現在、審決メルマガは配信を一時停止させていただいております。再開まで今暫くお待ち下さい。

  • ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 C12N
管理番号 1286019
審判番号 不服2010-21700  
総通号数 173 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2014-05-30 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2010-09-27 
確定日 2014-03-18 
事件の表示 特願2000-618491「原核および真核生物に関する核酸プローブに基づく診断アッセイ」拒絶査定不服審判事件〔平成12年11月23日国際公開、WO00/70086、平成15年 9月 9日国内公表、特表2003-526334〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯・本願発明
本願は、平成12年5月15日(パリ条約による優先権主張 1999年5月14日、アイルランド)を国際出願日とする出願であって、その請求項6に係る発明は、平成22年3月12日付けの手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項6に記載された次のとおりのものと認める(以下、「本願発明」という)。
「【請求項6】 原核または真核生物を検出及び同定するための核酸プローブアッセイにおける標的領域としての、ssrA遺伝子のRNA転写物であるtmRNAまたは少なくとも10ヌクレオチドから成るその断片の使用。」

2.引用例の記載事項
原査定の拒絶理由に引用例1として引用された、本願優先日前に頒布された刊行物であるNucleic Acids Res.,Vol.26,No.1(1998)p.163-165(以下、「引用例1」という)には、以下の事項が記載されている(英語で記載されているため、日本語訳で摘記する)。

ア.「tmRNA(10Sa RNAとしても知られている。)は、tRNA様及びmRNA様の二重の性質を有することからそのように名付けられた。・・・・・・tmRNA配列は、最も深く枝分かれしている系統を含む様々な細菌系統のゲノムにおいて同定されている。」(第163頁左欄第2行?第9行、「要約」)

イ.「tmRNA一次配列は、その末端において最も保存されている。このことは、基準標本からの(9)、あるいは、rRNA及びRNasePで先駆されている(21-23)ように、野外試料における微生物集団からのtmRNAの増幅及び決定を可能にする。例えば、緑色植物の核内tmRNAの予備的検索において、赤色プラスチド及びシロイヌナズナ葉DNA試料からのPCRプライマーを用いて、4つの新しいtmRNAが見出された。」(第165頁左欄第4行?第11行)

上記記載事項ア.、イ.によると、引用例1には、tmRNAに関する発明(以下、「引用発明」という)が記載されていると認められる。

また、原査定の拒絶理由に引用例2として引用された、本願優先日前に頒布された刊行物であるRNA,Vol.2,No.12(1996)p.1306-1310(以下、「引用例2」という)には、アルカリゲネス・ユートロファスtmRNA末端の配列に基づいたプライマーセット、大腸菌tmRNA末端の配列に基づいたプライマーセットを用いて、様々な細菌の基準標本のゲノムDNAからPCRで増幅し、それらのtmRNAの配列を決定したことが記載されており(第1309頁左欄、「材料及び方法」)、また、その決定された配列のアラインメントが図1Aに記載されている(第1307頁、図1A)。

3.対比
次に、本願発明と引用発明とを対比すると、tmRNAがssrA遺伝子のRNA転写物であることは本願優先日前技術常識であるから、本願発明と引用発明とは、ssrA遺伝子のRNA転写物であるtmRNAに関する発明である点で一致し、本願発明は、tmRNAまたは少なくとも10ヌクレオチドから成るその断片を、原核生物を検出及び同定するための核酸プローブアッセイにおける標的領域として使用するのに対し、引用例1には、そのようなことは記載されていない点で相違する。

4.当審の判断
原核生物などの微生物を検出及び同定するために、該微生物の16S rRNAなどのRNAの保存された領域の間に存在する可変領域(またはスペーサー領域ともいう)を標的領域として、該可変領域に対するDNAプローブを使用することは、本願優先日前既に周知の技術である(例えば、特開平3-130099号公報、特表平5-504889号公報参照)。
そして、引用例1のイ.の記載及び引用例2の図1Aの記載から、アルカリゲネス・ユートロファス、大腸菌などの原核生物のtmRNAの末端の保存された領域の間に可変領域が存在することがわかるから、引用発明において、原核生物のtmRNAの保存された領域の間に存在する可変領域を標的領域として、該可変領域に対するDNAプローブを製造し、原核生物を検出及び同定するために使用することは、当業者が容易に想到し得ることである。
そして、本願発明において奏される効果は、特異的配列に対するプローブにより原核生物を検出・同定できたことであり、引用例1、2又は上記周知技術から予測出来ない程の格別なものとはいえない。
したがって、本願の請求項6に係る発明は、引用例1、2及び周知技術に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。

5.審判請求人の主張
審判請求人は、審判請求書の平成22年11月15日付け手続補正書において、以下のア.、イ.の点を主張しているので、以下この点について検討する。

