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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G06F
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 G06F
管理番号 1284102
審判番号 不服2012-15693  
総通号数 171 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2014-03-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2012-08-10 
確定日 2014-01-28 
事件の表示 特願2006-547607「最初のクエリによって規定されたバウンダリーを越えて検索結果を拡張するためのシステム、方法、インターフェース、およびソフトウェア」拒絶査定不服審判事件〔平成17年 7月21日国際公開、WO2005/066849、平成20年 2月 7日国内公表、特表2008-503796〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯

本願は、平成17年1月3日(パリ条約による優先権主張外国庁受理2003年12月31日、アメリカ合衆国)を国際出願日とする出願であって、平成22年9月13日付けで拒絶理由の通知がなされ、平成23年3月16日付けで手続補正書の提出がなされ、平成23年7月15日付けで拒絶理由の通知がなされ、平成24年1月20日付けで手続補正書の提出がなされ、平成24年4月6日付けで拒絶査定がなされ、これに対して平成24年8月10日付けで拒絶査定不服審判の請求がなされるとともに手続補正書の提出がなされ、当審において、平成25年1月24日付けで前置報告書を利用した審尋がなされ、回答書の提出はなされなかったものである。



第2 平成24年8月10日付けの手続補正についての補正却下の決定

[補正却下の決定の結論]
平成24年8月10日付けの手続補正を却下する。

[理由]
1.補正内容
平成24年8月10日付けの手続補正(以下,「本件補正」という)は、本件補正前の平成24年1月20日付け手続補正書により補正された請求項の内容を、

「 【請求項1】
オンライン法律リサーチプロバイダのためのサーバであって、法律に関連するドキュメントを含む1つ以上のデータベースに結合されたサーバと、
インターネットを介して該サーバに結合されたクライアントアクセス装置であって、該クライアントアクセス装置は、該サーバによって少なくとも部分的に構成されているか規定されている1つ以上のユーザインターフェース要素を含むグラフィカルユーザインターフェースを提示するディスプレイを有し、該1つ以上のユーザインターフェース要素のうちの1つ以上は、該ユーザが、1つ以上の法律リサーチクエリを規定し、提出することを可能にし、該1つ以上の法律リサーチクエリのそれぞれは、用語および/またはデータベースの識別子のうちの1つ以上のような1つ以上の関連付けられた検索基準を有する、クライアントアクセス装置と、
該サーバに関連付けられた手段であって、受信されたクエリに応答して、該クライアントアクセス装置に検索結果を返す手段と
を備え、
該検索結果は、第1の組の第1のドキュメントおよび関連付けられた第1のユーザインターフェース要素と、第2の組の第2のドキュメントおよび関連付けられた第2のユーザインターフェース要素とを含み、該第1の組のドキュメントは、該受信されたクエリの該検索基準を満たし、該第2の組のドキュメントは、該受信されたクエリの該検索基準を満たさないドキュメントを含み、該第2の組の第2のドキュメントは、該第1の組の該第1のドキュメントのサブセットを用いる検索から取得され、該第1のユーザインターフェース要素および該第2のユーザインターフェース要素は、第1の結果および第2の結果が、該グラフィカルユーザインターフェースの検索結果表示部分内において、別々の組の結果として表示されるようにする、システム。
【請求項2】
前記グラフィカルユーザインターフェースは、前記クライアントアクセス装置上のブラウザアプリケーションによって制御される、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記サーバ、前記クライアントアクセス装置、または、前記グラフィカルユーザインターフェースの構成要素のうちの1つ以上を格納する1つ以上の機械読み取り可能な媒体を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
ユーザからのクエリに応答する方法であって、該クエリは、1つ以上の関連付けられた検索基準を有し、該方法は、プロセッサとメモリとを含むサーバによって実行され、
該方法は、
該プロセッサが、該クエリに基づいて第1のデータベースを検索することにより、第1の組の1つ以上のドキュメントを識別することであって、該第1の組の1つ以上のドキュメントは、該検索基準を満たす、ことと、
該プロセッサが、第2のデータベースにおける第2の組の1つ以上のドキュメントを自動的に識別することであって、該識別することは、該第1の組のドキュメントのサブセットをテキスト分類エンジンに入力することによって行われ、該テキスト分類エンジンは、該第2のデータベースにおけるドキュメントの類似性に基づいてテキストを分類し、該第2の組の1つ以上のドキュメントは、該検索基準を満たさないドキュメントを含む、ことと、
該プロセッサが、第1の組のドキュメントおよび該第2の組のドキュメントの各々の少なくとも一部を該ユーザに関連付けられたアクセス装置に出力することと
を包含する、方法。
【請求項5】
ユーザからのクエリに応答する方法であって、該クエリは、1つ以上の関連付けられた検索基準を有し、該方法は、プロセッサとメモリとを含むサーバによって実行され、
該方法は、
該プロセッサが、該クエリに基づいて第1のデータベースを検索することにより、第1の組のドキュメントを識別することであって、該第1の組のドキュメントは、該検索基準を満たす、ことと、
該プロセッサが、該第1のデータベースの検索結果のサブセットに基づいて第2のデータベースを自動的に検索することにより、第2の組のドキュメントを識別することであって、該第2の組のドキュメントは、該検索基準を満たさないドキュメントを含む、ことと を包含する、方法。
【請求項6】
前記プロセッサが、前記クエリに基づいて前記第2のデータベースを検索することをさらに包含する、請求項5に記載の方法。」

