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審決分類 審判 一部無効 2項進歩性  A47L
審判 一部無効 ただし書き1号特許請求の範囲の減縮  A47L
審判 一部無効 3項(134条5項)特許請求の範囲の実質的拡張  A47L
審判 一部無効 1項3号刊行物記載  A47L
管理番号 1284458
審判番号 無効2012-800206  
総通号数 172 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2014-04-25 
種別 無効の審決 
審判請求日 2012-12-14 
確定日 2014-01-10 
訂正明細書 有 
事件の表示 上記当事者間の特許第3285030号発明「電気掃除機」の特許無効審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 訂正を認める。 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。 
理由 第1 手続の経緯
1.本件特許第3285030号の請求項1、2及び5?7に係る発明(以下「本件特許発明1、2及び5?7」という。)についての出願は、平成12年3月1日に出願した特願2000-55279号の一部を平成12年10月20日に新たな特許出願としたものであって、平成14年3月8日にその発明について特許権の設定登録がなされた。
2.請求人 ダイソン テクノロジー リミテッドは、平成24年12月14日に、請求項請求項1、2及び5?7に係る特許を無効とすることを求めて、本件特許無効審判を請求した。
3.被請求人 パナソニック株式会社は、平成25年3月8日に答弁書を提出するとともに、同日付けで明細書の訂正を請求した。
4.請求人は、平成25年5月31日付けで弁駁書を提出した。
5.当審は、平成25年6月19日付けで両当事者に審理事項を通知した。
6.被請求人は、平成25年7月17日付けで口頭審理陳述要領書を提出した。
7.請求人は、平成25年7月19日付け及び平成25年8月2日付けで口頭審理陳述要領書を提出した。
8.平成25年8月2日に第1回口頭審理を行った。

第2 訂正請求
1.訂正の内容
被請求人により平成25年3月8日付けで請求された訂正(以下「本件訂正」という。)の内容は、本件特許発明の明細書(以下「特許明細書」という。)を平成25年3月8日付けで提出した訂正した明細書(以下「本件訂正明細書」という。)のとおりに訂正しようとするものである。すなわち、以下のとおりである。

(1)請求項1及び2からなる一群の請求項に係る訂正(以下「本件訂正1」という。)
(訂正事項1)
特許明細書の特許請求の範囲の請求項1について、「吸引力を発生する電動送風機を内蔵した掃除機本体と、前記電動送風機の吸引力にて延長管及びホースを介して被掃除面の塵埃を吸い込むための吸口体と、前記掃除機本体に設け塵埃を集塵する集塵部と、前記掃除機本体の側面に設けた床面移動用の一対の車輪を備え、前記掃除機本体の車輪を転がり面とし、掃除機本体が前記転がり面が床面に接するよう傾いても、前記一対の車輪が床面に接地する方向に掃除機本体が回動して元に戻るように掃除機本体の重心を設けた電気掃除機。」とある記載を、
「吸引力を発生する電動送風機を内蔵した掃除機本体と、前記電動送風機の吸引力にて延長管及びホースを介して被掃除面の塵埃を吸い込むための吸口体と、前記掃除機本体に設け塵埃を集塵する集塵部と、前記掃除機本体の側面に設けた床面移動用の一対の車輪を備え、前記一対の車輪は、第1の転がり面を有し、前記掃除機本体は、第2の転がり面を有し、前記掃除機本体が、前記第1の転がり面又は前記第2の転がり面が床面に接するよう傾いても、前記一対の車輪が床面に接地する方向に前記掃除機本体が回動して元に戻るように前記掃除機本体の重心を設けた電気掃除機。」と訂正する。
(訂正事項2)
特許明細書の特許請求の範囲の請求項2について、「掃除機本体の移動方向に直行する面で前記掃除機本体と車輪から形成される断面形状を、略円形又は略楕円形とした請求項1記載の電気掃除機。」とある記載を、
「前記掃除機本体の移動方向に直交する面で前記掃除機本体と前記一対の車輪から形成される断面形状を、略円形又は略楕円形とした請求項1記載の電気掃除機。」と訂正する。
(訂正事項3)
特許明細書の段落【0010】に「本発明の請求項1に記載の発明は、吸引力を発生する電動送風機を内蔵した掃除機本体と、前記電動送風機の吸引力にて延長管及びホースを介して被掃除面の塵埃を吸い込むための吸口体と、前記掃除機本体に設け塵埃を集塵する集塵部と、前記掃除機本体の側面に設けた床面移動用の一対の車輪を備え、前記掃除機本体の車輪を転がり面とし、掃除機本体が前記転がり面が床面に接するよう傾いても、前記一対の車輪が床面に接地する方向に掃除機本体が回動して元に戻るように掃除機本体の重心を設けたものであり、掃除機本体が横転しにくく、かつ横転しても車輪が床面接地側になるように掃除機本体が回動して元に戻ることができ、しかも、小型、軽量で、かつ使い勝手のよい電気掃除機を得ることができる。」とある記載を、「本発明の請求項1に記載の発明は、吸引力を発生する電動送風機を内蔵した掃除機本体と、前記電動送風機の吸引力にて延長管及びホースを介して被掃除面の塵埃を吸い込むための吸口体と、前記掃除機本体に設け塵埃を集塵する集塵部と、前記掃除機本体の側面に設けた床面移動用の一対の車輪を備え、前記一対の車輪は、第1の転がり面を有し、前記掃除機本体は、第2の転がり面を有し、前記掃除機本体が、前記第1の転がり面又は前記第2の転がり面が床面に接するよう傾いても、前記一対の車輪が床面に接地する方向に前記掃除機本体が回動して元に戻るように前記掃除機本体の重心を設けたものであり、掃除機本体が横転しにくく、かつ横転しても車輪が床面接地側になるように掃除機本体が回動して元に戻ることができ、しかも、小型、軽量で、かつ使い勝手のよい電気掃除機を得ることができる。」と訂正する。
(訂正事項4)
特許明細書の段落【0011】に「請求項2に記載の発明は、上記請求項1に記載の発明において、掃除機本体の移動方向に直行する面で前記掃除機本体と車輪から形成される断面形状を、略円形又は略楕円形としたもので、掃除機本体を進行方向に対して長手方向に長くしても、掃除機本体の側面に設けた転がり面にて回動することができる。」とある記載を、「請求項2に記載の発明は、上記請求項1に記載の発明において、前記掃除機本体の移動方向に直交する面で前記掃除機本体と前記一対の車輪から形成される断面形状を、略円形又は略楕円形としたもので、掃除機本体を進行方向に対して長手方向に長くしても、掃除機本体の側面に設けた転がり面にて回動することができる。」と訂正する。
(訂正事項5)
特許明細書の段落【0074】に「以上のように本発明の請求項1に記載の発明によれば、吸引力を発生する電動送風機を内蔵した掃除機本体と、前記電動送風機の吸引力にて延長管及びホースを介して被掃除面の塵埃を吸い込むための吸口体と、前記掃除機本体に設け塵埃を集塵する集塵部と、前記掃除機本体の側面に設けた床面移動用の一対の車輪を備え、前記掃除機本体の車輪を転がり面とし、掃除機本体が前記転がり面が床面に接するよう傾いても、前記一対の車輪が床面に接地する方向に掃除機本体が回動して元に戻るように掃除機本体の重心を設けたものであり、掃除機本体が横転しにくく、かつ横転しても車輪が床面接地側になるように掃除機本体が回動して元に戻ることができ、しかも、小型、軽量で、かつ使い勝手のよい電気掃除機を得ることができる。」とある記載を、「以上のように本発明の請求項1に記載の発明によれば、吸引力を発生する電動送風機を内蔵した掃除機本体と、前記電動送風機の吸引力にて延長管及びホースを介して被掃除面の塵埃を吸い込むための吸口体と、前記掃除機本体に設け塵埃を集塵する集塵部と、前記掃除機本体の側面に設けた床面移動用の一対の車輪を備え、前記一対の車輪は、第1の転がり面を有し、前記掃除機本体は、第2の転がり面を有し、前記掃除機本体が、前記第1の転がり面又は前記第2の転がり面が床面に接するよう傾いても、前記一対の車輪が床面に接地する方向に前記掃除機本体が回動して元に戻るように前記掃除機本体の重心を設けたものであり、掃除機本体が横転しにくく、かつ横転しても車輪が床面接地側になるように掃除機本体が回動して元に戻ることができ、しかも、小型、軽量で、かつ使い勝手のよい電気掃除機を得ることができる。」と訂正する。
(訂正事項6)
特許明細書の段落【0075】に「また、請求項2に記載の発明によれば、掃除機本体の移動方向に直行する面で前記掃除機本体と車輪から形成される断面形状を、略円形又は略楕円形としたもので、掃除機本体を進行方向に対して長手方向に長くしても、掃除機本体の側面に設けた転がり面にて回動することができる。」とある記載を、「また、請求項2に記載の発明によれば、前記掃除機本体の移動方向に直交する面で前記掃除機本体と前記一対の車輪から形成される断面形状を、略円形又は略楕円形としたもので、掃除機本体を進行方向に対して長手方向に長くしても、掃除機本体の側面に設けた転がり面にて回動することができる。」と訂正する。

(2)請求項5及び7からなる一群の請求項に係る訂正(以下「本件訂正2」という。)
(訂正事項1)
特許明細書の特許請求の範囲の請求項5について、「吸引力を発生する電動送風機を内蔵した掃除機本体と、前記電動送風機の吸引力にて延長管及びホースを介して被掃除面の塵埃を吸い込むための吸口体と、前記掃除機本体に設け塵埃を集塵する集塵部と、前記掃除機本体の側面に床面移動用の一対の車輪を備え、前記掃除機本体の車輪を転がり面とし、掃除機本体が前記転がり面が床面に接するよう傾いても、前記一対の車輪が床面に接地する方向に掃除機本体が回動するように掃除機本体の重心を設け、前記転がり面と掃除機本体から形成される形状を略球形状または略球状の多面体にした電気掃除機。」とある記載を、
「吸引力を発生する電動送風機を内蔵した掃除機本体と、前記電動送風機の吸引力にて延長管及びホースを介して被掃除面の塵埃を吸い込むための吸口体と、前記掃除機本体に設け塵埃を集塵する集塵部と、前記掃除機本体の側面に設けた床面移動用の一対の車輪を備え、前記一対の車輪を転がり面とし、前記掃除機本体が前記転がり面が床面に接するよう傾いても、前記一対の車輪が床面に接地する方向に前記掃除機本体が回動するように前記掃除機本体の重心を設け、前記転がり面と前記掃除機本体から形成される外郭形状を略球形状または略球状の多面体にした電気掃除機。」と訂正する。
(訂正事項2)
特許明細書の特許請求の範囲の請求項7について、「掃除機本体両側面に回転軸心を内側に向かって床面と略水平より上方に傾斜させ、断面形状が略半球面状または略半球面状の多面体からなる車輪にて構成した請求項5または6記載の電気掃除機。」とある記載を、
「前記掃除機本体両側面に回転軸心を内側に向かって床面と略水平より上方に傾斜させ、断面形状が略半球面状または略半球面状の多面体からなる車輪にて構成した請求項5記載の電気掃除機。」と訂正する。
(訂正事項3)
特許明細書の段落【0014】に「請求項5に記載の発明は、吸引力を発生する電動送風機を内蔵した掃除機本体と、前記電動送風機の吸引力にて延長管及びホースを介して被掃除面の塵埃を吸い込むための吸口体と、前記掃除機本体に設け塵埃を集塵する集塵部と、前記掃除機本体の側面に床面移動用の一対の車輪を備え、前記掃除機本体の車輪を転がり面とし、掃除機本体が前記転がり面が床面に接するよう傾いても、前記一対の車輪が床面に接地する方向に掃除機本体が回動するように掃除機本体の重心を設け、前記転がり面と掃除機本体から形成される形状を略球形状または略球状の多面体にしたもので、掃除機本体の側面のみならず、あらゆる方向に掃除機本体が傾いても、車輪が床面接地する方向に掃除機本体が回動することができる。ここでいう略球形状とは、完全な球体でなくてもよく、さらにその一部が略球形状と異なっても、掃除機本体が傾斜あるいは転倒した場合に床面接地側に回動する構成を有していればよい。」とある記載を、「請求項5に記載の発明は、吸引力を発生する電動送風機を内蔵した掃除機本体と、前記電動送風機の吸引力にて延長管及びホースを介して被掃除面の塵埃を吸い込むための吸口体と、前記掃除機本体に設け塵埃を集塵する集塵部と、前記掃除機本体の側面に設けた床面移動用の一対の車輪を備え、前記一対の車輪を転がり面とし、前記掃除機本体が前記転がり面が床面に接するよう傾いても、前記一対の車輪が床面に接地する方向に前記掃除機本体が回動するように前記掃除機本体の重心を設け、前記転がり面と前記掃除機本体から形成される外郭形状を略球形状または略球状の多面体にしたもので、掃除機本体の側面のみならず、あらゆる方向に掃除機本体が傾いても、車輪が床面接地する方向に掃除機本体が回動することができる。ここでいう略球形状とは、完全な球体でなくてもよく、さらにその一部が略球形状と異なっても、掃除機本体が傾斜あるいは転倒した場合に床面接地側に回動する構成を有していればよい。」と訂正する。
(訂正事項4)
特許明細書の段落【0016】に「請求項7に記載の発明は、上記請求項5または6に記載の発明において、掃除機本体両側面に回転軸心を内側に向かって床面と略水平より上方に傾斜させ、断面形状が略半球面状または略半球面状の多面体からなる車輪にて構成したものであり、車輪を大型化することなく掃除機本体が傾いた状態でも走行することができる。」とある記載を、「請求項7に記載の発明は、上記請求項5に記載の発明において、前記掃除機本体両側面に回転軸心を内側に向かって床面と略水平より上方に傾斜させ、断面形状が略半球面状または略半球面状の多面体からなる車輪にて構成したものであり、車輪を大型化することなく掃除機本体が傾いた状態でも走行することができる。」と訂正する。
(訂正事項5)
特許明細書の段落【0078】に「また、請求項5に記載の発明によれば、吸引力を発生する電動送風機を内蔵した掃除機本体と、前記電動送風機の吸引力にて延長管及びホースを介して被掃除面の塵埃を吸い込むための吸口体と、前記掃除機本体に設け塵埃を集塵する集塵部と、前記掃除機本体の側面に床面移動用の一対の車輪を備え、前記掃除機本体の車輪を転がり面とし、掃除機本体が前記転がり面が床面に接するよう傾いても、前記一対の車輪が床面に接地する方向に掃除機本体が回動するように掃除機本体の重心を設け、前記転がり面と掃除機本体から形成される形状を略球形状または略球状の多面体にしたもので、掃除機本体の側面のみならず、あらゆる方向に掃除機本体が傾いても、車輪が床面接地する方向に掃除機本体が回動することができる。ここでいう略球形状とは、完全な球体でなくてもよく、さらにその一部が略球形状と異なっても、掃除機本体が傾斜あるいは転倒した場合に床面接地側に回動する構成を有していればよい。」とある記載を、「また、請求項5に記載の発明によれば、吸引力を発生する電動送風機を内蔵した掃除機本体と、前記電動送風機の吸引力にて延長管及びホースを介して被掃除面の塵埃を吸い込むための吸口体と、前記掃除機本体に設け塵埃を集塵する集塵部と、前記掃除機本体の側面に設けた床面移動用の一対の車輪を備え、前記一対の車輪を転がり面とし、前記掃除機本体が前記転がり面が床面に接するよう傾いても、前記一対の車輪が床面に接地する方向に前記掃除機本体が回動するように前記掃除機本体の重心を設け、前記転がり面と前記掃除機本体から形成される外郭形状を略球形状または略球状の多面体にしたもので、掃除機本体の側面のみならず、あらゆる方向に掃除機本体が傾いても、車輪が床面接地する方向に掃除機本体が回動することができる。ここでいう略球形状とは、完全な球体でなくてもよく、さらにその一部が略球形状と異なっても、掃除機本体が傾斜あるいは転倒した場合に床面接地側に回動する構成を有していればよい。」と訂正する。
(訂正事項6)
特許明細書の段落【0080】に「また、請求項7に記載の発明によれば、掃除機本体両側面に回転軸心を内側に向かって床面と略水平より上方に傾斜させ、断面形状が略半球面状または略半球面状の多面体からなる車輪にて構成したから、車輪を大型化することなく掃除機本体が傾いた状態でも走行することができる。」とある記載を、「また、請求項7に記載の発明によれば、前記掃除機本体両側面に回転軸心を内側に向かって床面と略水平より上方に傾斜させ、断面形状が略半球面状または略半球面状の多面体からなる車輪にて構成したから、車輪を大型化することなく掃除機本体が傾いた状態でも走行することができる。」と訂正する。

