ポートフォリオを新規に作成して保存 |
|
|
既存のポートフォリオに追加保存 |
|
PDFをダウンロード |
審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 B60B |
---|---|
管理番号 | 1286994 |
審判番号 | 不服2013-13648 |
総通号数 | 174 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2014-06-27 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2013-07-16 |
確定日 | 2014-05-07 |
事件の表示 | 特願2008- 84709「自動二輪車用ホイール」拒絶査定不服審判事件〔平成21年10月15日出願公開、特開2009-234477、請求項の数(2)〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 |
理由 |
第1 手続の経緯 本願は、平成20年 3月27日の出願であって、平成25年 1月 7日付けで拒絶理由が通知され、平成25年 3月14日付けで手続補正がされ、平成25年 5月 9日付けで拒絶査定がされ、これに対し、平成25年 7月16日に拒絶査定不服審判が請求され、同時に手続補正がされたものである。 そして、当審において、平成25年 8月19日付けで審査官により作成された前置報告書について、平成25年 9月25日付けで審尋を行ったところ、審判請求人は平成25年12月 2日付けで回答書を提出した。 第2 平成25年 7月16日付けの手続補正(以下、「本件補正」という。)の適否 1.補正の内容 本件補正は、 特許請求の範囲を、 「【請求項1】 車軸に支持されるハブ(42)と、外周部にタイヤ(41)を装着可能なリム(44)と、半径方向に延びて前記ハブ(42)と前記リム(44)を連接する、断面形状が略U字形状の複数のスポーク(46)と、が一体に鋳造成形された自動二輪車用ホイール(40)において、 前記ハブ(42)を挟んで対向する一対のスポーク(47,48)の一方(47)が、内径側のスポーク基部(46a)においてリム中心線(CL)を通る平面よりホイール(40)の軸方向一方に偏寄するとともにその方向に凸状となるように湾曲しながら外径側端部に向かって延び、 前記ハブ(42)を挟んで対向する一対のスポーク(47,48)の他方(48)が、内径側のスポーク基部(46a)においてリム中心線(CL)を通る平面よりホイール(40)の軸方向他方に偏寄するとともにその方向に凸状となるように湾曲しながら外径側端部に向かって延び、 前記ハブ(42)は、車軸側に設けたインナーハブ(42a)と、前記インナーハブ(42a)の径方向外側に設けたアウターハブ(42b)と、前記インナーハブ(42a)と前記アウターハブ(42b)の一端部を連結する側壁(43)と、を含み、 前記一対のスポーク(47,48)のうちU字形状が前記側壁(43)とは逆方向に開放する一方のスポーク(47)には、前記側壁(43)の表面上において前記スポーク基部(46a)がホイール(40)中心に向かって膨出する膨出部(46b)が、前記一対のスポーク(47,48)の一方(47)の表面から連続するように形成されており、こ れにより前記側壁(43)には正面視で略三角形状の凹凸が形成され、 前記側壁(43)が形成される端部とは反対側の前記アウターハブ(42b)の端部には、所定の制動手段を取り付けるためのボルトをねじ込むボルト穴(42c)が形成され、 前記一対のスポーク(47,48)のうちU字形状が前記側壁(43)とは同方向に開放する他方のスポーク(48)において、U字形状の底部は、前記アウターハブ(42b)のうち前記ボルト穴(42c)が形成される部分に接続していることを特徴とする自動二輪車用ホイール。 【請求項2】 隣接するスポーク(47,48)の一方(47)が、内径側のスポーク基部(46a)においてリム中心線(CL)を通る平面よりホイール(40)の軸方向一方に偏寄するとともにその方向に凸状となるように湾曲しながら外径側端部に向かって延び、隣接するスポーク(47,48)の他方(48)が、内径側のスポーク基部(46a)においてリム 中心線(CL)を通る平面よりホイール(40)の軸方向他方に偏寄するとともにその方向に凸状となるように湾曲しながら外径側端部に向かって延びることを特徴とする請求項1に記載の自動二輪車用ホイール。」