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審決分類 審判 査定不服 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 取り消して特許、登録 G06Q
審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 G06Q
管理番号 1285148
審判番号 不服2013-70  
総通号数 172 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2014-04-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2013-01-04 
確定日 2014-03-18 
事件の表示 特願2006- 61499「医用画像診断支援装置、医用画像診断装置、又は医用画像診断支援システム」拒絶査定不服審判事件〔平成19年 9月20日出願公開、特開2007-241559、請求項の数(10)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 第1 手続の経緯

本願の手続の経緯は,以下のとおりである。
平成18年 3月 7日 出願
平成23年 2月 2日付け 拒絶理由通知(最初)
平成23年 4月11日 意見書,手続補正書提出
平成24年 1月 6日付け 拒絶理由通知(最初)
平成24年 3月19日 意見書,手続補正書提出
平成24年 9月24日付け 拒絶査定
平成25年 1月 4日 審判請求書,手続補正書提出
平成25年 5月24日付け 審尋
平成25年 7月29日 回答書
平成25年10月29日付け 拒絶理由通知(最初)
平成26年 1月 6日 意見書,手続補正書提出

第2 平成25年10月29日付け拒絶理由通知について

当審における平成25年10月29日付け拒絶理由通知は,以下のとおりである。
「本件出願は、特許請求の範囲の記載が下記の点で不備のため、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない。

請求項1,10
請求項1,10に記載された「撮影の位置決め画像、オブジェクト固有情報、人体座標情報、撮影条件情報、画像生成条件情報及びキー画像情報のうち少なくとも一つを含む複数のオブジェクト」は,発明の詳細な説明に記載したものではない。
上記「・・・のうち少なくとも一つ」の記載によれば,オブジェクトは,オブジェクト固有情報のみを含むものでも良い。このオブジェクト固有情報は,オブジェクトを他のオブジェクトと区別するための識別子にすぎないから,オブジェクト固有情報のみを含むオブジェクトは,実質,患者の医療に関する有意な情報を何も含まないといえる。
このような,オブジェクト固有情報のみを含み,患者の医療に関する有意な情報を何も含まないオブジェクトは,発明の詳細な説明に記載も示唆もされていない。 」

前記拒絶理由通知に対する手続補正により,請求項1,10に記載された「撮影の位置決め画像、オブジェクト固有情報、人体座標情報、撮影条件情報、画像生成条件情報及びキー画像情報のうち少なくとも一つを含む複数のオブジェクト」は,「撮影の位置決め画像と、オブジェクト固有情報、人体座標情報、撮影条件情報、画像生成条件情報及びキー画像情報のうち少なくとも一つと、を含む複数のオブジェクト」に補正された。
この手続補正により,オブジェクトは「撮影の位置決め画像」を含むものとなり,拒絶理由通知において指摘した「オブジェクト固有情報のみを含むオブジェクト」は削除された。したがって,前記拒絶理由は解消した。
次に,前記手続補正は誤記を訂正する程度の補正であるところから,本願が原査定の理由によって拒絶すべきものか否を検討する。

第3 特許請求の範囲

本願の請求項1?10に係る発明(以下,「請求項1発明」?「請求項10発明」という。)は,平成26年1月6日の手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1?10に記載された事項により特定される次のとおりのものである。