(3)請求項6に係る訂正(以下「本件訂正3」という。)
(訂正事項1)
特許明細書の特許請求の範囲の請求項6について、「掃除機本体の少なくとも上面に把手等の突出体を形成し、前記突出体を含む掃除機本体と車輪から形成される外郭形状が略球形状または略球形状の多面体となるようにした請求項5記載の電気掃除機。」とある記載を、「吸引力を発生する電動送風機を内蔵した掃除機本体と、前記電動送風機の吸引力にて延長管及びホースを介して被掃除面の塵埃を吸い込むための吸口体と、前記掃除機本体に設け塵埃を集塵する集塵部と、前記掃除機本体の側面に設けた床面移動用の一対の車輪を備え、前記一対の車輪を転がり面とし、前記掃除機本体が前記転がり面が床面に接するよう傾いても、前記一対の車輪が床面に接地する方向に前記掃除機本体が回動するように前記掃除機本体の重心を設け、前記転がり面と前記掃除機本体から形成される外郭形状を略球形状または略球状の多面体にし、前記掃除機本体の少なくとも上面に把手等の突出体を形成し、前記突出体は、前記一対の車輪にて形成される略球形状の外郭線近傍に位置し、前記突出体を含む掃除機本体と前記一対の車輪から形成される前記外郭形状が略球形状または略球形状の多面体となるようにした電気掃除機。」と訂正する。
(訂正事項2)
特許明細書の段落【0015】に「請求項6に記載の発明は、上記請求項5に記載の発明において、掃除機本体の少なくとも上面に把手等の突出体を形成し、前記突出体を含む掃除機本体と車輪から形成される外郭形状が略球形状または略球形状の多面体となるようにしたものであり、掃除機本体を大きくすることなく、突出体を把手部等に形成することができる。」とある記載を、「請求項6に記載の発明は、吸引力を発生する電動送風機を内蔵した掃除機本体と、前記電動送風機の吸引力にて延長管及びホースを介して被掃除面の塵埃を吸い込むための吸口体と、前記掃除機本体に設け塵埃を集塵する集塵部と、前記掃除機本体の側面に設けた床面移動用の一対の車輪を備え、前記一対の車輪を転がり面とし、前記掃除機本体が前記転がり面が床面に接するよう傾いても、前記一対の車輪が床面に接地する方向に前記掃除機本体が回動するように前記掃除機本体の重心を設け、前記転がり面と前記掃除機本体から形成される外郭形状を略球形状または略球状の多面体にし、前記掃除機本体の少なくとも上面に把手等の突出体を形成し、前記突出体は、前記一対の車輪にて形成される略球形状の外郭線近傍に位置し、前記突出体を含む掃除機本体と前記一対の車輪から形成される前記外郭形状が略球形状または略球形状の多面体となるようにした電気掃除機であり、掃除機本体を大きくすることなく、突出体を把手部等に形成することができる。」と訂正する。
(訂正事項3)
特許明細書の段落【0079】に「また、請求項6に記載の発明によれば、掃除機本体の少なくとも上面に把手等の突出体を形成し、前記突出体を含む掃除機本体と車輪から形成される外郭形状が略球形状または略球形状の多面体となるようにしたものであり、掃除機本体を大きくすることなく、突出体を把手部等に形成することができる。」とある記載を、「また、請求項6に記載の発明によれば、吸引力を発生する電動送風機を内蔵した掃除機本体と、前記電動送風機の吸引力にて延長管及びホースを介して被掃除面の塵埃を吸い込むための吸口体と、前記掃除機本体に設け塵埃を集塵する集塵部と、前記掃除機本体の側面に設けた床面移動用の一対の車輪を備え、前記一対の車輪を転がり面とし、前記掃除機本体が前記転がり面が床面に接するよう傾いても、前記一対の車輪が床面に接地する方向に前記掃除機本体が回動するように前記掃除機本体の重心を設け、前記転がり面と前記掃除機本体から形成される外郭形状を略球形状または略球状の多面体にし、前記掃除機本体の少なくとも上面に把手等の突出体を形成し、前記突出体は、前記一対の車輪にて形成される略球形状の外郭線近傍に位置し、前記突出体を含む掃除機本体と前記一対の車輪から形成される前記外郭形状が略球形状または略球形状の多面体となるようにしたものであり、掃除機本体を大きくすることなく、突出体を把手部等に形成することができる。」と訂正する。

2.訂正の適否について
(1)本件訂正1について
ア.(訂正事項1)について
(ア)訂正事項1のうち、「前記掃除機本体の車輪」を「前記一対の車輪」とする訂正は、車輪について「一対の車輪」との用語に統一するものであるから、明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。
(イ)訂正事項1のうち、「掃除機本体」を「前記掃除機本体」とする訂正は、前記を付して、対応関係を明瞭にするものであるから、明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。
(ウ)訂正事項1のうち、「前記掃除機本体の車輪を転がり面とし」を「前記一対の車輪は、第1の転がり面を有し、前記掃除機本体は、第2の転がり面を有し」とする訂正は、「車輪」が「第1の転がり面」を有するだけでなく、「掃除機本体」も「第2の転がり面を有」することを限定するものであり、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
(エ)また、訂正事項1は、「掃除機本体が前記転がり面が床面に接するよう傾いても、前記一対の車輪が床面に接地する方向に掃除機本体が回動して元に戻るように掃除機本体の重心を設けた」を「前記掃除機本体が、前記第1の転がり面又は前記第2の転がり面が床面に接するよう傾いても、前記一対の車輪が床面に接地する方向に前記掃除機本体が回動して元に戻るように前記掃除機本体の重心を設けた」とする訂正も含むものである。
まず、上記(ウ)で摘示したとおり、訂正後の請求項1の発明特定事項は「前記一対の車輪は、第1の転がり面を有し、前記掃除機本体は、第2の転がり面を有」することを含むから、転がり面は「一対の車輪」の「第1の転がり面」だけでなく「掃除機本体」も「第2の転がり面を有」するものである。
そして、明細書の段落【0024】?【0026】には「上記構成において、図5に示すように、掃除機本体20の重心を車輪27の第1の転がり面36や右側本体33又は左側本体34の第2の転がり面37が床面に接した状態で、車輪27の床面接地ポイント35aが床面側に回動するように、掃除機本体20の重心G40を掃除機本体20の略中心線41近傍で、かつ転がり面37の接地部からの法線42との交点43より掃除機本体20の底面44側に設けている。
・・・(中略)・・・
掃除機本体20が第1の転がり面36又は第2の転がり面37が床面に接するように傾いた場合でも、車輪27の床面接地ポイント35aが床面接地側に回動するように掃除機本体20の重心G40を設けたことにより、図4に示すように、いずれか一方の車輪27が床面から浮いた状態になっても掃除機本体20が横転することなく矢印イ側に回動するものであり、また、図5に示すように、仮に横転しても重心G40が図示の位置にあるため矢印ロ方向に回動し、車輪27の床面接地ポイント35aが床面接地側になる。」と記載され、図4に第1の転がり面36が床面に接する様子が、図5に第2の転がり面が床面に接する様子が図示されている。
上記記載及び図示内容は、掃除機本体20は第1の転がり面36又は第2の転がり面37が床面に接するように傾くものであるとともに、そのどちらの転がり面が床面に接するように傾いた場合でも、車輪27の床面接地ポイント35aが床面接地側に回動するように掃除機本体20の重心G40を設けたものと解されるので、上記記載を参酌すると請求項1の「前記掃除機本体が、前記第1の転がり面又は前記第2の転がり面が床面に接するよう傾いても、前記一対の車輪が床面に接地する方向に前記掃除機本体が回動して元に戻るように前記掃除機本体の重心を設けた」とは、ともに設けられた第1の転がり面と第2の転がり面のどちらか一方が床面に接するように傾いても、「前記一対の車輪が床面に接地する方向に前記掃除機本体が回動して元に戻るように前記掃除機本体の重心を設けた」と解される。
よって、車輪の「前記転がり面が床面に接するよう傾いても」、「前記一対の車輪が床面に接地する方向に掃除機本体が回動して元に戻る」ことに加え、掃除機本体の「第2の転がり面が床面に接するよう傾いても」、「前記一対の車輪が床面に接地する方向に前記掃除機本体が回動して元に戻る」ものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
また、明細書の段落【0024】?【0026】や図4、5に記載されることから、特許明細書に記載した事項の範囲内でするものである。
(オ)上記(ア)?(エ)で述べたように、訂正事項1は、明瞭でない記載の釈明又は特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
また、訂正事項1は特許明細書に記載した事項の範囲内でするものと認められる。
さらに、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。

イ.(訂正事項2)について
(ア)訂正事項2のうち、「掃除機本体」を「前記掃除機本体」とする訂正は、前記を付して、対応関係を明瞭にするものであるから、明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。
(イ)訂正事項2のうち、「車輪」を「前記一対の車輪」とする訂正は、前記を付して、対応関係を明瞭にするとともに、車輪について「一対の車輪」との用語に統一するものであるから、明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。
(ウ)訂正事項2のうち、「直行」を「直交」とする訂正は、対応する実施例である図3について、段落【0030】に「また、図3、図6及び図9においては、掃除機本体20はその走行方向と直交した面の矢視図であるが、進行方向に平行な方の形状については球体もしくは円筒形状でもよく」と記載されており、「直行」が「直交」の誤記であることは明らかである。
そうすると、当該訂正は誤記の訂正を目的とするものであり、特許明細書に記載した事項の範囲内でするものである。
(エ)上記(ア)?(ウ)で述べたように、訂正事項2は 明瞭でない記載の釈明又は誤記の訂正を目的とするものであって、特許明細書に記載した事項の範囲内でするものと認められる。
さらに、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。

ウ.(訂正事項3)?(訂正事項6)について
訂正事項3?6は、明細書の発明の詳細な説明の段落【0010】、【0011】、【0074】及び【0075】の記載を、訂正後の特許請求の範囲の請求項1及び2の記載に整合させるものであるから、明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。
また、訂正事項3?6は特許明細書に記載した事項の範囲内でするものと認められる。
さらに、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。

エ.まとめ
以上ア.?ウ.で述べたとおりであるから、本件訂正1は、特許法第134条の2第1項第1、2又は3号に該当し、同条第9項で準用する同法第126条第5及び6項の規定に適合するので、当該訂正を認める。

(2)本件訂正2について
ア.(訂正事項1)について
(ア)訂正事項1のうち、「前記掃除機本体の車輪」を「前記一対の車輪」とする訂正は、車輪について「一対の車輪」との用語に統一するものであるから、明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。
(イ)訂正事項1のうち、「掃除機本体」を「前記掃除機本体」とする訂正は、前記を付して、対応関係を明瞭にするものであるから、明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。
(ウ)訂正事項1のうち、「前記掃除機本体の側面に床面移動用の一対の車輪を備え」を「前記掃除機本体の側面に設けた床面移動用の一対の車輪を備え」とする訂正は、一対の車輪が掃除機本体の側面に設けられることを明瞭にするものであるから、明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。
そして、明細書の段落【0018】に「掃除機本体20の両側面には移動用の車輪27を回転自在に設けている。」と記載されているから、特許明細書に記載した事項の範囲内でするものである。
(エ)訂正事項1のうち、「前記転がり面と掃除機本体から形成される形状を略球形状または略球状の多面体にした」を「前記転がり面と前記掃除機本体から形成される外郭形状を略球形状または略球状の多面体にした」とする訂正は、略球形状または略球状の多面体が、前記転がり面と前記掃除機本体から形成される、形状のうち、その外郭形状であることを明瞭にするものであるから、明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。
そして、明細書の段落【0022】に、「さらに、掃除機本体20は、図3に示すように、その断面形状が略球形状であり、右側本体33及び左側本体34の外郭形状の一部となっている。車輪27も同様に略球形状を外郭形状に有している。」と記載されているから、特許明細書に記載した事項の範囲内でするものである。
(オ)上記(ア)?(エ)で述べたように、訂正事項1は、明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。
また、訂正事項1は特許明細書に記載した事項の範囲内でするものと認められる。
さらに、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。

イ.(訂正事項2)について
訂正事項2のうち、「掃除機本体」を「前記掃除機本体」とする訂正は、前記を付して、対応関係を明瞭にするものであるから、明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。
訂正事項2のうち、「請求項5または6記載の電気掃除機」を「請求項5記載の電気掃除機」とする訂正は、引用する請求項を5のみにするものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
そうすると、訂正事項2は、明瞭でない記載の釈明又は特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
また、訂正事項2は特許明細書に記載した事項の範囲内でするものと認められる。
さらに、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。

ウ.(訂正事項3)?(訂正事項6)について
訂正事項3?6は、明細書の発明の詳細な説明の段落【0014】、【0016】、【0078】及び【0080】の記載を、訂正後の特許請求の範囲の請求項5及び7の記載に整合させるものであるから、明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。
また、訂正事項3?6は特許明細書に記載した事項の範囲内でするものと認められる。
さらに、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。

エ.まとめ
以上ア.?ウ.で述べたとおりであるから、本件訂正2は、特許法第134条の2第1項第1、2又は3号に該当し、同条第9項で準用する同法第126条第5及び6項の規定に適合するので、当該訂正を認める。

(3)本件訂正3について
ア.(訂正事項1)について
(ア)訂正事項1のうち、「請求項5記載の電気掃除機」を「電気掃除機」と請求項5の引用を削除し、「吸引力を発生する電動送風機を内蔵した掃除機本体と、前記電動送風機の吸引力にて延長管及びホースを介して被掃除面の塵埃を吸い込むための吸口体と、前記掃除機本体に設け塵埃を集塵する集塵部と、前記掃除機本体の側面に設けた床面移動用の一対の車輪を備え、前記一対の車輪を転がり面とし、前記掃除機本体が前記転がり面が床面に接するよう傾いても、前記一対の車輪が床面に接地する方向に前記掃除機本体が回動するように前記掃除機本体の重心を設け、前記転がり面と前記掃除機本体から形成される外郭形状を略球形状または略球状の多面体にし」なる訂正後の請求項5の記載内容を追加する訂正は、請求項5を引用する請求項の記載を当該請求項5を引用しないものとするとともに、(2)ア.(オ)で述べたように明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。
(イ)訂正事項1のうち、「掃除機本体」を「前記掃除機本体」とする訂正は、前記を付して、対応関係を明瞭にするものであるから、明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。
(ウ)訂正事項1のうち、「車輪」を「前記一対の車輪」とする訂正は、車輪について「一対の車輪」との用語に統一するとともに、前記を付して、対応関係を明瞭にするものであるものであるから、明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。
(エ)訂正事項1のうち、「外郭形状」を「前記外郭形状」とする訂正は、前記を付して、対応関係を明瞭にするものであるから、明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。
(オ)訂正事項1のうち、「前記突出体は、前記一対の車輪にて形成される略球形状の外郭線近傍に位置し」なる記載を追加する訂正は、突出体の位置を限定するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
そして、明細書の段落【0042】に「図13に示すように、掃除機本体20の上部には、突出体54を設け、両側面に車輪55を回転自在に配置し、突出体54は車輪55にて形成される略球形状の外郭線近傍に位置している。」と記載されているから、特許明細書に記載した事項の範囲内でするものである。
(カ)上記(ア)?(オ)で述べたように、訂正事項1は、明瞭でない記載の釈明、特許請求の範囲の減縮又は他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすることを目的とするものである。
また、訂正事項1は特許明細書に記載した事項の範囲内でするものと認められる。
さらに、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。

イ.(訂正事項2)及び(訂正事項3)について
訂正事項2及び3は、明細書の発明の詳細な説明の段落【0015】及び【0079】の記載を、訂正後の特許請求の範囲の請求項6の記載に整合させるものであるから、明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。
また、訂正事項2及び3は特許明細書に記載した事項の範囲内でするものと認められる。
さらに、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。

ウ.まとめ
以上ア.及びイ.で述べたとおりであるから、本件訂正3は、特許法第134条の2第1項第1、2、3又は4号に該当し、同条第9項で準用する同法第126条第5及び6項の規定に適合するので、当該訂正を認める。

第3 本件特許発明
前述のとおり、請求項1、2及び5?7についての訂正請求は認められるから、本件特許発明1、2及び5?7は、本件訂正明細書の特許請求の範囲の請求項1、2及び5?7に記載された次のとおりのものである。
本件特許発明1「吸引力を発生する電動送風機を内蔵した掃除機本体と、前記電動送風機の吸引力にて延長管及びホースを介して被掃除面の塵埃を吸い込むための吸口体と、前記掃除機本体に設け塵埃を集塵する集塵部と、前記掃除機本体の側面に設けた床面移動用の一対の車輪を備え、前記一対の車輪は、第1の転がり面を有し、前記掃除機本体は、第2の転がり面を有し、前記掃除機本体が、前記第1の転がり面又は前記第2の転がり面が床面に接するよう傾いても、前記一対の車輪が床面に接地する方向に前記掃除機本体が回動して元に戻るように前記掃除機本体の重心を設けた電気掃除機。」
本件特許発明2「前記掃除機本体の移動方向に直交する面で前記掃除機本体と前記一対の車輪から形成される断面形状を、略円形又は略楕円形とした請求項1記載の電気掃除機。」
本件特許発明5「吸引力を発生する電動送風機を内蔵した掃除機本体と、前記電動送風機の吸引力にて延長管及びホースを介して被掃除面の塵埃を吸い込むための吸口体と、前記掃除機本体に設け塵埃を集塵する集塵部と、前記掃除機本体の側面に設けた床面移動用の一対の車輪を備え、前記一対の車輪を転がり面とし、前記掃除機本体が前記転がり面が床面に接するよう傾いても、前記一対の車輪が床面に接地する方向に前記掃除機本体が回動するように前記掃除機本体の重心を設け、前記転がり面と前記掃除機本体から形成される外郭形状を略球形状または略球状の多面体にした電気掃除機。」
本件特許発明6「吸引力を発生する電動送風機を内蔵した掃除機本体と、前記電動送風機の吸引力にて延長管及びホースを介して被掃除面の塵埃を吸い込むための吸口体と、前記掃除機本体に設け塵埃を集塵する集塵部と、前記掃除機本体の側面に設けた床面移動用の一対の車輪を備え、前記一対の車輪を転がり面とし、前記掃除機本体が前記転がり面が床面に接するよう傾いても、前記一対の車輪が床面に接地する方向に前記掃除機本体が回動するように前記掃除機本体の重心を設け、前記転がり面と前記掃除機本体から形成される外郭形状を略球形状または略球状の多面体にし、前記掃除機本体の少なくとも上面に把手等の突出体を形成し、前記突出体は、前記一対の車輪にて形成される略球形状の外郭線近傍に位置し、前記突出体を含む掃除機本体と前記一対の車輪から形成される前記外郭形状が略球形状または略球形状の多面体となるようにした電気掃除機。」
本件特許発明7「前記掃除機本体両側面に回転軸心を内側に向かって床面と略水平より上方に傾斜させ、断面形状が略半球面状または略半球面状の多面体からなる車輪にて構成した請求項5記載の電気掃除機。」

第4 請求人の主張
請求人は、請求項1及び2に係る訂正請求は認められないから、本件特許発明1及び2は、特許明細書の特許請求の範囲に記載された請求項1及び2に記載されたとおりのものである。
そして、本件特許発明1及び2は、甲第1号証又は甲第2号証に記載された発明であり、又は甲第2号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。
また、仮に、訂正請求が認められるとしても、訂正後の請求項1及び2に係る発明は、甲第1号証又は甲第2号証に記載された発明であり、又は甲第2号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。
したがって、本件特許発明1及び2の特許は特許法第29条第1項第3号又は同条第2項の規定の規定に違反してされたから、同法第123条第1項第2号に該当し、無効とすべきであると主張している。