と補正するものである。 2.補正の適否 本件補正は、請求項1に記載した発明を特定するために必要な事項である「一対のスポーク(47,48)の一方(47)」について、「一対のスポーク(47,48)のうちU字形状が前記側壁(43)とは逆方向に開放する一方のスポーク(47)」と限定し、「一対のスポーク(47,48)の他方(48)」について、「一対のスポーク(47,48)のうちU字形状が前記側壁(43)とは同方向に開放する他方のスポーク(48)において、U字形状の底部は、前記アウターハブ(42b)のうち前記ボルト穴(42c)が形成される部分に接続している」と限定するものであって、補正前の請求項1に記載された発明と補正後の請求項1に記載された発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるから、特許法第17条の2第5項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。 また、特許法第17条の2第3項、第4項に違反するところはない。 そこで、本件補正後の前記請求項1に記載された発明(以下、「補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか)について以下に検討する。 (1)刊行物の記載事項 (1-1)原査定の拒絶の理由に引用された特開2003-320801号公報(以下、「引用例1」という。)には、「自動二輪車用ホイール」に関する発明が開示されており、そこには、図面とともに次の事項が記載されている。 ・「【請求項1】 車軸で回転可能に支持するハブ部と、このハブ部にスポーク部を介して連結したリム部とからなる自動二輪車用ホイールにおいて、 前記ハブ部は、前記車軸側に配置したインナハブと、このインナハブの外周側に配置し前記スポーク部に連結したアウタハブと、これらのインナハブ及びアウタハブを一体に連結する連結部とからなり、インナハブとアウタハブとの間に、軸方向に窪ませるとともに開口部と底部とを互いに反対側に形成した2種の凹部を円周方向に交互に配置したことを特徴とする自動二輪車用ホイール。」 ・「【0015】図2は本発明に係るフロントホイールの側面図であり、フロントホイール31は、車軸50(図1参照)に取付けるためのハブ部65と、このハブ部65からほぼ径外方に延ばしたスポーク部66…と、これらのスポーク部66…の先端に取付けることでタイヤ32(図1参照)を保持するリム部67とからなる。 【0016】図3(a),(b)は本発明に係るホイールのハブ部を示す側面図であり、(a)はハブ部65の左側面図、(b)はハブ部65の右側面図である。(a)において、ハブ部65は、連結部としての一方の側壁71に、ブレーキディスク38(図1参照)を取付けるためのボス部72…と、第1凹部73…とをほぼ同一円周上に交互に形成した部分である。各ボス部72は、例えば、円周方向に60°等分に配置したものであり、各第1凹部73は、各ボス部72から30°隔てて円周方向に60°等分に配置したものである。なお、74…はボス部72…にブレーキディスク38を取付けるためのボルト(不図示)をねじ込むボルト穴である。 【0017】(b)において、ハブ部65は、連結部としての他方の側壁75に、ブレーキディスク41(不図示)を取付けるためのボス部76…と、第2凹部77…とをほぼ円周上に交互に形成した部分である。各第2凹部77は、円周方向に60°等分に配置したものであり、各ボス部76は、各第2凹部77から30°隔てて円周方向に60°等分に配置したものである。 【0018】上記(a),(b)において、ボス部76…は第1凹部73…のちょうど裏側に配置したものであり、第2凹部77…は、ボス部72…のちょうど裏側に配置したものである。 【0019】図4は図2の4-4線断面図であり、ハブ部65は、車軸50側に設けた円筒状のインナハブ81と、このインナハブ81の径外方に設けた円筒状のアウタハブ82と、これらのインナハブ81及びアウタハブ82の両端部をそれぞれ連結する前述の側壁71,75とからなり、アウタハブ82にスポーク部66を一体成形したものである。」 ・「【0026】以上に述べたフロントホイールの製造方法を次に説明する。図6(a),(b)は本発明に係るホイールの製造方法を示す第1作用図である。