• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 H04L
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 H04L
管理番号 1283609
審判番号 不服2013-4195  
総通号数 171 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2014-03-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2013-03-04 
確定日 2014-01-06 
事件の表示 特願2009- 21986「ネットワークシステム」拒絶査定不服審判事件〔平成22年 8月12日出願公開、特開2010-178313〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1.手続の経緯
本件出願は,平成21年2月2日の出願であって,平成24年9月3日付け拒絶理由通知に対して平成24年11月12日付けで意見書と手続補正書が提出されたが,同年12月3日付けで拒絶査定がなされ,これに対し,平成25年3月4日に拒絶査定不服の審判請求がなされるとともに同日付けで手続補正がなされたものである。

第2.補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
平成25年3月4日付けの手続補正を却下する。

[理由]
1.本願発明と補正後の発明
平成25年3月4日付けの手続補正は,平成24年11月12日付け手続補正書の特許請求の範囲の請求項1に記載された
「識別情報が個別に割り付けられた複数の端末装置が互いに通信を行うネットワークに接続されて,他の端末装置に対してマルチキャストまたはブロードキャストで応答要求コマンドを送信する1台以上の第1の端末装置と,ネットワークを介して受信した応答要求コマンドを実行し,第1の端末装置に対して応答信号を返信する複数の第2の端末装置とを備え,
第1の端末装置は,第2の端末装置に対してマルチキャストまたはブロードキャストで応答要求コマンドを送信する場合,応答要求コマンドを受信した第2の端末装置が応答信号を返信するか否かを判断する際に用いる応答判断情報を応答要求コマンドに付加する手段を具備し,
第2の端末装置は,自己に割り付けられた識別情報と応答要求コマンドに付加された応答判断情報とに基づいて応答信号を返信するか否かを判断する手段を具備し,
応答要求コマンドは,ヘッダに配置されて応答判断情報が格納される応答制御フィールドと,この応答制御フィールドに続いて配置されて第2の端末装置へ指示する要求内容が格納されるデータフィールドとで構成される
ことを特徴とするネットワークシステム。」
という発明(以下,「本願発明」という。)を,
「識別情報が個別に割り付けられた複数の端末装置が互いに通信を行うネットワークに接続されて,他の端末装置に対して通信用アドレスを用いてマルチキャストまたはブロードキャストで応答要求コマンドを送信する1台以上の第1の端末装置と,ネットワークを介して受信した応答要求コマンドを実行し,第1の端末装置に対して応答信号を返信する複数の第2の端末装置とを備え,
第1の端末装置は,第2の端末装置に対してマルチキャストまたはブロードキャストで応答要求コマンドを送信する場合,応答要求コマンドを受信した第2の端末装置が応答信号を返信するか否かを判断する際に用いる応答判断情報を応答要求コマンドに付加する手段を具備し,
第2の端末装置は,自己に割り付けられた識別情報と応答要求コマンドに付加された応答判断情報とに基づいて応答信号を返信するか否かを判断する手段を具備し,
応答要求コマンドは,ヘッダに配置されて応答判断情報が格納される応答制御フィールドと,この応答制御フィールドに続いて配置されて第2の端末装置へ指示する要求内容が格納されるデータフィールドとで構成される
ことを特徴とするネットワークシステム。」
という発明(以下,「補正後の発明」という。)に変更することを含むものである。

2.新規事項の有無,補正の目的要件について
上記補正は,願書に最初に添付した明細書,特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内において,「応答要求コマンド」を「通信アドレスを用いて」送信する点を付加して限定することにより,特許請求の範囲を減縮するものであるから,本件補正は,特許法第17条の2第3項(新規事項)及び特許法第17条の2第5項第2号(補正の目的)の規定に適合している。

3.独立特許要件について
上記補正は特許請求の範囲の減縮を目的とするものを含むから,上記補正後の発明が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるのかどうかについて以下に検討する。

(1)補正後の発明
上記「1.本願発明と補正後の発明」の項で「補正後の発明」として認定したとおりである。

(2)引用発明
原査定の拒絶理由に引用された特開2000-92091号公報(以下,「引用例」という。)には,「監視装置及び監視システム及びその監視方法」に関し,図面とともに以下の事項が記載されている。

