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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 H04M |
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管理番号 | 1283675 |
審判番号 | 不服2011-7951 |
総通号数 | 171 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2014-03-28 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2011-04-14 |
確定日 | 2014-01-31 |
事件の表示 | 特願2006-554014「加入者基盤のリングバックトーンサービスにおける個人情報送出方法」拒絶査定不服審判事件〔平成17年 9月 1日国際公開、WO2005/081509、平成19年 8月16日国内公表、特表2007-523557〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
1.手続の経緯・本願発明 本願は、2004年10月20日(パリ条約による優先権主張外国庁受理2004年2月20日、大韓民国)を国際出願日とする出願であって、原審において平成22年12月10日付けで拒絶査定され、平成23年4月14日に審判請求がなされたものであるところ、 本件出願の請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、平成22年8月31日付けで補正された特許請求の範囲、明細書および図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1に記載された次のとおりのものである。(以下「本願発明」という。) (本願発明) 「 【請求項1】 着信端末機の着信交換機への登録の際、ホーム位置登録機から上記着信交換機に、上記ホーム位置登録機に既に設定されているリングバックトーン代替有無に関する第1の情報、及び音源提供手段へのルーティングのための第2の情報を提供する段階; 発信端末機が上記着信端末機との通話を要請する場合、上記着信交換機から上記第1及び第2の情報に従って上記音源提供手段に呼接続を要請する段階;及び 呼接続の要請を受信する場合、上記音源提供手段が上記発信端末機に呼接続し、上記着信端末機に対応して設定された特定音源を検出し、検出された特定音源を上記発信端末機に提供する段階;を含み、 上記特定音源は、着信加入者を識別させるか特徴を表すことができる特定情報に関する個人情報音源と、上記着信加入者により設定されたリングバックトーン共通代替音源との組み合わせから生成されており、個人情報音源及び一般のリングバックトーンの順、個人情報音源、代替音源及び個人情報音源の順、代替音源、個人情報音源及び代替音源の順、 個人情報音源、第1代替音源、第2代替音源及び個人情報音源の順、第1個人情報音源、第1代替音源、第2個人情報音源及び第2代替音源の順、並びに、第1代替音源、第1個人情報音源、第2代替音源及び第2個人情報音源の順のうちの1つ以上を含むように、順次配列されていることを特徴とする加入者基盤のリングバックトーンサービスにおける個人情報送出方法。」 2.引用例に記載された発明 2.1 引用例1 原査定の拒絶の理由に引用された刊行物である特開2003-283660号公報(以下、「引用例1」という。)には、「リングバック・トーンサウンドの提供方法及びリングバック・トーンサウンドの提供装置」として図面と共に次の記載がある。 イ.「【請求項1】 通信網におけるリングバック・トーンサウンドの提供方法であって,既設定されたリングバック・トーンの代替可否に対する第1情報と,音源提供手段でルーティングするための第2情報とを,そのホーム位置登録器から,呼が着信した交換機に提供する第1段階と;前記着信交換機において,前記提供された第1情報及び前記第2情報に基づいて,前記呼の発信者にリングバック・トーンを提供し,または,前記音源提供手段にトランク呼接続を要請して着信加入者識別情報を提供する第2段階と;前記音源提供手段において,前記着信加入者に対して既指定された音源を探索して,その探索された音源をリングバック・トーンの代わりにトランク呼接続された前記着信交換機を通して前記発信者に提供する第3段階と;を含んで構成されることを特徴とする,リングバック・トーンサウンドの提供方法。」(2頁1欄) ロ.