(a)において、フロントホイールの鋳造金型90は、フロントホイールの一方の側面を形成する第1金型91と、フロントホイールの他方の側面を形成する第2金型92と、フロントホイールのリム部外周面を形成する第3金型93とからなる。第3金型93は、複数の分割型からなるが、ここでは一つの金型として説明する。なお、91Aは第1凹部73(図4参照)を形成するための凸部、92Aは第2凹部77(図4参照)を形成するための凸部である。」 ・また、図2、4、6、7を参照すると、スポークの断面形状が略U字形状であること、ハブを挟んで対向する一対のスポークの一方が、内径側のスポーク基部においてリム中心線を通る平面よりホイールの軸方向一方に偏寄して外径側端部に向かって延び、ハブを挟んで対向する一対のスポークの他方が、内径側のスポーク基部においてリム中心線を通る平面よりホイールの軸方向他方に偏寄して外径側端部に向かって延びていることが記載されているといえる。 そうすると、引用例1には、 「車軸で回転可能に支持するハブ部と、このハブ部に断面形状が略U字形状のスポーク部を介して連結したリム部とからなる鋳造された自動二輪車用ホイールにおいて、ハブを挟んで対向する一対のスポークの一方が、内径側のスポーク基部においてリム中心線を通る平面よりホイールの軸方向一方に偏寄して外径側端部に向かって延び、ハブを挟んで対向する一対のスポークの他方が、内径側のスポーク基部においてリム中心線を通る平面よりホイールの軸方向他方に偏寄して外径側端部に向かって延び、ハブ部は、車軸側に設けた円筒状のインナハブと、このインナハブの径外方に設けた円筒状のアウタハブと、これらのインナハブ及びアウタハブの両端部をそれぞれ連結する、ブレーキディスクを取付けるためのボス部と凹部とをほぼ同一円周上に交互に形成された側壁とからなる自動二輪車用ホイール。」の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されている。 (1-2)原査定の拒絶の理由に引用された実願昭52-081175号(実開昭54-008201号)のマイクロフィルム(以下、「引用例2」という。)には、「自動二輪車の車輪」に関する発明が開示されており、そこには、図面とともに次の事項が記載されている。 ・「第3図および第4図は他の実施例を示す図で、前述の実施例においてはハブ4bをスポーク4cと一体に形成したのに対し、本実施例ではこれら両者を別体とし、ハブ4bの外周面にスポーク4cの環状基部4fを接合したものである。他の構成については、前述の実施例と大同小異であるので、同一ないし同等部材には同一符号を付しその説明は省略する。なお、前述の両実施例における有底筒状のハブ4b、5bがブレーキドラムとしての役割をはたすものであることはいうまでもない。」(第4頁第18行から第5頁第8行) ・第4図を参照すると、スポークが、内径側のスポーク基部においてリム中心線を通る平面よりホイールの軸方向一方に偏寄するとともにその方向に凸状となるように湾曲しながら外径側端部に向かって延びていることが記載されている。 (1-3)原査定において引用された国際公開第03/037651号(以下、「引用例3」という。)には、「FABRICATED VEHICLE WHEEL AND METHOD FOR PRODUCING SAME」に関する発明が開示されており、そこには、図面に次の事項が記載されている。 ・FIG.26、27を参照すると、スポークに、側部の壁の表面上においてスポーク基部がホイール中心に向かって膨出する膨出部が、スポークの表面から連続するように形成されていることが記載されている。 (2)対比 補正発明と引用発明とを対比すると、後者における「ハブ部」、「リム部」、「断面形状が略U字形状のスポーク部」は、前者における「ハブ」、「リム」、「断面形状が略U字形状の複数のスポーク」に相当する。 また、後者において、自動二輪車用ホイールが「鋳造され」ていることは、前者において、自動二輪車用ホイールが「一体に鋳造成形され」ていることに相当する。 また、後者において「ハブを挟んで対向する一対のスポークの一方が、内径側のスポーク基部においてリム中心線を通る平面よりホイールの軸方向一方に偏寄して外径側端部に向かって延び」ていることは、前者において「ハブ(42)を挟んで対向する一対のスポーク(47,48)の一方(47)が、内径側のスポーク基部(46a)においてリム中心線(CL)を通る平面よりホイール(40)の軸方向一方に偏寄」して「外径側端部に向かって延び」ていることに相当する。 