ア.「【0029】
【発明の実施の形態】図5は本発明システムに適応される監視装置及び被監視装置の第1実施例のブロック図を示す。同図中,被監視装置20内の通信処理部21は監視装置との通信を行い,監視装置からの処理要求を載せたデータフレームを受信すると,その受信要求を制御管理部23に通知する。アドレス保持部22には自装置アドレスと自グループアドレスとが保持されている。
【0030】制御管理部23は通信処理部21で受信したデータフレームの送信先アドレスがアドレス保持部22の自装置アドレスまたは自グループアドレスと一致すると,データフレームの処理要求に対する処理を実行し,その実行結果の情報を通知処理部21に供給して送信要求を行う。この送信要求には,アドレス保持部22に保持されている自グループアドレスが添付されており,通知処理部21から実行結果の情報を載せたデータフレームが送信される。
【0031】状態管理部24は自装置における状態変化を管理しており,状態変化があれば状態変化の情報を通信処理部21に供給して送信要求を行う。この送信要求には,アドレス保持部22に保持されている自グループアドレスが添付されており,通知処理部21から状態変化の情報を載せたデータフレームが送信される。監視装置30内の通信処理部31は被監視装置との通信を行う。アドレス保持部32には自装置アドレスと自グループアドレスとが保持される。制御管理部33は制御を行う被監視装置に対する処理要求を通信処理部31に供給し送信要求を行う。上記の送信要求には,アドレス保持部32に保持されている自グループアドレスが添付されており,通信処理部31から処理要求を載せたデータフレームが被監視装置に対し送信させる。」(5頁7-8欄)

イ.「【0034】図6は被監視装置20の通信処理部21と,監視装置30の通信処理部31との間で伝送されるデータフレームの一実施例のフォーマットを示す。同図中,フレーム識別子は,このデータフレームが装置アドレス指定通信であるか,グループ内同報通信であるか,ネットワーク内同報通信であるかを指定する。次の送信先アドレスには,装置アドレス指定通信の場合は送信先の装置アドレス,グループ内同報通信の場合は送信先のグループのグループアドレスが設定される。送信元アドレスには,送信元の装置が属するグループのグループアドレスが設定される。そして,データ部に伝送情報が設定される。」(5頁8欄-6頁9欄)

ウ.「【0035】図7は本発明システムにおけるグループ構成の第1実施例の構成図を示す。同図中,被監視装置41?46は例えばネットワークを構成する伝送装置である。これらの被監視装置41?46は監視回線49によって監視装置47,48と相互に接続されて監視システムを構成している。ところで,被監視装置41?43と監視装置47それぞれのアドレス保持部22,32にはそれぞれの自装置アドレスとグループアドレスAが設定されており,被監視装置44?46と監視装置48それぞれのアドレス保持部22,32にはそれぞれの自装置アドレスとグループアドレスBが設定されている。つまり,監視装置47で被監視装置41?43の監視及び制御を行い,監視装置48で被監視装置44?46の監視及び制御を行う。
【0036】ここで,監視装置から被監視装置に対して個別に制御を行う場合について,図8のシーケンスを用いて説明する。図8において,監視装置47はデータフレームのフレーム識別子に装置アドレス指定通信を設定し,送信元アドレスに自装置アドレス(=1)を設定し,送信先アドレスに被監視装置41の装置アドレス(=2)を設定し,制御内容をデータ部に設定して通信処理部31から監視回線49に送信させる。
【0037】被監視装置41は,通信処理部21でこのデータフレームを受信すると,制御管理部23では装置アドレス指定通信で送信先アドレスが自装置であるため,このデータフレームのデータ部の制御内容を実施する。この後,応答のデータフレームのフレーム識別子に装置アドレス指定通信を設定し,送信元アドレスに自装置アドレス(=2)を設定し,送信先アドレスに監視装置47の装置アドレス(=1)を設定し,応答内容(実行結果の情報)をデータ部に設定して通信処理部21から監視回線49に送信させる。
【0038】監視装置47は通信処理部31でこの応答のデータフレームを受信すると,制御管理部33では装置アドレス指定通信で送信先アドレスが自装置であるため,ネットワーク状態表示部35に状態表示要求を行ってデータ部の応答内容を表示させる。次に,監視装置からグループ内の全ての被監視装置に対して制御を行う場合について,図9のシーケンスを用いて説明する。図9において,監視装置47はデータフレームのフレーム識別子にグループ内同報通信を設定し,送信元アドレスに自装置アドレス(=2)を設定し,送信先アドレスにグループアドレス(=A)を設定し,制御内容をデータ部に設定して通信処理部31から監視回線49に送信させる。被監視装置41,42は,通信処理部21でこのデータフレームを受信すると,制御管理部23ではグループ内同報通信で送信先アドレスが自グループであるため,このデータフレームのデータ部の制御内容を実施する。」(6頁9-10欄)

