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審決分類 審判 訂正 ただし書き3号明りょうでない記載の釈明 訂正する A63F
管理番号 1286728
審判番号 訂正2014-390010  
総通号数 174 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2014-06-27 
種別 訂正の審決 
審判請求日 2014-01-17 
確定日 2014-02-24 
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第3909551号に関する訂正審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 特許第3909551号に係る明細書を本件審判請求書に添付された訂正明細書のとおり請求項ごとに訂正することを認める。 
理由 1.手続の経緯
本件特許第3909551号は、平成12年5月10日に特願2000-137346号として出願した特許出願に係り、平成19年2月2日にその特許権の設定の登録がなされ、平成26年1月17日に本件訂正審判の請求がなされた。

2.審判請求の要旨
本件審判請求の要旨は、本件特許第3909551号の明細書を、本件審判請求書に添付した訂正明細書のとおり請求項ごとに訂正することを求めるものである。(以下、特許第3909551号の明細書及び特許請求の範囲を、それぞれ「願書に添付した明細書」、「本件特許請求の範囲」という。)
その訂正内容は、次のとおりである。

<訂正事項1>
本件特許請求の範囲の請求項1において、
「前記複数の遊技球関連制御基板を各別に収容する基板収容手段には有色のマーキングが施され、前記マーキングが施されない前記第2制御部の基板収容手段との視認識別を可能にすることを特徴とする遊技機」を、
「前記複数の遊技球関連制御基板を各別に収容する基板収容手段にはマーキングが施され、前記マーキングが施されない前記第2制御部の基板収容手段との視認識別を可能にし、
前記マーキングは、前記遊技球関連制御部の基板収容手段であることが識別できる有色のマーキングであることを特徴とする遊技機」と訂正する。

<訂正事項2>
本願の願書に添付した明細書の段落【0005】において、
「前記複数の遊技球関連制御基板を各別に収容する基板収容手段には有色のマーキングが施され、前記マーキングが施されない前記第2制御部の基板収容手段との視認識別を可能にすることを特徴とする」を、
「前記複数の遊技球関連制御基板を各別に収容する基板収容手段にはマーキングが施され、前記マーキングが施されない前記第2制御部の基板収容手段との視認識別を可能にし、
前記マーキングは、前記遊技球関連制御部の基板収容手段であることが識別できる有色のマーキングであることを特徴とする」と訂正する。

3.当審の判断
(1)訂正事項1について
訂正前の請求項1において、訂正事項1に係る箇所には「基板収容手段には有色のマーキングが施され」と記載され、この構成によって「第2制御部の基板収容手段との視認識別を可能」にするものであった。
ここで、訂正後の請求項1は、「マーキングによって第2制御部の基板収容手段との視認識別を可能」にしつつ、マーキングが「遊技球関連制御部の基板収容手段」であることを識別できるようにする、というマーキング自体が技術的な意味を有することを、さらに限定するものであるから、訂正事項1は特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
そして、上記訂正事項1は願書に添付した明細書又は図面に記載された事項に基づいたものであって、願書に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内においてされたものである。
したがって、訂正事項1は、当初明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入しないから、新規事項の追加に該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。
よって、訂正事項1は、特許法第126条第1項ただし書第1号に該当し、同法126条第5項及び第6項の規定に適合するものである。。

(2)訂正事項2について
訂正事項2は、本件特許請求の範囲における請求項1を訂正事項1のとおりに訂正したことに伴い、訂正された請求項1と整合性を取るために、関連する発明の詳細な説明の記載を訂正するものであるから、明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。
そして、訂正事項1と同じ理由により、新規事項の追加に該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。
よって、訂正事項2は、特許法第126条第1項ただし書第3号に該当し、同法126条第5項及び第6項の規定に適合するものである。

(3)請求項ごとの訂正についての説明
訂正事項1は、互いに引用関係のない本件特許請求の範囲の請求項1?3のうち、請求項1のみを訂正しようとするもので、二以上の請求項に係る願書に添付した特許請求の範囲の請求項ごとに訂正請求をしている。
したがって、本件請求は、特許法第126条第3項の規定に適合するものである。

(4)願書に添付した明細書の訂正に係る請求項についての説明
訂正事項2は、願書に添付した明細書の発明の詳細な説明の段落【0005】を訂正しようとするもので、当該段落は請求項1に対応する【課題を解決するための手段及び作用・効果】の記載であり、上記訂正事項1に係る請求項1は、当該訂正事項2と関係を有するから、願書に添付した明細書の発明の詳細な説明の訂正である当該訂正事項2と関係する請求項1が請求の対象とされている。
したがって、本件請求は、特許法第126条第4項の規定に適合するものである。

(5)独立特許要件について
訂正事項1によって訂正された訂正後の特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される発明は、拒絶すべき理由を有しない特許発明を減縮するものであるから、特許出願の際独立して特許を受けることができない発明でないことは明らかであり、特許法126条第7項の規定にも適合する。

4.むすび
以上のとおりであるから、本件訂正審判の請求は、特許法第126条第1項ただし書第1号及び3号に掲げる事項を目的とするものである。また、同条第3項乃至第7項の規定にも適合する。
よって、結論のとおり審決する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
遊技機
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技球を利用した遊技が行われる遊技機において、
当該遊技機の制御を司る主制御部と、該主制御部に従って作動する複数の副制御部とを有し、該副制御部が、遊技球に動きを与えるための制御を行う1ないし複数の第1制御部と、遊技球の動きの結果に応じた制御を行う第2制御部とを備えるとともに、