から、

「 【請求項1】
オンライン法律リサーチプロバイダのためのサーバであって、法律に関連するドキュメントを含む1つ以上のデータベースに結合されたサーバと、
インターネットを介して該サーバに結合されたクライアントアクセス装置であって、該クライアントアクセス装置は、該サーバによって少なくとも部分的に構成されているか規定されている1つ以上のユーザインターフェース要素を含むグラフィカルユーザインターフェースを提示するディスプレイを有し、該1つ以上のユーザインターフェース要素のうちの1つ以上は、該ユーザが、1つ以上の法律リサーチクエリを規定し、提出することを可能にし、該1つ以上の法律リサーチクエリのそれぞれは、用語および/またはデータベースの識別子のうちの1つ以上のような1つ以上の関連付けられた検索基準を有する、クライアントアクセス装置と、
該サーバに関連付けられた手段であって、受信されたクエリに応答して、該クライアントアクセス装置に検索結果を返す手段と
を備え、
該検索結果は、第1の組の第1のドキュメントおよび関連付けられた第1のユーザインターフェース要素と、第2の組の第2のドキュメントおよび関連付けられた第2のユーザインターフェース要素とを含み、該第1の組のドキュメントは、該受信されたクエリの該検索基準を満たし、該第2の組のドキュメントは、該受信されたクエリの該検索基準を満たさないドキュメントを含み、該第2の組の第2のドキュメントは、該第1の組の該第1のドキュメントのサブセットを用い、かつ、該第1の組の該第1のドキュメントにおいて見い出されるテキストに関連付けられたkey類の組を用いる検索から取得され、該第1のユーザインターフェース要素および該第2のユーザインターフェース要素は、第1の結果および第2の結果が、該グラフィカルユーザインターフェースの検索結果表示部分内において、別々の組の結果として表示されるようにする、システム。
【請求項2】
前記グラフィカルユーザインターフェースは、前記クライアントアクセス装置上のブラウザアプリケーションによって制御される、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記サーバ、前記クライアントアクセス装置、または、前記グラフィカルユーザインターフェースの構成要素のうちの1つ以上を格納する1つ以上の機械読み取り可能な媒体を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
ユーザからのクエリに応答する方法であって、該クエリは、1つ以上の関連付けられた検索基準を有し、該方法は、プロセッサとメモリとを含むサーバによって実行され、
該方法は、
該プロセッサが、該クエリに基づいて第1のデータベースを検索することにより、第1の組の1つ以上のドキュメントを識別することであって、該第1の組の1つ以上のドキュメントは、該検索基準を満たす、ことと、
該プロセッサが、第2のデータベースにおける第2の組の1つ以上のドキュメントを自動的に識別することであって、該識別することは、該第1の組のドキュメントのサブセットをテキスト分類エンジンに入力することによって行われ、該テキスト分類エンジンは、該第1の組のドキュメントにおいて見い出されるテキストに関連付けられたkey類の組に基づいて、かつ、該第2のデータベースにおけるドキュメントの類似性に基づいてテキストを分類し、該第2の組の1つ以上のドキュメントは、該検索基準を満たさないドキュメントを含む、ことと、
該プロセッサが、第1の組のドキュメントおよび該第2の組のドキュメントの各々の少なくとも一部を該ユーザに関連付けられたアクセス装置に出力することと
を包含する、方法。
【請求項5】
ユーザからのクエリに応答する方法であって、該クエリは、1つ以上の関連付けられた検索基準を有し、該方法は、プロセッサとメモリとを含むサーバによって実行され、
該方法は、
該プロセッサが、該クエリに基づいて第1のデータベースを検索することにより、第1の組のドキュメントを識別することであって、該第1の組のドキュメントは、該検索基準を満たす、ことと、
該プロセッサが、該第1のデータベースの検索結果のサブセットに関連付けられたkey類の組に基づいて第2のデータベースを自動的に検索することにより、第2の組のドキュメントを識別することであって、該第2の組のドキュメントは、該検索基準を満たさないドキュメントを含む、ことと
を包含する、方法。
【請求項6】
前記プロセッサが、前記クエリに基づいて前記第2のデータベースを検索することをさらに包含する、請求項5に記載の方法。」