ア.「核酸プローブの2次構造モチーフはハイブリダイゼーションを妨げること、及び顕著な2次構造を有する配列は典型的にはプローブをデザインする際に避けられることは周知です。同様に、標的とされるプローブ結合部位の2次構造もハイブリダイゼーションを妨げます。このように、プローブと標的部位の2次構造が一般に研究され、潜在的プローブデザインが評価されます。tmRNA(ssrA)配列の高レベルの2次構造を考慮すれば、本願発明完成時、引用文献の教示は当業者にとってtmRNAに基づいた診断アッセイのためのハイブリダイゼーションプローブ及びプライマーをデザインすることの動機付けとはならなかったでしょう。更に、当業者にとって、引用文献記載のアライメントに提供された配列情報に基づいて、種及び属特異的プライマー及びプローブをデザインすることを示唆することは可能ではありません。重要なのは、株特異的プライマー及びプローブでさえ作製することは可能ですが、2つの密接に関連した種を区別することに関連して、株間及び種間の配列相違性及び保存配列を決定するには、相当量の配列データを作製することが必要であるということです。」

イ.「出願人は、参考文献1及び2として、対応の米国出願の審査手続過程において提出した宣誓書を添付致します。宣誓書は、ssrA遺伝子/tmRNAが検出/同定アッセイにおける好適な標的であると当業者が何故期待しないかを、引用文献1及び2の教示に基づいて説明しています。宣誓書に説明されているように、非常に様々な種にわたってssrA遺伝子/tmRNAは高度に保存されていることが知られていました。このことは、実際に引用文献1及び2の開示にも裏付けられています。宣誓書に更に説明されるように、全てのssrA遺伝子/tmRNAの構造により、当業者は本発明の完成を期待しないでしょう。in vitro診断アッセイの開発におけるプローブデザインのための核酸標的として使用することに関し、成功を期待させないssrA遺伝子/tmRNAの特徴は、全てのssrA遺伝子/tmRNAに存在しています。即ち、全てのssrA遺伝子/tmRNAは同様に、遺伝子の保存された性質及び小サイズ転写物を有しています。このように、成功の期待の欠如及び宣誓書において考察されている期待できない結果の発見は、全てのssrA遺伝子/tmRNAに当てはまるでしょう。このような状況において、当該技術分野における専門家である2人が、本発明を達成することに強い疑念を表しています。」

主張ア.について
アルカリゲネス・ユートロファス、大腸菌などの原核生物のtmRNA(10Sa RNA)又はその一部を標的とした核酸プローブを製造すること、該核酸プローブが前記原核生物のtmRNAにハイブリダイゼーションし、前記原核生物のtmRNAをノーザンブロッティングで検出できることは、本願優先日前周知事項である(例えば、Nucleic Acids Res.,Vol.18,No.9(1990)p.2820、Nucleic Acids Res.,Vol.20,No.1(1992)p.138、Proc.Natl.Acad.Sci.USA,Vol.91,No.20(1994)p.9223-9227、Nucleic Acids Res.,Vol.22,No.16(1994)p.3392-3396参照)から、tmRNAの2次構造に関する引用例1、2の記載が核酸プローブアッセイのためのハイブリダイゼーションプローブをデザインすることを妨げる程の阻害要因になるとはいえない。また、本願発明には「原核または真核生物を検出及び同定するための核酸プローブアッセイにおける標的領域としての、・・・・・・の使用。」と記載されているだけであって、種特異的プローブ、属特異的プローブに限定された発明ではなく、また、引用例2には、種間で保存された領域と種間で配列が相違する領域を特定するのに十分な数の配列データのアラインメントが示されているといえるので、審判請求人の上記主張は採用できない。

主張イ.について
引用例1、2の記載から明らかなように、tmRNAの「高度に保存されている」領域はtmRNAの5’又は3’末端であって、tmRNAの全長が「高度に保存されている」わけではないので、そのことがin vitro診断アッセイの開発におけるプローブデザインのための核酸標的としてtmRNAを使用することを妨げる程の阻害要因になるとはいえない。また、上述の如く、アルカリゲネス・ユートロファス、大腸菌などの原核生物のtmRNA(10Sa RNA)又はその一部を標的とした核酸プローブが前記原核生物のtmRNAにハイブリダイゼーションし、前記原核生物のtmRNAを検出できることは、本願優先日前周知事項であるから、全てのssrA遺伝子が小サイズ転写物を有していることが、核酸プローブアッセイのためのハイブリダイゼーションプローブをデザインするための核酸標的としてtmRNAを使用することを妨げる程の阻害要因になるとはいえない。

したがって、審判請求人の上記主張はいずれも採用できない。

6.むすび
以上のとおり、本願の請求項6に係る発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないので、本願は、その余の請求項について論及するまでもなく、拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2013-10-24 
結審通知日 2013-10-25 
審決日 2013-11-06 
出願番号 特願2000-618491(P2000-618491)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (C12N)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 冨永 みどり  
特許庁審判長 鈴木 恵理子
特許庁審判官 高堀 栄二
植原 克典
発明の名称 原核および真核生物に関する核酸プローブに基づく診断アッセイ  
代理人 小野 新次郎  
代理人 社本 一夫  
代理人 富田 博行  
代理人 千葉 昭男  
代理人 千葉 昭男  
代理人 社本 一夫  
代理人 小林 泰  
代理人 江尻 ひろ子  
代理人 江尻 ひろ子  
代理人 富田 博行  
代理人 小林 泰  
代理人 小野 新次郎  
  • この表をプリントする

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