前記第1制御部は、遊技領域が形成された遊技盤の背面側を覆う裏機構盤に設けられ、遊技球の払い出しに関する制御を行う払出制御部と、前記裏機構盤に設けられ、遊技球の発射に関する制御を行う発射制御部とを含み、
前記主制御部と前記第1制御部とにより遊技球関連制御部が構成され、
その遊技球関連制御部は、複数に分割された遊技球関連制御基板を備える一方、前記複数の遊技球関連制御基板を各別に収容する基板収容手段にはマーキングが施され、前記マーキングが施されない前記第2制御部の基板収容手段との視認識別を可能にし、
前記マーキングは、前記遊技球関連制御部の基板収容手段であることが識別できる有色のマーキングである
ことを特徴とする遊技機。
【請求項2】
遊技球を利用した遊技が行われる遊技機において、
当該遊技機の制御を司る主制御部と、該主制御部に従って作動する複数の副制御部とを有し、該副制御部が、遊技球に動きを与えるための制御を行う1ないし複数の第1制御部と、遊技球の動きの結果に応じた制御を行う第2制御部とを備えるとともに、
前記第1制御部は、遊技領域が形成された遊技盤の背面側を覆う裏機構盤に設けられ、遊技球の払い出しに関する制御を行う払出制御部と、前記裏機構盤に設けられ、遊技球の発射に関する制御を行う発射制御部とを含み、
前記主制御部と前記第1制御部とにより遊技球関連制御部が構成され、
その遊技球関連制御部は、複数に分割された遊技球関連制御基板を備える一方、前記複数の遊技球関連制御基板を各別に収容する基板収容手段には彩色された成形材料が用いられ、無色透明の成形材料が用いられた前記第2制御部の基板収容手段との視認識別を可能にすることを特徴とする遊技機。
【請求項3】
遊技球を利用した遊技が行われる遊技機において、
当該遊技機の制御を司る主制御部と、該主制御部に従って作動する複数の副制御部とを有し、該副制御部が、遊技球に動きを与えるための制御を行う1ないし複数の第1制御部と、遊技球の動きの結果に応じた制御を行う第2制御部とを備えるとともに、
前記第1制御部は、遊技領域が形成された遊技盤の背面側を覆う裏機構盤に設けられ、遊技球の払い出しに関する制御を行う払出制御部と、前記裏機構盤に設けられ、遊技球の発射に関する制御を行う発射制御部とを含み、
前記主制御部と前記第1制御部とにより遊技球関連制御部が構成され、
その遊技球関連制御部は、複数に分割された遊技球関連制御基板を備える一方、前記複数の遊技球関連制御基板を各別に収容する基板収容手段には不可逆性の結合構造が採用され、その不可逆性の結合構造が採用されない前記第2制御部の基板収容手段との視認識別を可能にすることを特徴とする遊技機。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、いわゆるセブン機、羽根物、権利物又はアレンジボール等の弾球遊技機や、コイン式遊技機、スロットマシン等の遊技機に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、弾球遊技機やスロットマシン等に代表される遊技機には、遊技に関する各種制御を行うために、マイクロコンピュータ等を備えた多数の制御部が設けられている。これら制御部としては、例えば、遊技機の制御を司る主制御部、図柄の表示制御を行う図柄表示制御部、価値媒体として賞球等の払出制御を行う払出制御部、遊技に伴って点灯表示されるランプの表示制御を行うランプ表示制御部、遊技に伴って発生される音声の出力制御を行う音声出力制御部等があり、遊技の進行に伴って様々な遊技装置の制御を行っている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上記遊技機においては、各制御部が正常に作動制御するか等の検査が第三者検定機関により行われる場合がある。この第三者検定機関による検査は、複数の制御部について個々に検査しなければならないため長時間を要している。
【0004】
本発明の課題は、第三者検定機関による検査に要する時間を短縮させることが可能な遊技機を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段及び作用・効果】
上記課題を解決するために、本発明は、
遊技球を利用した遊技が行われる遊技機において、
当該遊技機の制御を司る主制御部と、該主制御部に従って作動する複数の副制御部とを有し、該副制御部が、遊技球に動きを与えるための制御を行う1ないし複数の第1制御部と、遊技球の動きの結果に応じた制御を行う第2制御部とを備えるとともに、
前記第1制御部は、遊技領域が形成された遊技盤の背面側を覆う裏機構盤に設けられ、遊技球の払い出しに関する制御を行う払出制御部と、前記裏機構盤に設けられ、遊技球の発射に関する制御を行う発射制御部とを含み、
前記主制御部と前記第1制御部とにより遊技球関連制御部が構成され、
その遊技球関連制御部は、複数に分割された遊技球関連制御基板を備える一方、前記複数の遊技球関連制御基板を各別に収容する基板収容手段にはマーキングが施され、前記マーキングが施されない前記第2制御部の基板収容手段との視認識別を可能にし、
前記マーキングは、前記遊技球関連制御部の基板収容手段であることが識別できる有色のマーキングである
ことを特徴とする。
【0006】
このように遊技球関連制御部に上記識別手段(以下の記載において、識別情報標識手段ともいう)を設けたため、例えば遊技の当否判定等を行う制御部や遊技球の流通に関連する制御部(換言すれば、遊技球に動きを与えるための制御部:すなわち遊技者の利益に直接的に関連する制御部(本発明においては主制御部及び第1制御部))と、利益に直接的には関連しない制御部(換言すれば、遊技球の動きの結果に応じた制御を行う制御部(本発明においては第2制御部))とが視認識別可能にされている。したがって、第三者検定機関における遊技機の検査の際に、例えば上記遊技者の利益に直接的に関連する遊技球関連制御部のみを検査したり、その遊技球関連制御部をその他の制御部(第2制御部)に比して重点的に検査したりすることが可能となる。よって、検査を効率的且つ効果的に行うことができ、検査にかかる時間を短縮することが可能となり、また、検査を重点的に行うべき箇所を予め識別手段により示しておくことで、検査不備等も発生しにくくなり、より正確な検査が可能になる。
【0008】
また、前記遊技球関連制御部は、複数に分割された遊技球関連制御基板を備え、かつ前記複数の遊技球関連制御基板を各別に収容する基板収容手段毎に前記識別手段を備えるものとすることができる。この場合、遊技者の利益に直接的に関わる制御を行う遊技球関連制御部が複数に分割された遊技球関連制御基板を備えるものであるが、基板収容手段毎に前記識別手段を設けることにより、遊技者の利益に関連する各制御部を効率よく検査することが可能となる。
【0009】
具体的に前記識別手段としては、例えば、前記遊技球関連基板を収容する基板収容手段(ケース部材)等を例示することができる。このような識別手段により、遊技球関連制御部と第2制御部との識別を、視覚的に一層明確化することが可能となる。また、前記識別手段は前記遊技球関連制御部と前記第2制御部とを区画する区画部を備えるものとすることができる。区画部により、例えば遊技機内での遊技球関連制御部と第2制御部とに区画された特定の配置部のみ重点的に検査を行うことで検査効率を向上させることができる。
【0010】
