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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) G06F
管理番号 1284569
審判番号 不服2012-8228  
総通号数 172 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2014-04-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2012-05-07 
確定日 2014-02-06 
事件の表示 特願2008-167259「表示装置、電子機器及び表示方法」拒絶査定不服審判事件〔平成20年 9月25日出願公開、特開2008-226282〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯
本願は、平成17年8月2日の特許出願である特願2005-224384号の一部を平成20年6月26日に新たな特許出願としたものであって、平成24年2月3日付けで拒絶査定がなされ、同年5月7日に拒絶査定不服審判の請求がなされると共に手続補正がなされ、当審において平成25年8月1日付けで拒絶理由通知がなされ、同年10月7日付けで手続補正がなされたものである。

2.本願発明
本願の請求項1に係る発明(以下、「本願発明」と呼ぶ。)は、平成25年10月7日付けの手続補正書の請求項1に記載された、次のとおりのものである。
「 【請求項1】
表示部と、
指示物の接触により上記表示部に表示する表示画面の任意位置をユーザが指定可能なタッチパネルと、
上記タッチパネルを介して上記ユーザが選択可能な複数の表示子を上記表示部に表示させ、当該表示部に表示させた上記複数の表示子のうちの一表示子が上記タッチパネルに対する上記指示物の接触により選択されると、当該一表示子が選択された旨を上記ユーザに呈示するための呈示用表示子を上記表示部に表示させ、上記一表示子が上記タッチパネルに対する上記指示物の接触により選択された後、当該一表示子を選択している指示物が上記タッチパネルから離されると、当該一表示子が上記ユーザにより選択された表示子であると決定する表示制御部と
を具え、
上記表示制御部は、
選択された上記一表示子を指し示す吹き出し形状で、当該選択された表示子と同じ内容が表示される上記呈示用表示子を、選択された上記一表示子に少なくとも一部を重ねて表示させ、
さらに上記表示制御部は、
上記一の表示子を選択している上記指示物が、上記タッチパネルに接触したまま所定の有効領域内に表示されている他の表示子の表示位置に移動すると、当該他の表示子が新たに選択されたと認識し、新たに選択された当該表示子を指し示す吹き出し形状で、新たに選択された当該表示子と同じ内容が表示される上記呈示用表示子を、新たに選択された当該表示子の近傍に表示させるとともに、選択されていた上記一の表示子を指し示す上記呈示用表示子を非表示にさせ、
また上記一の表示子を選択している上記指示物が、上記タッチパネルに接触したまま上記所定の有効領域外に移動すると、上記呈示用表示子を非表示にして、上記複数の表示子が何も選択されていない状態に戻す
表示装置。」

3.引用例記載発明
平成25年8月1日付けの拒絶理由通知に引用した特開平9-171434号公報(以下、「引用例」と呼ぶ。)には、次の事項が記載されている。

「【請求項3】表示画面上で指示された表示位置を検出する検出部を設けた表示装置の表示画面上に割り当てられて表示される各キーに対応して、その機能名を表示出力させる第1の表示制御手段と、
表示画面上の任意のキー表示位置が指示された際に、このキー表示位置の近傍にその機能名をガイド表示させる第2の表示制御手段とを具備したことを特徴とする表示制御装置。」

「【0003】
【発明が解決しようとする課題】・・・(中略)・・・一方、限られたスペース内に多くのキーが割り当てられている場合において、キーサイズはキーの数に応じて小さくなるため、タッチ入力時に指を近づけてゆく途中において、手によってその機能名表示が隠されてしまい、目的とするキーか否かを確認することができなくなるという欠点があった。この発明の課題は、タッチ入力時に手によってその機能名が隠されてしまっても、その機能名を正確に認識できるようにすることである。」