また、訂正後の請求項5に係る発明である本件特許発明5は、甲第1号証又は甲第2号証に記載された発明であり、又は甲第2号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。
訂正後の請求項6及び7に係る発明である本件特許発明6及び7は、甲第1号証に記載された発明である。
したがって、本件特許発明5?7の特許は特許法第29条第1項第3号又は同条第2項の規定の規定に違反してされたから、同法第123条第1項第2号に該当し、無効とすべきであると主張している。

そして、証拠方法として、
甲第1号証(仏国特許第1310618号明細書及びその部分翻訳文)、
甲第2号証(国際公開第98/12957号及びその部分翻訳文)、
甲第3号証(フリー百科事典「ウィキペディア(Wikipedia)」の「掃除機」(最終更新2012年10月27日(土)20:44)の頁を2012年11月8日に印刷したものの写し)、
甲第4号証(「東芝」のホームページの「家電製品Q&A」中の「クリーナー(掃除機)」中の「クリーナーにはどのような種類(タイプ)があるのか知りたい」(Copyright 2003-2010 TOSHIBA HOME APPLIANCES CORPORATION)の頁を2012年11月8日に印刷したものの写し)、
甲第5号証(新村出編「広辞苑」第六版、株式会社岩波書店、2008年1月11日、P379)、
甲第6号証(新村出編「広辞苑」第六版、株式会社岩波書店、2008年1月11日、P775,P1782及びP2603)を提出している。

1.請求項1及び2に係る訂正請求について、概略、以下のように主張している。
訂正後の請求項1には、「前記掃除機本体が、前記第1の転がり面又は前記第2の転がり面が床面に接するよう傾いても、前記一対の車輪が床面に接地する方向に前記掃除機本体が回動して元に戻るように前記掃除機本体の重心を設けた」と記載されており、「前記第1の転がり面又は前記第2の転がり面」と二者択一的な記載がある。
上記構成要件は言い換えると、「前記掃除機本体が、前記第1の転がり面が床面に接するよう傾いても、前記一対の車輪が床面に接地する方向に前記掃除機本体が回動して元に戻るように前記掃除機本体の重心を設けた」(前者の構成要件)又は「前記掃除機本体が、前記第2の転がり面が床面に接するよう傾いても、前記一対の車輪が床面に接地する方向に前記掃除機本体が回動して元に戻るように前記掃除機本体の重心を設けた」(後者の構成要件)となる。
訂正前の請求項1には「掃除機本体が前記転がり面が床面に接するよう傾いても、前記一対の車輪が床面に接地する方向に掃除機本体が回動して元に戻るように掃除機本体の重心を設けた」と記載されているから、前者の構成要件と略同一であるが、後者の構成要件は新たに加えられた事項である。
そうすると、後者の構成要件を満たすときは、訂正前は必須であった前者の構成要件を満たさない発明が、新たに含まれることになる。
したがって、「又は」として後者の構成要件が加わったから、請求項1に係る訂正は被請求人の主張する特許請求の範囲の減縮ではなく、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものである。したがって、訂正の要件を満たしていない。
請求項1を引用する請求項2も同様である。

2.訂正前の請求項1及び2に係る発明の無効理由について、概略、以下のように主張している。
(1)請求項1及び2に係る発明は甲第1号証に記載の発明である。
甲第1号証には、請求項1及び2に係る発明のすべて構成要件が記載されており、甲第1号証に記載される発明と請求項1及び2に係る発明とは同一である。
(2)請求項1及び2に係る発明は甲第2号証に記載の発明である、又は甲第2号証に記載の発明から当業者が容易に発明をすることができた。
甲第2号証の図4は、中心線と一致する回転軸I-Iを含む水平面における断面図であると理解でき、タービン12、モータ12aは断面として表されていないから上記水平面よりも下側に配置されており、これらの重い機構が下側に配置されるから重心の位置は下側にあることは明らかであって、図6も同様である。
更に言えば、一対の車輪を有するものは通常の走行状態では直立姿勢で安定走行でき、車輪の一方だけが接地した状態では前進できないから掃除機本体を傾斜姿勢から直立姿勢に戻る設計することは当業者にとって当然で、自明な課題である。
そして、その自明な課題を解決しようと姿勢の安定性のために重心の位置を下側半分に位置させることは当業者に一般的に知られている技術であって甲第2号証に記載されているに等しい事項である。
第四の実施例のように外形が球形であるとき重心が下方に位置していれば起き上がりこぼしの原理で知られるように元の直立姿勢に戻る力が働くことは極めて容易に理解できるから、甲第2号証の第四の実施例は「掃除機本体が前記転がり面が床面に接するように傾いても一対の車輪が床面に接する方向に掃除機が回動して元に戻るように掃除機本体の重心を設けた」ものであって、請求項1及び2に係る発明は新規性を欠く。
仮に、新規性を有するものであったとしても、甲第2号証及び当業者に一般的に知られている技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

3.訂正後の発明について、無効理由を、概略、以下のように主張する。
(1)請求項1に係る発明(訂正発明1)について
ア.訂正発明1の構成要件の意義について
訂正発明1は「前記一対の車輪は、第1の転がり面を有し、前記掃除機本体は、第2の転がり面を有し」ているが、「第2の転がり面」がどのような面か規定されていないから、単に、掃除機本体が「第2の転がり面」と称する面を有していると記載するもので、第2の転がり面は単なる外面にほかならない。
そして、訂正発明1の「前記掃除機本体が、前記第1の転がり面又は前記第2の転がり面が床面に接するよう傾いても、前記一対の車輪が床面に接地する方向に前記掃除機本体が回動して元に戻るように前記掃除機本体の重心を設けた」という構成要件は、「前記掃除機本体が、前記第1の転がり面が床面に接するよう傾いても、前記一対の車輪が床面に接地する方向に前記掃除機本体が回動して元に戻るように前記掃除機本体の重心を設けた」(前者の構成要件)又は「前記掃除機本体が、前記第2の転がり面が床面に接するよう傾いても、前記一対の車輪が床面に接地する方向に前記掃除機本体が回動して元に戻るように前記掃除機本体の重心を設けた」(後者の構成要件)と言い換えることができ、
第1の転がり面床面に接する場合と前記第2の転がり面が床面に接する場合とが「又は」と二者択一的に記載されているから、前者の構成要件の場合に、掃除機本体の第2の転がり面が床面に接しないが一対の車輪の第1の転がり面だけが床面に接するように傾く場合を含むので、第2の転がり面は掃除機本体が傾いたときに床面に接すように形成されていることが要件ではない。
「又は」ではなく「且つ」と記載すべきである。
イ.甲第1号証に記載の真空掃除機に対して
前者の構成要件の場合、「第2の転がり面」は床面に接するような面である旨の限定がないから掃除機本体の単なる外面を意味する。
甲第1号証の真空掃除機は、掃除機本体の少なくとも一部を構成する機構1の下面や集塵袋10の上面が半球体の殻3と4の間に露出し、掃除機本体は外面を有しているといえるから、第2の転がり面を有する。したがって訂正発明1は甲第1号証に記載された発明である。
ウ.甲第2号証に記載の発明に対して
図6に一対の半球状の周辺部材30a、30bの間に筐体11の中央部が露出していることが表れている。
そして、その他の構成要件は、上記2.の(2)で述べたとおりであるから、訂正発明1は甲第2号証に記載されている。
又は、訂正発明1について、甲第2号証に記載の発明に一般的に知られた技術常識を適用して発明をすることは容易に想到できたことである。

(2)請求項2に係る発明(訂正発明2)について
ア.訂正発明2の構成要件について
訂正発明2は「前記掃除機本体と前記一対の車輪から形成される断面形状を略円形又は略楕円形とした」ものであり、「略」とは「おおかた」又は「おおよそ」を意味する。
又、本件の図3、図7,図13には断面形状が凹部を有する完全な円形でないものが示され、段落【0014】に「ここでいう略球形状とは、完全な球体でなくてもよく、さらにその一部が略球形状と異なっても、掃除機本体が傾斜あるいは転倒した場合に床面接地側に回動する構成を有していればよい。」と記載されている。
イ.甲第1号証に記載の掃除機に対して
甲第1号証に記載の掃除機は集塵袋10等が二つの半球体の殻3,4の外面の延長線上になくても、断面形状は、全体として「略円形」であって、訂正発明2は甲第1号証に記載されている。
ウ.甲第2号証に記載の発明に対して
甲第2号証の図6に示される、筐体11と一対の周辺部材30a,30bから形成される断面形状は「略円形」である。周辺構造30の間の隙間に露出する筐体11の外面も断面形状の一部を形成するものである。
したがって、訂正発明2は甲第2号証に記載されている。
又は、甲第2号証に記載の発明に基づき当業者が容易に発明をすることができたものである。

(3)請求項5に係る発明(訂正発明5)について
ア.訂正発明5の構成要件について
訂正発明5の「前記転がり面と前記掃除機本体とから形成される外郭形状」とは、転がり面及び掃除機本体において外部に露出する外面によって形成される輪郭を意味する。
イ.甲第1号証に記載の真空掃除機に対して
甲第1号証に記載の真空掃除機の転がり面と掃除機本体とから形成される外郭形状は「略球形状」又は「略球形状の多面体」となっている。
集塵袋10の上面等の掃除機本体の外面は一対の半球状の殻3,4の間の隙間に露出しており真空掃除機の外面を形成している。
したがって、訂正発明5は甲第1号証に記載されている。
ウ.甲第2号証に記載の発明に対して
甲第2号証に記載の真空掃除機は筐体11が露出している。そして周辺部材30a,30bの外面と筐体11とから形成される外郭形状は「略球形状」又は「略球形状の多面体」となっている。
したがって、訂正発明5は甲第2号証に記載されている。
又は、甲第2号証に記載の発明に基づき当業者が容易に発明をすることができたものである。

(4)請求項6に係る発明(訂正発明6)について
ア.訂正発明6の構成要件について
訂正発明6は「前記転がり面と前記掃除機本体とから形成される外郭形状を略球形状または略球形状の多面体にし」ている。
また、「前記突出体は、前記一対の車輪にて形成される略球形状の外郭線近傍に位置し、前記突出体を含む掃除機本体と前記一対の車輪から形成される前記外郭形状が略球形状または略球形状の多面体となるようにした」としている。
イ.甲第1号証に記載の真空掃除機に対して
甲第1号証には、転がり面と掃除機本体とから形成される外郭形状が「略球形状」又は「略球形状の多面体」となっているものが記載されている。
甲第1号証の取っ手11は半球状の外形形状よりも外側に突出した位置に配置されているが、「近傍」とは付近を意味するから、甲第1号証の取っ手11は一対の半球状の殻3,4で形成される略球形状の外郭線近傍に位置している。
したがって、訂正発明6は甲第1号証に記載されている。

(5)請求項7に係る発明(訂正発明7)について
引用する請求項5の構成要件は上記したように甲第1号証に記載されている。
その他の構成要件についても甲第1号証に記載されている。
したがって、訂正発明7は甲第1号証に記載されている。

第5 被請求人の主張
被請求人は、訂正請求は認められるから、本件特許発明1、2及び5?7は訂正明細書の特許請求の範囲の請求項1、2及び5?7に記載されたとおりのものである。
そして、本件特許発明1、2及び5?7は、甲第1号証に記載の発明ではなく、本件特許発明1、2及び5は甲第2号証に記載された発明ではなく、また、甲第2号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることはできないから、無効理由はない旨主張し、証拠方法として、乙第1号証(新村出編「広辞苑」第六版、株式会社岩波書店、2008年1月11日、P454)を提示している。

第6 甲各号証及び乙各号証
1.甲第1号証
甲第1号証には、図1?3とともに以下の記載がある。なお、翻訳文は、請求人が甲第1号証とともに提出した部分翻訳文による。また、アクサン、セディーユは省略した。
(1)「La presente invention a pour objet un aspirateur dont le mecanisme comprenant un moteur et une turbine, est place dans une enveloppe reposant sur le sol. L'invention a pour but de remedier aux inconvenients de ces aspirateurs en ameliorant dans des proportions considerables leur facilite de deplacement ainsi que leur possibilite de franchir ou d'eviter les obstacles.」(第1欄第1?8行、訳:本発明の主題は、床の上に置かれる筐体内に、電動機及びファンを備えた機構が配置される、真空掃除機である。本発明の目的は、真空掃除機を移動させる簡便性、及び障害物を乗り越え或いは回避する能力を大幅に改善することにより、係る真空掃除機の欠点を解消することにある。(部分翻訳文第1頁第3?5行))
(2)「A cette fin, l'invention a pour objet un aspirateur caracterise en ce que le mecanisme est place a l'interieur d'une enveloppe sensiblement spherique qui peut rouler sur le sol et y est suspendu de facon que les masses les plus lourdes du mecanisme soient situees au-dessous du diametre horizontal de la sphere, meme lorsque cette derniere roule.」(第1頁左欄第9?15行、訳:これらの目的を達成するために、発明の主題は、機構が、床を回動することができる実質的に球状の筐体内に配置され、この球体が回動するときでも、機構の最も重い質量が球体の水平方向の直径の下方に位置するように、機構がその中に吊るされることを特徴とする真空掃除機である。(部分翻訳文第1頁第7?9行))
(3)「Tel qu'il est represente au dessin sur les figures 1 et 2, l'aspirateur conforme a l'invention comprend un mecanisme 1 qui est suspendu par des tourillons 2 dans deux coquilles hemispheriques 3 et 4 separees par un espace 5. Dans l'espace 5 est place un embout 6 raccorde a la turbine du mecanisme 1 et auquel aboutit le flexible habituel 7. A l'oppose de l'embout 6 sort le fil electrique 8 pour l'alimentation du moteur.
Avec ces dispositions, on voit que l'aspirateur peut etre deplace sur le sol avec un effort negligeable en tirant simplement sur le flexible 7 car les frottements entre l'aspirateur lui-meme et le sol sont supprimes puisque les hemispheres 3 et 4 roulent sur le sol.」(第1頁左欄第37行?右欄第11行、訳:図1及び図2に図示するように、本発明による真空掃除機は、空間5によって分離された二つの半球状の殼3、4内で軸部2に吊されている機構1を備える。機構1のファンに連結されたノズル6が、空間5に配置されており、通例の可撓性ホース7がそこで終端している。電動機に給電するための電源コード8がノズル6の反対側から出ている。
これらの構成により、半球体3、4が床上を回動するので、真空掃除機自体と床との間の摩擦が除去され、これにより、可撓性ホース7を単に引くだけのほんの僅かな労力で、床に沿って真空掃除機を移動することができるということが理解できる。(部分翻訳文第1頁第28?35行))
(4)「La forme generale spherique de l'enveloppe de l'aspirateur permet en outre de franchir aisement les obstacles tels que les tapis ou au contraire de les eviter, car lorsque les spheres rencontrent par exemple un pied de meuble, celles-ci s'inclinent autour d'un axe horizontal sans aucun effort, grace au fait que le mecanisme 1 qui est assez lourd est situe au-dessous de l'axe horizontal de la sphere, ce qui fait contrepoids a la maniere d'un poussah.
De part et d'autre du chemin de roulement 9 sont prevus des meplats 3a et 3b sur chaque hemisphere, afui de pouvoir immobiliser l'aspirateur en le posant sur l'un ou l'autre de ses meplats. Pour vider le sac a poussieres 10 piace au-dessus du mecanisme 1, on pose l'aspirateur sur l'un de ses meplats et on retire l'hemisphere superieur qui est bien entendu amovible.
Dans l'espace qui separe les deux hemispheres, est placee une poignee de prehension 11 fixee directement sur le bati du mecanisme 1 et cette poignee presente avantageusement deux becs 11a et 11b qui permettent d'enrouler le fil electrique 8 autour de cette poignee.
Selon un mode de realisation represente sur la figure 3, les deux hemispheres 3 et 4 sont montes sur des essieux 12 qui font un angle entre eux de facon que ces deux hemispheres 3 et 4 soient ecartes l'un de l'autre a leur partie superieure meme en roulant.」(第1頁右欄第26行?第2頁左欄第14行、訳:また、真空掃除機の筐体の球状の全体的形状により、マットのような障害物を容易に乗り越える又は回避することができ、なぜならば、例えば、球体が家具の脚に遭遇したとき、かなり重い機構1が、球の水平軸の下方に位置し、それゆえに、起き上がりこぼし(或いは「ウィーブル」(商標))のようにカウンターウェイトとして動作する、という事実により、球体自体が水平軸を中心に簡単に傾くからである。
走行路9の各側面には、各半球体の上に平坦部3a、3bがあり、それにより、一方又は他方の平坦部の上に真空掃除機を立たせることによって真空掃除機を不動にすることができる。機構1の上方に配置された集塵袋10を空にするために、真空掃除機は、その平坦部の一方の上に配置され、勿論取り外し可能な上部半球体は、外される。
二つの半球体を分離している空間には、機構1の構造体に直接固定された取っ手11が配置され、この取っ手は、有利には、電源コード8をこの取っ手の回りに巻き付けることができるように、二つの耳11a、11bを有する。
図3に図示された一つの実施形態によれば、二つの半球体3、4は、互いに角度をなす軸12に、取り付けられ、それにより、これら二つの半球体3、4は、転がっているときでも上部部分で互いに分離されている。(部分翻訳文第2頁第8?25行))
(5)図2には、二つの半球状の殼3、4を分離する隙間である空間5(上記記載事項(3)参照)を通して二つの半球状の殼3、4からなる筐体の内側に機構1や集塵袋10の一部が見える様子や、
ノズル6を介した可撓性ホースが延出する方向に垂直で且つ水平の方向である、左右の方向に、二つの半球状の殼3、4が、空間5を介して、球状の筐体となるように配置され、
二つの半球状の殼3、4の平坦走行路9がともに接地する様子、
集塵袋10とともに、機構1が左右の両側で、軸部2により、二つの半球状の殼3、4の内側に取り付けられる様子が図示される。
また、図1,2,3には、空間5を通って半球体3、4の上方に突出する取っ手11が図示される。
上記(1)?(4)の記載事項及び(5)の図示内容を総合すると、上記甲第1号証には以下の発明(以下「引用発明1」という。)が記載されていると認められる。
「電動機及びファンを備えた機構1と、
機構1のファンに連結されたノズル6で終端する可撓性ホース7と、
機構1の上方に配置され、二つの半球状の殼3、4の内側に取り付けられる集塵袋10と、
空間5によって分離された二つの半球状の殼3、4内で軸部2に、ノズル6を介した可撓性ホースが延出する方向に垂直で且つ水平の方向である、左右の方向の両側で吊されている機構1を備える、床上を回動する、空間5によって分離された、平坦走行路9がともに接地する二つの半球状の殼3、4を備え、
機構1の最も重い質量が球体の水平方向の直径の下方に位置するように、機構1がその中に吊るされることで、起き上がりこぼしのようにカウンターウェイトとして動作する、という事実により、真空掃除機の筐体の球状の全体的形状により、マットのような障害物を容易に乗り越える又は回避することができる
空間5を通して二つの半球状の殼3、4からなる筐体の内側に機構1や集塵袋10の一部が見え、
空間5を通って半球体3、4の上方に突出する取っ手11を有する
真空掃除機。」
又、「上部部分で互いに分離するように、二つの半球状の殼3、4は、互いに角度をなす軸12に、取り付けられる態様」も示されている。

