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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 H04W |
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管理番号 | 1285952 |
審判番号 | 不服2012-25442 |
総通号数 | 173 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2014-05-30 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2012-12-21 |
確定日 | 2014-03-19 |
事件の表示 | 特願2011-500980「サービングHS-DSCHセルの変更を実行するための方法および装置」拒絶査定不服審判事件〔平成21年 9月24日国際公開、WO2009/117660、平成23年 5月19日国内公表、特表2011-515963〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
1.手続の経緯 本願は、2009年3月20日(パリ条約による優先権主張外国庁受理2008年3月21日、米国)を国際出願日とする出願であって、平成24年2月16日付けで拒絶理由が通知され、平成24年5月18日付けで手続補正がなされ、平成24年8月16日付けで拒絶査定がされ、平成24年12月21日に拒絶査定不服審判が請求されたものである。 2.本願発明 本願の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、平成24年5月18日付手続補正書の特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される、以下のとおりのものと認める。 「無線送信/受信ユニット(WTRU)によってソースセルからターゲットセルにサービングHS-DSCH(high speed downlink shared channel)セル変更を行う方法であって、 前記方法は、 HS-DSCHターゲットセルの事前設定情報を前記WTRUによって受信し、および格納するステップと、 前記WTRUによってイベント1Dを判定するステップと、 前記イベント1Dに応答して前記WTRUによって測定レポートをトリガするステップと、 前記WTRUによってタイマを開始するステップと、 前記タイマの満了まで、セル変更情報について前記ターゲットセル上のHS-SCCH(high speed shared control channel)を前記WTRUによってモニタするステップと を備え、 前記WTRUは、前記HS-DSCHセル変更の間、前記HS-DSCHターゲットセルの事前設定情報を使用することを特徴とする方法。」 3.引用例 本願の優先日前である平成19年4月12日に国際公開された国際公開第2007/040331号(以下「引用例1」という)には、次の事項が記載されている。(なお、引用例1に対応する日本出願の公報である特表2009-512267号公報の対応する箇所を当審訳として参考する。) 「An enhanced procedure is proposed in an attempt to improve the performance of the HS-DSCH cell change procedure. This procedure is referred to as the 'Enhanced HSDPA re-pointing procedure'. An overview of this enhanced HS-DSCH serving cell change procedure, which involves a change of node B case, is provided in FIG. 3. There are main differences between the Enhanced HSDPA re-pointing procedure and the original HS-DSCH serving cell change procedure. Whenever a cell is added to the active set, the RNC may decide to prepare the UE and the node B for a possible HS-DSCH cell change to the concerned cell, by pre-configuring HSDPA related information. When the UE detects that one of the pre-configured cells has become the best, it starts monitoring the HS-SCCHs channel of the concerned cell (after waiting for a configurable amount of time) while it continues normal HSDPA operation for the current serving HS-DSCH cell. In HSDPA, the HS-SCCH channel is used by the node B to signal information about the scheduling of data, which is transferred via the HS-DSCH channel When the RNC decides to perform the HS-DSCH cell change, it indicates this to the UE via one of the HS-SCCHs of the concerned target cell. Upon detection of data that is scheduled via an HS pre-configured (HS candidate) cell, the UE switches. For example, the concerned cell becomes the serving HS-DSCH cell Prior to