• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 G06F
管理番号 1286112
審判番号 不服2013-9866  
総通号数 173 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2014-05-30 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2013-05-29 
確定日 2014-04-08 
事件の表示 特願2008- 53332「データバックアップシステム及びデータバックアップ方法」拒絶査定不服審判事件〔平成21年 9月17日出願公開、特開2009-211378、請求項の数(12)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 第1 出願の手続
本願は、平成20年3月4日の出願であって、平成24年12月10日付けで拒絶理由が通知され、平成25年2月12日付けで手続補正がなされたが、平成25年3月6日付けで拒絶査定がなされ、これに対し平成25年5月29日に拒絶査定不服審判の請求がなされ、同時に手続補正がなされたものである。
そして、当審において、平成25年6月20日付けで審査官により作成された前置報告書について、平成25年8月23日付けで審尋を行ったところ、審判請求人は平成25年10月4日付けで回答書を提出した。

第2 平成25年5月29日付けの手続補正(以下、「本件補正」という。)の適否
1.補正の内容
本件補正は、特許請求の範囲について
(1)本件補正前の請求項1に「前記充電器は、前記第2のデータ記憶回路へのデータの記憶が完了した後に、当該データを送信する」とあったところを、「前記充電器は、前記第2のデータ記憶回路へのデータの記憶が完了した際、当該データを送信する」と限定する。
(2)本件補正前の請求項8(本件補正後の請求項7に対応する)に「前記第2のデータ記憶回路へのデータの記憶が完了した後に、当該データを前記充電器から前記コンピュータ装置に送信する」とあったところを、「前記第2のデータ記憶回路へのデータの記憶が完了した際、当該データを前記充電器から前記コンピュータ装置に送信する」と限定する。
(3)本件補正前の請求項2及び9を削除し、これに伴って、引用形式請求項(本件補正後の請求項2?6、8?12)における引用先の請求項の項番を整理する
ものである。

よって、本件補正は、特許法第17条の2第5項第1号(請求項の削除)、同第2号(特許請求の範囲の減縮)及び同第4号(明りょうでない記載の釈明)に掲げる事項を目的とするものに該当する。

また、特許法第17条の2第3項、第4項に違反するところはない。

そこで、本件補正後の請求項1?12に記載された事項により特定される発明が特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか(特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか)について以下に検討する。

2.特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるかについて
(1)請求項1に係る発明について
ア.本件補正後の請求項1に係る発明
本件補正後の請求項1に係る発明(以下、「本願補正発明」という。)は、本件補正後の請求項1に記載された事項により特定される、次のとおりのものである。
「【請求項1】
第1のデータ記憶回路を具備する携帯端末装置と、第2のデータ記憶回路を具備し、前記携帯端末装置を充電するための充電器と、第3のデータ記憶回路を具備するコンピュータ装置とを有し、前記携帯端末装置を前記充電器にて充電する際に、前記第1のデータ記憶回路に記憶されたデータを前記第2のデータ記憶回路に記憶し、該第2のデータ記憶回路に記憶されたデータを前記コンピュータ装置に送信して前記第3のデータ記憶回路に記憶するデータバックアップシステムにおいて、
前記充電器と前記コンピュータ装置とは電力線を介して接続され、
前記充電器は、前記携帯端末装置から送信されてきたデータを、電力搬送に使われている電気信号に重畳して送信し、
前記電力線を介して送信されてきた電気信号から前記データを取り出し、該データを前記コンピュータ装置に送信するアダプタを有し、
前記充電器は、前記第2のデータ記憶回路へのデータの記憶が完了した際、当該データを送信することを特徴とするデータバックアップシステム。」

イ.刊行物の記載事項
(引用文献1)
原査定の拒絶の理由に引用された、特開2001-202292号公報(以下、「引用文献1」という。)には、図面とともに、次の技術事項が記載されている。
(ア)「【請求項2】 二次電池とデータ記憶回路を有する携帯機器のデータバックアップ装置において、
充電回路及びデータメモリ回路を有する前記携帯機器の電源手段と、
前記二次電池と前記充電回路を接続する充電接続部及び前記データ記憶回路と前記データメモリ回路を接続するデータ接続部を一体に有する接続手段とを設け、
前記二次電池が前記接続手段により前記充電回路に接続されたとき、同時に前記データ記憶回路が前記データメモリ回路に接続されるようになし、前記データ記憶回路の記憶内容が前記データメモリ回路でバックアップされ得るようにしたことを特徴とするデータバックアップ装置。」(第2頁第1欄第15?27行)

(イ)「【請求項4】 前記請求項2に記載したデータバックアップ装置において、
前記電源手段に、前記データメモリを外部データ処理装置に接続する他の接続手段を設け、
前記他の接続手段を通じて前記データメモリを前記外部データ処理装置に接続できるようにし、前記他の接続手段を通じて前記データメモリが前記外部データ処理装置に接続された状態において、前記電源手段に設けた前記データメモリと前記外部データ処理装置の間でデータが相互に伝送され得るようにしたことを特徴とするデータバックアップ装置。」(第2頁第1欄第39?49行)

(ウ)「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、携帯機器に記憶されたデータをバックアップする場合、或は携帯電話機に記憶されたデータをバックアップする場合に適用して好適な、携帯機器或は携帯電話機のデータバックアップ装置に関するものである。」(第2頁第3欄第33?38行)

