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審決分類 審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 B01D
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 B01D
管理番号 1286826
審判番号 不服2013-8035  
総通号数 174 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2014-06-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2013-05-01 
確定日 2014-04-10 
事件の表示 特願2010-254723「膜ろ過システム」拒絶査定不服審判事件〔平成23年 2月17日出願公開、特開2011- 31245〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1.手続の経緯
本願は、平成19年5月22日に出願された特願2007-135686号の一部を平成22年11月15日に新たな特許出願としたものであって、平成24年7月12日付けで拒絶理由が通知され、同年9月14日付けで意見書及び手続補正書が提出され、平成25年1月30日付けで拒絶査定がなされ、同年5月1日付けで拒絶査定不服審判の請求がなされると共に手続補正書が提出され、同年9月17日付けで特許法第164条第3項に基づく報告を引用した審尋が通知され、同年11月25日付けで回答書が提出されたものである。

第2.平成25年5月1日付け手続補正についての補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
平成25年5月1日付けの手続補正(以下、「本件補正」という。)を却下する。

[理由]
1.補正の内容
本件補正は、平成24年9月14日付け手続補正書の特許請求の範囲を以下のように補正するものである。なお、下線部は補正箇所である。

<本件補正前>
「 【請求項1】
原水を一時的に貯水する原水槽と、原水をろ過する膜モジュールと、原水槽の原水を膜モジュールに供給する原水ポンプと、膜モジュールでろ過された処理水を貯水する処理水槽と、膜モジュール内に加圧空気を供給するコンプレッサと、処理水を洗浄水として膜モジュールに供給する逆洗水ポンプと、処理水槽内に貯水された処理水の一部を洗浄水として導入して貯水する洗浄水槽と、膜差圧を計測する手段と、流量を計測する手段と、前記膜モジュールをすすぐ原水すすぎ手段とを備えた膜ろ過システムであり、
膜モジュールの洗浄工程において、通常の物理洗浄に所定の頻度で通常の洗浄水よりも高い温度の水を逆通水する温水洗浄を組み合わせ、
この温水洗浄後に前記原水すすぎ手段により前記膜モジュールをすすぐとともに、前記逆洗水ポンプにより処理水を洗浄水として膜モジュールに供給するときに、前記コンプレッサにより膜モジュール内に加圧空気を供給することにより膜モジュールを揺動させることを特徴とする膜ろ過システム。
【請求項2】
前記温水洗浄において、逆通水する時間は逆通水時の膜差圧あるいは流量を計測して、いずれかの値の傾きが一定になる時間により決定することを特徴とする請求項1記載の膜ろ過システム。」

<本件補正後>
「 【請求項1】
原水を一時的に貯水する原水槽と、原水をろ過する膜モジュールと、原水槽の原水を膜モジュールに供給する原水ポンプと、膜モジュールでろ過された処理水を貯水する処理水槽と、膜モジュール内に加圧空気を供給するコンプレッサと、処理水を洗浄水として膜モジュールに供給する逆洗水ポンプと、処理水槽内に貯水された処理水の一部を洗浄水として導入して貯水する洗浄水槽と、膜差圧を計測する手段と、流量を計測する手段と、前記膜モジュールをすすぐ原水すすぎ手段とを備えた膜ろ過システムであり、
膜モジュールの洗浄工程において、通常の物理洗浄に、所定の頻度で通常の洗浄水よりも高い温度の水を逆通水する温水洗浄を組み合わせ、
前記通常の物理洗浄は、前記コンプレッサにより前記膜モジュール内に加圧空気を供給することにより膜モジュールを揺動させ、前記処理水槽内の処理水を洗浄水として前記膜モジュールに供給して行い、前記原水すすぎ手段により前記膜モジュールをすすぎ、 前記温水洗浄は、前記逆通水時の前記膜差圧あるいは前記流量を計測して、いずれかの値の傾きが一定になるまで、ヒータにより温度調整した前記洗浄水槽内の処理水を洗浄水として前記膜モジュールに供給して行い、前記原水すすぎ手段により前記膜モジュールをすすぐことを特徴とする膜ろ過システム。」

2.補正の目的
(1)補正事項
本件補正は、補正前の請求項1を削除して補正前の請求項2の項番を繰り上げて補正後の請求項1とするとともに、以下の補正事項A?Cよりなるものといえる。

(1-1)補正事項A
「通常の物理洗浄」に関して、「前記通常の物理洗浄は、前記コンプレッサにより前記膜モジュール内に加圧空気を供給することにより膜モジュールを揺動させ」、及び「前記処理水槽内の処理水を洗浄水として前記膜モジュールに供給して行い、前記原水すすぎ手段により前記膜モジュールをすすぎ」と限定する。

(1-2)補正事項B
「温水洗浄」に関して、補正前の「逆通水する時間は逆通水時の膜差圧あるいは流量を計測して、いずれかの値の傾きが一定になる時間により決定する」(請求項2)、「この温水洗浄後に前記原水すすぎ手段により前記膜モジュールをすすぐ」(請求項1)を、「前記温水洗浄は、前記逆通水時の前記膜差圧あるいは前記流量を計測して、いずれかの値の傾きが一定になるまで、ヒータにより温度調整した前記洗浄水槽内の処理水を洗浄水として前記膜モジュールに供給して行い、前記原水すすぎ手段により前記膜モジュールをすすぐ」と変更する。