2.甲第2号証
甲第2号証には、図1?9とともに以下の記載がある。なお、翻訳文は、請求人が甲第2号証とともに提出した部分翻訳文による。また、アクサン、セディーユは省略した。
(1)「La presente invention concerne un aspirateur mobile pour dechets menagers, comprenant une structure interne ayant des moyens pour aspirer l'air charge de dechets menagers par une entree d'air, des moyens pour filtrer l'air aspire et retenir les dechets menagers qu'il contient, des moyens pour evacuer l'air filtre par au moins une sortie d'air, et une structure de protection destinee a minimiser ou supprimer les degats provoques par les chocs entre l'aspirateur et d'autres objets tels que des meubles environnants.」(第1頁第4?11行、訳:本発明は空気入口を介して家庭のゴミを含む空気を吸引する手段と、吸引された空気をフィルターし、それに含まれる家庭のゴミを保持する手段と、少なくとも一の空気出口を介してフィルターされた空気を排出する手段と、真空掃除機と周辺の家具のような他のものとの間の衝突により生ずる損傷を最小化し又は除去するよう適合された保護構造とを有する内部構造からなる家庭のゴミ用の移動真空掃除機に関する。(部分翻訳文第1頁第7?11行))
(2)「Pour atteindre ces buts ainsi que d'autres, un aspirateur selon l'invention comprend une structure interne ayant des moyens pour aspirer l'air charge de dechets menagers par une entree d'air, des moyens pour filtrer l'air aspire et retenir les dechets menagers qu'il contient, des moyens pour evacuer l'air filtre par au moins une sortie d'air, et une structure peripherique gonflable alimentee en air par ladite sortie d'air ; la structure peripherique gonflable est delimitee par une ou plusieurs parois peripheriques flexibles dont l'enveloppe entoure entierement l'ensemble de la structure interne de l'aspirateur comprenant les moyens pour aspirer, pour filtrer et pour evacuer l'air.
Selon un mode de realisation prefere, une portion de la structure peripherique gonflable constitue une surface d'appui par laquelle l'aspirateur peut reposer sur le sol.」(第2頁第23?35行、訳:上記及び他の目的を達成するために、本発明による真空掃除機は空気入口を介して家庭のゴミを含む空気を吸引する手段と、吸引された空気をフィルターし、それに含まれる家庭のゴミを保持する手段と、少なくとも一の空気出口を介してフィルターされた空気を排出する手段と、該出口を介して空気を供給される膨張可能な周辺構造とを有する内部構造からなる家庭のゴミ用の真空掃除機であって、膨張可能な周辺構造は一以上の可撓性外周壁により画定され、その外包は、吸引手段と、フィルター手段と、空気排出手段とを有する真空掃除機の内部構造全てを全体的に覆う真空掃除機である。
本発明の好ましい一実施例では膨張可能な周辺構造の一部分は真空掃除機が床に置かれる支持面を構成する。(部分翻訳文第1頁第21?29行))
(3)「Dans ce cas, de preference, les deux elements peripheriques gonflables sont montes rotatifs selon un axe de rotation generalement perpendiculaire a l'axe de l'entree d'air. L'aspirateur peut alors rouler sur le sol par les elements peripheriques gonflables, qui sont retenus sur la structure interne par des moyens de guidage axial et peuvent tourillonner autour d'une surface cylindrique de structure interne avec interposition d'une lame d'air insufflee par l'aspirateur.」(第3頁第21?27行、訳:この場合には2つの膨張可能な周辺部材は、好ましくは、空気入口の軸に概略垂直な回転軸に関して回転可能に設けられている。真空掃除機は膨張可能な周辺部材により床上をころがることが可能であり、これらは軸方向案内手段により内部構造上に保持され、真空掃除機により吹き込まれた空気の層をその間に有する内部構造の円筒面のまわりで回転可能である。(部分翻訳文第1頁第32?末行))
(4)「- la figure 1 est une vue de cote en coupe longitudinale d'un aspirateur selon un premier mode de realisation de la presente invention ;
- la figure 2 est une vue de cote en coupe longitudinale de la structure peripherique gonflable dans le mode de realisation de la figure 1 ;
- la figure 3 est une vue en perspective d'un aspirateur selon le mode de realisation de la figure 1 ;
- la figure 4 est une vue en coupe longitudinale d'un aspirateur selon un second mode de realisation de la presente invention ;
- la figure 5 est une coupe longitudinale schematique d'un aspirateur selon un troisieme mode de realisation de l'invention ;
- la figure 6 est une coupe longitudinale d'un aspirateur selon un quatrieme mode de realisation de l'invention ;
- la figure 7 illustre, a plus grande echelle, la liaison entre un element de structure peripherique gonflable rotatif et la structure interne de l'aspirateur dans le mode de realisation de la figure 5 ;
- la figure 8 est une vue en perspective de l'aspirateur selon l'invention dans le mode de realisation de la figure 5 ; et
- la figure 9 illustre un aspirateur selon la presente invention dans un cinquieme mode de realisation.
DESCRIPTION DES MODES DE REALISATION PREFERES
Dans le mode de realisation illustre sur les figures 1 a 3, l'aspirateur 10 comporte essentiellement une structure interne contenue dans un carter tubulaire creux rigide 11 et comportant une turbine d'aspiration 12 entrainee par un moteur 12a. Le moteur 12a est maintenu dans le carter 11 au moyen d'un support 14 qui definit une chambre amont 15 et une chambre aval 16. La chambre amont 15 est conformee pour contenir un sac a dechets 13, et comprend une entree d'air 24. Le support 14 est conforme pour laisser passer l'air depuis la chambre amont 15 vers la chambre aval 16 en lui faisant traverser un ou plusieurs filtres 26 qui evitent que des particules indesirables ne penetrent dans le moteur 12a.
Dans ce mode de realisation, le moteur 12a et la turbine d'aspiration 12 sont places dans la chambre aval 16.
Un couvercle amont 18 ferme l'extremite amont de la chambre amont 15, et comporte l'entree d'air 24.
Un couvercle aval 17 ferme l'extremite aval de la chambre aval 16.」(第3頁第36行?第4頁第34行、訳:図1は本発明による真空掃除機の第一の実施例の長手方向断面の側面図を示す。
図2は図1の実施例の膨張可能な周辺構造の長手方向断面の側面図を示す。
図3は図1の実施例の斜視図を示す。
図4は本発明による真空掃除機の第二の実施例の長手方向断面を示す。
図5は本発明による真空掃除機の第三の実施例の長手方向断面を示す。
図6は本発明による真空掃除機の第四の実施例の長手方向断面を示す。
図7は図5の実施例の回転可能な膨張可能な周辺構造と内部構造との間の接続を示す拡大図である。
図8は本発明による真空掃除機の図5の実施例の斜視図である。
図9は本発明による真空掃除機の第九の実施例を示す。
好適実施例の説明
図1から3に示される実施例では真空掃除機10は本質的に堅い中空の管状筐体11内に含まれる内部構造からなり、モーター12aにより駆動される吸引タービン12が含まれる。モーター12aは上流の室15と下流の室16を画成する支持体14により筐体11に保持される。上流室15はゴミ袋13と、空気入口24を含むよう成型される。支持体14は上流室15から下流室16へ望ましくない粒子がモーター12aに入来することを防ぐ一以上のフィルター26を通して空気を送ることを許容する。
この実施例で、モーター12a及び吸入タービン12は下流室16にある。
上流カバー18は上流室15の上流端を閉じ、空気入口24を含む。
下流カバー17は下流室16の下流端を閉じる。(部分翻訳文第2頁第8?28行))
(5)「Dans le mode de realisation des figures 1 a 3, la structure peripherique gonflable 30 comprend un seul element de structure, et est delimitee par une paroi interieure 31 tubulaire engagee autour du carter 11, et par une paroi peripherique externe 32 flexible. Les parois 31 et 32 definissent une enceinte annulaire gonflable entourant un espace interieur, ouvert a deux extremites opposees 22 et 23 constituant chacune un passage libre.
La premiere extremite 22 constitue un premier passage libre au droit de l'entree d'air 24, pour autoriser le raccordement d'un tube d'aspiration d'air 25 a l'entree d'air 24. Ce premier passage libre 22 est entoure d'une portion de la paroi peripherique externe 32 constituant une levre gonflable 27 qui est proeminente, par rapport a laquelle l'entree d'air 24 est en retrait.
La seconde extremite 23 constitue un second passage libre, traverse par le cordon 21 de connexion de l'aspirateur au reseau exterieur de distribution d'energie electrique. De la meme facon, le second passage libre 23 est entoure d'une portion de la paroi peripherique externe 32 constituant une levre gonflable 28 qui est proeminente.
Comme on le voit sur la figure 1, la structure peripherique gonflable 30 est delimitee par une paroi peripherique externe 32 flexible continue dont l'enveloppe entoure entierement l'ensemble de la structure interne de l'aspirateur comportant les moyens pour aspirer l'air 12 et 12a, les moyens pour filtrer l'air 13 et 26, ainsi que les moyens pour evacuer l'air 29.
Dans la presente description et dans les revendications annexees, le terme "enveloppe" designe la surface exterieure convexe a volume minimum contenant la structure peripherique gonflable. Dans le cas de la figure 1, cette enveloppe est formee par la surface exterieure de la paroi peripherique externe 32, se raccordant aux plans d'extremite 27a et 28a tangents aux bords respectifs des levres 27 et 28. Cette enveloppe entoure entierement l'ensemble de la structure interne de l'aspirateur et notamment le moteur 12a, la turbine 12, le carter rigide 11, les couvercles 17 et 18.」(第5頁第15行?第6頁第11行、訳:図1から3に示される実施例では膨張可能な周辺構造30が単一の構造要素からなり、筐体11の周囲に適合された筒状内壁31及び可撓性外周壁32により境界を設定されている。壁31、32はそれぞれが自由通路を構成する、2つの対向する端22、23で開いている内部空間を囲む膨張可能な輪状の囲いを画成する。
第一の端22は空気入口24と整列した第一の自由通路を構成し、空気吸入筒25が空気入口24と連結するのを可能にする。この第一の自由通路は膨張可能なリップ27を空気入口24がセットバックするよう突出させるよう構成する外周壁32の一部により囲まれる。
第二の端23は真空掃除機を外部電源分配ネットワークに接続するコード21を送り出す第二の自由通路を構成する。同様にして第二の自由通路23は突出する膨張可能なリップ28を構成する外周壁32の一部分により囲まれる。
図1を参照するに、膨張可能な周辺構造30は連続な可撓性外周壁32により境界を設定され、その外包は空気排出手段20と共に空気吸入手段12、12a、空気フィルター手段13、26を含む真空掃除機の内部構造の全てを全体的に囲む。
本明細書及び請求項で「外包(エンベロープ)」という用語は膨張可能な周辺構造を含む最小体積凸状外面を示す。図1で外包はリップ27、28のそれぞれの縁と接する端面27a、28aに連結される外周壁32の外面により形成される。この外包は特にモーター12a、タービン12、堅い筐体11、カバー17、18である真空掃除機の内部構造の全てを全体的に囲む。(部分翻訳文第3頁第4?22行))
(6)「Lorsque le moteur 12a est alimente en energie electrique, il produit une aspiration qui augmente la pression d'air a l'interieur de la chambre aval 16. L'air penetre alors dans la structure peripherique gonflable 30 par les ouvertures 29 et les fentes 33, et il gonfle la structure peripherique externe 30. Le volume de la structure peripherique externe 30 augmente sous l'effet de cette pression jusqu'a ce que la structure soit totalement gonflee. L'air s'echappe alors vers l'atmosphere exterieure soit a travers la paroi peripherique externe 32, soit a travers des ouvertures appropriees.」(第7頁第25?33行、訳:モーター12aが給電されたときに、モーター12aは下流室16内の空気圧を増加させる吸引力を発生する。故に空気は開口29及びスロット33を介して膨張可能な周辺構造30に入来し、空気は外周構造30を膨張させる。外周構造30の体積は構造が全体的に膨張するまでこの圧力のために増加する。空気は外周壁32又は適切な開口を通して外側の大気に逃げる。(部分翻訳文第3頁第27?32行))
(7)「Dans le mode de realisation illustre sur la figure 4, on retrouve les elements essentiels de l'aspirateur de la presente invention, reperes par les memes references numeriques : le moteur 12a entrainant la turbine 12, une chambre amont 15, une chambre aval 16, l'entree d'air 24, une structure peripherique gonflable 30.
Dans ce second mode de realisation, la structure peripherique gonflable 30 comprend un premier element peripherique gonflable 30a et un second element peripherique gonflable 30b separes l'un de l'autre par une gorge annulaire 30c susceptible d'etre traversee par le tube d'aspiration 25 et/ou par le cordon 21 de connexion permettant de connecter l'aspirateur au reseau exterieur de distribution d'energie electrique.
Chacun des elements peripheriques gonflables 30a et 30b est de forme enveloppante continue telle qu'une forme cylindrique borgne, comme illustre sur la figure.
Les deux elements peripheriques gonflables 30a et 30b sont montes rotatifs selon un axe de rotation I-I generalement perpendiculaire a l'axe de l'entree d'air 24, laquelle entree d'air 24 etant disposee dans la gorge peripherique 30c.
Comme dans le mode de realisation des figures 1 a 3 la structure interne de l'aspirateur est contenue dans un carter tubulaire 11 oriente selon l'axe I-I de rotation.
Chacun des elements peripheriques gonflables 30a et 30b est retenu sur la structure interne par des moyens de guidage axial, et tourillonne autour d'une portion d'extremite du carter cylindrique 11, ladite portion d'extremite etant alors cylindrique de revolution.
On peut avantageusement prevoir de constituer une lame d'air insufflee par l'aspirateur entre l'element peripherique gonflable 30a et 30b et la surface externe du carter 11.
La variante illustree sur la figure 6 reprend la structure du mode de realisation de la figure 4, avec deux elements peripheriques gonflables 30a et 30b. La difference est dans la forme externe des elements peripheriques gonflables 30a et 30b, qui sont des calottes spheriques.」(第8頁第11行?第9頁第8行、訳:図4に示された実施例で、本発明による真空掃除機の本質的な要素は同一の符号で識別されうる:即ちタービン12を駆動するモーター12a、上流室15、下流室16、空気入口24、膨張可能な周辺構造30。
この第二の実施例で、膨張可能な周辺構造30は第一の膨張可能な周辺部材30aと第二の膨張可能な周辺部材30bとからなり、これらは輪状の溝30cにより相互に分離され、それを通って吸入筒25及び/又は外部電源分配ネットワークに真空掃除機を接続するコード21が通る。
膨張可能な周辺部材30a、30bのそれぞれは図示されるような一方が閉じた(ブラインド)円筒形のような連続的な外包形を有する。
2つの周辺部材30a、30bは概略空気入口24の軸線に垂直な回転軸線I-Iのまわりで回転可能であり、空気入口24は周辺溝30cの内側に配置される。
図1から3に示される実施例にあるように、真空掃除機の内部構造は回転軸線I-Iに沿って方向付けられた筒状の筐体11に含まれる。
膨張可能な周辺部材30a、30bのそれぞれは軸方向案内手段により内部構造に保持され、円筒形筐体11の端部分のまわりで回転し、該端部分はそれ故円形の円筒である。
空気層は好ましくは膨張可能な周辺部材30a、30bと筐体11の外周との間に真空掃除機により吹き込まれる.
図6に示される変形例は2つの膨張可能な周辺部材30a、30bを有する図4の実施例の構造と同じ構造に適用したものである。違いは球形のドームである膨張可能な周辺部材30a、30bの外形にある。(部分翻訳文第3頁第35行?第4頁第18行))
(8)「1 - Aspirateur pour dechets menagers, comprenant une structure interne ayant des moyens pour aspirer l'air (12, 12a) charge de dechets menagers par une entree d'air (24), des moyens pour filtrer l'air (13, 26) aspire et retenir les dechets menagers qu'il contient, des moyens pour evacuer l'air filtre par au moins une sortie d'air (29), et une structure peripherique gonflable (30) alimentee en air par ladite sortie d'air (29), caracterise en ce que la structure peripherique gonflable (30) est delimitee par une ou plusieurs parois peripheriques externes (32) flexibles dont l'enveloppe entoure entierement l'ensemble de la structure interne (12, 12a, 13, 14, 15, 16, 26) de l'aspirateur comprenant les moyens pour aspirer (12, 12a), pour filtrer (13, 26) et pour evacuer (29) 1 'air .
2 - L'aspirateur selon la revendication 1, caracterise en ce qu'une portion de la structure peripherique gonflable (30) constitue une surface d'appui par laquelle l'aspirateur peut reposer sur le sol.
・・・(中略)・・・
6 - Aspirateur selon l'une des revendications l ou 2, caracterise en ce que la structure peripherique gonflable (30) comprend un premier element peripherique gonflable (30a) et un second element peripherique gonflable (30b) separes l'un de l'autre par une gorge annulaire (30c) susceptible d'etre traversee par le tube d'aspiration (25) et/ou par le cordon (21) de connexion de l'asplrateur au reseau exterieur de distribution d'energie electrique.
・・・(中略)・・・
8 - Aspirateur selon la revendication 6, caracterise en ce que chacun des elements peripheriques gonflables (30a, 30b) est de forme enveloppante continue telle qu'une forme cylindrique borgne ou en calotte spherique.
9 - Aspirateur selon l'une quelconque des revendications 6 a 8, caracterise en ce que les deux elements peripheriques gonflables (30a, 30b) sont montes rotatifs selon un axe de rotation (I-I) generalement perpendiculaire a l'axe de l'entree d'air (24). 」(特許請求の範囲、訳:1.空気入口(24)を介して家庭のゴミを含む空気を吸引する手段(12、12a)と、吸引された空気をフィルターし、それに含まれる家庭のゴミを保持する手段(13、26)と、少なくとも一の空気出口(29)を介してフィルターされた空気を排出する手段と、該出口(29)を介して空気を供給される膨張可能な周辺構造(30)とを有する内部構造からなる家庭のゴミ用の真空掃除機であって、膨張可能な周辺構造(30)は一以上の可撓性外周壁(32)により画定され、その外包は真空掃除機の内部構造(12、12a、13、14、15、16、26)の全てを全体的に囲うことを特徴とする真空掃除機。
2.膨張可能な周辺構造(30)の一部分は真空掃除機が床に置かれる支持面を構成することを特徴とす請求項1記載の真空掃除機。
・・・(中略)・・・
6.膨張可能な周辺構造(30)は環状の溝(30c)により相互に分けられる第一の膨張可能な周辺部材(30a)と第二の膨張可能な周辺部材(30b)とを含み、それを通して吸入筒(25)及び/又は真空掃除機を外部電源ネットワークと接続するコード(21)が通過することを特徴とする請求項1又は2記載の真空掃除機。
・・・(中略)・・・
8.膨張可能な周辺部材(30a、30b)のそれぞれは一方が閉じた円筒形又は球形のドーム型のような連続的な外包型であることを特徴とする請求項6記載の真空掃除機。
9.2つの膨張可能な周辺部材(30a、30b)は空気入口(24)の軸線に概略垂直な回転軸線(I-I)のまわりで回転可能であることを特徴とする請求項6乃至8のうちいずれか1項記載の真空掃除機。(部分翻訳文第4頁第22行?第5頁第13行))
(9)図4には、大径のタービン12やモーター12aのタービン側の(黒塗りされた)部分は外形が見え、モーター12aのタービン12と反対側の部分はそのケースが一部切り欠かれ、モーター12a内の構造の一部が見える様子、並びに空気吸入筒25、空気入口24及び空気入口24に続く部品の外形が見える様子が図示される。
図5、6及び8には、中央に空気入口24が配される様子が図示される。
また、図3や8には空気入口24に接続される空気吸入筒25やそれに続く延長管、吸い込み口が図示される。
上記(1)?(8)の記載事項及び図面を、特に図6に着目して、総合すると、上記甲第2号証には以下の発明(以下「引用発明2」という。)が記載されていると認められる。
「吸引力を発生する、モーター12aにより駆動される吸引タービン12が含まれる筒状の筐体11と、
家庭のゴミを含む空気を吸引する空気入口24に、空気吸入筒25やそれに続く延長管を介して接続される吸い込み口と、
筒状の筐体11の上流室15に配されゴミ袋13と、
輪状の溝30cにより相互に分離される、球形のドーム型のような連続的な外包型であって、
その外包は、空気排出手段20と共に空気吸入手段12、12a、空気フィルター手段13、26、モーター12a、タービン12、堅い筒状の筐体11を含む真空掃除機の内部構造の全てを全体的に囲む、
空気入口24の軸線に垂直な回転軸線I-Iのまわりで回転可能で、筒状の筐体11の端部分のまわりで回転し、
膨張可能な周辺構造の一部分は真空掃除機が床に置かれる支持面を構成する
膨張可能な周辺部材30a、30bを備えた、
真空掃除機。」