(エ)「【0013】
【発明の実施の形態】以下図1?図14を参照しながら本発明によるデータバックアップ装置の実施の形態の一例を、携帯電話機及びこの携帯電話機の電源装置を例として説明する。
【0014】先ず図1と図2を参照してこのデータバックアップ装置の第1の例について説明する。
【0015】図1は携帯電話機及びその電源装置の夫々の要部の構成の一例を示したブロック図、図2はこように構成された携帯電話機及びその電源装置の動作の一例を説明するフロー図である。
【0016】図1において1は携帯電話機、30は電源装置で、この携帯電話機1は受信部2、送信部3、アンテナ共用器4、アンテナ5、ベースバンド処理部6、主制御部7、受話器8、送話器9、表示器10、入力キー部11、二次電池部12、第1のインターフェース部13、第2のインターフェース部14及び携帯電話機1側に設けたデータ接続部15で構成され、このベースバンド処理部6は受信信号処理回路16、送信信号処理回路17及び副制御部22で構成されている。
【0017】これら受信部2、送信部3、ベースバンド処理部6、第1のインターフェース部13、第2のインターフェース部14及び主制御部7の夫々は、データ・制御バスライン24により相互に接続されている。またこの携帯電話機1の電源部が二次電池部12により構成されている。
【0018】この主制御部7は主CPU(central processing unit )18、ROM(read-only memory)19、RAM(random-access memory)20及びEEPROM(electrically erasable and programmable ROM)21で構成され、主CPU18、ROM19、RAM20及びEEPROM21の夫々はデータ・制御バスライン24により相互に接続されている。
【0019】このROM19にはCPU18の動作を制御するコンピュータプログラムが格納され、このRAM20にはCPU18のワークエリアが形成され、EEPROM21には携帯電話機1の電話帳データ等のユーザデータの記憶エリアが形成され、そしてこの携帯電話機1全体の動作が主CPU18により制御される。」(第4頁第6欄第28行?第5頁第7欄第16行)

(オ)「【0025】この携帯電話機1側に設けたデータ接続部15は端部1A、B、C及びDを有し、二次電池部12は充電電流入力2Aを有し、第1のインターフェース部13は入力3Aを有しそして第2のインターフェース部14はデータ出力4A、データ読み出し要求信号入力4B及び接続確認信号の出力4Dを有した構成となされている。
【0026】そして、このデータ接続部15の端部1Aが二次電池部12の充電電流入力2A及び第1のインターフェース部13の入力3Aに接続され、端部1Bがデータ出力4Aに接続され、端部1Cがデータ読み出し要求信号入力4Bに接続され、端部1Dが接続確認信号の出力4Dに接続されている。そして第1のインターフェース部13及び第2のインターフェース部14の夫々がデータ・制御バスライン24に接続されている。
【0027】次に電源装置30について説明する。
【0028】この電源装置30はAC電源コンセント31、充電回路部32、メモリインターフェース33、メモリ34、コンピュータインターフェース35、コンピュータ接続コネクタ36及びこのデータ接続部15と接続できる構造を具備したデータ接続部37より構成されている。なお、このコンピュータ接続コネクタ36は、外部データ処理装置の典型的な例である汎用コンピュータ装置のデータ入力に、このメモリ34のデータ出力を供給する為のコネクタである。
【0029】このデータ接続部37は端部7A、B、C及びDを有し、メモリインターフェース33はデータ入力8A、データ読み出しの要求信号出力8B、接続確認信号入力8C、データ出力8D及びデータ書き込み要求信号出力8Eを有し、メモリ34はデータ入力9A、データ書き込み要求信号入力9B、データ出力9C及び読み出し要求信号の入力9Dを有し、コンピュータインターフェース35はデータ入力10A、データ読み出し要求信号の出力10B、データ出力10C及びデータ読み出し要求信号入力10Dを有して構成されている。
【0030】そしてコンピュータ接続コネクタ36はデータ入力11A及びデータ読み出し要求信号出力11Bを有して構成されている。
【0031】これらデータ接続部15とデータ接続部37は互いに着脱自在に構成されている。そしてこれらデータ接続部15とデータ接続部37が正しく接続された状態において、端部1Aと端部7A、端部1Bと端部7B、端部1Cと端部7C及び端部1Dと端部7Dの夫々が接続された状態になるように、このデータ接続部15とデータ接続部37の夫々が構成されている。」(第5頁第8欄第4?48行)

