・・・

その言葉の意味が上画面に表示される 」(本文7行?10行)

C 上記Bの記載に関連して,以下の表示画面図(図中,上から第C1図,第C2図,第C3図,第C4図という。以下同じ)が示されている。


上記表示画面図では,下画面下段においてタッチペンによる手書き入力(「おん」)がなされると,それに対応する単語の候補が下画面上段に表示され,その中の調べたい言葉(単語「温故知新」)をタッチすると(上記第C1ないし第C3図),その言葉(単語)の意味が上画面に表示される(上記第C4図),態様が示されている。

D「また,電子辞書としては初となるワイヤレス通信機能を内蔵し,ニンテンドーDS本体が持つピクトチャットとの連携により,英単語や難しい言葉の意味などをクイズ形式で出題し合うこともできるとのことだ。
まずは上画面に表示された辞書データを下画面にコピー

コピーしたデータを消したり,書き足しながら問題を作成

後はピクトチャットの要領で送信すれば,最大16人によるコミュニケーションも可能」(本文11行?15行)

E 上記Dの記載に関連して,以下の表示画面図(図中,上から第E1図,第E2図,第E3図という。以下同じ)が示されている。


上記表示画面図では,辞書データとして取得して上画面に表示したデータのうち,
「>The wind ?es sail.
>be caught in a shower
にわか雨に遭う.」(当審注:「>」は横▲の意。)
を,下画面の上段「にんてんたろう」画面にコピーして表示し(上記第E1図),
そこから,一部を消去し,かつ,書き足す処理をしたデータを作成し(上記第E2図),
上記データを,送信機能を使って他の装置とクイズ形式で出題し合い,その結果を画面に表示した(上記第E3図)態様
が示されている。

以下に,上記引用文献1の記載事項について検討する。

(ア)引用文献1は,
上記Aの「ニンテンドーDSに紙辞書の“手軽さ”,電子辞書の“快適さ”を活かした辞書ソフト」との記載から,“ニンテンドーDSで実行される辞書ソフト”について記載するものであるところ,
上記“ニンテンドーDS”とは,携帯ゲーム装置であり,また,上記Aの「ピクトチャット機能による,最大16人のクイズも可能」との記載,上記Bの「電子辞書としては初となるワイヤレス通信機能を内蔵し,ニンテンドーDS本体が持つピクトチャットとの連携により,英単語や難しい言葉の意味などをクイズ形式で出題し合うこともできる」,「ピクトチャットの要領で送信」との記載から,上記“辞書ソフト”は,“ピクトチャットと連携した送信機能を有する”ものであることが読み取れる。
してみると,引用文献1には,
“携帯ゲーム装置で実行される,ピクトチャットと連携した送信機能を有する辞書ソフト”が記載されているといえる。

(イ)上記Bの記載,上記Dの記載,上記C,及び,上記Eの表示画面についての態様から,
前記“携帯ゲーム装置”は,“表示画面を有”するものであることが読み取れる。

(ウ)上記Bの「タッチペンによる手書き入力なので直感的で分かりやすい 紙の辞書を引く感覚でページをめくり・・・・・・ 調べたい言葉(単語),ここでは「温故知新」をタッチすると・・・・・・ その言葉の意味が上画面に表示される」との記載,及び上記Cの表示画面についての「タッチペンによる手書き入力(「おん」)がなされると,それに対応する単語の候補が下表示画面上段に表示され,その中の調べたい言葉(単語・・・)をタッチすると・・・,その言葉(単語)の意味が上画面に表示される」との態様から,
前記“辞書ソフト”は,“タッチペンによる手書き入力を受け付けると,上記入力に対応する単語の候補を表示画面に表示し,
その中の調べたい単語へのタッチを受け付けると,その単語の意味を上画面に表示”するものであることが読み取れる。

(エ)上記Aの「ニンテンドーDSに紙辞書の“手軽さ”,電子辞書の“快適さ”を活かした辞書ソフトが登場。ピクトチャット機能による,最大16人のクイズも可能」との記載,上記Dの「また,電子辞書としては初となるワイヤレス通信機能を内蔵し,ニンテンドーDS本体が持つピクトチャットとの連携により,英単語や難しい言葉の意味などをクイズ形式で出題し合うこともできるとのことだ。」,「まずは上画面に表示された辞書データを下画面にコピー コピーしたデータを消したり,書き足しながら問題を作成 後はピクトチャットの要領で送信すれば,最大16人によるコミュニケーションも可能」との記載,及び上記Eに示された態様から,
前記“辞書ソフト”は,“ユーザ入力に応じて,上画面に表示された辞書データを下画面にコピーし,コピーしたデータに対して,消したり,書き足す処理を行って問題データを作成し,
上記問題データを,送信機能を使って送信することで,他の装置とクイズ形式で出題し合うことを可能にする”ものであることが読み取れる。