に、変更する補正を含むものである。


2.補正の適否
上記補正は、補正前の請求項1における「該第2の組の第2のドキュメントは、該第1の組の該第1のドキュメントのサブセットを用いる検索から取得され」る処理を、「該第2の組の第2のドキュメントは、該第1の組の該第1のドキュメントのサブセットを用い、かつ、該第1の組の該第1のドキュメントにおいて見い出されるテキストに関連付けられたkey類の組を用いる検索から取得され」る処理に限定するものであり、補正前の請求項4における「該テキスト分類エンジンは、該第2のデータベースにおけるドキュメントの類似性に基づいてテキストを分類」する処理を、「該テキスト分類エンジンは、該第1の組のドキュメントにおいて見い出されるテキストに関連付けられたkey類の組に基づいて、かつ、該第2のデータベースにおけるドキュメントの類似性に基づいてテキストを分類」する処理に限定するものであり、補正前の請求項5における「該第1のデータベースの検索結果のサブセットに基づいて第2のデータベースを自動的に検索」する処理を、「 該第1のデータベースの検索結果のサブセットに関連付けられたkey類の組に基づいて第2のデータベースを自動的に検索」する処理に限定するものであって、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第4項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。

そこで、本件補正後の上記請求項5に係る発明(以下、「本件補正発明」という)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に適合するか)について、以下に検討する。


3.引用文献
原査定の拒絶の理由に引用された特開2003-296363号公報(以下、「引用文献」という)には、下記の事項が記載されている。

A.「【0014】以下の図1の説明では、例として、本発明をインターネット上のWebサイトを提供するサーバコンピュータ1に適用し、端末装置の利用者に対して処理結果を提供するサービスを行う場合を想定する。ここでは、インターネットを通じて利用者から検索条件を受け取り、この検索条件を用いて、第1の文書データベース2を検索する。このとき検索された第1の文書情報を上記の検索元の文書情報として適用し、この第1の文書情報に内容が類似する第2の文書情報を、第2の文書データベース2から検索することとする。
【0015】このサービスでは、サーバコンピュータ1は、入力されたある検索条件に応じて、第1の文書データベース2および第2の文書データベース3の検索を行い、内容の類似する文書情報とそれらの類似度とを利用者に対して通知する。ここで、第1および第2の文書データベース2および3には、それぞれ異なる種類の文書情報があらかじめ蓄積されている。例えば、第1の文書データベース2には、特許庁のデータベースから取得した公開特許公報の文書情報が蓄積され、第2の文書データベースには、インターネット上の企業サイトに掲載された記事の文書情報や、ニュース記事として配信された文書情報等が収集されて蓄積されている。」