(カ)「【0035】次にこれらデータ接続部15とデータ接続部37を接続した状態において、主制御部7で制御された状態でデータがバックアップされる手順を図2に示したフロー図を参照して説明する。
【0036】これらデータ接続部15とデータ接続部37が正しく接続されると、AC電源コンセント31に接続された充電回路部32の出力側から二次電池部12の充電電流入力2A及び第1のインターフェース部13の入力3Aの夫々に充電電流S1が供給される。
【0037】この供給状態において、これらデータ接続部15とデータ接続部37が正しい状態で接続されたことを示す信号が、データ・制御バスライン24を通じて第1のインターフェース部13から主CPU18に入力される(ステップS1)。
【0038】この信号に応じ主CPU18で接続確認信号S2が生成され、この接続確認信号S2がインターフェース部14の接続確認信号の出力4Dからメモリインターフェース33の接続確認信号入力8Cに供給される(ステップS2)。
【0039】この接続確認信号S2に応じメモリインターフェース33でデータ読み出し要求信号S3が生成され、データ読み出し要求信号出力8Bから出力され、インターフェース部14のデータ読み出し要求信号入力4Bに入力され、データ・制御バスライン24を通じて主CPU18に入力される(ステップS3)。
【0040】このデータ読み出し要求信号S3に応じて、主CPU18によりEEPROM21に記憶されている電話帳データ等バックアップする必要のあるデータが読み出され、データD1としてデータ・制御バスライン24を通じて第2のインターフェース部14に伝送され、このインターフェース部14のデータ出力4Aからメモリインターフェース33のデータ入力8Aに入力される(ステップS4)。
【0041】このデータD1に応じて、メモリインターフェース33のデータ書き込み要求信号出力8Eからメモリ34のデータ書き込み要求信号入力9Bに、データ書き込み要求信号が送出される。そして同時にこのメモリインターフェース33において、データD1をメモリ34に記憶するうえで適したフォーマットに変換され、この変換されたデータD1がデータ出力8Dからメモリ34のデータ入力9Aに伝送される(ステップS5)。
【0042】そして、メモリ34にデータD1が記憶され、バックアップされる(ステップS6)。
【0043】次に図3及び図4を参照して図1と同一の部分には同一符号を付与して詳細な説明を省略してこのデータバックアップ装置の第2の例について説明する。
【0044】図3は携帯電話機が接続された状態の電源装置に対して外部コンピュータ装置を接続した場合の一例を示した立体斜視図、図4はこように接続した状態におけるこれら携帯電話機及び電源装置の動作の一例を説明するためのフロー図である。
【0045】図3において1は携帯電話機、30は電源装置、40は外部コンピュータ装置で、外部コンピュータ装置40は表示部41及びコンピュータ本体43により要部が構成され、表示部41には表示画面42が設けられ、コンピュータ本体43にはキーボード部44が設けられている。
【0046】そして、コンピュータ本体43のデータポートに接続されている信号線を有し、その遊端部46側においてこの信号線に接続されたコネクタ47を有するデータ伝送用コード45のこのコネクタ47を、コンピュータ接続コネクタ36に接続し、このコンピュータ本体43に対するデータの入出力がコンピュータ接続コネクタ36を通じて実行することのできる状態にされている。
【0047】次に図3に示して説明した携帯電話機1及び電源装置30において主制御部7で制御された状態でデータがバックアップされる手順を、図4に示したフロー図を参照して説明する。なおこの場合、これら携帯電話機及び電源装置は、図1に示して説明した例と同様に構成されているものとする。
【0048】先ず図3に示した如く、携帯電話機1の筐体部26をスロット部39内の所定位置迄挿入し、携帯電話機1のデータ接続部15と電源装置30のデータ接続部37が正しく接続された状態にする。
【0049】このキーボード部44から入力されたデータ読み出し要求に応じて外部コンピュータ装置40側で生成されたデータ読み出し要求コマンド信号が、データ読み出し要求信号入力10Dからコンピュータインターフェース35に入力される(ステップ10)。
【0050】このコンピュータインターフェース35で、このデータ読み出し要求コマンド信号に応じてデータ読み出し要求信号が生成され、このデータ読み出し要求信号がデータ読み出し要求信号の出力10Bからメモリ34の読み出し要求信号の入力9Dに伝送される(ステップ11)。
【0051】このデータ読み出し要求信号に応じて、メモリ34に記憶されている電話帳データ等バックアップする必要のあるバックアップデータが読み出され、データ出力9Cからコンピュータインターフェース35のデータ入力10Aに伝送される(ステップ12)。
【0052】このコンピュータインターフェース35において、このバックアップデータのフォーマットが、テキストデータフォーマットに変換され、データ出力10Cからコンピュータ接続コネクタ36のデータ入力11Aに伝送され、データ伝送用コード45を通じ外部コンピュータ装置40に伝送され、コンピュータ装置40の記憶部に記憶されてバックアップされる。また必要に応じて表示画面42に表示される(ステップ13)。
【0053】即ち本例においては、このバックアップデータのフォーマットをコンピュータインターフェース35においてテキストデータフォーマットに変換して外部コンピュータ装置に伝送されるようにしている。従ってこのデータを外部コンピュータ装置に読み込ませる場合にアプリケーションソフトウエアに依存することなく読み込ませることができる利点がある。
【0054】次に図5?図8を参照しながら、図1?図4と同一の部分には同一符号を付与して詳細な説明を省略してこのデータバックアップ装置の第3の例について説明する。」(第6頁第9欄第19行?第7頁第11欄第28行)

(キ)「【0106】以上に説明した実施の形態においては、携帯機器の一例として携帯電話機を示して説明したが、本発明による携帯機器はこの携帯電話機に限定されることなく、データの記憶手段を有した全ての携帯機器、例えば携帯型コンピュータ装置、携帯型音響装置或は携帯型映像装置等に本発明を適用できるのは勿論である。」(第10頁第18欄第17?22行)

(ク)「【0110】また本案の実施の形態によれば、携帯電話機の電源装置側に設けた記憶手段に記憶させバックアップしたデータを、必要に応じて何時でも、外部コンピュータ装置に読み出して記憶することができるので、このバックアップしたデータの追加或いは補正等のメンテナンスを、利用者の都合のよい時に外部コンピュータ装置で実行することができ、さらにこのメンテナンスを行ったデータを携帯電話機の電源装置側に再記憶させることができ、さらに利用者の都合のよい時に携帯電話機側の記憶手段に書き戻すことができる。」(第10頁第18欄第48行?第11頁第19欄第7行)

