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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 H04J
管理番号 1283669
審判番号 不服2013-10986  
総通号数 171 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2014-03-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2013-06-12 
確定日 2014-01-28 
事件の表示 特願2011-521373「干渉除去を用いたセル検知」拒絶査定不服審判事件〔平成22年 2月 4日国際公開、WO2010/014968、平成23年12月15日国内公表、特表2011-530237、請求項の数(22)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 1.手続の経緯・本願発明
本願は,2009年7月31日(パリ条約による優先権主張外国庁受理 2008年8月1日 米国,2009年6月18日 米国)を国際出願日とする出願であって,平成25年2月1日付けで拒絶査定がなされ,これに対し,同年6月12日に拒絶査定に対する審判請求がなされたものである。
その請求項1に係る発明は,明細書,特許請求の範囲及び図面の記載からみて,平成24年10月30日付け手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載されたとおりの次のものと認める(以下,「本願発明」という。)。
「【請求項1】
無線通信ネットワークにおいて,セルを検知する方法であって,
前記無線通信ネットワークにおいて,複数のセルによって送信されたパイロットを備える受信信号を得ることと,
前記受信信号を処理して,前記複数のセルからのパイロットを検知することと
を備え,
前記受信信号を処理して,複数のセルからのパイロットを検知することは,複数のステージにおいて前記受信信号のパイロット検知および干渉除去を実行することを備え,前記干渉除去は,前記検知されるセルの数を向上させ,各ステージについて,
前記受信信号内の前記パイロットのうちの1または複数を前記複数のセルのうちの1または複数から検知することと,
前記1または複数のパイロットに部分的に基づいて前記1または複数のセルを識別することと,
前記1または複数のパイロットに基づいて前記1または複数のセルの干渉を前記受信信号から除去することと
を備える方法。」


2.引用発明及び周知技術
(1)文献1について
原査定の拒絶の理由に引用された特表2002-539711号公報(以下,「引用例」という。)には,「同期化およびセル探索方法およびワイヤレス通信装置」に関し,図面とともに以下の事項が記載されている。

ア.「【0001】
(発明の分野)
本発明はワイヤレス通信システムおよび方法に関し,特にワイヤレス通信システムにおける同期化およびセル探索装置および方法に関する。
(中略)
【0003】
図1は典型的な地上セルラー無線電話通信システム20を示す。セルラー無線電話システム20は基地局26によりサービスされる複数のセル24と通信する1つ以上の無線電話機(端末)22,および移動電話交換局(mobile telephone switching office MTSO)28を含むことができる。図1には3つのセル24しか図示されていないが,典型的なセルラー網は数百のセルを含むことができ,2つ以上のMTSOを含むことができ,数千の無線電話機にサービスすることができる。」(12頁)

