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審決分類 審判 訂正 ただし書き3号明りょうでない記載の釈明 訂正する A63F
管理番号 1287747
審判番号 訂正2013-390229  
総通号数 175 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2014-07-25 
種別 訂正の審決 
審判請求日 2013-12-24 
確定日 2014-04-03 
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第5424389号に関する訂正審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 特許第5424389号に係る明細書及び特許請求の範囲を本件審判請求書に添付された訂正明細書及び訂正特許請求の範囲のとおり請求項ごとに訂正することを認める。 
理由 第1 手続の経緯
本件審判の請求に係る特許第5424389号(以下「本件特許」という。)の経緯は以下のとおりである。
平成21年 9月 4日 特願2009-204846号出願
平成25年12月 6日 設定登録(特許第5424389号)
平成25年12月24日 本件審判請求(訂正2013-390229)
平成26年 1月27日 訂正拒絶理由通知書
平成26年 2月24日 訂正明細書、訂正特許請求の範囲及び審判請求書 の内容を補正する手続補正書、意見書

第2 平成26年2月24日付け手続補正の適否
1.本件補正の補正事項
平成26年2月24日付け手続補正書(以下、単に「補正書」という。)による手続補正(以下、「本件補正」という。)は、平成25年12月24日付け審判請求書(以下、単に「請求書」という。)における請求の趣旨について、
特許第5424389号の特許権の設定の登録がなされたときの明細書(以下、単に「特許明細書」という。)及び特許請求の範囲を請求書に添付された訂正明細書(以下、単に「訂正明細書」という。)及び訂正特許請求の範囲のとおり訂正すること(以下、単に「本件訂正」という。)を認める、との審決を求めることに代えて、
特許明細書を補正書に添付された訂正明細書(以下、単に「補正明細書」という。)及び訂正特許請求の範囲(以下、単に「補正特許請求の範囲」という。)のとおり訂正することを認める、との審決を求めることに補正することを含むものであって、
本件補正は、以下のとおり本件訂正における訂正事項2、3、5及び6を補正する補正事項事項2、3、5及び6を含むものである(なお、訂正事項及び補正事項に付された数字は、平成26年1月27日付け訂正拒絶理由で当審が認定した訂正事項に合わせた)。

<補正事項2>
特許請求の範囲の請求項2にある「前記センサー側コネクタを囲む」を
「前記センサー側コネクタの二つの側面を囲む」と訂正しようとしたものを
「前記センサー側コネクタの二つの側面を隠す」と補正する。

<補正事項3>
特許請求の範囲の請求項2にある「コネクタ隠し部」を
「コネクタ囲み部」と訂正しようとしたものを
「コネクタ隠し部」と補正する。

<補正事項5>
特許明細書の段落【0013】にある「前記センサー側コネクタを囲む」を
「前記センサー側コネクタの二つの側面を囲む」と訂正しようとしたものを
「前記センサー側コネクタの二つの側面を隠す」と補正する。

<補正事項6>
特許明細書の段落【0013】にある「コネクタ隠し部」を
「コネクタ囲み部」と訂正しようとしたものを
「コネクタ隠し部」と補正する。

2.本件補正についての当審の判断
(1)補正事項2及び3について
補正事項2は、「前記センサー側コネクタの二つの側面を囲む」と訂正しようとしたものを「前記センサー側コネクタの二つの側面を隠す」と補正するものである。
ここで、「囲む」とは、広辞苑第六版によれば、「ものを中にしてまわりを取り巻く。」、「中に取りこめて周囲をふさぐ。」の意味であるから、「コネクタを中に置いて、その周囲が何かによって取り巻かれている状態」であるとか、「周囲に置いた何かによって、中にあるコネクタに対して接近できない状態」にすることである。
次に「隠す」とは、広辞苑第六版によれば、「何かの陰になるようにする。人の目にふれないようにする。」の意味であるから、「コネクタ隠し部」は、「コネクタを陰にするもの」であるとか、「コネクタを見えなくするもの」のことであって、いずれも、視覚的に見えなくすることであるから、「囲む」という語句の意味とは無関係である。
とすれば、「囲む」を「隠す」に補正する補正事項2は、訂正事項の削除及び軽微な瑕疵の補正等の微修正に止まるものではなく、当初の請求書で審判を申し立てていた事項と本件補正後に審判を申し立てている事項との間には、同一性はない。
したがって、補正事項2は、請求書の要旨を変更するものである。
また、補正事項3は、「コネクタ囲み部」と訂正しようとしたものを「コネクタ隠し部」と補正するものであって、「囲む」を「隠す」に補正することは、補正事項2で検討したように、訂正事項の削除及び軽微な瑕疵の補正等の微修正に止まるものではなく、当初の請求書で審判を申し立てていた事項と本件補正後に審判を申し立てている事項との間には、同一性はない。
したがって、補正事項3は、請求書の要旨を変更するものである。

(2)補正事項5及び6について
補正事項5は、発明の詳細な説明の関係する段落の内容を補正事項2に係る補正特許請求の範囲の内容に整合させるべく補正したものであるが、上記のとおり補正事項2は請求書の要旨を変更するものであるから、補正事項5も請求書の要旨を変更するものである。
補正事項6は、発明の詳細な説明の関係する段落の内容を補正事項3に係る補正特許請求の範囲の内容に整合させるべく補正したものであるが、上記のとおり補正事項3は請求書の要旨を変更するものであるから、補正事項6も請求書の要旨を変更するものである。

3.本件補正についての結論
以上のとおり、上記補正事項2及び3、ならびに補正事項5及び6は、請求書の請求の要旨を変更するものであって、特許法第131条の2第1項の規定を満たさず、本件補正を認めることはできない。(なお、特許法第131条の2第1項の請求書の趣旨の要旨の変更とは、当初の請求書で審判を申し立てていた事項と補正後に審判を申し立てている事項との間の同一性を変更することである。平成19年(行ケ)第10262号審決取消訴訟判決(平成20年3月19日判決言渡)の「第5 当裁判所の判断」の「1 取消事由1(本件補正の適否についての判断の誤り)について」の「(2)要旨の変更について」を参照されたい。)

第3 審判請求に対する判断
1.審判請求の要旨
本件審判請求の要旨は、本件特許第5424389号の明細書及び特許請求の範囲を、本件審判請求書に添付された訂正明細書及び訂正特許請求の範囲のとおり訂正することを認める、との審決を求めるものである。
その訂正内容は、次のとおりである。

<訂正事項A>
本件の特許請求の範囲の請求項2にある、
「コネクタ挿通孔に挿通された前記センサー側コネクタ」を
「コネクタ挿通孔に挿通配置された前記センサー側コネクタ」と訂正する。

<訂正事項B>
本件の特許請求の範囲の請求項2にある、
「前記センサー側コネクタを囲むコネクタ隠し部」を
「前記センサー側コネクタの二つの側面を囲むコネクタ囲み部」と訂正する。

<訂正事項C>
願書に添付した明細書の段落【0013】にある、
「コネクタ挿通孔に挿通された前記センサー側コネクタ」を
「コネクタ挿通孔に挿通配置された前記センサー側コネクタ」と訂正する。

<訂正事項D>
願書に添付した明細書の段落【0013】にある、
「前記センサー側コネクタを囲むコネクタ隠し部」を
「前記センサー側コネクタの二つの側面を囲むコネクタ囲み部」と訂正する。

2.訂正事項に対する当審の判断
(1)訂正事項Aについて
訂正事項Aに係る特許請求の範囲の記載は、「コネクタ挿通孔に挿通された前記センサー側コネクタ」であって、該記載において「挿通」とは、単にセンサー側コネクタがコネクタ挿通孔に挿し通されたという状態の経過を示しているにすぎず、挿し通されたコネクタがどのような状態にあるかについてはなんら示しておらず、不明瞭な記載であった。
そして、特許明細書の段落【0043】、【0044】及び願書に添付された【図9】、【図10】を参酌すると、センサー側コネクタは、コネクタ挿通孔に挿し通された状態でセンサー側コネクタとコネクタ挿通孔との位置関係を保つ、つまりその場所に配置された状態となっているから、「コネクタ挿通孔に挿通配置された前記センサー側コネクタ」と訂正することで、センサー側コネクタがコネクタ挿通孔に挿し通された後の「装置として組み付けられた状態」を明らかにする訂正事項Aは、明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。
そして、上記訂正事項Aは願書に添付した明細書又は図面に記載された事項に基づいたものであって、願書に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内においてされたものである。
したがって、訂正事項Aは、願書に添付した明細書及び図面、並びに特許請求の範囲のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入しないから、新規事項の追加に該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。