そうすると、引用文献1には、次の発明(以下、「引用発明1」という。)が記載されている。
「二次電池とデータ記憶回路を有する携帯機器のデータバックアップ装置において、
充電回路及びデータメモリ回路を有する、前記携帯機器の電源手段と、
前記二次電池と前記充電回路を接続する充電接続部及び前記データ記憶回路と前記データメモリ回路を接続するデータ接続部を一体に有する接続手段とを設け、
前記二次電池が前記接続手段により前記充電回路に接続されたとき、同時に前記データ記憶回路が前記データメモリ回路に接続されるようになし、前記データ記憶回路の記憶内容が前記データメモリ回路でバックアップされ得るようにしたデータバックアップ装置において、
前記電源手段に、前記データメモリを外部コンピュータ装置に接続するデータ伝送用コードを設け、
前記データ伝送用コードを通じて前記データメモリを前記外部コンピュータ装置に接続できるようにし、前記データ伝送用コードを通じて前記データメモリが前記外部コンピュータ装置に接続された状態において、前記外部コンピュータ装置のキーボード部から入力されたデータ読み出し要求に応じて、前記データメモリに記憶されているバックアップデータが読み出され、データ伝送用コードを通じ前記外部コンピュータ装置に伝送され、前記外部コンピュータ装置の記憶部に記憶されてバックアップされる、
データバックアップ装置。」

(引用文献2)
原査定の拒絶の理由に引用された、特開2003-169004号公報(以下、「引用文献2」という。)には、図面とともに、次の技術事項が記載されている。
(ケ)「【0027】
【発明の実施の形態】実施の形態1.図1は、実施の形態1の携帯電話本体の模式図である。
【0028】101は携帯電話本体、102はその充電台、103は無線通信と電力線通信を処理するベースバンドプロセッサ、104はA/D回路、105はD/A回路、106は電力線との結合回路、107は携帯電話本体のバッテリーへの充電を管理する充電回路、108は携帯電話本体の充電用接点、109は充電台の充電用接点、110は電力線、111は不揮発性メモリである。ここで、携帯電話本体101は無線通信端末装置に相当し、充電台202は充電器に相当する。また、ベースバンドプロセッサ103は、データ送信時には送信データ生成部及び変調処理部に相当し、データ受信時には復調処理部に相当する。また、A/D回路104はA/D変換部に、D/A回路105はD/A変換部に相当し、結合回路106はデータ送信時には出力部に、データ受信時には入力部に相当する。
【0029】本発明では、電力線搬送通信を利用する。これは、電力会社から電力を供給される配線(電力線)を通信媒体とする有線通信であり、既存の設備を利用できる特徴がある。電力線には電力会社から国内では100Vあるいは200Vの電力が配電されている。」(第5頁第8欄第14?36行)

(コ)「【0032】電力線は電力を必要とするあらゆる機器に接続されているため、結合回路を含む送信用の回路と受信用の回路を互いに組み込むことによって、あらゆる機器間で通信が可能である。配電元である電力会社との通信も可能であることは言うまでもない。」(第6頁第9欄第3?7行)

(サ)「【0036】配電元である電力会社の配電所等に結合回路、D/A回路、A/D回路、電力線搬送通信を実現するプロセッサを組み込むことによって、本発明の携帯電話本体との通信が可能となり、配電所を経由してインターネットアクセス等が可能になる。
【0037】また同様に、情報機器に結合回路、D/A回路、A/D回路、電力線搬送通信を実現するプロセッサを組み込むことによって、その情報機器を経由したインターネットアクセス等が可能になり、また、不揮発性メモリ111を用いた住所録などのデータの交換が可能となる。」(第6頁第9欄第29?39行)

(シ)「【0043】なお、実施の形態1では、結合回路、A/D回路、D/A回路を携帯電話本体側に内蔵していたが、これらを充電台202に内蔵し、さらに電力線搬送通信用のベースバンドプロセッサ212と不揮発性メモリ213を充電台に内蔵し、充電台202と携帯電話本体201との間で送受信データを転送できるコネクタ214および215を有することによっても、同等の効果が可能である。
【0044】送信データは、携帯電話本体内のベースバンドプロセッサ203で生成され、コネクタ214および215を介して、充電台の電力線搬送通信用のベースバンドプロセッサ212に転送される。デジタル送信データは、このベースバンドプロセッサ212で変調され、D/A回路205でアナログ信号(電力線搬送通信用の送信データ)となり、結合回路206に送られ、結合回路206より電力線210に注入される。
【0045】また、結合回路206は電力線から送信されてきたアナログ信号(電力線搬送通信による受信データ)を入力する。アナログ信号はA/D回路204でデジタル受信データとなり、充電台のベースバンドプロセッサ212で復調処理が行われた後、コネクタ214および215を介して、携帯電話本体のベースバンドプロセッサ203に転送される。
【0046】このように、本発明では、携帯電話本体201と電力線210とに接続することにより充電台202は携帯電話本体201と電力線210との間の通信インタフェースとなり、携帯電話本体201と電力線210との間で電力線搬送通信の中継処理を行うこととしている。」
【0049】実施の形態2では、さらに別の効果が期待できる。充電台202に独立したベースバンドプロセッサ212と不揮発性メモリ213を配置することにより、携帯電話本体201を充電台に置く前に、充電台のみで定期的に予め定義された手続きで送受信可能となる。充電台のみで得られたデータは、携帯電話本体を充電台に置くことで携帯電話本体に転送され、必要に応じて不揮発性メモリ211へ格納される。
【0050】これにより、実施の形態1では充電と同時に電力線搬送通信で送受信していたが、同時だけではなく、充電する時刻とは違う時刻においても送受信可能となり、時間差を設けることができる。ネットワークのトラフィックが増大している時間帯を避けた通信が可能になる、あるいは、ある時刻でのみ得られるデータを入手することが可能になる。」(第6頁第10欄第37行?第7頁第11欄第39行)