上記引用例の記載及び図面並びにこの分野における技術常識を考慮すると,
a.上記引用例の「監視システム」では,【図7】に例示されるように監視装置47,48と複数の被監視装置41?46が「互いに通信を行うネットワーク」に接続されている。
b.「アドレス保持部22には自装置アドレスと自グループアドレスとが保持されている。」(摘記事項アの【0029】),「アドレス保持部32には自装置アドレスと自グループアドレスとが保持される。」(摘記事項アの【0031】)とあるように,各装置には「自装置アドレスが個別に設定され」ている。
c.【図9】に記載された「監視装置からグループ内の全ての被監視装置に対して制御を行う場合のシーケンス」に関し,「監視装置47はデータフレームのフレーム識別子にグループ内同報通信を設定し,送信元アドレスに自装置アドレス(=2)を設定し,送信先アドレスにグループアドレス(=A)を設定し,制御内容をデータ部に設定して通信処理部31から監視回線49に送信させる。被監視装置41,42は,通信処理部21でこのデータフレームを受信すると,制御管理部23ではグループ内同報通信で送信先アドレスが自グループであるため,このデータフレームのデータ部の制御内容を実施する。」(摘記事項ウの【0038】)の記載によれば,「監視装置」は「被監視装置に対してグループアドレスを用いてグループ内同報通信で処理要求のデータフレームを送信」し,「被監視装置」は「ネットワークを介して受信した処理要求のデータフレームの制御内容を実施」している。
d.「被監視装置」の処理に関し,【図8】に記載された「監視装置から被監視装置に対して個別に制御を行う場合のシーケンス」では,さらに,「この後,応答のデータフレームのフレーム識別子に装置アドレス指定通信を設定し,送信元アドレスに自装置アドレス(=2)を設定し,送信先アドレスに監視装置47の装置アドレス(=1)を設定し,応答内容(実行結果の情報)をデータ部に設定して通信処理部21から監視回線49に送信させる。」(摘記事項ウの【0037】)と記載されているように,監視装置に応答内容を返信しているが,【図9】に記載されたシーケンスにおいても同様の返信処理が行われることは明らかであるから,「監視装置に対して応答のデータフレームを返信」していると言える。
e.上記c.,d.での検討によれば,「監視装置」が「被監視装置に対してグループ内同報通信で処理要求のデータフレームを送信する場合,処理要求のデータフレームを受信した被監視装置がグループアドレスを処理要求のデータフレームに付加する手段を具備」すること,及び,「被監視装置」が「自己が属するグループに割り付けられたグループアドレスと処理要求のデータフレームに付加されたグループアドレスとに基づいて応答のデータフレームを返信する手段を具備」すること,は明らかである。
f.【図6】の記載及び「同図中,フレーム識別子は,このデータフレームが装置アドレス指定通信であるか,グループ内同報通信であるか,ネットワーク内同報通信であるかを指定する。次の送信先アドレスには,装置アドレス指定通信の場合は送信先の装置アドレス,グループ内同報通信の場合は送信先のグループのグループアドレスが設定される。」(摘記事項イの【0034】),「制御内容をデータ部に設定して・・・(中略)・・・このデータフレームのデータ部の制御内容を実施する。」(摘記事項ウの【0038】)の記載によれば,「処理要求のデータフレームは,ヘッダに配置されてグループアドレスが格納される送信先アドレスフィールドと,この送信先アドレスフィールドの後に配置されて被監視装置へ指示する制御内容が格納されるデータ部とで構成され」ている。

