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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 B23P
管理番号 1287407
審判番号 不服2013-23267  
総通号数 174 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2014-06-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2013-11-28 
確定日 2014-05-09 
事件の表示 特願2012-222632「竪型工作機械」拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本件出願の手続きの経緯は以下のとおりである。
平成24年10月 5日 本件特許出願
平成25年 3月19日付け 最初の拒絶理由通知
平成25年 4月15日 意見書及び手続補正書の提出
平成25年 5月15日付け 最後の拒絶理由通知
平成25年 7月 8日 意見書及び手続補正書の提出
平成25年 7月30日付け (再度)最初の拒絶理由通知
平成25年 9月18日 意見書及び手続補正書の提出
平成25年10月 7日付け 拒絶査定
平成25年11月28日 本件審判請求

第2 本願発明
本願の請求項1ないし8に係る発明は、平成25年9月18日提出の手続補正書によって補正された特許請求の範囲の請求項1ないし8に記載された事項により特定されるとおりのものと認めるところ、その請求項2の記載は以下のとおりである。(以下、請求項2に係る発明を「本願発明」という。)
「 【請求項2】
固定のコラムと、工作物の把捉機構と、前記把捉機構の上側において前記コラムに取り付けてなるサドルであって、X軸方向に個別に移動可能、かつ、Z軸方向に個別に移動可能なサドルを2式設け、さらに、2式の前記サドルに工作物の把持具をそれぞれ取り付けることにより、前記サドル及び前記把持具を有する搬入出装置を2式設け、2式の前記サドルのX軸方向への移動範囲が互いに重なり合う構成とし、さらに前記サドルに工具を取り付けると共に、前記把持具は昇降機構とハンドを有するものとし、前記把持具と前記工具とを横に並べて配置し、
前記把持具は、前記昇降機構により前記ハンドを下降させて工作物を把持するものとし、前記ハンドで把持した工作物を回転させることなく、前記把捉機構への搬入出を行う構成としたことを特徴とする竪型工作機械。」

第3 引用刊行物に記載の発明及び事項等
これに対して、原審の平成25年7月30日付け拒絶の理由に引用された、本願の出願日前に頒布された下記刊行物には、以下の発明、あるいは事項が記載されていると認められる。

刊行物1:実願平3-103407号(実開平5-44401号)の
CD-ROM
刊行物2:特開平9-253905号公報

1 刊行物1
(1)刊行物1に記載された事項
刊行物1には、「立型2軸旋盤」に関して、図面とともに、以下の事項が記載されている。なお、下線は理解の便のため、当審で付したものである。
ア 実用新案登録請求の範囲
「【請求項1】機台操作側に対し、前後方向の2本の主軸が立設され、該主軸の列線の両側に、前記列線と軸心を平行に、かつ主軸と直交して各1本のタレット刃物台が配設され、各タレット刃物台は、前記主軸の軸方向への上下動駆動部と、該軸方向と直交する左右方向への横移動駆動部に結合され、かつワークのハンドリング装置が取り付けられている立型2軸旋盤。」

イ 「【0010】
【実施例】
図1ないし図7は本考案の実施の一例を示すもので、実施例たる立型2軸旋盤の構造の概要が図1ないし図3に示されており、機台1の上面中央部に、操作側2に対し前後方向に2本の主軸3が立設され、該主軸3の列線4の両側に、前記列線4と軸心を平行に、かつ主軸3と直交する位置に各1本のタレット刃物台5が配設されている。
【0011】
前記タレット刃物台5は、前記機台1の背面側6に、前記列線4の左右両側に配置され、かつ操作側2に対し水平な左右方向Xに移動可能に立設されているコラム7の前側壁面13に配置されており、かつ該壁面13に対し上下方向Yに摺動自在とされ、また前記各刃物台5は前記コラム7の上部に配置されている上下動駆動部8に結合され、前記駆動部8の動力源たるサーボモータ14の制御動作により前記主軸3に対し、上下方向Yの移動が可能とされている。」