よって、引用文献2には、次の技術が記載されている。
「携帯電話本体と電力線との間で電力線搬送通信の中継処理を行う充電台であって、結合回路、A/D回路、D/A回路を充電台に内蔵し、さらに電力線搬送通信用のベースバンドプロセッサと不揮発性メモリを充電台に内蔵し、充電台と携帯電話本体との間で送受信データを転送できるコネクタを有し、
送信データは、携帯電話本体内のベースバンドプロセッサで生成され、コネクタを介して、充電台の電力線搬送通信用のベースバンドプロセッサに転送され、デジタル送信データは、このベースバンドプロセッサで変調され、D/A回路でアナログ信号(電力線搬送通信用の送信データ)となり、結合回路に送られ、結合回路より電力線に注入される、充電台。」

(引用文献3)
原査定の拒絶の理由で引用された、実用新案登録第3108480号公報(発行日 平成17年4月14日)(以下「引用文献3」という。)には、図面とともに、次の技術事項が記載されている。
(ス)「【請求項1】
絶縁ケースの外面に正負一対の外部電池受電端子を設けると共に、前記ケースの左右両側にそれぞれパソコンの外部機器接続用コネクタに差込めるパソコン電源受電プラグを有する受電コードと、携帯電話機の充電入力コネクタに差込める充電出力プラグを有する充電コードとをほぼ対称的に延在突設し、また前記ケースの一端に自動車のシガーライタソケットに差込める車載電源受電プラグを設け、さらに前記ケースの他部に商用電源コンセントに差込める交流電源受電プラグをそれぞれ備えてなり、前記各受電部分と充電コード基部との間にそれぞれ携帯電話機内蔵電池の充電規格に合致した充電回路を介在し、その回路基板を前記ケースに内装した携帯電話機内蔵電池の充電器。」(第2頁第2?10行)

(セ)「【0016】
またパソコンの有る場所では、その外部機器接続用コネクタに受電コード4の受電プラグ3を差込み、前記充電出力プラグ5を携帯電話機Tの充電入力コネクタに差込むことで、携帯電話機内蔵電池を上記受電コード4と充電コード6の基部との間に介在した前記充電回路によりパソコン電源から充電でき、さらに自動車内であれば、そのシガーライタソケットに車載電源受電プラグ7を係入し、前記充電出力プラグ5を携帯電話機Tの充電入力コネクタに差込むことで、携帯電話機内蔵電池を車載電源受電プラグ7と充電コード6の基部との間に介在した前記充電回路を介して車載電源で充電でき、商用電源コンセントの無い場所でも、上記多種類の外部電源から携帯電話機内蔵電池の充電規格に合致した前記各充電回路により携帯電話機内蔵電池に充電できる。」(第4頁第47行?第5頁第6行)

(引用文献4)
原査定の拒絶の理由で引用された、特開2006-11994号公報(以下「引用文献4」という。)には、「バックアップされたデータの出力」に関し、図面とともに、次の技術事項が記載されている。
(ソ)「【0036】
次に、本実施の形態にかかるバックアップ装置による、バックアップされたデータの出力について説明する。
【0037】
本実施の形態においては、第2のコネクタ14に、その他端がパーソナルコンピュータ(PC)に接続されたUSBケーブルやシリアルケーブルが接続されると、ケーブル中の電源線からバックアップ装置10に電源が供給され、バックアップ装置10が起動される。また、この場合には、マルチプレクサ28により、第2のコネクタ14のデータ端子か
らマルチプレクサ28を経て、マイクロコンピュータ20にデータが与えられ、かつ、マイクロコンピュータ20からマルチプレクサ28を経て、第2のコネクタ14のデータ端子に、必要なデータが与えられる。
【0038】
操作者が、PCを操作して、メモリ中のデータ取り出し要求をバックアップ装置に与えると、図6に示すように、第2のコネクタ14を経由して、マイクロコンピュータ20により、データ取り出し要求が受信される(ステップ601)。認証処理部32は、データ取り出し要求に応答して、第2のコネクタを経由して、PCに対して、暗証番号等の入力を要求する(ステップ602)。ここでは、暗証番号のほか、携帯電話の電話番号の入力を求めても良い。
【0039】
操作者がPCの入力装置を操作して、暗証番号等を入力すると、認証処理部32は、入力された暗証番号等を受理し、受理した暗証番号等と、固有情報記憶領域40に記憶された暗証番号等とを比較する(ステップ603)。暗証番号、電話番号などの何れかが不一致の場合(ステップ604でノー(No))には、認証処理部32は、エラー通知をPCに送信する(ステップ605)。その一方、双方の暗証番号等が一致した場合には(ステップ604でイエス(Yes))、メモリ制御処理部34がデータ吐き出し処理を実行する(ステップ606)。
【0040】
データ吐き出し処理においては、データ制御処理部34が、メモリ26のバックアップ情報記憶領域42から基本情報および拡張情報を順次読み出して、読み出された情報を、第2のコネクタ14を経由して、PCに対して送信する。このようにして、バックアップ装置10のメモリ26のバックアップ情報記憶領域42に格納された基本情報および拡張情報を、PCの記憶装置に記憶させることが可能となる。また、このようにPCの記憶装置に記憶された情報を、必要に応じて、携帯電話に戻すことができる。」(第7頁第43行?第8頁第25行)

