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審決分類 審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 H04Q
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 H04Q
管理番号 1287331
審判番号 不服2013-13624  
総通号数 174 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2014-06-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2013-07-16 
確定日 2014-05-08 
事件の表示 特願2009-123397「監視制御装置」拒絶査定不服審判事件〔平成22年12月 2日出願公開、特開2010-273122〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1.手続の経緯

本願は、平成21年5月21日を出願日とする出願であって、平成25年4月12日付けで拒絶査定がなされ、これに対して、平成25年7月16日に審判請求がなされると共に、同日付けで手続補正がなされたものである。

第2.補正却下の決定
[補正却下決定の結論]

平成25年7月16日付けの手続補正を却下する。

[理由]

1.本願発明と補正後の発明
上記手続補正(以下、「本件補正」という。)は、
(1)本件補正前の平成24年11月26日付け手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された「【請求項1】
通信によって負荷の監視制御を行う遠隔監視制御システムに用いられる監視制御装置であって、
それぞれ負荷に対応付けられている複数の操作釦を画面上に表示可能な表示器と、表示器の画面に重ねて配置されるタッチスイッチを含みユーザにより操作される操作入力部と、表示器に表示される操作釦をユーザがタッチ操作することで当該操作釦に対応する負荷が制御されるように、表示器の表示制御および操作入力部の操作に応じた負荷制御を行う制御部とを備え、
制御部は、それぞれ異なる組み合わせの複数個の操作釦を含む複数の操作ページの中から択一的に選択された操作ページを表示器に表示させ、各操作ページに複数の操作ページの各々に一対一で対応するページ切替釦を表示させる表示制御手段と、ページ切替釦をユーザがタッチ操作すると当該ページ切替釦に対応する操作ページが表示されるように、ユーザの操作に応じて表示器に表示させる操作ページを切り替えるページ切替手段とを有することを特徴とする監視制御装置。」という発明(以下、「本願発明」という。)を次の発明に補正することを含むものである。

(2)本件補正後「【請求項1】
通信によって負荷の監視制御を行う遠隔監視制御システムに用いられる監視制御装置であって、
それぞれ前記負荷に対応付けられている複数の操作釦を画面上に表示可能な表示器と、前記表示器の画面に重ねて配置されるタッチスイッチを含みユーザにより操作される操作入力部と、前記表示器に表示される前記操作釦をユーザがタッチ操作することで当該操作釦に対応する前記負荷が制御されるように、前記表示器の表示制御および前記操作入力部の操作に応じた負荷制御を行う制御部とを備え、
前記制御部は、
それぞれ異なる組み合わせの複数個の前記操作釦を含む複数の操作ページの中から択一的に選択された前記操作ページを前記表示器に表示させ、前記複数の操作ページの各々に一対一で対応するページ切替釦を各操作ページに表示させる表示制御手段と、
前記ページ切替釦をユーザがタッチ操作すると当該ページ切替釦に対応する前記操作ページが表示されるように、ユーザの操作に応じて前記表示器に表示させる前記操作ページを切り替えるページ切替手段とを有し、
前記表示制御手段は、
前記複数の操作釦の各々に対応する前記負荷の設置エリアによって、当該複数の操作釦を前記複数の操作ページに振り分けており、
前記操作釦の表示色を当該操作釦に対応する前記負荷の動作状態に応じて変化させるように構成されている
ことを特徴とする監視制御装置。」(以下、「補正後の発明」という。)

2.補正の内容

本件補正は、願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内において、

「負荷」,「表示器」,「操作釦」,「操作入力部」,「制御部」,「操作ページ」,「複数の操作ページ」の用語について、「前記」の文言を付加して、先後の関係を特定すると共に、
「ページ切替釦を表示させる表示制御手段」を、「ページ切替釦を各操作ページに表示させる表示制御手段」に限定し、
また、「表示制御手段」について、「前記表示制御手段は、前記複数の操作釦の各々に対応する前記負荷の設置エリアによって、当該複数の操作釦を前記複数の操作ページに振り分けており、前記操作釦の表示色を当該操作釦に対応する前記負荷の動作状態に応じて変化させるように構成されている」点を限定するものであり、特許請求の範囲を減縮するものである。