イ.「【0013】
典型的に,ダイレクト・シーケンススペクトル拡散受信機は拡散シーケンスのレプリカを局部的に発生する局部シーケンス発生器を含んでいる。この局部発生シーケンスは同じ拡散シーケンスに従って変調される送信スペクトル拡散信号から情報を回復するのに使用される。しかしながら,送信信号内の情報を回復できる前に,局部発生拡散シーケンスは典型的に送信信号を変調する拡散シーケンスと同期化しなければならない。
【0014】
端末の同期化は,一般的に,端末が取得できる各セル内で同期信号を送信してその逆拡散操作を同期化させるタイミング基準を得ることにより達成される。例えば,IS-95順応システムでは,既知のシーケンスにより変調される固定搬送波を含む“パイロットチャネル”がシステムの各セル内で送信され,各タイミングオフセットが各セル内に適用される。広帯域CDMAを使用するシステム等の他のシステムでは,既知のロケーションにおける下りチャネルのデータフレーム内に定義されたタイムスロット内に共通同期符号(すなわち,同期符号の共通セットからの符号)が埋め込まれる。しばしば“第1の同期符号”(first synchronization code FSC)もしくは“1次同期符号”(primary synchronization code PSC)と呼ばれるこのシーケンスは端末により検出され,端末がスロットタイミングを決定するのを助けるために使用される。
【0015】
端末はワイヤレスセルラーシステムで動作する時に,典型的に端末とそれが現在通信しているセルとの間のリンクの信号品質が劣化した場合に通信することができる新しいセル,通常は近隣セル,を探索しようとする。例えば,1つのセルにサービスする基地局を介してアクティブに呼に関与する端末は,典型的に,端末がシステム中を移動する時に呼をハンドオーバすることができる他の基地局を識別する必要がある。スリープする前に端末により識別された1組の“候補セル”の同期信号が端末がスリープしている間に劣化していたり消失していたりさえすることがあるため,スリープモードから抜け出す端末もセル探索操作に関与することがある。
【0016】
前記した同期信号はこのようなセル探索操作に広く使用される。例えば,提案されたWCDMAシステムでは,基地局はセルを識別する役を果たす特定セル“ロング”(例えば,40,960チップ)スクランブリング符号に従って下りチャネルを介して送信する。典型的に,スクランブリング符号はセル探索を効率的にするためにグループへ分割される。セルが属するグループを識別するために,基地局は典型的にセルが属するグループに関連する2次同期符号(secondary synchronization code SSC)を,1次同期符号と並列に送信する。典型的に,SSCはまた1フレームの周期を有し,したがってフレーム境界を決定する基準を提供する。新しく提案されたWCDMAシステムでは,同期信号の1フレーム内の予め定められた1組のパターンの中の1つでPSCを送信することによりSSCの機能がPSCに内蔵され,パターンはセルが属するスクランブリング符号グループを表わす。
【0017】
データフレームのスロットの始めの固定位置でPSCが送信されるシステムにおいてセル探索を実施するために,端末は最初に受信信号を所定の時間間隔,例えば,30msecにわたる共通1次同期符号(FSCもしくはPSC)と相関させることにより,候補スロット境界を識別する。発生された相関はPSCの存在を示すピークについて調べられる。候補スロット境界が識別されていると,第2段階が開始され端末は候補スロット境界を使用して受信信号を各SSCと相関させる。受信信号と1つのSSC間に十分な相関が見つかり,SSCに関連するセルがSSCに関連するグループのメンバーであるロングコードを使用する尤度を示す場合には,端末は受信信号を比較的小さな1組のロングコードと相関させることができる。このようにして,同期信号に関連するセルは,受信信号を考えられる全てのロングコードと相関させることなく,効率的に識別することができる。このようなセル探索手順は1999年1月14日に電波産業会(Association of Radio Industries and Businesses ARIB)により出版された“3Gモビル・システムのための無線インターフェース仕様”のVersion 1.0,および1998年11月に1998年日本無線アルチメディア会議会報に出版されたオストバーグ等の論文“非同期CDMAシステムにおける高速セクタイ識別技術の性能と問題”に詳細に記載されている。
【0018】
前記したセル探索手順は無線伝播環境の特性により悪影響を受けることがある。例えば,同じ共通同期化シーケンスが典型的にはシステムの全セルにサービスする基地局により送信されるため,基地局により送信される同期信号は互いに干渉することがあり,そのため特定のセルに関連する特定の同期信号に対するスロット境界を識別するのが困難となることがある。この問題はマルチパスコンポーネントがさらに干渉を生じる分散チャネルにおいて悪化することがある。」(16?18頁)

ウ.「【0022】
これらおよびその他の目的,特徴および利点は,本発明に従って,ワイヤレス通信システム内のセルに対して送信された同期信号の組合せを表わす受信通信信号が,WCDMAシステムで使用される第1の同期符号(first synchronization code FSC)すなわち1次同期符号(primary synchronization code PSC)等の,共通同期符号と相関されるシステムおよび方法により提供される。受信端末の“近隣”リストに保持されたセルにサービスする基地局により送信される同期信号等,既知の同期信号に関連するコンポーネントは関連からキャンセルされて同期信号のタイミング,例えば,スロット境界を決定するのに使用できる干渉キャンセル関連を生成する。タイミング情報はさらに,例えば,スクランブリンググループ符号すなわち2次同期符号(secondary synchronization code SSC)を決定するタイミングベースを与えることにより同期信号が送信されるセルのアイデンティティを決定するのに使用することができ,それは次に特定セルスクランブリング(ロング)符号の検出を案内するのに使用される。本発明の干渉キャンセルおよびタイミング決定技術は,例えば,IS-95システムで同報されるパイロットチャネル信号等の同期信号のタイミングを決定するのにも有利である。
【0023】
本発明の方法および装置は従来の探索技術よりも潜在的により効率的な改善されたタイミング決定およびセル探索技術を提供する。既知の同期信号に関連する信号コンポーネントのキャンセルは所望の同期信号のスロット境界を検出するのを助ることができ,したがって,セル探索プロセスの速度を速めることができる。本発明のもう1つの特徴により,セル探索プロセスで識別されたセルは順次潜在的に干渉を発生する同期信号に関する知識を増し,この知識は干渉キャンセルプロセスを強化するのに使用することができる。」(18?19頁)

エ.「【0029】
各同期信号は,広帯域CDMA(wideband CDMA WCDMA)システム内で送信される第1の探索符号(first search code FSC)すなわち1次探索符号(primary seach codePSD)等の,共通同期符号に従って符号化された部分を含むことができる。IS-95システムにおいて従来行われるように,共通同期信号も各セル内でパイロットチャネルを介して送信することができる。」(21頁)