(1-3)補正事項C
補正前の請求項1の「前記逆洗水ポンプにより処理水を洗浄水として膜モジュールに供給するときに、前記コンプレッサにより膜モジュール内に加圧空気を供給することにより膜モジュールを揺動させる」を削除する。

(2)判断
(2-1)補正事項Aについて
補正事項Aにおける「前記通常の物理洗浄は、前記コンプレッサにより前記膜モジュール内に加圧空気を供給することにより膜モジュールを揺動させ」とする点は、補正事項Cによって削除された「前記逆洗水ポンプにより処理水を洗浄水として膜モジュールに供給するときに、前記コンプレッサにより膜モジュール内に加圧空気を供給することにより膜モジュールを揺動させる」との発明特定事項が、物理洗浄に係るものであることを限定したものであり、「前記原水すすぎ手段により前記膜モジュールをすすぎ」とする点は、発明特定事項である「前記膜モジュールをすすぐ原水すすぎ手段」が物理洗浄においても用いられることを明らかにしたものといえる。
よって、本件補正の前後で、発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるといえるので、補正事項Aは、特許請求の範囲の限定的減縮を目的とするものに該当し、また、明りょうでない記載の釈明も目的とするものに該当する。

(2-2)補正事項Bについて
補正後の「前記温水洗浄は、前記逆通水時の前記膜差圧あるいは前記流量を計測して、いずれかの値の傾きが一定になるまで、・・・処理水を洗浄水として前記膜モジュールに供給して行い、前記原水すすぎ手段により前記膜モジュールをすすぐ」の点は、補正前の「前記温水洗浄において、逆通水する時間は逆通水時の膜差圧あるいは流量を計測して、いずれかの値の傾きが一定になる時間により決定する」(請求項2)、及び「 この温水洗浄後に前記原水すすぎ手段により前記膜モジュールをすすぐ」(請求項1)の表現ぶりを変えたものに相当し、補正後の「ヒータにより温度調整した前記洗浄水槽内の処理水」の点は、温水洗浄に用いる「通常の洗浄水よりも高い温度の(洗浄)水」について限定を付したものといえる。
よって、本件補正の前後で、発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるといえるので、補正事項Bは、特許請求の範囲の限定的減縮を目的とするものに該当する。

(2-3)補正事項Cについて
削除された発明特定事項は、補正事項Aにより、補正後においても実質的に限定されて存在するといえる。
よって、本件補正の前後で、発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるといえるので、補正事項Cは、特許請求の範囲の限定的減縮を目的とするものに該当する。

(3)本件補正の目的についての結言
以上から本件補正は特許請求の範囲の限定的減縮、及び明りょうでない記載の釈明を目的としているといえる。
そこで、本件補正後の請求項1に係る発明が特許出願の際独立して特許を受けることができるか否かについて、以下「3.」で検討する。

3.独立特許要件
2-1.補正発明について
本件補正後の請求項1に係る発明(以下、「補正発明」という。)は、平成25年5月1日付け手続補正書によって補正された特許請求の範囲の請求項1に記載される事項によって特定されるとおりのものである(「第2.1.<本件補正後>参照)。