本件補正は、特許法第17条の2第3項(新規事項)及び特許法第17条の2第4項(シフト補正)の規定に違反するところはない、また、特許法17条の2第5項(補正の目的)の規定に適合している。

3.独立特許要件について

本件補正は、特許請求の範囲を減縮することを含むものであるから、上記補正後の発明について、特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか否かについて検討する。

(1)補正後の発明

上記「1.(2)」の項で「補正後の発明」として認定したとおりである。

(2)引用発明

原審の拒絶理由で引用された特開平6-269070号公報(以下、「引用例」という。)には「遠隔監視制御システムの表示操作端末器」として図面とともに以下の事項が記載されている。

イ.「【0014】
【課題を解決するための手段】上述の目的を達成するために、請求項1の発明は伝送ユニットと、複数のスイッチ用端末器及び負荷制御用端末器とを2線の信号線を介して接続し、伝送ユニットから多重伝送信号を伝送して端末器をアクセスし、負荷制御用端末器には対応するスイッチ用端末器に接続された操作スイッチの操作データに基づく負荷の制御データを与え、スイッチ用端末器に対しては接続された操作スイッチの操作データを多重伝送信号に設けた返信待機期間中に監視データとして伝送ユニットへ返信させる遠隔監視制御システムに用いられ、信号線を通じて伝送ユニットに対する返信信号の送信及び伝送ユニットからの多重伝送信号の受信を行う送受信信号処理手段と、ディスプレイに負荷のレイアウト地図とこのレイアウト地図上の負荷に対応したタッチスイッチからなる操作スイッチの位置とを表示する地図表示機能、ディスプレィに遠隔監視制御に対応する諸元データの設定の為の画面とこの画面上の適所に設定に必要なタッチスイッチからなる操作スイッチを画面上の適所に表示する設定画面表示機能を少なくとも有し、伝送ユニットから多重伝送信号により送られてくる負荷状態を表示するための制御データを送受信信号処理手段を通じて通じて受け取った際には、ディスプレィで表示されているレイアウト地図上に負荷状態を表示し、負荷操作のための操作スイッチの操作データや諸元データの設定のための操作スイッチの操作データがあれば送受信処理手段に返信用のデータとして与えて送受信処理手段より伝送ユニットへ送信させる表示操作処理手段とを備えたものである。」(3頁4欄?4頁5欄)

ロ.「【0018】
【実施例】以下本発明を実施例により説明する。図1は本発明表示操作端末器7の一実施例を回路全体構成を示しており、液晶ディスプレイ20cとこの液晶ディスプレイ20cに設けるタッチパネル20dと液晶ディスプレイ0cの画面表示の制御処理及びタッチパネル20d上のタッチスイッチの操作信号の処理とを行う液晶タッチパネル処理部20と、遠隔監視制御システムの信号線4に接続され、伝送ユニット1からの時分割多重信号を受信し、また返信信号を送信する送受信回路21と、送受信回路21により受信されて抽出された時分割多重伝送信号に含まれるデータを取り込んで液晶タッチパネル処理部20の表示制御のためのデータとしてデュアルポートRAM25に書き込む機能とデュアルポートRAM25に書き込まれた液晶タッチパネル処理部20からのタッチスイッチの操作データを読み取り、伝送ユニット1へ返信するために送受信回路21へ送り出す機能とを備えた信号処理部22と、上記デュアルポートRAM25とを備えている。
【0019】信号処理部22はデュアルポートRAM25と送受信回路21とで送受信処理手段を構成するもので、データ処理を行うための伝送CPU22aと伝送CPU22aの動作プログラム等を格納したROM22bとデータを一時格納するためのRAM22cとからなる。液晶タッチパネル処理部20は、上記送受信回路21、上記信号処理部22にも電源供給を行うための電源部20bと、図2に示すように端末器本体20aの前面に露設された液晶ディスプレイ20cと、この液晶ディスプレイ22cの表示画面上にマトリックス状に配置されたタッチスイッチを備えたタッチパネル20dと、端末器本体20aの前面に設けられたメモリカード23を挿脱自在に挿着するコネクタ24と、作画用エディタ手段として作画用エディタプログラムを動作させ、後述する作画作業を行うパーソナルコンピュータ26との間で通信によりデータを授受するRS232Cのような汎用の通信ポート20eとを備えるとともに、通信によるデータの授受機能とパーソナルコンピュータ26から受け取ったデータをメモリカード23に書き込む機能と液晶ディスプレイ22aの画面表示制御を行う機能と表示画面に対応して設定された所定のタッチスイッチの機能に基づいて操作信号の取り込み処理を行う処理機能を実現するためのCPU等から構成された表示操作処理部22fを備えている。」(4頁5?6欄)