オ.「【0039】
図4は,例えば,図3のコントローラ360およびトランシーバ370を使用して実現することができる典型的なセル識別装置400を例示している。例えば,図4のアンテナ310で受信され図4のトランシーバ370によりベースバンド受信信号へ処理される信号は共通同期符号,例えば,WCDMAシステムで使用される1次又は第1の同期符号(PSC又はFSC)のために使用される符号,と相関器405において相関されて同期検出信号を作り出す。相関器405は,例えば,スライディング相関器その他従来既知の相関器を含むことができる。
【0040】
次に,既知の受信同期信号の評価値の相関に対応するコンポーネントが相関器405により作り出される同期検出信号から減算されて,累算器410へ与えられる。減算されたコンポーネントは共通同期符号を第2の相関器435内の受信同期信号評価器430により発生される評価された既知の受信同期信号と相関させることにより発生することができる。既知の受信同期信号評価器430および相関器435は,好ましくは,端末で受信される予め識別されたセルにより作り出される既知の同期信号と共通同期符号との相関結果を近似する相関を作り出す。例えば,既知の信号の評価値は既知の同期シーケンスが通信されるチャネルに対するチャネル評価値402を使用して構成することができる。信号強度,パス損失,および既知の同期信号に適用される符号化の知識等の,チャネル評価値以外の既知の同期信号の特性の知識も使用できることをお判り願いたい。
【0041】
当業者ならば,相関器405により発生される同期検出信号から減算されるコンポーネントは図4に示すものとは異なる方法で発生できることがお判りであろう。例えば,既知の受信同期信号評価器435および相関器435の機能を結合することができる。減算されたコンポーネントを作り出すのに使用される計算,例えば,探索符号自己相関を予め計算して端末に格納することができる。
【0042】
累算器410により作り出された累算された相関は,次に,例えばその近くに共通同期符号が送信されるスロット境界に対応することがある累算された相関内のピークを識別するピーク検出器等のタイミング検出器415へ送られる。次に,このように識別された候補スロット境界は,例えば,受信信号を2次同期符号(secondary synchronization code SSC)セットすなわち“グループ符号”と相関させ受信信号と最も高い相関を有するSSCを検出する第2の同期シーケンス符号検出器420へ入力することができる。次に,検出されたSSCをスクランブリングシーケンス検出器425が使用して検出されたSSCに関連するスクランブリング符号セット内の特定セルスクランブリングシーケンスすなわち“ロングコード”を識別し,同期信号に関連するセルを識別する。次に,このようにして識別されたセルに関連する受信同期信号の評価値を発生し,共通同期シーケンスと相関させ受信信号の相関から減算してタイミング決定およびセル識別をさらに改良することができる。」(23?25頁)

カ.「【0046】
図4の装置400および図5の操作500は,しばしば端末の“アクティブセット”と呼ばれる,端末が現在通信しているセルにサービスしている基地局により送信される同期信号に関連する干渉をキャンセルするのに特に有利であることをお判り願いたい。このようなセルについて,端末は典型的にチャネル特性,使用される特定セルスクランブリングシーケンス,等のより詳細な知識を有する。この情報は,例えば,図4の評価器430により作り出される評価され受信同期信号を構成するのに有利に使用することができる。」(26頁)

キ.「【0047】
図6は本発明のもう1つの実施例に従った典型的なセル識別装置600を例示している。図4の装置400と同様に,図6の装置600も図3のコントローラ360およびトランシーバ370を使用して実現することができる。受信信号は相関器605において共通同期符号,すなわち,WCDMAシステムで使用される1次又は第1の同期符号(PSC又はFSC)のために使用される符号と相関される。このようにして作り出された相関は累算器610内で累算される。ピーク検出器615が既知の同期信号,すなわち,予め識別されているセルに対して送信された同期信号に関連しない累算された相関内のピークを検出する。
【0048】
いくつかの異なる技術をピーク検出器615内で利用して累算された相関内のピークが既知の同期信号に関連しているかどうかを確認することができる。例えば,最初のパスにおいて,予め定められた規準に合致する累算された相関内のピークに対して候補スロット境界を識別することができる。次に,識別された各ピークについてセル識別(例えば,スクランブリング符号検出が続くSSC検出)を実施して候補セルを識別することができる。未知の同期信号から生じるピークは一般的に候補セルに関連するピークロケーションと一致しないため,次に,候補セルに関連するピークロケーションをピーク検出器615内で使用して候補セルに関連しないピークを識別することができる。候補セルに関連するセルは累算器610により累算される連続する相関にわたって緩やかに変化するため,端末はこれらのピークロケーションに関連する既知の同期信号の継続した存在を間欠的に検証してピークロケーションを更新するだけでよい。多数の候補セルおよび対応するピークロケーションに対して,十分に発達したセル識別手順を使用してピークロケーションの選択されたサブセットを間欠的に検証することにより更新手順を能率的とすることができる。
【0049】
さらに,図6について,未知の同期信号に関連するピークをタイミング検出器620,例えば,候補スロット境界を作り出すスロット境界検出器へ入力することができる。候補スロット境界は,例えば,受信信号を2次同期符号(SSC)セットすなわち“グループ符号”と相関させ受信信号と最も高い相関を有するSSCを検出する2次同期符号検出器625により使用される。次に,検出されたSSCはスクランブリング符号検出器630が使用して検出されたSSCに関連するスクランブリング符号セット内のスクランブリング符号(ロングコード)を識別することができる。次に,このようにして識別されたセルはピーク検出器615により実施される干渉キャンセルピーク検出を案内するのに使用することができる。」(26?27頁)