一方、上記遊技機において第1制御部は、遊技領域が形成された遊技盤の背面側を覆う裏機構盤に設けられ、遊技球の払い出し制御を行う払出制御部及び遊技球の発射制御を行う発射制御部を含むものとすることができる。このような払出制御部、発射制御部は、遊技球に動きを与えるための制御を行うものであり、遊技者の利益に直接的に関連するため、本発明の遊技球関連制御部として上記第2制御部と視認識別可能に設けると、当該遊技機の検査時間が大幅に短縮される。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を、図面に示す実施例を参照して説明する。ここでは遊技機として、いわゆるセブン機と呼ばれるタイプの第一種パチンコ機(弾球遊技機)を例に取り、その構造について図1?図3を参照して説明する。
【0012】
パチンコ機1の前面部は、本体枠2と、中枠3と、前面枠4と、上皿部5と、下皿部6と、施錠装置7とから構成されている。本体枠2は、木製の板状体を略長方形の額縁状に組立て固着したものである。中枠3は、全体がプラスチック製で、枠体部(図示略)と下板部(図示略)とを有し、本体枠2に対して開閉可能に軸支されている。中枠3の右端中央には施錠装置7が設けられ、施錠装置7は、正面視すると鍵穴を備えた略長方形状を呈し、前面枠4を閉鎖した場合に施錠するためのものである。
【0013】
ここで枠体部は、上端から下方へ中枠3全体の略2/3程度に略長方形の額縁状に形成され、上端部には、前面枠4の枠飾りランプ用レンズ4bに対応して、左側に賞球表示LED(図示略)及び賞球表示LED基板4d(図4参照)が、右側にストップ表示LED(図示略)及びストップ表示LED基板4f(図4参照)が配設されている。
【0014】
また、下板部は、下端から上方へ中枠3全体の略1/3程度を占め、左端には、上皿部5に形成されたスピーカー面5aに対応すべく、遊技状態に応じた効果音その他の音(音声)を発生させるスピーカー400(図4参照)が配設され、略中央には、遊技球を発射する発射装置ユニット8(図3参照)に対し、上皿部5に貯留された遊技球を供給する供給装置等(図示略)が設けられている。
【0015】
さらに、下板部の下方には、灰皿や玉抜きレバー等を備えた下皿部6が設けられ、下皿部6の略中央には、パチンコ機1の内部から遊技球を排出するための排出口6aが開設され、右端に発射装置ユニット8(図3参照)を操作する発射ハンドル9が設けられている。また、この発射ハンドル9には、遊技者がタッチしていることを検出するタッチスイッチ9aが装着され、その近傍には、発射停止を一時的に指令する発射停止スイッチ9bが配置されている。
【0016】
前面枠4は、全体がプラスチック製であり、遊技盤10(図2参照)を前方から視認するべく、遊技盤10に形成された遊技領域11(図2参照)の形状に対応して上側が略円弧状を呈し、全体が略弾丸形状に開設された開口部4aを有している。そして、その裏面には、開口部4aに応じてガラス板が嵌められた略長方形状のガラス枠(図示略)が装着されている。また、この前面枠4は、パチンコ機1の前面全体の約2/3のサイズを占め、中枠3の左端に軸着され開閉可能に形成されている。さらに、上端部には、枠飾りランプ用レンズ4bが設けられ、このレンズ4b内部には、開口部4a上端の円弧部分に沿って、枠飾りランプ基板4g(図4参照)及び複数個の遊技効果ランプ(図示略)が配設されている。
【0017】
上皿部5は、前面枠4の下側で、中枠3の左端に軸着され開閉可能に形成されている。皿外縁部5bには、玉抜きボタンや遊技球の貸出・返却ボタン等が配設されている。また、上皿部5には、パチンコ機1の内部から遊技球を排出するための排出口5cが開設されている。左端には、複数の長孔を有するスピーカー面5aが形成され、その裏面には、音量スイッチ基板12(図4参照)が設けられている。パチンコ機1の左端側には、プリペイドカードユニット13が装着されている。
【0018】
次に、本実施例の遊技盤10の表面構造について図2を参照して説明する。
遊技盤10は、略長方形の木製の板状体であって中枠3(図1参照)に保持されるとともに、後述する裏機構盤102(図3参照)によりその背面側が覆われている。遊技盤10には、遊技盤10の表面に設けられた外レール14と内レール15とにより略円形状の遊技領域11が形成され、遊技領域11内には、特別図柄表示装置16と、第一種始動口(普通電動役物)17と、変動入賞装置18と、左入賞口19、右入賞口20、左下入賞口21、右下入賞口22と、多数の障害釘23と、一対のランプ風車24、25等が配設されている。
【0019】
特別図柄表示装置16は、遊技領域11の略中央部に配置され、センター役物26と、液晶表示盤27とを備えている。この液晶表示盤27の映像画面は略長方形状を呈しており、その表示画面上に1または複数の特別図柄(識別情報)を所定の方向に次々と変動させながら表示した後、停止表示する特別図柄表示領域(識別情報表示領域)が形成されている。すなわち、左特別図柄を表示する左特別図柄表示領域28、中特別図柄を表示する中特別図柄表示領域29、及び右特別図柄を表示する右特別図柄表示領域30が、横一列に設定された配置方向においてこの順序で並んで形成されている。各特別図柄表示領域28?30は、これらの表示領域28?30の配置方向と略直交する向き、この場合、上下方向に図柄変動方向が設定され、その向きで変動しているように識別情報としての複数の図柄(特別図柄)が順次表示されていく。
【0020】
また、この液晶表示盤27は、遊技球が第一種始動口(普通電動役物)17に入球することにより、その映像画面の表示領域28?30に表示される各特別図柄をそれぞれ変動させて停止表示させるものである。そして、例えば、図柄が「7、7、7」の3桁同一図柄で揃って停止表示すると、変動入賞装置18に配設された後述する大入賞装置31の大入賞口311が開放される。また、センター役物26は、液晶表示盤27の前面周辺部に額縁状に突設して装着され、普通図柄表示装置32と、特別図柄保留表示LED16aとを備えている。
【0021】
普通図柄表示装置32は、センター役物26の上部中央に配置され、7セグメント表示器32aと、普通図柄保留表示LED32bとを有している。7セグメント表示器32aは、1?9の奇数数字を変動表示させるもので、後述する左右の普通図柄作動ゲート36、37のいずれかを遊技球が通過することにより変動して、所定時間経過後に1種類の奇数数字が停止表示される。そして、例えば「7」で停止表示すると、第一種始動口(普通電動役物)17が所定時間(例えば、0.5秒)開放される。
【0022】
前記センター役物26の左右斜め下方には、普通図柄作動ゲート36、37がそれぞれ設けられ、この左右の普通図柄作動ゲート36、37内に左、右普通図柄作動ゲート検知スイッチ36s、37s(図4参照)が配設されている。そして、遊技球の普通図柄作動ゲート通過検知スイッチ36s、37sのいずれかの通過により、普通図柄表示装置32における7セグメント表示器32aが変動表示する。
【0023】
普通図柄保留表示LED32bは、4個の丸形の赤色LEDで構成され、7セグメント表示器32aの左右両側に配置されている。これは、左右の普通図柄作動ゲート36、37を通過した遊技球の数を4個まで保留とし、通過ごとに順次点灯しシフト表示するものである。次の7セグメント表示器32aの変動表示が開始するたびに、未始動回数が消化され、1個の普通図柄保留表示LED32bは消灯される。