(引用文献5)
平成25年3月6日付けの拒絶査定の備考欄にて引用された、特開2007-209131号公報(以下「引用文献5」という。)には、「充電装置1のデータのバックアップ」に関し、図面とともに、次の技術事項が記載されている。
(タ)「【0045】
上述のように、充電装置1と携帯電話2の間で簡単にデータのバックアップや復活、すなわちデータの書き換え編集が可能となっているが、PC3とUSB端子13を介して接続することができ、PC3よりバックアップ領域のデータを整理することも可能であり、さらには充電装置1のデータのバックアップをPC13に行うこともできる。」(第7頁第27?31行)

(引用文献6)
平成25年3月6日付けの拒絶査定の備考欄にて引用された、特開2005-229454号公報(以下「引用文献6」という。)には、「クレイドル20の「記憶部23に記憶された画像データの公開等」に関し、図面とともに、次の技術事項が記載されている。
(チ)「【0020】
以下、ピア・ツー・ピア通信システム100の動作を説明する。
図2は、本発明の実施形態を説明するためのピア・ツー・ピア通信システムの動作フローを示す図である。
クレイドル20の電源がONされると(S201)、クレイドル20の制御部25は、通信インターフェース24を介してネットワーク30に接続し(S202)、ピア・ツー・ピア方式による通信を可能な状態とする。この状態ではピア・ツー・ピア通信が可能となっているため、制御部25は、記憶部23に記憶された画像データの公開等を行うことができる。例えば、公開されている画像データの送信要求がピア40からあった場合、制御部25は、要求された画像データを記憶部23から読み出し、通信インターフェース24を介してピア40に送信するといった処理を行うことできる。
【0021】
制御部25は、クレイドル20に携帯電話機10が収容され、クレイドル20のコネクタ21に携帯電話機10のコネクタ11が接続されたことを検出(Plug&Play機能を用いた自動検出)した場合(S203:YES)、充電部22に指示を出して携帯電話機10の電池の充電を開始させると共に、通信インターフェース24を介したネットワーク30との接続を切断する(S204)。ネットワーク30との接続を切断後、制御部25は、携帯電話機10とUSB通信を開始し、携帯電話機10の記憶部13に記憶されている画像データを、コネクタ11及びコネクタ21を介して取得し、記憶部23に記憶する(S205)。全ての画像データの取得完了後(S206:YES)、制御部25は、通信インターフェース24を介してネットワーク30に接続し(S207)、ピア・ツー・ピア方式による通信を可能な状態に復帰する。尚、ここでは、携帯電話機10の記憶部13に保存された画像データ全てを取得しているが、記憶部23に記憶されている画像データと異なる画像データのみを取得するようにしても良い。
【0022】
制御部25は、クレイドル20から携帯電話機10が取り外され、携帯電話機10のコネクタ11とコネクタ21との接続が解除されたことを検出した場合(S208:YES)、充電部22に指示を出して携帯電話機10の電池の充電を終了させ(S209)、S202に処理を移行する。」(第4頁第17?45行)

(引用文献7)
平成25年8月23日付けの審尋にて引用された、実願昭59-123853号(実開昭61-58835号)のマイクロフィルム(以下「引用文献7」という。)には、「負荷回路からセンタに対しデータ転送を行なう」ことに関して、次の技術事項が記載されている。
(ツ)「上述の如く装置10は、たとえば在庫管理,または取引データ収集のための携帯用(ポータブル)端末装置である。そして、この装置10で収集されたデータは、一日の終業時等に一括してセンタ(主処理装置)に転送される。」(第5頁第10?14行)

(テ)「〔考案の効果〕
以上説明したように、本考案によれば、充電式電池の一端をスイッチにより負荷回路から切離して電池の正常電圧より高い充電電圧を充電器により与え、さらに充電器から別の電池の正常電圧を負荷回路に与えるようにしたものであり、これにより電池に充電を行ないながら、負荷回路からセンタに対しデータ転送を行なうことができるものである。」(第6頁第5?13行)

