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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 G06F
管理番号 1286277
審判番号 不服2013-17885  
総通号数 173 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2014-05-30 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2013-09-17 
確定日 2014-04-15 
事件の表示 特願2011-282959「オートズームフィーチャーを有するグラフィカルユーザインターフェースタッチスクリーン」拒絶査定不服審判事件〔平成24年 5月10日出願公開、特開2012- 89159、請求項の数(9)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成11年2月15日(パリ条約による優先権主張外国庁受理1998年4月17日、アメリカ合衆国)を国際出願日とする出願である特願11-552660号の一部を平成23年12月26日に新たな出願としたものであって、平成24年10月9日付けで拒絶理由が通知され、平成25年3月25日付けで手続補正がなされたが、同年5月7日付けで拒絶査定がなされ、これに対して、同年9月17日に拒絶査定不服審判が請求され、平成26年3月6日付けで当審において拒絶理由が通知され、同年3月18日付けで手続補正がなされたものである。

第2 本願発明
本願の請求項1?9に係る各発明は、平成26年3月18日付けの手続補正で補正された特許請求の範囲の請求項1?9に記載された事項により特定される、以下のとおりのものである。

「【請求項1】
電子デバイスの制御可能な機能を表示するためのグラフィカルユーザインターフェースタッチスクリーンであって:
機能はユーザによって認識しうるが、前記機能のフィーチャーに容易にアクセスするには小さすぎる大きさのサイズでアイコンの形態で前記機能を表示する手段と;
ユーザが前記アイコンの一領域にタッチすると、前記アイコンの少なくとも前記一領域の拡大バージョンを提供する手段と;
前記一領域の特定の一部分がタッチされると、前記拡大バージョンを前記アイコンに亙ってスクロールさせ、前記アイコンの新たな領域を拡大する手段と;
を有することを特徴とする、グラフィカルユーザインターフェースタッチスクリーン。
【請求項2】
フィーチャーが選択された後、前記アイコンを前記大きさのサイズに復帰させる手段、を更に有することを特徴とする、請求項1記載のグラフィカルユーザインターフェースタッチスクリーン。
【請求項3】
フィーチャーがユーザによって選択されたことを示す手段、を更に有することを特徴とする、請求項1記載のグラフィカルユーザインターフェースタッチスクリーン。
【請求項4】
前記アイコンは特定のサイズを有し、前記拡大バージョンは同じサイズであることを特徴とする、請求項1記載のグラフィカルユーザインターフェースタッチスクリーン。
【請求項5】
アイコンの機能を認識しうるが前記機能のフィーチャーを容易にアクセスするには小さすぎる大きさのサイズで前記アイコンの形態でPDAの機能を表示するためのグラフィカルユーザインターフェースタッチスクリーンと;
ユーザがアイコンの少なくとも一領域をタッチすると、前記アイコンの前記一領域の拡大バージョンを提供するためのコントローラと;
を有し、
前記コントローラは、前記ユーザが前記一領域の特定の一部分をタッチすると、前記拡大バージョンを前記アイコンに亙ってスクロールさせ、前記アイコンの新たな領域を拡大することを特徴とするPDA。
【請求項6】
家電用電子デバイスを制御する遠隔制御装置であって、
アイコンの機能を認識しうるが、前記機能のフィーチャーを容易にアクセスするには小さすぎる大きさのサイズのアイコンの形態で前記遠隔制御装置の機能を表示するグラフィカルユーザインターフェースタッチスクリーンと、
ユーザがアイコンの少なくとも一領域をタッチすると、前記アイコンの前記一領域の拡大バージョンを提供するためのコントローラと、
を有し、
前記コントローラは、前記ユーザが前記一領域の特定の一部分をタッチすると、前記拡大バージョンを前記アイコンに亙ってスクロールさせ、前記アイコンの新たな領域を拡大することを特徴とする遠隔制御装置。
【請求項7】
請求項6に記載の遠隔制御装置であって、前記アイコンの少なくとも1つが、特定の種類の家電用電子デバイスのための遠隔制御装置を表示することを特徴とする遠隔制御装置。
【請求項8】
電子デバイスを操作する方法であって、
グラフィカルユーザインターフェースタッチスクリーン上に前記電子デバイスの機能を、前記機能がユーザによって認識しうるが前記機能のフィーチャーを容易にアクセスするには小さすぎる大きさのサイズのアイコンの形態で表示する工程と、
ユーザがアイコンの少なくとも一領域をタッチすると、前記アイコンの前記一領域の拡大バージョンを提供する工程であって、前記アイコンの前記一領域を、ユーザが前記タッチスクリーンをタッチすることによって前記アイコンの前記一領域内のフィーチャーを容易にアクセスするのに充分に大きくする、工程と、
を有し、
前記一領域の特定の一部分がタッチされると、前記拡大バージョンを前記アイコンに亙ってスクロールさせ、前記アイコンの新たな領域を拡大することを特徴とする方法。
【請求項9】
請求項1ないし4のうちいずれか1項記載のグラフィカルユーザインターフェースタッチスクリーンを有することを特徴とする電子デバイス。」
(以下、本願の請求項1?9に係る各発明を「本願発明1」、「本願発明2」、・・・「本願発明9」のように表す。)