「【0020】(第2実施形態)以下、図10?図14を参照してこの発明の第2実施形態を説明する。図10はタッチ入力装置を備えた電子式キャッシュレジスタ(ECR)のブロック構成図である。CPU11はROM12に格納されている各種プログラムにしたがってこのECRの全体動作を制御する中央演算処理装置で、このCPU11にはその入出力周辺デバイスとしてキー入力部13、タッチ入力部14、表示部15、印字部16、ドロア17が接続されており、それらの入出力動作を制御する。
【0021】キー入力部13は通常備えられている各種のキーの他に、モードスイッチMDを有し、このモードスイッチMDはその切替位置に応じて「P(設定)」、「R(登録)」等のモードを切り替え指定する。タッチ入力部14は表示画面上に積層配置された透明タッチパネルを有する人体抵抗あるいは人体容量検出型のタッチ入力装置である。CPU11はタッチ入力部14を構成する表示画面上に品目名を表示し、この品目名に対応するタッチパネル上に位置がタッチされた際に、その位置に対応する品目コードに基づいて商品別登録処理を行い、合計メモリ18に登録結果を格納する。
【0022】ここで、図11はタッチ入力例を示し、CPU11はタッチ入力位置を検出すると、このタッチ位置に基づいてキーテーブル19をアクセスし、対応する品目コードに変換する。その際、タッチ入力されたキーの近傍に、そのキーの項目名を吐き出しイメージと共にガイド表示させる(図11参照)。すなわち、CPU11はタッチ入力されたキーの位置に基づいてその近傍に項目名をガイド表示するための表示位置を決定し、この表示位置に応じた吹き出しイメージを選択し、吹き出しイメージメモリ20からその吹き出しイメージを読み出して項目名と共にガイド表示させる。図12は吹き出しイメージメモリ20の内容を示し、3種類のイメージが格納されている。ここで、Aは右方向に吐き出されるイメージ、Bは左方向に吐き出されるイメージ、Cは上方向に吐き出されるイメージを示している。
【0023】次に、このECRにおけるタッチ入力時の動作を図12、図13に示すフローチャートを参照して説明する。先ず、CPU11はタッチ入力部14を構成する表示画面上に複数のキー枠を表示出力させると共に、各キー枠内に商品名を表示出力させる(ステップB1)。この状態において、CPU11はタッチ入力部14を構成するタッチパネルをスキャンし(ステップB2)、タッチ入力されたかをチェックし(ステップB3)、タッチ入力されるまでスキャニング動作を繰り返す(ステップB2)。いま、タッチ入力が検出されると(ステップB3)、タッチ座標位置がキーの有効領域内であれば(ステップB4)、当該キーの近傍に商品名をガイド表示する処理に移る(ステップB5)。
【0024】図13はこの品名ガイド表示処理を示したフローチャートである。先ず、CPU11はタッチキーの位置を判別する(ステップC1)。ここで、図11に示すようにタッチパネル上が3行×10列のマトリックス状に30個のキーに割り当てられている場合において、何行目のキーがタッチされたか、四隅に近いキーか中央部分のキーかをチェックする。このタッチ位置に基づいてCPU11は吹き出しイメージメモリ20内から最適なイメージ種を選択する(ステップC2)、例えば、図11において1行目、2行目のタッチキーであれば、吐き出しイメージA、Bの何れかが選択され、3行目の中央部分(1列目、10列目を除く部分)であれば吐き出しイメージCが選択される。次に、タッチ位置に応じて吐き出しイメージの表示位置を決定する(ステップC3)。つまり、吐き出しイメージの大きさにもよるが、イメージ全体が表示可能となるように吐き出しの先端をどこに配置するかを決定する。次に、タッチキーの品名をキーテーブル19から読み出し(ステップC4)、タッチキーの近傍に、吹き出しイメージとその内部に品名を配置して合成表示させる(ステップC5)。図11は3行目の中央部のキーがタッチされた場合のガイド表示例を示している。
【0025】このような品名のガイド表示は指がタッチパネルから離れるまで行われる。すなわち、図12のステップB6は指が離れるまで待ち、離れた際に、吹き出しイメージ表示および品名表示を消去し、通常の表示状態に戻す(ステップB7)。そして、タッチキーに応じた処理サブルーチンを起動させてキー入力処理を実行する(ステップB8、B9……B10)。そして、ステップB2に戻り、タッチ入力待ちとなる。
【0026】以上のように、このタッチ入力装置付きECRによれば、タッチパネルに重ね合せられている表示画面内に、タッチパネル上に割り当てられている各キーに対応してその機能名(商品名)が表示出力されている状態において、タッチパネル上の任意のキーがタッチ入力されると、このキーの近傍に、吐き出しイメージ内にその機能名(商品名)がガイド表示されるので、どのキーをタッチ入力したかを容易に確認することができる。つまり、キーをタッチするために指を当該キー位置に近づけた際に、手によってその商品名が隠されてしまっても、ガイド表示によって所望のキーを正確にタッチしたかを確認することができる。また、このガイド表示によって実際にキーをタッチしたか否かを確認することができる。また、タッチキーの近傍にその機能名をガイド表示する際に、タッチ入力された位置を判別し、その位置にしたがってガイド表示位置を決定するようにしたから、タッチパネルの四隅に存在するキーや最上行、最下行に存在するキーがタッチされても適正位置にガイド表示を行うことができ、しかも手によってガイド表示が隠されることもない。なお、ECRに限らず、その他のタッチキーにも適用可能であることは勿論であり、また、吐き出しイメージの形状も任意である。」