ク.「【0051】
当業者ならば,図6および7に示す識別技術は端末が限定された知識しかない同期信号に関連する干渉をキャンセルするのに特に有利であることがお判りであろう。例えば,装置600および操作700は端末が現在通信していないため情報が限定されているセルにサービスしている基地局により送信される同期信号から干渉をキャンセルするのに有利に使用することができる。図6および7に示すキャンセル技術は図4および5に示す技術と組み合わせることもできる。例えば,図4および5のキャンセル技術は端末がチャネル状態,スクランブリング符号等の詳細知識を有する同期信号に関連する受信信号の相関のコンポーネントをキャンセルするのに使用することができ,図6および7の単純化された技術は端末が限定された知識を有する信号に関連するコンポーネントをキャンセルするのに使用することができる。」(28頁)

上記ア?クの記載及びこの分野における技術常識を考慮すると,
a.上記アの記載によれば,引用例には,ワイヤレス通信システムにおける同期化およびセル探索方法に関する事項が記載されているといえる。

b.上記イの【0014】にあるように,各セル内で同期信号が送信され,端末は当該同期信号に基づいて逆拡散操作を同期化させるタイミング基準を得る,すなわち,同期信号を検知するものであるところ,同【0015】にあるように近隣セルを探索すること,同【0018】にあるように基地局により送信される同期信号は互いに干渉することがあり,そのため特定のセルに関連する特定の同期信号に対するスロット境界を識別するのが困難となることがあることに鑑みれば,端末は,複数の基地局によって送信された同期信号を備える受信信号を得,当該受信信号を処理して,前記複数の基地局からの同期信号を検知していることは明らかである。

c.上記オ及び図4の記載によれば,相関器405で受信信号と同期信号のうちの第1の同期符号(FSC)との相関により同期検出信号を生成し,既知の受信同期信号の評価値の相関に対応するコンポーネントが当該同期検出信号から減算されて,累算器410へ与えられ,累算された相関は,次に,その近くに共通同期符号が送信されるスロット境界に対応することがある累算された相関内のピークを識別するピーク検出器等のタイミング検出器415へ送られ,識別された候補スロット境界は,受信信号を2次同期符号(SSC)セットすなわち“グループ符号”と相関させ受信信号と最も高い相関を有するSSCを検出する第2の同期シーケンス符号検出器420へ入力し,次に,検出されたSSCをスクランブリングシーケンス検出器425が使用して検出されたSSCに関連するスクランブリング符号セット内の特定セルスクランブリングシーケンスすなわち“ロングコード”を識別し,同期信号に関連するセルを識別するものである。そして,図4はフィードバック構成を示しており,受信同期信号評価器430により,上述のようにして識別されたセルに関連する受信同期信号の評価値を発生し,相関器435により,共通同期シーケンスと相関させ,受信信号の相関から減算してタイミング決定およびセル識別をさらに改良することができるものである。
ここで,相関器405による上記処理は,受信信号内の複数の基地局のうちの1または複数からの同期信号のうちの1または複数を検知していることになるから,「前記受信信号内の前記同期信号のうちの1または複数を前記複数のセルのうちの1または複数から検知する」といえる。
また,第2の同期シーケンス符号検出器420及びスクランブリングシーケンス検出器425による上記処理は,累算された相関内のピークに関連したタイミングで同期信号のうちの2次同期符号(SSC)に基づいてセルを識別しているから,「前記1の同期信号に部分的に基づいて1のセルを識別する」といえる
また,上記イの【0018】,ウ,カ,クの記載によれば,受信同期信号評価器430及び相関器435及び減算による上記処理は,他のセルからの干渉をキャンセルするものであるから,「前記1の同期信号に基づいて前記1のセルの干渉を前記同期検出信号から除去する」といえる。
また,上述のように図4はフィードバック構成を示しているところ,上記ウの【0023】の記載によれば,フィードバックが行われる度に順次潜在的に干渉を発生する同期信号に関する知識を増し,この知識は干渉キャンセルプロセスを強化するのに使用されるのであるから,上記一連の処理が順次複数回行われていると解するのが自然であり,各回の処理は複数のステージにおける各ステージということができる。すなわち,「前記受信信号を処理して,前記複数の基地局からの同期信号を検知することは,複数のステージにおいて前記受信信号の同期信号検知および干渉除去を実行することを備え」ているといえる。
なお,最初のステージではフィードバックすべき既知の受信同期信号の評価値は存在しないから,減算はなされないことは明らかである。