第3 原査定の理由について
1.原査定の理由の概要
この出願の下記の請求項に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において頒布された下記の刊行物に記載された発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

記 (引用文献等については引用文献等一覧参照)

・請求項1,4-9
・引用文献1
・備考:
引用文献1(特に段落【0008】-【0011】、図1を参照)には、タッチパネルをタッチするとその近傍の表示データが拡大表示され、拡大表示された表示データをタッチすると表示データを指示することができ、拡大表示されたデータを左右上下にシフトして拡大表示により表示画面から除外されたデータを表示できる、タッチパネル制御装置が記載されている。
表示データを絵で表示するグラフィカルユーザインターフェースは周知であるため、引用文献1の表示データ全体を絵で表示することにより、表示データ全体を1つのアイコンとして設け、本願発明を構成することは当業者が容易になし得ることである。

・請求項2
・引用文献1,2
・備考:
引用文献2(特に段落【0010】、【0029】、【0030】、図5を参照)には、データを入力後、拡大されたキーの表示を初期状態のサイズに縮小させる縮小手段を有するタッチパネル入力装置が記載されている。
したがって、引用文献1,2に記載された発明及び周知技術に基づいて本願発明を構成することは、当業者が容易になし得ることである。

・請求項3
・引用文献1,3
・備考:
引用文献3(特に段落【0007】、図7を参照)に記載されたように、キーが押されたときに入力されたキーを強調して表示する技術は周知である。
したがって、引用文献1,3に記載された発明及び周知技術に基づいて本願発明を構成することは、当業者が容易になし得ることである。

引 用 文 献 等 一 覧

1.特開平8-185265号公報
2.特開平10-49305号公報
3.特開平8-249122号公報

2.原査定の理由の判断
2-1.本願発明1について
(1)引用例の記載事項
原査定で引用された本願優先日前に頒布された、特開平8-185265号公報(以下、「引用例1」という。)には、図面とともに以下の事項が記載されている。
a)「【0007】本発明は、上記課題に鑑み、狭い範囲の入力項目を指で正確に入力できるタッチパネル制御装置を提供することを目的とする。」(【0007】の記載。下線は当審で付与。以下、同様。)