なお、上に摘記した引用例の各記載内容と引用例の各図面からみて、引用例の段落【0023】?【0025】中の「図12」、「図13」という記載は、それぞれ、「図13」、「図14」の誤記であると認められる。

そして、上記記載事項を引用例の関連図面と技術常識に照らせば、以下のことがいえる。
ア.引用例に第2実施形態として示される装置は、その機能からみて、「表示装置」とも呼び得るものである。
イ.上記第2実施形態として示される装置は、「表示部」と「指の接触により上記表示部に表示する表示画面の任意位置をユーザが指定可能なタッチパネルと、上記タッチパネルを介して上記ユーザが選択可能な複数のキーを上記表示部に表示させ、当該表示部に表示させた上記複数のキーのうちの一のキーが上記タッチパネルに対する上記指の接触により選択されると、当該一のキーが選択された旨を上記ユーザに呈示するための吹き出しイメージを上記表示部に表示させ、上記一のキーが上記タッチパネルに対する上記指の接触により選択された後、当該一のキーを選択している指が上記タッチパネルから離されると、当該一のキーが上記ユーザにより選択されたキーであると決定する表示制御部」といい得る部分とを有している。
ウ.上記イ.で言及した「表示制御部」といい得る部分は、「選択された一のキーを指し示す吹き出し形状で、当該選択されたキーと同じ内容が表示される吹き出しイメージを、選択された上記一のキーに少なくとも一部を重ねて表示させる」ように動作するものである。

したがって、引用例には次の発明(以下、「引用例記載発明」と呼ぶ。)が記載されているといえる。
「表示部と、
指の接触により上記表示部に表示する表示画面の任意位置をユーザが指定可能なタッチパネルと、上記タッチパネルを介して上記ユーザが選択可能な複数のキーを上記表示部に表示させ、当該表示部に表示させた上記複数のキーのうちの一のキーが上記タッチパネルに対する上記指の接触により選択されると、当該一のキーが選択された旨を上記ユーザに呈示するための吹き出しイメージを上記表示部に表示させ、上記一のキーが上記タッチパネルに対する上記指の接触により選択された後、当該一のキーを選択している指が上記タッチパネルから離されると、当該一のキーが上記ユーザにより選択されたキーであると決定する表示制御部と
を具え、
上記表示制御部は、
選択された一のキーを指し示す吹き出し形状で、当該選択されたキーと同じ内容が表示される吹き出しイメージを、選択された上記一のキーに少なくとも一部を重ねて表示させる
表示装置。」

4.対比
本願発明と引用例記載発明を対比すると、引用例記載発明でいう「指」、「キー」、「吹き出しイメージ」は、それぞれ、本願発明の「指示物」、「表示子」、「呈示用表示子」に相当するものといえるから、両者の間には、以下の一致点、相違点があるといえる。

<一致点>
「表示部と、
指示物の接触により上記表示部に表示する表示画面の任意位置をユーザが指定可能なタッチパネルと、
上記タッチパネルを介して上記ユーザが選択可能な複数の表示子を上記表示部に表示させ、当該表示部に表示させた上記複数の表示子のうちの一表示子が上記タッチパネルに対する上記指示物の接触により選択されると、当該一表示子が選択された旨を上記ユーザに呈示するための呈示用表示子を上記表示部に表示させ、上記一表示子が上記タッチパネルに対する上記指示物の接触により選択された後、当該一表示子を選択している指示物が上記タッチパネルから離されると、当該一表示子が上記ユーザにより選択された表示子であると決定する表示制御部と
を具え、
上記表示制御部は、
選択された上記一表示子を指し示す吹き出し形状で、当該選択された表示子と同じ内容が表示される上記呈示用表示子を、選択された上記一表示子に少なくとも一部を重ねて表示させる、
表示装置。」
である点。

