• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G06F
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 G06F
管理番号 1285035
審判番号 不服2012-20482  
総通号数 172 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2014-04-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2012-10-18 
確定日 2014-02-19 
事件の表示 特願2007-501789「加速度計に基づいてポータブル・デバイスを操作する方法および装置」拒絶査定不服審判事件〔平成17年10月 6日国際公開、WO2005/093550、平成19年 9月 6日国内公表、特表2007-525775〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、2005年1月27日を国際出願日とする出願(パリ条約による優先権主張2004年3月1日、米国、同2004年7月13日、米国、同2004年11月12日、米国)であって、平成24年6月13日付けで拒絶査定がなされ(発送日:同月19日)、これに対して同年10月18日に審判の請求がなされ、同時に手続補正がなされたものである。

第2 平成24年10月18日付けの手続補正についての補正却下の決定
[補正却下の結論]
平成24年10月18日付けの手続補正(以下、「本件補正」という。)を却下する。

[理由]
1.本願補正発明
本件補正により、特許請求の範囲の請求項1は、
「ユーザの観点から第1シーンから第2シーンへの方向に向かって推移するイメージのシーケンスをポータブルなタブレット・デバイスのディスプレイに表示するステップと、
前記ポータブルなタブレット・デバイスに取り付けられた加速度計を使用して前記ポータブルなタブレット・デバイスの3次元空間における移動方向を検出するステップと、
前記ポータブルなタブレット・デバイスの前記移動方向の検出に応答して、1つまたは複数の所定のアクションを実行するために機械実行可能コードを実行するステップと
から成り、前記機械実行可能コードを実行するステップは、
前記ポータブルなタブレット・デバイスの前記移動方向が、前記ユーザの前記観点からの前記推移の前記方向に関連する方向に従うかどうかを検出するステップと、
前記移動方向が前記推移の前記方向に関連する方向に従って検出されない場合に、所定のオペレーションを実行するステップと
をさらに含むことを特徴とする加速度計に基づいてポータブルなタブレット・デバイスを操作する方法。」
と補正された。(審決注:下線は当審付与。以下同様。)
上記補正は、請求項1に記載した発明を特定するために必要な事項のうち、本件補正前(平成22年9月13日付け手続補正書参照)において、「ポータブル・デバイス」とあったものを(6箇所)、「ポータブルなタブレット・デバイス」とし、「…デバイスの移動を検出するステップ」とあったものを、「…デバイスの3次元空間における移動方向を検出するステップ」とする共に「前記移動…」とあったものを(3箇所)、「前記移動方向…」とする限定を付加することを含むものであって、特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
そこで、本件補正後の前記請求項1に記載された発明(以下、「本願補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に適合するか)について以下に検討する。


2.引用文献2(特開2001-170358号公報)
原査定の拒絶の理由で引用された、特開2001-170358号公報(以下「引用文献2」という。)には、図面と共に、次の事項が記載されている。

(1) 段落【0001】
「【0001】
【産業上の利用分野】この発明はゲームシステム及びそれに用いられるゲーム情報記憶媒体に関し、特に携帯ゲーム装置のハウジング又はビデオゲーム装置のコントローラに加えられる傾き,運動又は衝撃等の変化量・変化方向を検出して操作情報としてゲーム空間の状態を変化させる、ゲームシステム及びそれに用いられるゲーム情報記憶媒体に関する。」

(2) 段落【0005】-【0006】
「【0005】
【課題を解決するための手段】第1の発明(請求項1に係る発明)は、ゲームプログラムを記憶するゲームプログラム記憶手段とゲームプログラムを実行する処理手段とを備えるゲーム装置に対して、処理手段の処理結果に基づく画像を表示する表示手段が関連的に設けられたゲームシステムである。そして、プレイヤによって把持されるハウジング、及び変化状態検出手段を備える。変化状態検出手段は、ハウジングに関連して設けられ、かつハウジングに加えられた変化の量(例えば、傾き量,運動量,衝撃量等)と変化方向(例えば、傾き方向,運動方向,衝撃方向等)の少なくとも一方を検出する。ゲームプログラム記憶手段は、ゲーム空間データと、表示制御プロクラム(審決注:「プログラム」の誤記と認める。)と、シミュレーションプログラムとを記憶する。ゲーム空間データは、ゲームプレイ可能な空間を表示するための画像データを含む。表示制御プロクラム(審決注:「プログラム」の誤記と認める。)は、ゲーム空間データに基づいて表示手段にゲーム空間を表示させる。シミュレーションプログラムは、状態検出手段の出力に基づいて、ハウジングに加えられた変化量と変化方向の少なくとも一方に関連させて、ゲーム空間の状態を変化させるようにシミュレートする。
【0006】ここで、ゲーム空間とは、プレイ可能なゲーム中の世界を意味するものであり、ゲームの種類又はジャンルによって異なり、表示画面を通じてプレイヤに示されるものである。例えば、移動(又はプレイヤ)キャラクタがその中を移動するアクションゲームやロールプレイングゲームでは背景,迷路その他のマップ、格闘ゲームではリング(それに加えて観客席やリング上部の空間も含む),レースゲームでは走行可能なコースやコースの周辺の空間、シューティングゲームではキャラクタの背景となるような宇宙空間等の背景画面(但し、キャラクタは必須ではなく、キャラクタが存在しないゲーム空間も考えられ得る)、道具を使用したゲームでは道具の使用を連想させるような画面等がゲーム空間となる。シミュレートとは、ハウジングに加えられた傾き,運動又は衝撃の量的なものと方向性の少なくとも一方に基づいて、実空間上に生じる変化をゲーム空間の状態変化として擬似的に表現するゲーム制御のことである。・・・(以下略)」

(3) 段落【0011】-【0015】
「【0011】
【発明の実施の形態】(第1実施例)図1?図40を参照して、本発明の第1の実施例の携帯型ゲーム装置を説明する。

・・・(中略)・・・

【0014】カートリッジ30は、基板36を内蔵し、基板36には図16を参照して後述するようなゲームプログラムおよびゲームデータを記憶したプログラムROM34と、図19を参照して後述するようなゲームデータを記憶するバックアップRAM35が実装される。カートリッジ30は、これらの記憶手段に加えて、ゲーム装置本体の傾き,運動および衝撃を検出する検出手段の一例として、X軸方向およびY軸方向の加速度を検出するXY軸加速度センサ31と、Z軸方向の加速度を検出するZ軸接点スイッチ32を含む。また、カートリッジ30は、加速度検出手段のインターフェースであるセンサインターフェース33を含む。X軸,Y軸,Z軸方向すべての加速度を検出可能な3軸の加速度センサを使用する場合、Z軸接点スイッチ32が不要となるが、2軸加速度センサ(XY軸加速度センサ)の方が安価であり、本実施例ではZ軸方向の加速度検出は高い精度を必要としないので、構造が簡単で安価なZ軸接点スイッチ32を用いることにする。また、XY軸方向についても高い精度を必要としない場合は、Z軸接点スイッチと同じような構造の検出手段をXY軸方向の加速度検出に使用しても良い。
【0015】プログラムROM34に記憶されたゲームプログラムはCPU21によって実行される。ゲームプログラムの実行の際に必要な一時的なデータがワークRAM26に記憶される。ゲーム装置の電源をオフしたときにも持続的に記憶すべきゲームデータがバックアップRAM35に記憶される。CPU21がゲームプログラムを実行して得た表示データが表示用RAM25に記憶され、LCDドライバ22を介してLCD12に表示される。同様に、CPU21がゲームプログラムを実行して得たサウンドデータがサウンド発生回路23に送られてスピーカー16から効果音としてサウンドが発生される。操作スイッチ13はゲーム操作をするためのものであるが、本実施例においては操作スイッチ13は補助的なものである。プレイヤは、主として、ゲーム装置を傾けたり、運動させたり、衝撃を与えたりしてゲーム操作をおこなう。このゲーム装置の傾き,運動,衝撃のゲーム操作がXY軸加速度センサ31およびZ軸接点スイッチ32によって検出される。これらの加速度検出手段の出力値を利用して、CPU21がゲームプログラムを実行する。」