「【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は,着信加入者が所望する特定サウンドを発信者にリングバック・トーン(Ring Back Tone)で提供する,加入者基盤のリングバック・トーンサウンドの提供方法及び提供装置に関する。 【0002】 【従来の技術】一般的に,従来の移動通信網において発信者が電話通話を試みた場合,着信加入者の交換機は画一的なリングバック・トーンサウンドを発信者に聞かせる方式を採択している。 【0003】 【発明が解決しようとする課題】このような従来のリングバック・トーンサウンド方式は,画一的で同一のトーンを提供するので,着信者が応答するまでは発信者が誤接続の有無を判断できず,また,ユーザーの特性に符合する多様なリングバック・トーンサウンドの代替サービスが提供できない問題があった。 【0004】一方,最近になって上記のような画一的なリングバック・トーンサウンドの代わりに,多様な広告音を聞かせる方法が提案された。しかしこれも,加入者の選択権はなく,一方的に通信網事業者が選択した特定広告音を発信者に聞かせて,以後所定時間無料で通話させる方式である。このため,着信者が応答するまでは発信者が誤接続の有無を判断することができない。また,ユーザーの特性に符合する多様なリングバック・トーンサウンドサービスを提供できない問題があった。 【0005】本発明は上記のような従来の問題点を解決するために創作されたものであり,その目的は,加入者が登録または選択した特定音またはサウンドを別途のサーバに貯蔵しておいて,呼が発生すれば着信交換機がこのサーバと通信し,着信加入者が指定した特定音またはサウンドを受信してこれを既存のリングバック・トーンサウンドの代わりに発信者に提供する,加入者基盤のリングバック・トーンサウンドサービスの提供方法及び提供装置を提供することにある。」(3頁3欄) ハ.「【0009】図1は,本発明の一実施の形態による加入者基盤のリングバック・トーンサウンドの提供装置のブロック構成図である。 【0010】図1を見れば,本実施の形態の装置は,ホーム位置登録器(HLR)10と;シグナリングトランスファプロトコル(Signalling Transfer Protocol:STP)基盤のNo.7網20を媒介にして,ホーム位置登録器(HLR)10と通信する交換機(O_MSC/VLR,T_MSC/VLR)31,32と;No.7網20に連結されてゲートウェイ40を媒介にして交換機31,32と通信する,音源提供装置(Intelligent Peripheral:IP)50と;インターネット網60を媒介にして音源提供装置50とデータ通信する,音源提供制御サーバ(IP Server)70と;インターネット網60を媒介にしてホーム位置登録器10と連結された,加入者貯蔵データベース80と;ゲートウェイ90を媒介にしてインターネット網60に連結されて音源提供装置50及び音源提供制御サーバ70と通信する,ウェブサーバ(Web Server)100で構成されている。 【0011】ホーム位置登録器10は,既存の網構成要素としての機能を有する。そして,リングバック・トーンの代替可否に対する第1情報と,音源提供装置50にルーティングするための第2情報を,着信加入者に対するプロファイル情報として既設定して有している機能が追加される。これらの情報は,着信加入者プロファイルの付加サービス加入情報として設定貯蔵されている。 【0012】交換機31,32は,既存の網構成要素としての機能を有する。そして,着信加入者の位置登録時に,ホーム位置登録器10と通信して既設定された第1情報及び第2情報を受信して貯蔵し,着信加入者の呼接続要請時に貯蔵された第1情報及び第2情報に基づいた音源提供装置50との通信で,リングバック・トーンの代わりの音源,例えば,特定サウンドまたはオーディオデータを受信し,その受信された音源をその発信者にリングバック・トーンの代替音として提供する特徴をさらに有する。 【0013】音源提供装置50は,各種音源を貯蔵して備え,ゲートウェイ40を媒介にして交換機31,32と接続され,通信して貯蔵した音源を,その交換機31,32側に提供する特徴を有する。 【0014】(・・・中略・・・) 【0015】(・・・中略・・・) 【0016】次に,図1の動作を説明する。特定音源送出サービスを利用しようとする着信加入者が,自身が属する事業者に申請すれば,加入者貯蔵データベース80に登録され,その加入者貯蔵データベース80で網内要素であるホーム位置登録器10にサービス登録される。