ウ 「【0012】
前記各コラム7の下部には、それぞれ左右方向Xに向かって前記コラム7を各別に移動させる一対の送りねじ10が、前記主軸3の列線4に直交して配置され、該送りねじ10は前記各コラム7の両側にそれぞれ配設された一対の支持台11に回転自在に軸支されており、端部は、機台1の背面側6に配設された前記送りねじ10の駆動部たる横移動駆動部12に連結され、前記駆動部12に配設されているサーボモータ15により駆動され、前記一対の送りねじ10は、サーボモータ15の同期ドライブ方式により2本の送りねじ10が同調回転され、前記タレット刃物台5の左右方向への移動時においても、振れが防止され、平滑な移動が可能とされている。
【0013】
前記各タレット刃物台5は、それぞれ単独に前記各サーボモータ14,15により主軸3に対して上下方向Yならびに左右方向Xの移動が可能であり、かつ両側のタレット刃物台5の同時の移動も可能とされ、両タレット刃物台5によるワークの同時加工も可能とされるものである。
【0014】
前述の各主軸3は機台1に垂直に軸支され、上端には図6に示されるワーク装着用のチャック25が配設されて機台1の上面に突設されており、機台1の背面側6に配設されたサーボモータ20に連結されており、ワークの切削加工時には所要の回転が前記サーボモータ20により与えられ、加工に必要な動力が伝達できる構造とされている。」

エ 「【0015】
両側の前記タレット刃物台5は、図2,図4,図5に示されるように、回動軸16を中心とし、4面割り出しとされたタレット方式の工具ホルダー17A,17Bが配設されており、それぞれハンドリング装置たる1個のタレットハンド19と、3個のバイトホルダ18を有しており、また両側のバイトホルダ18に装着されたバイトは前記主軸3の中心線上に向かってワーク切込みを行う位置に配置されている。
【0016】
前記両側のタレット刃物台5,5の工具ホルダー17A,17Bにそれぞれタレットハンド19を取り付け、かつ隣接する2軸旋盤の間にワーク搬入装置ならびにワーク搬出装置を配設することにより、一方の工具ホルダー17Aの回動動作と前記刃物台5の移動動作とにより、主軸3へのワーク自動搬入が可能とされ、また同様に他方の工具ホルダー17Bを作動させることにより、主軸3から加工完了済みワークの自動搬出が可能とされる。」

オ 「【0017】
以下、図6,図7についてワークの自動搬送行程について説明する。
図6はワーク21のローディングポイント位置Vとアンローディングポイント位置Wならびに主軸3のチャック25の位置におけるタレットハンド19A,19Bとワーク21との態様を示すもので、ワーク搬入装置22のローディングポイント位置Vでは、一方の工具ホルダー17Aの回動と前記刃物台5の上下方向Yと左右方向Xとの移動により、ワーク21は一方のタレットハンド19Aによりクランプされており、主軸3の位置では、前記工具ホルダー17Aの回動と前記刃物台5の移動動作とにより、ローディングポイントの位置Vよりチャック25に移載された状態を示しており、ワーク搬出装置24のアンローディングポイント位置Wでは、加工済みのワーク21が他方の工具ホルダー17Bと他方のタレット刃物台5とによる同様の動作により、前記搬出装置24に移載された状態を示している。
【0018】
前記工具ホルダー17A,17Bの4面割り出し面におけるタレットハンド19A,19B以外の3箇所は、バイトホルダー18であり、主軸3のチャック25に嵌着されたワーク21に対して両側の前記タレット刃物台5,5はそれぞれ独立した動作でアプローチし、切削工具たるバイトは工具ホルダー17A,17Bの選択的回動により、予め設定されたバイトにより順次加工が行われる。」

カ 図5
以下に示す図5を、上記摘記事項エの段落【0015】の記載を勘案して合理的に解釈すれば、2式のタレット刃物台5にタレットハンド19をそれぞれ2列取り付けていることが理解できる。



キ 図6
以下に示す図6を、上記摘記事項オの段落【0017】の記載を勘案して合理的に解釈すれば、2式のタレット刃物台5の左右方向Xへの移動範囲が互いに重なり合う構成となっているものと認められる。



(2)刊行物1記載の発明
刊行物1の上記摘記事項アないしオ並びに認定事項カ及びキを、図面を参照しつつ技術常識を踏まえて本願発明に照らして整理すると、刊行物1には以下の発明が記載されていると認められる。(以下、「刊行物1発明」という。)
「固定の機台1と、2列の主軸3に配設されたワーク装着用のチャック25と、前記2列の主軸3に配設されたワーク装着用のチャック25の上側において、前記固定の機台1に対し左右方向Xに移動可能に立設されているコラム7に取り付けてなるタレット刃物台5であって、左右方向Xに個別に移動可能、かつ、上下方向Yに個別に移動可能なタレット刃物台5を2式設け、さらに、2式の前記タレット刃物台5にタレットハンド19をそれぞれ2列取り付けることにより、前記タレット刃物台5及び前記タレットハンド19を有するコラム7を2式設け、2式の前記タレット刃物台5の左右方向Xへの移動範囲が互いに重なり合う構成とし、さらに前記タレット刃物台5にバイトを装着すると共に、前記タレット刃物台5は4面割り出しとされたタレット方式で、1個のタレットハンド19と3個のバイトホルダ18を2列有するものとし、
前記タレットハンド19は、回動動作とタレット刃物台5の移動動作とにより、把持したワークを、主軸3に配設されたワーク装着用のチャック25への自動搬入及び自動搬出を行う構成とした立型2軸旋盤。」

