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審決分類 審判 査定不服 特36条4項詳細な説明の記載不備 特許、登録しない。 B08B
管理番号 1286035
審判番号 不服2013-15846  
総通号数 173 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2014-05-30 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2013-07-30 
確定日 2014-03-18 
事件の表示 特願2011-36417号「光とフッ化水素酸による高所の洗浄。」拒絶査定不服審判事件〔平成24年8月2日出願公開、特開2012-143738号〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯
本願は、平成23年1月14日の出願であって、平成24年9月14日付け(発送:9月25日)で拒絶理由が通知され、これに対して同年11月22日付けで意見書が提出されたが、平成25年3月11日付け(再送日:6月11日)で拒絶査定がなされ、これに対し、平成25年7月30日に拒絶査定不服審判が請求されたものである。

2.本願発明
本願の請求項1及び2に係る発明(以下「本願発明1及び2」という。)は、本願出願当初の特許請求の範囲における請求項1及び2に記載された事項により特定される、以下のとおりのものである。

【請求項1】
フッ化水素及びフッ化水素酸はレーザー光線に照射される事により、数十メートル以上移動して、レーザー光線と共に、目標物に到達する。
【請求項2】
フッ化水素及びフッ化水素酸は電磁波に照射される事により、数十メートル以上移動して、電磁波と共に、目標物に到達する。

3.原査定の理由
(1)平成24年9月14日付けで拒絶理由通知書に記載された<理由1>の内容

この出願は、発明の詳細な説明の記載が下記の点で、特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たしていない。


本願発明は、レーザ光線または電磁波によりフッ化水素またはフッ化水素酸を目標物に到達させるものであるが、フッ化水素またはフッ化水素酸がどのような現象によりレーザ光線または電磁波により目標物に到達させるものであるのか出願当時の技術常識を参酌しても不明である。また、どのような装置により実施できるのかも、出願当時の技術を参酌しても不明である。

よって、この出願の発明の詳細な説明は、当業者が請求項1及び2に係る発明を実施することができる程度に明確かつ十分に記載されたものでない。

(2)平成25年3月11日付け拒絶査定の内容

この出願については、平成24年9月14日付け拒絶理由通知書に記載した理由<理由1>によって、拒絶をすべきものです。
なお、意見書の内容を検討しましたが、拒絶理由を覆すに足りる根拠が見いだせません。

備考
請求項1及び2について
出願人は、意見書により携帯電話の発信部分や液晶画面等にフッ化水素酸を塗って発信すればフッ化水素酸は目的物に到達することを述べている。
しかしながら、意見書を参酌しても、どのような現象によりフッ化水素酸が目的物まで到達するのか不明である。

4.当審の判断
本願の発明の詳細な説明には、次の記載がある。

ア「【技術分野】
レーザー光線や電磁波の発信部分に、フッ化水素及びフッ化水素酸を塗付する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
高所の安全な洗浄作業。
【課題を解決するための手段】
レーザー光線や電磁波の発信部分に、フッ化水素又はフッ化水素酸を塗付して、照射する事により、ビル等の高所作業を安全に行なう。」

これらの記載を参酌すると、本願発明1及び2は、「フッ化水素及びフッ化水素酸」を「レーザー光線や電磁波の発信部分」に「塗布」して「レーザー光線や電磁波を照射させる」ことにより「数十メートル以上移動させ」て「目標物(であるビルの高所)に到達させ」安全な清掃作業を行おうとするものと解される。

一方、本願出願時に、「フッ化水素及びフッ化水素酸」を「レーザー光線や電磁波の発信部分」に「塗布」して「レーザー光線や電磁波を照射させる」ことにより「数十メートル以上移動させ」ることは、当業者にとって自明な技術ではなく、また、技術常識からみて不可能なことと考えられる。

これに対し、本願明細書には、上記アに摘記したように「レーザー光線や電磁波の発信部分に、フッ化水素及びフッ化水素酸を塗付して、照射する」とのみしか記載されておらず、本願の「フッ化水素及びフッ化水素酸はレーザー光線や電磁波に照射される事により、数十メートル以上移動して、レーザー光線や電磁波と共に、目標物に到達する」ための具体的手段は、発明の詳細な説明に記載されていない。

請求人は、平成25年7月30日付け審判請求書において
【証拠方法】
毎日、12時間位を、1時間おきに、携帯電話の受信機と発信の間にねずみを置く。 フッ化水素酸を携帯電話の電力の高い物の発信部分や液晶画面等に塗り発信させる。また、もう1個の携帯電話を受信状能にする。 発信機と受信機の間に置かれたねずみはかゆみや痛みのため異常な動きをし、肺水腫や骨の異常を呈し、1年半位で死亡する。
として、
【請求の理由】
いかなる現象により、フッ化水素酸が目的物に到達するのかは、実際に、ねずみ等で実験した者しか、解り得ない。
「1、手続きの経緯」
フッ化水素酸を電滋波やレーザー光線により、移動させて、高所の洗浄ができる事を説明する。
と主張している。

しかしながら、上記【証拠方法】における実験は、その実験条件等からみて、本願発明1及び2の課題である「高所の安全な洗浄作業」と何ら関係を有するものではなく、「フッ化水素酸を電滋波やレーザー光線により、移動させて、高所の洗浄ができる事」の説明とは認められないことにより、請求人の上記主張は採用できない。

したがって、本願の発明の詳細な説明の記載は、「フッ化水素及びフッ化水素酸はレーザー光線や電磁波に照射される事により、数十メートル以上移動して、レーザー光線や電磁波と共に、目標物に到達する」ための具体的手段を一切明らかにするものではなく、当業者が本願発明1及び2の実施をすることができる程度に明確かつ十分に記載したものではないから、特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たしていない。

5.むすび
以上のとおり、本願は、特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たしていないため、拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2013-11-28 
結審通知日 2013-12-24 
審決日 2014-01-21 
出願番号 特願2011-36417(P2011-36417)
審決分類 P 1 8・ 536- Z (B08B)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 莊司 英史  
特許庁審判長 鳥居 稔
特許庁審判官 前田 仁
山崎 勝司
発明の名称 光とフッ化水素酸による高所の洗浄。  

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