b)「【0020】この制御は、入力処理部4が拡大画面メモリ24の内容を書き換えることによって達成される。
以上の構成によって、以下のような操作および動作が行われる。図3参照(1) 例えば初期画面を指定することによって、表示制御部31は、画面メモリ22のうちの指定画面データを読み込み、各文字コードを文字パターンに展開してパターンメモリ32に格納する。これにより、図1の左画面のような入力データ(メニュー)が表示される。
(2) 操作者は、表示画面上(タッチパネル上)入力したいデータの場所を押下する。即ち、タッチパネル29を押下する。
(3) この押下によって、タッチパネル29の抵抗フィルムA,Bの1点が接触し、その座標が検出される。
(4) 入力処理部23は、この座標を読み取り、画面メモリ22中の画面データを参照し、前述したフィールドの座標と比較して該当するフィールドを検出する。
【0021】このフィールドを図1に示す領域Mに対応させ、拡張表示用の画面データを作成して拡大画面メモリ24に格納する。なお、枠表示が固定の場合は、予め設定した枠パターンデータを格納すればよい。この画面データとしては、それぞれ、表示位置, 文字コード, 拡大倍率の他、表示枠領域を表す新たなフィールド座標が格納される。
(5) この作成が完了すると、表示制御部31は、拡大画面メモリ24の内容を読み取り、パターンメモリ32の内容を更新する。この結果、液晶表示器33には、図 1の右側表示画面に示すような、1 回目にタッチした座標の近傍の入力データが拡大表示される。
(6) 続いて操作者は、タッチパネル29を押下する。
(7) 押下された座標が検出される。
(8) 入力処理部23は、検出された新たな座標データを用い、拡大画面メモリ24中の画面データと比較して、その座標に対応する文字コードを識別して入力データとして確定する。
【0022】以上のごとく、1回目の座標は不正確なものとして拡大画面を作成し、2回目は正しく押下されたとして入力データを確定するため、表示エリアが小さくても、2回目のときは表示エリアが大きくなるので正確にタッチさせ、入力させることができ、同時にオペレータも入力確認が容易となる。
【0023】なお、拡大表示したときは、空欄、例えば図1で示すと領域Nにシフトキーを表示する。操作者は、1回目のタッチで目的のデータが拡大表示されないときは、このシフトキーを押下して表示される項目を移動させる。例えば、「ワープロ」を入力したいときは、シフトキー「←」を押下すると、「ワープロ」が左シフトして表示されるので、その表示一を指でタッチする。このように1回目のタッチ位置が大きくずれて表示されなくとも、シフトキー35によりシフトさせることができ、操作が不能になることはない。」(【0020】?【0023】の記載。)

してみると、引用例1には以下の発明(以下、「引用例1記載の発明」という。)が記載されている。
「表示制御部31は、画面メモリ22のうちの指定画面データを読み込み、各文字コードを文字パターンに展開してパターンメモリ32に格納し、これにより、入力データ(メニュー)が表示され、
操作者は、表示画面上(タッチパネル上)入力したいデータの場所を押下、即ち、タッチパネル29を押下し、
この押下によって、その座標が検出され、
入力処理部23は、この座標を読み取り、画面メモリ22中の画面データを参照し、フィールドの座標と比較して該当するフィールドを検出し、
このフィールドを領域Mに対応させ、拡張表示用の画面データを作成して拡大画面メモリ24に格納し、
表示制御部31は、拡大画面メモリ24の内容を読み取り、パターンメモリ32の内容を更新し、この結果、液晶表示器33には、1回目にタッチした座標の近傍の入力データが拡大表示され、
続いて操作者は、タッチパネル29を押下し、
押下された座標が検出され、
入力処理部23は、検出された新たな座標データを用い、拡大画面メモリ24中の画面データと比較して、その座標に対応する文字コードを識別して入力データとして確定し、
拡大表示したときは、空欄にシフトキーを表示し、1回目のタッチで目的のデータが拡大表示されないときは、このシフトキーを押下して表示される項目を移動させる
狭い範囲の入力項目を指で正確に入力できるタッチパネル制御装置。」