そのホーム位置登録器10は,自身の加入者データベースにそのサービスを設定し,そのホーム位置登録器10で現在サービス中である交換機(Serving交換機)31または32に,位置登録手続き発生時に,サービス情報及び音源提供装置(IP)50にトランク呼を設定できるルーティングデータを伝送する。交換機32は,その加入者サービスデータに伝達を受けたサービス情報及びルーティングデータを設定する。 【0017】任意の発信加入者が着信加入者に呼設定を要請すれば,ホーム位置登録器10を通したルーティング情報交換により,発信交換機31と着信交換機32間にトランクISUP呼接続がなされる。着信交換機32は,発信交換機31とトランク呼接続になれば,設定されたサービス情報に基づいて特定音源送出サービスが設定されていることを感知する。そして,ルーティングデータを利用して音源提供装置50にトランク呼接続と同時に着信加入者に,情報,例えば電話番号などを提供する。そして,同時に着信加入者には着信呼が流入したというページングを試みる。音源提供装置50は,音源提供制御サーバ70と連動して,その加入者がいかなる音源を設定したかを質疑する。そして,音源提供制御サーバ70は,加入者が特定した音源に対するコードを,音源提供装置50に搬送する。 【0018】音源提供装置50は,そのコードに対する音源を,既存のリングバック・トーンの代わりに,着信交換機32を通して発信交換機31まで設定されたトランク呼を通して送出する。そして,発信加入者に着信加入者が呼応答するまで,音源を聴取できるようにする。着信加入者が着信呼を受信すれば,着信交換機32は,音源提供装置50に設定されていたトランク呼経路を切断して,着信加入者と発信加入者間の通話データは,既接続されたトランク呼を通して送受信する。」(3頁4欄?4頁6欄) ニ.「【0032】図5は,図2,及び/または,図3の手続きが完了した後に遂行される,本実施の形態による加入者基盤のリングバック・トーンサウンドの提供方法の手続きを示した流れ図である。 【0033】まず,任意の発信者が本実施の形態のサービス加入者(以後,「着信加入者」と称する)に電話して呼接続を要請すれば,その発信交換機31は,S501で,ホーム位置登録器10に着信位置情報を要請する(Location Request)(S501)。 【0034】ホーム位置登録器10は,S502で,この要請によって着信交換機32にルーティング情報を要請する(Routing Request)(S502)。これにより,着信交換機32は,S503で,ホーム位置登録器10にルーティング情報(すなわち,TLDN:Temporary Local Directory Number)を提供して応答する(S503)。 【0035】ホーム位置登録器10は,S504で,ルーティング情報を発信交換機31に伝送して,S501に応答する(S504)。これにより,発信交換機31は,S505で,ルーティング情報に基づいて,着信交換機32にトランクISUP呼接続を要請して,相互通話路を形成する(S505)。 【0036】続いて,着信交換機32は,自身に貯蔵された本実施の形態のサービス設定情報(図2の,S208-2から受けて貯蔵された,図6のSRBTフィールド)を見た後,そのSRBTフィールドが'11'に表示されていれば,着信者がリングバック・トーンサウンドの提供サービスの加入者であってサービス活性化状態であることを認知する。そして,S506で,図2のS208-2から受けて貯蔵されたルーティング情報に基づいて,音源提供装置50にISUP呼接続を要請し,相互通話路を形成し,このとき着信者電話番号及び発信者電話番号も一緒に提供する(S506)。このような過程期間に,発信交換機31は通常のリングバック・トーンを送出しない。 【0037】上記の結果,発信交換機31,着信交換機32,及び音源提供装置50は,通話路が形成された状態である。 【0038】着信者電話番号外に発信者電話番号も音源提供装置50に提供する理由は,発信者別または発信者グループ別に相異なった音源をリングバック・トーンサウンドとして提供することができるようにするためである。 【0039】音源提供装置50は,S507で,提供を受けた着信電話番号と発信電話番号(発信電話番号も一緒に受信される場合)情報に基づいて,音源提供制御サーバ70に音源コードを要請する(S507)。そして,S508で,音源提供制御サーバ70は,要請によって提供を受けた着信電話番号に,または,着信及び発信電話番号に連係して(着信番号も一緒に受信される場合),指定された音源コードを探索してその探索された音源コードを音源提供装置50に伝達して,S507に応答する(S508)。