【0024】
特別図柄保留表示LED16aは、センター役物26の上部であって、普通図柄表示装置32の両側に2個ずつに分けて配置され、4個の赤色LEDで構成されている。これは、第一種始動口(普通電動役物)17に入球した遊技球の数を4個まで保留とし、入球ごとに順次点灯しシフト表示するものである。次の特別図柄の変動が開始するたびに、未始動回数が消化され、1個の特別図柄保留表示LED16aは消灯される。
【0025】
第一種始動口(普通電動役物)17は、後述する変動入賞装置18と一体化されたもので、特別図柄表示装置16におけるセンター役物26の中央位置の下方に離れて配設されている。第一種始動口(普通電動役物)17は、いわゆるチューリップ式で左右に一対の翼片部が開閉するべく形成され、その前面に飾りを備えて基板34に取り付けられている。内部には、遊技球の通過を検知する第一種始動口(普通電動役物)入賞検知スイッチ17s(図4参照)と、翼片部を作動させるための第一種始動口(普通電動役物)ソレノイド17c(図4参照)とが備えられている。この一対の翼片部が左右に開くと、遊技球の入球可能な開放状態となり、一対の翼片部が閉じると、遊技球の入球困難な閉鎖状態となる。
【0026】
図2に戻り、変動入賞装置18は、上記第一種始動口(普通電動役物)17と一体で、その下方に配設されており、前面側が略逆台形状に形成された基板34に、大入賞装置31と、左下入賞口21と右下入賞口22とを備えている。ここで、大入賞装置31は、略中央に形成され、帯状に開口された大入賞口311と、この大入賞口311を開放・閉鎖する開閉板312と、この開閉板312を開閉するための大入賞口ソレノイド313(図4参照)と、大入賞口311に入賞した後に遊技球が通過する通過領域(入賞口)と、連動杆(図示略)と、入賞球を検知する入賞球検知スイッチ318(図4参照)と、裏箱(図示略)と、大入賞口中継基板(図示略)とから主に構成されている。
【0027】
また、左下入賞口21は、第一種始動口(普通電動役物)17の略真横の左側に配設されて、内部に左下入賞口通過検知スイッチ21s(図4参照)が設けられている。そして、この左下入賞口21の下方には複数個の左下入賞口LED(図示略)が左下入賞口LED基板21f(図4参照)に取り付けられ、飾りレンズによって被覆されている。さらに、右下入賞口22は、第一種始動口(普通電動役物)17の略真横の右側に配設されて、内部に右下入賞口通過検知スイッチ22s(図4参照)が設けられている。そして、この右下入賞口22の下方には複数個の右下入賞口LED(図示略)が右下入賞口LED基板22f(図4参照)に取り付けられ、飾りレンズによって被覆されている。
【0028】
次に、遊技盤10の下方にはアウト口48が設けられ、そのアウト口48の下部にはバック球防止部材58が設けられており、遊技領域11に到達せず戻ってきた遊技球が再び発射位置に戻ることを防止している。一方、ファール球防止部材59は、内レール15の先端部に取り付けられ、返しゴム60は、ファール球防止部材59の位置とは略正反対側の、遊技盤10の右半分側の位置であって、外レール14に沿って嵌合状に取り付けられている。
【0029】
変動入賞装置18の左右斜め上方には、左入賞口19及び右入賞口20がそれぞれ配設されている。そして、その内部にはそれぞれ、左入賞口通過検知スイッチ19s(図4参照)、右入賞口通過検知スイッチ20s(図4参照)が設けられている。また、特別図柄表示装置16の左右斜め上方には、一対のランプ風車24、25がそれぞれ配設されている。さらに、遊技領域11の左右両端部には、一対のサイドランプ38、39がそれぞれ縦円弧状で相対称状に配設されている。なお、多数の障害釘23は、以上説明した各遊技装置との位置バランスを考慮して、遊技領域11にパチンコ遊技に適するべく、配設されている。
【0030】
次に、本実施例のパチンコ機1の裏面構造について図3を参照して説明する。前面枠4(図1参照)は中枠3にあって、前面枠4の上下端の位置に設けられた一対のヒンジ101により、開閉可能に支持されている。機構盤102は中枠3にあって機構盤102の上下端の位置に設けられた一対のヒンジ103により、開閉可能に支持されている。遊技盤10は中枠3の表面側に着脱可能に取り付けられている。上端側にあるヒンジ101の配設位置からみて左側には、タンク球切れ検知スイッチ104をタンク底部に備えた賞球タンク105と、この賞球タンク105に接続されるタンクレール106とが取り付けられている。また、タンクレール106の右側には、球抜きレバー107が設けられ、その下流側には、補給球切れ検知スイッチ108が、さらに、その下流側には、賞球払出装置109が配設されている。
【0031】
続いて、遊技球の振り分け部110が賞球払出装置109の下流側に設けられている。タンクレール106の下側には、特別図柄表示装置16における液晶表示盤27を格納した蓋付きの裏ケース111が設けられ、この裏ケース111の下側には、後述する主制御部140(図4参照)が、主制御基板340(図4参照)を格納した主制御基板ケース112を備えて設けられている。詳細は後述するが、主制御基板ケース112は、所定の色付けが行われており、本実施例においては例えば青色に着色したケース部材(基板収容手段)とされている。
【0032】
主制御基板ケース112の左側には、発射制御部201a(図4参照)として発射装置制御基板201(図4参照)を格納した発射装置制御基板ケース113、及び発射制御集合中継基板116が設けられている。発射装置制御基板ケース113は、主制御基板ケース112と同様、青色に着色したケース部材とされている。
【0033】
機構盤102の左下方部には、上述した発射装置ユニット8が、同じく右下方部には、補給球詰まり、下皿部満タン、主電源電圧異常、発射停止、主制御基板通信異常、賞球モータ異常などを7セグメントLEDで表示する枠状態表示器117を備えた枠制御部(払出制御部)150(図4参照)が、第一周辺制御基板(払出制御基板)350(図4参照)を格納した枠制御基板ケース(払出制御基板ケース)118を備えて設けられている。払出制御基板ケース118は、主制御基板ケース112、発射制御基板ケース113と同様、青色に着色したケース部材とされている。
【0034】
一方、機構盤102の右上端部には、ヒューズボックス119、電源スイッチ120、電源ターミナル基板121及び大当り、発射装置制御、球切れ、扉開放、賞球、球貸し用等の遊技機枠用外部接続端子を備えた端子基板122が設けられている。また、外部からの電力の供給を受けるための電源ケーブル123も端子基板122の下側に配設されている。第一周辺制御基板350を格納した枠制御基板ケース118からは接続ケーブル124が上方へ延出し、電源ケーブル125を備えたプリペイドカードユニット13に接続されている。また、機構盤102の略中央下端部には、下皿部用球通路部材126が設けられている。
【0035】