<特許請求の範囲>
「【請求項1】
画像保管手段に保管される複数の画像又はレポート保管手段に保管される複数のレポートより、特定の患者に関する画像及びレポートの少なくとも一方を選択するための選択手段と、
前記レポート保管手段に保管された複数のレポート及び前記画像保管手段に保管された複数の画像とは分離して管理され、撮影の位置決め画像と、オブジェクト固有情報、人体座標情報、撮影条件情報、画像生成条件情報及びキー画像情報のうち少なくとも一つと、を含む複数のオブジェクトを保管するオブジェクト保管手段より、前記選択手段による選択操作に応答して、前記選択された画像及びレポートの少なくとも一方に関連付けられている撮影の位置決め画像と、オブジェクト固有情報、人体座標情報、撮影条件情報、画像生成条件情報及びキー画像情報のうちのいずれかを含む少なくとも一つと、の前記オブジェクトを選択し、前記選択されたオブジェクトに含まれる情報に基づいて、医療情報を生成する生成手段と、
を具備することを特徴とする医用画像診断装置又は医用画像診断支援装置。
【請求項2】
前記オブジェクト保管手段が保管する前記各オブジェクトは、前記撮影の位置決め画像と、診断の根拠とされた画像であるキー画像の前記撮影の位置決め画像上における位置を示す情報と、を含むものであり、
前記生成手段は、前記撮影の位置決め画像と、前記キー画像の前記撮影の位置決め画像上における位置と、を含む前記医療情報を生成すること、
を特徴とする請求項1記載の医用画像診断装置又は医用画像診断支援装置。
【請求項3】
前記生成手段は、前記選択されたオブジェクトのうち少なくとも一部の情報又は当該抽出されたオブジェクトのアドレス情報を含めて前記医療情報を生成することを特徴とする請求項1又は2記載の医用画像診断装置又は医用画像診断支援装置。
【請求項4】
前記生成手段は、前記選択された画像及びレポートの少なくとも一方のシリーズ情報に基づいて、前記医療情報を生成することを特徴とする請求項1乃至請求項3のうちいずれか一項記載の医用画像診断装置又は医用画像診断支援装置。
【請求項5】
前記選択手段によって前記画像が選択された場合には、前記医療情報を送信するための通信環境情報に基づいて、当該選択された画像を前記医療情報に含めるか否かを判定する判定手段をさらに具備し、
前記生成手段は、前記判定手段が前記選択された画像を前記医療情報に含めると判定した場合には、前記選択された画像、又は当該選択された画像のアドレス情報を含む前記医療情報を生成すること、
を特徴とする請求項1乃至請求項4のうちいずれか一項記載の医用画像診断装置又は医用画像診断支援装置。
【請求項6】
前記選択手段によって前記レポートが選択された場合には、前記医療情報を送信するための通信環境情報に基づいて、当該選択されたレポートを前記医療情報に含めるか否かを判定する判定手段をさらに具備し、
前記生成手段は、前記判定手段が前記選択されたレポートを前記医療情報に含めると判定した場合には、前記選択されたレポート、又は当該選択されたレポートのアドレス情報を含む前記医療情報を生成すること、
を特徴とする請求項1乃至請求項4のうちいずれか一項記載の医用画像診断装置又は医用画像診断支援装置。
【請求項7】
前記通信環境情報は、前記医療情報を送信するためのネットワーク回線速度及び前記医療情報の送信先の情報漏洩に関する安全性の少なくとも一方を含むことを特徴とする請求項5又は請求項6記載の医用画像診断装置又は医用画像診断支援装置。
【請求項8】
生成された前記医療情報を可搬メディアに保存する保存手段を更に具備し、
前記生成手段は、前記選択手段によって前記画像が選択された場合には、前記可搬メディアの容量と前記選択された画像とのデータサイズに基づいて、当該画像を前記可搬メディアに保存するか否かを判定し、
前記選択された画像を前記可搬メディアに保存可能と判定した場合には、前記選択された画像を前記可搬メディアに保存し、前記選択された画像を前記可搬メディアに保存不可と判定した場合には、前記選択された画像をネットワークを介して前記患者の紹介先の端末が取得するための情報を含む前記医療情報を生成すること、
を特徴とする請求項1乃至請求項4のうちいずれか一項記載の医用画像診断装置又は医用画像診断支援装置。
【請求項9】
生成された前記医療情報を可搬メディアに保存する保存手段を更に具備し、
前記生成手段は、前記選択手段によって前記レポートが選択された場合には、前記可搬メディアの容量と前記選択されたレポートとのデータサイズに基づいて、当該レポートを前記可搬メディアに保存するか否かを判定し、
前記判定手段が前記選択されたレポートを前記可搬メディアに保存可能と判定した場合には、前記選択されたレポートを前記可搬メディアに保存し、前記選択されたレポートを前記可搬メディアに保存不可と判定した場合には、前記選択されたレポートをネットワークを介して前記患者の紹介先の端末が取得するための情報を含む前記医療情報を生成すること、
を特徴とする請求項1乃至請求項4のうちいずれか一項記載の医用画像診断装置又は医用画像診断支援装置。
【請求項10】
複数の画像を保管する画像保管手段と、
複数のレポートを保管するレポート保管手段と、
前記画像保管手段又は前記レポート保管手段より、特定の患者に関する画像及びレポートの少なくとも一方を選択するための選択手段と、
前記レポート保管手段に保管される複数のレポート及び前記画像保管手段に保管される複数の画像とは分離して管理され、撮影の位置決め画像と、オブジェクト固有情報、人体座標情報、撮影条件情報、画像生成条件情報及びキー画像情報のうち少なくとも一つと、を含む複数のオブジェクトを保管するオブジェクト保管手段より、前記選択手段による選択操作に応答して、前記選択された画像及びレポートの少なくとも一方に関連付けられている撮影の位置決め画像と、オブジェクト固有情報、人体座標情報、撮影条件情報、画像生成条件情報及びキー画像情報のうちのいずれかと、を含む少なくとも一つの前記オブジェクトを含むオブジェクトを選択し、前記選択されたオブジェクトに含まれる情報に基づいて、医療情報を生成する生成手段と、
を具備することを特徴とする医用画像診断装置又は医用画像診断支援システム。」

第4 引用文献

1.特開2005-209044号公報

原査定の拒絶の理由において引用された特開2005-209044号公報(以下,「引用文献1」という。)には,次の事項が記載されている(下線は,当審において付与したものである。)。

ア.「【0010】
上記構成によれば、電子カルテのデータや検体検査データ、診断画像データなどの医療情報を交換する際、必要なデータのみを選択して送信することができる。また、共通データ形式にデータを変換して送信するので、受信した相手側は、個別データ形式に変換することが容易である。」