(2)訂正事項Bについて
訂正事項Bに係る特許請求の範囲の記載は、「前記センサー側コネクタを囲むコネクタ隠し部」であって、「囲む」と「隠す」は、「第2 平成26年2月24日付け手続補正の適否 2.本件補正についての当審の判断」で検討したように、異なる意味を有するものであるから不明瞭な記載であった。
また、「コネクタ隠し部」は、発明の実施例においては「センサー側コネクタの上方と左方の二面を囲むようにカバー部材に設け」られているのに対して、特許請求の範囲においてはセンサー側コネクタの全ての面を囲むことを包含した記載であった。
ここで、特許請求の範囲の請求項2に記載された発明の効果を検討すると、段落【0044】に記載されるように、センサー側コネクタとハーネス側コネクタの接続部を複数の部材によって六方(六つの側面)を囲み、外部からのアクセスを不可能として不正行為を防止するところにある。
とすれば、「第2 平成26年2月24日付け手続補正の適否 2.本件補正についての当審の判断」において定義したように、視覚的に見えなくすることを意味する「隠す」を、外部から接近できないようにする「囲む」に統一することは、特許請求の範囲の請求項2に記載された発明の効果に合致しており、明瞭でない記載の釈明を目的とするものに該当し、センサー側コネクタの「二つの側面」を囲むと、囲む側面の数を限定することは、特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
そして、上記訂正事項Bは願書に添付した明細書又は図面に記載された事項に基づいたものであって、願書に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内においてされたものである。
したがって、訂正事項Bは、願書に添付した明細書及び図面、並びに特許請求の範囲のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入しないから、新規事項の追加に該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。
さらに、訂正後の特許請求の範囲に記載された事項により特定される発明は、拒絶すべき理由を有しない特許発明を、減縮するものであるから、特許出願の際独立して特許を受けることができない発明でないことは明らかである。

(3)訂正事項C及びDについて
訂正事項Cは発明の詳細な説明の関係する段落の内容を訂正事項Cに係る特許請求の範囲の内容に整合させるべく、訂正事項Aに合わせて訂正しようとしたものであり、訂正事項Dは発明の詳細な説明の関係する段落の内容を訂正事項Dに係る特許請求の範囲の内容に整合させるべく、訂正事項Bに合わせて訂正しようとしたものであり、関連する発明の詳細な説明の記載を訂正したものであるから、明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。
そして、訂正事項A及びBと同じ理由により、新規事項の追加に該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。