3.甲第3号証
甲第3号証には、掃除機について、その歴史等とともに、「分類」の項の「本体の型」に「床移動型(キャニスター型)」が説明され、同じく「分類」の項の「吸込口」に、「ほとんどの床移動型家庭用掃除機には床用吸込口、棚用吸込口、すきま用吸込口が標準で付属する。」と記載され、さらに「床用吸込口」が説明されている。

4.甲第4号証
「床移動式クリーナー」の項に、「一般的に広く使われているタイプです。」と記載され、掃除機本体にホース、延長管を介して吸込口が接続される様子が図示される。

5.甲第5号証
「おきあがり・こぼうし」【起上り小法師】の項に「達磨だるまの形に造った人形の底におもりをつけた玩具。倒してもすぐに起きなおる。不倒翁。おきあがりこぼし。おきゃがりこぼし。」と記載されている。

6.甲第6号証
「きん‐ぼう【近傍】」の項に「(1)近所。近辺。日葡辞書『キンパウ』(2)〔数〕距離空間で、一点Pからの距離が或る値より小さいすべての点から成る部分集合を、Pの近傍という。一般の位相空間でも、この概念を拡張して、集合に属する各要素に対して近傍を設定する。→位相」と、
「だん‐めん【断面】」の項に「(1)もののきりくちの面。切断面。(2)物事をある観点から見た時、そこに現れている状態。『社会の一?』 -・ず【断面図】物体をある平面で切ったと仮定して、その内部構造をえがいた図。」と、及び
「ほぼ【粗・略】」の項に、「〔副〕おおかた。およそ。大略。あらあら。南海寄帰内法伝平安後期点『聊かに此の徒ともがらの為に粗ホホ詮衡す』。『仕事は?片付いた』『?間違いない』『?全員が集まる』」と記載されている。

7.乙第1号証
「がい‐かく【外郭・外廓】」の項に「外部を囲むかこい。そとぐるわ。←→内郭。 -だんたい【外郭団体】官庁や政党などの組織の外部にあって、これと連携を保ちその活動や事業を助ける団体。 がいかく‐もん【外郭門】大内裏だいだいり外郭の諸門。←→内郭門」と記載されている。

第7 無効理由の検討
1.本件訂正1について
請求人は、請求項1及び2に係る訂正請求は認められないから、本件特許発明1及び2は、特許明細書の特許請求の範囲に記載された請求項1及び2に記載されたとおりのものである。そして、本件特許発明1及び2は、甲第1号証又は甲第2号証に記載された発明であり、又は甲第2号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであると主張する。
請求人の主張する訂正請求が認められない理由は、概略、第4の1のとおり、「又は」との記載があり、二者択一的であるから、前者の構成要件を満たさず、後者の構成要件が満たす場合を含むというものである。

しかしながら、上記請求人の訂正後の請求項1に記載された「又は」の解釈については、上記第2の2.(1)ア(エ)で述べたとおりであって、訂正請求は認められるものである。
つまり、訂正後の請求項1に記載される電気掃除機は、第1の転がり面36及び第2の転がり面37を有し、掃除機本体20は第1の転がり面36又は第2の転がり面37が床面に接するように傾くものである。
第1の転がり面36と第2の転がり面37は床面に同時に接するものではないから、「且つ」の表現は適切ではなく、どちらか一方の転がり面が床面に接するように傾く場合を表現する「又は」が適切といえる。
そうすると、本件訂正1は第2の2.(1)で述べたとおり認められるから、本件特許発明1及び2は、特許明細書の特許請求の範囲に記載された請求項1及び2に記載されたとおりのものではなく、訂正請求による訂正後の請求項1及び2に記載された発明である。

2.本件特許発明1について
(1)甲第1号証に記載された発明(引用発明1)であることについて
本件特許発明1と引用発明1とを対比すると、
後者の「電動機及びファン」は「真空掃除機」に備えられるものであるから、前者の「吸引力を発生する電動送風機」に相当し、後者の「真空掃除機」は「電動機及びファン」を備えるから、前者の「電気掃除機」に相当する。
また、後者の「電動機及びファンを備えた機構1」は、その機能・構成からみて、前者の「吸引力を発生する電動送風機を内蔵した掃除機本体」に相当し、以下同様に、後者の「ノズル6で終端する可撓性ホース7」は前者の「ホース」に、後者の「機構1の上方に配置され、二つの半球状の殼3、4の内側に取り付けられる集塵袋10」は前者の「掃除機本体に設け塵埃を集塵する集塵部」に、後者の「床上を回動する、空間5によって分離された、平坦走行路9がともに接地する二つの半球状の殼3、4」は前者の「床面移動用の一対の車輪」にそれぞれ相当する。
後者の「機構1のファンに連結されたノズル6で終端する可撓性ホース7」は真空掃除機に備えられるものであるから、可撓性ホース7を介してファンにより塵埃を吸い込むものといえ、また、後者は「床上を回動する」「平坦走行路9がともに接地する二つの半球状の殼3、4」を有するから、床面を移動しながら掃除する真空掃除機である。すると、後者は、床面を移動しながら可撓性ホースを介して塵埃を吸引して掃除する真空掃除機であり、このような真空掃除機がホースに続く延長管や吸口体を有することは当業者において技術常識ともいえることから、後者が「機構1のファンに連結されたノズル6で終端する可撓性ホース7」を備えることは、前者が「電動送風機の吸引力にて延長管及びホースを介して被掃除面の塵埃を吸い込むための吸口体」を備えることと実質的に同様であるといえる。
後者の「空間5によって分離された二つの半球状の殼3、4内で軸部2に、ノズル6を介した可撓性ホースが延出する方向に垂直で且つ水平の方向である、左右の方向の両側で吊されている機構1を備える、床上を回動する、空間5によって分離された、平坦走行路9がともに接地する二つの半球状の殼3、4」とは、機構1がその両側で、軸部2により吊されて、二つの半球状の殼3、4に設けられる状態であるから、前者の「掃除機本体の側面に設けた床面移動用の一対の車輪」に相当する。
後者の「二つの半球状の殼3、4」について、後者が「機構1の最も重い質量が球体の水平方向の直径の下方に位置するように、機構1がその中に吊るされることで、起き上がりこぼしのようにカウンターウェイトとして動作する」ものであることから、「二つの半球状の殼3、4」の外表面は「起き上がりこぼし」として作用するための面であるといえる。したがって、後者の「二つの半球状の殼3、4」が上記の作用を有する外表面を有することは前者の「一対の車輪は、第1の転がり面を有」することに相当するとともに、後者の「機構1の最も重い質量が球体の水平方向の直径の下方に位置するように、機構1がその中に吊るされること」は前者の「掃除機本体が、前記第1の転がり面」「が床面に接するよう傾いても、前記一対の車輪が床面に接地する方向に前記掃除機本体が回動して元に戻るように前記掃除機本体の重心を設けた」ことに相当する。

したがって、本件特許発明1と引用発明1とは、
「吸引力を発生する電動送風機を内蔵した掃除機本体と、前記電動送風機の吸引力にて延長管及びホースを介して被掃除面の塵埃を吸い込むための吸口体と、前記掃除機本体に設け塵埃を集塵する集塵部と、前記掃除機本体の側面に設けた床面移動用の一対の車輪を備え、前記一対の車輪は、第1の転がり面を有し、前記掃除機本体が、前記第1の転がり面が床面に接するよう傾いても、前記一対の車輪が床面に接地する方向に前記掃除機本体が回動して元に戻るように前記掃除機本体の重心を設けた電気掃除機。」である点で一致し、以下の点で相違する。
相違点:本件特許発明1が「前記掃除機本体は、第2の転がり面を有し」、「前記掃除機本体が、」「前記第2の転がり面が床面に接するよう傾いても、前記一対の車輪が床面に接地する方向に前記掃除機本体が回動して元に戻るように前記掃除機本体の重心を設け」ているのに対して、引用発明1は「空間5を通して二つの半球状の殼3、4からなる筐体の内側に機構1や集塵袋10の一部が見え」るものの、機構1や集塵袋10が床面に接する転がり面を有するものではない点。

そこで、上記相違点について検討する。
本件特許発明1は掃除機本体が第2の転がり面を有するものであって、当該第2の転がり面は床面に接するように、掃除機本体が傾くものである。

これについて、請求人は「第2の転がり面」がどのような面か規定しておらず、床面に接するような面であるともしていないから、単にそう称する外面を有するにすぎないと主張する。
しかしながら、少なくとも「転がり面」と称するから、転がる面であるといえる。また、第2の2.(1)ア.(エ)で述べたように、明細書においても第2の転がり面が床面に接する面であることが記載されている。

さらに、本件特許発明1は「掃除機本体が、前記第1の転がり面又は前記第2の転がり面が床面に接するよう傾いても」と記載されることからも第2の転がり面は床面に接する面であるといえる。
これについて、請求人は「又は」と二者択一的に記載されるているから、「掃除機本体が第1の転がり面が床面に接すように傾」く場合、「第2の転がり面」が床面に接するよう形成されることは要件でないと主張するが、そもそも「掃除機本体は、第2の転がり面を有」することは発明の構成要件である上に、第2の2.(1)ア.(エ)で述べたように、第2の転がり面についても床面に接するものであるから上記請求人の主張は失当である。

以上のようであるから、本件特許発明1と引用発明1とは相違するので、本件特許発明1が甲第1号証に記載された発明であるとはいえない。

(2)甲第2号証に記載された発明(引用発明2)であることについて
本件特許発明1と引用発明2とを対比すると、
後者の「吸引力を発生する、モーター12aにより駆動される吸引タービン12」は、その機能・構成からみて、前者の「吸引力を発生する電動送風機」に相当し、以下同様に、後者の「筒状の筐体11」は前者の「掃除機本体」に、後者の「家庭のゴミを含む空気を吸引する空気入口24に、空気吸入筒25やそれに続く延長管を介して接続される吸い込み口」は前者の「電動送風機の吸引力にて延長管及びホースを介して被掃除面の塵埃を吸い込むための吸口体」に、後者の「筒状の筐体11の上流室15に配されゴミ袋13」は前者の「掃除機本体に設け塵埃を集塵する集塵部」に、後者の「空気入口24の軸線に垂直な回転軸線I-Iのまわりで回転可能で、筒状の筐体11の端部分のまわりで回転し、膨張可能な周辺構造の一部分は真空掃除機が床に置かれる支持面を構成する膨張可能な周辺部材30a、30b」は前者の「掃除機本体の側面に設けた床面移動用の一対の車輪」にそれぞれ相当する。
また、後者の「真空掃除機」は「モーター12aにより駆動される吸引タービン12」を有するものであるから前者の「電気掃除機」に相当する。
さらに、後者の周辺部材30a、30bが「輪状の溝30cにより相互に分離される、球形のドーム型のような連続的な外包型であって、その外包は、空気排出手段20と共に空気吸入手段12、12a、空気フィルター手段13、26、モーター12a、タービン12、堅い筒状の筐体11を含む真空掃除機の内部構造の全てを全体的に囲む」ものであることは、その形状からみて、前者の一対の車輪が「第1の転がり面を有」することに相当する。

したがって、本件特許発明1と引用発明2とは、
「吸引力を発生する電動送風機を内蔵した掃除機本体と、前記電動送風機の吸引力にて延長管及びホースを介して被掃除面の塵埃を吸い込むための吸口体と、前記掃除機本体に設け塵埃を集塵する集塵部と、前記掃除機本体の側面に設けた床面移動用の一対の車輪を備え、前記一対の車輪は、第1の転がり面を有する電気掃除機。」である点で一致し、以下の点で相違する。
相違点:本件特許発明1が、「掃除機本体は、第2の転がり面を有し」、「前記掃除機本体が、前記第1の転がり面又は前記第2の転がり面が床面に接するよう傾いても、前記一対の車輪が床面に接地する方向に前記掃除機本体が回動して元に戻るように前記掃除機本体の重心を設けた」ものであるのに対して、引用発明2は、周辺部材30a、30bが「堅い筒状の筐体11を含む真空掃除機の内部構造の全てを全体的に囲」んでおり、重心がどのように設けられるかも不明である点。

そこで、上記相違点について検討する。
ア.本件特許発明1は掃除機本体が第2の転がり面を有するものであって、当該第2の転がり面は床面に接するように、掃除機本体が傾くものである。
そして、第2の転がり面が、床面に接するような、掃除機本体に形成された転がる面であることは、上記(1)で述べたとおりである。
引用発明2は、膨張可能な周辺部材30a、30bに関して、「その外包は、空気排出手段20と共に空気吸入手段12、12a、空気フィルター手段13、26、モーター12a、タービン12、堅い筒状の筐体11を含む真空掃除機の内部構造の全てを全体的に囲む」ものである。そうすると、筐体11が床面に接する転がり面を有するものとはいえない。

イ.重心について、請求人は、甲第2号証の図4が中心線と一致する回転軸I-Iを含む水平面における断面図であって、タービン12、モーター12a等は断面として表されていないから水平面より下側にこれら重い内部機構が配置されていると主張する。
しかしながら、図4は長手方向断面とするのみで、回転軸I-Iを含むものとも水平面におけるものともしていないこと、
図5、6及び8には、中央に空気入口24が配される様子が図示されていて、回転軸I-Iを含む水平面であれば、空気入口24が断面図として示されるといえるところ、図4には空気吸入筒25、空気入口24及び空気入口24に続く部品の外形が見える様子が図示されているから、回転軸I-Iを含む水平面の断面図とは直ちにはいえないこと、
図4には、大径のタービン12やモーター12aのタービン側の(黒塗りされた)部分は外形が見えるものの、タービン12より小径であるモーター12aのタービン12と反対側の部分はそのケースが一部切り欠かれ、モーター12a内の構造の一部が見える様子が図示されていて、真空掃除機のタービンやモーターの技術常識からみて水平面における断面図とも言い難いこと、
さらに図4は特許図面であって、説明のために図面にすぎず、正確な設計図ではないこと等を合わせ考えると、タービンやモータが下側に配置されるものとまではいえないから、重心が下側にあるとはいえない。
さらに、掃除機において直立姿勢が安定して走行するために必要であることが自明であるとしても、重心の位置以外にも車輪の配置等で安定させることも知られることから、重心を下側にすることでそれを達成しようとすることまで、甲第2号証に記載の掃除機において自明のこととはいえない。しかも引用発明2は一対の半球状の周辺部材30a、30bからなるものであって、そのような一般的でないものにおいてまで、下半分に重心を設けることが記載されていたに等しいとまではいえない。