イ.「【0021】
図1は、医療情報交換システムを含む全体システム10の構成を示す。
【0022】
医療機関ごとの医療情報システム12,14は、通信網16(例えば、インターネットや公衆回線網)を介して、サーバ30と接続される。
【0023】
A病院の医療情報システム12は、LAN12xを介して端末12tと接続された医療情報システム(Aシステム)12sとは別に、医療情報交換システムの受信部20を含む。医療情報交換システムの受信部20は、所定のプログラムにより動作するコンピュータであり、通信機能を有する。医療情報交換システムの受信部20は、通信部22とコンバート部24とを含む。通信部22は、通信網16と接続するためのインターフェースであり、データの送受信を行う。コンバート部24は、通信部22が受信した共通データ形式のデータを、Aシステム12sにおける電子カルテ等の医療情報の個別データ形式のデータに変換する。コンバート部24は、LAN12xを介して、端末12t及びAシステム12sに接続される。
【0024】
Bクリニックの医療情報システム14は、LAN14xを介して端末14tと接続された医療情報システム(Bシステム)14sとは別に、医療情報交換システムの送信部21を含む。医療情報交換システムの送信部21は、所定のプログラムにより動作するコンピュータであり、通信機能を有する。医療情報交換システムの送信部21は、通信部22とコンバート部25とを含む。通信部22は、通信網16と接続するためのインターフェースであり、データの送受信を行う。コンバート部25は、LAN14xを介して、端末14t及びBシステム14sに接続され、Bシステム14sにおける電子カルテ等の医療情報中の個別データ形式のデータを、共通データ形式に変換する。
【0025】
サーバ30は、通信部32と、制御部34と、記憶部36とを備える。通信部32は、通信網16と接続するためのインターフェースであり、データの送受信を行う。制御部34は、通信部32と記憶部36の動作を制御する。記憶部36には、データが格納され、データの読み取りや消去ができるようになっている。
【0026】
医療情報交換システムの受信部20及び送信部21は、詳しくは図2の機能ブロック図に示したように構成される。通信部22は、送受信部23aと、暗号/復号化部23bとを含む。送受信部23aは、通信網16に接続され、データの送受信を行う。」

ウ.「【0027】
コンバート部24は、データ変換部26aと、端末制御部26bと、LAN12x(又は14x)に接続されるLAN通信部26cと、対応テーブル部26dと、データ記憶部26eとを含む。」

エ.「【0033】
図4(a)は、医療情報交換システムの送信部21の動作を示すフローチャートである。端末14tが、LAN14xを介して送信部21に接続されると、端末制御部26bは、端末14tの画面に患者の識別子を入力するよう促す表示を行うためのデータを、端末14tに送信する。端末14tから患者の識別子が入力されると、そのデータは送信部21に送信され、端末制御部26bがそのデータを受け付けると(#10)、端末制御部26bはLAN14xを介してBシステム14sと通信し、その患者の電子カルテ等の医療情報(すなわち、第1の医療情報)を読み出し、例えば図3のように、端末14tの画面に、医療情報のデータを項目に分けて表示させる(#12)。端末14tの操作によりデータが選択され、その選択信号を端末制御部26bが受け付けると(#14)、端末制御部26bは、選択されたデータを抽出し、抽出したデータをデータ記憶部26eに格納させる。端末14tの画面の確認ボタン47がクリックされ、その選択確認信号を端末制御部26bが受け付けると(#16でYES)、端末制御部26bは、データ記憶部26eに格納されたデータを読み出して、データ変換部26aに送出する。送出されたデータは、データ変換部26aにおいて、対応テーブル部26dを参照しながら共通データ形式に変換される(#18)。なお、データ変換部26aには、端末制御部26bからBクリニックの識別子と患者の識別子が、適宜なタイミングで送出される。暗号/復号化部23bは、データ変換部26aにおいて共通データ形式に変換されたデータ(データX)とBクリニックの識別子及び患者の識別子(データY)と対にして暗号化し、送受信部23aは、それらの暗号化したデータ(すなわち、データX’及びデータY’)をサーバ30に送信する(#20)。
【0034】
図4(b)は、医療情報交換システムの受信部20の動作を示すフローチャートである。端末12tが、LAN12xを介して送信部20に接続され、端末12tから、サーバ30からのデータ受信に必要なデータ(例えば、Bクリニックの識別子及び患者の識別子、すなわちデータY)が入力されると、データYを暗号/復号化部23bで暗号化し、送受信部23aからサーバ-30に、データの読み出し要求(すなわち、受信要求)として送信する(#30)。これに応じて、サーバ30から所定のデータ(すなわち、データX’)が送信され、これを送受信部23aで受信する(#32)。受信を終了したら(#32でYES)、受信したデータX’は、暗号/復号化部23bでデータXに復号化され、データ変換部26aにおいて共通データ形式から個別データ形式に変換される(#34)。端末制御部26bは、個別データ形式に変換されたデータを、適宜な表示形式で、例えばAシステムの電子カルテ等の医療情報と同じ表示形式で、端末12tに表示させる(#36)。」