第4 むすび
以上のとおりであるから、本件訂正審判の請求は、特許法第126条第1項ただし書第1号及び3号に掲げる事項を目的とするものである。また、同条第5項乃至第7項の規定にも適合する。
よって、結論のとおり審決する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
遊技機
【技術分野】
【0001】
本発明は、メダルを遊技媒体とする遊技機に関し、さらに詳しくは、メダル投入口等から挿入した長尺の部材によりメダルセレクター等に対して行われる不正行為を防止するようにした遊技機に関する。
【背景技術】
【0002】
メダルを遊技媒体とする遊技機として、スロットマシンがある。
スロットマシンは、メダルが投入されるメダル投入口と、メダル投入口から投入されたが所定の規格に適合するか否かの選別を行うためのメダルセレクターと、メダルセレクターにて所定の規格に適合するとされたメダルを貯留するとともに所定の条件に基づいて貯留しているメダルを排出するためのメダルホッパーと、メダルホッパーから排出されたメダルが払い出されるメダル払出口とを備えている。
また、メダルセレクターは、メダル投入口から投入されたメダルを受け入れるためのメダル受入口と、メダル受入口から受け入れたメダルを誘導するためのメダル誘導通路と、メダル誘導通路により誘導されたメダルを排出するためのメダル排出口とを有し、また、メダル誘導通路の上流側には、所定の規格に適合しないメダルを排除するためのメダル選別手段を有し、また、メダル誘導通路の中間部には、メダルを強制的に排除するためのメダル排除手段を有し、また、メダル誘導通路の下流側には、メダルの通過を検知するためのメダル検知手段を有している。
【0003】
そして、メダル検知手段によってメダルが検知されると、このメダルが遊技に使用可能なメダルとしてカウントされるようになっている。
ここで、スロットマシンでは、メダルの投入の煩わしさから遊技者を解放するため、クレジット機能を設けている。また、クレジット機能は、次のようなものである。遊技の開始に先立ち、ある程度まとまった枚数のメダルをメダル投入口にあらかじめ投入しておくと、これらのメダルがメダル検知手段によって検知され、このとき出力されるメダル検知信号に基づいて、クレジットメダルカウント手段がカウント動作を行う。つまり、メダルがクレジットされる。また、クレジットメダルカウント手段のカウント値は、スロットマシンの前面に設けた7セグメントLEDに表示される。また、メダルがクレジットされているときに、スロットマシンの前面に設けたベットスイッチを操作すると、メダル投入口からのメダルの投入に代えて、クレジットされているメダルが投入されるとともに、クレジットされているメダルを投入した分だけ、クレジットメダルカウント手段のカウント値が減算される。また、7セグメントLEDには、減算後のカウント値が表示される。そして、クレジットされているメダルを投入した場合にも、メダル投入口からメダルを投入した場合と同様に、遊技を行うことができる。また、クレジットメダルカウント手段のカウント値が0になる前に遊技を終えたいときには、精算スイッチを操作する。そうすると、クレジットされているメダルが払い出されるとともに、クレジットメダルカウント手段のカウント値が0になる。
【0004】
またここで、メダル検知手段は、メダル誘導通路におけるメダルの正規の進行方向に沿って並列に設けた2個のフォトセンサーから構成されている。メダル誘導通路の上流側に設けられるのが第1フォトセンサーであり、下流側に設けられるのが第2フォトセンサーである。また、各フォトセンサーは、検知光を発する発光部と、発光部から発せられた検知光を受ける受光部とを有する反射型フォトセンサーであり、発光部から発せられ、メダルで反射した検知光を、受光部で検知することにより、メダル誘導通路を通過するメダルを検知するようにしている。第1フォトセンサーが先にメダルを検知し、その直後に第2フォトセンサーがメダルを検知すれば、メダルの進行方向は正常であるが、第2フォトセンサーが先にメダルを検知し、その直後に第1フォトセンサーがメダルを検知すると、メダルの進行方向は異常である。
【0005】
このように、メダル検知手段を2個のフォトセンサーで構成することにより、メダルの通過のみならず、メダルの進行方向をも検知可能にしている。そうすると、「糸つり」などと呼ばれる不正行為を防止できる。なお、「糸つり」とは、糸を括り付けたメダルをメダル投入口から投入し、糸を操ることでメダルがメダル検知手段の前後を往復するようにして、クレジットメダルカウント手段のカウント値を不正に加算するものである。
また、近年、「クレ満」などと呼ばれる不正器具を用いた不正行為が問題となっている。「クレ満」は、長尺の板状部材の先端付近に、フォトセンサーの発光部から発せられる検知光と同質の光を発するLEDを複数個並べたものであり、これをメダル投入口からメダル誘導通路に挿入し、その先端付近をメダル検知手段のあたりに位置させ、メダルの通過と同じようなタイミングで、上流側のものから下流側のものへ向けて順に、LEDを一時的に点灯させることにより、あたかも上流側から下流側へ向けてメダルがメダル誘導通路を通過したかのような状態を作り出し、各フォトセンサーに誤作動を起こさせて、クレジットメダルカウント手段のカウント値を不正に加算するものである。
【0006】
なお、「クレ満」対策の先行技術としては、例えば、下記の特許文献1?5がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2006-272012号公報
【特許文献2】特開2006-271865号公報
【特許文献3】特開2005-288007号公報
【特許文献4】特開2006-330888号公報
【特許文献5】特許第4173086号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、上記の特許文献1?5には、「クレ満」対策として、メダルセレクターに設けた第1および第2の2つのフォトセンサーに加えて、機械的な接触を介して検知を行う第3のフォトセンサーをメダル誘導通路上の所定位置に設けて、この第3のフォトセンサーの検知結果に基づいて、メダル誘導通路内への「クレ満」の挿入を検知したり、あるいは第1および第2の2つのフォトセンサーの検知結果に基づくカウント値と、第3のフォトセンサーの検知結果に基づくカウント値とを比較照合して、異常か否かの判定を行うなどの先行技術が提案されている。
しかし、第3のフォトセンサーに対しても、例えば、「クレ満」とは別の長尺の異物を用いて不正行為が行われたり、あるいは第3のフォトセンサーと遊技機の制御装置とを接続するハーネスの途中に不正な電子回路が取り付けられる可能性もある。
【0009】
そこで、本発明は、特に第3のフォトセンサーに対する不正行為の防止を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、遊技機に係るものであって、メダル投入口から投入されたメダルを受け入れるメダル受入口、前記メダル受入口に受け入れられたメダルを誘導する第1メダル誘導通路、前記第1メダル誘導通路に誘導されたメダルを排出するメダル排出口、および前記第1メダル誘導通路により誘導されるメダルの通過を検知する第1メダル検知装置を有し、前記メダル投入口から投入されたメダルが所定の規格に適合するか否かの選別を行うメダルセレクターと、前記メダル排出口から排出されたメダルをメダル貯留部へ誘導する第2メダル誘導通路が形成されたベース部材を有するメダルガイドと、前記ベース部材に取り付けられて前記第2メダル誘導通路により誘導されるメダルの通過を検知する第2メダル検知装置とを備え、前記第2メダル検知装置は、前記第2メダル誘導通路内の所定位置に配置され前記第2メダル誘導通路を通過するメダルが接触すると基準位置から変位する接触片と、前記第2メダル誘導通路外の所定位置に配置され前記接触片の変位に連動して変位する検知片と、前記検知片の変位を検知するための変位検知センサーと、前記メダルの接触により変位した前記接触片が前記基準位置に戻るように付勢力を与えるバネ部材とを有し、前記変位検知センサーは、検知光を発する発光部と、前記発光部から発せられた検知光を受光する受光部とを有し、前記接触片が前記基準位置に位置すると前記検知片が前記発光部と前記受光部との間に位置し、前記接触片が前記メダルの接触により変位すると前記検知片が前記発光部と前記受光部との間から退くように構成され、前記ベース部材に、前記変位検知センサーから延びるハーネスを前記ベース部材の下方に挿通させるハーネス挿通孔が形成される。
【0011】
【0012】
そして、前記第2メダル検知装置は、前記検知片および前記変位検知センサーを覆って前記ベース部材に取り付けられるカバー部材を有し、前記カバー部材の内側に前記変位検知センサーが固定され、前記カバー部材における前記変位検知センサーと対向する部分に切り欠きが形成され、前記ベース部材は、前記カバー部材が取り付けられた状態で前記切り欠きを覆う覆い部を有している。
【0013】
上述の特徴点に代え、前記第2メダル検知装置は、前記検知片および前記変位検知センサーを覆って前記ベース部材に取り付けられるカバー部材を有し、前記変位検知センサーは、前記ハーネスの一端に設けられたハーネス側コネクタと嵌合して電気的に接続されるセンサー側コネクタを有し、前記カバー部材は、前記カバー部材に覆われた前記変位検知センサーにおける前記センサー側コネクタを前記カバー部材の外側に挿通させるコネクタ挿通孔と、前記コネクタ挿通孔に挿通配置された前記センサー側コネクタの二つの側面を囲むコネクタ囲み部とを有してもよい。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、メダルガイドに、メダル排出口から排出されたメダルを誘導するための第2メダル誘導通路と、第2メダル誘導通路により誘導されるメダルの通過を検知するための第2メダル検知装置とを設けるとともに、第2メダル検知装置については、第2メダル誘導通路を通過するメダルが接触すると変位する接触片と、接触片の変位に連動して変位する検知片と、検知片の変位を検知するための変位検知センサーとを備えた構成となっている。このように、メダルセレクターの第1メダル検知装置に加えて、機械的な接触を介してメダルの通過を検知する、第2メダル検知装置を設けたことから、第2メダル検知装置の検知片と変位検知センサーとに対するアクセスを困難にすることにより、長尺の異物を用いて変位検知センサーに誤作動を起こさせる不正行為を防止できる。