ウ.小括
上記ア.及びイ.のとおりであるから、本件特許発明1と引用発明2とは相違するので、本件特許発明1が甲第2号証に記載された発明であるとはいえない。

(3)甲第2号証に記載された発明(引用発明2)から当業者が容易に発明をすることができたについて
上記(2)で述べた相違点について、検討する。
引用発明2は、膨張可能な周辺部材30a、30bに関して、「その外包は、空気排出手段20と共に空気吸入手段12、12a、空気フィルター手段13、26、モーター12a、タービン12、堅い筒状の筐体11を含む真空掃除機の内部構造の全てを全体的に囲む」ものであり、そのことによって「真空掃除機と周辺の家具のような他のものとの間の衝突により生ずる損傷を最小化し又は除去するよう適合された保護構造とを有する内部構造からなる家庭のゴミ用の移動真空掃除機」(第6の2.(1))を得るものである。
そうすると、引用発明2が上記の目的を達成するためにのものである以上、堅い筒状の筐体11に床面に接するような転がり面を設けることが、当業者が容易にできたとはいえない。
したがって、本件特許発明1は、甲第2号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたとはいえない。
そして、本件特許発明1は、明細書の段落【0074】に記載の効果を奏するものである。

(4)まとめ
以上(1)?(3)で述べたとおり、本件特許発明1は、甲第1号証又は甲第2号証に記載された発明であるとも、又は甲第2号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるともいえない。

3.本件特許発明2について
本件特許発明2は、請求項1に記載されたすべての発明特定事項を引用し、さらに請求項2に記載の事項を限定をするものである。
そして、請求項1に係る発明である本件特許発明1が、上記2.で述べたとおり、甲第1号証又は甲第2号証に記載された発明であるとも、又は甲第2号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるともいえないから、本件特許発明1のすべての構成要件を引用する本件特許発明2も同様に、甲第1号証又は甲第2号証に記載された発明であるとも、又は甲第2号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるともいえない。

4.本件特許発明5について
(1)甲第1号証に記載された発明(引用発明1)であることについて
本件特許発明5と引用発明1とを対比すると、
後者の「電動機及びファン」は「真空掃除機」に備えられるものであるから、前者の「吸引力を発生する電動送風機」に相当し、後者の「真空掃除機」は「電動機及びファン」を備えるから、前者の「電気掃除機」に相当する。
また、後者の「電動機及びファンを備えた機構1」は、その機能・構成からみて、前者の「吸引力を発生する電動送風機を内蔵した掃除機本体」に相当し、以下同様に、後者の「ノズル6で終端する可撓性ホース7」は前者の「ホース」に、後者の「機構1の上方に配置され、二つの半球状の殼3、4の内側に取り付けられる集塵袋10」は前者の「掃除機本体に設け塵埃を集塵する集塵部」に、後者の「床上を回動する、空間5によって分離された、平坦走行路9がともに接地する二つの半球状の殼3、4」は前者の「床面移動用の一対の車輪」にそれぞれ相当する。
後者の「機構1のファンに連結されたノズル6で終端する可撓性ホース7」は真空掃除機に備えられるものであるから、可撓性ホース7を介してファンにより塵埃を吸い込むものといえ、また、後者は「床上を回動する」「平坦走行路9がともに接地する二つの半球状の殼3、4」を有するから、床面を移動しながら掃除する真空掃除機である。すると、後者は、床面を移動しながら可撓性ホースを介して塵埃を吸引して掃除する真空掃除機であり、このような真空掃除機がホースに続く延長管や吸口体を有することは当業者において技術常識ともいえることから、後者が「機構1のファンに連結されたノズル6で終端する可撓性ホース7」を備えることは、前者が「電動送風機の吸引力にて延長管及びホースを介して被掃除面の塵埃を吸い込むための吸口体」を備えることと実質的に同様であるといえる。
後者の「空間5によって分離された二つの半球状の殼3、4内で軸部2に、ノズル6を介した可撓性ホースが延出する方向に垂直で且つ水平の方向である、左右の方向の両側で吊されている機構1を備える、床上を回動する、空間5によって分離された、平坦走行路9がともに接地する二つの半球状の殼3、4」とは、機構1がその両側で、軸部2により吊されて、二つの半球状の殼3、4に設けられる状態であるから、前者の「掃除機本体の側面に設けた床面移動用の一対の車輪」に相当する。
後者の「二つの半球状の殼3、4」について、後者が「機構1の最も重い質量が球体の水平方向の直径の下方に位置するように、機構1がその中に吊るされることで、起き上がりこぼしのようにカウンターウェイトとして動作する」ものであることから、「二つの半球状の殼3、4」の外表面は「起き上がりこぼし」として作用するための面であるといえる。したがって、後者の「二つの半球状の殼3、4」が上記の作用を有する外表面を有することは前者の「前記一対の車輪を転がり面と」することに相当するとともに、後者の「機構1の最も重い質量が球体の水平方向の直径の下方に位置するように、機構1がその中に吊るされること」は前者の「前記掃除機本体が前記転がり面が床面に接するよう傾いても、前記一対の車輪が床面に接地する方向に前記掃除機本体が回動するように前記掃除機本体の重心を設け」ことに相当する。
さらに後者の「空間5によって分離された二つの半球状の殼3、4」は、「空間5を通して二つの半球状の殼3、4からなる筐体の内側に機構1や集塵袋10の一部が見え」るようなものであるから、前者の「前記転がり面と前記掃除機本体から形成される外郭形状を略球形状または略球状の多面体にした」こととは、「前記転がり面から形成される外郭形状を略球形状にした」点で共通する。
したがって、本件特許発明5と引用発明1とは、
「吸引力を発生する電動送風機を内蔵した掃除機本体と、前記電動送風機の吸引力にて延長管及びホースを介して被掃除面の塵埃を吸い込むための吸口体と、前記掃除機本体に設け塵埃を集塵する集塵部と、前記掃除機本体の側面に設けた床面移動用の一対の車輪を備え、前記一対の車輪を転がり面とし、前記掃除機本体が前記転がり面が床面に接するよう傾いても、前記一対の車輪が床面に接地する方向に前記掃除機本体が回動するように前記掃除機本体の重心を設け、前記転がり面から形成される外郭形状を略球形状にした電気掃除機。」である点で一致し、以下の点で相違する。
相違点:本件特許発明5が「前記転がり面と前記掃除機本体から形成される外郭形状を略球形状または略球状の多面体にした」ものであるのに対して、引用発明1は「空間5によって分離された二つの半球状の殼3、4」を有し、「空間5を通して二つの半球状の殼3、4からなる筐体の内側に機構1や集塵袋10の一部が見え」るものである点。

そこで、上記相違点について検討する。
ア.「外郭形状」について
外郭とは、広辞苑によると、「がい‐かく【外郭・外廓】」の項に「外部を囲むかこい。そとぐるわ。 ‐だんたい【外郭団体】官庁や政党などの組織の外部にあって、これと連携を保ちその活動や事業を助ける団体。 がいかく‐もん【外郭門】大内裏だいだいり外郭の諸門。」(乙第1号証)と、また、「そと‐ぐるわ【外郭】」の項に「城の最外部にめぐらした郭。がいかく。とぐるわ。郭」(新村出編「広辞苑」第六版、株式会社岩波書店、2008年1月11日、P1651)とされている。
しかしながら、上記のように外郭なる用語は「かこい」や「郭」を想定しているものであるので、本件特許の図面に示されるものや甲第1及び第2号証に示される図面のもののどの部分、或いは形状を、外郭形状というのか、その用語のみでは明確でない。
つまり、外表面となる線、外形そのものの形状をいうのか、外部に対するかこいを別途に想定し、その形状をいうのか明確でない。
そこで本件の明細書の発明の詳細な説明や図面を参照しつつ、検討を進める。
まず、上記広辞苑の記載によると、外郭とは、外部を囲むかこい、最外部にめぐらした郭であることからみて、内部と外部を分けるかこいであるといえる。
一方、発明の詳細な説明の段落【0015】に「前記一対の車輪を転がり面とし、・・・(中略)・・・前記転がり面と前記掃除機本体から形成される外郭形状を略球形状または略球状の多面体にし、前記掃除機本体の少なくとも上面に把手等の突出体を形成し、前記突出体は、前記一対の車輪にて形成される略球形状の外郭線近傍に位置し、前記突出体を含む掃除機本体と前記一対の車輪から形成される前記外郭形状が略球形状または略球形状の多面体となるようにした電気掃除機であり」と、段落【0042】に「図13に示すように、掃除機本体20の上部には、突出体54を設け、両側面に車輪55を回転自在に配置し、突出体54は車輪55にて形成される略球形状の外郭線近傍に位置している。」と、また、段落【0079】に「前記一対の車輪を転がり面とし、・・・(中略)・・・前記転がり面と前記掃除機本体から形成される外郭形状を略球形状または略球状の多面体にし、前記掃除機本体の少なくとも上面に把手等の突出体を形成し、前記突出体は、前記一対の車輪にて形成される略球形状の外郭線近傍に位置し、前記突出体を含む掃除機本体と前記一対の車輪から形成される前記外郭形状が略球形状または略球形状の多面体となるようにしたものであり」と記載されている。
上記記載によると、「転がり面と前記掃除機本体から形成される外郭形状を略球形状」とするものにおいて、「突出体は、前記一対の車輪にて形成される略球形状の外郭線近傍に位置」するものとし、これを、「突出体を含む掃除機本体と前記一対の車輪から形成される前記外郭形状が略球形状」と表現している。
ここでいう「外郭線近傍」の外郭線とは「突出体」の外表面とは別の「一対の車輪にて形成される略球形状」の線であり、これについて図13を参照すると、一対の車輪55の外側の円弧状の外形線を延長するようにつなぐ、円弧状の二点鎖線が示され、その二点鎖線に突出部54の上端が一致する様子が図示されているから、図13における「外形線」とは一対の車輪55の外側の円弧状の外形線及びこれを延長するようにつなぐ、円弧状の二点鎖線であるといえる。すなわち、外表面となる線のみならず、想定された線を含むといえる。
同時に、図13は一対の車輪55と突出体54の間の外形線は、上記二点鎖線より内側に凹んでいる様子が示されており、この外形線の内側に凹んだ部分は、円弧状の二点鎖線より内側に位置するものであって、外郭線とはいえず、外郭が分ける内部となる。
そして、この外郭線からなる形状が「外郭形状」であるといえる。

イ.引用発明1との対応関係
本件特許発明5の「外郭形状」の解釈は、上記ア.で述べたとおりであるから、引用発明1の「二つの半球状の殼3、4からなる筐体の内側」の「機構1や集塵袋10の一部」は、「二つの半球状の殼3、4」の外側の半球状の形状からなる「外郭形状」から空間5を通して見える程度に内側にあり、外郭形状を形成するものとはいえない。
したがって、掃除機本体が外郭形状を形成する本件特許発明5は引用発明1と相違するので、甲第1号証に記載され発明であるとはいえない。

(2)甲第2号証に記載された発明(引用発明2)であることについて
本件特許発明5と引用発明2とを対比すると、
後者の「吸引力を発生する、モーター12aにより駆動される吸引タービン12」は、その機能・構成からみて、前者の「吸引力を発生する電動送風機」に相当し、以下同様に、後者の「筒状の筐体11」は前者の「掃除機本体」に、後者の「家庭のゴミを含む空気を吸引する空気入口24に、空気吸入筒25やそれに続く延長管を介して接続される吸い込み口」は前者の「電動送風機の吸引力にて延長管及びホースを介して被掃除面の塵埃を吸い込むための吸口体」に、後者の「筒状の筐体11の上流室15に配されゴミ袋13」は前者の「掃除機本体に設け塵埃を集塵する集塵部」に、後者の「空気入口24の軸線に垂直な回転軸線I-Iのまわりで回転可能で、筒状の筐体11の端部分のまわりで回転し、膨張可能な周辺構造の一部分は真空掃除機が床に置かれる支持面を構成する膨張可能な周辺部材30a、30b」は前者の「掃除機本体の側面に設けた床面移動用の一対の車輪」にそれぞれ相当する。
また、後者の「真空掃除機」は「モーター12aにより駆動される吸引タービン12」を有するものであるから前者の「電気掃除機」に相当する。
さらに、後者の周辺部材30a、30bが「輪状の溝30cにより相互に分離される、球形のドーム型のような連続的な外包型であって、その外包は、空気排出手段20と共に空気吸入手段12、12a、空気フィルター手段13、26、モーター12a、タービン12、堅い筒状の筐体11を含む真空掃除機の内部構造の全てを全体的に囲む」ものであることは、その形状からみて、前者の「一対の車輪を転がり面と」することに相当する。

したがって、本件特許発明5と引用発明2とは、
「吸引力を発生する電動送風機を内蔵した掃除機本体と、前記電動送風機の吸引力にて延長管及びホースを介して被掃除面の塵埃を吸い込むための吸口体と、前記掃除機本体に設け塵埃を集塵する集塵部と、前記掃除機本体の側面に設けた床面移動用の一対の車輪を備え、前記一対の車輪を転がり面とした電気掃除機。」である点で一致し、以下の点で相違する。
相違点:本件特許発明5が、「前記掃除機本体が前記転がり面が床面に接するよう傾いても、前記一対の車輪が床面に接地する方向に前記掃除機本体が回動するように前記掃除機本体の重心を設け」、「前記転がり面と前記掃除機本体から形成される外郭形状を略球形状または略球状の多面体にし」ているのに対して、引用発明2は、周辺部材30a、30bが「堅い筒状の筐体11を含む真空掃除機の内部構造の全てを全体的に囲」んでおり、重心がどのようなものであるかも不明である点。

そこで、上記相違点について検討する。
ア.「転がり面と前記掃除機本体から形成される外郭形状を略球形状または略球状の多面体にし」ていることについて
引用発明2は、空気入口24を周辺溝30cの内側に配置する(第6の2.(7))から、輪状の溝30cの内側に空気入口24を有する筒状の筐体11が配されるものといえる。
さらに、引用発明2は、膨張可能な周辺部材30a、30bに関して、「その外包は、空気排出手段20と共に空気吸入手段12、12a、空気フィルター手段13、26、モーター12a、タービン12、堅い筒状の筐体11を含む真空掃除機の内部構造の全てを全体的に囲む」ものでもある
そうすると、本件特許発明5の「外郭形状」については、上記(1)ア.で述べたようであるから、引用発明2において、輪状の溝30cの内側に配置される筒状の筐体11が、球形のドーム型のような連続的な外包型である膨張可能な周辺部材30a、30bの外面を延長するように延長した「外郭形状」を形成するものとはいえない。

イ.「前記掃除機本体が前記転がり面が床面に接するよう傾いても、前記一対の車輪が床面に接地する方向に前記掃除機本体が回動するように前記掃除機本体の重心を設け」ることについて
上記2.(2)イ.で述べたと同様に、重心を下側に配し、上記本件特許発明5の構成としたものであるとはいえない。

ウ.小括
上記ア.及びイ.のとおりであるから、本件特許発明5と引用発明2とは相違するので、本件特許発明5が甲第2号証に記載された発明であるとはいえない。

(3)甲第2号証に記載された発明(引用発明2)から当業者が容易に発明をすることができたについて
上記(2)で述べた相違点について、検討する。
上記2.(3)で述べたように、引用発明2は、膨張可能な周辺部材30a、30bに関して、「その外包は、空気排出手段20と共に空気吸入手段12、12a、空気フィルター手段13、26、モーター12a、タービン12、堅い筒状の筐体11を含む真空掃除機の内部構造の全てを全体的に囲む」ものであり、そのことによって「真空掃除機と周辺の家具のような他のものとの間の衝突により生ずる損傷を最小化し又は除去するよう適合された保護構造とを有する内部構造からなる家庭のゴミ用の移動真空掃除機」を得るものである。
そして、引用発明2が上記の目的を達成するためにのものである以上、膨張可能な周辺部材30a、30bにより全体的に囲むことで保護される筒状の筐体11を、球形のドーム型のような連続的な外包型である膨張可能な周辺部材30a、30bの外面を延長するように延長した「外郭形状」を形成するようなすことが当業者に容易になし得たとはいえない。
したがって、本件特許発明5は、甲第2号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたとはいえない。
そして、本件特許発明5は、明細書の段落【0078】に記載の効果を奏するものである。

(4)まとめ
以上(1)?(3)で述べたとおり、本件特許発明5は、甲第1号証又は甲第2号証に記載された発明であるとも、又は甲第2号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるともいえない。

5.本件特許発明7について
本件特許発明7は、請求項5に記載されたすべての発明特定事項を引用し、さらに請求項7に記載の事項を限定をするものである。
そして、請求項5に係る発明である本件特許発明5が、上記4.(1)で述べたとおり、甲第1号証に記載された発明であるとはいえないから、本件特許発明1のすべての構成要件を引用する本件特許発明7も同様に、甲第1号証に記載された発明であるとはいえない。

6.本件特許発明6について
本件特許発明6は、請求項5に記載されたすべての発明特定事項に加え「前記掃除機本体の少なくとも上面に把手等の突出体を形成し、前記突出体は、前記一対の車輪にて形成される略球形状の外郭線近傍に位置し、前記突出体を含む掃除機本体と前記一対の車輪から形成される前記外郭形状が略球形状または略球形状の多面体となるようにした」との発明特定事項を限定するものである。
したがって、本件特許発明6と引用発明1とを対比すると、4.(1)で対比した事項に加え、本件特許発明6の「前記掃除機本体の少なくとも上面に把手等の突出体を形成し、前記突出体は、前記一対の車輪にて形成される略球形状の外郭線近傍に位置し、前記突出体を含む掃除機本体と前記一対の車輪から形成される前記外郭形状が略球形状または略球形状の多面体となるようにし」たことと、引用発明1の「空間5を通って半球体3、4の上方に突出する取っ手11を有する」こととは、「掃除機本体の少なくとも上面に把手等の突出体を形成し」ていることで共通する。
よって、本件特許発明6と引用発明1とは、
「吸引力を発生する電動送風機を内蔵した掃除機本体と、前記電動送風機の吸引力にて延長管及びホースを介して被掃除面の塵埃を吸い込むための吸口体と、前記掃除機本体に設け塵埃を集塵する集塵部と、前記掃除機本体の側面に設けた床面移動用の一対の車輪を備え、前記一対の車輪を転がり面とし、前記掃除機本体が前記転がり面が床面に接するよう傾いても、前記一対の車輪が床面に接地する方向に前記掃除機本体が回動するように前記掃除機本体の重心を設け、前記転がり面から形成される外郭形状を略球形状にし、前記掃除機本体の少なくとも上面に把手等の突出体を形成した電気掃除機。」である点で一致し、以下の点で相違する。
相違点:本件特許発明6が「前記転がり面と前記掃除機本体から形成される外郭形状を略球形状または略球状の多面体にした」ものであって、「前記突出体は、前記一対の車輪にて形成される略球形状の外郭線近傍に位置し、前記突出体を含む掃除機本体と前記一対の車輪から形成される前記外郭形状が略球形状または略球形状の多面体となるようにした」ものであるのに対して、引用発明1は「空間5によって分離された二つの半球状の殼3、4」を有し、「空間5を通して二つの半球状の殼3、4からなる筐体の内側に機構1や集塵袋10の一部が見え」るものであって、取っ手11は「空間5を通って半球体3、4の上方に突出する」点。