ハ.「【0022】遠隔監視制御システムの監視制御の処理は従来例と同じであるため、遠隔監視制御システムの動作説明は省略するが、本発明の表示操作端末器7の動作について次に詳説する。図3は表示操作端末器7の液晶ディスプレイ20cで表示画面の操作フローを示しており、電源を投入すると液晶タッチパネル処理部20の表示操作処理部20fは、表示操作端末器7として作画設定している負荷配置のレイアウト地図が一枚なのか複数枚なのかを、、つまり操作可能場所が一か所なのか複数箇所なのかをメモリカード23内のデータより判断し、例えば1箇所の場合にはメモリカード23に格納されているレイアウト地図のベースとなる作画データと、シンボル部品の作画データを読み出してレイアウト地図を液晶ディスプレイ22aに表示させる。つまりこの表示画面が地図表示画面イとなる。図4は地図表示画面イの一例を示しており、この画面では制御対象となる負荷のシンボルをその配置場所に対応して表示し、シンボル表示箇所に位置するタッチスイッチがその負荷を操作するための操作スイッチとなり、シンボル表示箇所が押されると、操作スイッチの操作信号が表示操作処理部20fに取り込まれるようになっている。
【0023】またレイアウト地図の周囲には、画面切換や、その他画面操作等に対応する操作部のシンボル及びそのシンボル内に文字を表示し、夫々のシンボル表示箇所に位置するタッチスイッチを操作スイッチとし、負荷操作と同様にシンボル表示箇所が押されると操作信号が操作データが表示操作処理部20fに取り込まれるようになっている。
【0024】ところで複数場所のレイアウト地図をメモリカード23に格納され、夫々の場所の負荷操作が可能な場合には、上記電源投入時には表示操作処理部20fは表示可能なレイアウト地図の一覧画面の作画データ及びシンボル部品作画データをメモリカード23から読み出して地図一覧画面ロを液晶ディスプレイ22aに表示させる。図5はこの地図一覧画面ロの一例を示しており、地図表示画面名称の位置に対応するタッチスイッチが対応レイアウト地図の表示を指定する操作スイッチとなる。
【0025】図4、図5の表示画面において、上部には表示画面の見出し、注意事項、及び現在時刻を表示する表示欄があり、また下部には図4の表示画面では地図表示のページ送りの操作部34、地図一覧画面への切換のための操作部31、無表示画面ハにするための終了操作部32、更に後述する諸元データの設定操作のための設定一覧画面ニに切え換るための操作部33を表示設定している。図5の表示画面では無表示画面ハにするための終了操作部32、更に後述する諸元データの設定操作のための設定一覧画面ニに切え換るための操作部33を表示設定している。」(5頁7欄)

上記引用例イ.?ハ.の記載及び関連する図面並びにこの分野における技術常識を考慮すると、

上記イ.には、「遠隔監視制御システム」は、信号線を介した多重伝送信号により、負荷の制御データと負荷状態を表示するための制御データとを伝送するシステムであることが示されている。

そして、上記ロ.の記載及び図1を参照すると、「表示操作端末器7」は、
「液晶ディスプレイ20c」と、この「液晶ディスプレイ20c」の表示画面上にマトリックス状に配置されたタッチスイッチを備えた「タッチパネル20d」と、「液晶ディスプレイ20c」の画面表示制御を行う機能及び表示画面に対応して設定された所定のタッチスイッチの機能に基づいて操作信号の取り込み処理を行う処理機能を行うCPU等から構成された「表示操作処理部20f」とからなる「液晶タッチパネル処理部20」、
この「液晶タッチパネル処理部20」からのタッチスイッチの操作データを読み取る「信号処理部22」、
「信号処理部22」を遠隔監視制御システムの信号線に接続する「送受信回路21」、
等の構成を有することが示されている。