【0015】
【0016】
【0017】
また、メダル投入口から挿入された長尺の異物の先端は、円弧状に湾曲した第2メダル誘導通路の外側壁部に摺りながら、第2メダル誘導通路内を上流側から下流側へ向けて進むため、円弧状に湾曲した第2メダル誘導通路の内側壁部よりも内側には到達しない。そして、変位検知センサーを、円弧状に湾曲した第2メダル誘導通路の内側壁部よりも内側に配置したことから、メダル投入口から挿入された長尺の異物の先端が、変位検知センサーには到達しないので、変位検知センサーに対する不正行為を防止できる。
【0018】
また、カバー部材が変位検知センサーを覆った状態では、センサー側コネクタからハーネス側コネクタを取り外すことができないように形成することで、センサー側コネクタとハーネス側コネクタとの間に不正な電子回路を接続する、「ぶら下げ」あるいは「ぶら下がり」などと呼ばれる不正行為を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の実施の形態に係る遊技機の外観正面図
【図2】本発明の実施の形態に係る遊技機の筐体内部の正面図
【図3】本発明の実施の形態に係る遊技機の前扉裏面の正面図
【図4】本発明の実施の形態に係る遊技機の前扉裏面の要部拡大斜視図
【図5】本発明の実施の形態に係る遊技機のメダルガイドを上方から見た斜視図
【図6】本発明の実施の形態に係る遊技機のメダルガイドを下方から見た斜視図
【図7】本発明の実施の形態に係る遊技機のメダルガイドの分解斜視図
【図8】本発明の実施の形態に係る遊技機のメダルガイドの分解斜視図
【図9】本発明の実施の形態に係る遊技機のメダルガイドの分解斜視図
【図10】本発明の実施の形態に係る遊技機のメダルガイドの断面図
【図11】本発明の実施の形態に係る遊技機のメダルガイドのハーネス説明図
【図12】本発明の実施の形態に係る遊技機のメダルガイドのハーネス説明図
【図13】本発明の実施の形態に係る遊技機のメダルガイドの動作説明図
【図14】本発明の実施の形態に係る遊技機のメダルガイドの動作説明図
【図15】本発明の実施の形態に係る遊技機のメダルガイドに対して不正行為が行われたときの説明図
【図16】本発明の他の実施の形態に係る遊技機のメダルガイドの斜視図
【図17】本発明の他の実施の形態に係る遊技機のメダルガイドの斜視図
【図18】本発明の実施の形態および本発明の他の実施の形態に係る遊技機のメダルガイドの各部の寸法説明図
【発明を実施するための形態】
【0020】
図1?図15に基づいて、本発明の実施の形態に係る遊技機について説明する。
以下、「前面」とは、遊技機において遊技を行う際に遊技者が向き合う面をいい、「右側」とは、遊技機の前面に向き合って遊技を行う遊技者から見て右側をいい、「左側」とは、遊技機の前面に向き合って遊技を行う遊技者から見て左側をいう。
(遊技機)
本実施の形態に係る遊技機は、スロットマシン10である。
図1?図3に示すように、このスロットマシン10は、前面に開口部を有する箱型の筐体11と、筐体11前面の開口部を開閉可能に塞ぐ前扉12とを備えている。
【0021】
また、筐体11は、底板、右側板、左側板、天板および背板を備え、前面に開口部を有する箱型をしている。また、筐体11内部における、上下のほぼ中間位置には、右側板と左側板との間に水平に架け渡すようにして、中板が設けられている。
また、図2に示すように、筐体11内部における、中板よりも上側には、中板の上面中央に固定するようにして、3個の回転リール17を横並びに設けたリールユニット16が設けられるとともに、背板に固定するようにして、スロットマシン10を制御するための制御装置が設けられ、また、筐体11内部における、中板よりも下側には、底板の上面中央に固定するようにして、投入されたメダルを貯留するメダル貯留部18aを有するとともにメダル貯留部18aに貯留しているメダルを払い出すためのメダルホッパー18が設けられるとともに、底板の上面左側に固定するようにして、スロットマシン10が備える各装置に電力を供給するための電源ユニットが設けられている。
【0022】
また、前扉12の上部中央には、演出用ランプが設けられ、また、前扉12の上部中央における演出用ランプの下側には、液晶ディスプレイが設けられ、また、前扉12の上部における液晶ディスプレイの左右両側には、スピーカがそれぞれ設けられている。
また、図1に示すように、前扉12の前面上部には、上パネル13が備えられ、また、前扉12の前面下部には、下パネル14が備えられ、また、前扉12の前面における、上パネル13と下パネル14との間には、前方へ向けて突出する操作部20が設けられている。
また、図1に示すように、上パネル13のほぼ中央には、各回転リール17の周囲に付されている図柄を遊技者に見せるための図柄表示窓15が設けられ、また、下パネル14には、当該スロットマシン10の機種名のロゴやイメージキャラクターなどが表示されている。
【0023】
また、図1に示すように、操作部20の上面右側には、メダルが投入されるメダル投入口21が設けられ、また、操作部20の上面左側には、クレジットされているメダルをベットするためのベットスイッチ22が設けられ、また、操作部20の前面左側には、クレジットされているメダルを返却するためのキャンセルスイッチ23、および回転リール17の回転を開始させるためのスタートスイッチ24が設けられ、また、操作部20の前面中央には、回転リール17の回転を停止させるための3個のストップスイッチ25が横並びに設けられている。
また、図1に示すように、前扉12の下部中央であって、メダル投入口21よりも下方の位置には、前扉12を前後に貫通するようにして、メダルが払い出されるメダル払出口26が設けられ、また、前扉12の前面下部における、メダル払出口26の下方には、メダル払出口26から払い出されたメダルを受け止めて貯留するためのメダル受け皿27が設けられている。
【0024】
また、図3?図4に示すように、前扉12の裏面における、メダル投入口21に対応する位置、より具体的には、メダル投入口21の後下方に相当する位置には、メダル投入口21から投入されたメダルが所定の規格に適合するものか否かの選別を行うためのメダルセレクター50と、メダルセレクター50にて所定の規格に適合するとされたメダルをメダルホッパー18のメダル貯留部18aへ導くためのメダルガイド80とが取り付けられている。
また、図3に示すように、前扉12の裏面における、メダルセレクター50からメダル払出口26にかけての位置には、前扉12の裏面に沿うようにして、メダルシュート70が設けられている。このメダルシュート70は、メダルセレクター50にて所定の規格に適合しないとして排除されたメダルを受け入れてメダル払出口26まで誘導するメダル返却通路を形成するためのものである。
【0025】
(メダル投入口21)
メダル投入口21は、遊技を行うに際しメダルを投入するところであって、前扉12の所定位置、具体的には、操作部20の上面右側に設けられている。
また、メダル投入口21には、メダルを通過させることが可能な内寸のスリットが、その上部から下部まで至るように形成されている。そして、スリットの上側が、入口として開口するとともに、スリットの下側が、出口として開口している。これにより、入口に投入されたメダルがスリットを通過して出口から排出されるようになっている。
(メダルセレクター50)
メダルセレクター50は、メダル投入口21から投入されたメダルが所定の規格に適合するか否かの選別を行うためのものであって、前扉12の裏面における、メダル投入口21に対応する位置、より具体的には、メダル投入口21の下方に相当する位置に取り付けられている。
【0026】
メダルセレクター50は、箱型のセレクタケース51と、セレクタケース51の背面に対して開閉可能に取り付けられたゲートプレート52と、ゲートプレート52を背面側から覆うようにセレクタケース51に取り付けられたセレクタカバー53とを備えている。セレクタケース51とセレクタカバー53とにより、メダルセレクター50は、外形は四角箱型に見える。
また、メダルセレクター50の上面右側には、メダル投入口21から投入されたメダルを受け入れるためのメダル受入口が設けられ、また、セレクタケース51とゲートプレート52との間には、メダル受入口から受け入れたメダルを誘導するための第1メダル誘導通路が設けられ、また、メダルセレクター50の左面下側には、第1メダル誘導通路により誘導されたメダルを排出するためのメダル排出口が設けられている。
【0027】
そして、メダルセレクター50を所定の取付位置に取り付けると、メダル投入口21の出口とメダルセレクター50のメダル受入口とが合致する。これにより、メダル投入口21の入口から投入されたメダルがメダルセレクター50の第1メダル誘導通路へスムーズに流れるようになっている。
また、第1メダル誘導通路は、上面右側のメダル受入口から左面下側のメダル排出口まで至るように、「く」の字あるいは「L」の字のように途中で屈曲した形状に形成されており、メダル受入口からほぼ鉛直下方へ向かう鉛直通路と、鉛直通路の下端から斜め下方へ向けて緩やかに傾斜してメダル排出口まで至る傾斜通路とからなる。
【0028】
また、メダル受入口付近には、所定の規格よりも直径が大きいメダルや、所定の規格よりも厚さが大きいメダルの通過を阻止する第1メダル選別手段が設けられている。
また、傾斜通路の上流側には、所定の規格よりも直径が小さいメダルや、所定の規格よりも厚さが小さいメダルを第1メダル誘導通路から排除する第2メダル選別手段が設けられている。