2 刊行物2
(1)刊行物2に記載された事項
刊行物2には、「加工旋盤」に関して、図面とともに、以下の事項が記載されている。

ア 特許請求の範囲
「【請求項1】 部品の自動供給装置を備えた加工旋盤において、前記自動供給装置をバイト等の刃物を取付ける刃物台に設けたことを特徴とする加工旋盤。」

イ 「【0006】
【実施例】以下、本発明の実施例を図1、2に基づいて詳述する。尚、本実施例は予め動作手順がプログラミングされて自動的に作動するNC加工旋盤のものである。図1は本発明の加工旋盤の要部のみを示した上面図である。図2は図1におけるA-A部分の断面図である。図1において、図中左側上部に主軸台4が配され、この主軸台4内に軸受、主軸6等を介してチヤツク5が取付けられている。チヤツク5の前部には(図中右側に)長い板状の平坦な刃物台3が配設され、この刃物台3上にツールホルダー19を介してバイト20等の刃物が、更に本発明の特徴とするところの自動供給装置1が取付けられ刃物台3と固定されている。刃物台3は、その下方部に取付けられた二個のNCサーボモータによって(図示せず)、上記チヤツク5に対して前後及び左右に自動的に移動するものである。図中左側下部に加工部品17を一定の向き方向に揃えて整列化する装置2が配設されている。尚本図においては、上記整列化する装置2の一部を成すところの部品を連続的に一列に整列を図るシュート15の部分のみを示す。」

ウ 「【0007】次に、図2に基づいて本実施例の自動供給装置1及び上記のシュート15について説明する。自動供給装置1は、刃物台3に固定されたシリンダー11と、シリンダー11の軸11aに固定され真空チヤツク13を固定取付けする取付板12と、上記真空チヤツク13と、真空チヤツク13に取付けるエアーホース14とで構成される。上記真空チヤツク13はその中心部に穴13bが形成され、先端部には加工部品17の形状に合った段穴13aが形成されている。又、上記エアーホース14の他端は真空ポンプ等の装置に連結されてエアーホース内は負圧域が形成され、上記真空チヤツク13の段穴13aに加工部品17を負圧吸着する。・・・(後略)」

エ 「【0008】上記の装置は以下に述べる働きをなして自動供給する。先ずシユート15の前部に在る自動供給装置1を固定した刃物台3が前方に所定の位置まで移動し、次にシリンダー11が作動して真空チヤツク13を前方シュート15に納まっている加工部品17の所まで押し出し、同時に負圧作用でもって真空チヤツク13に加工部品17を吸着し、吸着後再び真空チヤツク13はシリンダー11の作動で元の位置に戻る。次に刃物台3がチヤツク5の在る方に移動し、自動供給装置1の真空チヤツク13がチヤツク5の真ん前の位置で停止し、同時にシリンダー11が作動して真空チヤツク13に吸着した加工部品17をチヤツク5の所に押し出し、チヤツク5に加工部品17をチヤツキングさせ、チヤツキング後再び真空チヤツク13はシリンダー11の作動で元の位置に戻る。尚、シュート15において、一個加工部品が取り出された後は整列した次の部品が前方より押し出されてくる力によって動きストッパー16に当たって止まる。」

(2)刊行物2事項
刊行物2の上記摘記事項アないしエを図面を参照しつつ、技術常識を踏まえて整理すると、刊行物2には以下の事項が記載されていると認められる。(以下、「刊行物2事項」という。)
「チヤツク5が取付けられた主軸台4と、移動可能な刃物台3を設け、さらに、前記刃物台3に自動供給装置1を取り付け、さらに前記刃物台3にバイト20を取り付けると共に、前記自動供給装置1はシリンダー11と真空チヤツク13を有するものとし、前記自動供給装置1と前記バイト20とを横に並べて配置し、
前記自動供給装置1は、前記シリンダー11により前記真空チヤツク13を押し出させて加工部品17を吸着するものとし、前記真空チヤツク13で吸着した加工部品17を回転させることなく、前記チヤツク5が取付けられた主軸台4への搬入出を行う構成とした加工旋盤。」