2-2.刊行物の記載
(1)刊行物1
原査定の拒絶の理由に引用文献1として引用され本願の遡及出願日前に頒布された特開2004-73950号公報(以下、「刊行物1」という。)には次の事項が図面と共に記載されている。
(刊1-ア)「・・・膜表面の付着物を除去し高い濾過流束を維持するためには、逆洗時の圧力を高くしたり、逆洗時間を長くすることが有効である。しかし、これらは濾水あるいは清澄水を多く使用することになり、得られる濾水量の低下や高価な清澄水を使用することから、逆洗に要するコストを増加させることになる。また逆洗圧力を高くすると濾過膜やモジュール、配管に負荷を掛け、濾過寿命が短くなるだけでなくこれらの破裂、漏液をもたらす恐れがある。」(【0004】)
(刊1-イ)「・・・あるいは濾過膜の原水側から空気、オゾンガス等の気泡を導入して膜を揺動させる方法を併用すると一層の逆洗効果を得ることができる。・・・」(【0008】)
(刊1-ウ)「逆洗工程の時間は、濾過流束の回復性と濾過水の回収率を勘案して適宜決めれよい。」(【0012】)
当審注:「決めれよい。」は「決めればよい。」の誤記と認める。
(刊1-エ)「【発明の実施の形態】以下に、本発明の実施例を示す。
原水1として、濁度が5?20度、水温が18?25℃の河川表流水を用いた。図3に示すように、原水1は循環タンク2を経て原水供給ポンプ3により膜モジュール4へ圧送され、得られた濾過水は逆洗タンクを兼用する濾水タンク5に貯められる。逆洗時に、濾水タンク5中の濾過水は逆洗ポンプ6により膜モジュール4へ送られ逆洗が行われるが、ここで逆洗ポンプ6から膜モジュール4へ至る配管の途中に酸化剤タンク7の酸化剤を、酸化剤送液ポンプ8により逆洗水に添加することができる。また、膜モジュール4に気泡を導入するエアーバブリングは、コンプレッサー11で圧縮した空気を、膜モジュール4の原水側へ供給して行われる。パルス状の膜透過の圧力はタイマーより開閉する電磁弁10を短時間に開閉を繰り返すことで逆洗媒体に与えることができる。」(【0020】)
(刊1-オ)「【実施例1】濾過は膜モジュール4へ原水1を一定圧力で供給する定圧濾過とし、また、膜濾過水量と循環水量の比を5対1としたクロスフロー方式で行った。運転条件は、濾過を20分間行った後、逆洗を30秒間の繰り返しでを行った。この逆洗の際に電磁弁10を1秒間開き、4秒間閉じる周期を6回繰り返してパルス状の膜透過圧力を逆洗水に与えた。電磁弁が開いた際の濾過膜側の最高膜透過圧力は110KPa、電磁弁が閉じた状態では0KPaであった。この時の濾水回収率(得られた慮水量/濾過した原水量)は98%であった。上記運転条件で3ヶ月間運転した後の膜濾過流量は、3.1m^(3)/m^(2)/日であった。」(【0022】)
(刊1-カ)「【実施例6】
実施例1において、濾過を20分間行った後、電磁弁10を1秒間開き、4秒間閉じる周期を6回繰り返してパルス状の膜透過圧力を逆洗水に与える逆洗と同時にモジュール下部から毎時2Nm^(3)の空気を濾過膜の原水側に導入してエアーバブリングを30秒間行うという操作を繰り返した。3ヶ月後の膜濾過流量は3.5m^(3)/m^(2)/日であった。」(【0029】)
(刊1-キ)「【実施例8】
実施例6において、コンプレッサー9を空気源を用いたオゾン発生機につなぎ変えて実施例3の空気をオゾンガスに変えた以外は実施例3と同条件で膜濾過装置の運転を行った。この時のオゾンガス濃度は、20g/m^(3)であった。3ヶ月後の膜濾過流量は4.3m^(3)/m^(2)/日であった。」(【0031】)
(刊1-ク)「本発明の膜の洗浄方法を組み込んだ処理フローの一例を示したもの」(【図面の簡単な説明】)と題された【図3】(7頁)には、(刊1-エ)の記載事項をみてとることができる。
なお、【図3】の「コンプレッサー9」と(刊1-エ)の「コンプレッサー11」について、(刊1-カ)に「【実施例6】実施例1において・・・空気を濾過膜の原水側に導入してエアーバブリングを30秒間行う」とあり、(刊1-キ)に「実施例6において、コンプレッサー9を空気源を用いたオゾン発生機につなぎ変えて実施例3の空気をオゾンガスに変えた」とあり、(刊1-エ)は「実施例1」についてのものであるので、「膜モジュール4に気泡を導入するエアーバブリング」を行うのは「コンプレッサー11」であるから、「コンプレッサー9」と「コンプレッサー11」は同一物である。



(2)刊行物2
原査定の拒絶の理由に引用文献2として引用され本願の遡及出願日前に頒布された特開平10-192850号公報(以下、「刊行物2」という。)には次の事項が図面と共に記載されている。
(刊2-ア)「【請求項1】透過膜によって原水側と透過水側とが隔てられている膜分離装置の洗浄装置であって、該透過水側に逆洗水を供給する手段と、該透過水側に温水を供給する手段とを備えたことを特徴とする膜分離装置の洗浄装置。」(【特許請求の範囲】)
(刊2-イ)「【発明が解決しようとする課題】空気や透過水によって透過側から原水側へ逆洗する場合、膜面に付着した微生物を完全に除去するには、頻繁な逆洗、高圧の逆洗などを必要とし、それ故にモジュール形状に制限がある。例えば、スパイラル型モジュールの場合では高圧空気逆洗は困難である。」(【0006】)
(刊2-ウ)「かかる本発明においては、例えば透過水で透過膜を定期的に逆洗すると共に、それよりも低い頻度で温水(例えば透過水を加熱した温水)で逆洗する。この温水逆洗により、膜面に付着する微生物量を減少させることができる。」(【0011】)
(刊2-エ)「透過水タンク27,28内の透過水の一部は、配管33,34,35及び弁33a,34a,35aを経て温水タンク36へ導入され、ヒータ37によって加熱されて温水となる。この温水は、弁38a、配管38,39,40、三方弁23,24、配管21,22を経て膜分離装置50,60の透過水側52,62へ導入される。」(【0016】)
(刊2-オ)「(I)透過水製造運転・・・(II)透過水による逆洗運転・・・(III) 温水による逆洗運転・・・この運転方法では、上記(II)の透過水逆洗を15?30分に1回の割合で行い、上記(III)の温水逆洗を3?15時間に1回の割合で行っているが、この逆洗頻度は膜分離装置の構成や原水性状等に応じ適宜に選定される。」(【0021】?【0027】)
(刊2-カ)「実施の形態に係る洗浄装置を備えた膜分離装置の系統図」と題された【図1】(4頁)には、(刊2-エ)の記載事項がみてとれる。