したがって,引用例には以下の発明(以下,「引用発明」という。)が記載されていると認める。
「ワイヤレス通信システムにおける同期化およびセル探索方法であって,
前記ワイヤレス通信システムにおいて,複数の基地局によって送信された同期信号を備える受信信号を得ることと,
前記受信信号を処理して,前記複数の基地局からの同期信号を検知することと
を備え,
前記受信信号を処理して,前記複数の基地局からの同期信号を検知することは,複数のステージにおいて前記受信信号の同期信号検知および干渉除去を実行することを備え,前記干渉除去は,各ステージについて,
前記受信信号内の前記同期信号のうちの1または複数を前記複数のセルのうちの1または複数から検知することと,
前記1の同期信号に部分的に基づいて前記1のセルを識別することと,
前記1の同期信号に基づいて前記1のセルの干渉を前記同期検出信号から除去することと
を備える方法。」

(2)文献2,3及び周知文献について
原査定の拒絶の理由に引用された特表2004-511189号公報(以下,「引用例2」という。)及び同特許第3210915号公報(以下,「引用例3」という。)には,それぞれ「多元接続通信システムにおける受信改良方法及び装置」,「直接拡散受信装置」に関し,図面とともに以下の事項が記載されている。

ア.「【請求項1】
多元接続通信システムにおける受信改良方法であって,
(i)送信器から送信される少なくとも1つの干渉信号を決定するステップと,
(ii)前記少なくとも1つの決定された干渉信号の,受信器における受信電力レベルを決定するステップと,
(iii)前記少なくとも1つの決定された干渉信号を,前記受信器で受信される全信号から前記受信電力レベルで差し引くステップと,
(iv)前記差し引くステップの結果から所望の信号を決定するステップと,
を含む,方法。」(引用例2 2頁)

イ.「【0044】
従って,本発明者は1つ以上の隣接する基地局24から受信する識別された又は識別できるチャネルを差し引くことによっても,加入者端末32におけるSN比を向上させることができると判断した。すなわち,加入者端末32が,通常は規則的な所定の間隔で,起動時にSN比に基づいて最も受信状態のよい基地局24を決定するためのオペレーションシーケンスを実行する。本発明の第二実施形態では,加入者端末,例えば加入者端末321は,次に受信状態のよい基地局24c(通常は受信電力レベルが次に高い基地局受信器)を更に決定するために,このオペレーションの取得オペレーションシーケンスを再度実行してもよい。加入者端末321において,次に受信状態のよい基地局である基地局24cから,所定の最小閾値を上回る電力レベルで受信が行われたことが判断されると,加入者端末321は,後述のように,その時点においてサービス提供を受けている基地局24cのSN比を向上させるため,加入者端末321が受信する全信号から,次に受信状態のよい基地局24cから受信する,加入者端末321が識別した信号を差し引く。
【0045】
次に受信状態のよい基地局24cからの送信が所定の閾値を下回る電力レベルで受信される場合,この基地局24cから受信する信号を差し引くために上記ステップを実行するにはあたらないとみなし,これらの信号については判断や差し引きを行わない。次に受信状態のよい基地局24の決定を時々行うのは,受信条件が経時に伴い変化する中で,確実に適切な動作を行うためである。」(引用例2 10?11頁)

ウ.「【0014】まず,パイロットチャンネル等を用いて正確なインパルスレスポンスを推定する。振幅の大きなパスをK個選択し,その値をW(k)(k=1?K)とする。その中で振幅値が最大となるパスPを選択する。1段目の干渉キャンセラには,Rake受信データが入力され,2段目以降の干渉キャンセラには,前段の干渉キャンセラの出力データが入力される。さらに,振幅最大パスP以外の各パスに対する拡散符号とW(k)を用いて各ユーザにおける干渉レプリカを生成する。受信信号から全ユーザの干渉レプリカを差し引いて,パスPに対して逆拡散を行い,全ユーザに対するデータを検出する。すなわち,あらかじめW(k)を推定し,電波伝搬の情報は推定後固定する。
(中略)
【0016】このW-CDMAは,フレーム内にパイロットシンボル区間を有するDS-CDMAシステムである。パワーの大きなユーザから1ユーザずつ順次,干渉をキャンセルして行く。ここで,ある1つのユーザのチャンネル推定・干渉生成ユニットは,複数のマルチパス毎に逆拡散した信号をRake合成してデータ判定を行い,この判定データから各マルチパスの拡散信号を推定して干渉レプリカを生成し,受信された逆拡散信号から干渉レプリカをキャンセルして上述したチャンネル推定・干渉生成ユニットに入力している。」(引用例3 7頁13?14欄)