(4) 段落【0102】-【0121】
「【0102】(第3実施例)次に、図50?図59を参照して、本発明の第3の実施例を説明する。このゲームは、ゲーム装置をフライパンや包丁であるかのように動かして仮想的な料理を楽しむゲームである。
【0103】図50?図53は、ゲーム画面の一例である。図50において、ゲーム画面には、プレイヤキャラクタ91とキッチン92とコンロ93とフライパン94と机95とまな板96が表示される。Aボタン(操作スイッチ13b)を押すと、図51および図52を参照して後述するフライパン空間処理が開始する。また、Bボタン(操作スイッチ13c)を押すと、図53を参照して後述する包丁空間処理が開始する。
【0104】図51および図52は、フライパン空間処理のゲーム画面の一例である。フライパン空間処理では、ゲーム装置をフライパンのように操作して、目玉焼きを調理するゲームをする。図51(a)において、ゲーム画面には、フライパン94と卵97が表示されている。図51(a)に示す状態において、ゲーム装置をY軸を中心にマイナス方向に傾けると、図51(b)に示すように、卵97はフライパンの左方へ移動表示される。また、図51(b)に示す状態において、ゲーム装置をX軸を中心としてプラス方向に傾けると、卵97はフライパンの下方へ移動表示される。このように処理することによって、ゲーム装置をあたかもフライパンのように操作して、卵がフライパンの傾きによって移動しているかのような感覚をプレイヤに与えることができる。
【0105】図52(a)に示す状態において、ゲーム装置のZ軸方向に衝撃入力を与えると、図52(b)に示すように、卵97はフライパン94から離れて上方にジャンプしているような表示がされ、その後、図52(c)または(d)に示すように、卵97は着地する表示がされる。このとき、図52(a)に示すように、Z軸方向に衝撃入力をした時の卵97の位置がフライパン94の端の方である場合には、卵97はフライパン94からはみだしてジャンプし着地する(図52(c))こととなり、失敗となる。なお、図52(b)に示す状態において、ゲーム装置をスライド移動させることによって、卵97とフライパン94との相対的な位置関係を修正して、卵97をフライパン94の中に着地させることが可能である(図52(d))。このように処理することによって、ゲーム装置をあたかもフライパンのように操作して、ジャンプした卵をフライパンで受け止めるかのような感覚をプレイヤに与えることができる。

・・・(中略)・・・

【0114】以下、図55?図59を参照して、ゲームプログラムの処理の流れを説明する。図55はメインルーチンのフローチャートである。ゲーム装置本体10にカートリッジ30を差して、ゲーム装置本体10の電源をONにすると、図55に示すメインルーチンが開始される。第3の実施例においても、第1の実施例と同じように、0Gポジション設定処理やニュートラルポジションの設定処理をおこなっても良いが、説明を簡単にするため省略することにする。
【0115】まずステップ71において、第1の実施例における図31と同様のセンサ出力読取処理が行われて、XY軸加速度センサ31およびZ軸接点スイッチ32の出力値がセンサインターフェース33を介して読取られる(0Gポジションデータおよびニュートラルポジションデータによる補正は省略)。ステップ71の後、ステップ72において、Aボタン(操作スイッチ13b)が押されているか否かが判断される。ステップ72において、Aボタンが押されていることが判断されると、ステップ73に進み、図57を参照して後述する包丁空間処理が行われた後、ステップ76に進む。
【0116】ステップ72において、Aボタンが押されていないことが判断されると、ステップ74に進み、Bボタン(操作スイッチ13c)が押されているか否かが判断される。ステップ74において、Bボタンが押されていないことが判断されると、ステップ76に進む。ステップ74において、Bボタンが押されていることが判断されると、ステップ75に進み、図56を参照して後述するフライパン空間処理が行われた後、ステップ76に進む。
【0117】ステップ76において、ゲームオーバーか否かが判断される。具体的には、例えば、所定時間を過ぎた場合にゲームオーバーにする等ゲーム内容に応じた適当な条件によってゲームオーバーの判定がされる。ステップ76において、ゲームオーバーでないと判断されると、ステップ71に戻る。ステップ76において、ゲームオーバーであると判断されると、メインルーチンを終了する。
【0118】図56はフライパン空間処理のフローチャートである。まず、ステップ771において、フライパン用テーブルを参照して、卵X座標(Ex)および卵Y座標(Ey)の変更処理が行われる。ステップ771の後、ステップ772において、図58を参照して後述する卵ジャンプ処理が行われる。ステップ772の後、ステップ773において、卵焼け具合(Ef)を1増加させる処理がおこなわれる。ステップ773の後、ステップ774において、卵焼け具合(Ef)が100以上になったか否かが判断される。卵焼け具合(Ef)が100より小さいことが判断されると、フライパン空間処理を終了する。卵焼け具合(Ef)が100以上になったことが判断されると、ステップ775に進み、卵成功処理が行なわれる。卵成功処理では、例えば、卵の調理が完成した画面が表示され、得点が加算される処理が行われる。ステップ775の後、フライパン空間処理を終了する。

・・・(中略)・・・

【0120】図58は卵ジャンプ処理のフローチャートである。まず、ステップ772aにおいて、Z軸接点スイッチの出力があったか否か(すなわち、Z軸方向の衝撃入力があったか否か)が判断される。ステップ772aにおいて、Z軸接点スイッチの出力がなかったことが判断されると、卵ジャンプ処理を終了する。ステップ772aにおいて、Z軸接点スイッチの出力があったことが判断されると、ステップ772bにおいて、卵がジャンプしている表示が行われる。ステップ772bの後、ステップ772cにおいて、卵の高さ(Eh)がCH(所定値)に設定される。ステップ772cの後、ステップ772dにおいて、第1の実施例における図31と同様のセンサ出力読取処理が行われて、XY軸加速度センサ31およびZ軸接点スイッチ32の出力値がセンサインターフェース33を介して読取られる(0Gポジションデータおよびニュートラルポジションデータによる補正は省略)。ステップ772dの後、ステップ772eにおいて、卵ジャンプ時用テーブルを参照して、卵X座標(Ex)および卵Y座標(Ey)の変更処理が行われる。ステップ772eの後、ステップ772fにおいて、卵の高さ(Eh)を1減少させる処理が行われる。ステップ772fの後、ステップ772gにおいて、卵のX座標(Ex),Y座標(Ey),高さ(Eh)に基づいて表示処理が行われる。ステップ772gの後、ステップ772hにおいて、卵が着地したか否か、すなわち卵の高さ(Eh)が0になったか否かが判断される。ステップ772hにおいて、卵が着地していないことが判断されると、ステップ772dに戻る。ステップ772hにおいて、卵が着地したことが判断されると、ステップ772iにおいて、卵の着地位置がフライパン内か否かが判断され、フライパン内であると判断された場合にはステップ772jにおいて、ジャンプ成功処理が行われた後、卵ジャンプ処理を終了する。ジャンプ成功処理では、例えば「成功」と表示しつつ成功の音楽を発生し、得点を加算する処理が行われる。ステップ772iにおいて、卵の着地位置がフライパンの外であると判断された場合には、ステップ772kにおいて、ジャンプ失敗処理が行われた後、卵ジャンプ処理を終了する。ジャンプ失敗処理では、例えば「失敗」と表示しつつ失敗の音楽を発生し、卵焼け具合(Ef)を0にする処理が行われる(卵の調理をやり直させるようにする)。
【0121】図59はキャベツ切断処理のフローチャートである。まず、ステップ742aにおいて、Z軸接点スイッチの出力があったか否か(すなわち、Z軸方向の運動入力があったか否か)が判断される。ステップ742aにおいて、Z軸接点スイッチの出力がなかったことが判断されると、キャベツ切断処理を終了する。ステップ742aにおいて、Z軸接点スイッチの出力があったことが判断されると、ステップ742bにおいて、包丁の下にキャベツがあるか否かが判断される。ステップ742bにおいて、包丁の下にキャベツがないことが判断されると、キャベツ切断処理を終了する。ステップ742bにおいて、包丁の下にキャベツがあることが判断されると、ステップ742cにおいて、表示処理(キャベツが一定量切断される表示)がされる。ステップ742cの後、ステップ742dにおいて、キャベツの切断割合(CAc)を1増加する処理がされた後、キャベツ切断処理を終了する。」

(5) 段落【0137】
「【0137】上述の実施例では、カートリッジに加速度センサを設けたが、携帯型ゲーム装置本体側に加速度センサを設けても良い。携帯型ゲーム装置本体側に加速度センサを設けた場合、カートリッジ毎に加速度センサを備える必要がなくコストを削減できる。また、ゲーム装置に用いる情報記憶媒体は、カートリッジに限るものではなく、PCカードのようなICカードであっても良い。」

これらの記載(特に「第3実施例」に関する、上記摘記(4)の記載)、及び、図面(特に「第3実施例」に関する、図51-図52、図58)から、引用文献2には、次の発明(以下、「引用発明2」という。)が記載されていると認められる。

「携帯ゲーム装置のハウジングに加えられる傾き,運動又は衝撃等の変化量・変化方向を検出して操作情報としてゲーム空間の状態を変化させる、ゲームシステムにおいて、
プレイヤによって把持されるハウジング、及び変化状態検出手段を備え、変化状態検出手段は、ハウジングに関連して設けられ、かつハウジングに加えられた変化の量(例えば、傾き量,運動量,衝撃量等)と変化方向(例えば、傾き方向,運動方向,衝撃方向等)の少なくとも一方を検出し、
ゲームプログラム記憶手段は、ゲーム空間データと、表示制御プログラムと、シミュレーションプログラムとを記憶し、
ゲーム空間データは、ゲームプレイ可能な空間を表示するための画像データを含み、
表示制御プログラムは、ゲーム空間データに基づいて表示手段にゲーム空間を表示させ、
シミュレーションプログラムは、状態検出手段の出力に基づいて、ハウジングに加えられた変化量と変化方向の少なくとも一方に関連させて、ゲーム空間の状態を変化させるようにシミュレートし、
ここで、ゲーム空間とは、プレイ可能なゲーム中の世界を意味するものであり、ゲームの種類又はジャンルによって異なり、表示画面を通じてプレイヤに示されるものであり、例えば、移動(又はプレイヤ)キャラクタがその中を移動するアクションゲームやロールプレイングゲームでは背景,迷路その他のマップ、格闘ゲームではリング(それに加えて観客席やリング上部の空間も含む),レースゲームでは走行可能なコースやコースの周辺の空間、シューティングゲームではキャラクタの背景となるような宇宙空間等の背景画面(但し、キャラクタは必須ではなく、キャラクタが存在しないゲーム空間も考えられ得る)、道具を使用したゲームでは道具の使用を連想させるような画面等がゲーム空間となり、
シミュレートとは、ハウジングに加えられた傾き,運動又は衝撃の量的なものと方向性の少なくとも一方に基づいて、実空間上に生じる変化をゲーム空間の状態変化として擬似的に表現するゲーム制御のことであり、