前記ア.?エ.によれば,引用文献1には,次の発明(以下,「引用発明」という。)が記載されているといえる。

<引用発明>
「電子カルテのデータや検体検査データ,診断画像データなどの医療情報を交換する医療情報交換システムであって,
医療機関ごとの医療情報システム12,14が、通信網16を介してサーバ30と接続され,
Bクリニックの医療情報システム14は,LAN14xを介して接続された,端末14tと,医療情報システム(Bシステム)14sと,医療情報交換システムの送信部21とを含み,当該送信部21は,通信部22と,Bシステム14sにおける医療情報中の個別データ形式のデータを,共通データ形式に変換するコンバート部25とを含み,
A病院の医療情報システム12は,LAN12xを介して接続された,端末12tと,医療情報システム(Aシステム)12sと,医療情報交換システムの受信部20とを含み,当該受信部20は,通信部22と,通信部22が受信した共通データ形式のデータを,Aシステム12sにおける医療情報の個別データ形式のデータに変換するコンバート部24を含み,
サーバ30は,データを格納する記憶部36を含み,
Bクリニックの端末14tから患者の識別子が入力されると,Bシステム14sはその患者の医療情報を読み出し,端末14tは読み出された医療情報を表示し,
端末14tの操作により医療情報が選択されると,選択された医療情報はコンバート部25に送出され,コンバート部25において共通データ形式に変換され,
送信部21は,共通データ形式に変換された医療情報とBクリニックの識別子及び患者の識別子とを対にしたデータをサーバ30に送信し,
Aクリニックの端末12は,サーバ30からのデータ受信に必要なBクリニックの識別子及び患者の識別子が入力されると、サーバ-30にデータの読み出し要求を送信し,
サーバ30は,これに応じてデータを送信し,
Aクリニックのコンバート部24は,サーバ30から受信されたデータを共通データ形式から個別データ形式に変換し,端末12tは,個別データ形式に変換されたデータを、Aシステムの医療情報と同じ表示形式で表示させる,医療情報交換システム。」

2.特開2005-124617号公報

原査定の拒絶の理由において引用された特開2005-124617号公報(以下,「引用文献2」という。)には,次の事項が記載されている。

オ.「【0088】
<第2の実施の形態>
次に、本発明の第2の実施の形態について説明する。
図9に、本発明の第2の実施の形態における医用画像診断支援システム200の全体構成を示す概念図である。図9に示すように、医用画像診断支援システム200は、画像生成装置1a?1e、画像処理装置2、画像記録装置3、画像サーバ4等がネットワークNを介して、相互にデータ送受信可能なように接続されている。
【0089】
画像サーバ4は、画像生成装置1a?1eにより生成された画像データをその付帯情報と対応付けて記憶する画像DB(Date Base)41を有し、画像処理装置2からネットワークNを介して患者ID、画像生成装置情報(モダリティ種)及び撮影部位等の情報が出力され、同一モダリティで生成された過去画像データ、及び/又は、他の種類の画像生成装置(モダリティ)により生成された画像データ(他モダリティ画像データ)の送信要求を受信すると、画像DB41から、該当する画像データを検索し、その付帯情報とともに画像処理装置2に出力する。付帯情報には、例えば、撮影された患者の患者氏名、患者ID、年齢、性別等の患者に関する患者情報、撮影日、検査ID、撮影部位、撮影条件(体位、撮影方向等)、画像生成装置情報(モダリティ種)等の撮影情報が含まれる。」

前記オ.によれば,引用文献2には次の事項が記載されているといえる。

<引用文献2の記載事項>
「医用画像診断支援システム200において,
画像生成装置1a?1e,画像処理装置2,画像記録装置3,画像サーバ4がネットワークNを介して接続され,
画像サーバ4は,
画像生成装置1a?1eにより生成された画像データを,患者氏名,患者ID,年齢,性別等の患者情報,撮影日,検査ID,撮影部位,撮影条件(体位,撮影方向等),画像生成装置情報(モダリティ種)等の撮影情報を含んだ付帯情報と対応付けて記憶する画像DB41を有し,
画像処理装置2から,患者ID,画像生成装置情報及び撮影部位等の情報と,その画像生成装置で生成された過去画像データ,及び/又は,他の種類の画像生成装置により生成された画像データの送信要求を受信すると,画像DB41から該当する画像データを検索し,その付帯情報とともに画像処理装置2に出力する,医用画像診断支援システム。」

3.特開2002-82870号公報

原査定の拒絶の理由において引用された特開2002-82870号公報(以下,「引用文献3」という。)には,次の事項が記載されている(下線は,当審において付与したものである。)。