また、傾斜通路の中間部には、第1メダル選別手段および第2メダル選別手段によって所定の規格に適合するとされたメダルを強制的に排除するメダル排除手段が設けられている。このメダル排除手段は、所定の規格に適合するものの投入不可とされているときに投入されたメダルを第1メダル誘導通路から強制的に排除するものである。
【0029】
また、傾斜通路の下流側には、第1メダル誘導通路により誘導されるメダルの通過を検知するための第1メダル検知装置が設けられている。この第1メダル検知装置は、第1メダル選別手段、第2メダル選別手段およびメダル排除手段によって排除されることなく第1メダル誘導通路の下流側まで到達したメダルの通過を検知するものである。
また、第1メダル検知装置は、第1メダル誘導通路におけるメダルの正規の進行方向に沿って並列に設けた2個のフォトセンサーから構成されている。第1メダル誘導通路の上流側に設けられるのが第1フォトセンサーであり、下流側に設けられるのが第2フォトセンサーである。また、各フォトセンサーは、検知光を発する発光部と、発光部から発せられた検知光を受ける受光部とを有する反射型フォトセンサーであり、発光部から発せられ、メダルで反射した検知光を、受光部で検知することにより、第1メダル誘導通路を通過するメダルを検知するようにしている。第1フォトセンサーが先にメダルを検知し、その直後に第2フォトセンサーがメダルを検知すれば、メダルの進行方向は正常であるが、第2フォトセンサーが先にメダルを検知し、その直後に第1フォトセンサーがメダルを検知すると、メダルの進行方向は異常である。
【0030】
そして、第1メダル検知装置によって進行方向が正常なメダルとして検知されると、このメダルが遊技に使用可能なメダルとしてカウントされ、その後、メダル排出口から排出され、後述するメダルガイド80に導かれて、メダルホッパー18のメダル貯留部18aへ至る。
(セレクタブラケット60)
セレクタブラケット60は、メダルセレクター50を前扉12の裏面の所定位置に着脱可能に取り付けるためのものである。
このセレクタブラケット60は、前扉12の裏面の所定位置、具体的には、メダル投入口21の下方に相当する位置に、ビスで固定されており、メダルセレクター50の係合部をセレクタブラケット60の被係合部に係合させると、メダルセレクター50が、セレクタブラケット60に取り付けられ、ひいては前扉12の裏面の所定位置(メダル投入口21の下方に相当する位置)に取り付けられることとなる。
【0031】
(メダルガイド80)
メダルガイド80は、メダルセレクター50にて所定の規格に適合するとされたメダルをメダルホッパー18のメダル貯留部18aへ導くためのものである。
図5?図10に示すように、本実施の形態では、メダルガイド80は、一体成形されたベース部材81を備えており、このベース部材81上に、メダルセレクター50のメダル排出口から排出されたメダルを誘導するための第2メダル誘導通路82と、第2メダル誘導通路82により誘導されるメダルの通過を検知するための第2メダル検知装置100とを備えている。
また、第2メダル誘導通路82は、メダルセレクター50の左面下側に設けられたメダル排出口から排出されたメダルを、筐体11内部の下方に設けられたメダルホッパー18のメダル貯留部18aへ導くために、図5?図10に示すように、平面視でメダルの進行方向を左方向から後方へ右曲がりにほぼ90度変更するように、円弧状に湾曲した形状に形成され、かつ、上流側から下流側へ向かうに従って高さが次第に低くなるように滑らかに傾斜するように形成されている。
【0032】
また、図5?図10に示すように、メダルガイド80のベース部材81は、第2メダル誘導通路82の底面を構成する底部83と、第2メダル誘導通路82における湾曲の外側の側面を構成する外側壁部84と、第2メダル誘導通路82における湾曲の内側の側面を構成する内側壁部85とを有するとともに、円弧状に湾曲した第2メダル誘導通路82における内側壁部85よりも湾曲の内側に相当する位置に、センサー取付部87を有している。また、外側壁部84と内側壁部85との間隔は、所定の規格に適合したメダルの厚さよりは大きく、かつ、同メダルの直径よりは小さく設定されている。具体的には、外側壁部84と内側壁部85との間隔は、所定の規格に適合したメダルの厚さの3倍から5倍程度、かつ、同メダルの直径の2分の1から3分の1程度に設定されている。このようにして、第2メダル誘導通路82は、メダルを起立状態で転動させるように形成されている。
【0033】
また、図5?図10に示すように、第2メダル誘導通路82の上部は開放されている。
また、図7に示すように、外側壁部84における、内側壁部85と対向する面には、つまり、外側壁部84における、第2メダル誘導通路82の内周面となる側には、第2メダル誘導通路82の下流側へ向かうに従って底部83から次第に離れつつ外側壁部84の上端縁まで至る凹部である上方逃し溝86が設けられている。具体的には、図7に示すように、外側壁部84における、内側壁部85と対向する面には、上方逃し溝86とされる凹部が設けられている。また、上方逃し溝86とされる凹部の下端縁は、第2メダル誘導通路82の上流側から下流側へ向かうに従って底部83から次第に離れていくように滑らかに湾曲しており、第2メダル誘導通路82における中間よりもやや下流側寄りの位置で、外側壁部84の上端縁まで至っている。これにより、後述する第2メダル検知装置100の接触片101は、上方逃し溝86が設けられている位置よりも第2メダル誘導通路82の下流側に配置されることとなっている。
【0034】
ここで、図15の(A)に示すように、メダル投入口21からメダルセレクター50の第1メダル誘導通路を介してメダルガイド80の第2メダル誘導通路82まで、長尺の異物が挿入されたとする。このような場合、長尺の異物の先端は、外側壁部84における、内側壁部85と対向する面に摺りながら、第2メダル誘導通路82内を上流側から下流側へ向けて進んでいく。そうすると、長尺の異物の先端は、図15の(B)に示すように、上方逃し溝86とされる凹部に落ち込み、さらに奥まで押し込まれると、図15の(C)に示すように、上方逃し溝86とされる凹部の下端縁に沿って上方へ向けて進み、ひいては、開放された上部から第2メダル誘導通路82の外へ導かれることとなるので、後述する接触片101や検知片102や変位検知センサー106などに到達することができない。
【0035】
また、第2メダル検知装置100は、第2メダル誘導通路82により誘導されるメダルの通過を検知するためのものであって、図5?図7に示すように、本実施の形態では、第2メダル誘導通路82における下流側端部付近に設けられている。
また、図7に示すように、第2メダル検知装置100は、第2メダル誘導通路82内の所定位置に配置され第2メダル誘導通路82を通過するメダルが接触すると変位する接触片101と、第2メダル誘導通路82外の所定位置に配置され接触片101の変位に連動して変位する検知片102と、検知片102の変位を検知するための変位検知センサー106と、検知片102および変位検知センサー106を覆うカバー部材110とを備えている。
【0036】
ここで、図5?図11に示すように、カバー部材110は、下部が開放された箱形に形成されている。具体的には、カバー部材110は、上面には上面板111を有し、右側面には右側面板112を有し、左側面には左側面板113を有し、前面には前面板114を有し、背面には背面板115を有し、下面には開口部が設けられている。これにより、カバー部材110は、下部が開放された箱形となっている。また、カバー部材110の内部には、カバー部材110の内部を左右に仕切るようにして仕切板116が設けられているとともに、仕切板116の一部が切り欠かれるようにして連通部117が設けられている。この連通部117は、カバー部材110の内部の左右を連通するものとなっている。そして、このようなカバー部材110の内部に、接触片101や検知片102や変位検知センサー106などが取り付けられるとともに、これらが取り付けられたカバー部材110が、ベース部材81のセンサー取付部87に取り付けられることにより、接触片101や検知片102や変位検知センサー106などが、第2メダル誘導通路82に対して所定位置に配置されるとともに、カバー部材110が、接触片101や検知片102や変位検知センサー106などを覆うようになっている。
【0037】
また、カバー部材110のベース部材81への固定は、カバー部材110のカバー側係止突起118を、ベース部材81のベース側係止孔89に係合させるとともに、ベース部材81のベース側係止突起90を、カバー部材110のカバー側係止孔119に係合させ、この状態で、カバー部材81のビス孔に挿通させたビスを、ベース部材81の固定用ボス88に設けたビス止め孔に螺合させることによって行われる。
なお、本実施の形態では、変位検知センサー106は、カバー部材110の内部の所定位置にビスで固定されるようになっているが、このビスを工具で回しやすくするための切り欠きが、カバー部材110の背面板115に設けられている。そして、ベース部材81には、カバー部材110の背面板115に設けられた切り欠きを覆い隠すための後覆い板94が設けられており、さらには、この後覆い板94を補強するとともにカバー部材110の右側面板112を覆い隠すための右覆い板95が設けられている。
【0038】