次に、本実施例のパチンコ機1の電子制御装置130について、図4を参照して説明する。まず、電子制御装置130は、主制御部140と、共通信号伝送経路である共有バス500により、その主制御部140に直列的に接続された枠制御部(払出制御部)150、特別図柄制御部160、ランプ制御部170及び音声制御部180とを含んで構成されている。主制御部140は、主制御基板340を備え、主制御部140以外の4つの制御部150、160、170、180は、第一?第四の周辺制御基板350?380を備えている。
【0036】
主制御部140は、CPU141と、RAM142と、ROM143と、入出力ポート144とをバス145により相互に接続したものである(これらを主制御部構成要素という)。そして、CPU141はROM143に格納された制御プログラムにより、RAM142をワークエリアとしてパチンコ機1全体の作動制御(すなわち、遊技の基本進行制御)を司る。また、ROM143に記憶された当否判定プログラムにより、CPU141が主体となって当否判断制御を行う(当否判定手段)。また、入出力ポート144には前記した共有バス500が接続され、後述する通り入出力ポート144からその共有バス500へ、各制御部150、160、170、180へ処理内容を指示する、指令信号たるコマンドデータを送信する。なお、主制御部140から各制御部150、160、170、180へは、一方向形式でデータが伝送される。また、該主制御部140には、電源ターミナル基板121が接続されている。
【0037】
中継基板200には、右普通図柄作動ゲート通過検知スイッチ37s、左普通図柄作動ゲート通過検知スイッチ36s、入賞球検知スイッチ318等が接続され、中継基板200の出力端子は、入出力ポート144と接続されている。また、第一種始動口(普通電動役物)入賞検知スイッチ17sも、入出力ポート144に接続されている。
【0038】
枠用端子基板200aには、タッチスイッチ9a、発射停止スイッチ9b、ヴォリュームスイッチ202、左入賞口通過検知スイッチ19s、右入賞口通過検知スイッチ20s、左下入賞口通過検知スイッチ21s、右下入賞口通過検知スイッチ22s、タンク球切れ検知スイッチ104及び補給球切れ検知センサ108等が接続され、枠用端子基板200aの出力端子は、枠制御部150の入出力ポート154と接続されている。
【0039】
枠制御部(払出制御部(第1制御部))150は、主制御部140と同様の演算回路構成要素(枠制御部構成要素)151?155を含んで構成され、入出力ポート154において共有バス500に接続されている。また、入出力ポート154には、普通図柄表示装置基板32f、役物作動を司る各種ソレノイド52、17c、313、賞球払出装置109、発射装置制御基板201等が接続されている。
【0040】
特別図柄制御部(第2制御部)160は、主制御部140と同様の演算回路構成要素(特別図柄制御部構成要素)161?165を含んで構成され、入出力ポート164において共有バス500に接続されている。入出力ポート164には、液晶表示盤27が接続されている。
【0041】
ランプ制御部(第2制御部)170は、主制御部140と同様の演算回路構成要素(ランプ制御部構成要素)171?175を含んで構成され、入出力ポート174において共有バス500に接続されている。入出力ポート174には、枠飾りランプ基板4g、各種ランプ基板261、各種LED基板4d、4f、21f、22fが接続されている。これら各基板にランプあるいはLEDが1又は複数個接続される。これらのランプ等はゲームの進行に対応して点灯・消灯または点滅する。
【0042】
音声制御部(第2制御部)180は、主制御部140と同様の演算回路構成要素(第2制御部構成要素)181?185を含んで構成され、入出力ポート184において共有バス500に接続されている。入出力ポート184には、サウンドジェネレーター203、音量スイッチ基板12が接続されている。サウンドジェネレーター203は、図示しないLSI等に格納された音声データと音声出力モジュールとに基づいて、これに接続されたスピーカー400より、ゲームの進行に対応した各種の音声出力を行う。音量スイッチ基板12は、図示しない音量スイッチの操作に伴い、サウンドジェネレーター203に対して出力音量の設定を行うものである。
【0043】
次に、賞球動作は、以下の順序で実行される。
主制御部140は、遊技球が入賞球検知スイッチ318を通過したら15個の賞球個数データを、第一種始動口(普通電動役物)入賞検知スイッチ17sを通過したら6個の賞球個数データを、それ以外の場合、例えば、左右下入賞口21、22の通過検知スイッチ21s、22sの通過を検知した場合などにおいては、10個の賞球個数データを、枠制御部150に対してその検知順に、枠制御部150を作動指令対象とする指令信号として、前記した共有バス500を介して送信する。(すなわち、固有賞球数はここでは、6個、10個あるいは15個である。)枠制御部150は、主制御部140からの賞球個数データを受け取り、賞球払出信号の送信により賞球払出装置109を作動させる。
【0044】
また、主制御部140は、上述の各種検知スイッチの出力に基づいて遊技状態を判断し、また、その遊技状態に基づいて当否判定を行うとともに、判定内容に応じて対応する図柄表示態様で画像表示制御を行うためのデータを作成する。例えば、主制御部140は、第一種始動口(普通電動役物)入賞検知スイッチ17s、入賞球検知スイッチ318等の検知結果や、特別図柄当否判定乱数の取得値などを使用して、遊技が行われていない客待ちの状態、遊技は行われているが始動入賞がない状態(変動準備状態)、始動入賞があった状態、及び、特別遊技状態なども判断する。また、始動入賞が検知されると後述する乱数値に基づいて当否判定が行われ、その判定結果に基づいて特別図柄の変動、または確定などの表示態様制御のためのデータが作成される。このデータは、特別図柄制御部160を作動指令対象とする指令信号として、前記した共有バス500を介して送信される。
【0045】
さらに、枠飾りランプ基板4g等の各種ランプやサウンドジェネレーター203は、特別図柄制御部160の制御による特別図柄の変動・停止表示態様、リーチ発生の有無、リーチ表示態様(全回転、コマ送り、逆進、図柄の拡大・縮小など)、特別遊技態様、及び、遊技モード(確率変動、時短など)等に応じてその態様は制御される。その制御指令の指令信号は、ランプ制御部170あるいは音声制御部180を作動指令対象とする指令信号として、前記した共有バス500を介して送信される。
【0046】
次に、主制御部140により実行されるメインジョブについて図5を参照して説明する。これは、主制御部140のROM143に格納されたプログラムに基づき、CPU141により実行されるジョブの一例である。すなわち、スタックポインタをRAM142の所定のアドレスに設定した後(S10)、初期化終了の判定が行われる(S20)。初期化が終了していれば(S20:YES)、LEDジョブ(S30)からスイッチジョブ(S70)までのジョブが実行される。また、初期化が終了していなければ(S20:NO)、初期化ジョブ(S190)が実行される。
【0047】