the indication on HS-SCCH such as prior to switching to the new cell, the RNC may order the current cell to discontinue HS- transmission. The source node may provide status information regarding data that is still outstanding. Alternatively, the RNC may delay discontinuation of the HS-transmission in the current cell to reduce the interruption time. However, this may result in unnecessary retransmissions It should be noted that the Enhanced HS-DPA re-pointing procedure applies a modified version of the Radio Link Reconfiguration procedure, in which the HDSPA configuration is preloaded during a prepare/ready phase while the actual use of the configuration triggered by the commit is delayed (or does not happen at all).」(5頁6行?6頁3行) (当審訳:【0018】-【0025】参照 HS-DSCHセル変更手続きの遂行を改善するための手続きが提案される。このような手続きを‘拡張された(Enhanced)HSDPA再指示(re-pointing)手続き’と呼ぶ。図3は、ノードBの変更を含む拡張されたHS-DSCHサービングセル変更手続きを概略的に示す。 拡張されたHSDPA再指示手続きと一般的なHS-DSCHサービングセル変更手続きとは、次のような主な差異点がある。 セルがアクティブセットに追加される度に、RNCは、HSDPA関連情報を事前設定することにより、関連セルへのHS-DSCHセル変更のために、UE及びノードBを準備させることを決定する。 UEが事前設定されたセルのうちの1つがベストセル(best cell)となったことを感知すると、現在のサービングHS-DSCHセルのための基本的なHSDPA動作を遂行しつつ(予め定められた時間の間に待機した後に)、関連セルのHS-SCCHチャネルのモニタリングを開始する。 HSDPAにおいて、HS-SCCHチャネルは、HS-DSCHチャネルを介して転送されるデータのスケジューリングに関する情報をシグナリングするために、ノードBにより使用される。 RNCがHS-DSCHセル変更を遂行することを決定すると、関連ターゲットセルのHS-SCCHのうちの1つを介してUEにこのような事実を通知する。HS事前設定された(HS候補(candidate))セルを介してスケジューリングされたデータが感知されると、UEは、スイッチングする。例えば、関連セルがサービングHS-DSCHセルとなる。 新たなセルにスイッチングする前のようにHS-SCCHを通知する前に、RNCは、現在のセルにHS送信を中断することを指示する。ソースノードは、まだ残っている(outstanding)データと関連した状態情報を提供する。その代りに、RNCは、インタラプトタイムを減少させるために、現在のセルでのHS送信の中断を保留することができる。しかしながら、これは、不必要な再送信を引き起こすことができる。 拡張されたHS-DPA再指示手続きは、無線リンク(Radio Link:RL)再設定手続きの変形されたバージョンを適用する。ここで、HS-DPA設定は、プリペア/レディーフェーズ(prepare/ready phase)の間にあらかじめローディングされ、設定の実質的な使用は、遅延された命令(commit)によりトリガーされる(またはまったく起こらない。)。) FIG.3には、UEが、RRC measurement(event 1D)をSRNCに送信した後、Start monitoring new cellして、New Node BからHS-SCCH indicates data scheduled in new cellを受信すると、UE switches i.e. Stope monitoring old cellすることが記載されている。 上記によれば、引用例1には、 「HS-DSCHセル変更手続きの遂行を改善するための手続きであって、一般的なHS-DSCHサービングセル変更手続きとは、 セルがアクティブセットに追加される度に、RNCは、HSDPA関連情報を事前設定することにより、関連セルへのHS-DSCHセル変更のために、UE及びノードBを準備させることを決定するとの主な差異点があり、 UEが事前設定されたセルのうちの1つがベストセルとなったことを感知すると、RRC measurement(event 1D)を送信して現在のサービングHS-DSCHセルのための基本的なHSDPA動作を遂行しつつ、予め定められた時間の間に待機した後に、関連セルのHS-SCCHチャネルのモニタリングを開始し、 HSDPAにおいて、HS-SCCHチャネルは、HS-DSCHチャネルを介して転送されるデータのスケジューリングに関する情報をシグナリングするために、ノードBにより使用され、 RNCがHS-DSCHセル変更を遂行することを決定すると、関連ターゲットセルのHS-SCCHのうちの1つを介してUEにこのような事実を通知し、HS-SCCH indicates data scheduled in new cellによりHS事前設定されたHS候補セルを介してスケジューリングされたデータが感知されると、UEは、スイッチングする。」 が記載されている。(以下「引用発明」という) 4.本願発明と引用発明の対比 引用発明の「UE」は本願発明の「無線送信/受信ユニット(WTRU)」に相当し、 引用発明の「event 1D」は本願発明の「イベント1D」に相当する。 引用発明の「関連セル」「HS候補セル」「new cell」は、いずれもハンドオーバ対象先のセルであるから、本願発明の「HS-DSCHターゲットセル」といえる。 