以上,(ア)ないし(エ)を踏まえると,引用文献1には,次の発明(以下,「引用発明」という。)が記載されているものと認める。

携帯ゲーム装置で実行される,ピクトチャットと連携した送信機能を有する辞書ソフトであって,
前記携帯ゲーム装置は,表示画面を有し,
前記辞書ソフトは,
タッチペンによる手書き入力を受け付けると,上記入力に対応する単語の候補を表示画面に表示し,
その中の調べたい単語へのタッチを受け付けると,その単語の意味を上画面に表示し,
ユーザ入力に応じて,上画面に表示された辞書データを下画面にコピーし,コピーしたデータに対して,消したり,書き足す処理を行って問題データを作成し,
上記問題データを,送信機能を使って送信することで,他の装置とクイズ形式で出題し合うことを可能にする,
辞書ソフト。

<引用文献2>
後藤弘茂,“アナタはこの冬ポータブルゲーム機を2機種買う!ニンテンドーDS PSP”,ASCII,日本,株式会社アスキー,2005年1月1日,第29巻第1号,54-61頁
(当審注:下線は当審により参考のために付加したものである。)

F「標準装備する「ピクトチャット」は,複数台のニンテンドーDSを無線LANでつなぐチャット・ソフト。チャットルームは4部屋設定されており,最大16名まで参加できる。ソフトキーボードもあるけれど,スタイラスペンでささっと書いて送信するのが手っ取り早い。レスポンスも早いので,会議中や授業中の机の下でのこっそりチャットが流行るかも?」(58頁左上図の説明)

<引用文献3>
“ニンテンドーDSまるわかり大作戦”,電撃ゲームキューブ,日本,メディアワークス,2004年8月1日,第4巻第10号,68-73頁
(当審注:下線は当審により参考のために付加したものである。)

G「ピクトチャット(仮)
ワイヤレス通信の機能を使ったコミュニケーションソフト。タッチスクリーンで,文字や絵を書いて,友だちとやりとりすることができるぞ。」(72頁上から2段目右囲い内の「ピクトチャット(仮)」についての説明)

第3 対比・判断

1.対比
本願発明と引用発明とを対比する。

ア.引用発明の,「表示画面」を有する「携帯ゲーム装置」で「実行される,ピクトチャットと連携した送信機能を有する辞書ソフト」は,本願発明の「表示画面を有する携帯ゲーム装置のコンピュータで実行されるプログラム」に相当する。

イ.引用発明の,「携帯ゲーム装置」において「タッチペンによる手書き入力を受け付ける」ことは,本願発明の「ユーザの操作に応じた入力を受け付ける入力受付ステップ」に相当する。

ウ.引用発明は「タッチペンによる手書き入力を受け付けると,上記入力に対応する単語の候補を表示画面に表示」し,「その中の調べたい単語へのタッチを受け付けると,その単語の意味を上画面に表示」するものであるが,一般に「辞書ソフト」が,単語とそれに対応する意味との組を複数有する辞書データを含むことは,当業者であれば自明の事項であるから,引用発明における,上記「調べたい単語」から対応する上記「その単語の意味」を取得する処理は,見出し語データに相当する「単語」と文章データに相当する「その単語の意味」との複数の組を有する,上記「辞書ソフト」内の電子辞書データに基づいて行われるものに他ならない。
また,引用発明は,「単語の候補を表示画面に表示」して,「その中の調べたい単語へのタッチを受け付けると,その単語の意味を上画面に表示」するものであるが,これは、「タッチを受け付け」たことに応じて、上記「調べたい単語」から上記「その単語の意味」を取得するものであり、当該取得する処理は,“検索”処理に他ならない。
してみると,引用発明の,「携帯ゲーム装置」において,「辞書ソフト」に基づいて,「タッチペンによる手書き入力を受け付けると,上記入力に対応する単語の候補を表示画面に表示し,その中の調べたい単語へのタッチを受け付けると,その単語の意味」を表示するために検索することと,本願発明の「複数の見出し語データにそれぞれ対応するテキストデータ形式の文章データを少なくとも含む電子辞書データに対して,前記入力受付ステップが受け付けた入力に応じた見出し語データを決定し,当該見出し語データに対応する文章データを検索する検索ステップ」とは、ともに、“複数の見出し語データにそれぞれ対応するテキストデータ形式の文章データを少なくとも含む電子辞書データに対して,前記入力受付ステップが受け付けた入力に応じて,当該見出し語データに対応する文章データを検索する検索ステップ”である点で共通するといえる。