カ.「【0043】図1は、本実施形態に係る情報掲示板システムの概略構成を示すブロック図である。該情報掲示板システムは、情報掲示板サーバ1、携帯端末(端末装置)2、および課金サーバ3を備えた構成となっている。情報掲示板サーバ1と携帯端末2との間は、インターネットなどの通信ネットワークによって接続されている。また、情報掲示板サーバ1と課金サーバ3との間は、インターネットなどの通信ネットワーク、あるいは専用線などによって接続されている。
【0044】携帯端末2のユーザは、携帯端末2を介して情報掲示板サーバ1にアクセスすることにより、各種情報サービス(詳細は後述する)を受けることが可能となっている。」

キ.「【0072】次に、携帯端末2における処理の流れについて、図5に示すフローチャートを参照しながら説明する。まず、ステップ1(以降、S1のように称する)において、携帯端末2に、例えばGPSなどの位置情報検知手段が備えられている場合に、該携帯端末2の現在の位置情報(例えば経度および緯度など)の自動検知が行われる。」

ク.「【0077】また、S1における処理によって、RAM23に位置情報が格納されている場合には、該位置情報を条件に付加したり、携帯端末2の通信速度に応じて、受信するデータの条件として、テキストデータのみ、画像以外のデータ、全データなどに設定してもよい。
【0078】例えば、携帯電話などの転送レートの低い通信手段を介して情報を取得する場合は、取得要求の中に、必要なデータ項目を指定することによって、ユーザの情報取得にかかる付加を軽減することができる。」

前記カ.?ク.によれば,引用文献3には次の事項が記載されているといえる。

<引用文献3の記載事項>
「情報掲示板サーバ1にアクセスすることにより,各種情報サービスを受けることが可能な携帯端末2において,
通信速度に応じて、受信するデータの条件として,テキストデータのみ,画像以外のデータ,全データなどが設定され,
情報掲示板サーバ1への情報取得要求の中に必要なデータ項目を指定して,ユーザの情報取得にかかる負荷を軽減する,携帯端末。」

4.特開2005-149181号公報

原査定の拒絶の理由において引用された特開2005-149181号公報(以下,「引用文献4」という。)には,次の事項が記載されている(下線は,当審において付与したものである。)。

ケ.「【0014】
まず、構成を説明する。
図1に、本実施の形態における医用画像情報管理システム100のシステム構成を示す。
図1に示すように、医用画像情報管理システム100は、モダリティ10、サーバ20、画像DB(Data Base)30、読影端末40、フィルム出力装置50から構成され、各装置はDICOM(Digital Imaging and Communication in Medicine)規格に従って構築された通信ネットワークNを介して相互にデータの送受信が可能に接続されている。」

コ.「【0018】
モダリティ10は、RIS200で生成された撮影オーダ情報に従って、患者を撮影しその医用画像の画像データを生成する。そして、医用画像を特定するための患者情報、検査情報、シリーズ情報、画像情報を生成された医用画像の付帯情報としてその画像データに付帯させてサーバ20に送信する。特に、画像情報にはその画像を撮像した生成日時情報が含まれている。
【0019】
サーバ20は、大容量の記憶手段であるデータベース(DB)を備え、モダリティ10から送信された医用画像の画像データを画像DB30に保存させるとともに、その付帯情報に含まれる患者情報、検査情報、シリーズ情報及び画像情報をデータベース化し、サーバ20が有する情報記憶手段としての基本情報DB27に保存する。」

サ.「【0032】
基本情報DB27は、大容量メモリから構成され、内部に患者情報、検査情報、シリーズ情報及び画像情報などの付帯情報を格納するための患者情報テーブル271、検査情報テーブル272、シリーズ情報テーブル273、画像情報テーブル274、画像情報格納管理テーブル275をそれぞれ関連付けて備えている。」

シ.「【0036】
画像情報テーブル274には、図3(d)に示すように、画像情報を個別に識別し、画像情報と他の付帯情報とを関係付けるために割り当てられた識別情報(これを画像情報LIDという。)に対応付けて、画像管理のために発行された検査インスタンスUID、シリーズインスタンスUID及び医用画像のファイル保存場所を示すアドレスを組み合わせて構成されるSOPインスタンスUIDと、その画像情報に対応する患者情報LID、検査情報LID、シリーズ情報LIDとが格納されるとともに、画像が生成された際に付された画像番号、画像が生成された画像日付や画像時刻の生成日時情報、割り当てビット等のビット情報、原画像、DICOM圧縮画像、JPEG圧縮画像、サムネイル画像の各画像へのファイルパス名、圧縮率等の画像管理や画像生成に関する各種項目情報が格納される。」

ス.「【0058】
よって、患者の医用画像を特定するための画像情報が膨大な数になっても、画像情報は複数の画像情報テーブル274に所定の期間毎に区切られ、区分されて記憶されているので、その区分された各画像情報テーブル274を検索し、所望する画像情報を所得し、その画像情報により特定される医用画像を取得することができる。」