ゲーム装置をフライパンや包丁であるかのように動かして仮想的な料理を楽しむゲームで、
フライパン空間処理では、ゲーム装置をフライパンのように操作して、目玉焼きを調理するゲームをし、
ゲーム画面には、フライパン94と卵97が表示されている状態において、
ゲーム装置をY軸を中心にマイナス方向に傾けると、卵97はフライパンの左方へ移動表示され、また、ゲーム装置をX軸を中心としてプラス方向に傾けると、卵97はフライパンの下方へ移動表示され、このように処理することによって、ゲーム装置をあたかもフライパンのように操作して、卵がフライパンの傾きによって移動しているかのような感覚をプレイヤに与えることができ、
ゲーム装置のZ軸方向に衝撃入力を与えると、卵97はフライパン94から離れて上方にジャンプしているような表示がされ、その後、卵97は着地する表示がされ、このとき、Z軸方向に衝撃入力をした時の卵97の位置がフライパン94の端の方である場合には、卵97はフライパン94からはみだしてジャンプし着地することとなり、失敗となり、ゲーム装置をスライド移動させることによって、卵97とフライパン94との相対的な位置関係を修正して、卵97をフライパン94の中に着地させることが可能であり、このように処理することによって、ゲーム装置をあたかもフライパンのように操作して、ジャンプした卵をフライパンで受け止めるかのような感覚をプレイヤに与えることができ、
ゲームプログラムの処理の流れにおいて、
まずステップ71において、センサ出力読取処理が行われて、XY軸加速度センサ31およびZ軸接点スイッチ32の出力値がセンサインターフェース33を介して読取られ、
フライパン空間処理のステップ772において、卵ジャンプ処理が行われ、
卵ジャンプ処理において、
ステップ772aにおいて、Z軸接点スイッチの出力があったことが判断されると、
ステップ772bにおいて、卵がジャンプしている表示が行われ、
ステップ772cにおいて、卵の高さ(Eh)がCH(所定値)に設定され、
ステップ772dにおいて、センサ出力読取処理が行われて、XY軸加速度センサ31およびZ軸接点スイッチ32の出力値がセンサインターフェース33を介して読取られ、
ステップ772eにおいて、卵ジャンプ時用テーブルを参照して、卵X座標(Ex)および卵Y座標(Ey)の変更処理が行われ、
ステップ772fにおいて、卵の高さ(Eh)を1減少させる処理が行われ、
ステップ772gにおいて、卵のX座標(Ex),Y座標(Ey),高さ(Eh)に基づいて表示処理が行われ、
ステップ772hにおいて、卵が着地したか否か、すなわち卵の高さ(Eh)が0になったか否かが判断され、
ステップ772hにおいて、卵が着地していないことが判断されると、ステップ772dに戻り、
ステップ772hにおいて、卵が着地したことが判断されると、
ステップ772iにおいて、卵の着地位置がフライパン内か否かが判断され、
フライパン内であると判断された場合にはステップ772jにおいて、ジャンプ成功処理が行われた後、卵ジャンプ処理を終了し、ジャンプ成功処理では、例えば「成功」と表示しつつ成功の音楽を発生し、得点を加算する処理が行われ、
ステップ772iにおいて、卵の着地位置がフライパンの外であると判断された場合には、ステップ772kにおいて、ジャンプ失敗処理が行われた後、卵ジャンプ処理を終了し、ジャンプ失敗処理では、例えば「失敗」と表示しつつ失敗の音楽を発生し、卵焼け具合(Ef)を0にする処理が行われる(卵の調理をやり直させるようにする)、
ここで、携帯型ゲーム装置本体側に加速度センサを設けても良い、
方法。」


3.対比
本願補正発明と引用発明2とを対比する。
(1) 引用発明2の「携帯ゲーム装置」(以下、引用文献2の実施例中の表記に合わせて、「携帯ゲーム装置」を「携帯型ゲーム装置」と表記する場合がある。)は、本願補正発明の「ポータブルなタブレット・デバイス」と、「ポータブル・デバイス」である点で共通するといえる。
引用発明2の「目玉焼きを調理するゲーム」において、「ゲーム画面には、フライパン94と卵97が表示され」、「ゲーム装置をあたかもフライパンのように操作して、卵がフライパンの傾きによって移動しているかのような感覚をプレイヤに与えることができ」、「卵がジャンプしている表示が行われ」る「卵ジャンプ処理」において、「ステップ772eにおいて、卵ジャンプ時用テーブルを参照して、卵X座標(Ex)および卵Y座標(Ey)の変更処理が行われ」、「ステップ772fにおいて、卵の高さ(Eh)を1減少させる処理が行われ」、「ステップ772gにおいて、卵のX座標(Ex),Y座標(Ey),高さ(Eh)に基づいて表示処理が行われ」、「ステップ772hにおいて、卵が着地していないことが判断されると、ステップ772dに戻」ることは、本願補正発明の「ユーザの観点から第1シーンから第2シーンへの方向に向かって推移するイメージのシーケンスをポータブルなタブレット・デバイスのディスプレイに表示するステップ」と、「イメージのシーケンスをポータブル・デバイスのディスプレイに表示するステップ」である点で共通するといえる。

(2) 引用発明2の「卵ジャンプ処理」の「ステップ772dにおいて、センサ出力読取処理が行われて、XY軸加速度センサ31およびZ軸接点スイッチ32の出力値がセンサインターフェース33を介して読取られ」ることは、引用発明2が「携帯型ゲーム装置本体側に加速度センサを設けても良い」ことを考慮すると、本願補正発明の「前記ポータブルなタブレット・デバイスに取り付けられた加速度計を使用して前記ポータブルなタブレット・デバイスの3次元空間における移動方向を検出するステップ」と、「前記ポータブル・デバイスに取り付けられた加速度計を使用して前記ポータブル・デバイスの移動方向を検出するステップ」である点で共通するといえる。

(3) 引用発明2の「ゲームプログラム」における「卵ジャンプ処理」が、「ゲーム装置をスライド移動させることによって、卵97とフライパン94との相対的な位置関係を修正して、卵97をフライパン94の中に着地させることが可能であり」、「ステップ772dにおいて、センサ出力読取処理が行われて、XY軸加速度センサ31およびZ軸接点スイッチ32の出力値がセンサインターフェース33を介して読取られ、ステップ772eにおいて、卵ジャンプ時用テーブルを参照して、卵X座標(Ex)および卵Y座標(Ey)の変更処理が行われ、ステップ772fにおいて、卵の高さ(Eh)を1減少させる処理が行われ、ステップ772gにおいて、卵のX座標(Ex),Y座標(Ey),高さ(Eh)に基づいて表示処理が行われ」ることは、本願補正発明の「前記ポータブルなタブレット・デバイスの前記移動方向の検出に応答して、1つまたは複数の所定のアクションを実行するために機械実行可能コードを実行するステップ」と、「前記ポータブル・デバイスの前記移動方向の検出に応答して、1つまたは複数の所定のアクションを実行するために機械実行可能コードを実行するステップ」である点で共通する。

(4) 引用発明2の「卵ジャンプ処理」の「ステップ772eにおいて、卵ジャンプ時用テーブルを参照して、卵X座標(Ex)および卵Y座標(Ey)の変更処理が行われ」その後、「ステップ772iにおいて、卵の着地位置がフライパン内か否かが判断され」ることは、本願補正発明の「前記ポータブルなタブレット・デバイスの前記移動方向が、前記ユーザの前記観点からの前記推移の前記方向に関連する方向に従うかどうかを検出するステップ」と、「前記ポータブル・デバイスの前記移動が、所定の条件に従うかどうかを検出するステップ」である点で共通する。

(5) 引用発明2の「卵ジャンプ処理」において、「スライド移動させることによって、卵97とフライパン94との相対的な位置関係を修正して」、「ステップ772iにおいて、卵の着地位置がフライパンの外であると判断された場合には、ステップ772kにおいて、ジャンプ失敗処理が行われた後、卵ジャンプ処理を終了し、ジャンプ失敗処理では、例えば「失敗」と表示しつつ失敗の音楽を発生し、卵焼け具合(Ef)を0にする処理が行われる(卵の調理をやり直させるようにする)」ことは、本願補正発明の「前記移動方向が前記推移の前記方向に関連する方向に従って検出されない場合に、所定のオペレーションを実行するステップ」と、「前記移動が前記所定の条件に従って検出されない場合に、所定のオペレーションを実行するステップ」である点で共通するといえる。