原査定で提示された本願優先日前に頒布された、特開平5-173710号公報(以下、「周知例1」という。)には、図面とともに以下の事項が記載されている。

c)「【0018】図6を参照してタッチパネル付ディスプレイの説明をする。図6に示されるブロックK61?K68は、図5に示されるタッチパネル21のマトリクスエリアを複数個まとめてブロック化したものである。ブロック内の矢印およびブロック間の罫線は図2あるいは図3に対応して説明の都合上便宜的に記載したものに過ぎず、これらを実際にディスプレイ31には表示せず、ディスプレイ31全面はメッセージのみを表示する。この発明によるメッセージ処理装置は、表示中のメッセージ上を予め定められた手順に従って押下することにより、メッセージをディスプレイ全面に表示し確認しながらメッセージに対する処理の指定を可能とするものである。
【0019】次に、この発明の特徴であるタッチパネル21への操作者による押下手順をメッセージ処理指定として識別する操作入力識別部22の動作について説明する。先ず、表示中のメッセージについて、ディスプレイに表示されていない部分を見たいとき、即ち、スクロール処理を指定したいときは操作者はスクロールさせたい方向を矢印で示した図6におけるブロックの中を数秒間押下する。操作入力識別部22は、当該ブロックの押下を一定回数分だけタッチパネル21より受け取ると、表示メッセージのスクロール処理の指定がなされたものと識別し、該当する処理コードを主制御部1へ指示する。このスクロール指定において、操作者による押下を数秒間としたのは、タッチパネル21を誤って接触したときに動作してしまうのを避けたいがためである。例えば、タッチパネル21が操作入力識別部22へ押下検出位置を知らせるタイミングを50ミリ秒と設定し、当該ブロックの押下を10回以上検出して初めてスクロール処理するようにすれば、誤ってタッチパネルに接触しても0.5秒以下なら動作しない。スクロール指定時は同一エリアを押下し続けることによって、0.5秒後にスクロールが開始され、止めたいときに離せば処理は停止する。」(【0018】?【0019】の記載。)

原査定で提示された本願優先日前に頒布された、特開平7-306636号公報(以下、「周知例2」という。)には、図面とともに以下の事項が記載されている。

d)「【0014】入力処理部2は、携帯者の操作に基づいて、表示指令、検索指令、スクロール幅設定指令、スクロール指令などを入力指令として作成し、該作成した入力指令をその内容に対応して検索処理部3、スクロール幅設定部4、スクロール制御部5、表示処理部6のいずれかに与えるものである。この入力処理部2は、具体的には例えば、表示部7の画面上に設けられたタッチパネルを有し、画面の表示内容及びこの画面上でタッチ操作された座標位置に基づいて入力指令を作成している。また、入力処理部2は、図2に一点鎖線で示すように、表示画面の4辺及び4隅に対応する8つの周縁部11a?11hのいずれかがタッチ操作されたとき、該タッチ操作により指定された周縁部を中心とするように表示を移動する旨のスクロール指令をスクロール制御部5に送出する機能をもっている。なお、この周縁部の幅は、所定の長さで設けられ、図示しない装置本体に目印を設けて指示してもよい。」(【0014】の記載。)

(2)対比
本願発明1と引用例1記載の発明とを対比する。

ア.引用例1記載の発明の「表示制御部31」に表示される「入力データ(メニュー)」は、本願発明1の「電子デバイスの制御可能な機能を表示するためのグラフィカルユーザインターフェース」と、「電子デバイスの制御可能な機能を表示するためのユーザインターフェース」である点で一致するといえる。
そして、引用例1記載の発明は「操作者は、表示画面上(タッチパネル上)入力したいデータの場所を押下、即ち、タッチパネル29を押下」するものであるから、引用例1記載の発明の「タッチパネル29」は本願発明1の「電子デバイスの制御可能な機能を表示するためのグラフィカルユーザインターフェースタッチスクリーン」と「電子デバイスの制御可能な機能を表示するためのユーザインターフェースタッチスクリーン」である点で一致するといえる。

イ.引用例1記載の発明の「入力データ(メニュー)」は、「表示画面上(タッチパネル上)入力したいデータの場所を押下」する「1回目のタッチで目的のデータが拡大表示されないとき」があるものであるから、本願発明1の「機能はユーザによって認識しうるが、前記機能のフィーチャーに容易にアクセスするには小さすぎる大きさのサイズでアイコンの形態で前記機能を表示する手段」と「機能はユーザによって認識しうるが、前記機能のフィーチャーに容易にアクセスするには小さすぎる大きさのサイズで前記機能を表示する手段」である点で一致するといえる。

ウ.引用例1記載の発明の「表示制御部31は、拡大画面メモリ24の内容を読み取り、パターンメモリ32の内容を更新し、この結果、液晶表示器33には、1回目にタッチした座標の近傍の入力データが拡大表示され」るから、引用例1記載の発明の「表示制御部31」は本願発明1の「ユーザが前記アイコンの一領域にタッチすると、前記アイコンの少なくとも前記一領域の拡大バージョンを提供する手段」と、「ユーザが前記機能の表示の一領域にタッチすると、前記機能の表示の少なくとも前記一領域の拡大バージョンを提供する手段」である点で一致するといえる。