前記ケ.?ス.によれば,引用文献4には,次の事項が記載されているといえる。

<引用文献4の記載事項>
「医用画像情報管理システム100において,
モダリティ10、サーバ20、画像DB30が,通信ネットワークNを介して接続され,
モダリティ10は、患者を撮影して医用画像の画像データを生成し,医用画像を特定するための患者情報、検査情報、シリーズ情報、画像情報を付帯情報としてその画像データに付帯させてサーバ20に送信し,
サーバ20は、モダリティ10から送信された医用画像の画像データを画像DB30に保存させるとともに、その付帯情報に含まれる患者情報、検査情報、シリーズ情報及び画像情報をデータベース化し、サーバ20の基本情報DB27に保存し,
基本情報DB27は、内部に患者情報、検査情報、シリーズ情報及び画像情報などの付帯情報を格納するための患者情報テーブル271、検査情報テーブル272、シリーズ情報テーブル273、画像情報テーブル274、画像情報格納管理テーブル275をそれぞれ関連付けて備えており,
画像情報テーブル274には,医用画像のファイル保存場所を示すアドレスを組み合わせて構成されるSOPインスタンスUIDと、その画像情報に対応する患者情報LID,検査情報LID、シリーズ情報LIDとが格納されるとともに、画像が生成された際に付された画像番号,画像が生成された画像日付や画像時刻の生成日時情報,割り当てビット等のビット情報,原画像,DICOM圧縮画像,JPEG圧縮画像,サムネイル画像の各画像へのファイルパス名,圧縮率等の画像管理や画像生成に関する各種項目情報が格納され,
画像情報テーブル274を検索し、所望する画像情報を取得し,その画像情報により特定される医用画像を取得する,医用画像情報管理システム。」

5.特開平9-223157号公報

原査定の拒絶の理由において引用された特開平9-223157号公報(以下,「引用文献5」という。)には,次の事項が記載されている(下線は,当審において付与したものである。)。

セ.「【0007】まず、本発明の医用画像情報検索装置の構成について、図1を用いて述べる。医用画像検索装置は、所望する検索条件を入力するキーボード1またはマウス2と、この検索条件が設定できるように識別された患者について、予めX線CT装置、MRI装置や超音波診断装置などの各種モダリティから得た画像情報を記憶しておく光ディスク3と、これらの画像情報の付帯情報から撮影条件を仕分条件として得て、この仕分条件から複数の階層構造に該付帯情報を仕分ける付帯情報制御部4aと当該付帯情報を記憶する付帯情報記録部4bと前記画像情報を当該付帯情報に基づいて記憶する画像情報記憶部4cと当該付帯情報と前記画像情報を対応づける画像管理情報を記憶する画像管理情報記憶部4dとこれらの4a?4dを制御する中央処理制御部4eを備える画像ワークステーション4と、この画像管理情報に基づいて前記検索条件に対応する画像情報を出力する表示モニタ5を有する。」

ソ.「【0009】次に、本発明の医用画像情報検索装置の検索例を、図3を用いて述べる。ここでは、患者A氏の100枚の画像情報のうちのX線CT画像の第5枚目の画像情報を検索して読み出すものとする。
ステップ.31
オペレータは、キーボード1またはマウス2により患者情報と所望する撮影条件と所望する画像情報(ここでは患者A氏、X線CT装置、第5枚目)を検索条件として入力する(検索条件入力)。以降のステップは、中央処理制御部4eが行う。
ステップ.32
入力された検索条件に基づき、付帯情報を第1の階層テーブル4bー1から第3の階層テーブル4bー3まで検索して、一致する付帯情報を拾い上げる(付帯情報の検索)。
ステップ.33
拾い上げた付帯情報についての階層テーブル上のアドレスを得て、画像管理情報記憶部4dに引き渡す(付帯情報アドレスの引渡)。
ステップ.34
画像管理情報記憶部4d上で引き渡されたアドレスに対応する画像情報のアドレスを出力する(画像情報アドレスの出力)。
ステップ.35
出力された画像情報のアドレスに基づいて、画像情報記憶部4cに記憶された画像情報を読み出す(画像情報の読み出し)。
ステップ.36
読み出した画像情報を画像表示モニタなどの表示装置に表示出力する(画像情報の出力)。」

前記セ.ソ.によれば,引用文献5には次の事項が記載されているといえる。

<引用文献5の記載事項>
「医用画像情報検索装置において,
画像ワークステーション4と,表示モニタ5とを有し,
画像ワークステーション4は,
各種モダリティから得た画像情報の付帯情報を記憶する付帯情報記録部4bと,
前記画像情報を当該付帯情報に基づいて記憶する画像情報記憶部4cと,
当該付帯情報と前記画像情報を対応づける画像管理情報を記憶する画像管理情報記憶部4dと,
中央処理制御部4eとを備え,
入力された検索条件に基づいて付帯情報を検索し,
検索された付帯情報についてのアドレスを画像管理情報記憶部4dに引渡し,
画像管理情報記憶部4d上で,引き渡されたアドレスに対応する画像情報のアドレスを出力し,
出力された画像情報のアドレスに基づいて、画像情報記憶部4cに記憶された画像情報を読み出し,
読み出した画像情報を表示モニタに表示出力する,医用画像情報検索装置。」