上記ハ.には、「表示操作端末器7」の、負荷配置の「レイアウト地図」を表示する「表示画面」は、制御対象となる負荷のシンボルをその配置場所に対応して表示するものであり、シンボル表示箇所に位置する「タッチスイッチ」がその負荷を操作するための操作スイッチとなることが示されている。

上記ハ.には、液晶タッチパネル処理部20の表示操作処理部20fは、負荷配置の「レイアウト地図」が複数枚である場合、レイアウト地図の表示を指定する地図一覧画面ロを液晶ディスプレイ20cに表示し、タッチスイッチにより地図一覧画面の「地図表示画面名称」を指定可能とし、指定されたレイアウト地図を「表示操作処理部20f」が作画して表示することが示されている。

また、上記イ.には、負荷状態を表示するための制御データを受け取った際に、ディスプレイで表示されている負荷のレイアウト地図上に負荷状態を表示することが示されている。

したがって、上記引用例には以下の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認める。

「信号線を介した多重伝送信号により、負荷の制御データと負荷状態を表示するための制御データとを伝送する遠隔監視制御システムの表示操作端末器であって、
表示操作端末器は、液晶ディスプレイと、この液晶ディスプレイの表示画面上にマトリックス状に配置されたタッチスイッチを備えたタッチパネルと、液晶ディスプレイの画面表示制御と、表示画面に対応して設定された所定のタッチスイッチの機能に基づいて操作信号の取り込み処理を行う処理とを行う表示操作処理部を備える液晶タッチパネル処理部と、液晶タッチパネル処理部からのタッチスイッチの操作データを読み取る信号処理部を介し信号線に接続する送受信回路とを有し、
表示操作端末器の、負荷配置のレイアウト地図を表示する表示画面は、制御対象となる負荷のシンボルがその配置場所に対応して表示され、シンボル表示箇所に位置するタッチスイッチがその負荷を操作するための操作スイッチとなるものであり、
前記表示操作処理部は、
操作可能場所が複数箇所であり、負荷配置のレイアウト地図が複数枚である場合、複数のイアウト地図に対応するレイアウト地図の表示を指定する操作スイッチとなる地図一覧画面の地図表示画面名称を液晶ディスプレイに表示し、タッチスイッチによりレイアウト地図の一つを指定可能とし、指定されたレイアウト地図を作画して表示するものであり、
負荷状態を表示するための制御データを受け取った際には、レイアウト地図上に負荷状態を表示する
遠隔監視制御システムの表示操作端末器。」

(3)対比判断

引用発明と補正後の発明とを対比する。

引用発明の、信号線を介した多重伝送信号により、負荷の制御データと、負荷状態を表示するための制御データとを伝送する「遠隔監視制御システム」は、補正後の発明の「通信によって、負荷の監視制御を行う遠隔監視制御システム」と一致する。

引用発明の「表示操作端末器」は、表示及び、表示に基づく操作を行う端末器であって、監視と制御を行う装置であるといえ、「遠隔監視制御システムに用いられる監視制御装置」といえる。

引用発明の「制御対象となる負荷のシンボル」は、シンボル表示箇所に対応するタッチスイッチがその負荷を操作するための操作スイッチとなるよう地図表示画面に表示されるものであって、地図表示画面において、複数の負荷のうちから、制御対象となる負荷を特定して操作を行う釦としての機能をシンボルの表示により与えるものであるから、補正後の発明の「負荷に対応付けられている複数の操作釦」に相当する。
また、引用発明の「液晶ディスプレイ」は、補正後の発明の「負荷に対応付けられている複数の操作釦を画面上に表示可能な表示器」である点において一致する。
そして、引用発明の「タッチスイッチ」は、シンボル表示箇所に対応するユーザのタッチ操作を入力するものであって、液晶ディスプレイと重ねて配置されることは明らかであり、ユーザにより操作される操作入力部を構成する一つの要素といえるので、補正後の発明の「表示器の画面に重ねて配置されるタッチスイッチを含みユーザにより操作される操作入力部」と差異はない。