(3)刊行物3
原査定の拒絶の理由に引用文献9として引用され本願の遡及出願日前に頒布された特開2005-246156号公報(以下、「刊行物3」という。)には次の事項が図面と共に記載されている。
(刊3-ア)「本発明は、水を浄化処理するためのろ過膜の逆洗方法に関する。」(【0001】)
(刊3-イ)「・・・この逆洗の所要時間は全ろ過運転時間の約5?10%達するので、ろ過運転効率の向上のためには、逆洗時間の短縮化が要望されていた。また、逆洗によるろ過能力の回復率は通常60%?90%程度であって、これをさらに向上させ得る技術手段の開発も要望されていた。
・・・
本発明は、上記のろ過膜の逆洗方法において、問題点を解決するためになされたものであり、逆洗時間を短縮でき、逆洗によるろ過能力の回復率も向上できるろ過膜の逆洗方法を提供する。」(【0004】、【0005】)
(刊3-ウ)「次に、本発明のろ過膜の逆洗方法に係る実施形態について、図1、2を参照しながら説明する。
(1)逆洗準備・・・
(2)加圧逆洗水の供給・・・
(3)断続加圧・・・
(4)逆洗水の加熱:逆洗水を30℃?90℃の温度に加熱して逆洗に使用するのが好ましい。これは、洗浄効果を向上させるためであり、この目的には、図2に示すように、ろ過水dを加圧タンク3に送給して逆洗水eとして利用するのが好ましい。その理由は、供給原水b自体が循環運転にともない循環ポンプPの発熱によって加熱されているので、そこから抽出されたろ過水dもある程度の温度を有しているからである。
(5)原水の循環運転:以上の説明は供給原水b、返送原水cなどの循環運転を停止した状態における逆洗を例示したが、本発明では、前記逆洗を行うに当たりこの循環運転を行うのもより好ましい方法である。この循環運転によるろ過膜12の表面の洗浄効果が逆洗に加わることによって、ろ過膜表面とろ過細孔内に堆積した閉塞物を効果的に除去できるようになる。なお、この循環運転を行う場合でも、逆洗水の前記逆洗圧力が0.4?1.0MPaの範囲、より好ましくは0.4?0.5MPaの範囲を維持するよう調整することが重要である。
(6)ろ過運転再開:逆洗バルブ31を閉じ、逆洗操作を終了する。ろ過再開に先立って、循環運転を5?10分程度継続し、循環流束や膜面の状態が定常状態になる時間を設ける。次いで、ろ過再開に当たって、ろ過膜に急激な負荷をかけないよう配慮し、ろ過水バルブ14を予め決めた開度まで1?5分かけてゆっくり開くようにする。」(【0010】-【0016】)
(刊3-エ)「・・・逆洗所要時間は、約30%の短縮効果が認められ、またろ過性能回復率も85%から95%に向上することが分った。・・・」(【0017】)
(刊3-オ)「他の実施形態を説明するための膜ろ過装置の要部ブロック図」と題された【図2】(5頁)には、(刊3-イ)の記載事項がみてとれる。



2-3.刊行物1に記載された発明の認定
(1)(刊1-エ)には、(刊1-ク)の視認事項と併せてみると、
「原水1」が経る「循環タンク2」と、原水を濾過する「膜モジュール4」と、「原水1」を「膜モジュール4」へ「圧送」する「原水供給ポンプ3」と、「得られた濾過水」を「貯め」る「濾水タンク5」と、「膜モジュール4に気泡を導入するエアーバブリング」を行う「コンプレッサー11(9)」と、「濾過水」を「膜モジュール4」へ「逆洗水」として送る「逆洗ポンプ6」と、「濾水タンク5」と「兼用」され「貯め」られた「濾過水」を「逆洗水」とする「逆洗タンク」が示され、逆洗時に、「パルス状の膜透過の圧力」が与えられて「濾水タンク5」の「濾過水」が「逆洗水」として「膜モジュール4」へ送られることが示されているといえ、これらの各種装置は、例えば実施例の一つを記載する(刊1-キ)に「膜濾過装置」として運転されることが記載されるから、「膜濾過装置」の構成であるということができる。
なお、「電磁弁10」は「パルス状の膜透過の圧力」を与える手段にすぎず、「酸化剤は逆洗水に添加することができる」ものだから、「酸化剤」の添加は任意である。
(2)(刊1-オ)の記載をみると、濾過時において「濾過は膜モジュール4へ原水1を一定圧力で供給する定圧濾過」とするためには、「膜モジュール4」の原水側に「定圧」を保つために圧力計を要するはずであり、逆洗の際に「濾過膜側の最高膜透過圧力」を計測しているから「膜モジュール4」の濾過水側にも圧力計があるものといえ、両者の計測値から膜差圧が計測できることから、上記「膜濾過装置」は、膜差圧計を有するといえ、また、「膜透過流量」を計測しているから流量計も有するといえる。
(3)上記(1)の「膜モジュール4に気泡を導入するエアーバブリング」を行う「コンプレッサー11」について、(刊1-エ)には「膜モジュール4に気泡を導入するエアーバブリングは、コンプレッサー11で圧縮した空気を、膜モジュール4の原水側へ供給して行われる」とあり、(刊1-イ)に「濾過膜の原水側から空気、オゾンガス等の気泡を導入して膜を揺動させる方法を併用すると一層の逆洗効果を得ることができる。」とあることから、「コンプレッサー11」は、「逆洗時」に圧縮した空気を「膜モジュール4」の原水側へ導入して「膜を揺動させ」るものといえる。
(4)(刊1-ウ)から、上記「膜濾過装置」において、逆洗時間は、「濾過流束の回復性と濾過水の回収率を勘案して適宜決め」られるものといえる。
(5)以上の検討を踏まえ、補正発明の記載に沿って整理すれば、刊行物1には、
「原水が経る循環タンクと、原水を濾過する膜モジュールと、原水を膜モジュールへ圧送する原水供給ポンプと、得られた濾過水を貯める濾水タンクと、膜モジュールに気泡を導入するエアーバブリングを行うコンプレッサーと、濾過水を膜モジュールへ逆洗水として送る逆洗ポンプと、濾水タンクと兼用され貯められた濾過水を逆洗水とする逆洗タンクと、膜差圧計と、流量計と、を備えた膜濾過装置であって、
逆洗時に、パルス状の膜透過の圧力が与えられて濾水タンクの濾過水が逆洗水として膜モジュールへ送られ、コンプレッサーにより膜モジュールへ圧縮した空気を導入して膜モジュールを揺動させ、
逆洗時間は、濾過流束の回復性と濾過水の回収率を勘案して適宜決められる、膜濾過装置。」の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されているといえる。