B.「【0022】ステップS4において、この整形された第1の文書情報と内容が類似する文書情報を、第2の文書データベース3から検索する処理を行う。またこれとともに、検索により抽出された第2の文書情報と、整形された第1の文書情報との類似度を算出する。この類似度は、各文書データベース間の文書構造の対応付けを基にした、従来から使用されている類似検索の手法により算出される。例えば、整形された第1の文書情報と、抽出された第2の文書情報のそれぞれから単語を切り出して各単語の頻度ベクトルを求め、各頻度ベクトルのなす角度のコサイン値を算出することにより行われる。」

C.「【0031】ステップS6において、検索された第1の文書情報および第2の文書情報を、ステップS5で補正された類似度とともに出力する。そして、ステップS7において、出力されたデータが利用者の端末装置において一覧表示される。
【0032】なお、実際には、ステップS2の検索処理では、第1の文書データベース2から第1の文書情報が複数抽出されることが多い。従って、これらの第1の文書情報のそれぞれについて、ステップS3からステップS5までを順次繰り返して、あるいは並行して行われる。また、ステップS4の検索処理でも、1つの第1の文書情報について類似する第2の文書情報が複数検索されることが多く、この場合も複数の第2の文書情報のそれぞれについて類似度を算出し、さらにステップS5でそれぞれを補正する。従ってこのような場合、ステップS7の一覧表示では、第1の文書情報が複数表示され、さらにそれらの第1の文書情報のそれぞれについて、類似する複数の第2の文書情報および類似度が表示される。この際、1つの第1の文書情報に対して類似度が高い順に複数の第2の文書情報を表示するようにしてもよい。」

D.「【0057】例えば、検索条件として「IPC」が「G06F17/60」であり、「公開日」が前月の公報であることが指定された場合、特許検索処理部120はこの検索条件に基づいて、特許DB100aを検索する。検索された公開特許公報は、ネット文書検索処理部130に出力されるとともに、この公開特許公報についての特許公開番号や発明の名称、出願人等の情報、あるいは公開特許公報の文書全体が、特許DB100aからの検索結果として検索結果処理部140に出力される。
【0058】次に、ネット文書検索処理部130の処理について説明する。図5は、ネット文書検索処理部130における処理の流れを示すフローチャートである。ステップS501において、特許検索処理部120から出力された1つの文書(公開特許公報)について、後のステップS502でのネット文書DB100bに対する検索に合わせて整形を行う。
【0059】ステップS502において、整形された文書と内容が類似する文書を、ネット文書DB100bから検索するとともに、その類似度を算出する。ステップS503において、算出された類似度を補正して、類似度の精度を高める処理を行う。この処理では、必要に応じて検索補助DB131内の出資関係DB133や企業/ドメイン対応DB134を参照する。ステップS504において、ネット文書DB100bから検索された文書と、ステップS503で補正された類似度とを、検索結果処理部140に出力する。」

E.「【0068】内容が類似する文書の検索と類似度の計算は、以下のような方法で行う。まず、検索元の文書(公開特許公報)と、ネット文書DB100b内の文書の双方について、文書から単語を切り出す形態素解析処理を行う。そして、各文書における単語の頻度ベクトルを求め、この2つの頻度ベクトルのなす角度のコサイン値を算出して、これを類似度とする。頻度ベクトルのコサイン値、すなわち類似度は、次の式(1)によって求められる。」

F.「【0071】なお、このような文書検索において、各文書から特徴的な単語を抽出して重み付けを行うようにしてもよい。また、1つの公開特許公報に対してネット文書DB100bから複数の文書が検索された場合は、類似度が所定値以上の文書のみ以後の処理に送るようにしてもよい。」

次に、上記引用文献の記載事項について検討する。
(あ)上記Aには、サーバコンピュータ1が、利用者からの検索条件を受け取り、第1の文書データベース2および第2の文書データベース3の検索を行い、検索した文書情報を利用者に対して通知することが記載されているので、引用文献には、「サーバコンピュータにおいて、利用者からの検索条件を受け取って文書情報の検索を行い、検索結果を利用者に通知する方法」が記載されているといえる。

(い)上記Aには、「検索条件を用いて、第1の文書データベース2を検索する。このとき検索された第1の文書情報」と記載されているので、引用文献には、「サーバコンピュータでは、検索条件に基づいて第1の文書データベースを検索して第1の文書情報を抽出」することが記載されているといえる。