ウ.対比
本願補正発明と引用発明1とを対比する。
引用発明1の「データ記憶回路」が、本願補正発明の「第1のデータ記憶回路」に相当する。
次に、引用発明1の「携帯機器」は、「イ.刊行物の記載事項」「(引用文献1)」の摘記事項(キ)に記載されているとおり、「携帯電話機」や「携帯型コンピュータ装置」といった「携帯端末」を含むものであるから、引用発明1の「データ記憶回路を有する携帯機器」が、本願補正発明の「第1のデータ記憶回路を具備する携帯端末装置」に相当する。
次に、引用発明1の「データメモリ回路」が、本願補正発明の「第2のデータ記憶回路」に相当する。
次に、引用発明1の「充電回路及びデータメモリ回路を有する、前記携帯機器の電源手段」が、本願補正発明の「第2のデータ記憶回路を具備し、前記携帯端末装置を充電するための充電器」に相当する。
次に、引用発明1の「外部コンピュータ装置」が、本願補正発明の「コンピュータ装置」に相当する。
次に、引用発明1の「外部コンピュータ装置の記憶部」が、本願補正発明の「第3のデータ記憶回路」に相当する。
次に、引用発明1の「前記二次電池が前記接続手段により前記充電回路に接続されたとき」つまり、「携帯機器」の「二次電池」が、「接続手段」により、「電源手段」の「充電回路」に接続されたときが、本願補正発明の「前記携帯端末装置を前記充電器にて充電する際」に相当する。
次に、引用発明1の「前記二次電池が前記接続手段により前記充電回路に接続されたとき、同時に前記データ記憶回路が前記データメモリ回路に接続されるようになし、前記データ記憶回路の記憶内容が前記データメモリ回路でバックアップされ得るように」することが、本願補正発明の「前記携帯端末装置を前記充電器にて充電する際に、前記第1のデータ記憶回路に記憶されたデータを前記第2のデータ記憶回路に記憶」することに相当する。
次に、引用発明1の「前記データメモリに記憶されているバックアップデータが読み出され、データ伝送用コードを通じ前記外部コンピュータ装置に伝送され、前記外部コンピュータ装置の記憶部に記憶されてバックアップされる」ことが、本願補正発明の「該第2のデータ記憶回路に記憶されたデータを前記コンピュータ装置に送信して前記第3のデータ記憶回路に記憶する」ことに相当する。
次に、引用発明1の「データ伝送用コードを通じて」、「充電回路」を有する「電源手段」の「データメモリが前記外部コンピュータ装置に接続され」ることと、本願補正発明の「前記充電器と前記コンピュータ装置とは電力線を介して接続され」ることとは、「前記充電器と前記コンピュータ装置とは線を介して接続され」る点で共通する。
次に、引用発明1において、「携帯機器」の「データ記憶回路の記憶内容」が、「充電回路」を有する「電源手段」の「データメモリ回路」で「バックアップ」され、「前記データメモリに記憶されているバックアップデータが読み出され、データ伝送用コードを通じ前記外部コンピュータ装置に伝送され」ることと、本願補正発明の「前記充電器は、前記携帯端末装置から送信されてきたデータを、電力搬送に使われている電気信号に重畳して送信」することとは、「前記充電器は、前記携帯端末装置から送信されてきたデータを、送信」する点で共通する。
次に、引用発明1の「携帯機器のデータバックアップ装置」を用いたシステムが、以下の相違点は除いて、本願補正発明の「データバックアップシステム」に相当する。

すると、本願補正発明と引用発明1とは、次の点で一致する。
(一致点)
「第1のデータ記憶回路を具備する携帯端末装置と、第2のデータ記憶回路を具備し、前記携帯端末装置を充電するための充電器と、第3のデータ記憶回路を具備するコンピュータ装置とを有し、前記携帯端末装置を前記充電器にて充電する際に、前記第1のデータ記憶回路に記憶されたデータを前記第2のデータ記憶回路に記憶し、該第2のデータ記憶回路に記憶されたデータを前記コンピュータ装置に送信して前記第3のデータ記憶回路に記憶するデータバックアップシステムにおいて、
前記充電器と前記コンピュータ装置とは線を介して接続され、
前記充電器は、前記携帯端末装置から送信されてきたデータを送信することを特徴とするデータバックアップシステム。」

また、両者は、次の点で相違する。
<相違点1>
本願補正発明では、充電器とコンピュータ装置とが「電力線」を介して接続され、前記充電器は、データを、「電力搬送に使われている電気信号に重畳して」送信し、データバックアップシステムは「前記電力線を介して送信されてきた電気信号から前記データを取り出し、該データを前記コンピュータ装置に送信するアダプタ」を有しているのに対し、
引用発明1では、「充電回路」を有する「電源手段」と「外部コンピュータ装置」とは「データ伝送用コード」を介して接続され、バックアップデータが、「データ伝送用コード」を通じ前記外部コンピュータ装置に伝送されているものの、「データ伝送用コード」は「電力線」ではなく、バックアップデータを、「電力搬送に使われている電気信号に重畳して」送信することも、「携帯機器のデータバックアップ装置」を用いたシステムが「前記電力線を介して送信されてきた電気信号から前記データを取り出し、該データを前記コンピュータ装置に送信するアダプタを有」することも示されていない点。

<相違点2>
本願補正発明では、「充電器は、前記第2のデータ記憶回路へのデータの記憶が完了した際、当該データを送信する」のに対し、引用発明1では、「充電回路」を有する「電源手段」は、「前記外部コンピュータ装置のキーボード部から入力されたデータ読み出し要求に応じて、前記データメモリに記憶されているバックアップデータが読み出され、データ伝送用コードを通じ前記外部コンピュータ装置に伝送」するものである点。