上記ア?ウの記載からみて,「受信信号から受信強度が2番目に大きい信号を順番に除去して干渉除去処理を行うこと」は周知であると認められる(以下,「周知技術1」という。)。

また,上記ウの記載及び引用例3の図14,図17の記載並びに原査定の拒絶査定時に例示されたAkhmad Unggul Priantoro et al.,W-CDMA下りリンク直交多重チャネルにおけるマルチパス干渉キャンセラ,電子情報通信学会技術研究報告,2001年1月12日,Vol.100, No.558,pp.27-33,RCS2000-195(以下,「周知文献」という。)の図2?4の記載及び技術常識からみて,「干渉除去処理をマルチステージ構成で行うこと」は周知であると認められる(以下,「周知技術2」という。)。

(3)文献4について
原査定の拒絶の理由に引用された特開2004-112094号公報(以下,「引用例4」という。)には,「移動局装置及びセルサーチ制御方法」に関し,図面とともに以下の事項が記載されている。

「【請求項1】
検出済みの基地局が通信可能か否か判定する判定手段と,通信可能な基地局の数を計る計数手段と,通信可能な検出済みの基地局が待ち受け時に必要な所定の数未満である場合に検出していない基地局を探す通常のセルサーチを行い,かつ,通信可能な検出済みの基地局が待ち受け時に必要な所定の数以上である場合に前記セルサーチを行わないセルサーチ手段と,を具備することを特徴とする移動局装置。
【請求項2】
基地局から送信された信号の拡散コードと拡散タイミングを検出する検出手段と,前記拡散コードと前記拡散タイミングを記憶する記憶手段と,前記拡散コードと前記拡散タイミングを用いて受信信号の遅延プロファイルを作成する遅延プロファイル計算手段と,前記遅延プロファイルから受信品質を測定するレベル測定手段と,を具備し,前記判定手段は,前記受信品質が所定のレベル以上である場合に基地局と通信可能であると判定することを特徴とする請求項1に記載の移動局装置。
【請求項3】
検出済みの基地局が通信可能か否か判定し,通信可能な基地局の数を計り,通信可能な検出済みの基地局が待ち受け時に必要な所定の数未満である場合に検出していない基地局を探す通常のセルサーチを行い,通信可能な検出済みの基地局が待ち受け時に必要な所定の数以上である場合に前記セルサーチを行わないことを特徴とするセルサーチ制御方法。」(2頁)

上記記載及び技術常識からみて,「通信可能な検出済みの基地局が待ち受け時に必要な所定の数以上である場合に前記セルサーチを行わない」ことは周知であると認められる(以下,「周知技術3」という。)。

(4)文献5について
原査定の拒絶の理由に引用された特開2004-48307号公報(以下,「引用例5」という。)には,「位置測定方法,およびそれに用いる端末装置およびサーバー」に関し,図面とともに以下の事項が記載されている。

「【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は,受信信号の遅延プロファイルの作成に基づいた無線位置測定方法において,基地局の位置と,各セクタを形成する該基地局の各アンテナの向きとに基づいて,位置測定に用いる基地局のセクタに対する送信符号を選択することを特徴とする。
具体的には,複数のアンテナから送信される信号を端末で受信し,受信信号に基づいて端末の位置を測定する位置測定方法において,アンテナの位置と向きとに基づいて,位置を測定するための信号の送信元となるアンテナを選択することを特徴とする。
位置測定の手法としては,例えば,受信信号の遅延プロファイルを作成し,遅延プロファイルに基づいて端末の位置を測定する手法がある。また,受信信号の受信電力を測定し,受信電力値に基づいて端末の位置を測定する手法がある。」(4頁)

上記記載及び技術常識からみて,「受信タイミング情報に基いて位置情報を測定すること」ことは周知であると認められる(以下,「周知技術4」という。)。

(5)文献6について
原査定の拒絶の理由に引用された国際公開第2007/060093号(以下,「引用例6」という。)には,「CELLULAR COMMUNICATION SYSTEM AND METHOD FOR BROADCAST COMMUNICATION」([当審仮訳]:ブロードキャスト通信用のセルラ通信システム及び方法)に関し,図面とともに以下の事項が記載されている。