2-4.補正発明と引用発明との対比
(1)引用発明の「原水が経る循環タンク」、「原水を濾過する膜モジュール」、「原水を膜モジュールへ圧送する原水供給ポンプ」、「得られた濾過水を貯める濾水タンク」、「膜モジュールに気泡を導入するエアーバブリングを行うコンプレッサー」、「濾過水を膜モジュールへ逆洗水として送る逆洗ポンプ」、「膜差圧計」、「流量計」は、
補正発明の「原水を一時的に貯水する原水槽」、「原水をろ過する膜モジュール」、「原水槽の原水を膜モジュールに供給する原水ポンプ」、「膜モジュールでろ過された処理水を貯水する処理水槽」、「膜モジュール内に加圧空気を供給するコンプレッサ」、「処理水を洗浄水として膜モジュールに供給する逆洗水ポンプ」、「膜差圧を計測する手段」、「流量を計測する手段」、
にそれぞれ相当するといえる。
(2)引用発明の「濾水タンクと兼用され貯められた濾過水を逆洗水とする逆洗タンク」について、引用発明は「濾過水」を得るものだから、「逆洗水」とするのはその一部であるということができ、また、機能としては「貯められた濾過水を逆洗水とする」ものだから、補正発明と引用発明とは「貯水された処理水の一部を洗浄水として導入して貯水する洗浄水槽」を有するという点で共通するということができる。
(3)引用発明の「膜濾過装置」は、種々の装置を有し、それらを操作することで濾過と逆洗を行い得ることから、補正発明の「膜ろ過システム」に相当するといい得る。
(4)補正発明は「膜モジュールの洗浄工程において、通常の物理洗浄に、所定の頻度で通常の洗浄水よりも高い温度の水を逆通水する温水洗浄を組み合わせ」るもので、引用発明の「逆洗」は、「逆洗水」を「高い温度」にするものではないから、補正発明の「通常の物理洗浄」にあたるものといえる。
(5)すると、引用発明の「逆洗時に、パルス状の膜透過の圧力が与えられて濾水タンクの濾過水が逆洗水として膜モジュールへ送られ、コンプレッサーにより膜モジュールへ圧縮した空気を導入して膜モジュールを揺動させ」ることは、補正発明の「通常の物理洗浄」で「前記コンプレッサにより前記膜モジュール内に加圧空気を供給することにより膜モジュールを揺動させ、前記処理水槽内の処理水を洗浄水として前記膜モジュールに供給して行」うことに包含されるといえる。
(6)以上を勘案すると、補正発明と引用発明とは
「原水を一時的に貯水する原水槽と、原水をろ過する膜モジュールと、原水槽の原水を膜モジュールに供給する原水ポンプと、膜モジュールでろ過された処理水を貯水する処理水槽と、膜モジュール内に加圧空気を供給するコンプレッサと、処理水を洗浄水として膜モジュールに供給する逆洗水ポンプと、貯水された処理水の一部を洗浄水として導入して貯水する洗浄水槽、膜差圧を計測する手段と、流量を計測する手段と、前記膜モジュールをすすぐ原水すすぎ手段とを備えた膜ろ過システムであり、
通常の物理洗浄は、前記コンプレッサにより前記膜モジュール内に加圧空気を供給することにより膜モジュールを揺動させ、前記処理水槽内の処理水を洗浄水として前記膜モジュールに供給して行う、膜ろ過システム。」である点で一致し、以下の点で相違するといえる。