エ.判断
そこで、上記相違点について検討すると、
<相違点1>について;
電力線は電力を必要とするあらゆる機器に接続されているため、結合回路を含む送信用の回路と受信用の回路を互いに組み込むことによって、あらゆる機器間で電力線を通信媒体とする電力線搬送通信を利用することができることは、周知の事項である(「イ.刊行物の記載事項」「(引用文献2)」の摘記事項(ケ)(第【0029】段落)、摘記事項(コ)参照。)。
また、回路の組み込みを「アダプタ」により行うことも、周知の事項である。
さらに、引用文献2には、「結合回路、A/D回路、D/A回路を充電台に内蔵し、さらに電力線搬送通信用のベースバンドプロセッサと不揮発性メモリを充電台に内蔵し、充電台と携帯電話本体との間で送受信データを転送できるコネクタを有し、
送信データは、携帯電話本体内のベースバンドプロセッサで生成され、コネクタを介して、充電台の電力線搬送通信用のベースバンドプロセッサに転送され、デジタル送信データは、このベースバンドプロセッサで変調され、D/A回路でアナログ信号(電力線搬送通信用の送信データ)となり、結合回路に送られ、結合回路より電力線に注入される」技術が示されている。
そして、引用発明1と、引用文献2に記載された技術とは、「充電」に用いる機器からデータを送信する技術である点で共通するから、引用発明1に引用文献2に記載された技術を適用し、引用発明1において、「充電回路」を有する「電源手段」と「外部コンピュータ装置」とを「電力線」を介して接続し、バックアップデータが、該「電力線」を通じ前記外部コンピュータ装置に伝送されるようにするとともに、前記充電器において、バックアップデータが「ベースバンドプロセッサで変調され、D/A回路でアナログ信号(電力線搬送通信用の送信データ)となり、結合回路に送られ、結合回路より電力線に注入される」ようにすること、及び上記周知の事項に従って、引用発明1の「外部コンピュータ装置」に、結合回路を含む送信用の回路と受信用の回路を、「アダプタ」により組み込むようにして、上記相違点1に係る本願補正発明の構成とすることは、当業者が容易になし得たことである。

<相違点2>について:
引用文献2には、「充電台」に「電力線搬送通信用のベースバンドプロセッサ」と「不揮発性メモリ」を充電台に内蔵させる技術が示されているが、引用文献2が、「充電台」に「不揮発性メモリ」を内蔵させる技術的根拠は、前記「イ.刊行物の記載事項」「(引用文献2)」、摘記事項(シ)に「携帯電話本体201を充電台に置く前に、充電台のみで定期的に予め定義された手続きで送受信可能となる。充電台のみで得られたデータは、携帯電話本体を充電台に置くことで携帯電話本体に転送され、必要に応じて不揮発性メモリ211へ格納される。」(第【0049】段落)、「これにより、実施の形態1では充電と同時に電力線搬送通信で送受信していたが、同時だけではなく、充電する時刻とは違う時刻においても送受信可能となり、時間差を設けることができる。」(第【0050】段落)と記載されているとおり、「携帯電話」を「充電する時刻」と、「電力線搬送通信」で「送受信」する時刻との間に「時間差を設ける」ためである。
すると、引用文献2に記載された技術は、本願補正発明の「充電器は、前記第2のデータ記憶回路へのデータの記憶が完了した際、当該データを送信する」構成を何ら示唆するものではないから、引用発明1に引用文献2に記載された技術を適用しても、相違点2に係る本願補正発明の構成(「充電器は、前記第2のデータ記憶回路へのデータの記憶が完了した際、当該データを送信する」点)が導かれることにはならない。

また、原査定の拒絶の理由、平成25年3月6日付けの拒絶査定の備考欄、及び平成25年8月23日付けの審尋にて引用された、引用文献3?引用文献7をみても、上記相違点2に係る本願補正発明の構成(「充電器は、前記第2のデータ記憶回路へのデータの記憶が完了した際、当該データを送信する」点)は、記載も示唆もされていない。

したがって、相違点2に係る本願補正発明の構成については、引用発明1、引用文献2?7に記載された技術、及び周知事項に基いて、当業者が容易になし得たものとはいえない。

オ.まとめ
以上のとおり、本願補正発明は、引用発明1、引用文献2?7に記載された技術、及び周知事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。

(請求項7に係る発明について)
本件補正後の請求項7に係る発明は、「システム」として表現された請求項1に係る発明を、「方法」として表現した発明である。
よって、本件補正後の請求項7に係る発明は、上記「(請求項1に係る発明について)」にて述べたのと同様の理由により、引用発明1、引用文献2?7に記載された技術及び周知事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。

(請求項2?6に係る発明について)
本件補正後の請求項2?6に係る発明は、請求項1に係る発明の発明特定事項に加えてさらなる発明特定事項を追加して限定を付したものであるから、上記「(請求項1に係る発明について)」にて述べたのと同様の理由により、引用発明1、引用文献2?7に記載された技術、及び周知事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。

(請求項8?12に係る発明について)
本件補正後の請求項8?12に係る発明は、請求項7に係る発明の発明特定事項に加えてさらなる発明特定事項を追加して限定を付したものであるから、上記「(請求項7に係る発明について)」にて述べたのと同様の理由により、引用発明1、引用文献2?7に記載された技術、及び周知事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたとはいえない。

3.むすび
以上のとおり、本件補正は、特許法第17条の2第3項乃至第6項の規定に適合する。

第3 本願発明
本件補正は上記のとおり、特許法第17条の2第3項乃至第6項の規定に適合するから、本願の請求項1乃至12に係る発明は、本件補正により補正された特許請求の範囲の請求項1乃至12に記載された事項により特定されるとおりのものである。
そして、本願については、原査定の拒絶理由を検討してもその理由によって拒絶すべきものとすることはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審決日 2014-03-26 
出願番号 特願2008-53332(P2008-53332)
審決分類 P 1 8・ 121- WY (G06F)
最終処分 成立  
前審関与審査官 渡部 博樹  
特許庁審判長 清水 稔
特許庁審判官 和田 志郎
山田 正文
発明の名称 データバックアップシステム及びデータバックアップ方法  
代理人 宮崎 昭夫  
代理人 石橋 政幸  
代理人 緒方 雅昭  
  • この表をプリントする

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