第4 対比
本願発明と刊行物1発明とを対比すると以下のとおりである。
刊行物1発明の「主軸3に配設されたワーク装着用のチャック25」が本願発明の「工作物の把捉機構」または「把捉機構」に相当することは、その機能及び技術常識に照らして明らかであり、以下同様に、「固定の機台1」は「固定のコラム」または「コラム」に、「左右方向X」は「X軸方向」に、「上下方向Y」は「Z軸方向」に、「タレットハンド19」は「工作物の把持具」または「把持具」に、「バイト」は「工具」に、「装着する」は「取り付け」に、「ワーク」は「工作物」に、「自動搬入及び自動搬出」は「搬入出」に、「立型2軸旋盤」は「竪型工作機械」にそれぞれ相当することも明らかである。
次に、刊行物1発明の「タレット刃物台5」は、「左右方向Xに個別に移動可能、かつ、上下方向Yに個別に移動可能」であり(本願発明の工作物の把持具に相当する)「タレットハンド19」が取り付けられるものであるから、本願発明の「サドル」に相当するということができる。
また、刊行物1発明の「前記タレット刃物台5及び前記タレットハンド19を有するコラム7を2式設け」ることは、上記対応関係を踏まえ「前記サドル及び前記把持具を有するコラム7を2式設け」と言い換えられるところ、これらは、「ワーク」の「自動搬入及び自動搬出」を行うものであるから、本願発明の「前記サドル及び前記把持具を有する搬入出装置を2式設け」ることに相当するということができる。

したがって、本願発明と刊行物1発明とは、以下の点で一致しているということができる。
<一致点>
「固定のコラムと、工作物の把捉機構と、前記把捉機構の上側において取り付けてなるサドルであって、X軸方向に個別に移動可能、かつ、Z軸方向に個別に移動可能なサドルを2式設け、さらに、2式の前記サドルに工作物の把持具をそれぞれ取り付けることにより、前記サドル及び前記把持具を有する搬入出装置を2式設け、2式の前記サドルのX軸方向への移動範囲が互いに重なり合う構成とし、さらに前記サドルに工具を取り付け、
前記把持具は、把持した工作物を把捉機構への搬入出を行う構成とした竪型工作機械。」

そして、本願発明と刊行物1発明とは、以下の4点で相違している。
1 <相違点1>
本願発明の「工作物の把捉機構」、「把持具」及び「工具」はいずれも2式単列であるのに対し、刊行物1発明の「主軸3に配設されたワーク装着用のチャック25」、「タレットハンド19」及び「バイトホルダ18」はいずれも2式2列である点。
2 <相違点2>
本願発明においては、サドルを固定のコラムにX軸方向及びZ軸方向に移動可能に取り付けているのに対し、刊行物1発明においては、タレット刃物台5(サドル)を固定の機台1に対し左右方向X(X軸方向)に移動可能に立設されているコラム7に取付け、左右方向X(X軸方向)及び上下方向Y(Z軸方向)に移動可能としている点。
3 <相違点3>
本願発明においては、サドルに取り付けた把持具は、昇降機構とハンドを有するものとし、把持具と工具とを横に並べて配置しているのに対し、刊行物1発明においては、タレット刃物台5(サドル)は4面割り出しとされたタレット方式で、1個のタレットハンド19と3個のバイトホルダ18を2列有するものである点。
4 <相違点4>
本願発明の把持具は、昇降機構によりハンドを下降させて工作物を把持するものとし、ハンドで把持した工作物を回転させることなく把捉機構への搬入出を行うものであるのに対し、刊行物1発明のタレットハンド19(把持具)は、その回動動作とタレット刃物台5の移動動作とにより、把持したワーク(工作物)の搬入出を行うものである点。

第5 相違点の検討
1 <相違点1>について
刊行物1発明のような工作物の把捉機構(チャック)、把持具及び工具を備えた工作機械において、それらを(2列ではなく)単列とすることは、最も基本的な形態を採ることと考えられ、また、本件明細書で先行技術として引用された実願昭57-115109号(実開昭59-19201号)のマイクロフィルム(第1図等参照)に示されるように従来周知の事項である。 したがって、刊行物1発明において、工作物の把捉機構(チャック)等を単列として、相違点1に係る本願発明の特定事項とすることは、何ら困難なことではない。