第5 対比・判断

1.請求項1発明

請求項1発明と引用発明とを対比する。
・引用発明の「Bクリニックの医療情報システム14」は,診断画像データなどの医療情報を交換するから,請求項1発明の「医用画像診断装置又は医用画像診断支援装置」に相当する。

・引用発明のBシステム14sは,「その患者の医療情報を読み出」すから,「電子カルテのデータや検体検査データ,診断画像データなどの医療情報」を保管する手段である。
したがって,引用発明のBシステム14sは,請求項1発明の「画像保管手段」及び「レポート保管手段」に相当する。

・引用発明は「Bクリニックの端末14tから患者の識別子が入力されると,Bシステム14sはその患者の医療情報を読み出し,端末14tは読み出された医療情報を表示し,
端末14tの操作により医療情報が選択されると,選択された医療情報はコンバート部25に送出され」るから,端末14tは,Bシステム14sから読み出された患者の医療情報を選択するための選択手段を有する。
この選択手段は,請求項1発明の「画像保管手段に保管される複数の画像又はレポート保管手段に保管される複数のレポートより,特定の患者に関する画像及びレポートの少なくとも一方を選択するための選択手段」に相当する。

・引用発明の「端末14tの操作により医療情報が選択されると,選択された医療情報はコンバート部25に送出され,コンバート部25において共通データ形式に変換され,
送信部21は,共通データ形式に変換された医療情報とBクリニックの識別子及び患者の識別子とを対にしたデータをサーバ30に送信し」において,選択された医療情報を共通データ形式に変換する手段は,選択手段による選択操作に応答して,医療情報を生成する生成手段といえる。
したがって,引用発明における,選択された医療情報を共通データ形式に変換する手段と,請求項1発明の「前記レポート保管手段に保管された複数のレポート及び前記画像保管手段に保管された複数の画像とは分離して管理され、撮影の位置決め画像と、オブジェクト固有情報、人体座標情報、撮影条件情報、画像生成条件情報及びキー画像情報のうち少なくとも一つと、を含む複数のオブジェクトを保管するオブジェクト保管手段より、前記選択手段による選択操作に応答して、前記選択された画像及びレポートの少なくとも一方に関連付けられている撮影の位置決め画像と、オブジェクト固有情報、人体座標情報、撮影条件情報、画像生成条件情報及びキー画像情報のうちのいずれかを含む少なくとも一つと、の前記オブジェクトを選択し、前記選択されたオブジェクトに含まれる情報に基づいて、医療情報を生成する生成手段」は,
「前記選択手段による選択操作に応答して,医療情報を生成する生成手段」の点で共通する。

したがって,請求項1発明と引用発明は,以下の点で一致する。
<一致点>
「画像保管手段に保管される複数の画像又はレポート保管手段に保管される複数のレポートより,特定の患者に関する画像及びレポートの少なくとも一方を選択するための選択手段と,
前記選択手段による選択操作に応答して,医療情報を生成する生成手段と,
を具備する医用画像診断装置又は医用画像診断支援装置。」

そして,請求項1発明と引用発明は,以下の点で相違する。
<相違点>
生成手段が,請求項1発明では,「前記レポート保管手段に保管された複数のレポート及び前記画像保管手段に保管された複数の画像とは分離して管理され,撮影の位置決め画像と,オブジェクト固有情報,人体座標情報,撮影条件情報,画像生成条件情報及びキー画像情報のうち少なくとも一つと,を含む複数のオブジェクトを保管するオブジェクト保管手段より」,「前記選択された画像及びレポートの少なくとも一方に関連付けられている撮影の位置決め画像と,オブジェクト固有情報,人体座標情報,撮影条件情報,画像生成条件情報及びキー画像情報のうちのいずれかを含む少なくとも一つと,の前記オブジェクトを選択し,前記選択されたオブジェクトに含まれる情報」に基づくのに対し,引用発明では,上記オブジェクト保管手段を有しておらず,このオブジェクト保管手段から選択されたオブジェクトに含まれる情報に基づくものでもない点。