(う)上記Bには、「第1の文書情報と内容が類似する文書情報を、第2の文書データベース3から検索する」こと、上記E及びFには、類似する文書の検索として、第1の文書情報である公開特許公報から単語を切り出し、第2の文書データベースであるネット文書DB内の文書から単語を切り出して各単語の頻度ベクトルを求め、各頻度ベクトルのなす角度のコサイン値を算出することが記載されているので、引用文献には、「検索された第1の文書情報に記載された単語に基づいて第2の文書データベースを検索して第2の文書情報を抽出」することが記載されているといえる。

よって、上記(あ)乃至(う)及び関連図面の記載から、引用文献には、実質的に下記の発明(以下、「引用発明」という)が記載されている。

「サーバコンピュータにおいて、利用者からの検索条件を受け取って文書情報の検索を行い、検索結果を利用者に通知する方法であって、
前記サーバコンピュータでは、前記検索条件に基づいて第1の文書データベースを検索して第1の文書情報を抽出し、
前記検索された第1の文書情報に記載された単語に基づいて第2の文書データベースを検索して第2の文書情報を抽出する方法。」


4.対比
(1)本件補正発明と引用発明との対応関係について
(ア)引用発明の「利用者」は、本件補正発明の「ユーザ」に相当している。

(イ)サーバコンピュータにはプロセッサ及びメモリが含まれていることは明らかであるから、引用発明の「サーバコンピュータ」は、本件補正発明の「プロセッサとメモリとを含むサーバ」に相当している。

(ウ)本件補正発明の「クエリ」は、「1つ以上の関連付けられた検索基準を有し」、「第1のデータベースを検索する」ものである。
一方、引用文献の上記Dには、「検索条件」として「『IPC』が『G06F17/60』であり、『公開日』が前月」とすることが記載されているので、該検索条件によって第1の文書データベースである特許DBからIPCが「G06F17/60」であり、かつ、公開日が「前月」の公開特許公報が検索されることになる。
してみると、引用文献に記載された処理では、検索条件の各要素(ここではIPCと公開日)により検索結果とされるか否かが決定されることになるので、検索条件の各要素は第1の文書データベースから第1の文書情報が検索されるための基準になっているといえる。
よって、引用発明の「検索条件」は、本件補正発明の「クエリ」に相当し、「1つ以上の関連付けられた検索基準を有し」、「第1のデータベースを検索する」ものであるといえる。

(エ)上記(ア)乃至(ウ)から、引用発明の「サーバコンピュータにおいて、利用者からの検索条件を受け取って文書情報の検索を行い、検索結果を利用者に通知する方法であって」は、本件補正発明の「ユーザからのクエリに応答する方法であって、該クエリは、1つ以上の関連付けられた検索基準を有し、該方法は、プロセッサとメモリとを含むサーバによって実行され」に相当している。

(オ)引用文献の上記Cには、第1の文書データベースの検索により第1の文書情報が複数抽出されることが記載されているので、引用発明の「第1の文書情報を抽出」は、本件補正発明の「第1の組のドキュメントを識別」に相当しており、上記(ウ)の記載を考慮すれば、引用発明も、「該クエリに基づいて第1のデータベースを検索することにより、第1の組のドキュメントを識別することであって、該第1の組のドキュメントは、該検索基準を満たす」ものといえる。

(カ)引用発明の「検索された第1の文書情報」は第1の文書データベースを検索した結果であり、「第1の文書情報に記載された単語」は第1の文書情報のサブセットといい得るものである。
よって、引用発明の「前記検索された第1の文書情報に記載された単語」は、本件補正発明の「該第1のデータベースの検索結果のサブセット」に相当している。

(キ)引用発明では、第1の文書情報の検索後、利用者の判断や指示を介さずに第2の文書情報の検索が行われているので、第1の文書情報の検索後に自動的に第2の文書情報の検索が行われているといえる。

(ク)引用文献の上記Cには、第2の文書データベースの検索により第2の文書情報が複数抽出されることが記載されているので、引用発明の「第2の文書情報を抽出」は、本件補正発明の「第2の組のドキュメントを識別」に相当している。