そこで、上記相違点について検討する。
本件特許発明6の突出体は、「一対の車輪にて形成される略球形状の外郭線近傍に位置」するものであって、「前記突出体を含む掃除機本体と前記一対の車輪から形成される前記外郭形状が略球形状または略球形状の多面体となるようにした」ものである。
外郭線の「近傍」とはどの程度の範囲を指すのかについては、その用語のみでは明確ではないものの、本件特許発明6に対応する実施例である実施例2の図13をみると、一対の車輪55の外側の円弧状の外形線を延長するようにつなぐ、円弧状の二点鎖線が示され、その二点鎖線に突出部54の上端が一致する様子が図示されている。
また、その効果として段落【0079】に「掃除機本体を大きくすることなく、突出体を把手部等に形成することができる。」と記載されている。
さらに、「前記突出体を含む掃除機本体と前記一対の車輪から形成される前記外郭形状が略球形状または略球形状の多面体となるようにした」ものであるから、「近傍」と言っても、「外郭線」でもある「一対の車輪から形成される外郭形状」から外れるものではない。
したがって、本件特許発明6の「近傍」とは、「掃除機本体を大きくすることなく、突出体を把手部等に形成することができる」程度の範囲であって、「一対の車輪から形成される外郭形状」から外れるものではないものといえる。
そうすると、引用発明1の取っ手11が「空間5を通って半球体3、4の上方に突出する」もので、「この取っ手は、有利には、電源コード8をこの取っ手の回りに巻き付けることができるように、二つの耳11a、11bを有する。」(第6の1.(4))と耳11a、11bを付けることで電源コード8を巻き付けることができる程度に突出するものであるから、引用発明1の取っ手11は、本件特許発明6の突出体の、「前記一対の車輪にて形成される略球形状の外郭線近傍に位置し、前記突出体を含む掃除機本体と前記一対の車輪から形成される前記外郭形状が略球形状または略球形状の多面体となるようにした」こととは異なるものである。
以上のとおり、本件特許発明6は引用発明1とは相違するので、本件特許発明6は甲第1号証に記載された発明であるとはいえない。