「The common cell-ID 215 in FIG. 2 is used in contrast to the known use of a single cell-ID re-use pattern 220 for uni-cast timeslots 225.(中略)
If uni-cast and broadcast transmissions are segregated into different timeslots, in an UTRA-TDD network as shown in the left hand side of FIG. 2, then a common cell parameter ID (denoted 'J' ) may be used across the network for all broadcast timeslots. This is in contrast to a 'conventional' uni-cast single cell parameter ID reuse plan (for example using seven cell parameter IDs denoted I1, I2, ..., I7 ) 225, as shown in the second cell configuration 220 of FIG. 2. 」(19頁)
([当審仮訳]:
ユニキャストタイムスロット225の単一セルIDの再利用パターン220の既知の使用とは対照的に,図2の共通セルID215が使用される。(中略)
図2の左側に示されるUTRA-TDDネットワークで,ユニキャスト及びブロードキャスト送信が異なるタイムスロットに分離される場合,共通セルパラメータID(‘J’で示す)が,全てのブロードキャストタイムスロットにネットワークを通じて使用されてもよい。これは,図2の第2のセル構成220に示される(例えば,I1,I2,...,I7で示される7つのセルパラメータIDを使用する)‘従来の’ユニキャストの単一セルパラメータIDの再利用計画225とは対照的である。)

上記記載及び図2の記載並びに技術常識からみて,「セルIDを複数のセルにおいて再利用すること」ことは周知であると認められる(以下,「周知技術5」という。)。


3.対比・判断
本願発明は,「1または複数のパイロット」,「1または複数のセル」のように択一的な記載をしており,これは少なくとも「1のパイロット」及び「1のセル」とする発明と「複数のパイロット」及び「複数のセル」とする発明の双方を含むものであるが,前者の発明に関して対比・判断するものとする。

本願発明と引用発明とを対比すると,
引用発明のワイヤレス通信システムは,引用例の【0003】(上記2.(1)ア参照。)のとおりセルラー網を構成するものであるから,「無線通信ネットワーク」といえる。
また,引用発明の「セル探索」は,セルを識別しているのであるから,本願発明の「セルを検知する」ことと表現が異なるのみであって実質的な相違はない。
また,本願明細書の【0009】の記載に照らせば,本願発明の「セル」はカバレッジ・エリアにサービス提供している基地局をも意味するから,引用発明の「基地局」は本願発明の「セル」と表現が異なるのみであって実質的な相違はない。
また,本願明細書の【0013】の記載に照らせば,本願発明の「パイロット」は,セル検知,時間同期,チャネル推定等のために使用されるものであり,一方,引用発明の「同期信号」は,同期及びセル探索のために使用されるものであるところ,引用例の【0014】,【0029】(上記2.(1)イ,エ参照。)のとおりパイロットチャネルを介して送信されるものであることにも鑑みれば,引用発明の「同期信号」は本願発明の「パイロット」に相当する。
以上のとおりであるから,本願発明の「前記1または複数のパイロットに基づいて前記1または複数のセルの干渉を前記受信信号から除去すること」と,引用発明の「前記同期信号に基づいて前記1のセルの干渉を前記同期検出信号から除去すること」とは,以下の相違点1,2は別として,「前記1のパイロットに基づいて前記1のセルの干渉を除去すること」の点で一致している。

したがって,本願発明と引用発明は,以下の点で一致ないし相違している。
(一致点)
「無線通信ネットワークにおいて,セルを検知する方法であって,
前記無線通信ネットワークにおいて,複数のセルによって送信されたパイロットを備える受信信号を得ることと,
前記受信信号を処理して,前記複数のセルからのパイロットを検知することと
を備え,
前記受信信号を処理して,複数のセルからのパイロットを検知することは,複数のステージにおいて前記受信信号のパイロット検知および干渉除去を実行することを備え,各ステージについて,
前記受信信号内の前記パイロットのうちの1または複数を前記複数のセルのうちの1または複数から検知することと,
前記1のパイロットに部分的に基づいて前記1のセルを識別することと,
前記1のパイロットに基づいて前記1のセルの干渉を除去することと
を備える方法。」

(相違点1)
本願発明の干渉除去は,「前記検知されるセルの数を向上させ」るものであるのに対し,引用発明は当該事項が明らかにされていない点。

(相違点2)
「前記1のパイロットに基づいて前記1のセルの干渉を除去すること」に関して,本願発明は「前記1のパイロットに基づいて前記1のセルの干渉を前記受信信号から除去すること」であるのに対し,引用発明は「前記同期信号に基づいて前記1のセルの干渉を前記同期検出信号から除去すること」である点。