<相違点1>「洗浄水槽」と「膜モジュールの洗浄工程」について、補正発明では「洗浄水槽」と「処理水槽」とは別々のものであり、「通常の物理洗浄に、所定の頻度で通常の洗浄水よりも高い温度の水を逆通水する温水洗浄を組み合わせ」るものであるのに対して、引用発明では「逆洗タンク」(「洗浄水槽」)が「濾水タンク」(「処理水槽」)と「兼用」されており、「通常の物理洗浄」のみが行われるものである点。

<相違点2>「原水すすぎ手段」について、補正発明は「通常の物理洗浄」「温水洗浄」に際して、「通常の洗浄水」「温水」の「逆通水」の後で「前記原水すすぎ手段により前記膜モジュールをすす」ぐものであるのに対して、引用発明は「原水すすぎ手段」を有さない点。

<相違点3>逆洗時間について、補正発明は「温水洗浄」において「前記逆通水時の前記膜差圧あるいは前記流量を計測して、いずれかの値の傾きが一定になるまで、ヒータにより温度調整した前記洗浄水槽内の処理水を洗浄水として前記膜モジュールに供給して行」うものであるのに対して、引用発明は「通常の物理洗浄」において「濾過流束の回復性と濾過水の回収率を勘案して適宜決め」られるものである点。

2-5.相違点の検討
2-5-1.相違点1について
(1)刊行物2の(刊2-イ)、(刊2-ウ)には、(刊2-ア)に記載の「膜分離装置の洗浄装置」について、「透過水」による「逆洗」では「透過膜」の「膜面に付着する微生物量を減少させる」ことが困難なので、「透過水で透過膜を定期的に逆洗すると共に、それよりも低い頻度で温水(例えば透過水を加熱した温水)で逆洗する」ことが示されており、(刊2-オ)にはその具体例も示されており、これは「通常の物理洗浄に、所定の頻度で通常の洗浄水よりも高い温度の水を逆通水する温水洗浄を組み合わせ」ることにあたるといえる。
(2)ここで、引例発明は、(刊1-ア)に記載されるように「膜表面の付着物を除去し高い濾過流束を維持するため」に逆洗を行うものであり、刊行物2の(刊2-イ)に記載されるように「空気や透過水によって透過側から原水側へ逆洗する場合、膜面に付着した微生物を完全に除去するには、頻繁な逆洗、高圧の逆洗などを必要と」することは一般的に知られていることを考慮すれば、引用発明でもより容易に高度に膜表面を洗浄できるようにすることは当然に希求されていることといえる。
(3)すると、刊行物2には「通常の物理洗浄に、所定の頻度で通常の洗浄水よりも高い温度の水を逆通水する温水洗浄を組み合わせ」るに際して、(刊2-カ)、(刊2-エ)には、「透過水タンク27,28」(「濾水タンク」)と「ヒータ37」で加熱する「温水タンク36」(「逆洗タンク」)とを別々に設置するという技術手段を採用することが示されているから、より容易に高度に膜表面を洗浄できることが希求される引用発明において、刊行物2に示される技術手段を適用して、「通常の物理洗浄に、所定の頻度で通常の洗浄水よりも高い温度の水を逆通水する温水洗浄を組み合わせ」て、その際に、「逆洗タンク」(ヒータで加熱する)と「濾水タンク」とを別々のものとすることに格別の困難性は見いだせない。

2-5-2.相違点2について
(1)上記「2-5-1.」でみたように、刊行物2には「通常の物理洗浄に、所定の頻度で通常の洗浄水よりも高い温度の水を逆通水する温水洗浄を組み合わせ」ることが示されているといえる。
(2)また、刊行物3の(刊3-イ)、(刊3-ウ)には、「逆洗時間を短縮でき、逆洗によるろ過能力の回復率も向上できるろ過膜の逆洗方法」について、「逆洗水を30℃?90℃の温度に加熱して逆洗に使用する」こと、「逆洗操作を終了」してから「ろ過再開に先立って、循環運転を5?10分程度継続」することが記載されており、「供給原水b、返送原水cなどの循環運転」は、(刊3-オ)の【図2】を併せてみれば、「原水」が「ろ過膜12」の一次側を「すすぐ」流れを生じさせるものといえる。
そして、さらに(刊3-ウ)をみると、「循環運転」によれば、A)逆洗により「ろ過膜12」より除去されて「ろ過膜12」の一次側に滞留している「ろ過膜表面とろ過細孔内に堆積した閉塞物を効果的に除去できる」ものであり、B)「逆洗操作を終了」した後に「循環運転」を一定時間行えば、「ろ過再開に先立って」、「循環流束や膜面の状態」を「ろ過」運転の「定常状態になる」ようにしておくことができるといえるし、「定常状態」であれば、温水による逆洗が先行していても、「ろ過膜表面」の温度は「ろ過」運転の温度になっており、「ろ過膜表面とろ過細孔」の状態も「ろ過」運転の状態になっているものといえる。
(3)すると、刊行物3の(刊3-イ)の記載から「逆洗時間を短縮でき、逆洗によるろ過能力の回復率も向上」することも求められていることが知られており、また、上記「2-5-1.」でみたように、刊行物2の記載から「空気や透過水によって透過側から原水側へ逆洗する場合、膜面に付着した微生物を完全に除去するには、頻繁な逆洗、高圧の逆洗などを必要と」することも知られており、さらに、引用発明でもより容易に高度に膜表面を洗浄できるようにすることは当然に希求されていることを勘案すれば、引用発明において刊行物2、3に示される技術的事項を適用して、「通常の物理洗浄」に所定の頻度で温水による逆洗を加えるようにして容易に高度な膜表面の洗浄をなし、主に上記A)の効果を求めて「通常の物理洗浄」の際に逆洗後にろ過膜のすすぎを行い、主に上記A)及びB)の効果を求めて「温水洗浄」の際に逆洗後にろ過膜のすすぎを行うようにすることに、格別の困難性は見いだせない。