LEDジョブ(S30)においては、普通図柄及び普通図柄未始動回数の表示態様データや、特別図柄未始動回数の表示態様データなどが出力される。等速乱数ジョブ(S40)では、後述するRAM142の特別図柄当否判定乱数メモリや汎用カウントメモリなどが更新される。非等速乱数ジョブ(S50)では、外れ普通図柄乱数メモリ(図示略)が更新される。なお、汎用カウントメモリ(図示略)は、例えばユーザーリセットごとの「0」?「255」の値の作成や、コマンドジョブ、飾りジョブの実行などに使用される。
【0048】
また、音楽作成ジョブ(S60)では、音楽や音声に関するデータの作成が行われ、スイッチジョブ(S70)では、各種検知スイッチの読み込みが行われる。すなわち、発射停止検知信号、タッチ検知信号、ヴォリューム検知信号、入賞球検知信号、普通図柄作動ゲート通過検知信号、左右入賞口通過検知信号などの各種信号が中継基板200を介して主制御部140、あるいは枠用端子基板200aを介して枠制御部150にそれぞれ取り込まれ、また、第一種始動口(普通電動役物)入賞検知スイッチ17sから第一種始動口入賞検知信号が主制御部140に取り込まれる。
【0049】
さらに、カウント検知スイッチ62、カウント検知及び特定領域通過検知スイッチ63等のスイッチ(図4参照)に異常があるか否かが判定され(S80)、異常がなければ(S80:YES)、特別図柄メインジョブ(S90)から音声ジョブ(S110)までのジョブが実行される。また、異常(球詰まりや断線など)があれば(S80:NO)、エラージョブ(S130)が実行される。
【0050】
特別図柄メインジョブ(S90)においては、主制御部140と特別図柄制御部160とが協調して動作するために必要なデータに関するジョブが実行される。また、普通図柄メインジョブ(S100)では、普通図柄及び普通図柄未始動回数の表示態様データの作成が行われる。音声ジョブ(S110)では、遊技状態に応じた音声のデータが出力される。
【0051】
この後、再び、入賞球検知スイッチ318に異常があるか否かが判定され(S120)、異常がなければ(S120:YES)、各フラグ状態がバックアップメモリにセットされ(S140)、賞球信号ジョブ(S150)、情報信号ジョブ(S160)、コマンドジョブ(S170)、及び残余時間ジョブ(S180)が実行される。各種スイッチに異常がある場合には(S120:NO)、エラージョブ(S130)が実行される。
【0052】
賞球信号ジョブ(S150)においては、賞球払出しに関するデータの作成や出力が行われ、情報信号ジョブ(S160)では、他の制御部への情報出力に必要なデータの作成が行われる。さらに、コマンドジョブ(S170)では、特別図柄管理のためのコマンドの入出力が行われ、残余時間ジョブ(S180)では、非等速乱数の呼出しや、汎用乱数メモリの更新が行われる。
【0053】
次に、上記メインジョブの一連の流れの中で実行される、始動入賞時の当否判定ジョブに関して図6を参照して説明する。なお、これらのジョブで使用する各種メモリは、図4に示すRAM142に格納され、代表的なもの(142a?142k)を図7に示す。
まず、S200において始動入賞があったか否かを確認し、YESであれば、S210において特別図柄保留数メモリ142b(図7参照)に記憶されている保留数(未始動回数)を1インクリメントする。この保留数(未始動回数)が一定値(本実施例では「4」)を超えていれば、その始動入賞は無効となり、S250へスキップする。また、一定値内の保留数(未始動回数)であれば、S230において、特別図柄当否判定乱数(以下、当否用乱数、又は判定乱数ともいう)を発生させ(プログラムを発生させても、所定の乱数発生回路を用いてもいずれでもよい(当否用乱数発生手段))、読み込んだ判定乱数値を、S240において、特別図柄当否判定乱数メモリ142a(図7参照:以下、判定乱数メモリともいう)に記憶する。このメモリは、読み込んだ判定乱数値を始動入賞の時系列にシフトメモリ形式で記憶している。
【0054】
次に、S250において、判定乱数メモリ142a(図7参照)から記憶している最も古い先頭の判定乱数値を読み出す。そして、S260において、大当り番号メモリ142g(図7参照)から大当り番号(当り用判定値)を読み出し、S270において、上記判定乱数値との比較を行い、両者が一致していれば大当り判定となり、一致していなければ外れ判定となる。大当り判定の場合には、S280に進み、大当り図柄決定乱数(識別情報決定用乱数)を発生させ、これを読み込んでその決定乱数値を大当り図柄決定乱数メモリ142c(図7参照)に記憶する。なお、大当り図柄決定乱数の読み込みは、始動入賞時に当否用乱数と同時に読み込まれているが、当り判定決定と同時に、あるいは当り判定決定後所定の時間後に読み込むものとしてもよい。また、「大当り」という判定結果(本実施例では「1」)を判定結果メモリ142i(図7参照)に記憶する。
【0055】
この大当り図柄決定乱数値で指定される特別図柄は、ROM163に格納されている特別図柄画像データに基づいて、液晶表示盤27(図2参照)に、変動表示状態を経た後、定められた配列態様で表示される(例えば、「7、7、7」の3桁同一図柄の配列態様)。なお、上記特別図柄画像データを大当り図柄決定乱数値と対応付けて識別情報決定用値としてRAM142に記憶しておき、読み込んだ大当り図柄決定乱数値と識別情報決定用値とを比較することで停止表示する図柄を決定するものとしてもよい。
【0056】
一方、外れ判定となった場合は、S270からS310に進み、外れリーチジョブを行うかどうかを乱数により決定する。すなわち、S310において、リーチジョブ決定乱数を発生させ、これを読み込み、他方、S320において、リーチ番号メモリ142h(図7参照)に記憶されているリーチ番号を読み出す。S330において、両者が一致していれば外れリーチジョブに、一致していなければ通常外れジョブとなる。
【0057】
外れリーチジョブの場合は、S340へ進み、少なくとも揃えるべき2つの特別図柄(例えば、3種類の特別図柄のうち、左図柄と右図柄)を、大当り図柄決定乱数(別途乱数を発生させるようにしてもよい)を使用して決定する(S340、S350)。また、S360において、外れ中図柄を乱数により同様に決定し、S370において決定した乱数値を外れ中図柄番号メモリ142f(図7参照)に記憶する。また、S380において、「外れリーチ」という判定結果(本実施例では「2」)を判定結果メモリ142i(図7参照)に記憶する。一方、通常外れジョブの場合は、S390に進み、各特別図柄(例えば、左図柄、右図柄及び中図柄)をそれぞれ乱数により決定し、決定した各乱数値をそれぞれ対応する外れ番号メモリ142d、142e、142fに記憶する(S390?S440)。また、S450において、「通常外れ」という判定結果(本実施例では「3」)を判定結果メモリ142i(図7参照)に記憶する。なお、外れリーチ用の図柄、通常外れ用の図柄は、リセット毎の乱数参照により作成してもよい。
【0058】
次に、上記メインジョブの一連の流れの中で実行される、特別図柄メインジョブの概略の流れを図8を参照して説明する。
まず、S500において、特別図柄表示装置16における液晶表示盤27(図2参照)上で各特別図柄の変動表示を開始させる。例えば、左図柄及び右図柄を上から下へ、中図柄を下から上へスクロール変動させる。
【0059】