エ.引用例1記載の発明は「1回目にタッチした座標の近傍の入力データが拡大表示され」、「拡大表示したときは、空欄にシフトキーを表示し、1回目のタッチで目的のデータが拡大表示されないときは、このシフトキーを押下して表示される項目を移動させる」ものであるから、引用例1記載の発明は、本願発明1の「前記一領域の特定の一部分がタッチされると、前記拡大バージョンを前記アイコンに亙ってスクロールさせ、前記アイコンの新たな領域を拡大する手段」と、「特定の一部分がタッチされると、前記拡大バージョンを前記機能の表示に亙ってスクロールさせ、前記機能の表示の新たな領域を拡大する手段」である点で一致するといえる。

したがって、両者は以下の一致点と相違点とを有する。

<一致点>
「電子デバイスの制御可能な機能を表示するためのユーザインターフェースタッチスクリーンであって:
機能はユーザによって認識しうるが、前記機能のフィーチャーに容易にアクセスするには小さすぎる大きさのサイズで前記機能を表示する手段と;
ユーザが前記機能の表示の一領域にタッチすると、前記機能の表示の少なくとも前記一領域の拡大バージョンを提供する手段と;
特定の一部分がタッチされると、前記拡大バージョンを前記機能の表示に亙ってスクロールさせ、前記機能の表示の新たな領域を拡大する手段と;
を有することを特徴とする、ユーザインターフェースタッチスクリーン。」

<相違点1>
本願発明1は、機能の表示を「アイコンの形態で」表示し、「アイコン」の「一領域の拡大バージョン」を提供し、「拡大バーション」を「アイコンに亙ってスクロール」するものであり、「ユーザインターフェース」が「グラフィカルユーザインターフェース」であるのに対し、引用例1記載の発明は、機能の表示を、「各文字コードを文字パターンに展開してパターンメモリ32に格納」し、これにより表示される、「入力データ(メニュー)」により行い、「入力データが拡大表示され」、「拡大表示したときは」「表示される項目を移動させる」ものである点。

<相違点2>
本願発明1は、「拡大バージョン」が提供されるアイコンの「一領域」の「特定の一部分」がタッチされると「前記拡大バージョンを前記アイコンに亙ってスクロールさせ、前記アイコンの新たな領域を拡大」するのに対し、引用例1記載の発明は、拡大表示したとき、「空欄」に表示された「シフトキー」を押下して表示される項目を移動させるものである点。

(3)判断
<相違点1についての判断>
機能の表示をアイコンの形態で行うグラフィカルユーザインターフェースは、例示するまでもなく、本願優先日前に周知のものである。
しかしながら、「アイコンの一領域の拡大バージョン」を提供するようにすることまでは周知技術であるとはいえないから、引用例1記載の発明に上記「機能の表示をアイコンの形態で行うグラフィカルユーザインターフェース」という周知の技術を適用しても、引用例1記載の発明の「入力データ(メニュー)」がアイコンに置換され、「1回目にタッチした座標の近傍のアイコンを含む領域全体が拡大表示されるように動作するもの」が構成されるにとどまり、「アイコンの一領域の拡大バージョン」を提供するものまでは構成されない。
したがって、引用例1記載の発明に上記周知技術を適用することで、本願発明1の相違点1に係る構成を想到することは容易であるとはいえない。

<相違点2について>
周知例1に、タッチパネルのマトリクスエリアを複数まとめてブロック化したブロックを数秒間押下することにより、表示中のメッセージについてスクロール処理することが、周知例2に、表示画面の4辺及び4隅に対応する8つの周縁部のいずれかがタッチ操作されたとき、該タッチ操作により指定された周縁部を中心とするように表示を移動する旨のスクロール指令を送出することが記載されるように、タッチパネルの所定領域を押下することにより、スクロール処理を行うことは、本願優先日前に周知技術であったものと認められる。
しかしながら、アイコンの特定の一部分がタッチされるとスクロール処理を行うことは周知技術であるとはいえず、スクロールのための操作として、引用例1記載の発明の「空欄」に表示された「シフトキー」を押下することに代え、アイコンの「一領域」の「特定の一部分」をタッチするという操作を採用することは、当業者が容易になし得たこととはいえない。