2-5-3.相違点3について
(1)原査定の拒絶の理由に引用文献3として引用され本願の遡及出願日前に頒布された特開昭61-197004号公報(以下、「周知例1」という。)には、引用発明と同様に、第1図に示されるような逆洗を行う膜を用いる「濾過装置の運転方法」において、第2、3図には、横軸に「総被処理物質捕捉量」、縦軸に「フィルタ差圧」をとったときに、濾過と逆洗を繰り返していくうちに、「逆洗後はじめての通液開始後の差圧」が徐々に上昇していくことがみてとれ、これは「逆洗をくり返してもフィルタエレメントそのものの汚れは徐々に進行する」(2頁左上欄5?7行)と記載されていることから、濾過後に逆洗を行っても完全には「フィルタ」に「捕捉」された「被処理物質」をとりきれないことから、逆洗を行っても膜の初期差圧までは回復できないことを示すものといえる。
(2)上記刊行物3には、引用発明と同様に逆洗を行う膜を用いる「ろ過膜の逆洗方法」(刊3-ア)において、「・・・逆洗によるろ過能力の回復率は通常60%?90%程度であって、これをさらに向上させ得る技術手段の開発も要望されていた。」(刊3-イ)と記載され、また温水を用いた逆洗であっても「・・・ろ過性能回復率も85%から95%に向上することが分った。・・・」(刊3-エ)と記載されており、刊行物3に記載されるような温水による逆洗であってもろ過性能は完全には回復しないことが示されているといえる。
(3)本願の遡及出願日前に頒布された特開2002-18245号公報(以下、「周知例2」という。)には、引用発明と同様に逆洗を行う膜を用いる「多孔質濾過及びその運用方法」(【0001】)において、「純水・超純水処理に用いられてきた多孔膜は有機高分子のものが多い。これらの膜は、処理対象水の水質、膜の構造や材質などによって汚染の度合いは若干異なるが、概して汚染し易く、及び/又は、逆洗により初期差圧まで回復しないので、汚染度の高い排水等の濾過処理に用いた場合には、定期的に逆洗を行いながら運転を行っても、徐々に運転差圧が上昇して通水不能に陥ってしまう場合が多かった。」(【0005】)と記載されており、「逆洗により初期差圧まで回復しない」ことが示されているといえる。
(4)以上に示されるように、逆洗媒体の温度によらず、濾過膜の逆洗を行っても、ろ過性能としての膜差圧は、初期差圧までは回復できないことは周知技術ということができる。
これは、逆洗によって一定の膜差圧まで回復した場合、さらに時間をかけて逆洗を行っても膜差圧のそれ以上の回復は見込まれないことを意味するといえる。
ここで、膜差圧の回復とは、膜表面の付着物がとれて、付着物によって水の膜透過が阻害されていたものが回復することだから、初期差圧までの膜差圧の低下を意味することは明らかである。
すると、上記周知技術は、逆洗中に、膜の付着物が除去されていき、時間の経過と共に膜差圧が低下していくが、一定の時間を過ぎると、除去しきれない付着物だけが膜に付着した状態となり、時間が経過しても膜差圧は変化せずに略一定値を採る、すなわち傾きが一定になるようになり、初期差圧まで低下することはないということを意味するといえる。
そして、逆洗時間の設定に際して、膜差圧の回復が見込まれないのに逆洗を続けることは考え難いから、逆洗時間は逆洗効果のある範囲内で決定されること、すなわち、逆洗時間は、上記膜差圧の値が一定になるまでとするのが自然といえる。
してみれば、引用発明は「逆洗時間」を「濾過流束の回復性と濾過水の回収率を勘案して適宜決め」るものであるから、引用発明において温水逆洗を行う場合に、濾過差圧(濾過流量)の回復すなわち「濾過流束の回復性」が温水逆洗によってもある値以上見込まれないことを見越して、温水逆洗の効果がある範囲で洗浄時間を決定するようにして、「・・・前記傾きが一定になるまで」温水を逆通水するようにすることは、当業者が容易になし得たことである。
また、(刊2-カ)を併せてみると、(刊2-エ)には「透過水タンク27,28内の透過水の一部は、配管33,34,35及び弁33a,34a,35aを経て温水タンク36へ導入され、ヒータ37によって加熱されて温水となる。この温水は、弁38a、配管38,39,40、三方弁23,24、配管21,22を経て膜分離装置50,60の透過水側52,62へ導入される。」と記載されており、「温水」は、「温水タンク36」内の「透過水」が「ヒータ37」で加熱されて「膜分離装置50,60」へ供給されるから、これは「ヒータにより温度調整した前記洗浄水槽内の処理水を洗浄水として前記膜モジュールに供給」することにあたり、引用発明において温水の供給をそのようになすことに何らの困難性も認められない。