したがって、両者の一致点、相違点は以下のとおりである。

[一致点]
「イメージのシーケンスをポータブル・デバイスのディスプレイに表示するステップと、
前記ポータブル・デバイスに取り付けられた加速度計を使用して前記ポータブル・デバイスの移動方向を検出するステップと、
前記ポータブル・デバイスの前記移動方向の検出に応答して、1つまたは複数の所定のアクションを実行するために機械実行可能コードを実行するステップと
から成り、前記機械実行可能コードを実行するステップは、
前記ポータブル・デバイスの前記移動が、所定の条件に従うかどうかを検出するステップと、
前記移動が前記所定の条件に従って検出されない場合に、所定のオペレーションを実行するステップと
をさらに含むことを特徴とする加速度計に基づいてポータブル・デバイスを操作する方法。」
である点。

[相違点A]
本願補正発明は、「ポータブルなタブレット・デバイス」のディスプレイに表示するステップと、「前記ポータブルなタブレット・デバイス」に取り付けられた加速度計を使用して「前記ポータブルなタブレット・デバイス」の移動を検出するステップと、「前記ポータブルなタブレット・デバイス」の前記移動方向の検出に応答して機械実行可能コードを実行するステップとから成り、「前記ポータブルなタブレット・デバイス」の前記移動方向が、所定の方向に従うかどうかを検出するステップと、をさらに含む、加速度計に基づいて「ポータブルなタブレット・デバイス」を操作する方法に係るのに対して、引用発明2は、「携帯ゲーム装置」を操作する方法に係るものであって、「ポータブルなタブレット・デバイス」を操作する方法は記載がない点。

[相違点B]
本願補正発明は、「ユーザの観点から第1シーンから第2シーンへの方向に向かって推移する」イメージのシーケンスを、ディスプレイに表示するステップを備えるのに対して、引用発明2は、「卵ジャンプ処理」として、「センサ出力読取処理が行われて」(ステップ772d)、「卵X座標(Ex)および卵Y座標(Ey)の変更処理が行われ」(ステップ772e)、「卵の高さ(Eh)を1減少させる処理が行われ」(ステップ772f)、「卵のX座標(Ex),Y座標(Ey),高さ(Eh)に基づいて表示処理が行われ」(ステップ772g)、さらに「ステップ772hにおいて、卵が着地していないことが判断されると、ステップ772dに戻」ることで、卵が着地するまで、表示処理を繰り返すものであって、「ユーザの観点から第1シーンから第2シーンへの方向に向かって推移するイメージのシーケンス」を、ディスプレイに表示することは明記されていない点。

[相違点C]
本願補正発明の方法は、「前記ポータブルなタブレット・デバイスに取り付けられた加速度計を使用して前記ポータブルなタブレット・デバイスの『3次元空間における』移動方向を検出するステップ」を含むのに対して、引用発明2は、「目玉焼きを調理するゲーム」において、「XY軸加速度センサ31およびZ軸接点スイッチ32の出力値がセンサインターフェース33を介して読取られ」るもので、「加速度計を使用して」デバイスの「3次元空間における」移動方向を検出するステップは明記されていない点。

[相違点D]
本願補正発明の「前記機械実行可能コードを実行するステップ」は、「前記ポータブルなタブレット・デバイスの前記移動方向が、前記ユーザの前記観点からの前記推移の前記方向に関連する方向に従うかどうかを検出するステップ」と、「前記移動方向が前記推移の前記方向に関連する方向に従って検出されない場合に、所定のオペレーションを実行するステップ」とをさらに含むのに対して、引用発明2は、「卵ジャンプ処理」の「ステップ772iにおいて、卵の着地位置がフライパン内か否かが判断され」、「卵の着地位置がフライパンの外であると判断された場合には、ステップ772kにおいて、ジャンプ失敗処理が行われた後、卵ジャンプ処理を終了し、ジャンプ失敗処理では、例えば「失敗」と表示しつつ失敗の音楽を発生し、卵焼け具合(Ef)を0にする処理が行われる(卵の調理をやり直させるようにする)」ものであって、「前記機械実行可能コードを実行するステップ」は、「前記ポータブルなタブレット・デバイスの前記移動方向が、前記ユーザの前記観点からの前記推移の前記方向に関連する方向に従うかどうかを検出するステップ」と、「前記移動方向が前記推移の前記方向に関連する方向に従って検出されない場合に、所定のオペレーションを実行するステップ」とをさらに含むことは記載がない点。


4.相違点についての判断
(1) [相違点A]について
一般的に、携帯可能な情報処理装置の一形態として、「タブレットPC」などの「ポータブルなタブレット・デバイス」は、周知である(<周知文献A>特開2003-345492号公報。段落【0002】「【従来の技術】携帯可能な機器として、PDA(Personal Digital Assistant)或いはタブレットPC(Personal computer)などと称される小型のコンピューターなどのように、表示手段を備え、手の平に載せて操作することができる携帯電子機器がある。」、段落【0012】「【課題を解決するための手段】本発明携帯電子機器は、上記した課題を解決するために、機器本体の一の面に設けられた表示手段と、機器本体に設けられた加速度センサーとを備え、機器本体が振られたときに、該振られたことにより生じる加速度を上記加速度センサーにより検出し、その検出結果に基づいて、所定の機能を実行するようにしたものである。」、段落【0040】「なお、この実施の形態で用いる加速度センサー7は、3軸加速度センサーで、・・・(以下略)」の記載を参照。<周知文献B>池田圭一、「次世代型PCの全ぼうを明らかにする!タブレットPCの実力を探る」、Windows 2000 World、(株)IDGジャパン、2003年1月1日、第8巻、第1号、p.221-231。特にp.222「タブレットPCには、OSにWindowsXP Tablet PC Edition(以下、Tablet PC Edition)が採用されている。このOSは通常のWindows OSとは異なり、パッケージでは販売されない。ハードウェアにプリインストールされた状態で出荷される。Tablet PC Editionは、WindowsXP Professional(Service Pack1適用済)をべースに、ペン対応の専用アプリケーションや設定ユーティリティなどのサブセットを追加した新たなOSとなっている。Part1ではTablet PC Editionに含まれている新たな機能を紹介する。」、p.225、画面19「『インクボール』はペンの操作に慣れるために用意されたゲームで、各色のボールを同色のホールに落とすといったブロック崩しの一種だ」の記載を参照。<周知文献C>特開2002-189567号公報。段落【0007】「【課題を解決するための手段】引用によって本明細書の一部になっている、前掲の種々特許出願の中で述べられているように、本発明の一形態は、ユーザがスタイラスを使用してディスプレイ面上に直接にライティングすることを可能にするコンピュータ、すなわち、タブレットに似た (tablet-like) コンピュータを提供することを目的としている。」の記載を参照。)。
また、上記<周知文献B>摘記のように、市販の「タブレットPC」には、ゲームがプリインストールされており、タブレットPCでゲームをすることは、普通に行われていたと認められる。
一方、引用発明2は、「第1実施例」についての上記2(3)摘記のように、「操作スイッチ13は補助的なもので」、「プレイヤは、主として、ゲーム装置を傾けたり、運動させたり、衝撃を与えたりしてゲーム操作をおこな」うものと認められる。
よって、「タブレットPC」などの周知の「タブレット・デバイス」にも、引用発明2の「携帯ゲーム装置」に係る方法は有用かつ適用可能であって、引用発明2の「携帯ゲーム装置」に係る方法で使用する装置として、周知の「タブレット・デバイス」の形態の装置を採用することによって、「ポータブルなタブレット・デバイス」のディスプレイに表示するステップと、「前記ポータブルなタブレット・デバイス」に取り付けられた加速度計を使用して「前記ポータブルなタブレット・デバイス」の移動を検出するステップと、「前記ポータブルなタブレット・デバイス」の前記移動方向の検出に応答して機械実行可能コードを実行するステップとから成り、「前記ポータブルなタブレット・デバイス」の前記移動方向が、所定の方向に従うかどうかを検出するステップと、をさらに含む、加速度計に基づいて「ポータブルなタブレット・デバイス」を操作する方法に係る、上記[相違点A]に係る構成とすることは、引用発明2に接した当業者が適宜に採用すべき設計的事項である。