(ケ)上記(う)に記載したように、引用文献には、類似する文書の検索として、第1の文書情報である公開特許公報から単語を切り出し、第2の文書データベースであるネット文書DB内の文書から単語を切り出して各単語の頻度ベクトルを求め、各頻度ベクトルのなす角度のコサイン値を算出することが記載されているので、上記Dの具体例にあてはめれば、「IPC」が「G06F17/60」、「公開日」が前月とする「検索条件」で検索された第1の文書情報である公開特許公報からは、IPCや公開日だけでなく該公開特許公報自体に記載された各単語も第2の文書データベースから第2の文書情報を検索するために利用されることになるので、第2の文書データベースから検索される第2の文書情報は、「G06F17/60」や先月の「公開日」が単語として記載されていない文献も含まれることになる。

(コ)上記(ウ)、(カ)乃至(ケ)の記載から、本件補正発明と引用発明とは、「該第1のデータベースの検索結果のサブセットに基づいて第2のデータベースを自動的に検索することにより、第2の組のドキュメントを識別することであって、該第2の組のドキュメントは、該検索基準を満たさないドキュメントを含む」ものである点で共通している。

(2)本件補正発明と引用発明の一致点について
上記の対応関係から、本件補正発明と引用発明は、下記の点で一致する。

「ユーザからのクエリに応答する方法であって、該クエリは、1つ以上の関連付けられた検索基準を有し、該方法は、プロセッサとメモリとを含むサーバによって実行され、
該方法は、
該クエリに基づいて第1のデータベースを検索することにより、第1の組のドキュメントを識別することであって、該第1の組のドキュメントは、該検索基準を満たす、ことと、
該第1のデータベースの検索結果のサブセットに基づいて第2のデータベースを自動的に検索することにより、第2の組のドキュメントを識別することであって、該第2の組のドキュメントは、該検索基準を満たさないドキュメントを含む、ことと
を包含する、方法。」

(3)本件補正発明と引用発明の相違点について
本件補正発明と引用発明は、下記の点で相違する。

(相違点1)
本件補正発明は、プロセッサが第1のデータベースの検索と第2のデータベースの検索を行うものであるのに対し、引用文献にはプロセッサにより検索を行うことが記載されていないので、引用発明ではプロセッサが検索を行っているか定かではない点。

(相違点2)
本件補正発明は、「該第1のデータベースの検索結果のサブセットに関連付けられたkey類の組に基づいて第2のデータベースを自動的に検索する」のに対し、引用発明はそのような検索は行っていない点。


5.当審の判断
(1)相違点1について
上記4.(1)(イ)に記載したように、サーバコンピュータにはプロセッサ及びメモリが含まれていることは明らかであるところ、一般に各種処理がプロセッサにより実行されることを鑑みれば、引用発明において、第1の文書情報の検索及び第2の文書情報の検索をサーバコンピュータ内のプロセッサにより実行させること、すなわち、相違点1に係る構成とすることは格別なことではない。

(2)相違点2について
特許分類であるIPCは、公開特許公報のような特許文献に1つ以上付与されて、特許文献の分類や検索に利用されるものであるから、特許文献からみれば「サブセットに関連付けられたkey類の組」と呼び得るものである。
そして、キーワードを検索条件として特許文献を検索した場合に、検索された特許文献に付与されたIPCについての情報を得るために、検索された特許文献に付与されたIPCについて、IPCの内容が蓄積されたデータベースを検索することは、例えば、特開2002-351896号公報(図1に特許データベース13と分類データベース14を備えた装置が記載され、段落【0030】?【0031】にフリーキーワードで検索された特許公報の特許分類を抽出して特許分類の説明文を検索することが記載されている)、特開2000-322447号公報(図1に文献データベース18と分類データベース16を備えた装置が記載され、段落【0042】にキーワードで検索された特許文献のIPCを集計してIPCの分類定義を表示することが記載されている)に記載されているように周知技術である。

してみると、引用発明において、第1の文書情報として特許文献を検索した場合、検索された特許文献に付与されたIPCについての情報を得るため、IPCの内容が蓄積されたデータベースを第2の文書データベースとし、第1の文書データベースから第1の文書情報として検索された公開特許公報のIPCに基づいて第2の文書データベースを検索すること、すなわち、相違点2に係る構成とすることは、当業者が容易に推考し得たものである。