次に,上記相違点について検討する。
(1)まず,上記相違点のうち「撮影の位置決め画像と,オブジェクト固有情報,人体座標情報,撮影条件情報,画像生成条件情報及びキー画像情報のうち少なくとも一つと,を含む複数のオブジェクト」が,引用文献2?5に記載されているかどうかについて検討する。
引用文献2には,「画像データを,患者氏名,患者ID,年齢,性別等の患者情報,撮影日,検査ID,撮影部位,撮影条件(体位,撮影方向等),画像生成装置情報(モダリティ種)等の撮影情報を含んだ付帯情報と対応付けて記憶する画像DB41」が記載されているものの,この付帯情報がオブジェクトであることは記載されておらず,「撮影の位置決め画像」も含んでいない。したがって,引用文献2に記載された付帯情報は,請求項1発明のオブジェクトに相当するものではない。
また,引用文献3は,本願の請求項6に記載された「前記医療情報を送信するための通信環境情報に基づいて、当該選択されたレポートを前記医療情報に含めるか否かを判定する判定手段」に対して引用されたものであり,請求項1発明のオブジェクト保管手段について言及するものではない。
また,引用文献4の基本情報DB27は,医用画像の付帯情報を格納する患者情報テーブル271、検査情報テーブル272、シリーズ情報テーブル273、画像情報テーブル274、画像情報格納管理テーブル275を備えるものの,この付帯情報がオブジェクトであることは記載されておらず,「「撮影の位置決め画像」を含んでいない。したがって,引用文献4にも,請求項1発明のオブジェクトは記憶されていない。
また,引用文献5には,「各種モダリティから得た画像情報の付帯情報を記憶する付帯情報記録部4b」が記載されているものの,付帯情報がオブジェクトであることは記載されておらず,「撮影の位置決め画像」を含んでない。
したがって,請求項1発明の上記オブジェクトは,引用文献2?5のいずれにも記載されておらず,示唆もされていないから,引用発明に引用文献2?5の記載事項を組み合わせたとしても,上記相違点に係る構成は容易に想到し得ない。

(2)次に,請求項1発明は,画像及びレポートの少なくとも一方の選択操作に応答して,これらに関連付けられたオブジェクトを選択するが,この機能,動作が引用文献2?5に記載されているかどうかについて検討する。
引用文献2には,「画像処理装置2から,患者ID,画像生成装置情報及び撮影部位等の情報と,その画像生成装置で生成された過去画像データ,及び/又は,他の種類の画像生成装置により生成された画像データの送信要求を受信すると,画像DB41から,該当する画像データを検索し,その付帯情報とともに画像処理装置2に出力する」ことが記載されている。しかしながら,患者IDや画像生成装置情報,撮影部位等の情報に基づいて画像DBを検索しているだけで,画像やレポートの選択操作に応答して,これらに関連付けられたオブジェクトを選択していない。
また,引用文献3は,前記のとおり,本願の請求項6に係る判定手段に対して引用されたものであり,画像やレポートの選択操作や,オブジェクトの選択について言及するものではない。
また,引用文献4には,「画像情報テーブル274を検索し,所望する画像情報を取得し,その画像情報により特定される医用画像を取得する」ことが記載されているものの,これは,画像番号、画像の生成日時情報などの画像情報を検索し,検索された画像情報により特定される医用画像を取得するものであり,医用画像の選択操作に応答してオブジェクトを選択するものではない。
また,引用文献5には,「入力された検索条件に基づいて付帯情報を検索し,検索された付帯情報についてのアドレスを画像管理情報記憶部4dに引渡し,画像管理情報記憶部4d上で,引き渡されたアドレスに対応する画像情報のアドレスを出力し,出力された画像情報のアドレスに基づいて、画像情報記憶部4cに記憶された画像情報を読み出」すことが記載されているものの,これは,付帯情報を検索した後に,検索された付帯情報に関連する画像情報を読み出すものであり,画像情報の選択操作に応答してオブジェクトを選択するものではない。
したがって,請求項1発明における,画像やレポートの「前記選択手段による選択操作に応答して、前記選択された画像及びレポートの少なくとも一方に関連付けられている」,「前記オブジェクトを選択」する構成は,いずれの引用文献にも記載されておらず,示唆もされていないから,引用発明に引用文献2?5の記載事項を組み合わせたとしても,上記相違点に係る構成は容易に想到し得ない。

(3)以上のとおりであるから,請求項1発明は,引用発明,引用文献2?5の記載事項に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたものではない。

2.請求項2発明?請求項9発明

請求項2発明?請求項9発明は,いずれも請求項1発明を限定したものであり,請求項1発明の発明特定事項を全て含むから,引用発明,引用文献2?5の記載事項に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたものではない。

3.請求項10発明

請求項1発明は,画像保管手段,レポート保管手段が,医用画像診断装置と別の構成であったのに対し,請求項10発明は,画像保管手段とレポート保管手段を含んだ医用画像診断装置,または,医用画像診断支援システムとしたものであり,請求項1発明の発明特定事項を全て含む。
したがって,請求項10発明は,請求項1発明の発明特定事項を全て含み,請求項1発明と同様に,引用発明,引用文献2?5の記載事項に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたものではない。

第6 むすび

以上のとおり,請求項1発明ないし請求項10発明は,引用発明及び引用文献2?5の記載事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではないから,原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって,結論のとおり審決する。
 
審決日 2014-03-05 
出願番号 特願2006-61499(P2006-61499)
審決分類 P 1 8・ 537- WY (G06Q)
P 1 8・ 121- WY (G06Q)
最終処分 成立  
前審関与審査官 阿部 潤  
特許庁審判長 手島 聖治
特許庁審判官 石川 正二
清田 健一
発明の名称 医用画像診断支援装置、医用画像診断装置、又は医用画像診断支援システム  
代理人 中村 誠  
代理人 峰 隆司  
代理人 蔵田 昌俊  
代理人 福原 淑弘  

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