また、図7に示すように、本実施の形態では、接触片101と検知片102とは、連結部103で連結されている。つまり、連結部103の一方側の端部付近には、下方へ向けて突出する板状の接触片101が設けられており、また、連結部103における接触片101とは反対側の端部付近には、前方へ向けて突出する板状の検知片102が設けられている。また、接触片101と検知片102と連結部103とは、一体成形されている。また、連結部103には、その中心を接触片101側から検知片102側まで貫くようにして、支持軸104が取り付けられている。また、カバー部材110の左側面板113および右側面板112には、それぞれ軸孔が設けられており、支持軸104の左右両端は、各軸孔にそれぞれ挿入されている。このとき、連結部103および支持軸104は、カバー部材110の内部の左右を連通する連通部117内に配置される。このようにして、支持軸104が、カバー部材110に取り付けられており、ひいては、接触片101および検知片102が、カバー部材110に対して支持軸104を中心に揺動可能に取り付けられている。そして、カバー部材110が、ベース部材81のセンサー取付部87に取り付けられると、支持軸104が、第2メダル誘導通路82の下流側端部付近における上方に位置するようになっている。これにより、接触片101は、第2メダル誘導通路82内の所定位置に、また、検知片102は、第2メダル誘導通路82外の所定位置に、それぞれ配置されるようになっている。
【0039】
具体的には、接触片101は、第2メダル誘導通路82内における、第2メダル誘導通路82の下流側端部付近に配置される。そして、図13の(A)および図14の実線で示すように、接触片101は、第2メダル誘導通路82の上方に設けられた支持軸104によって揺動可能に軸支されることにより、第2メダル誘導通路82により誘導されるメダルの上部が、接触片101の下部に接触するようになっているとともに、図13の(B)および図14の破線で示すように、第2メダル誘導通路82により誘導されるメダルの上部が接触片101の下部に接触すると、支持軸104を中心に接触片101が揺動して、接触片101の下部が上方へ持ち上がるように変位するようになっている。
【0040】
また、支持軸104には、接触片101および検知片102を基準位置に復帰させるためのコイルバネである復帰バネ105が外装されている。復帰バネ105は、支持軸104の外側に嵌められており、一端をカバー部材110の所定位置に係止させるとともに、他端を連結部103の所定位置に係止させている。これにより、復帰バネ105は、支持軸104を中心に、接触片101および検知片102を一定方向へ向けて回動させるように付勢し、ひいては、常態では接触片101および検知片102が基準位置に復帰するようにしている。なお、基準位置では、接触片101は、下方を向き、かつ、検知片102は、前方を向くようになっている。
また、変位検知センサー106は、検知片102の変位を検知するためのものである。本実施の形態では、変位検知センサー106として、フォトセンサーを用いている。この変位検知センサー106としてのフォトセンサーは、検知光を発する発光部と、発光部から発せられた検知光を受ける受光部とを有している。そして、発光部と受光部との間に検知片102があれば、発光部から発せられた検知光は、受光部には届かなくなり、また、検知片102が変位することにより、発光部と受光部との間から退けば、発光部から発せられた検知光は、受光部に届くようになる。そして、発光部から発せられた検知光が、受光部に届いているか否かによって、検知片102が変位したか否かを検知するものである。
【0041】
また、検知片102は、接触片101の変位に連動して変位するものである。図13の(A)に示すように、本実施の形態では、基準位置では、つまり、接触片101の下部にメダルの上部が接触せず、接触片101が下方を向いているときには、検知片102は、前方を向くようになっている。このとき、検知片102は、変位検知センサー106としてのフォトセンサーの発光部と受光部との間に位置するようになっており、発光部から発せられた検知光が受光部には届かなくなるようにしている。一方、図13の(B)に示すように、接触片101の下部にメダルの上部が接触し、支持軸104を中心に接触片101が揺動して、接触片101の下部が上方へ持ち上がるように変位すると、検知片102は、下方へ押し下げられるように変位する。そうすると、検知片102は、変位検知センサー106としてのフォトセンサーの発光部と受光部との間から退き、これにより、発光部から発せられた検知光が受光部に届くようになる。
【0042】
また、図12および図13に示すように、変位検知センサー106および検知片102は、ベース部材81のセンサー取付部87に配置されるが、上述したように、ベース部材81のセンサー取付部87は、円弧状に湾曲した第2メダル誘導通路82における内側壁部85よりも湾曲の内側に相当する位置に設けられている。つまり、変位検知センサー106および検知片102は、円弧状に湾曲した第2メダル誘導通路82における内側壁部85よりも湾曲の内側に相当する位置に配置されている。
また、図7、図9、図10および図12に示すように、変位検知センサー106の所定位置には、センサー側コネクタ108が設けられ、一方、カバー部材110の前面板114の所定位置には、コネクタ挿通孔120とされる四角形状の開口部が設けられている。そして、変位検知センサー106をカバー部材110の内部の所定位置に固定すると、センサー側コネクタ108がコネクタ挿通孔120内に位置する。これにより、カバー部材110の外部からコネクタ挿通孔120を介してセンサー側コネクタ108にアクセス可能となる。さらに、コネクタ挿通孔120内に位置するセンサー側コネクタ108に、ハーネス107の先端に設けられたハーネス側コネクタ109が装着される。そして、ハーネス側コネクタ109がセンサー側コネクタ108に装着されると、変位検知センサー106と遊技機としてのスロットマシン10の制御装置とがハーネス107を介して電気的に接続される。
【0043】
また、図7、図8、図9、図10、図12および図13に示すように、本実施の形態では、カバー部材110の前面板114における、コネクタ挿通孔120の上側に相当する位置には、当該位置から前方へ向けて突出する、四角平板状のコネクタ上方隠し板121が設けられ、また、カバー部材110の前面板114における、コネクタ挿通孔120の左側に相当する位置には、当該位置から前方へ向けて突出する、四角平板状のコネクタ左方隠し板122が設けられている。一方、ベース部材81のセンサー取付部87における、センサー側コネクタ108とハーネス側コネクタ109との接続部の下方に相当する位置には、ハーネス挿通孔91とされる四角形状の開口部が設けられている。そして、ベース部材81のセンサー取付部87における、ハーネス挿通孔91の前側に相当する位置には、当該位置から上方へ向けて突出する、四角平板状のコネクタ前方隠し板96が設けられ、また、ベース部材81のセンサー取付部87における、ハーネス挿通孔91の右側に相当する位置には、当該位置から上方へ向けて突出する、四角平板状のコネクタ右方隠し板97が設けられている。
【0044】
そして、ベース部材81のセンサー取付部87の下面側から上面側へ、ハーネス挿通孔91を介して、ハーネス107の先端を挿通させ、その後、ハーネス107の先端に設けられたハーネス側コネクタ109を、センサー側コネクタ108に装着し、その後、カバー部材110を、ベース部材81のセンサー取付部87に取り付ける。そうすると、センサー側コネクタ108とハーネス側コネクタ109との接続部は、カバー部材110の前面板114と、コネクタ上方隠し板121と、コネクタ左方隠し板122と、ベース部材81のセンサー取付部87、コネクタ前方隠し板96と、コネクタ右方隠し板97とによって、六方を囲まれることとなる。これにより、ベース部材81のセンサー取付部87からカバー部材110を取り外さない限り、センサー側コネクタ108とハーネス側コネクタ109との接続部に対してアクセス不可能となっており、センサー側コネクタ108からハーネス側コネクタ109を取り外したり、センサー側コネクタ108とハーネス側コネクタ109との間に不正な電子回路を接続する、「ぶら下げ」あるいは「ぶら下がり」などと呼ばれる不正行為が行われないようにしている。
【0045】
また、上述したように、ハーネス107は、ハーネス挿通孔91に挿通されるが、ハーネス107における、ハーネス挿通孔91から下方に飛び出した部分は、図11および図12に示すように、第2メダル誘導通路82の底部83の下側を這うように取り回され、その後、第2メダル誘導通路82の外側壁部84における、内側壁部85とは反対側の面に設けられたハーネス係止フック92に係止される。具体的には、このハーネス係止フック92は、ハーネス107を係止させるためのものであって、ほぼ「C」の字形に形成され、「C」の字の切れ目に相当する切欠部93を、第2メダル誘導通路82の下流側へ向けるようにして、第2メダル誘導通路82の外側壁部84における、内側壁部85とは反対側の面の上端付近に設けられている。さらに、ハーネス係止フック92の切欠部93の近傍には、カバー部材110をベース部材81に係止させるためのベース側係止突起90が突出している。そして、図11および図12の(A)に示すように、ハーネス107は、切欠部93を介して、ハーネス係止フック92に保持されて係止されるが、図12の(B)に示すように、仮にハーネス107がハーネス係止フック92から外れてしまったとしても、切欠部93の近傍に、ベース側係止突起90が突出していることから、ハーネス係止フック92から外れたハーネス107は、ベース側係止突起90に引っ掛かる上に、この状態でも依然として、第2メダル誘導通路82の底部83の下側を這うように取り回されたままとなる。これにより、たとえハーネス107がハーネス係止フック92から外れたとしても、この外れたハーネス107が第2メダル誘導通路82上のメダルの流下を阻害することはないようにしている。
【0046】
(メダルホッパー18)
メダルホッパー18は、メダルを貯留するとともに、所定の条件に基づいて、貯留しているメダルを排出するためのものである。
このメダルホッパー18は、筐体11の内部に配置されており、底板の上面中央に固定されている。そして、このメダルホッパー18は、メダルセレクター50にて所定の規格に適合するとされたメダルを貯留するためのメダル貯留部18aと、メダル貯留部18aに貯留されているメダルを排出ためのメダル排出機構18bとを備えている。そして、メダル排出機構18bによって排出されたメダルは、メダル払出口26から払い出されるようになっている。
【0047】
(メダル払出口26)