エ.引用発明の,「携帯ゲーム装置」において,「その中の調べたい単語へのタッチを受け付けると,その単語の意味を上画面に表示」することと,本願発明の「前記検索ステップで検索した文章データに基づく文章画像の少なくとも一部を前記表示画面に表示する表示制御ステップ」とは,ともに,“前記検索ステップで検索した文章データの少なくとも一部を前記表示画面に表示する表示制御ステップ”である点で共通するといえる。

オ.引用発明の,「携帯ゲーム装置」において,「ユーザ入力に応じて,上画面に表示された辞書データを下画面にコピーし,コピーしたデータに対して,消したり,書き足す処理を行って問題データを作成」することと,本願発明の「前記入力受付ステップにおいて受け付けられた入力に応じて,前記表示制御ステップで表示した前記文章画像を編集する編集ステップ」とは,ともに,“前記入力受付ステップにおいて受け付けられた入力に応じて,前記表示制御ステップで表示した前記文章データを編集する編集ステップ”である点で共通するといえる。

カ.引用発明は,「上記問題データを,送信機能を使って送信することで,他の装置とクイズ形式で出題し合うことを可能にする」ものであり,また,上記Eの記載によれば,送信された問題データは,他の装置において処理されて解答データとして生成され,自装置に送信されており,その際,上記解答データをユーザが生成する上で,当該他の装置においても表示画面にデータを表示していることは明らかである。
してみると,引用発明の,「携帯ゲーム装置」において,「上記問題データを,送信機能を使って送信することで,他の装置とクイズ形式で出題し合うことを可能にする」ことと,本願発明の「他の携帯ゲーム装置へデータを送信する通信手段を介して,前記編集ステップで編集した文章画像を他の携帯ゲーム装置へ送信して,当該他の携帯ゲーム装置が有する画面に当該文章画像を表示させる送信ステップ」とは,ともに,“他の携帯ゲーム装置へデータを送信する通信手段を介して,前記編集ステップで編集した文章データを他の携帯ゲーム装置へ送信して,当該他の携帯ゲーム装置が有する画面に当該文章データを表示させる送信ステップ”である点で共通するといえる。

以上の対比から,本願発明と引用発明とは,以下の点で一致し,また,以下の点で相違する。

(一致点)
表示画面を有する携帯ゲーム装置のコンピュータで実行されるプログラムであって,
前記コンピュータに,
ユーザの操作に応じた入力を受け付ける入力受付ステップ,
複数の見出し語データにそれぞれ対応するテキストデータ形式の文章データを少なくとも含む電子辞書データに対して,前記入力受付ステップが受け付けた入力に応じて,当該見出し語データに対応する文章データを検索する検索ステップ,
前記検索ステップで検索した文章データの少なくとも一部を前記表示画面に表示する表示制御ステップ,
前記入力受付ステップにおいて受け付けられた入力に応じて,前記表示制御ステップで表示した前記文章データを編集する編集ステップ,および
他の携帯ゲーム装置へデータを送信する通信手段を介して,前記編集ステップで編集した文章データを他の携帯ゲーム装置へ送信して,当該他の携帯ゲーム装置が有する画面に当該文章データを表示させる送信ステップを実行させる,
プログラム。

(相違点1)
検索ステップに関し、
本願発明が,「前記入力受付ステップが受け付けた入力に応じた見出し語データを決定し」た上で、検索を行っているのに対し,
引用発明は,そのような構成とはなっていない点。

(相違点2)
本願発明は,検索して表示,編集,送信する文章データを「文章画像」としているのに対し,
引用文献1には,表示する文章データを画像とすることについては,明確には記載がない点。

(相違点3)
本願発明が,「前記編集ステップは,前記入力受付ステップにおいて受け付けられた入力に応じて,前記表示制御ステップで表示した文章画像のうちの少なくとも一部を消去する消去ステップを含み,
前記送信ステップでは,前記消去ステップにおいて少なくとも一部が消去された文章画像が他の携帯ゲーム装置へ送信されて,当該他の携帯ゲーム装置が有する画面に当該少なくとも一部が消去された文章画像を表示させる」ものであるのに対し,
引用発明は,そのような構成とはなっていない点。

2.判断
上記(相違点1)ないし(相違点3)について検討する。

(1)(相違点1)について
本願発明は、入力受付ステップが受け付けた入力に応じて見出し語データを決定しそれを検索に用いているのに対し、引用発明では、タッチペンによる手書き入力を受け付けると、まず、入力に対応する単語の候補を表示画面に表示し、その中から再度タッチすることで調べたい単語を決定するという、複数の手順によって検索に用いる単語を決定している点で相違するものである。
しかしながら,手書き認識処理において,手書きデータから一の単語データを決定するか,複数の候補データを取得して決定に供するかは,求められる精度や認識処理の性能に応じて適宜設定する設計的事項であり,いずれの手法を採用するかに格別困難性は認められない。
してみると,引用発明における,辞書データから単語の意味を取得する処理において,「前記入力受付ステップが受け付けた入力に応じた見出し語データを決定し」た上で検索を行うようにすること,すなわち,相違点1に係る構成とすることは,当業者が容易に想到し得たことである。
よって,相違点1は格別なものではない。

