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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 H01L
管理番号 1283871
審判番号 不服2013-8359  
総通号数 171 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2014-03-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2013-05-08 
確定日 2014-02-12 
事件の表示 特願2008- 71472「描画システム及び描画装置のパラメータ監視方法」拒絶査定不服審判事件〔平成21年10月 8日出願公開、特開2009-231333、請求項の数(5)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 1.手続の経緯
本願は、平成20年3月19日を出願日とする出願であって、平成24年7月17日付けで手続補正がなされたが、平成25年2月6日付けで拒絶査定がなされ、これに対し、同年5月8日に拒絶査定不服審判が請求されたものである。


2.本願発明
本願の請求項に係る発明は、平成24年7月17日付け手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1?5に記載された事項により特定されるものであると認められるところ、請求項1に係る発明は次のものである。
「 通信規格の異なる複数の制御ユニットと、
前記複数の制御ユニットにより制御され、荷電粒子ビームを用いて試料にパターンを描画する描画部と、
外部の従計算機からパラメータ情報を受信して、記憶する記憶部と、
受信されたパラメータ情報を前記複数の制御ユニットの少なくとも1つに通信規格に合わせて出力する第1のインターフェース回路群と、
主計算機と、
前記主計算機からの要求を受信して、前記記憶部を介さずに前記複数の制御ユニットに設定されているパラメータ情報を前記主計算機が用いる通信規格に変換して、前記主計算機に前記複数の制御ユニットに設定されているパラメータ情報を送信する第2のインターフェース回路群と、
を備えたことを特徴とする描画システム。」(以下「本願発明」という。)


3.刊行物の記載事項

(1)原査定の拒絶理由に引用された、本願の出願前に頒布された刊行物である特開2001-168018号公報(以下「引用例1」という。)には、下記の事項が記載されている。

ア「【0051】図7は、図1に示す電子ビーム露光装置100の制御系の構成を示す図である。BA制御回路111は、ブランカアレイBAの各ブランカのオン・オフを個別に制御する制御回路であり、その詳細な構成と機能については後に詳しく説明する。LAU制御回路112は、レンズアレイユニットLAUを構成する電子レンズELの焦点距離を制御する制御回路、D_STIG制御回路113は、ダイナミックスティグコイル8を制御して縮小電子光学系4の非点収差を補正するための制御回路、 D_FOCUS制御回路114は、ダイナミックフォーカスコイル7を制御して縮小電子光学系4のフォーカスを調整するための制御回路、偏向制御回路115は、偏向器6を制御する制御回路、光学特性制御回路116は、縮小電子光学系4の光学特性(倍率、歪曲)を調整する制御回路である。反射電子検出回路117は、反射電子検出器12からの信号より反射電子量を演算する回路である。
【0052】ステージ駆動制御回路118は、θ-Zステージ9を駆動制御すると共に、XYステージ11の位置を検出するレーザ干渉計LIMと共同してXYステージ11を駆動制御する制御回路である。
【0053】副制御部120は、メモリ121に格納された露光制御データをインターフェース122を介して読み出して、これに基づいて制御回路(制御要素)111?116及び118を制御する共に、反射電子検出回路117を制御する。主制御部123は、この電子ビーム露光装置100の全体を統括的に制御する。」

イ 「【0063】図9は、露光装置を含むシステムの構成を示す図である。このシステムは、図1に示す電子ビーム露光装置100と、情報処理装置200とを通信ケーブル210で接続してなる。情報処理装置200は、例えば、露光パターンデータを通信回線220を介して他の情報処理装置から取得し、この露光パターンデータに基づいて、電子ビーム露光装置100に適合した露光制御データを生成し、通信ケーブル210を介して電子ビーム露光装置100に提供する。
【0064】より具体的には、情報処理装置200は、通信回線220を介して他の情報処理装置から露光パターンデータを取得して格納部201に格納する。ここで、露光パターンデータは、それが格納されたメモリ媒体(例えば、磁気テープ、ディスク等)から取得してもよい。
【0065】次いで、情報処理装置200は、制御データ生成部202において、露光パターンデータに基づいて、電子ビーム露光装置100を制御するための複数の制御データ(例えば、ブランカを制御するためのドット制御データ又はドーズ量制御データ、偏向器を制御するための偏向制御データ等)を生成する。ここで生成される制御データには、基本露光情報としての基準ドーズデータが含まれる。」


ウ 上記ア、イから、引用例には、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されているものと認められる。
「電子ビーム露光装置の制御系であって、副制御部120は、メモリ121に格納された露光制御データをインターフェース122を介して読み出して、これに基づいて制御回路(制御要素)111?116及び118を制御し、主制御部123は、この電子ビーム露光装置の全体を統括的に制御し、通信ケーブル210で接続してなる情報処理装置200から露光制御データの提供を受ける電子ビーム露光装置の制御系。」

(2)原査定の拒絶理由に引用された、本願の出願前に頒布された刊行物である特開2001-52992号公報(以下「引用例2」という。)には、下記の事項が記載されている。

ア 「【0006】図3に、従来の露光制御システムの一例を示す。主制御部であるメインコンピュータ1は、ステージ制御ユニット、アライメントユニット、マスク搬送ユニット、プレート搬送ユニット等の制御ユニット2a?2eにデータ通信手段3としてGPIB(General Purpose Interface Bus)で接続されている。各制御ユニット2a?2eは、メインコンピュータ1から制御命令を受信、実行し、その結果をメインコンピュータ1に送信する。
【0007】制御ユニット2a?2eの中、制御ユニット2a、2eは、メインコンピュータ1から受信した制御命令を解釈し、さらにその下位に位置する制御ユニット2f、2g、制御ユニット2h、2iに対して制御命令を送信するとともに、その結果を受信している。この下位に位置する制御ユニットとしては、例えばステージ制御ユニットの下位制御ユニットとしてのXY軸制御ユニットやθ軸制御ユニット、アライメントユニットの下位制御ユニットとしてのマスク系アライメントユニットやプレート系アライメントユニット等が該当する。ここで、制御ユニット2aに対する制御ユニット2f、2gへのデータ通信手段4としては、SCSI(Small Computer System Interface)が用いられている。また、制御ユニット2eに対する制御ユニット2h、2iへのデータ通信手段5としては、RS-232C(Recommended Standard 232C)が用いられている。」