したがって、本願発明1は、引用例1記載の発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたとはいえない。

2-2.本願発明2?4,9について
本願発明2?4,9は本願発明1に従属するものであるから、上記「2-1.本願発明1について」にて述べたのと同様の理由により、本願発明2?4,9は、引用例1記載の発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたとはいえない。

2-3.本願発明5について
本願発明5は本願発明1のグラフィカルユーザインターフェースタッチスクリーンを有するPDAの発明であり、上記「2-1.本願発明1について」にて述べたのと同様の理由により、本願発明5は、引用例1記載の発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたとはいえない。

2-4.本願発明6,7について
本願発明6は本願発明1のグラフィカルユーザインターフェースタッチスクリーンを有する遠隔制御装置の発明であり、本願発明7は本願発明6に従属するものであるから、上記「2-1.本願発明1について」にて述べたのと同様の理由により、本願発明6,7は、引用例1記載の発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたとはいえない。

2-5.本願発明8について
本願発明8は本願発明1を方法の発明として記載したものであるから、上記「2-1.本願発明1について」にて述べたのと同様の理由により、本願発明8は、引用例1記載の発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたとはいえない。

2-6.まとめ
以上のとおりであるから、原査定の拒絶の理由によっては、本願を拒絶することはできない。

第4 当審拒絶理由について
1.当審拒絶理由の概要
本件出願は、明細書及び図面の記載が下記の点で不備のため、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。



本願の特許請求の範囲請求項5,6の記載では、「コントローラ」がどのようなものであるのか不明である。
また、請求項1?4は、「グラフィカルユーザインターフェースタッチスクリーン」に関する発明であり、請求項9の記載は、引用する請求項1?4の記載と整合がとれていない。
よって、請求項5,6,9に係る発明は明確でない。

2.当審拒絶理由の判断
平成26年3月18日付け手続補正によって、本願の請求項5は「アイコンの機能を認識しうるが前記機能のフィーチャーを容易にアクセスするには小さすぎる大きさのサイズで前記アイコンの形態でPDAの機能を表示するためのグラフィカルユーザインターフェースタッチスクリーンと;
ユーザがアイコンの少なくとも一領域をタッチすると、前記アイコンの前記一領域の拡大バージョンを提供するためのコントローラと;
を有し、
前記コントローラは、前記ユーザが前記一領域の特定の一部分をタッチすると、前記拡大バージョンを前記アイコンに亙ってスクロールさせ、前記アイコンの新たな領域を拡大することを特徴とするPDA。」と、本願の請求項6は「家電用電子デバイスを制御する遠隔制御装置であって、
アイコンの機能を認識しうるが、前記機能のフィーチャーを容易にアクセスするには小さすぎる大きさのサイズのアイコンの形態で前記遠隔制御装置の機能を表示するグラフィカルユーザインターフェースタッチスクリーンと、
ユーザがアイコンの少なくとも一領域をタッチすると、前記アイコンの前記一領域の拡大バージョンを提供するためのコントローラと、
を有し、
前記コントローラは、前記ユーザが前記一領域の特定の一部分をタッチすると、前記拡大バージョンを前記アイコンに亙ってスクロールさせ、前記アイコンの新たな領域を拡大することを特徴とする遠隔制御装置。」と、本願の請求項9は「請求項1ないし4のうちいずれか1項記載のグラフィカルユーザインターフェースタッチスクリーンを有することを特徴とする電子デバイス。」と補正された。このことにより、請求項5,6,9に係る発明は明確となった。
よって、当審拒絶理由は解消した。

第5 むすび
以上のとおり、本願発明1?9は、引用例1記載の発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものとすることができないから、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。
そして、他に本願を拒絶するべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審決日 2014-03-28 
出願番号 特願2011-282959(P2011-282959)
審決分類 P 1 8・ 121- WY (G06F)
最終処分 成立  
前審関与審査官 笠田 和宏  
特許庁審判長 小曳 満昭
特許庁審判官 清水 稔
山田 正文
発明の名称 オートズームフィーチャーを有するグラフィカルユーザインターフェースタッチスクリーン  
代理人 大貫 進介  
代理人 伊東 忠重  
代理人 伊東 忠彦  
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