2-5-4.相違点についてのまとめ
よって、引用発明において相違点1-3に係る補正発明の特定事項に想到することは当業者の容易に推考し得るところということができ、上記各相違点に基づく本願発明の奏する作用効果も、刊行物1-3の記載事項、周知例1、2及び技術常識から予測できる範囲のものであり格別なものではない。
以上から、補正発明は、引用発明、刊行物2、3に記載の技術手段、周知例1、2及び技術常識に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであって、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。
したがって、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項の規定において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

第3.本願発明について
1.本願発明
平成25年5月1日付けの手続補正は上記「第2.」のとおり却下されたので、本願の発明は、平成24年9月14日付け手続補正書によって補正された特許請求の範囲の請求項1、2に記載される事項によって特定されるとおりのものであるところ、その請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は以下のとおりのものである。

「【請求項1】
原水を一時的に貯水する原水槽と、原水をろ過する膜モジュールと、原水槽の原水を膜モジュールに供給する原水ポンプと、膜モジュールでろ過された処理水を貯水する処理水槽と、膜モジュール内に加圧空気を供給するコンプレッサと、処理水を洗浄水として膜モジュールに供給する逆洗水ポンプと、処理水槽内に貯水された処理水の一部を洗浄水として導入して貯水する洗浄水槽と、膜差圧を計測する手段と、流量を計測する手段と、前記膜モジュールをすすぐ原水すすぎ手段とを備えた膜ろ過システムであり、
膜モジュールの洗浄工程において、通常の物理洗浄に所定の頻度で通常の洗浄水よりも高い温度の水を逆通水する温水洗浄を組み合わせ、
この温水洗浄後に前記原水すすぎ手段により前記膜モジュールをすすぐとともに、前記逆洗水ポンプにより処理水を洗浄水として膜モジュールに供給するときに、前記コンプレッサにより膜モジュール内に加圧空気を供給することにより膜モジュールを揺動させることを特徴とする膜ろ過システム。」

2.刊行物の記載と引用発明
刊行物の記載は、上記「2-2.刊行物の記載」に記載のとおりである。 引用発明は「2-3.刊行物1に記載された発明の認定」に記載のとおりである。

3.本願発明と引用発明との対比
上記「第2.」で記載したように、本願発明は、
i)補正発明の「前記通常の物理洗浄は、前記コンプレッサにより前記膜モジュール内に加圧空気を供給することにより膜モジュールを揺動させ、前記処理水槽内の処理水を洗浄水として前記膜モジュールに供給して行い、前記原水すすぎ手段により前記膜モジュールをすすぎ、」において、「前記通常の物理洗浄は、」及び「前記原水すすぎ手段により前記膜モジュールをすすぎ、」という特定事項を削除し、
ii)補正発明の「前記温水洗浄は、前記逆通水時の前記膜差圧あるいは前記流量を計測して、いずれかの値の傾きが一定になるまで、ヒータにより温度調整した前記洗浄水槽内の処理水を洗浄水として前記膜モジュールに供給して行い、前記原水すすぎ手段により前記膜モジュールをすすぐ」において、「傾きが一定になるまで・・・供給して行い」を「いずれかの値の傾きが一定になる時間により決定する」に特定事項を拡張し、「処理水」を「ヒータにより温度調整」するという特定事項を削除したものであるといえる。
iii)よって、本願発明は補正発明を拡張した発明といえる。
iv)すると、本願発明の特定事項を全て含み、上記の特定事項によりさらに限定的に特定された補正発明が、上記「第2.」に記載したとおり、引用発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も、補正発明と同様の理由により当業者が容易に発明をすることができたものである。

第4.むすび
以上のとおり、本願発明は引用発明、刊行物2、3に記載の技術手段、周知例1、2及び技術常識に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、その余の請求項に係る発明について言及するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2014-02-05 
結審通知日 2014-02-12 
審決日 2014-02-26 
出願番号 特願2010-254723(P2010-254723)
審決分類 P 1 8・ 575- Z (B01D)
P 1 8・ 121- Z (B01D)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 池田 周士郎  
特許庁審判長 吉水 純子
特許庁審判官 真々田 忠博
中澤 登
発明の名称 膜ろ過システム  
代理人 岡田 貴志  
代理人 峰 隆司  
代理人 福原 淑弘  
代理人 野河 信久  
代理人 蔵田 昌俊  
代理人 竹内 将訓  
代理人 佐藤 立志  
代理人 幸長 保次郎  
代理人 白根 俊郎  
代理人 中村 誠  
代理人 砂川 克  
代理人 堀内 美保子  
代理人 河野 直樹  
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