(3)本件補正発明の作用効果について
また、本件補正発明の作用効果も、引用発明及び周知技術から当業者が予測できる範囲のものである。


6.むすび
よって、本件補正発明は、引用発明及び上記周知技術から当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができないものであるから、本件補正は、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に違反するものであり、特許法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。



第3 補正却下の決定を踏まえた検討

1.本願発明
平成24年8月10日付けの手続補正は、上記のとおり却下されたので、本願に係る発明は、平成24年1月20日付け手続補正書の特許請求の範囲に記載されたとおりのものであるところ、その請求項5に係る発明(以下、「本願発明」という)は、次のとおりのものである。

「【請求項5】
ユーザからのクエリに応答する方法であって、該クエリは、1つ以上の関連付けられた検索基準を有し、該方法は、プロセッサとメモリとを含むサーバによって実行され、
該方法は、
該プロセッサが、該クエリに基づいて第1のデータベースを検索することにより、第1の組のドキュメントを識別することであって、該第1の組のドキュメントは、該検索基準を満たす、ことと、
該プロセッサが、該第1のデータベースの検索結果のサブセットに基づいて第2のデータベースを自動的に検索することにより、第2の組のドキュメントを識別することであって、該第2の組のドキュメントは、該検索基準を満たさないドキュメントを含む、ことと を包含する、方法。」


2.引用文献
これに対して、原査定の拒絶の理由に引用された引用文献の記載事項及び引用発明は、上記第2 3.に記載したとおりである。


3.対比
(1)本願発明と引用発明との対応関係について
本願発明は、上記第2 2.で検討した本件補正発明における限定を省いたものであるので、本願発明と引用発明との対応関係については、上記第2 4.(1)に記載したとおりである。

(2)本願発明と引用発明の一致点及び相違点について
上記の対応関係から、本願発明と引用発明は、下記の点で一致し、また相違する。

(一致点)
「ユーザからのクエリに応答する方法であって、該クエリは、1つ以上の関連付けられた検索基準を有し、該方法は、プロセッサとメモリとを含むサーバによって実行され、
該方法は、
該クエリに基づいて第1のデータベースを検索することにより、第1の組のドキュメントを識別することであって、該第1の組のドキュメントは、該検索基準を満たす、ことと、
該第1のデータベースの検索結果のサブセットに基づいて第2のデータベースを自動的に検索することにより、第2の組のドキュメントを識別することであって、該第2の組のドキュメントは、該検索基準を満たさないドキュメントを含む、ことと
を包含する、方法。」

(相違点)
本願発明は、プロセッサが第1のデータベースの検索と第2のデータベースの検索を行うものであるのに対し、引用文献にはプロセッサにより検索を行うことが記載されていないので、引用発明ではプロセッサが検索を行っているか定かではない点。


4.当審の判断
上記第2 5.(1)に記載したように、サーバコンピュータにはプロセッサ及びメモリが含まれていることは明らかであるところ、一般に各種処理がプロセッサにより実行されることを鑑みれば、引用発明において、第1の文書情報の検索及び第2の文書情報の検索をサーバコンピュータ内のプロセッサにより実行させること、すなわち、相違点に係る構成とすることは格別なことではない。
また、本願発明の作用効果も、引用発明から当業者が予測できる範囲のものである。


5.むすび
以上のとおり、本願発明は、当業者が引用発明に基いて容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
また、本願発明とカテゴリは異なるが同様の発明である請求項1に係る発明及び請求項4に係る発明も、同様の理由により、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、本件は、拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2013-09-03 
結審通知日 2013-09-04 
審決日 2013-09-18 
出願番号 特願2006-547607(P2006-547607)
審決分類 P 1 8・ 575- Z (G06F)
P 1 8・ 121- Z (G06F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 打出 義尚紀田 馨  
特許庁審判長 飯田 清司
特許庁審判官 山崎 達也
仲間 晃
発明の名称 最初のクエリによって規定されたバウンダリーを越えて検索結果を拡張するためのシステム、方法、インターフェース、およびソフトウェア  
代理人 森下 夏樹  
代理人 安村 高明  
代理人 山本 秀策  
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