以上を総合すれば,上記引用例には,以下の発明(以下,「引用発明」という。)が開示されていると認める。

「自装置アドレスが個別に設定された複数の装置が互いに通信を行うネットワークに接続されて,被監視装置に対してグループアドレスを用いてグループ内同報通信で処理要求のデータフレームを送信する1台以上の監視装置と,ネットワークを介して受信した処理要求のデータフレームの制御内容を実施し,監視装置に対して応答のデータフレームを返信する複数の被監視装置とを備え,
監視装置は,被監視装置に対してグループ内同報通信で処理要求のデータフレームを送信する場合,処理要求のデータフレームを受信した被監視装置がグループアドレスを処理要求のデータフレームに付加する手段を具備し,
被監視装置は,自己が属するグループに割り付けられたグループアドレスと処理要求のデータフレームに付加されたグループアドレスとに基づいて応答のデータフレームを返信する手段を具備し,
処理要求のデータフレームは,ヘッダに配置されてグループアドレスが格納される送信先アドレスフィールドと,この送信先アドレスフィールドの後に配置されて被監視装置へ指示する制御内容が格納されるデータ部とで構成される
監視システム。」

(3)対比・判断
補正後の発明と引用発明とを対比すると,
a.引用発明の「被監視装置」,「監視装置」は,それぞれ,補正後の発明の「第2の端末装置」,「第1の端末装置」に相当し,また,補正後の発明の「他の端末装置」は「第1の端末装置」以外の端末装置を意味することは明らかであるから,引用発明の「被監視装置」がこれに相当する。
b.引用発明の「自装置アドレス」が装置を識別する情報であることは自明であるから,補正後の発明の「識別情報」に含まれる。
c.引用発明の「グループアドレス」は補正後の発明の「通信用アドレス」に含まれる。
d.引用発明の「グループ内同報通信」は補正後の発明の「マルチキャスト」に含まれる。
e.引用発明の「処理要求のデータフレーム」は,これを受信した被監視端末からの応答も要求しているから補正後の発明の「応答要求コマンド」に相当し,また,引用発明の「処理要求のデータフレームの制御内容を実施し」と補正後の発明の「応答要求コマンドを実行し」とは実質的に同義である。
f.引用発明の「応答のデータフレーム」は補正後の発明の「応答信号」に含まれる。
g.引用発明の「処理要求データフレームに付加」される「グループアドレス」は,該「処理要求データフレーム」を受信した被監視端末によって,送信先アドレスが自グループのアドレスである処理要求データフレームの制御内容が実施され,応答のデータフレームが送信されるのであるから,応答信号を返信する際の判断材料となっていることは明らかであって,補正後の発明の「応答信号を返信するか否かを判断する際に用いる応答判断情報」と言え,また,引用発明の「応答のデータフレームを返信する手段」は,「応答信号を返信するか否かを判断する手段」と言える。
h.引用発明の「自己が属するグループに割り付けられたグループアドレス」と補正後の発明の「自己に割り付けられた識別情報」とは,「割り付けられた情報」である点で共通する。
i.引用発明の「送信先アドレスフィールド」に格納される「グループアドレス」は,上記g.で検討したように,補正後の発明の「応答判断情報」と言えるから,引用発明の「送信先アドレスフィールド」は補正後の発明の「応答制御フィールド」に相当する。
j.引用発明の「制御内容が格納されるデータ部」は補正後の発明の「要求内容が格納されるデータフィールド」に相当する。
k.引用発明の「の後に配置されて」と補正後の発明の「に続いて配置されて」とは,「の後に配置されて」で共通する。
l.引用発明の「監視システム」が,ネットワークで構成されるシステムであることは明らかであるから「ネットワークシステム」と言いうるものであり,補正後の発明の「ネットワークシステム」とは文言上相違するものの実質的に差異は無い。