そして,S509で,音源提供装置50は,伝達を受けた音源コードに該当する代替音を,リングバック・トーンサウンドにして,形成された通話路(音源提供装置50と着信交換機32間に形成されたトランク呼,及び,着信交換機32と発信交換機31間に形成されたトランク呼)を通して発信者にリングバック・トーンサウンドとして伝送する(S509)。」(6頁9?10欄) ホ.「【0044】 【発明の効果】上記に詳細に説明された本発明による加入者基盤のリングバック・トーンサウンドの提供方法及び提供装置によると,着信加入者自身が所望する音源をネットワーク上に登録したり,選択して,自身の広告を出すことができる個人PRサービス手段を提供して,発信者は呼要請後に聞こえるリングバック・トーンサウンドによって,着信加入者を正しく知ることができ,誤った着信者指定を予め知ることができる。また,企業体等の着信加入者もリングバック・トーンサウンドを通して,自身の会社を広告を出すことができる効果的な広告手段が提供できる。」(7頁11欄) 上記引用例1の記載及び関連する図面ならびにこの分野における技術常識を考慮すると、 引用例1記載の「リングバック・トーンサウンドの提供方法」は、上記ロ.【0001】ほかにあるように「加入者基盤」の方法であって、上記イ.にあるように、 「既設定されたリングバック・トーンの代替可否に対する第1情報と,音源提供手段でルーティングするための第2情報とを,そのホーム位置登録器から,呼が着信した交換機に提供する第1段階」と、 「前記着信交換機において,前記提供された第1情報及び前記第2情報に基づいて,前記呼の発信者にリングバック・トーンを提供し,または,前記音源提供手段にトランク呼接続を要請して着信加入者識別情報を提供する第2段階」と、 「前記音源提供手段において,前記着信加入者に対して既指定された音源を探索して,その探索された音源をリングバック・トーンの代わりにトランク呼接続された前記着信交換機を通して前記発信者に提供する第3段階」を含む方法である。 したがって、上記引用例1には以下の発明(以下、「引用発明1」という。)が開示されている。 (引用発明1) 「 既設定されたリングバック・トーンの代替可否に対する第1情報と,音源提供手段でルーティングするための第2情報とを,そのホーム位置登録器から,呼が着信した交換機に提供する第1段階と、 前記着信交換機において,前記提供された第1情報及び前記第2情報に基づいて,前記呼の発信者にリングバック・トーンを提供し,または,前記音源提供手段にトランク呼接続を要請して着信加入者識別情報を提供する第2段階と、 前記音源提供手段において,前記着信加入者に対して既指定された音源を探索して,その探索された音源をリングバック・トーンの代わりにトランク呼接続された前記着信交換機を通して前記発信者に提供する第3段階を含む 加入者基盤のリングバック・トーンサウンドの提供方法」 2.2 引用例2 原査定の拒絶の理由に引用された刊行物である韓国登録実用新案第20-0313671号公報(以下、「引用例2」という。)には、「 」(邦訳:ユーザ情報を提供する音声と背景音楽が合成されたリングバックトーンの発生システム)として、図面と共に次の記載がある。 ヘ.「 」(3頁1?12行) (ヘ.邦訳: ■技術的課題 上記のような問題点を解消するため、本考案の目的は、現在の移動通信事業者が提供する背景音楽のリングバックトーンのほかに、受信者の移動通信端末の電話番号と受信者の名前、別名、または商号などの受信者情報を背景音楽と一緒に電話をかけた発信者に聞かせるようにすることで、発信者が誰に電話をかけているかを正確に案内するようにして、誤った通話を事前に防止しようとするところにある また、リングバックトーンで送出される受信者の情報を移動通信端末のユーザが直接指定できるようにすることで、自分の個性を表現したり、広報することができる通話便利を向上するための移動体通信付加価値サービスの方法を提供することができる。 ■考案の構成と作用 上記のような目的を達成するための本考案は、ユーザがリングバックトーンで送出されるユーザ情報を入力して、上記のユーザ情報混合背景音楽を選択したユーザ情報の入力や背景音楽を選択する手順、入力されたユーザ情報と、上記の背景音楽を合成してリングバックトーンデータを生成するリングバックトーン作成手順、生成された上記リングバックトーンデータが移動体通信交換網を介して電話発信者の移動通信端末機に伝送されるリングバックトーン送出手順、を含んで構成されたことを特徴とする。) 上記引用例2の記載及び関連する図面ならびにこの分野における技術常識を考慮すると、引用例2には以下の発明(以下、「引用発明2」という。)が開示されている。 (引用発明2) 「ユーザ情報を提供する音声と背景音楽が合成されたリングバックトーンの発生システム」 3.対比・判断 本願発明と引用発明1とを対比する。 まず、引用発明1の「既設定されたリングバック・トーンの代替可否に対する第1情報と,音源提供手段でルーティングするための第2情報とを,そのホーム位置登録器から,呼が着信した交換機に提供する第1段階」を、本願発明の「着信端末機の着信交換機への登録の際、ホーム位置登録機から上記着信交換機に、上記ホーム位置登録機に既に設定されているリングバックトーン代替有無に関する第1の情報、及び音源提供手段へのルーティングのための第2の情報を提供する段階」と対比すると、 引用発明1の「既設定された」とは、本願発明の「既に設定されている」であり、 引用発明1の「リングバック・トーンの代替可否に対する第1情報」とは、本願発明の「リングバックトーン代替有無に関する第1の情報」に相当し、 引用発明1の「音源提供手段でルーティングするための第2情報」とは、引用例の上記ハ.【0011】の「音源提供装置50にルーティングするための第2情報」との記載などを参照すれば、本願発明の「音源提供手段へのルーティングのための第2の情報」にあたり、 引用発明1の「ホーム位置登録器」とは、本願発明の「ホーム位置登録機」であり、 引用発明1の「呼が着信した交換機」とは、本願発明の「着信交換機」であり、 引用例の上記ハ.【0012】の「着信加入者の位置登録時に」の記載などを参照すれば、引用発明1の「第1段階」は、「着信加入者」(当然に「着信端末機」の所有者である)が、「交換機32」(着信交換機)へ登録する際の段階であるから、「着信端末機の着信交換機への登録の際、」の段階である点で本願発明と一致する。 また、引用発明1の「前記着信交換機において,前記提供された第1情報及び前記第2情報に基づいて,前記呼の発信者にリングバック・トーンを提供し,または,前記音源提供手段にトランク呼接続を要請して着信加入者識別情報を提供する第2段階」を、本願発明の「発信端末機が上記着信端末機との通話を要請する場合、上記着信交換機から上記第1及び第2の情報に従って上記音源提供手段に呼接続を要請する段階」と対比すると、 引用発明1は「前記着信交換機において,前記提供された第1情報及び前記第2情報に基づいて」、「前記音源提供手段にトランク呼接続を要請」するのであるから、本願発明の「上記着信交換機から上記第1及び第2の情報に従って上記音源提供手段に呼接続を要請」するの点で一致し、 引用例の上記ニ.【0033】の「任意の発信者が本実施の形態のサービス加入者(以後,「着信加入者」と称する)に電話して呼接続を要請すれば」との記載を参照すれば、引用発明1の「第2段階」は、「発信者」(発信端末機)が「着信加入者」(着信端末機)に「電話して呼接続を要請」(通話を要請)する場合の段階であり、「発信端末機が上記着信端末機との通話を要請する場合」の点で本願発明と一致する。 また、引用発明1の「前記音源提供手段において,前記着信加入者に対して既指定された音源を探索して,その探索された音源をリングバック・トーンの代わりにトランク呼接続された前記着信交換機を通して前記発信者に提供する第3段階」を、本願発明の「呼接続の要請を受信する場合、上記音源提供手段が上記発信端末機に呼接続し、上記着信端末機に対応して設定された特定音源を検出し、検出された特定音源を上記発信端末機に提供する段階」と対比すると、 引用発明1の「音源提供手段」は,(探索された音源を)「トランク呼接続された前記着信交換機を通して前記発信者に提供する」のであるから、「発信者」(発信端末機)に「呼接続」しており、 「前記着信加入者に対して既指定された音源を探索して,その探索された音源」を「発信者に提供する」のであるから、 「特定」音源の点を除き、「上記着信端末機に対応して設定された音源を検出し、検出された音源を上記発信端末機に提供する」点で本願発明と一致しており、 このような音源の「検出」、「提供」が、上記音源提供手段が「呼接続の要請を受信する場合、」に行われるのは、前段階までの認定を踏まえれば当然のことである。 そして、引用発明1の「加入者基盤のリングバック・トーンサウンドの提供方法」は、引用例の上記ロ.【0005】末尾にあるように、「加入者基盤のリングバックトーンサービス」における方法であり、当該「サウンド」(音源)は「音源提供手段」から送出されている情報であるから、「情報送出方法」である。 したがって、本願発明と引用発明1とは、以下の点で一致し、また相違する。 (一致点) 「 着信端末機の着信交換機への登録の際、ホーム位置登録機から上記着信交換機に、上記ホーム位置登録機に既に設定されているリングバックトーン代替有無に関する第1の情報、及び音源提供手段へのルーティングのための第2の情報を提供する段階; 発信端末機が上記着信端末機との通話を要請する場合、上記着信交換機から上記第1及び第2の情報に従って上記音源提供手段に呼接続を要請する段階;及び 呼接続の要請を受信する場合、上記音源提供手段が上記発信端末機に呼接続し、上記着信端末機に対応して設定された音源を検出し、検出された音源を上記発信端末機に提供する段階;を含む 加入者基盤のリングバックトーンサービスにおける情報送出方法。」 (相違点) (1)「音源」に関し、本願発明は「特定音源」であって、「上記特定音源は、着信加入者を識別させるか特徴を表すことができる特定情報に関する個人情報音源と、上記着信加入者により設定されたリングバックトーン共通代替音源との組み合わせから生成されており、個人情報音源及び一般のリングバックトーンの順、個人情報音源、代替音源及び個人情報音源の順、代替音源、個人情報音源及び代替音源の順、個人情報音源、第1代替音源、第2代替音源及び個人情報音源の順、第1個人情報音源、第1代替音源、第2個人情報音源及び第2代替音源の順、並びに、第1代替音源、第1個人情報音源、第2代替音源及び第2個人情報音源の順のうちの1つ以上を含むように、順次配列されている」のに対し、引用発明1は単に「音源」である点。 (2)「情報送出方法」の点に関し、本願発明は「個人情報送出方法」であるのに対し、引用発明1は「個人情報」であるか不明な点。 まず、上記相違点(1)の「特定音源」に関し検討するに、 上記2.2で引用発明2として認定したように、「ユーザ情報を提供する音声と背景音楽が合成されたリングバックトーンの発生システム」は公知のものであり、これを引用発明1のリングバックトーンサービスに適用するのに、特段の阻害要因はない。 引用発明2の「ユーザ情報を提供する音声」の「ユーザ情報」とは、上記ヘ.によれば例えば「受信者の移動通信端末の電話番号と受信者の名前、別名」であるから、「着信加入者を識別させるか特徴を表すことができる特定情報」であり、そのような個人を識別する情報を提供する音声は「個人情報音源」ということができる。 また、引用発明2の「背景音楽」は、引用例2の上記ヘ.によれば「移動通信事業者が提供する背景音楽のリングバックトーン」であるから「リングバックトーン」として共通する音源であり、 上記ヘ.後段にはユーザが「背景音楽を選択する」ともあるから、「着信加入者により設定されたリングバックトーン共通代替音源」ということができる。 そして、引用発明2の「リングバックトーン」は、これら2つの音源を合成して発生するのであるから、「組み合わせ」から生成されており、これを「特定音源」と称するのは適宜のことであって、その2つの音源の配列の順は当業者であれば必要に応じ適宜に定め得る設計的事項というほかはない。 したがって、「特定音源」に関する相違点(1)は、引用発明1に引用発明2を適用することにより、当業者であれば容易になし得たことであって、格別のことではない。 ついで、相違点(2)の「個人情報送出方法」の点について検討する。 上記相違点(1)についての判断において言及したように、引用発明2の発生する「リングバックトーン」は、「ユーザ情報を提供する音声」(個人情報音源)から合成されるから、引用発明1に引用発明2を適用した構成において送出される「リングバックトーン」には「個人情報」が含まれるものであり、これを「個人情報送出方法」ということができる。 したがって、相違点(2)も格別のことではない。 そして、本願発明の効果も引用発明1、2から当業者が予測し得る範囲のものである。 4.むすび 以上のとおり、本願発明は、引用発明1、2に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2012-07-13 |
結審通知日 | 2012-07-17 |
審決日 | 2012-07-31 |
出願番号 | 特願2006-554014(P2006-554014) |
審決分類 |
P
1
8・
121-
Z
(H04M)
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最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 永田 義仁 |
特許庁審判長 |
石井 研一 |
特許庁審判官 |
神谷 健一 田中 庸介 |
発明の名称 | 加入者基盤のリングバックトーンサービスにおける個人情報送出方法 |
代理人 | 須原 誠 |
代理人 | 梶 良之 |