次いで、S510において、判定結果メモリ142i(図7参照)から図6で得られた各入賞に対する判定結果を読み出す。具体的には、大当り判定(「1」)の場合は(S520:YES)、S600に進み、大当り番号(識別情報決定用値)を大当り番号メモリ(決定用値記憶手段)142g(図7参照)から読み出し、S560?S580に進んで、各特別図柄を、例えば、左図柄、右図柄、中図柄の順序で同一図柄に揃えて停止表示させ確定させる。
【0060】
一方、外れリーチ判定(「2」)の場合は(S530:YES)、S590に進み、大当り番号(少なくとも揃えるべき2つの特別図柄、例えば、左図柄番号と右図柄番号)と、外れ中図柄番号とを各メモリ142c、142f(図7参照)から読み出し、S560?S580に進んで、各特別図柄を、例えば、左図柄、右図柄、中図柄の順序で、左図柄及び右図柄は同一図柄に揃え、中図柄は他の図柄とは異なる図柄で停止表示させ確定させる。
【0061】
また、通常外れ判定(「3」)の場合は(S540:YES)、S550に進み、外れ各図柄番号を外れ番号メモリ142d、142e、142f(図7参照)からそれぞれ読み出し、S560?S580に進んで、各特別図柄を(例えば、左図柄、右図柄及び中図柄)、相互にずれたタイミングで停止表示させ確定させる。
【0062】
次に、大当たり判定により、液晶表示盤27(図2参照)には所定の配列態様で特別図柄が表示され(例えば、「7、7、7」の3桁同一図柄の配列態様)、その後、特別遊技が実行される(特別遊技状態)。特別遊技状態においては、まず、大入賞装置31(図2参照)の開閉板312が開放状態となり、大入賞口311への遊技球の入賞が遊技者にとって優位な遊技球受入状態となる。
【0063】
この特別遊技状態においては、大入賞装置31は、終了条件が成立するまで遊技球受入状態が継続される。例えば、開放状態が所定時間t1(例えば30秒)経過したとき、もしくは入賞球検知スイッチ318に所定数n1(例えば10個)の入賞が検知されたときに終了条件が成立し、遊技球受入状態が一旦終了して、開閉板312が閉鎖状態となって1ラウンドが終了する。この開閉板312が閉鎖されて所定時間t2(例えば0.5秒)が経過した後に、所定の継続条件が成立していれば、再び開閉板312が開放状態となり大入賞装置31が遊技球受入状態となる。なお、このような終了条件までを1ラウンドとする遊技球受入状態は、所定の最高継続ラウンド数(本実施例では16ラウンド)まで繰り返し継続される。また、終了条件成立時に継続条件が不成立の場合は、特別遊技状態がそのラウンドで終了(いわゆるパンク)するものとなっている。
【0064】
次に、遊技機1においては、大当たり判定により特別図柄表示装置16の液晶表示盤27(図2参照)に停止表示された特別図柄の種類に基づき、上記特別遊技状態の終了後、次の大当りまで当否判定の確率(大当り確率)を変更(向上)させる確率変更手段が備えられている。具体的には、予め記憶されている上記当り図柄決定用乱数値が、確率変更用乱数値と非確率変更用乱数値とから構成され、各乱数値の取得に応じて確率変更用図柄又は非確率変更用図柄が停止表示されるもので、確率変更用図柄で停止表示された場合、上記特別遊技状態終了後、次の大当りまで当否判定の確率(大当り確率)が通常の約4?5倍に向上するものとされている。
【0065】
以下、本実施例の遊技機1の上記各制御部の構成について詳細を説明する。
図2及び図4に示すように、本実施例の遊技機1は、遊技機1の制御を司る主制御基板340を備える主制御部140と、主制御部140に従って作動する以下に述べる副制御部とを有する。副制御部は、図9に示すように、遊技球(価値媒体)の流通に関連する制御を行う第1制御部540と、その他の第2制御部560とを含んでいる。
【0066】
第1制御部540は遊技球の流通に関連する制御を行うものであって、例えば遊技球の払い出し制御を行う払出制御基板(価値媒体関連基板)350を備えた払出制御部(価値媒体関連制御部)150と、遊技球の発射制御を行う発射制御基板(価値媒体関連基板)201を備えた発射制御部(価値媒体関連制御部)201aとを含んでいる。一方、第2制御部560は、第1制御部540に含まれない、遊技球の流通に直接には関連しない制御部であって、例えば特別図柄表示装置16の図柄表示制御を行う特別図柄表示制御部160と、ランプの点灯・表示に関する制御を行うランプ制御部170と、音声の出力に関する制御を行う音声制御部180とを含んでいる。
【0067】
本実施例の遊技機1においては、遊技者の利益に直接的に関連する制御部、すなわち主制御部(価値媒体関連制御部群)140と第1制御部540とがそれぞれ価値媒体関連制御部550を構成し、それぞれ第2制御部560とを識別可能にする識別情報標識手段を備えた基板ケース112,113,118を備えている。この基板ケース112,113,118は、上述の通り彩色された成形材料(成形樹脂材料)を用いることで例えば青色の色付きケースとされており、一方、第2制御部560の各制御部160,170,180に備えられた基板ケース111,114,115は無色透明ケースとされているため、色により価値媒体関連制御部550と第2制御部560とが視覚的に識別可能にされている。
【0068】
その基板ケース(識別情報標識手段)を備えた価値媒体関連制御部の一実施形態として、主制御部140の構成を図10に示す。主制御部140は、主制御基板(価値媒体関連基板)340と、青色透明の基板ケース112とを備え、主制御基板340が基板収容手段(ケース部材)としての基板ケース112内に収容された構成とされている。具体的には、主制御基板340が第1基板ケース112bに支持部材(螺子部材)92により支持又は取り付けられ、取り付けられた主制御基板340が、被包部材(カバー部材)としての第2基板ケース112aにより覆われる形態で収容されている。第2基板ケース112aは、第1基板ケース112bに対して、締め込み方向のみ螺合可能なワンウェイビス91により支持され、両ケース112a,112bが支持された形態で基板ケース112が構成されている。
【0069】
主制御部140と同様、価値媒体関連制御部550を構成する発射制御部201a、払出制御部150についても同様の構成の基板ケース(識別情報標識手段)113、118が備えられており、第2制御部560と容易に視認識別可能にされている。
【0070】
以下、価値媒体関連制御部の変形例、及び価値媒体関連制御部に備えられる識別情報標識手段の変形例について述べる。
図11は、遊技機の制御を司る主制御回路を含む主制御部構成要素140bと、遊技球(価値媒体)の流通に関連する第1制御部構成要素として、遊技球の払い出しに関する制御を行う払出制御回路を含む払出制御部構成要素150bと、遊技球の発射に関する制御を行う発射制御回路を含む発射制御部構成要素201bと、が同一の価値媒体関連基板550b上に備えられた一例である。この価値媒体関連基板550bは、第2制御部560と視認識別可能なように、上記同様、識別情報標識手段を備えた青色の基板ケース550cに収容ないし被包されており、全体として価値媒体関連制御部550aを構成している。
【0071】
なお、上記主制御回路及び払出制御回路には、例えばCPU,ROM,RAM,入出力ポート等が実装されており、発射制御回路には、例えば発射モータ制御回路、モータ駆動回路、タイミング制御回路等が実装されている。
【0072】