<相違点>
本願発明の「表示制御部」は、「一の表示子を選択している指示物が、タッチパネルに接触したまま所定の有効領域内に表示されている他の表示子の表示位置に移動すると、当該他の表示子が新たに選択されたと認識し、新たに選択された当該表示子を指し示す吹き出し形状で、新たに選択された当該表示子と同じ内容が表示される上記呈示用表示子を、新たに選択された当該表示子の近傍に表示させるとともに、選択されていた上記一の表示子を指し示す上記呈示用表示子を非表示にさせ、
また上記一の表示子を選択している上記指示物が、上記タッチパネルに接触したまま上記所定の有効領域外に移動すると、上記呈示用表示子を非表示にして、上記複数の表示子が何も選択されていない状態に戻す」ように動作するものであるのに対し、引用例記載発明の「表示制御部」は、そのように動作するものとは限らない(引用例には、「一の表示子を選択している指示物が、タッチパネルに接触したまま所定の有効領域内に表示されている他の表示子の表示位置に移動する」場合や「一の表示子を選択している指示物が、タッチパネルに接触したまま所定の有効領域外に移動する」場合の動作についての記載がない。)点。

5.判断
(1)上記相違点について
以下の事情を勘案すると、引用例記載発明において上記相違点に係る本願発明の構成を採用すること、換言すれば、引用例記載発明の「表示制御部」を、「一の表示子を選択している指示物が、タッチパネルに接触したまま所定の有効領域内に表示されている他の表示子の表示位置に移動すると、当該他の表示子が新たに選択されたと認識し、新たに選択された当該表示子を指し示す吹き出し形状で、新たに選択された当該表示子と同じ内容が表示される上記呈示用表示子を、新たに選択された当該表示子の近傍に表示させるとともに、選択されていた上記一の表示子を指し示す上記呈示用表示子を非表示にさせ、また上記一の表示子を選択している上記指示物が、上記タッチパネルに接触したまま上記所定の有効領域外に移動すると、上記呈示用表示子を非表示にして、上記複数の表示子が何も選択されていない状態に戻す」ように動作するものとすることは、当業者が容易に推考し得たことというべきである。

ア.引用例の段落【0003】の「限られたスペース内に多くのキーが割り当てられている場合において、キーサイズはキーの数に応じて小さくなるため、タッチ入力時に指を近づけてゆく途中において、手によってその機能名表示が隠されてしまい、目的とするキーか否かを確認することができなくなるという欠点があった。この発明の課題は、タッチ入力時に手によってその機能名が隠されてしまっても、その機能名を正確に認識できるようにすることである。」という記載や段落【0026】の「タッチパネル上に割り当てられている各キーに対応してその機能名(商品名)が表示出力されている状態において、タッチパネル上の任意のキーがタッチ入力されると、このキーの近傍に、吐き出しイメージ内にその機能名(商品名)がガイド表示されるので、どのキーをタッチ入力したかを容易に確認することができる。つまり、キーをタッチするために指を当該キー位置に近づけた際に、手によってその商品名が隠されてしまっても、ガイド表示によって所望のキーを正確にタッチしたかを確認することができる。また、このガイド表示によって実際にキーをタッチしたか否かを確認することができる。」という記載等からみて、引用例記載発明において、「ユーザが意図したキー(表示子)ではなく、それに隣接したキー(表示子)のような意図しないキー(表示子)を誤ってタッチする」といったような事象は、当然に想定される事象である。
そして、引用例記載発明を具現化した装置において想定される当該装置の使用形態を考えると、上記のような事象が発生した場合に、ユーザが意図したキー(表示子)を選択すべく、タッチパネルに接触したまま所定の有効領域内に表示されている他のキー(表示子)の表示位置に指(指示物)のタッチ位置を移動させるであろうことは、容易に想定される。
また、そのようにタッチ位置を移動させた場合に、「表示制御部」を「移動後のキー(表示子)が新たに選択されたと認識し、新たに選択された当該キー(表示子)を指し示す吹き出し形状で、新たに選択された当該キー(表示子)と同じ内容が表示される吹き出しイメージ(呈示用表示子)を、新たに選択された当該キー(表示子)の近傍に表示させるとともに、それまで選択されていた一のキー(表示子)を指し示す上記吹き出しイメージ(呈示用表示子)を非表示にさせる」ように動作させるのが適切であることは、引用例の上記段落【0003】の記載から理解される引用例記載発明の課題や引用例記載発明の構成に照らし、明らかである。
以上のことは、引用例記載発明の「表示制御部」を、「一の表示子を選択している指示物が、タッチパネルに接触したまま所定の有効領域内に表示されている他の表示子の表示位置に移動すると、当該他の表示子が新たに選択されたと認識し、新たに選択された当該表示子を指し示す吹き出し形状で、新たに選択された当該表示子と同じ内容が表示される上記呈示用表示子を、新たに選択された当該表示子の近傍に表示させるとともに、選択されていた上記一の表示子を指し示す上記呈示用表示子を非表示にさせる」ように動作するものとすることが当業者にとって容易であったことを意味している。