引用発明は、「液晶タッチパネル処理部」に液晶ディスプレイの画面表示制御を行う機能と、表示画面に対応して設定された所定のタッチスイッチの機能に基づいて操作信号の取り込み処理を行う処理機能とを有し、「信号処理部」及び「送受信回路」により、液晶タッチパネル処理部からのタッチスイッチの操作データを読み取ってデータを送り出す機能を備えている。
ここで、タッチスイッチの操作データの送り出しは、負荷の制御データの伝送を含むから、引用発明の「液晶タッチパネル処理部」,「信号処理部」,「送受信回路」からなる構成は、補正後の発明の「表示器の表示制御および操作入力部の操作に応じた負荷制御を行う制御部」に相当する。

引用発明の「レイアウト地図」は、制御対象となる複数の負荷のシンボルがその配置場所に対応して表示される地図であり、画面上に一枚のページとして表示されるものであるから、補正後の発明の「複数個の操作釦を含む」「操作ページ」に相当する。
そして、引用発明の、レイアウト地図が複数枚となる場合の「複数のレイアウト地図」は、複数のレイアウト地図がそれぞれ異なるページとして表示されるものといえ、それぞれの地図には負荷のシンボルが組み合わせて表示されるから、補正後の発明の「それぞれ異なる組み合わせの複数個の前記操作釦を含む複数の操作ページ」に相当する。

引用発明の「地図一覧画面の地図表示画面名称」は、複数のレイアウト地図に一対一で対応し、対応するレイアウト地図の表示を指定する操作スイッチとなるものであるから、補正後の発明の、「複数の操作ページの各々に一対一で対応するページ切替釦」に相当する。

引用発明の「表示操作処理部」は、画面上の操作スイッチとなる操作部の表示の制御、また、操作部のタッチ操作に基づく表示画面の切り換えを行うものであり、補正後の発明の「ページ切替釦」を「表示させる表示制御手段」及び「ユーザの操作に応じて前記表示器に表示させる前記操作ページを切り替えるページ切替手段」に相当する。
更に、引用発明の「表示操作処理部」が「複数のレイアウト地図」を「作画する」ことは、複数の負荷をそれぞれの地図に「振り分ける」ものといえ、また、地図によって表示される範囲を「エリア」と称すること、及び、地図への負荷のシンボルの配置を「負荷の設置」と称することは任意のものであるから、補正後の発明の「前記表示制御手段は、前記複数の操作釦の各々に対応する前記負荷の設置エリアによって、当該複数の操作釦を前記複数の操作ページに振り分け」るものに相当する。

引用発明の、「レイアウト地図上」の「負荷状態」の「表示」と、補正後の発明の「前記操作釦の表示色を当該操作釦に対応する前記負荷の動作状態に応じて変化させる」とを比較すると、「画面上」の「表示」を「対応する負荷の動作状態に応じて変化させる」点において共通する。

したがって、補正後の発明と引用発明とは、

<一致点>

「通信によって負荷の監視制御を行う遠隔監視制御システムに用いられる監視制御装置であって、
それぞれ前記負荷に対応付けられている複数の操作釦を画面上に表示可能な表示器と、前記表示器の画面に重ねて配置されるタッチスイッチを含みユーザにより操作される操作入力部と、前記表示器に表示される前記操作釦をユーザがタッチ操作することで当該操作釦に対応する前記負荷が制御されるように、前記表示器の表示制御および前記操作入力部の操作に応じた負荷制御を行う制御部とを備え、
前記制御部は、
それぞれ異なる組み合わせの複数個の前記操作釦を含む複数の操作ページの中から択一的に選択された前記操作ページを前記表示器に表示させ、前記複数の操作ページの各々に一対一で対応するページ切替釦を表示させる表示制御手段と、
前記ページ切替釦をユーザがタッチ操作すると当該ページ切替釦に対応する前記操作ページが表示されるように、ユーザの操作に応じて前記表示器に表示させる前記操作ページを切り替えるページ切替手段とを有し、
前記表示制御手段は、
前記複数の操作釦の各々に対応する前記負荷の設置エリアによって、当該複数の操作釦を前記複数の操作ページに振り分けており、
画面上の表示を対応する前記負荷の動作状態に応じて変化させるように構成されている
監視制御装置。」において一致し、