2 <相違点2>について
本願発明がサドルを固定のコラムにX軸方向及びZ軸方向に移動可能に取り付けていることに関しては、本件明細書には「コラム11の上部に水平に取り付けた2本のレールからなるX軸レール15を設け、上下のレールにそれぞれ4個、合計8個のXリニア軸受21を取り付けた。そして上下それぞれ2個、合計4個のXリニア軸受21に対して垂直に取り付けた、2本のレールからなるZ軸レール16を設けた。」(段落【0013】)と記載されているように、X軸方向へ移動可能な「Z軸レール」を用いているのであり、該「Z軸レール」が機構学的には刊行物1発明における「左右方向Xに移動可能に立設されているコラム7」の役割を果たしていることは明らかである。
したがって、相違点2は実質的な差異ではない。

3 <相違点3>及び<相違点4>について
上記第3の2(2)にて指摘したように、刊行物2事項は、
「チヤツク5が取付けられた主軸台4と、移動可能な刃物台3を設け、さらに、前記刃物台3に自動供給装置1を取り付け、さらに前記刃物台3にバイト20を取り付けると共に、前記自動供給装置1はシリンダー11と真空チヤツク13を有するものとし、前記自動供給装置1と前記バイト20とを横に並べて配置し、
前記自動供給装置1は、前記シリンダー11により前記真空チヤツク13を押し出させて加工部品17を吸着するものとし、前記真空チヤツク13で吸着した加工部品17を回転させることなく、前記チヤツク5が取付けられた主軸台4への搬入出を行う構成とした加工旋盤。」というものであるところ、これを本願発明の用語に倣って表現すれば、刊行物2事項の「チヤツク5が取付けられた主軸台4」は「工作物の把捉機構」と表現でき、以下同様に、「刃物台3」は「サドル」と、「自動供給装置1」は「工作物の把持具」または「把持具」と、「バイト20」は「工具」と、「真空チヤツク13」は「ハンド」と、「加工部品17」は「工作物」と、「吸着」は「把持」と表現できる。
また、刊行物2事項の「シリンダー11」と本願発明の「昇降機構」とは、移動機構、である限りにおいて共通し、刊行物2事項の「押し出させ」と本願発明の「下降させ」とは、移動させる、ものである限りにおいて共通し、刊行物2事項の「加工旋盤」と本願発明の「竪型工作機械」とは、工作機械、である限りにおいて共通する。
したがって、刊行物2事項は、
「工作物の把捉機構と、移動可能なサドルを設け、さらに、前記サドルに工作物の把持具を取り付け、さらに前記サドルに工具を取り付けると共に、前記把持具は、移動機構とハンドを有するものとし、前記把持具と前記工具とを横に並べて配置し、
前記把持具は、前記移動機構により前記ハンドを移動させて工作物を把持するものとし、前記ハンドで把持した工作物を回転させることなく、前記工作物の把捉機構への搬入出を行う構成とした工作機械。」と言い換えることができる。

ここで、刊行物1発明と刊行物2事項は、いずれも、工作物の把捉機構(チャック)と移動可能なサドルを設け、該サドルに把持具と工具を取り付け、工作物の把捉機構への搬入出を行う工作機械である点で共通しており、刊行物2に接した当業者がこれを刊行物1発明に適用することを試みることに格別困難性はない。
そして、竪型工作機械(立型2軸旋盤)たる刊行物1発明に刊行物2事項を適用するにおいては、刊行物2事項の移動可能なサドル(刃物台3)を竪型とするのがごく自然であり、その場合、刊行物2事項の「シリンダー11」は「昇降機構」となり、刊行物2事項の(ハンドを)「押し出させ」ることは、(ハンドを)「下降させ」るということになる。
そうしてみると、刊行物1発明に刊行物2事項を適用して、相違点3及び相違点4に係る本願発明の特定事項とすることは、当業者が容易に想到し得るものと解するのが相当である。

4 小括
したがって、本願発明は、刊行物1発明、刊行物2事項及び上記従来周知の事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。

第6 むすび
以上のとおり、本願発明は、刊行物1発明、刊行物2事項及び従来周知の事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものである。
したがって、本願はその余の請求項1、及び3ないし8に係る発明について検討するまでもなく、拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2014-01-27 
結審通知日 2014-02-18 
審決日 2014-03-03 
出願番号 特願2012-222632(P2012-222632)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (B23P)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 小川 真  
特許庁審判長 石川 好文
特許庁審判官 長屋 陽二郎
豊原 邦雄
発明の名称 竪型工作機械  
代理人 武山 峯和  

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