4.対比
本願発明と引用発明とを対比する。

ア 引用発明の「電子ビーム露光装置の制御系」は、電子ビームによりパターンを描画するものであるので、引用発明と本願発明とは「描画システム」である点で一致する。

イ 引用発明の「制御回路(制御要素)111?116及び118」は、本願発明の「複数の制御ユニット」に相当する。
引用発明の「電子ビーム露光装置」は、本願発明の「前記複数の制御ユニットにより制御され、荷電粒子ビームを用いて試料にパターンを描画する描画部」を具備することは明らかである。

ウ 本願発明の「パラメータ情報」とは、本願明細書(段落【0004】?【0006】等)を参酌すると、電子描画装置の装置運用情報であり、具体的には描画部を制御する複数の各制御ユニットに設定され、描画を制御するための情報であるから、引用発明の「露光制御データ」は、本願発明の「パラメータ情報」に相当する。
本願発明の「外部の従計算機からパラメータ情報を受信して、記憶する記憶部」とは、本願明細書(段落【0024】)等を参酌すると、「描画システム」の外部にあるPC(パーソナルコンピュータ)から「描画システム」に送信された「パラメータ情報」を格納する「描画システム」の「記憶部」のことであるから、引用発明の「通信ケーブル210で接続してなる情報処理装置200」から提供を受けた「露光制御データ」を格納する「メモリ21」は,本願発明の「外部の従計算機からパラメータ情報を受信して、記憶する記憶部」に相当する。

エ 引用発明の「副制御部120」は、「露光制御データ」を「インターフェース122」を介して「メモリ121」から読み出し、「制御回路(制御要素)111?116及び118」はこれに基づいて制御されるものであるので、引用発明は、本願発明の「受信されたパラメータ情報を前記複数の制御ユニットの少なくとも1つに通信規格に合わせて出力する第1のインターフェース回路群」を具備する。

オ 引用発明の「主制御部123」は、電子ビーム露光装置の全体を統括的に制御するので、本願発明の「主計算機」に相当する。

カ したがって、本願発明と引用発明とは、
「複数の制御ユニットと、
前記複数の制御ユニットにより制御され、荷電粒子ビームを用いて試料にパターンを描画する描画部と、
外部の従計算機からパラメータ情報を受信して、記憶する記憶部と、
受信されたパラメータ情報を前記複数の制御ユニットの少なくとも1つに通信規格に合わせて出力する第1のインターフェース回路群と、
主計算機と、
を備えたことを特徴とする描画システム。」の点で一致し、下記の点で相違する。

相違点1:
本願発明の「複数の制御ユニット」は通信規格の異なるものであるのに対して、引用発明はそのようなものであるか明らかでない点。

相違点2:
本願発明は、「前記主計算機からの要求を受信して、前記記憶部を介さずに前記複数の制御ユニットに設定されているパラメータ情報を前記主計算機が用いる通信規格に変換して、前記主計算機に前記複数の制御ユニットに設定されているパラメータ情報を送信する第2のインターフェース回路群」を備えるの対して、引用発明はそのようなものであるか明らかでない点。


5.判断
ア 相違点1について
描画システムにおける制御回路の通信規格は、それぞれの制御回路の通信データ量等に応じて、種々の通信規格から適宜選択するものであることは技術常識であるので、「制御回路(制御要素)111?116及び118」を相違点1に係る本願発明の構成とすることに格別困難性はない。

イ 相違点2について
相違点2に係る本願発明の構成である「前記主計算機からの要求を受信して、前記記憶部を介さずに前記複数の制御ユニットに設定されているパラメータ情報を前記主計算機が用いる通信規格に変換して、前記主計算機に前記複数の制御ユニットに設定されているパラメータ情報を送信する第2のインターフェース回路群」に相当する構成については,引用例1および引用例2のいずれにも記載されていない。
また、引用発明において、「制御回路(制御要素)111?116及び118」に設定されている「露光制御データ」を「主制御部」からの要求で「主制御部」に送信することが技術常識ないしは周知技術であるとする証拠もない。
したがって、引用発明において相違点2に係る本願発明の構成を得ることが容易想到であるとすることはできない。

よって、本願発明は、引用発明1及び引用発明2に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。

また、請求項2?3に係る発明は、請求項1を引用しているので、同様の理由で、引用発明1及び引用発明2に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。
請求項5に係る発明も、上記相違点2に係る本願発明の構成を具備するものであるから、同様の理由で、引用発明1及び引用発明2に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。


6.むすび
以上のとおりであるから、本願については、原査定の拒絶理由を検討してもその理由によって拒絶すべきものとすることはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審決日 2014-01-27 
出願番号 特願2008-71472(P2008-71472)
審決分類 P 1 8・ 121- WY (H01L)
最終処分 成立  
前審関与審査官 佐野 浩樹  
特許庁審判長 神 悦彦
特許庁審判官 田部 元史
土屋 知久
発明の名称 描画システム及び描画装置のパラメータ監視方法  
代理人 池上 徹真  
代理人 須藤 章  
代理人 松山 允之  
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