引用発明の「HS-DSCHセル変更手続き」は本願発明の「HS-DSCHセル変更を行う方法」に相当する。 ここで、「セル変更」において、端末が現在接続しているセルを「ソースセル」と呼び、変更先のセルを「ターゲットセル」と呼ぶこと、すなわち「セル変更」とは「ソースセルからターゲットセル」に「サービングセル変更」を行うことを意味することは当該技術における技術常識であるから、「HS-DSCHセル変更手続き」は「WTRUによってソースセルからターゲットセルにサービングHS-DSCHセル変更を行う方法」といえる。 引用例1に 「When the new radio link becomes the best cell, the UE sends another measurement report (event ID). 」(2頁26?27行) (参考訳:【0009】参照 上記新たな無線リンクが最適のセル(best cell)となると、UEは、他の測定報告を送信する(イベント1D)。) とあるように、引用発明においてUEが感知する「事前設定されたセルのうちの1つがベストセルとなった」という状態は、「イベント1D」のことであるから、UE(WTRU)は「イベント1D」を判定しているといえる。 ここで「RRC measurement(event 1D)」は、上記「イベント1D」により送信される「他の測定報告」すなわち「測定レポート」を意味していることは明らかであるから、引用発明においても「イベント1D」により「測定レポート」を送信、すなわち、「イベント1Dに応答してUE(WTRU)により測定レポートをトリガ」しているといえる。 引用発明の「HS-SCCH indicates data scheduled in new cell」は「関連ターゲットセルのHS-SCCHのうちの1つを介して」通知され、ここで「new cell」は「HS事前設定されたHS候補セル」であるから、「HS-SCCH indicates data scheduled in new cell」は、「ターゲットセル上のHS-SCCH」上の「スケジューリングに関する情報」であり、該情報を受信するためには、UEが「ターゲットセル上のHS-SCCH」をモニタしていることは明らかである。 ここで「スケジューリングに関する情報」は「HS『事前設定』されたHS候補セル」の「情報」であるから、「事前設定情報」といえる。 したがって、本願発明と引用発明は、 「無線送信/受信ユニット(WTRU)によってソースセルからターゲットセルにサービングHS-DSCHセル変更を行う方法であって、 前記方法は、 HS-DSCHターゲットセルの事前設定情報を前記WTRUによって受信するステップと、 前記WTRUによってイベント1Dを判定するステップと、 前記イベント1Dに応答して前記WTRUによって測定レポートをトリガするステップと、 前記セル変更情報について前記ターゲットセル上のHS-SCCHを前記WTRUによってモニタするステップと を備える方法。」 で一致し、下記の点で相違する。 相違点1 本願発明では、「WTRUによってタイマを開始するステップ」を有し、「タイマの満了まで」までモニタするが、引用発明は、「予め定められた時間の間に待機」して「関連セルのHS-SCCHチャネルのモニタリングを開始」する点。 相違点2 本願発明では、「HS-DSCHターゲットセルの事前設定情報を前記WTRUによって受信し、および格納するステップ」を有して「WTRUは、前記HS-DSCHセル変更の間、前記HS-DSCHターゲットセルの事前設定情報を使用する」が、引用発明では、「HS事前設定されたHS候補セルを介してスケジューリングされたデータ」であるRRC measurement(event 1D)を受信するが、格納や使用に関する記載が無い点。 5.当審の判断 上記相違点について検討する。 相違点1について 引用発明は、「event 1Dを送信」してから「予め定められた時間の間に待機」して「関連セルのHS-SCCHチャネルのモニタリングを開始」するのであるから、「event 1Dを送信」してからの「予め定められた時間」を計測する必要があることは当然であり、「時間」を計測する場合にタイマを開始させることは常套手段であるから、引用発明が「タイマを開始」するステップを有することは容易に想到し得ることである。 また、通信技術において、送信信号に対応する応答信号を待つ場合、所定時間以上応答信号が受信されない場合にタイムアウト(タイマの満了)によりエラー処理を行うことは周知であるから、送信信号である「RRC measurement(event 1D)」に対する応答信号である「RRC measurement(event 1D)」を上記タイマの満了までモニタすることは容易に想到しうることである。 相違点2について 引用発明では受信した「HS-SCCH indicates data scheduled in new cell」を格納したり使用したりすることは記載されていないが、受信したデータを格納することは通常の受信処理にすぎない。 また、受信した情報は何かに使用するために受信することは明らかであり、「ハンドオーバ中」に受信した「ターゲットセル」の情報を「ハンドオーバ中」に使用することは通常のことであるから、引用発明が受信した「事前設定情報」を格納し、ハンドオーバ中に前記情報を使用することは容易に想到しうることである。 そして、本願発明のように構成したことによる効果も、引用発明及び周知技術から予測できる範囲のものである。 6.むすび 以上のとおり、本願発明は、引用発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2013-10-15 |
結審通知日 | 2013-10-22 |
審決日 | 2013-11-07 |
出願番号 | 特願2011-500980(P2011-500980) |
審決分類 |
P
1
8・
121-
Z
(H04W)
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最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 齋藤 浩兵 |
特許庁審判長 |
近藤 聡 |
特許庁審判官 |
水野 恵雄 吉田 隆之 |
発明の名称 | サービングHS-DSCHセルの変更を実行するための方法および装置 |
復代理人 | 濱中 淳宏 |
代理人 | 特許業務法人 谷・阿部特許事務所 |
復代理人 | 藤原 弘和 |