(2) [相違点C]について
一般的に、加速度計によって3次元空間の動き検出をすることは、周知である(上記<周知文献A>特開2003-345492号公報。段落【0040】「なお、この実施の形態で用いる加速度センサー7は、3軸加速度センサーで、・・・(以下略)」の記載を参照。<周知文献D>特開2003-19348号公報。段落【0027】「ゲーム機を左右、上下ないし前後に移動すると、加速度センサ5のX、YないしZ軸方向の加速度が検出され、検出された各方向の加速度の値に基づいて制御部で画面の移動速度若しくは移動距離が計算され、計算された値に基づいて画面が反対方向に、XY軸についてはスクロールし、Z軸については接近又は後退する。例えば、ゲーム機を右に移動させると中央の十字を除く画面全体の背景(敵及び星も含む)が左にスクロールする。」の記載を参照。<周知文献E>特開2003-325972号公報。段落【0002】「【従来の技術】傾きセンサ(又は加速度センサ)を用いたゲーム装置としては、特開2001-170358号(審決注:上記「引用文献2」である。)が知られている。この従来技術を使用した製品としては、本願出願人の発売にかかる携帯ゲーム機用ゲームソフト「コロコロカービィ」(商品名)がある。このようなゲーム装置は、プレイヤが操作器を操作するのに代えて、携帯型ゲーム装置のハウジングを縦方向や横方向等に傾ける操作に応じて、傾き検出量を利用してプレイヤキャラクタの移動方向や移動量(結果として、プレイヤキャラクタに対する背景画面の相対位置又はスクロール)を変化させることができる。」、段落【0016】-【0017】「コントローラ12は更に、加速度センサ12cを内蔵している。加速度センサ12cはセンサのX軸方向(コントローラ12の操作面の縦方向を軸の中心とした回転方向)と、Y軸方向(コントローラ12の操作面の横方向を軸の中心とした回転方向)に生じた加速度の大きさをそれぞれ出力する機能を持つ。・・・(中略)・・・【0017】コントローラ12は更にZ軸接点スイッチ12dを備えてもよい。Z軸接点スイッチ12dはZ軸方向(コントローラ12の操作面に垂直な方向)のコントローラ12の動きをデジタル的に検知するセンサである。この機能を利用すれば、例えばコントローラ12をZ軸方向に振る動作を加えるとき出力が得られるので、新しい演出効果を盛り込んだゲームをプレイ可能である。勿論Z軸接点スイッチ12dに変わって、加速度センサ12cにZ軸方向の加速度センサを加えたものを利用してもよい。」の記載を参照。)。
一般的に、各種の動きセンサーを、検出する動きの内容に応じて採用することは、普通に行われている(<周知文献I>特開平6-50758号公報。段落【0013】「【実施例】まず、図1?図7により本発明の入力装置の一実施例として角速度センサを用いたリモートコマンダーの基本的構成について説明する。図1はリモートコマンダーの内部構成のブロック図であり、1は角速度センサとしての振動ジャイロを示している。」、段落【0033】-【0034】「本発明の入力装置の他の実施例として、位置指定情報を加速度センサによる検出出力を用いて発生させてもよい。入力装置としての構成は前記図1とほぼ同様であり、角速度センサに代えて加速度センサを設ける。【0034】加速度センサを例えば図8のように、入力装置としてのリモートコマンダー10内に3単位設ける。即ち、リモートコマンダー10の左右方向(x方向)の変位動作における加速度を検出する加速度センサ11xと、上下方向(y方向)の変位動作における加速度を検出する加速度センサ11yと、前後方向(z方向)の変位動作における加速度を検出する加速度センサ11zとを配置する。すると、リモートコマンダー10に対してユーザーが行なった上下、左右、前後の移動に対応させてを所定のコマンドコード出力することができる。もちろん、搭載する加速度センサの数は、操作対象機器に応じて設定すればよく、1又は2単位、もしくは4単位以上であってもよい。」、段落【0040】「本発明の各種実施例における使用例としては、もちろん上記したように本発明の入力装置をAV機器やエアコンディショナー等の電子機器に対するリモートコマンダーや、パーソナルコンピュータ等に対応するマウスと同等の入力装置として採用するができるが、さらにそれ以外に、ゲーム機器に対する操作部としても採用できる。例えば図13のように表示画面上にレーシングゲームの画面及びハンドルを表示させるとともに、角速度センサを内蔵した入力装置10を左右方向に回転状に振ることでハンドル操作がなされるようにする。」の記載を参照。)。
一方、引用文献2は、「第1実施例」に関してであるが、上記2(3)の段落【0014】「X軸,Y軸,Z軸方向すべての加速度を検出可能な3軸の加速度センサを使用する場合、Z軸接点スイッチ32が不要となるが、2軸加速度センサ(XY軸加速度センサ)の方が安価であり、本実施例ではZ軸方向の加速度検出は高い精度を必要としないので、構造が簡単で安価なZ軸接点スイッチ32を用いることにする。」と記載され、加速度計によって3次元空間の動き検出をすることの示唆、開示があると認められる。
よって、引用発明2に、上記周知技術を適用することによって、「前記ポータブルなタブレット・デバイスに取り付けられた加速度計を使用して前記ポータブルなタブレット・デバイスの3次元空間における移動方向を検出するステップ」を含む、上記[相違点C]に係る構成とすることは、引用発明2に接した当業者が適宜に採用すべき設計的事項である。

(3) [相違点B]、[相違点D]について
一般的に、レース・ゲーム等のゲームにおいて、コースを外れたら所定の動作を行うことは、周知である(<引用文献1>特開2001-38052号公報。段落【0019】-【0021】「===実施例のゲーム内容=== 本発明の装置を含んだ前述のシステムでなにを行うのかは、ROMカートリッジ3に記録するゲームプログラムの内容しだいである。たとえば次のようなゲームシナリオでプログラムを作成する。雪のないスキー場の斜面をマウンテンバイクで駆け下る。斜面には多数のゲートが設置されてスラロームコースが設定されている。遊戯者はマウンテンバイクを操って設定されたコースから外れないように左右にスラロームしながら斜面を下り、ゴールに達するまでの時間を競う。コースから外れるとペナルティを課す。こんなゲームシナリオに合せて、マウンテンバイク上の競技者から見下ろす斜面の景色のようなゲーム画像を簡単なコンピュータグラフィックスにより生成してディスプレイ5に表示する。・・・(中略)・・・【0021】斜面を駆け下っているマウンテンバイクが操縦を誤ってコースから外れると、バイクに激しい衝撃が加わる。それをゲームで実現するために、そのようなゲーム状況が生じたならば、ゲームプロセッサ9がドライブ回路19を起動してバイブレータ18を動作させてバイクハンドル1自体を振動させる。そのようにゲームプログラムを作成してROMカートリッジ3に記録しておく。」の記載を参照。<周知文献F>「コロコロカービィ」、電撃NINTENDO64、メディアワークス、第5巻、第10号、2000年10月1日、p.118-119。p.118、見出し欄「GBをかたむけてカービィを操作する新感覚ACTの魅力を徹底追求!! N64でも大人気の『星のカービィ』シリーズ最新作がGBカラーで登場だ。しかも「動きセンサーカートリッジ」によって、GB本体をかたむけたり振ったりしてカービィを動かすことができる、まったく新しい操作感覚が楽しめるソフトなのだ。」、同118頁、左下欄「ミスやタイムアップでカービィが減る コースから落ちたり、体力や残り時間がなくなると、カービィの残り数が減ってしまう。さらに、そのコースの最初から再スタートだ。」の記載を参照。<周知文献G>特開2003-88682号公報。図5、図6、段落【0022】「【発明の効果】本発明によれば、仮想空間内に形成されたコース上を移動する移動体がコース側縁のサイドウォールに接触したり、或いはコース外を走行するときに、遊戯者に課されるペナルティを単位時間毎に分割して与えるため、急激な減速を行うことなく、かつ、従来と同量程度ペナルティを課しつつ、初級者のプレイ意欲を殺がずに上級者の裏技テクニックを効果的に抑制することができる」の記載を参照。)。
また、一般的に、レース・ゲーム等のゲームにおいて、移動中のユーザの観点(いわゆる「一人称視点」)から見たシーンの推移を表示することは、周知である(上記<引用文献1>特開2001-38052号公報。段落【0019】-【0021】「===実施例のゲーム内容=== 本発明の装置を含んだ前述のシステムでなにを行うのかは、ROMカートリッジ3に記録するゲームプログラムの内容しだいである。たとえば次のようなゲームシナリオでプログラムを作成する。雪のないスキー場の斜面をマウンテンバイクで駆け下る。斜面には多数のゲートが設置されてスラロームコースが設定されている。遊戯者はマウンテンバイクを操って設定されたコースから外れないように左右にスラロームしながら斜面を下り、ゴールに達するまでの時間を競う。コースから外れるとペナルティを課す。こんなゲームシナリオに合せて、マウンテンバイク上の競技者から見下ろす斜面の景色のようなゲーム画像を簡単なコンピュータグラフィックスにより生成してディスプレイ5に表示する。・・・(後略)」の記載を参照。<周知文献H>特開2001-204967号公報。図2、段落【0021】-【0022】「図2は、本発明に係るゲーム装置のゲーム画像を示したものである。図面には、運転席からの画像が表示されており、プレーヤは、表示された道路(コース)11を運転してゆく。・・・(中略)・・・【0022】プレーヤは、コース11を走行するが、車12に接触したり、コース11を外れないように注意しながら走行する。もし、プレーヤが操作を誤りコース11からはみ出たり、車12に接触すると、大きなタイムロスとなってしまう。」、段落【0031】「プレーヤがジャンプを行なった瞬間には、モニタには、図6のような表示がなされる。今までの一人称視点から、三人称視点に切り替わり、プレーヤが操作した自車45がジャンプした様子が表示されている。ここで、プレーヤの操作がどのような結果になったかが、三人称視点から示される。」の記載の摘記を参照。)。
一方、引用発明2における「ゲーム空間とは、プレイ可能なゲーム中の世界を意味するものであり、ゲームの種類又はジャンルによって異なり、表示画面を通じてプレイヤに示されるものであり、例えば、移動(又はプレイヤ)キャラクタがその中を移動するアクションゲームやロールプレイングゲームでは背景,迷路その他のマップ、格闘ゲームではリング(それに加えて観客席やリング上部の空間も含む),レースゲームでは走行可能なコースやコースの周辺の空間、・・・(中略)・・・等がゲーム空間とな」るから、「ゲームの種類又はジャンル」として、「レースゲーム」の例示があると認められる。
よって、動きを検出して表示等を変化させる引用発明2において、ゲームとして例示された「レースゲーム」を選択し、この際、コースを外れたら所定の動作を行う上記周知技術、及び、移動中のユーザの観点(いわゆる「一人称視点」)から見たシーンの推移を表示する上記周知技術を採用することによって、「ユーザの観点から第1シーンから第2シーンへの方向に向かって推移する」イメージのシーケンスを、ディスプレイに表示するステップを備えるとともに、「前記機械実行可能コードを実行するステップ」は、「前記ポータブルなタブレット・デバイスの前記移動方向が、前記ユーザの前記観点からの前記推移の前記方向に関連する方向に従うかどうかを検出するステップ」と、「前記移動方向が前記推移の前記方向に関連する方向に従って検出されない場合に、所定のオペレーションを実行するステップ」とをさらに含む、上記[相違点B]、[相違点D]に係る構成とすることは、引用発明2に接した当業者が適宜に採用すべき設計的事項である。