メダル払出口26は、メダルホッパー18から排出されたメダルが払い出される開口部であって、前扉12の下部中央に、前扉12を前後に貫通するように設けられている。
(メダルシュート70)
メダル返却通路は、メダルセレクター50により所定の規格に適合しないとして排除されたメダルを受け入れてメダル払出口26まで誘導する通路である。そして、メダルシュート70は、このようなメダル返却通路を形成するためのものである。
このメダルシュート70は、前扉12の裏面における、メダルセレクター50からメダル払出口26にかけての位置に、前扉12の裏面に沿うようにして取り付けられている。また、メダルシュート70は、長手方向に直交する断面がほぼ「コ」字形あるいは「U」字形に形成されている。そして、メダルシュート70が前扉12の裏面における所定の位置に取り付けられると、メダルシュート70と前扉12との間に、メダル返却通路が形成される。また、メダル返却通路は、メダルセレクター50からメダル払出口26まで至る。具体的には、メダル返却通路の上端は、メダルセレクター50付近に位置し、そこにはメダルセレクター50から排除されたメダルを受け入れる開口部が設けられている。また、メダル返却通路の下端は、メダル払出口26に連通している。また、メダル返却通路は、上端から下端へ向かうにしたがって高さが次第に低くなるように形成されている。これにより、メダルセレクター50から排除されたメダル、すなわちメダルセレクター50にて所定の規格に適合しないとされたメダル、およびメダル投入不可に設定されているときにメダル投入口21から投入されて強制的に排除されたメダルは、メダル返却通路によって、メダル払出口26まで誘導される。
【0048】
(制御装置)
本実施の形態では、制御装置は、第1メダル検知装置の第1フォトセンサーおよび第2フォトセンサーがこの順にメダルの通過を検知し、第1メダル検知装置によるメダルの通過の検知から所定の時間の範囲内(例えば、95.36ミリ秒?379.95ミリ秒の範囲内)で、第2メダル検知装置100の変位検知センサー106が検知片102の変位を検知すれば、「正常」と判定するが、第1メダル検知装置によるメダルの通過の検知から所定の時間(例えば、95.36ミリ秒)に達する前に、第2メダル検知装置100の変位検知センサー106が検知片102の変位を検知したり、第1メダル検知装置によるメダルの通過の検知から所定の時間(例えば、379.95ミリ秒)を経過した後に、第2メダル検知装置100の変位検知センサー106が検知片102の変位を検知したり、あるいは第1メダル検知装置によるメダルの通過の検知から所定の時間(例えば、379.95ミリ秒)を経過しても、第2メダル検知装置100の変位検知センサー106が検知片102の変位を検知しないと、「エラー」と判定する。
【0049】
(作用・効果)
以上説明したように、本実施の形態によれば、メダルガイド80に、メダル排出口から排出されたメダルを誘導するための第2メダル誘導通路82と、第2メダル誘導通路82により誘導されるメダルの通過を検知するための第2メダル検知装置100とを設けるとともに、第2メダル検知装置100については、第2メダル誘導通路82を通過するメダルが接触すると変位する接触片101と、接触片101の変位に連動して変位する検知片102と、検知片102の変位を検知するための変位検知センサー106と、検知片102および変位検知センサー106を覆うカバー部材110とを備えた構成とした。このように、メダルの通過を光学的に検知する、メダルセレクター50の第1メダル検知装置に加えて、機械的な接触を介してメダルの通過を検知する、第2メダル検知装置100を設けた上で、第2メダル検知装置100の検知片102と変位検知センサー106とを、カバー部材110で覆うようにしたことから、第2メダル検知装置100の検知片102と変位検知センサー106とに対するアクセスが困難になり、これにより、長尺の異物を用いて変位検知センサー106に誤作動を起こさせる不正行為を防止できる。
【0050】
また、本実施の形態によれば、第2メダル誘導通路82を、平面視で円弧状に湾曲した形状に形成するとともに、第2メダル誘導通路82の外側壁部84における、内側壁部85と対向する面に、上方逃し溝86とされる凹部を設け、この上方逃し溝86については、第2メダル誘導通路82の下流側へ向かうに従って、第2メダル誘導通路82の底部83から次第に離れつつ、外側壁部84の上端縁まで至るようにし、その上で、この上方逃し溝86よりも下流側に、第2メダル検知装置100の接触片101を配置した。このため、第2メダル検知装置100の接触片101に対して不正行為を行うことを目的として、メダル投入口21から第2メダル誘導通路82まで、長尺の異物が挿入されたとしても、この長尺の異物の先端は、外側壁部84における、内側壁部85と対向する面に摺りながら、第2メダル誘導通路82内を上流側から下流側へ向けて進み、この際に、上方逃し溝86に落ち込み、さらに奥まで押し込まれると、上方逃し溝86の下端縁に沿って上方へ向けて進み、ひいては、開放された上部から第2メダル誘導通路82の外へ導かれることとなり、それよりも下流側に配置されている接触片101に到達することができないので、接触片101に対する不正行為を防止できる。
【0051】
また、本実施の形態によれば、第2メダル誘導通路82の上方に設けた支持軸104によって、接触片101を揺動可能に軸支し、第2メダル誘導通路82により誘導されるメダルの上部が、接触片101の下部に接触するように形成するとともに、第2メダル誘導通路82により誘導されるメダルの上部が接触片101の下部に接触すると、支持軸104を中心に接触片101が揺動して、接触片101の下部が上方へ持ち上がるように変位するようにした。ここで、メダル投入口21から挿入された長尺の異物の先端が、外側壁部84に設けた上方逃し溝86によって第2メダル誘導通路82の外へ導かれないようにするには、長尺の異物の先端を、第2メダル誘導通路82の底部83に摺らせながら、第2メダル誘導通路82内を上流側から下流側へ向けて進ませる必要があるところ、接触片101を、第2メダル誘導通路82の上方に設けた支持軸104によって揺動可能に軸支したことから、たとえ長尺の異物の先端が、上方逃し溝86によって第2メダル誘導通路82の外へ導かれなかったとしても、第2メダル誘導通路82の上方に設けた接触片101には容易には到達することができないので、接触片101に対する不正行為を防止できる。
【0052】
また、本実施の形態によれば、円弧状に湾曲した第2メダル誘導通路82の内側壁部85よりも内側に、センサー取付部87を設け、そこに変位検知センサー106を配置した。ここで、メダル投入口21から挿入された長尺の異物の先端は、第2メダル誘導通路82の外側壁部84か底部83に摺りながら、第2メダル誘導通路82内を上流側から下流側へ向けて進むところ、円弧状に湾曲した第2メダル誘導通路82の内側壁部85よりも内側に、変位検知センサー106を配置したことから、メダル投入口21から挿入された長尺の異物の先端が、変位検知センサー106には容易には到達することができないので、変位検知センサー106に対する不正行為を防止できる。
【0053】
また、本実施の形態によれば、カバー部材110が変位検知センサー106を覆った状態では、センサー側コネクタ108からハーネス側コネクタ109を取り外すことができないように形成したことから、センサー側コネクタ108とハーネス側コネクタ109との間に不正な電子回路を接続する、「ぶら下げ」あるいは「ぶら下がり」などと呼ばれる不正行為を防止できる。
(変形例1)
例えば、図16に示すように、円弧状に湾曲した第2メダル誘導通路82の外側壁部84における、内側壁部85と対向する面に、外側壁部84の下流側端縁まで至る凹部である下流側逃し溝131を設けることができる。そうすると、仮にメダル投入口21から挿入された長尺の異物の先端が、第2メダル誘導通路82の底部83に摺りながら、第2メダル誘導通路82内を上流側から下流側へ向けて進み、これにより、上方逃し溝86による第2メダル誘導通路82外への排除を免れ、その後に、外側壁部84に摺りながら、接触片101へ向けて上方へ進路を変えたとしても、今度は下流側逃し溝131にトラップされて第2メダル誘導通路82外へ排除されることから、第2メダル誘導通路82の上方に設けた接触片101には到達しないので、接触片101に対する不正行為の防止効果をより一層高めることができる。
【0054】
(変形例2)
例えば、図17に示すように、円弧状に湾曲した第2メダル誘導通路82の外側壁部84における、内側壁部85と対向する面に、第2メダル誘導通路82の下流側へ向かうに従って底部83から次第に離れつつ外側壁部84の上端縁まで至る凹部である上方逃し溝86としての第1上方逃し溝132を設けるとともに、第1上方逃し溝132よりも下流側に、同じく上方逃し溝86としての第2上方逃し溝133を設け、そして、第2上方逃し溝133よりも下流側に、接触片101を配置することができる。そうすると、仮にメダル投入口21から挿入された長尺の異物の先端が、第2メダル誘導通路82の底部83に摺りながら、第2メダル誘導通路82内を上流側から下流側へ向けて進み、これにより、上方逃し溝86としての第1上方逃し溝132による第2メダル誘導通路82外への排除を免れ、その後に、外側壁部84に摺りながら、接触片101へ向けて上方へ進路を変えたとしても、今度は上方逃し溝86としての第2上方逃し溝133にトラップされて第2メダル誘導通路82外へ排除されることから、第2上方逃し溝133よりも下流側に設けた接触片101には到達しないので、接触片101に対する不正行為の防止効果をより一層高めることができる。
【0055】
(本実施の形態および変形例1・2に共通)
ここで、本実施の形態および変形例1・2では、直径25mm以上30mm以下のメダルを使用可能とされている。つまり、使用可能なメダルのうち、直径が最小のものを最小径メダルとし、直径が最大のものを最大径メダルとすると、最小径メダルの直径は25mm、最大径メダルの直径は30mmとされている。