第8 むすび
上記第2で述べたとおりであるから、本件訂正は認める。
また、上記第7で述べたとおりであるから、請求人の主張及び証拠方法によっては本件特許の請求項1、2及び5?7に係る発明の特許を無効とすることはできない。
審判に関する費用については、特許法第169条第2項の規定で準用する民事訴訟法第61条の規定により、請求人が負担すべきものとする。
よって、結論のとおり審決する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
電気掃除機
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸引力を発生する電動送風機を内蔵した掃除機本体と、前記電動送風機の吸引力にて延長管及びホースを介して被掃除面の塵埃を吸い込むための吸口体と、前記掃除機本体に設け塵埃を集塵する集塵部と、前記掃除機本体の側面に設けた床面移動用の一対の車輪を備え、前記一対の車輪は、第1の転がり面を有し、前記掃除機本体は、第2の転がり面を有し、前記掃除機本体が、前記第1の転がり面又は前記第2の転がり面が床面に接するよう傾いても、前記一対の車輪が床面に接地する方向に前記掃除機本体が回動して元に戻るように前記掃除機本体の重心を設けた電気掃除機。
【請求項2】
前記掃除機本体の移動方向に直交する面で前記掃除機本体と前記一対の車輪から形成される断面形状を、略円形又は略楕円形とした請求項1記載の電気掃除機。
【請求項3】
吸引力を発生する電動送風機を内蔵した掃除機本体と、前記電動送風機の吸引力にて延長管及びホースを介して被掃除面の塵埃を吸い込むための吸口体と、前記掃除機本体に設け塵埃を集塵する集塵部と、前記掃除機本体の底面両端に設けた床面移動用の一対の車輪を備え、前記掃除機本体の側面を転がり面とし、掃除機本体が前記転がり面が床面に接するよう傾いても、前記一対の車輪が床面に接地する方向に掃除機本体が回動して元に戻るように掃除機本体の重心を設けた電気掃除機。
【請求項4】
掃除機本体の移動方向に直行する面の断面形状を略円形又は略楕円形とした請求項3記載の電気掃除機。
【請求項5】
吸引力を発生する電動送風機を内蔵した掃除機本体と、前記電動送風機の吸引力にて延長管及びホースを介して被掃除面の塵埃を吸い込むための吸口体と、前記掃除機本体に設け塵埃を集塵する集塵部と、前記掃除機本体の側面に設けた床面移動用の一対の車輪を備え、前記一対の車輪を転がり面とし、前記掃除機本体が前記転がり面が床面に接するよう傾いても、前記一対の車輪が床面に接地する方向に前記掃除機本体が回動するように前記掃除機本体の重心を設け、前記転がり面と前記掃除機本体とから形成される外郭形状を略球形状または略球状の多面体にした電気掃除機。
【請求項6】
吸引力を発生する電動送風機を内蔵した掃除機本体と、前記電動送風機の吸引力にて延長管及びホースを介して被掃除面の塵埃を吸い込むための吸口体と、前記掃除機本体に設け塵埃を集塵する集塵部と、前記掃除機本体の側面に設けた床面移動用の一対の車輪を備え、前記一対の車輪を転がり面とし、前記掃除機本体が前記転がり面が床面に接するよう傾いても、前記一対の車輪が床面に接地する方向に前記掃除機本体が回動するように前記掃除機本体の重心を設け、前記転がり面と前記掃除機本体とから形成される外郭形状を略球形状または略球状の多面体にし、前記掃除機本体の少なくとも上面に把手等の突出体を形成し、前記突出体は、前記一対の車輪にて形成される略球形状の外郭線近傍に位置し、前記突出体を含む前記掃除機本体と前記一対の車輪から形成される前記外郭形状が略球形状または略球形状の多面体となるようにした電気掃除機。
【請求項7】
前記掃除機本体両側面に回転軸心を内側に向かって前記床面と略水平より上方に傾斜させ、断面形状が略半球面状または略半球面状の多面体からなる車輪にて構成した請求項5記載の電気掃除機。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、一般家庭で使用される電気掃除機に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来の電気掃除機を、図27?図29を用いて説明する。まず図27、図28に示すように掃除機本体1と、吸口体2は、ホース3及び延長管4を介して接続され、さらに、図28で掃除機本体1の断面を示すが、吸込み力を発生する電動送風機5を収納する電動送風機室6及び電源電線7を収納したコードリール8を収納するコードリール室9とを有し、掃除機本体1の両側面には移動用の車輪10を設けている。
【0003】
また、図29に示すような大車輪11を掃除機本体12の両側面に設け、大車輪11より胴体部13が突出しないように設けているものもある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
このような従来の構成では、掃除機本体1を掃除中に引っ張った際に車輪10の片側が座布団等の障害物に乗り上げた際にバランスを崩し掃除機本体1が横転してしまうことがあり、その都度掃除機本体1を起こし直す煩わしさがあった。
【0005】
また、図29に示すように、掃除機本体12の横転を防止するために、掃除機本体12の側面に掃除機本体12の最外郭を構成するような大車輪11を有したものもあるが、これも掃除機本体12を引っ張った際に椅子等が大車輪11とホース3間に引っかかって動かなくなったり、いったん横転すると大車輪11の側面が床面に接地してしまい、上述の掃除機本体1と同様に使いづらいものであった。
【0006】
さらに、胴体部13内に電動送風機や電源電線等を収納し、かつ大車輪11より突出しないようにする必要があり、掃除機本体12の両側面に設けた大車輪11の間を幅広く取ったり、大車輪11の径を大きくする等、掃除機本体12の大型化を必要とするものであった。
【0007】
本発明は上記従来の課題を解決するもので、掃除機本体が横転しにくくし、かつ横転しても車輪が床面接地側になるように掃除機本体を回動できるようにし、しかも、小型、軽量で、かつ使い勝手のよい電気掃除機を得ることを目的としている。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記目的を達成するために、吸引力を発生する電動送風機を内蔵した掃除機本体の吸引力にて、吸口体より延長管及びホースを介して被掃除面の塵埃を吸い込み、掃除機本体に設けた集塵部に塵埃を集塵し、掃除機本体の側面に床面移動用の一対の車輪を設け、掃除機本体の車輪を転がり面とし、掃除機本体が転がり面が床面に接するよう傾いても、一対の車輪が床面に接地する方向に掃除機本体が回動するように掃除機本体の重心を設けたものである。
【0009】
これにより、掃除機本体が横転しにくく、かつ横転しても車輪が床面接地側になるように掃除機本体を回動することができ、しかも、小型、軽量で、かつ使い勝手のよい電気掃除機を得ることができる。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明の請求項1に記載の発明は、吸引力を発生する電動送風機を内蔵した掃除機本体と、前記電動送風機の吸引力にて延長管及びホースを介して被掃除面の塵埃を吸い込むための吸口体と、前記掃除機本体に設け塵埃を集塵する集塵部と、前記掃除機本体の側面に設けた床面移動用の一対の車輪を備え、前記一対の車輪は、第1の転がり面を有し、前記掃除機本体は、第2の転がり面を有し、前記掃除機本体が、前記第1の転がり面又は前記第2の転がり面が床面に接するよう傾いても、前記一対の車輪が床面に接地する方向に前記掃除機本体が回動して元に戻るように前記掃除機本体の重心を設けたものであり、掃除機本体が横転しにくく、かつ横転しても車輪が床面接地側になるように掃除機本体が回動して元に戻ることができ、しかも、小型、軽量で、かつ使い勝手のよい電気掃除機を得ることができる。
【0011】
請求項2に記載の発明は、上記請求項1に記載の発明において、前記掃除機本体の移動方向に直交する面で前記掃除機本体と前記一対の車輪から形成される断面形状を、略円形又は略楕円形としたもので、掃除機本体を進行方向に対して長手方向に長くしても、掃除機本体の側面に設けた転がり面にて回動することができる。
【0012】
請求項3に記載の発明は、吸引力を発生する電動送風機を内蔵した掃除機本体と、前記電動送風機の吸引力にて延長管及びホースを介して被掃除面の塵埃を吸い込むための吸口体と、前記掃除機本体に設け塵埃を集塵する集塵部と、前記掃除機本体の底面両端に設けた床面移動用の一対の車輪を備え、前記掃除機本体の側面を転がり面とし、掃除機本体が前記転がり面が床面に接するよう傾いても、前記一対の車輪が床面に接地する方向に掃除機本体が回動して元に戻るように掃除機本体の重心を設けたもので、掃除機本体が横転しにくく、かつ横転しても車輪が床面接地側になるように掃除機本体が回動して元に戻ることができ、しかも、小型、軽量で、かつ使い勝手のよい電気掃除機を得ることができる。
【0013】
請求項4に記載の発明は、上記請求項3に記載の発明において、掃除機本体の移動方向に直行する面の断面形状を略円形又は略楕円形としたもので、掃除機本体を進行方向に対して長手方向に長くしても、掃除機本体の側面に設けた転がり面にて回動して元に戻ることができる。
【0014】
請求項5に記載の発明は、吸引力を発生する電動送風機を内蔵した掃除機本体と、前記電動送風機の吸引力にて延長管及びホースを介して被掃除面の塵埃を吸い込むための吸口体と、前記掃除機本体に設け塵埃を集塵する集塵部と、前記掃除機本体の側面に設けた床面移動用の一対の車輪を備え、前記一対の車輪を転がり面とし、前記掃除機本体が前記転がり面が床面に接するよう傾いても、前記一対の車輪が床面に接地する方向に前記掃除機本体が回動するように前記掃除機本体の重心を設け、前記転がり面と前記掃除機本体とから形成される外郭形状を略球形状または略球状の多面体にしたもので、掃除機本体の側面のみならず、あらゆる方向に掃除機本体が傾いても、車輪が床面接地する方向に掃除機本体が回動することができる。ここでいう略球形状とは、完全な球体でなくてもよく、さらにその一部が略球形状と異なっても、掃除機本体が傾斜あるいは転倒した場合に床面接地側に回動する構成を有していればよい。
【0015】
請求項6に記載の発明は、吸引力を発生する電動送風機を内蔵した掃除機本体と、前記電動送風機の吸引力にて延長管及びホースを介して被掃除面の塵埃を吸い込むための吸口体と、前記掃除機本体に設け塵埃を集塵する集塵部と、前記掃除機本体の側面に設けた床面移動用の一対の車輪を備え、前記一対の車輪を転がり面とし、前記掃除機本体が前記転がり面が床面に接するよう傾いても、前記一対の車輪が床面に接地する方向に前記掃除機本体が回動するように前記掃除機本体の重心を設け、前記転がり面と前記掃除機本体とから形成される外郭形状を略球形状または略球状の多面体にし、前記掃除機本体の少なくとも上面に把手等の突出体を形成し、前記突出体は、前記一対の車輪にて形成される略球形状の外郭線近傍に位置し、前記突出体を含む前記掃除機本体と前記一対の車輪から形成される前記外郭形状が略球形状または略球形状の多面体となるようにした電気掃除機であり、掃除機本体を大きくすることなく、突出体を把手部等に形成することができる。
【0016】
請求項7に記載の発明は、上記請求項5に記載の発明において、前記掃除機本体両側面に回転軸心を内側に向かって床面と略水平より上方に傾斜させ、断面形状が略半球面状または略半球面状の多面体からなる車輪にて構成したものであり、車輪を大型化することなく掃除機本体が傾いた状態でも走行することができる。
【0017】
【実施例】
以下、本発明の実施例について、図面を用いて説明する。
【0018】
(実施例1)
図1及び図2に示すように、掃除機本体20は、吸引力を発生する電動送風機21を内蔵し、電動送風機21にて生じた吸引力により塵埃を吸引する吸口体22を、ホース23及び延長管24を介して設けている。ホース23には掃除機本体20に着脱自在に係合する接続パイプ25と延長管24を着脱自在に係合する先端パイプ26を設け、掃除機本体20の両側面には移動用の車輪27を回転自在に設けている。ホース23の両端に設けた接続パイプ25と先端パイプ26は、共にホース23が360度回転自在となるよう回転機構を内蔵している。
【0019】
また、図2に示すように、上方に電動送風機21を収納する電動送風機室28を、下方には電池29を収納する電池室30を設け、ホース23を通過した塵埃は電動送風機室28の前部に設けた集塵部31内に着脱自在に設けた集塵袋32内に集塵される。
【0020】
ここで、本実施例においては、塵埃を集塵する集塵袋32を掃除機本体20内に設けているが、これは吸口体22から電動送風機21までの通風流路間のいずれかに塵埃を捕集する手段があればよく、集塵袋32の有無や集塵部31の形態等が異なっても何ら支障の無いものである。
【0021】
次に、図3に示すように、電動送風機21及び電池29は、右側本体33と左側本体34にて保持している。本実施例については、掃除機本体20を左右に分割した構成を示しているが、分割方向はいずれでもよく、要は内部に電動送風機21及び電池29を内蔵保持できればよいものである。
【0022】
さらに、掃除機本体20は、図3に示すように、その断面形状が略球形状であり、右側本体33及び左側本体34の外郭形状の一部となっている。車輪27も同様に略球形状を外郭形状に有している。また、図4及び図5に示すように、車輪27においては、床面接地部35以外の側面部分に第1の転がり面(転がり面)36を有しており、図5に示すように、右側本体33又は左側本体34においても、第2の転がり面37を有している。ここで床面接地部35の中でも、床面44より突出した部分で実際に床面とその時点で接地していた部分を床面設置ポイント35aと呼ぶことにする(図2)。
【0023】
勿論、転がりながら床面に接地している車輪27の外周端面に形成された床面接地部35の中の実際の接地部であるため、都度変化することになるが、ただし、図2に示すように、掃除機本体20が正態した状態で常に掃除機本体20の最下端に来るポイントである。ここにおいて、第1の転がり面36、第2の転がり面37については、図6及び図7に示すように、球形状でなくてもよく、多角形の転がり面38や、一部に平坦面39があってもよく、要は少なくとも側面の一部に転がり面を有していればよいものである。
【0024】
上記構成において、図5に示すように、掃除機本体20の重心を車輪27の第1の転がり面36や右側本体33又は左側本体34の第2の転がり面37が床面に接した状態で、車輪27の床面接地ポイント35aが床面側に回動するように、掃除機本体20の重心G40を掃除機本体20の略中心線41近傍で、かつ転がり面37の接地部からの法線42との交点43より掃除機本体20の底面44側に設けている。
【0025】
上記構成による作用は以下の通りである。
【0026】
掃除機本体20が第1の転がり面36又は第2の転がり面37が床面に接するように傾いた場合でも、車輪27の床面接地ポイント35aが床面接地側に回動するように掃除機本体20の重心G40を設けたことにより、図4に示すように、いずれか一方の車輪27が床面から浮いた状態になっても掃除機本体20が横転することなく矢印イ側に回動するものであり、また、図5に示すように、仮に横転しても重心G40が図示の位置にあるため矢印ロ方向に回動し、車輪27の床面接地ポイント35aが床面接地側になる。
【0027】
また、図8に示すように、掃除機本体20の底面44側に設けた電池29を電動送風機21より重くすることにより、掃除機本体20の重心G40を他の重り等を搭載する必要なく、重心位置を偏心させる構成が容易にできる。さらに、車輪27の内面に設けた空間部分に、右側本体33及び左側本体34を突出して配置することにより、電池室30を幅方向に広く確保できるため、より多くの電池29を収納できるとともに、電動送風機室28についても電動送風機21の側方を効率よく排気を通過させるための排気空間を十分確保することができる。
【0028】
さらに、ホース23の両端に設けた接続パイプ25及び先端パイプ26が回転自在となっているため、掃除機本体20が傾いて転がっても横転せずに回動して元に戻り、一回転した場合でも手元ホース等がねじれて持ち手に負担がかかるようなことはない。
【0029】
つぎに、図9に示すように、車輪45は、掃除機本体20の底面44より突出するように設けており、掃除機本体20の側面に設けた第3の転がり面46が床面に接地した状態より底面44側に回動する際に、車輪45の側面を乗り越えて車輪45の床面接地面47が接するような突出代に設定されている。
【0030】
また、図3、図6及び図9においては、掃除機本体20はその走行方向と直交した面の矢視図であるが、進行方向に平行な方の形状については球体もしくは円筒形状でもよく、要は掃除機本体20が傾いたときに正規の状態に復帰しようとする転がり面が少なくとも掃除機本体20の側面の一部にあればよいものである。
【0031】
上記構成による作用は以下の通りである。
【0032】
車輪45を底面44に配置でき、さらに車輪45の外径についても小径化できるため、掃除機本体20の寸法を小さく、コンパクトにすることができる。
【0033】
さらに、図10に示すように、掃除機本体20の両側面に回転軸心48を内側に向かって床面と略水平より上方に傾斜させ、断面形状が略半球面状または略半球面状の多面体からなる車輪49を配設している。
【0034】
上記構成による作用は以下の通りである。
【0035】
車輪49は車輪幅Wを確保した状態で、前述のように、つまりは、図3に示すように、車輪27の回転軸心を床面と水平にして車輪を設けようとすると、斜線部50となる、ここで、掃除機本体20内に搭載する部品をさらに大きくしようとすると、車輪幅Wを確保するためには仮想外郭51のように大きくしないとできない。これに対し、回転軸心48を偏心させ車輪49を設けたものにおいては、斜線部50が内部部品収納スペースに活用できるため、仮想外郭51まで大きくしなくてもよくなる。
【0036】
さらに、図11に示すように、たとえ掃除機本体20が傾いても、車輪49の側面にて片輪走行をしたり、車輪49から連なる掃除機本体20の第4の転がり面52を設けることにより、横転した状態からでも正規の位置に回動復帰することができる。
【0037】
つぎに、図12に示すように、掃除機本体20に内蔵した複数または単一の電池29の配置を、掃除機本体20の中心線41に対して、複数の電池29を結合した状態で偏心させるか、又は単一の電池(図示せず)を偏心させて配置し、掃除機本体20が転がり面が接するよう傾いた場合でも、車輪27の床面接地ポイント35aが床面接地側に回動するように掃除機本体20の重心を設けている。
【0038】
また、掃除機本体20の重心を掃除機本体20の中心線41に対しいずれかの方向に偏心させることが目的であり、例えば電動送風機21と電池29のいずれか又は内蔵部品全体の重心を掃除機本体20の略中心に対して、いずれかの方向に偏心させたものであってもよい。
【0039】
上記構成による作用は以下の通りである。
【0040】
掃除機本体20の第2の転がり面37の法線42と中心線41が略一致するような状況で掃除機本体20が横転しても、電池29の重心Ga53が中心線41に対して偏心しているため、必ず矢印ハの方向に掃除機本体20は回動するため、掃除機本体20が横転したままとなることはなくなる。
【0041】
(実施例2)
つぎに、本発明の第2の実施例を図13を用いて説明する。
【0042】
図13に示すように、掃除機本体20の上部には、突出体54を設け、両側面に車輪55を回転自在に配置し、突出体54は車輪55にて形成される略球形状の外郭線近傍に位置している。
【0043】
図14に示すように、掃除機本体20が横転した状態において、突出体54と車輪55にて床面に接地したとき、掃除機本体20の中心線41に対し車輪55の接点56の垂線57との交点より外方に掃除機本体20の重心Gb58を設けている。
【0044】
上記構成による作用は以下の通りである。
【0045】
図14において、横転した状態の掃除機本体20は、車輪55の接点56を回動支点として重心Gb58側の矢印ニ方向に回動し、車輪55が床面接地状態に戻ることができる。
【0046】
(実施例3)
つぎに、本発明の第3の実施例を図15を用いて説明する。
【0047】
図15に示すように、掃除機本体20の前部にはホース23の端部に設けた接続パイプ25と着脱自在に接続するための前カバー59を設け、両側面に車輪60を回動自在に設け、掃除機本体20の重心Gc61は車輪60の水平線62より下方で、かつ垂直線63より後方に設けている。
【0048】
上記構成による作用は以下の通りである。
【0049】
図16に示すように、掃除機本体20の重心Gc61は車輪60の後方で、かつ下方に位置するため、ホース23が矢印ホ方向に回動するため、掃除機本体20の移動に際して、床面にホース23がすれたり、掃除機本体20自身が床面等に接することなく、車輪60にて軽く移動することができる。
【0050】
さらに、掃除機本体20に装着されたホース23を外したときには、矢印ホ方向に回動するため、ホース23を再度掃除機本体20に接続する際には、前カバー59が上方に回動しているので装着しやすくなる。
【0051】
(実施例4)
次に、本発明の第4の実施例を図17及び図18を用いて説明する。
【0052】
図17に示すように、掃除機本体20は、電動送風機(図示せず)及び充電用の二次電池(図示せず)を内蔵している。充電台66は掃除機本体20の二次電池を充電するものであり、充電台66の前後には掃除機本体20の車輪27にて床面より充電台66上部へ移動するための導入部67を設けている。
【0053】
上記構成より、充電台66の上部に移動した掃除機本体20の充電端子(図示せず)と充電台66の充電端子接続部(図示せず)が接続され、二次電池への充電が開始される。また、図18に示すように、充電台66に導入部67より移動させて掃除機本体20をセットした後、ホース23、延長管24、吸口体22を接続した状態で収納するようにすることにより、掃除中から充電時まで掃除機本体20をいっさい持ち上げることなく掃除をすることができる。
【0054】
(実施例5)
次に、本発明の第5の実施例を図19を用いて説明する。
【0055】
図19に示すように、掃除機本体20には、電動送風機(図示せず)及び充電用の二次電池(図示せず)が内蔵されている。掃除機本体20と接続されたホース23、延長管24を介して接続された吸口体22は床型充電台68に着脱自在に接続されている。
【0056】
上記構成より、床型充電台68の上部に移動した吸口体22の充電端子(図示せず)と床型充電台68の充電端子接続部(図示せず)が接続され、二次電池への充電が開始される。掃除機本体20にホース23、延長管24を接続した状態で、吸口体22を床型充電台68に収納するようにすることにより、掃除中から充電時まで、掃除機本体20をいっさい持ち上げることなく掃除をすることができる。
【0057】
(実施例6)
つぎに、本発明の第6の実施例を図20を用いて説明する。
【0058】
図20に示すように、掃除機本体20は右側本体33及び左側本体34からなり、その内部には電動送風機21を収納する電動送風機室28及び電源電線69を収納するコードリール室70を設け、右側本体33、左側本体34の両側には車輪27を回転自在に保持している。なお、図において、上記実施例と同一符号のものは、同一構造を有するため、説明を省略する。
【0059】
上記構成より、電源電線69と電動送風機21の設置状態での掃除機本体20の重心Gd71は、車輪27の回転中心72より下方の底面44側に位置している。本実施例においては、底面44側に電動送風機21を設けたが、これはコードリール室70と逆の構成でもよく、要は重心Gd71が図示の位置にくるように重心調整が行われていればよい。
【0060】
上記構成による作用は以下の通りである。
【0061】
前述の第1の実施例と同様に、重心Gd71の位置を規定することにより、掃除機本体20が傾いて側面に設けた第1の転がり面36等が床面に接地した状態より、床面接地状態へ回動して戻ることができる。
【0062】
また、図21に示すように、電源電線69を掃除機本体20より引き出すことにより、掃除機本体20内の電源電線69の重量が減少し、掃除機本体20の重心Ge73が重心Gd71より底面44側に移動するため、走行時のより安定した低重心化が図れると共に、掃除機本体20も車輪27が片方のみ障害物に乗り上げたとしてもより倒れにくくすることができる。
【0063】
さらに、図22及び図23は、電動送風機室28とコードリール室70の他の配置構成であり、重心Gf74及び重心Gg75は、前述の図20と同様に、回転中心72より底面44側に位置させてある。このため、上記と同様にして、掃除機本体20が転がっても、床面接地状態へ移動して戻ることができ、電源電線69を引き出しすことにより、さらに低重心化をはかることができる。
【0064】
(実施例7)
つぎに、本発明の第7の実施例を図24及び図25を用いて説明する。なお図において、上記実施例と同一符号のものは、同一構造を有するため、説明を省略する。
【0065】
図24に示すように、掃除機本体20に内蔵された電源電線69は、掃除機本体20の後方に設けている。また、図25に示すように、電源電線69を車輪27の中央近傍より引き出すようにしている。
【0066】
上記構成による作用は以下の通りである。
【0067】
図24において、掃除機本体20を掃除中に引き回した際に、掃除機本体20が障害物等に乗り上げ、側面方向に360度反転した場合でも、電源電線69が掃除機本体20の後方にあるため、乗り上げるようなことがないようにできる。
【0068】
また、図25において、掃除機本体20が移動や回転をする際に、車輪27中央より電源電線69を引き出しているため、前述と同様に、電源電線69等に乗り上げにくくすることができる。
【0069】
(実施例8)
つぎに、本発明の第8の実施例を図26を用いて説明する。なお、図において、前記実施例と同一符号のものは、同一構造を有するため、説明を省略する。
【0070】
図26に示すように、掃除機本体20は、内部には電動送風機(図示せず)を収納する電動送風機室(図示せず)を設け、両側には車輪27を回転自在に保持している。
【0071】
また、収納台76は、掃除機本体20を収納時に支持固定するものであり、さらに電動送風機への電源を供給する電源電線69を収納するコードリール台77を併設し、電源電線69の他端となる掃除機本体20側は保持固定されている。
【0072】
上記構成による作用は以下の通りである。
【0073】
電源電線69を収納するスペースを掃除機本体20内部より除くことにより、掃除機本体20の重心Gh78を調整する重量物は電動送風機のみとなり、重心の調整を容易にすることができる。
【0074】
【発明の効果】
以上のように本発明の請求項1に記載の発明によれば、吸引力を発生する電動送風機を内蔵した掃除機本体と、前記電動送風機の吸引力にて延長管及びホースを介して被掃除面の塵埃を吸い込むための吸口体と、前記掃除機本体に設け塵埃を集塵する集塵部と、前記掃除機本体の側面に設けた床面移動用の一対の車輪を備え、前記一対の車輪は、第1の転がり面を有し、前記掃除機本体は、第2の転がり面を有し、前記掃除機本体が、前記第1の転がり面又は前記第2の転がり面が床面に接するよう傾いても、前記一対の車輪が床面に接地する方向に前記掃除機本体が回動して元に戻るように前記掃除機本体の重心を設けたものであり、掃除機本体が横転しにくく、かつ横転しても車輪が床面接地側になるように掃除機本体が回動して元に戻ることができ、しかも、小型、軽量で、かつ使い勝手のよい電気掃除機を得ることができる。
【0075】
また、請求項2に記載の発明によれば、前記掃除機本体の移動方向に直交する面で前記掃除機本体と前記一対の車輪から形成される断面形状を、略円形又は略楕円形としたもので、掃除機本体を進行方向に対して長手方向に長くしても、掃除機本体の側面に設けた転がり面にて回動することができる。
【0076】
また、請求項3に記載の発明によれば、吸引力を発生する電動送風機を内蔵した掃除機本体と、前記電動送風機の吸引力にて延長管及びホースを介して被掃除面の塵埃を吸い込むための吸口体と、前記掃除機本体に設け塵埃を集塵する集塵部と、前記掃除機本体の底面両端に設けた床面移動用の一対の車輪を備え、前記掃除機本体の側面を転がり面とし、掃除機本体が前記転がり面が床面に接するよう傾いても、前記一対の車輪が床面に接地する方向に掃除機本体が回動して元に戻るように掃除機本体の重心を設けたもので、掃除機本体が横転しにくく、かつ横転しても車輪が床面接地側になるように掃除機本体が回動して元に戻ることができ、しかも、小型、軽量で、かつ使い勝手のよい電気掃除機を得ることができる。
【0077】
また、請求項4に記載の発明によれば、掃除機本体の移動方向に直行する面の断面形状を略円形又は略楕円形としたもので、掃除機本体を進行方向に対して長手方向に長くしても、掃除機本体の側面に設けた転がり面にて回動して元に戻ることができる。
【0078】
また、請求項5に記載の発明によれば、吸引力を発生する電動送風機を内蔵した掃除機本体と、前記電動送風機の吸引力にて延長管及びホースを介して被掃除面の塵埃を吸い込むための吸口体と、前記掃除機本体に設け塵埃を集塵する集塵部と、前記掃除機本体の側面に設けた床面移動用の一対の車輪を備え、前記一対の車輪を転がり面とし、前記掃除機本体が前記転がり面が床面に接するよう傾いても、前記一対の車輪が床面に接地する方向に前記掃除機本体が回動するように前記掃除機本体の重心を設け、前記転がり面と前記掃除機本体とから形成される外郭形状を略球形状または略球状の多面体にしたもので、掃除機本体の側面のみならず、あらゆる方向に掃除機本体が傾いても、車輪が床面接地する方向に掃除機本体が回動することができる。ここでいう略球形状とは、完全な球体でなくてもよく、さらにその一部が略球形状と異なっても、掃除機本体が傾斜あるいは転倒した場合に床面接地側に回動する構成を有していればよい。
【0079】
また、請求項6に記載の発明によれば、吸引力を発生する電動送風機を内蔵した掃除機本体と、前記電動送風機の吸引力にて延長管及びホースを介して被掃除面の塵埃を吸い込むための吸口体と、前記掃除機本体に設け塵埃を集塵する集塵部と、前記掃除機本体の側面に設けた床面移動用の一対の車輪を備え、前記一対の車輪を転がり面とし、前記掃除機本体が前記転がり面が床面に接するよう傾いても、前記一対の車輪が床面に接地する方向に前記掃除機本体が回動するように前記掃除機本体の重心を設け、前記転がり面と前記掃除機本体とから形成される外郭形状を略球形状または略球状の多面体にし、前記掃除機本体の少なくとも上面に把手等の突出体を形成し、前記突出体は、前記一対の車輪にて形成される略球形状の外郭線近傍に位置し、前記突出体を含む前記掃除機本体と前記一対の車輪から形成される前記外郭形状が略球形状または略球形状の多面体となるようにしたものであり、掃除機本体を大きくすることなく、突出体を把手部等に形成することができる。
【0080】
また、請求項7に記載の発明によれば、前記掃除機本体両側面に回転軸心を内側に向かって床面と略水平より上方に傾斜させ、断面形状が略半球面状または略半球面状の多面体からなる車輪にて構成したから、車輪を大型化することなく掃除機本体が傾いた状態でも走行することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施例の電気掃除機の斜視図
【図2】同電気掃除機の掃除機本体の側断面図
【図3】同電気掃除機の掃除機本体の断面図
【図4】同電気掃除機の掃除機本体の傾いた状態の正面図
【図5】同電気掃除機の掃除機本体の横転した状態の正面図
【図6】同電気掃除機の掃除機本体の他の例の傾いた状態の正面図
【図7】同電気掃除機の掃除機本体の他の例の正面図
【図8】同電気掃除機の掃除機本体の他の例の横転した状態の断面図
【図9】同電気掃除機の掃除機本体の他の例の正面図
【図10】同電気掃除機の掃除機本体の他の例の正面図
【図11】同電気掃除機の掃除機本体の傾いた状態の正面図
【図12】同電気掃除機の掃除機本体の他の例の横転した状態の断面図
【図13】本発明の第2の実施例の電気掃除機の掃除機本体の正面図
【図14】同電気掃除機の掃除機本体の横転した状態の断面図
【図15】本発明の第3の実施例の電気掃除機の要部側面図
【図16】同電気掃除機の使用状態の要部側面図
【図17】本発明の第4の実施例の電気掃除機の要部側面図
【図18】同電気掃除機の斜視図
【図19】本発明の第5の実施例の電気掃除機の斜視図
【図20】本発明の第6の実施例の電気掃除機の掃除機本体の断面図
【図21】同電気掃除機の掃除機本体の他の例の断面図
【図22】同電気掃除機の掃除機本体の他の例の断面図
【図23】同電気掃除機の掃除機本体の他の例の断面図
【図24】本発明の第7の実施例の電気掃除機の掃除機本体の一部切欠した側面図
【図25】同電気掃除機の側面図
【図26】本発明の第8の実施例の電気掃除機の部分断面図
【図27】従来の電気掃除機の斜視図
【図28】同電気掃除機の掃除機本体の断面図
【図29】従来の電気掃除機の他の例の斜視図
【符号の説明】
20掃除機本体
21電動送風機
22吸口体
23ホース
24延長管
27車輪
31集塵部
36第1の転がり面(転がり面)
40重心G
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
審理終結日 2013-08-21 
結審通知日 2013-08-23 
審決日 2013-09-03 
出願番号 特願2000-320629(P2000-320629)
審決分類 P 1 123・ 851- YA (A47L)
P 1 123・ 121- YA (A47L)
P 1 123・ 113- YA (A47L)
P 1 123・ 854- YA (A47L)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 鏡 宣宏  
特許庁審判長 平上 悦司
特許庁審判官 竹之内 秀明
山崎 勝司
登録日 2002-03-08 
登録番号 特許第3285030号(P3285030)
発明の名称 電気掃除機  
代理人 小谷 昌崇  
代理人 井野 砂里  
代理人 小谷 悦司  
代理人 倉澤 伊知郎  
代理人 大月 伸介  
代理人 熊倉 禎男  
代理人 小谷 悦司  
代理人 小谷 昌崇  
代理人 渡邉 耕平  
代理人 鈴木 博子  
代理人 渡邉 耕平  
代理人 弟子丸 健  
代理人 大月 伸介  
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