そして、本願補正発明のように構成したことによる効果も引用発明及び周知技術から予測できる程度のものである。


5.むすび
以上のとおり、本願補正発明は、引用発明2及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、本件補正は、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。


第3 本願発明について
1.本願発明
平成24年10月18日付けの手続補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、平成22年9月13日付け手続補正書の特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される次のとおりのものである。
「ユーザの観点から第1シーンから第2シーンへの方向に向かって推移するイメージのシーケンスをポータブル・デバイスのディスプレイに表示するステップと、
前記ポータブル・デバイスに取り付けられた加速度計を使用して前記ポータブル・デバイスの移動を検出するステップと、
前記ポータブル・デバイスの前記移動の検出に応答して、1つまたは複数の所定のアクションを実行するために機械実行可能コードを実行するステップと
から成り、前記機械実行可能コードを実行するステップは、
前記ポータブル・デバイスの前記移動が、前記ユーザの前記観点からの前記推移の前記方向に関連する方向に従うかどうかを検出するステップと、
前記移動が前記推移の前記方向に関連する方向に従って検出されない場合に、所定のオペレーションを実行するステップと
をさらに含むことを特徴とする加速度計に基づいてポータブル・デバイスを操作する方法。」

2.引用文献1(特開2001-38052号公報)
原査定の拒絶の理由で引用された、特開2001-38052号公報(以下「引用文献1」という。)には、図面と共に、次の事項が記載されている。

(1) 段落【0001】
「【発明が属する技術分野】この発明は、ゲームプログラムを記録したROMカートリッジを交換装着することでさまざまなゲームを楽しめる携帯型汎用ビデオゲーム機に関し、とくに、一般的な携帯型汎用ビデオゲーム機に組み合わせて使用してゲーム機としての機能を拡張するための機能拡張用ユーザインタフェース装置に関する。」

(2) 段落【0012】-【0017】
「【発明の実施の形態】===実施例の構成===
この発明の一実施例として、マウンテンバイクゲーム用に設計した機能拡張用ユーザインタフェース装置について詳しく説明する。図1と図2にその外観を示し、図3に本装置を含むシステム全体のブロック構成を示している。本実施例の装置はマウンテンバイクのハンドルを模倣した手持ちケース1に全体を実装している。以下では手持ちケース1のことをバイクハンドル1と記す。
【0013】本装置を組み合わせる携帯型汎用ビデオゲーム機2は、ROMカートリッジ3が着脱自在に装着されるスロット4と、ゲーム画像を表示するためのディスプレイ5と、ゲーム操作信号を入力するためのスイッチ群6と、ROMカートリッジ3に記録されたゲームプログラムを実行することで前記ゲーム操作信号を読み取りながらゲームアルゴリズムを進行させて前記ディスプレイ5にゲーム画像を表示するゲームプロセッサ9とが小型ケースに一体的に実装された周知のものである。
【0014】バイクハンドル(手持ちケース)1の中央部には前記スロット4に着脱自在に装着される挿入舌片部7があり、この挿入舌片部7にはバイクハンドル1の内部の拡張バス10とゲームプロセッサ9の側のバス11とを電気的に結合するための第1の電気的接続構造がある。なお、挿入舌片部7を携帯型汎用ビデオゲーム機2のスロット4に装着した状態において、このゲーム機2がバイクハンドル1から脱落するのを防止するための脱落防止機構として、挿入舌片部7の下方に突起8が形成されている。

・・・(中略)・・・

【0016】バイクハンドル1には、遊戯者が加える物理的な運動作用に対応したデジタル信号を発生するためのゲーム操作信号生成手段の1つとして、左右2つのブレーキレバー13aと13bに連動するブレーキスイッチ14aと14bが装備されている。もう1つのゲーム操作信号生成手段として、バイクハンドル1の水平面内での方位変化を検出するための半導体ジャイロ15が装備されている。ブレーキスイッチ14aと14bおよび半導体ジャイロ15で生成されたゲーム操作信号はゲート16を介して拡張バス10のデータ線に出力される。ゲート16はアドレスデコーダ17のデコード出力によってオン・オフされる。アドレスデコーダ17は、ゲームプロセッサ9から拡張バス10に特定のアドレス信号が出力されたのを検出してゲート16をオンにする。
【0017】バイクハンドル1には、遊戯者の手指に物理力を作用させるためのゲーム作用力生成手段として、モータに偏心重りを取り付けたバイブレータ18が装備されている。バイブレータ18はドライブ回路19によって駆動される。ドライブ回路19はアドレスデコーダ20のデコード出力によってオン・オフされる。アドレスデコーダ20は、ゲームプロセッサ9から拡張バス10に特定のアドレス信号が出力されたのを検出してドライブ回路19を起動し、また別の特定アドレス信号を検出してドライブ回路19の動作を停止させる。」

(3) 段落【0019】-【0023】
「【0019】===実施例のゲーム内容===
本発明の装置を含んだ前述のシステムでなにを行うのかは、ROMカートリッジ3に記録するゲームプログラムの内容しだいである。たとえば次のようなゲームシナリオでプログラムを作成する。雪のないスキー場の斜面をマウンテンバイクで駆け下る。斜面には多数のゲートが設置されてスラロームコースが設定されている。遊戯者はマウンテンバイクを操って設定されたコースから外れないように左右にスラロームしながら斜面を下り、ゴールに達するまでの時間を競う。コースから外れるとペナルティを課す。こんなゲームシナリオに合せて、マウンテンバイク上の競技者から見下ろす斜面の景色のようなゲーム画像を簡単なコンピュータグラフィックスにより生成してディスプレイ5に表示する。
【0020】ブレーキを掛けずに斜面を下れば、徐々にバイクのスピードが増してくる。そのようにゲーム画像を生成する。ブレーキを掛けるとバイクのスピードが低下してゲーム画像の変化もゆっくりになる。マウンテンバイクのハンドルを左右に切ると、バイクの進行方向が変わり、バイク上の競技者が正面に見る景色も変化する。その景色の変化をゲーム画像として表現することで、スラロームコースのゲートをかわしながら駆け下るときの様子を遊戯者に認知させる。このようなゲーム機能を実現するには、ブレーキスイッチ14aと14bのスイッチ信号および半導体ジャイロ15の方向変化信号をゲームプロセッサ9が随時読み込み、その信号の情報に従ってゲーム画像の生成プロセスを可変制御する。そのようにゲームプログラムを作成してROMカートリッジ3に記録しておく。
【0021】斜面を駆け下っているマウンテンバイクが操縦を誤ってコースから外れると、バイクに激しい衝撃が加わる。それをゲームで実現するために、そのようなゲーム状況が生じたならば、ゲームプロセッサ9がドライブ回路19を起動してバイブレータ18を動作させてバイクハンドル1自体を振動させる。そのようにゲームプログラムを作成してROMカートリッジ3に記録しておく。
【0022】以上のようなマウンテンバイクゲームを実行する場合において、ゲームの開始や終了を指示したり、あるいは難易度の異なる複数のスラロームコースの中からどれかを選択するときに、携帯型汎用ビデオゲーム機に装備されているスイッチ群6を使用する。そのようにゲームプログラムを作成してROMカートリッジ3に記録しておく。
【0023】この実施例の装置はある特定の一種類のマウンテンバイクゲームの専用機ではなく、異なる内容のいろいろなゲームプログラムに対応するものである。競技場をスキー場の斜面に設定したゲームの他、適当なオフロードコースにおける障害物競争に場面設定したゲームなど、いろいろなゲームが考えられる。また、この実施例の装置をマウンテンバイクのハンドルと見なすのではなく、たとえば水上スクーターのハンドルと見なし、水上で走り回るゲームも実現できる。このようにゲームプログラムはROMカートリッジの形式で供給することとしたので、携帯型汎用ビデオゲーム機が本来もっている汎用性を損わない。」