また、後者において「ハブを挟んで対向する一対のスポークの他方が、内径側のスポーク基部においてリム中心線を通る平面よりホイールの軸方向他方に偏寄して外径側端部に向かって延び」ていることは、前者において「ハブ(42)を挟んで対向する一対のスポーク(47,48)の他方(48)が、内径側のスポーク基部(46a)においてリム中心線(CL)を通る平面よりホイール(40)の軸方向他方に偏寄」して「外径側端部に向かって延び」ていることに相当する。 また、後者において、「ハブ部は、車軸側に設けた円筒状のインナハブと、このインナハブの径外方に設けた円筒状のアウタハブと、これらのインナハブ及びアウタハブの両端部をそれぞれ連結する、ブレーキディスクを取付けるためのボス部と凹部とをほぼ同一円周上に交互に形成された側壁とからなる」ことは、前者において、「ハブ(42)は、車軸側に設けたインナーハブ(42a)と、前記インナーハブ(42a)の径方向外側に設けたアウターハブ(42b)と、前記インナーハブ(42a)と前記アウターハブ(42b)の一端部を連結する側壁(43)と、を含」むこととは、「ハブは、車軸側に設けたインナーハブと、前記インナーハブの径方向外側に設けたアウターハブと、前記インナーハブと前記アウターハブを連結する側壁と、を含」むことで共通する。 また、後者において、側壁に「ブレーキディスクを取付けるためのボス部と凹部とをほぼ同一円周上に交互に形成され」ていることと、前者において、「側壁(43)が形成される端部とは反対側の前記アウターハブ(42b)の端部には、所定の制動手段を取り付けるためのボルトをねじ込むボルト穴(42c)が形成され」ていることとは、「アウターハブの端部には、所定の制動手段を取り付けるためのボルトをねじ込むボルト穴が形成され」ていることで共通する。 したがって、両者は、 「車軸に支持されるハブ(42)と、外周部にタイヤ(41)を装着可能なリム(44)と、半径方向に延びて前記ハブ(42)と前記リム(44)を連接する、断面形状が略U字形状の複数のスポーク(46)と、が一体に鋳造成形された自動二輪車用ホイール(40)において、 前記ハブ(42)を挟んで対向する一対のスポーク(47,48)の一方(47)が、内径側のスポーク基部(46a)においてリム中心線(CL)を通る平面よりホイール(40)の軸方向一方に偏寄して外径側端部に向かって延び、 前記ハブ(42)を挟んで対向する一対のスポーク(47,48)の他方(48)が、内径側のスポーク基部(46a)においてリム中心線(CL)を通る平面よりホイール(40)の軸方向他方に偏寄して外径側端部に向かって延び、 前記ハブ(42)は、車軸側に設けたインナーハブ(42a)と、前記インナーハブ(42a)の径方向外側に設けたアウターハブ(42b)と、前記インナーハブ(42a)と前記アウターハブ(42b)を連結する側壁(43)と、を含み、 前記アウターハブ(42b)の端部には、所定の制動手段を取り付けるためのボルトをねじ込むボルト穴(42c)が形成された自動二輪車用ホイール。」である点で一致し、次の各点において相違する。 [相違点1] 補正発明においては、スポーク(47,48)が、内径側のスポーク基部(46a)においてリム中心線(CL)を通る平面よりホイール(40)の軸方向に偏寄するとともに「その方向に凸状となるように湾曲しながら」外径側端部に向かって延びているのに対し、引用発明では、スポークが、偏寄する方向に凸状となるように湾曲していない点。 [相違点2] 「インナーハブとアウターハブを連結する側壁」について、補正発明においては、「インナーハブ(42a)とアウターハブ(42b)の一端部を連結する側壁(43)」であるのに対し、引用発明では、「インナハブ及びアウタハブの両端部をそれぞれ連結する、ブレーキディスクを取付けるためのボス部と凹部とをほぼ同一円周上に交互に形成された側壁」である点。 [相違点3] 補正発明においては、「一対のスポーク(47,48)のうちU字形状が前記側壁(43)とは逆方向に開放する一方のスポーク(47)には、前記側壁(43)の表面上において前記スポーク基部(46a)がホイール(40)中心に向かって膨出する膨出部(46b)が、前記一対のスポーク(47,48)の一方(47)の表面から連続するように形成されており、これにより前記側壁(43)には正面視で略三角形状の凹凸が形成され」ているのに対し、引用発明では、そのような構成を有していない点。 [相違点4] 「アウターハブの端部には、所定の制動手段を取り付けるためのボルトをねじ込むボルト穴が形成され」ていることについて、補正発明においては、「側壁(43)が形成される端部とは反対側の前記アウターハブ(42b)の端部には、所定の制動手段を取り付けるためのボルトをねじ込むボルト穴(42c)が形成され」ているのに対し、引用発明では、側壁に「ブレーキディスクを取付けるためのボス部と凹部とをほぼ同一円周上に交互に形成され」ている点。 [相違点5] 補正発明においては、「一対のスポーク(47,48)のうちU字形状が側壁(43)とは同方向に開放する他方のスポーク(48)において、U字形状の底部は、アウターハブ(42b)のうちボルト穴(42c)が形成される部分に接続している」のに対し、引用発明においては、そのような構成を有していない点。 (3)判断 前記相違点1について検討すると、引用例2には、スポークが、内径側のスポーク基部においてリム中心線を通る平面よりホイールの軸方向一方に偏寄するとともにその方向に凸状となるように湾曲しながら外径側端部に向かって延びていることが記載されており、引用発明において同様の構成を採用し、相違点1に係る構成とすることは、当業者が容易に採用し得る構成であると認められる。 相違点2?5について検討すると、引用例2に、ハブを有底筒状とすることが記載されているものの、インナーハブとアウターハブの一端部を側壁で連結して一体に鋳造成形されたものではなく、また、引用例3に、スポーク基部をホイール中心に向かって膨出する膨出部を設けることが記載されているものの、ハブの側壁の表面上に形成された膨出部ではなく、また、他にも、インナーハブとアウターハブの一端部を側壁で連結するとともに、一対のスポークのうち一方のスポークには、側壁の表面上においてスポーク基部がホイール中心に向かって膨出する膨出部が、一対のスポークの一方の表面から連続するように形成されており、これにより側壁には正面視で略三角形状の凹凸が形成され、側壁が形成される端部とは反対側のアウターハブの端部には、所定の制動手段を取り付けるためのボルトをねじ込むボルト穴が形成され、一対のスポークのうち他方のスポークにおいて、U字形状の底部は、アウターハブのうちボルト穴が形成される部分に接続している構成を示唆する文献はないので、引用発明において、相違点2?5に係る構成を採用することは、当業者にとって、容易に想到し得ることであるとは認められない。 したがって、補正発明は、引用発明、および引用例2、3の記載事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたとはいえない。 (4)本件補正後の請求項2に係る発明について 本件補正後の請求項2に係る発明は、補正発明の発明特定事項に加えてさらなる発明特定事項を追加して限定を付したものであるから、上記(3)と同様の理由により、引用発明、および引用例2、3の記載事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたとはいえない。 よって、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合する。 3.むすび 本件補正は、特許法第17条の2第3項ないし第6項の規定に適合する。 第3 本願発明 本件補正は上記のとおり、特許法第17条の2第3項ないし第6項の規定に適合するから、本願の請求項1、2に係る発明は、本件補正により補正された特許請求の範囲の請求項1、2に記載された事項により特定されるとおりのものである。 そして、本願については、原査定の拒絶理由を検討してもその理由によって拒絶すべきものとすることはできない。 また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審決日 | 2014-04-15 |
出願番号 | 特願2008-84709(P2008-84709) |
審決分類 |
P
1
8・
121-
WY
(B60B)
|
最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 平野 貴也、岡▲さき▼ 潤 |
特許庁審判長 |
山口 直 |
特許庁審判官 |
出口 昌哉 丸山 英行 |
発明の名称 | 自動二輪車用ホイール |
代理人 | 本山 慎也 |