<相違点>
<相違点1>

補正後の発明は、複数の操作ページの各々に一対一で対応するページ切替釦を各操作ページに表示させるものであるのに対し、引用発明では、複数の操作ページの各々に一対一で対応するページ切替釦は、地図一覧画面に表示される地図表示画面名称である点において相違する。

<相違点2>

補正後の発明は、操作釦の表示色を当該操作釦に対応する前記負荷の動作状態に応じて変化させるように構成されているのに対し、引用発明は、レイアウト地図上の負荷状態の表示は、表示がどのようになされるか特定されていない点において相違する。

(4)判断

<相違点>について検討する。
まず、<相違点1>について検討する。
操作ページが複数ある場合、操作ページの切換にあたり、複数の操作ページの各々に一対一で対応するページ切替釦を各操作ページに表示させ、ページ切替釦をユーザがタッチ操作すると当該ページ切替釦に対応する前記操作ページが表示されるページ切替手段は、例えば、特開2003-309884号公報(特に、【0065】?【0074】,図6(a),(b)参照。),特開2008-140188号公報(特に、【0048】?【0053】,図5(a)?(c)参照。),特開2006-155291号公報(特に、【0033】,【0034】,【0040】,図2?11参照。)に示されるように周知の技術である。
そして、一覧画面からの選択に代えて用いることは、画面選択における周知の均等手段への置換にすぎないものであり、引用発明において、負荷配置のレイアウト地図が複数枚である場合に、この複数枚のうちから一つを選択可能なように、レイアウト地図の各々に一対一で対応する切替釦を地図表示画面に表示させる構成を採用することは当業者が適宜なし得る設計的な事項である。

次に、<相違点2>について検討する。
画面上に表示される操作釦を用いて負荷を制御するものにおいて、負荷の動作状態に応じて表示される操作釦の表示色を変化させることは、例えば、特開平9-65452号公報(特に、【0013】,図3参照。),特開2005-108484号公報(特に、【0135】,図14参照。)に示されるように周知の技術であり、引用発明における負荷状態の表示を、「負荷のシンボル表示」(「操作釦」)の表示色を負荷の動作状態に応じて変化させることにより行うことは当業者が適宜なし得るものである。

そして、補正後の発明の作用効果も引用発明及び周知の技術から当業者が予測し得る範囲のものである。

したがって、補正後の発明は、引用発明及び周知の技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができない。

4.結語

本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項の規定において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである

第3.本願発明について

1.本願発明

本件補正は上記のとおり却下されたので、本願発明は、上記「第2.補正却下の決定」の「1.本願発明と補正後の発明」の項の「(1)」で「本願発明」として認定したとおりである。

2.引用発明

引用発明は、上記「第2.補正却下の決定」の項中の「3.(2)引用発明」の項で認定したとおりである。

3.判断

本願発明は上記補正後の発明から、当該補正に係る構成を省いたものである。

そうすると、本願発明の構成に当該補正に係る限定を付加した補正後の発明が、上記「第2.補正却下の決定」の項中の「3.独立特許要件について」の項で検討したとおり、引用発明及び周知の技術に基いて容易に発明をすることができたものであるから、上記補正後の発明から当該補正に係る限定を省いた本願発明も、同様の理由により、容易に発明をすることができたものである。

4.むすび

以上のとおり、本願発明は、引用例に記載された発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2014-03-10 
結審通知日 2014-03-11 
審決日 2014-03-26 
出願番号 特願2009-123397(P2009-123397)
審決分類 P 1 8・ 575- Z (H04Q)
P 1 8・ 121- Z (H04Q)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 永田 義仁  
特許庁審判長 菅原 道晴
特許庁審判官 矢島 伸一
山澤 宏
発明の名称 監視制御装置  
代理人 西川 惠清  
代理人 北出 英敏  
代理人 仲石 晴樹  
代理人 坂口 武  

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