これらの記載、及び、図面から、引用文献1には、次の発明(以下、「引用発明1」という。)が記載されていると認められる。

「ゲームプログラムを記録したROMカートリッジを交換装着することでさまざまなゲームを楽しめる携帯型汎用ビデオゲーム機に組み合わせて使用してゲーム機としての機能を拡張するための機能拡張用ユーザインタフェース装置において、
マウンテンバイクゲーム用に設計した機能拡張用ユーザインタフェース装置を含むシステム全体は、
マウンテンバイクのハンドルを模倣した手持ちケース1に全体を実装しており、以下では手持ちケース1のことをバイクハンドル1と記し、
組み合わせる携帯型汎用ビデオゲーム機2は、ROMカートリッジ3が着脱自在に装着されるスロット4と、ゲーム画像を表示するためのディスプレイ5と、ゲーム操作信号を入力するためのスイッチ群6と、ROMカートリッジ3に記録されたゲームプログラムを実行することで前記ゲーム操作信号を読み取りながらゲームアルゴリズムを進行させて前記ディスプレイ5にゲーム画像を表示するゲームプロセッサ9とが小型ケースに一体的に実装され、
バイクハンドル(手持ちケース)1の中央部の挿入舌片部7にはバイクハンドル1の内部の拡張バス10とゲームプロセッサ9の側のバス11とを電気的に結合するための第1の電気的接続構造があり、挿入舌片部7を携帯型汎用ビデオゲーム機2のスロット4に装着した状態において、このゲーム機2がバイクハンドル1から脱落するのを防止するための脱落防止機構として、挿入舌片部7の下方に突起8が形成されており、
バイクハンドル1には、遊戯者が加える物理的な運動作用に対応したデジタル信号を発生するためのゲーム操作信号生成手段の1つとして、左右2つのブレーキレバー13aと13bに連動するブレーキスイッチ14aと14bが装備されており、もう1つのゲーム操作信号生成手段として、バイクハンドル1の水平面内での方位変化を検出するための半導体ジャイロ15が装備されており、ブレーキスイッチ14aと14bおよび半導体ジャイロ15で生成されたゲーム操作信号はゲート16を介して拡張バス10のデータ線に出力され、ゲート16はアドレスデコーダ17のデコード出力によってオン・オフされ、アドレスデコーダ17は、ゲームプロセッサ9から拡張バス10に特定のアドレス信号が出力されたのを検出してゲート16をオンにし、
バイクハンドル1には、遊戯者の手指に物理力を作用させるためのゲーム作用力生成手段として、モータに偏心重りを取り付けたバイブレータ18が装備されており、バイブレータ18はドライブ回路19によって駆動され、ドライブ回路19はアドレスデコーダ20のデコード出力によってオン・オフされ、アドレスデコーダ20は、ゲームプロセッサ9から拡張バス10に特定のアドレス信号が出力されたのを検出してドライブ回路19を起動し、また別の特定アドレス信号を検出してドライブ回路19の動作を停止させ、
前述のシステムでなにを行うのかは、ROMカートリッジ3に記録するゲームプログラムの内容しだいであり、たとえば次のようなゲームシナリオでプログラムを作成し、雪のないスキー場の斜面をマウンテンバイクで駆け下り、斜面には多数のゲートが設置されてスラロームコースが設定されており、遊戯者はマウンテンバイクを操って設定されたコースから外れないように左右にスラロームしながら斜面を下り、ゴールに達するまでの時間を競い、コースから外れるとペナルティを課し、マウンテンバイク上の競技者から見下ろす斜面の景色のようなゲーム画像を簡単なコンピュータグラフィックスにより生成してディスプレイ5に表示し、
ブレーキを掛けずに斜面を下れば、徐々にバイクのスピードが増してくるようにゲーム画像を生成し、ブレーキを掛けるとバイクのスピードが低下してゲーム画像の変化もゆっくりになり、マウンテンバイクのハンドルを左右に切ると、バイクの進行方向が変わり、バイク上の競技者が正面に見る景色も変化し、その景色の変化をゲーム画像として表現することで、スラロームコースのゲートをかわしながら駆け下るときの様子を遊戯者に認知させ、このようなゲーム機能を実現するには、ブレーキスイッチ14aと14bのスイッチ信号および半導体ジャイロ15の方向変化信号をゲームプロセッサ9が随時読み込み、その信号の情報に従ってゲーム画像の生成プロセスを可変制御し、そのようにゲームプログラムを作成してROMカートリッジ3に記録しておき、
斜面を駆け下っているマウンテンバイクが操縦を誤ってコースから外れると、バイクに激しい衝撃が加わり、それをゲームで実現するために、そのようなゲーム状況が生じたならば、ゲームプロセッサ9がドライブ回路19を起動してバイブレータ18を動作させてバイクハンドル1自体を振動させ、そのようにゲームプログラムを作成してROMカートリッジ3に記録しておき、
この装置はある特定の一種類のマウンテンバイクゲームの専用機ではなく、異なる内容のいろいろなゲームプログラムに対応するものであり、競技場をスキー場の斜面に設定したゲームの他、適当なオフロードコースにおける障害物競争に場面設定したゲームなど、いろいろなゲームが考えられ、また、この装置をマウンテンバイクのハンドルと見なすのではなく、たとえば水上スクーターのハンドルと見なし、水上で走り回るゲームも実現でき、このようにゲームプログラムはROMカートリッジの形式で供給することとしたので、携帯型汎用ビデオゲーム機が本来もっている汎用性を損わない、方法。」


3.対比
本願発明と引用発明1とを対比する。

(1) 引用発明1のシステムは、「バイクハンドル1の内部の拡張バス10とゲームプロセッサ9の側のバス11とを電気的に結合するための第1の電気的接続構造があり」、「挿入舌片部7を携帯型汎用ビデオゲーム機2のスロット4に装着した状態において、このゲーム機2がバイクハンドル1から脱落するのを防止するための脱落防止機構として、挿入舌片部7の下方に突起8が形成されて」いるから、「携帯型汎用ビデオゲーム機」と「機能拡張用ユーザインタフェース装置」とが、電気的かつ機械的に一体化されており、システム全体として、本願発明の「ポータブル・デバイス」に相当するといえる。
引用発明1のシステムの「携帯型汎用ビデオゲーム機2」は、「ゲーム画像を表示するためのディスプレイ5」を備えており、「雪のないスキー場の斜面をマウンテンバイクで駆け下り、斜面には多数のゲートが設置されてスラロームコースが設定されており、遊戯者はマウンテンバイクを操って設定されたコースから外れないように左右にスラロームしながら斜面を下り、ゴールに達するまでの時間を競い、コースから外れるとペナルティを課し、マウンテンバイク上の競技者から見下ろす斜面の景色のようなゲーム画像を簡単なコンピュータグラフィックスにより生成してディスプレイ5に表示し」ていることは、本願発明の「ユーザの観点から第1シーンから第2シーンへの方向に向かって推移するイメージのシーケンスをポータブル・デバイスのディスプレイに表示するステップ」に相当する。

(2) 引用発明1のシステムの「バイクハンドル1には」、「遊戯者が加える物理的な運動作用に対応したデジタル信号を発生するための」、「もう1つのゲーム操作信号生成手段として、バイクハンドル1の水平面内での方位変化を検出するための半導体ジャイロ15が装備されて」いることは、本願発明の「前記ポータブル・デバイスに取り付けられた加速度計を使用して前記ポータブル・デバイスの移動を検出するステップ」と、「前記ポータブル・デバイスに取り付けられた動きセンサーを使用して前記ポータブル・デバイスの移動を検出するステップ」である点で共通するといえる。

(3) 引用発明1のシステムにおいて、「マウンテンバイクのハンドルを左右に切ると、バイクの進行方向が変わり、バイク上の競技者が正面に見る景色も変化し、その景色の変化をゲーム画像として表現することで、スラロームコースのゲートをかわしながら駆け下るときの様子を遊戯者に認知させ、このようなゲーム機能を実現するには、ブレーキスイッチ14aと14bのスイッチ信号および半導体ジャイロ15の方向変化信号をゲームプロセッサ9が随時読み込み、その信号の情報に従ってゲーム画像の生成プロセスを可変制御し、そのようにゲームプログラムを作成して」いることは、本願発明の「前記ポータブル・デバイスの前記移動の検出に応答して、1つまたは複数の所定のアクションを実行するために機械実行可能コードを実行するステップ」に相当する。

(4) 「雪のないスキー場の斜面をマウンテンバイクで駆け下り、斜面には多数のゲートが設置されてスラロームコースが設定されており、遊戯者はマウンテンバイクを操って設定されたコースから外れないように左右にスラロームしながら斜面を下り、ゴールに達するまでの時間を競い、コースから外れるとペナルティを課し、マウンテンバイク上の競技者から見下ろす斜面の景色のようなゲーム画像を簡単なコンピュータグラフィックスにより生成してディスプレイ5に表示」する、引用発明1の方法において、「斜面を駆け下っているマウンテンバイクが操縦を誤ってコースから外れると、バイクに激しい衝撃が加わり、それをゲームで実現するために、そのようなゲーム状況が生じたならば、ゲームプロセッサ9がドライブ回路19を起動してバイブレータ18を動作させてバイクハンドル1自体を振動させ、そのようにゲームプログラムを作成して」いることは、本願発明の「前記機械実行可能コードを実行するステップは、前記ポータブル・デバイスの前記移動が、前記ユーザの前記観点からの前記推移の前記方向に関連する方向に従うかどうかを検出するステップと、前記移動が前記推移の前記方向に関連する方向に従って検出されない場合に、所定のオペレーションを実行するステップとをさらに含むこと」に相当するといえる。