以下,上記各相違点について検討する。
(相違点1について)
引用発明は,引用例の【0046】,【0051】(上記2.(1)カ,ク参照。)の記載に照らせば,端末が現在通信していないため情報が限定されているセルにサービスしている基地局により送信される同期信号(すなわち,通常,当該基地局は端末から遠く,受信強度が低いため干渉の影響を受けやすい。)から,端末が現在通信しているセルにサービスしている基地局により送信される同期信号(すなわち,通常,当該基地局は端末に近く,受信強度が高いため干渉を与えやすい。)に関連する干渉をキャンセルする
ものといえる。
しかし,引用例の【0018】,【0023】(上記2.(1)イ,ウ参照。)の記載によれば,引用発明は,基地局により送信される同期信号が互いに干渉することにより特定のセルに関連する特定の同期信号に対するスロット境界を識別するのが困難となることがあるので,既知の同期信号に関連する信号コンポーネントをキャンセルすることにより所望の同期信号のスロット境界を検出するのを助けてセル探索プロセスの速度を速めることができるようにするものである。すなわち,できるだけ多くのセルを検知することを意図したものではない。
そして,引用例の【0014】,【0048】(上記2.(1)イ,キ参照。)の記載に照らせば,引用発明は,各タイミングオフセットが各セル内に適用され,ある基地局からの同期信号から生じるピークは一般的に他の基地局に関連するピークロケーションと一致しないワイヤレス通信システムを前提としたものであり,また,セルを識別する際に2次同期符号(SSC)及びスクランブリングシーケンスと相関させる受信信号は,干渉を除去されたものではないから,当該前提が無い場合にはセルの識別に際して干渉が除去されない可能性があり,必ずしも検知されるセルの数を向上させ得るとはいえない。

(相違点2について)
周知技術1のとおり,「受信信号から受信強度2番目に大きい信号を順番に除去して干渉除去処理を行うこと」は周知であるといえる。しかし,上記「(相違点1について)」において述べたように,引用発明は,できるだけ多くのセルを検知することを課題とするものではなく,各タイミングオフセットが各セル内に適用され,ある基地局からの同期信号から生じるピークは一般的に他の基地局に関連するピークロケーションと一致しないワイヤレス通信システムを前提として,スロット境界を検出するのを助けてセル探索プロセスの速度を速めることができるようにすることを課題とするものである。そして,引用例の【0047】?【0049】(上記2.(1)キ参照。)及び図6の記載に照らせば,引用発明の上記課題を解決するためには,累積器の出力の各ピークのタイミングで受信信号と2次同期符号(SSC)及びスクランブリングシーケンスと相関させれば十分であるから,「前記同期信号に基づいて前記1のセルの干渉を前記同期検出信号から除去すること」に代えて「前記1のパイロットに基づいて前記1のセルの干渉を前記受信信号から除去すること」とする動機付けは見当たらない。
したがって,引用発明において「前記1のパイロットに基づいて前記1のセルの干渉を前記受信信号から除去すること」とすることが容易になし得たとはいえない。

また,周知技術2?5を参酌しても,相違点1,2を容易になし得たということはできない。

そして,本願発明は,「前記1のパイロットに基づいて前記1のセルの干渉を前記受信信号から除去すること」により「検知されるセルの数を向上させ」るという,引用発明にはない格別な作用効果を奏するものである。

したがって,本願発明は,引用発明及び周知技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。

また,平成24年10月30日付け手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項2?12に係る発明は本願発明を引用する発明であり,また,同請求項13,17,21に係る発明は本願発明を異なるカテゴリーとして表現した発明であり,同請求項14?16,18?20,22に係る発明はそれぞれ請求項13,17,21に係る発明を引用する発明であるから,同様に,引用発明及び周知技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。


4.むすび
以上のとおり,本願については,原査定の拒絶理由を検討してもその理由によって拒絶すべきものとすることはできない。
また,他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。

よって,結論のとおり審決する。
 
審決日 2014-01-14 
出願番号 特願2011-521373(P2011-521373)
審決分類 P 1 8・ 121- WY (H04J)
最終処分 成立  
前審関与審査官 岡 裕之  
特許庁審判長 菅原 道晴
特許庁審判官 藤井 浩
新川 圭二
発明の名称 干渉除去を用いたセル検知  
代理人 砂川 克  
代理人 野河 信久  
代理人 井関 守三  
代理人 井上 正  
代理人 岡田 貴志  
代理人 幸長 保次郎  
代理人 福原 淑弘  
代理人 堀内 美保子  
代理人 赤穂 隆雄  
代理人 河野 直樹  
代理人 白根 俊郎  
代理人 峰 隆司  
代理人 竹内 将訓  
代理人 蔵田 昌俊  
代理人 佐藤 立志  
代理人 中村 誠  

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