図12は、主制御部構成要素140bと払出制御部構成要素150bとを同一の価値媒体関連基板550dに備え、発射制御部構成要素201bを価値媒体関連基板550dとは別の発射制御基板201aに設けた構成の価値媒体関連制御部550fの一例である。この場合も、価値媒体関連制御基板550dは、識別情報標識手段を備えた基板ケース550eに収容ないし被包され、発射制御基板201aは、同様の識別情報標識手段を備えた基板ケース113に収容ないし被包されている。したがって、価値媒体の流通に直接的には関連しない第2制御部560と容易に視認識別可能となっている。
【0073】
図13は、遊技機1の裏面構造の概略模式図である。特別図柄制御部160、ランプ制御部170、音声制御部180、主制御部140、払出制御部150、発射制御部201aが裏機構盤102に収容ないし支持されている。裏機構盤102には境界壁部(区画部)102aが設けられ、区画部(識別情報標識手段)102aにより、主制御部140、払出制御部150、発射制御部201aを含む価値媒体関連制御部550を備える第1配置部Aと、特別図柄制御部160、ランプ制御部170、音声制御部180を含む第2制御部560を備える第2配置部Bとに区画配置されている。この区画配置(識別情報標識手段)により、価値媒体関連制御部550と第2制御部560とが容易に識別可能にされている。なお、この区画配置による識別に加え、上記識別情報標識手段を備えた有色透明(例えば青色透明)の基板ケースを各制御部に配設すれば視認識別が一層容易になる。
【0074】
図14及び図15は、価値媒体関連制御部550を構成する制御基板及び基板ケースに、識別情報標識手段としてシール部材(貼付部材)を貼付した一例である。図14においては主制御基板340上に、また、図15においては基板ケース上に、例えば「価値媒体関連制御部」と記されたシール部材650,660が貼付されており、同シール部材が貼付されていない第2制御部と容易に視認識別可能にされている。なお、図面上においては、主制御部140を例示しているが、払出制御部150、発射制御部201aについても同様にシール部材を貼付することが可能である。
【0075】
このように、遊技機の制御を司る主制御部140、価値媒体の流通に関連する払出制御部150、発射制御部201aが価値媒体関連制御部を構成し、これら以外の第2制御部560と識別可能にするために、価値媒体関連制御部に対し識別情報標識手段を上述のような構成で設けたため、例えば、第三者による遊技機の検査、検定の際に、特に価値媒体の流通に関する制御部が見分け易くなるため、大幅な検査時間短縮を実現可能である。なお、価値媒体関連制御部に設けた上記各種識別情報標識手段は、その幾つかを複数組み合わせて使用することにより、第2制御部との視認識別が一層容易にすることが可能となる。
【0076】
以上、本発明の実施の形態を説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、各請求項に記載した範囲を逸脱しない限り、各請求項の記載文言に限定されず、当業者がそれらから容易に置き換えられる範囲にも及び、かつ、当業者が通常有する知識に基づく改良を適宜付加することができる。
【0077】
例えば、本実施形態の一部の実施例においては、基板ケース112,113,118に彩色された成形材料が用いられているが、基板ケース112,113,118を無色透明とし、これらの一部に有色のマーキングを施してもよい。このように、基板ケース112,113,118の一部のみに識別情報標識部を形成することで、基板ケース112,113,118の外部から内部への視認性を高めながら、制御上の機能の異なる基板ケースを的確に識別することができる。したがって、より検査の正確性及び迅速性を高めることが可能である。
また、この場合、マーキングの位置を、検査者の視点、(視認角度)、各種基板201,340,350上の検査主要部(電子部品や基板実装面上の文字印刷部等)、或は、検査視界の妨げとなる障害構造物(基板ケース112,113,118の補強リブ等)を考慮し、検査者の視線上で、各種基板201,340,350上の検査主要部と障害構造物とが重畳しないよう、設定することが好ましい。このようにすることで、検査者が検査主要部を誤認したり、誤認を防ぐために視線をずらすなどの視認性確保動作を別途とることなく、迅速に正確な検査を行なえる。
【0078】
また、本実施形態においては、主制御部140の基板ケース112において、第1及び第2基板ケース112b,112aの結合にワンウェイビス91が用いられ、不可逆性の結合構造が採用されているので、分離操作の都度痕跡を残すことが可能であり、検査の容易化を図る一方で、不正な分離操作の発見及び抑止の効果も併せて奏している。
なお、価値媒体関連制御部を構成する基板ケース112,113,118に上述のような不可逆性の結合構造を採用して外観上の共通性を持たせることにより、他の基板ケース111,114,115との差別化を図ることによっても、制御機能を視覚的に識別できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例たるパチンコ機の正面図。
【図2】その遊技盤の正面図。
【図3】図1のパチンコ機の裏面図。
【図4】図1のパチンコ機の電子制御装置の一例を示すブロック図。
【図5】図4の電子制御装置におけるメインジョブの流れを示すフローチャート。
【図6】その当否判定ジョブの流れを抽出して示すフローチャート。
【図7】図4の主制御部の主要メモリを示す説明図。
【図8】特別図柄メインジョブの流れを示すフローチャート。
【図9】各制御部の構成関係の一例を示すブロック図。
【図10】価値媒体関連制御部の一例として、主制御基板が装備された主制御部の一例を示す斜視図。
【図11】各制御部の構成関係の一例を示すブロック図。
【図12】各制御部の構成関係の一例を示すブロック図。
【図13】各制御部の構成関係の一例を示す遊技機裏面の概略模式図。
【図14】価値媒体関連制御部の一例として、主制御基板が装備された主制御部の一例を示す斜視図。
【図15】価値媒体関連制御部の一例として、主制御基板が装備された主制御部の一例を示す斜視図。
【符号の説明】
1 パチンコ機(遊技機)
111,114,115 基板ケース
112,113,118 基板ケース(識別情報標識手段)
140 主制御部(当否判定手段、識別情報決定手段)
150 払出制御部
160 特別図柄制御部
170 ランプ制御部
180 音声制御部
201a 発射制御部
540 第1制御部
550 価値媒体関連制御部
560 第2制御部
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
審決日 2014-02-14 
出願番号 特願2000-137346(P2000-137346)
審決分類 P 1 41・ 853- Y (A63F)
最終処分 成立  
前審関与審査官 瀬津 太朗  
特許庁審判長 伊藤 陽
特許庁審判官 吉村 尚
長崎 洋一
登録日 2007-02-02 
登録番号 特許第3909551号(P3909551)
発明の名称 遊技機  

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