イ.上述したように、引用例記載発明を具現化した装置において想定される当該装置の使用形態を考えると、ユーザが指(指示物)のタッチ位置をタッチパネルに接触したまま移動させるという操作がなされる場合があり得ることは当然のことである。
また、引用例の段落【0023】の「タッチ座標位置がキーの有効領域内であれば(ステップB4)、当該キーの近傍に商品名をガイド表示する処理に移る(ステップB5)」という記載等によれば、引用例記載発明のタッチパネルには、キーの有効領域と無効領域があり得ることが明らかである。
以上のことを併せ考えると、引用例記載発明において、「一のキー(表示子)を選択している指(指示物)がタッチパネルに接触したまま有効領域外に移動する」という操作(以下、「操作A」という。)は当然にあり得る操作である。
そして、引用例記載発明の構成に照らせば、そのような操作Aは、「一のキー(表示子)が仮に選択されている状態(選択はされているが決定には至っていない状態)からいずれのキー(表示子)も選択されていない状態へ移行したという状況」(以下、「状況A」という。)を表す操作として理解するのが自然である。
してみれば、引用例記載発明を具現化する際、操作Aが状況Aを表すように装置を構成することは、当業者が普通に考えることであり、引用例記載発明を具現化する際、操作Aが状況Aを表すように装置を構成するということは、引用例記載発明の「表示制御部」を「一の表示子を選択している指示物が、タッチパネルに接触したまま所定の有効領域外に移動すると、呈示用表示子を非表示にして、複数の表示子が何も選択されていない状態に戻す」ように動作するものとすることに他ならない。
以上のことは、引用例記載発明の「表示制御部」を「一の表示子を選択している指示物が、タッチパネルに接触したまま所定の有効領域外に移動すると、呈示用表示子を非表示にして、複数の表示子が何も選択されていない状態に戻す」ように動作するものとすることが当業者にとって容易であったことを意味している。

ウ.以上のことは、引用例記載発明において上記相違点に係る本願発明の構成を採用することが当業者にとって容易であったことを意味している。

(2)本願発明の効果について
本願発明によりもたらされる効果は、引用例に記載された事項から当業者が予測し得る程度のものであり、本願発明の進歩性を肯定する根拠となり得るものではない。

(3)まとめ
以上のとおりであるから、本願発明は、引用例記載発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものである。

6.むすび
以上のとおり、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものである。 したがって、本願は、他の請求項について検討するまでもなく、拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2013-11-26 
結審通知日 2013-12-03 
審決日 2013-12-17 
出願番号 特願2008-167259(P2008-167259)
審決分類 P 1 8・ 121- WZ (G06F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 豊田 朝子佐藤 匡  
特許庁審判長 小曳 満昭
特許庁審判官 山田 正文
清水 稔
発明の名称 表示装置、電子機器及び表示方法  
代理人 田辺 恵基  
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