以上をまとめると,両者は,以下の点で一致ないし相違している。

(一致点)
「識別情報が個別に割り付けられた複数の端末装置が互いに通信を行うネットワークに接続されて,他の端末装置に対して通信用アドレスを用いてマルチキャストで応答要求コマンドを送信する1台以上の第1の端末装置と,ネットワークを介して受信した応答要求コマンドを実行し,第1の端末装置に対して応答信号を返信する複数の第2の端末装置とを備え,
第1の端末装置は,第2の端末装置に対してマルチキャストで応答要求コマンドを送信する場合,応答要求コマンドを受信した第2の端末装置が応答信号を返信するか否かを判断する際に用いる応答判断情報を応答要求コマンドに付加する手段を具備し,
第2の端末装置は,割り付けられた情報と応答要求コマンドに付加された応答判断情報とに基づいて応答信号を返信するか否かを判断する手段を具備し,
応答要求コマンドは,ヘッダに配置されて応答判断情報が格納される応答制御フィールドと,この応答制御フィールドの後に配置されて第2の端末装置へ指示する要求内容が格納されるデータフィールドとで構成される
ネットワークシステム。」

(相違点1)
「割り付けられた情報」が,
補正後の発明では「自己に割り付けられた識別情報」あるのに対し,
引用発明では「自己が属するグループに割り付けられたグループアドレス」ある点。

(相違点2)
「データフィールド」が,
補正後の発明では,応答制御フィールド「に続いて」配置されるのに対し,
引用発明では,(応答制御フィールドである)送信先アドレスフィールド「の後に」配置される点。

以下に,上記各相違点につき検討する。

上記(相違点1)について
引用例には,グループアドレス(“A”等)と自装置アドレス(“2”等)との関係については明らかにされていないが,端末機のアドレスの上位数ビットをグループ用のアドレスとすることは普通に行われている(例えば,原査定の拒絶理由に引用された特開平5-48622号公報の【0013】参照。)ことに鑑みれば,「割り付けられた情報」として「自己に割り付けられた識別情報」を用いて「自己に割り付けられた識別情報と応答要求コマンドに付加された応答判断情報とに基づいて応答信号を返信するか否かを判断する」ことは,格別なことではない。

上記(相違点2)について
データフレーム内における制御フィールドやデータフィールドの配置位置は当業者が必要に応じて適宜選択すべき事項に過ぎず,補正後の発明のように,「データフィールド」を応答制御フィールド「に続いて」配置することも格別なものではない。

そして,補正後の発明の作用・効果も引用発明から当業者が予測し得る範囲のものである。

4.結語
以上のとおり,本件補正は,補正後の発明が特許出願の際独立して特許を受けることができないものであるから,特許法第17条の2第6項において準用する特許法第126条第7項の規定に適合していない。
したがって,本件補正は,特許法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

第3.本願発明について
1.本願発明
平成25年3月4日付けの手続補正は上記のとおり却下されたので,本願発明は上記「第2.補正却下の決定」の項中の「1.本願発明と補正後の発明」の項で「本願発明」として認定したとおりである。

2.引用発明
引用発明は,上記「第2.補正却下の決定」の項中の「3.独立特許要件について」の項中の「(2)引用発明」の項で「引用発明」として認定したとおりである。

3.対比・判断
そこで,本願発明と引用発明とを対比するに,
本願発明は上記補正後の発明から当該補正に係る限定を省いたものである。
そうすると,本願発明の構成に当該補正に係る限定を付加した補正後の発明が,上記「第2.補正却下の決定」の項中の「3.独立特許要件について」の項で検討したとおり,引用発明に基づいて当業者が容易に発明できたものであるから,本願発明も同様の理由により,容易に発明できたものである。

4.むすび
以上のとおり,本願発明は,引用発明に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたものと認められるから,特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

よって,結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2013-10-30 
結審通知日 2013-11-05 
審決日 2013-11-19 
出願番号 特願2009-21986(P2009-21986)
審決分類 P 1 8・ 575- Z (H04L)
P 1 8・ 121- Z (H04L)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 玉木 宏治  
特許庁審判長 菅原 道晴
特許庁審判官 新川 圭二
山澤 宏
発明の名称 ネットワークシステム  
代理人 西川 惠清  
代理人 北出 英敏  
代理人 仲石 晴樹  
代理人 坂口 武  

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