したがって、両者の一致点、相違点は以下のとおりである。

[一致点]
「ユーザの観点から第1シーンから第2シーンへの方向に向かって推移するイメージのシーケンスをポータブル・デバイスのディスプレイに表示するステップと、
前記ポータブル・デバイスに取り付けられた動きセンサーを使用して前記ポータブル・デバイスの移動を検出するステップと、
前記ポータブル・デバイスの前記移動の検出に応答して、1つまたは複数の所定のアクションを実行するために機械実行可能コードを実行するステップと
から成り、前記機械実行可能コードを実行するステップは、
前記ポータブル・デバイスの前記移動が、前記ユーザの前記観点からの前記推移の前記方向に関連する方向に従うかどうかを検出するステップと、
前記移動が前記推移の前記方向に関連する方向に従って検出されない場合に、所定のオペレーションを実行するステップと
をさらに含むことを特徴とする動きセンサーに基づいてポータブル・デバイスを操作する方法。」
である点。

[相違点1]
本願発明は、「前記ポータブル・デバイスに取り付けられた加速度計を使用して前記ポータブル・デバイスの移動を検出するステップ」から成る、「加速度計に基づいてポータブル・デバイスを操作する方法」であるのに対して、引用発明1は、「もう1つのゲーム操作信号生成手段として、バイクハンドル1の水平面内での方位変化を検出するための半導体ジャイロ15が装備されて」いるものであって、「加速度計」を使用して移動を検出することは記載がない点。

4.[相違点1]についての判断
一般的に、「加速度計」によって動き検出をすることは、周知である(<引用文献2>特開2001-170358号公報。段落【0014】「カートリッジ30は、これらの記憶手段に加えて、ゲーム装置本体の傾き,運動および衝撃を検出する検出手段の一例として、X軸方向およびY軸方向の加速度を検出するXY軸加速度センサ31と、Z軸方向の加速度を検出するZ軸接点スイッチ32を含む。また、カートリッジ30は、加速度検出手段のインターフェースであるセンサインターフェース33を含む。X軸,Y軸,Z軸方向すべての加速度を検出可能な3軸の加速度センサを使用する場合、Z軸接点スイッチ32が不要となるが、2軸加速度センサ(XY軸加速度センサ)の方が安価であり、本実施例ではZ軸方向の加速度検出は高い精度を必要としないので、構造が簡単で安価なZ軸接点スイッチ32を用いることにする。」の記載を参照。<周知文献A>特開2003-345492号公報。段落【0040】「なお、この実施の形態で用いる加速度センサー7は、3軸加速度センサーで、X軸方向、Y軸方向、Z軸方向の加速度及び水平方向に対するX軸及びY軸の傾きを検出することができるものである。」の記載を参照。<周知文献D>特開2003-19348号公報。段落【0027】「ゲーム機を左右、上下ないし前後に移動すると、加速度センサ5のX、YないしZ軸方向の加速度が検出され、検出された各方向の加速度の値に基づいて制御部で画面の移動速度若しくは移動距離が計算され、計算された値に基づいて画面が反対方向に、XY軸についてはスクロールし、Z軸については接近又は後退する。例えば、ゲーム機を右に移動させると中央の十字を除く画面全体の背景(敵及び星も含む)が左にスクロールする。」の記載を参照。<周知文献E>特開2003-325972号公報。段落【0002】「【従来の技術】傾きセンサ(又は加速度センサ)を用いたゲーム装置としては、特開2001-170358号(審決注:上記「引用文献2」である。)が知られている。この従来技術を使用した製品としては、本願出願人の発売にかかる携帯ゲーム機用ゲームソフト「コロコロカービィ」(商品名)がある。このようなゲーム装置は、プレイヤが操作器を操作するのに代えて、携帯型ゲーム装置のハウジングを縦方向や横方向等に傾ける操作に応じて、傾き検出量を利用してプレイヤキャラクタの移動方向や移動量(結果として、プレイヤキャラクタに対する背景画面の相対位置又はスクロール)を変化させることができる。」、段落【0016】-【0017】「コントローラ12は更に、加速度センサ12cを内蔵している。加速度センサ12cはセンサのX軸方向(コントローラ12の操作面の縦方向を軸の中心とした回転方向)と、Y軸方向(コントローラ12の操作面の横方向を軸の中心とした回転方向)に生じた加速度の大きさをそれぞれ出力する機能を持つ。・・・(中略)・・・【0017】コントローラ12は更にZ軸接点スイッチ12dを備えてもよい。Z軸接点スイッチ12dはZ軸方向(コントローラ12の操作面に垂直な方向)のコントローラ12の動きをデジタル的に検知するセンサである。この機能を利用すれば、例えばコントローラ12をZ軸方向に振る動作を加えるとき出力が得られるので、新しい演出効果を盛り込んだゲームをプレイ可能である。勿論Z軸接点スイッチ12dに変わって、加速度センサ12cにZ軸方向の加速度センサを加えたものを利用してもよい。」の記載を参照。)。
一方、引用文献1は、「この装置はある特定の一種類のマウンテンバイクゲームの専用機ではなく、異なる内容のいろいろなゲームプログラムに対応するものであり、競技場をスキー場の斜面に設定したゲームの他、適当なオフロードコースにおける障害物競争に場面設定したゲームなど、いろいろなゲームが考えられる、また、この装置をマウンテンバイクのハンドルと見なすのではなく、たとえば水上スクーターのハンドルと見なし、水上で走り回るゲームも実現でき、このようにゲームプログラムはROMカートリッジの形式で供給することとしたので、携帯型汎用ビデオゲーム機が本来もっている汎用性を損わない」から、「異なる内容のいろいろなゲームプログラムに対応する」ものであって、このとき、通常、ゲームプログラムの内容が異なれば、検出すべき動きの内容も異なると認められる。
一般的に、各種の動きセンサーを、検出する動きの内容に応じて採用することは、普通に行われている(<周知文献I>特開平6-50758号公報。段落【0013】「【実施例】まず、図1?図7により本発明の入力装置の一実施例として角速度センサを用いたリモートコマンダーの基本的構成について説明する。図1はリモートコマンダーの内部構成のブロック図であり、1は角速度センサとしての振動ジャイロを示している。」、段落【0033】-【0034】「本発明の入力装置の他の実施例として、位置指定情報を加速度センサによる検出出力を用いて発生させてもよい。入力装置としての構成は前記図1とほぼ同様であり、角速度センサに代えて加速度センサを設ける。【0034】加速度センサを例えば図8のように、入力装置としてのリモートコマンダー10内に3単位設ける。即ち、リモートコマンダー10の左右方向(x方向)の変位動作における加速度を検出する加速度センサ11xと、上下方向(y方向)の変位動作における加速度を検出する加速度センサ11yと、前後方向(z方向)の変位動作における加速度を検出する加速度センサ11zとを配置する。すると、リモートコマンダー10に対してユーザーが行なった上下、左右、前後の移動に対応させてを所定のコマンドコード出力することができる。もちろん、搭載する加速度センサの数は、操作対象機器に応じて設定すればよく、1又は2単位、もしくは4単位以上であってもよい。」、段落【0040】「本発明の各種実施例における使用例としては、もちろん上記したように本発明の入力装置をAV機器やエアコンディショナー等の電子機器に対するリモートコマンダーや、パーソナルコンピュータ等に対応するマウスと同等の入力装置として採用するができるが、さらにそれ以外に、ゲーム機器に対する操作部としても採用できる。例えば図13のように表示画面上にレーシングゲームの画面及びハンドルを表示させるとともに、角速度センサを内蔵した入力装置10を左右方向に回転状に振ることでハンドル操作がなされるようにする。」の記載を参照。)。
上記周知技術が、引用発明1の方法にも有用かつ適用可能であることは当業者に明らかであって、引用発明1に、動き検出に「加速度計」を用いる上記周知技術を適用することによって、「前記ポータブル・デバイスに取り付けられた加速度計を使用して前記ポータブル・デバイスの移動を検出するステップ」から成る、「加速度計に基づいてポータブル・デバイスを操作する方法」である、上記[相違点1]に係る構成とすることは、引用発明1に接した当業者が適宜に採用すべき設計的事項である。

そして、本願発明のように構成したことによる効果も引用発明1及び周知技術から予測できる程度のものである。


5.むすび
以上のとおり、本願発明は、引用発明1及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。したがって、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2013-09-05 
結審通知日 2013-09-17 
審決日 2013-09-30 
出願番号 特願2007-501789(P2007-501789)
審決分類 P 1 8・ 575- Z (G06F)
P 1 8・ 121- Z (G06F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 円子 英紀  
特許庁審判長 小曳 満昭
特許庁審判官 五十嵐 努
稲葉 和生
発明の名称 加速度計に基づいてポータブル・デバイスを操作する方法および装置  
代理人 山川 茂樹  
代理人 山川 政樹  
代理人 東森 秀朋  

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