(2)(相違点2)及び(相違点3)について
一般に,文章等のテキストデータを二次的に利用する際にイメージデータに生成することは常とう手段であり,また,携帯ゲーム装置において,手書きの文字や絵を画像として生成して表示し編集し他の装置へ送信する技術は,本願出願時において周知(例えば,引用文献2の上記F,及び,引用文献3の上記Gの記載を参照)であることから,これらを勘案すれば,引用発明における文章データを画像データにして表示,編集,送信することは,当業者が容易に想到し得たことである。
さらに,情報処理装置におけるイメージ編集機能において,作成した画像の一部を消去する機能を備えることは,当該分野における周知慣用技術(一般に情報処理装置における画像編集ソフトは,ユーザの試行錯誤による操作に併せて,表示画面上で画像の要素を形成していくものであるから,操作の結果,ユーザの意に沿わない要素が形成された場合にそれを消去する機能を当然に有すると解されるし,例えば下記参考文献1及び2にも,画像編集ソフトにおいて,画像の消去機能を有する態様が示されている。)である。

<参考文献1>
特開平08-305881号公報
H「【0035】このステップS6で,今度は例えば編集モード4に変更すると,ステップS3での判断によりステップS13に進み,ステップS13で後述するアイコン面のプライオリティ設定処理を行う。この処理により画面は編集モード4ではアイコンがキャラクタより優先する(表1)ので,図14に示すように,落書き入力を指定するえんぴつアイコン101と落書きの消去を指定する消しゴムアイコン102の下にキャラクタ61が表示される。そしてステップS12でカーソルキー21によりえんぴつアイコン101または消しゴムアイコン102を選択することで落書きの入力消去を行う落書きメイン処理を行いステップS6で編集モード番号の変更を行いステップS3に戻る。」

<参考文献2>
“バイオde楽しいお絵描き With ペンタブレット 実践編 「FAVO」を「PictureToy」を使って,簡単お絵描き! 応用編 「FAVO」についてくる便利なソフトたち”,VAIO Style 2001 Vol.1,日本,株式会社ソニー・マガジンズ,2001年4月25日,第1巻,70-71頁
J「バイオに付属する「PictureToy」は,タブレットを使ってお絵描きをするのにぴったりのソフトだ。・・・
もちろん,消しゴムや取り消し機能もついているので,納得がいかない場合には何度でもやり直せる。・・・
消しゴム機能なら,ペン先の色を変更することなく,描き込んだものを消していくことができる。微妙なタッチの修正に便利だ。」(70頁左欄1行目?22行,右欄上から4番目の図の説明)

してみると,引用発明における文章データである「単語の意味」を画像データにして表示,編集,送信する際に,上記周知慣用技術を適用することで,「前記編集ステップは,前記入力受付ステップにおいて受け付けられた入力に応じて,前記表示制御ステップで表示した文章画像のうちの少なくとも一部を消去する消去ステップを含み,前記送信ステップでは,前記消去ステップにおいて少なくとも一部が消去された文章画像が他の携帯ゲーム装置へ送信されて,当該他の携帯ゲーム装置が有する画面に当該少なくとも一部が消去された文章画像を表示させる」ものとすること,すなわち,相違点2及び相違点3に係る構成とすることは,当業者が容易に想到し得たことである。
よって,相違点2及び相違点3は格別なものではない。

そして,本願発明により奏する効果も,引用発明,及び周知技術等から当然予想される範囲内のものにすぎず,格別顕著なものとは認められない。


第4 むすび

以上のとおり,本願の請求項1に係る発明は,引用発明,及び周知技術等に基いて,当業者が容易に発明をすることができたものであるから,特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであり,他の請求項についての検討をするまでもなく,本願は拒絶されるべきものである。

よって,結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2013-10-18 
結審通知日 2013-10-21 
審決日 2013-11-18 
出願番号 特願2005-175397(P2005-175397)
審決分類 P 1 8・ 121- WZ (G06F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 成瀬 博之  
特許庁審判長 仲間 晃
特許庁審判官 石井 茂和
金子 幸一
発明の名称 プログラム、携帯ゲーム装置、情報処理方法、および情報処理システム  
代理人 特許業務法人 小笠原特許事務所  
代理人 石原 盛規  

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