またここで、メダルの直径を「φ」とし、メダルの半径を「r」とし、最小径メダルの直径を「φ(min)」とし、最小径メダルの半径を「r(min)」とし、最大径メダルの直径を「φ(max)」とし、最大径メダルの半径を「r(max)」とし、底部83の上面から上方逃し溝86の下端縁のうち最も低いところまでの高さを「h(lower)」とし、底部83の上面から下流側逃し溝131の上端縁のうち最も高いところまでの高さを「h(upper)」とし、底部83の上面から接触片101の下端縁までの高さを「h(flap)」とする。
【0056】
また、本実施の形態および変形例1・2では、第2メダル誘導通路82は、平面視で円弧状に湾曲しており、かつ、メダルを起立状態で転動させるように形成されている。このため、第2メダル誘導通路82内においては、メダルは、その上下の中間位置(底部83から高さ「r」の位置)を、外側壁部84における、内側壁部85と対向する面に摺りながら、上流側から下流側へ向けて転動していく。
そして、図18に示すように、本実施の形態および変形例1・2では、下記の4つの式を満たすように形成されている。
式1:h(lower)>r(max)
式2:h(flap)<φ(min)
式3:h(lower)<h(flap)
式4:h(upper)<r(min)
つまり、底部83の上面から上方逃し溝86の下端縁のうち最も低いところまでの高さh(lower)は、最大径メダルの半径r(max)よりも大きくなるように形成されている(式1)。
【0057】
また、底部83の上面から接触片101の下端縁までの高さh(flap)は、最小径メダルの直径φ(min)よりも小さくなるように形成されている(式2)。
また、底部83の上面から上方逃し溝86の下端縁のうち最も低いところまでの高さh(lower)は、底部83の上面から接触片101の下端縁までの高さh(flap)よりも小さくなるように形成されている(式3)。
また、底部83の上面から下流側逃し溝131の上端縁のうち最も高いところまでの高さh(upper)は、最小径メダルの半径r(min)よりも小さくなるように形成されている(式4)。
【0058】
そして、「式1」を満たすことにより、第2メダル誘導通路82内を上流側から下流側へ向かうメダル(特に最大径メダル)が、上方逃し溝86の下端縁に引っ掛かることなく滑らかに転動するようにしている。
また、「式2」を満たすことにより、第2メダル誘導通路82を通過するメダル(特に最小径メダル)が、接触片101に必ず接触して確実に検知されるようにしている。
また、「式3」を満たすことにより、第2メダル誘導通路82内に挿入された長尺の異物(例えばクレ満)が、上方逃し溝86によって第2メダル誘導通路82の外へ導かれるか、たとえ上方逃し溝86による第2メダル誘導通路82外への排除を免れたとしても、接触片101に到達することもないようにしている。
【0059】
また、「式4」を満たすことにより、第2メダル誘導通路82内を上流側から下流側へ向かうメダル(特に最小径メダル)が、下流側逃し溝131の上端縁に引っ掛かることなく滑らかに転動するようにしている。
なお、直径25mmのメダルのみなど、使用可能なメダルを1種類に限ってもよい。この場合、「最小径メダル」=「最大径メダル」となり、「最小径メダルの直径φ(min)」=「最大径メダルの直径φ(max)」となり、「最小径メダルの半径r(min)」=「最大径メダルの半径r(max)」となる。
【符号の説明】
【0060】
10 スロットマシン 11 筐体
12 前扉 13 上パネル
14 下パネル 15 図柄表示窓
16 リールユニット 17 回転リール
18 メダルホッパー 18a メダル貯留部
18b メダル排出機構 20 操作部
21 メダル投入口 22 ベットスイッチ
23 キャンセルスイッチ 24 スタートスイッチ
25 ストップスイッチ 26 メダル払出口
27 メダル受け皿 50 メダルセレクター
51 セレクタケース 52 ゲートプレート
53 セレクタカバー 54 セレクタ係合部
60 セレクタブラケット 70 メダルシュート
80 メダルガイド 81 ベース部材
82 第2メダル誘導通路 83 底部
84 外側壁部 85 内側壁部
86 上方逃し溝 87 センサー取付部
88 固定用ボス 89 ベース側係止孔
90 ベース側係止突起 91 ハーネス挿通孔
92 ハーネス係止フック 93 切欠部
94 後覆い板 95 右覆い板
96 コネクタ前方隠し板 97 コネクタ右方隠し板
100 第2メダル検知装置 101 接触片
102 検知片 103 連結部
104 支持軸 105 復帰バネ
106 変位検知センサー 107 ハーネス
108 センサー側コネクタ 109 ハーネス側コネクタ
110 カバー部材 111 上面板
112 右側面板 113 左側面板
114 前面板 115 背面板
116 仕切板 117 連通部
118 カバー側係止突起 119 カバー側係止孔
120 コネクタ挿通孔 121 コネクタ上方隠し板
122 コネクタ左方隠し板 131 下流側逃し溝
132 第1上方逃し溝 133 第2上方逃し溝
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
メダル投入口から投入されたメダルを受け入れるメダル受入口、前記メダル受入口に受け入れられたメダルを誘導する第1メダル誘導通路、前記第1メダル誘導通路に誘導されたメダルを排出するメダル排出口、および前記第1メダル誘導通路により誘導されるメダルの通過を検知する第1メダル検知装置を有し、前記メダル投入口から投入されたメダルが所定の規格に適合するか否かの選別を行うメダルセレクターと、
前記メダル排出口から排出されたメダルをメダル貯留部へ誘導する第2メダル誘導通路が形成されたベース部材を有するメダルガイドと、
前記ベース部材に取り付けられて前記第2メダル誘導通路により誘導されるメダルの通過を検知する第2メダル検知装置とを備え、
前記第2メダル検知装置は、前記第2メダル誘導通路内の所定位置に配置され前記第2メダル誘導通路を通過するメダルが接触すると基準位置から変位する接触片と、前記第2メダル誘導通路外の所定位置に配置され前記接触片の変位に連動して変位する検知片と、前記検知片の変位を検知するための変位検知センサーと、前記メダルの接触により変位した前記接触片が前記基準位置に戻るように付勢力を与えるバネ部材とを有し、
前記変位検知センサーは、検知光を発する発光部と、前記発光部から発せられた検知光を受光する受光部とを有し、前記接触片が前記基準位置に位置すると前記検知片が前記発光部と前記受光部との間に位置し、前記接触片が前記メダルの接触により変位すると前記検知片が前記発光部と前記受光部との間から退くように構成され、
前記ベース部材に、前記変位検知センサーから延びるハーネスを前記ベース部材の下方に挿通させるハーネス挿通孔が形成されており、
前記第2メダル検知装置は、前記検知片および前記変位検知センサーを覆って前記ベース部材に取り付けられるカバー部材を有し、
前記カバー部材の内側に前記変位検知センサーが固定され、前記カバー部材における前記変位検知センサーと対向する部分に切り欠きが形成され、
前記ベース部材は、前記カバー部材が取り付けられた状態で前記切り欠きを覆う覆い部を有することを特徴とする遊技機。
【請求項2】
メダル投入口から投入されたメダルを受け入れるメダル受入口、前記メダル受入口に受け入れられたメダルを誘導する第1メダル誘導通路、前記第1メダル誘導通路に誘導されたメダルを排出するメダル排出口、および前記第1メダル誘導通路により誘導されるメダルの通過を検知する第1メダル検知装置を有し、前記メダル投入口から投入されたメダルが所定の規格に適合するか否かの選別を行うメダルセレクターと、
前記メダル排出口から排出されたメダルをメダル貯留部へ誘導する第2メダル誘導通路が形成されたベース部材を有するメダルガイドと、
前記ベース部材に取り付けられて前記第2メダル誘導通路により誘導されるメダルの通過を検知する第2メダル検知装置とを備え、
前記第2メダル検知装置は、前記第2メダル誘導通路内の所定位置に配置され前記第2メダル誘導通路を通過するメダルが接触すると基準位置から変位する接触片と、前記第2メダル誘導通路外の所定位置に配置され前記接触片の変位に連動して変位する検知片と、前記検知片の変位を検知するための変位検知センサーと、前記メダルの接触により変位した前記接触片が前記基準位置に戻るように付勢力を与えるバネ部材とを有し、
前記変位検知センサーは、検知光を発する発光部と、前記発光部から発せられた検知光を受光する受光部とを有し、前記接触片が前記基準位置に位置すると前記検知片が前記発光部と前記受光部との間に位置し、前記接触片が前記メダルの接触により変位すると前記検知片が前記発光部と前記受光部との間から退くように構成され、
前記ベース部材に、前記変位検知センサーから延びるハーネスを前記ベース部材の下方に挿通させるハーネス挿通孔が形成されており、
前記第2メダル検知装置は、前記検知片および前記変位検知センサーを覆って前記ベース部材に取り付けられるカバー部材を有し、
前記変位検知センサーは、前記ハーネスの一端に設けられたハーネス側コネクタと嵌合して電気的に接続されるセンサー側コネクタを有し、
前記カバー部材は、前記カバー部材に覆われた前記変位検知センサーにおける前記センサー側コネクタを前記カバー部材の外側に挿通させるコネクタ挿通孔と、前記コネクタ挿通孔に挿通配置された前記センサー側コネクタの二つの側面を囲むコネクタ囲み部とを有することを特徴とする遊技機。
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
審決日 2014-03-26 
出願番号 特願2009-204846(P2009-204846)
審決分類 P 1 41・ 853- Y (A63F)
最終処分 成立  
前審関与審査官 太田 恒明  
特許庁審判長 長崎 洋一
特許庁審判官 吉村 尚
瀬津 太朗
登録日 2013-12-06 
登録番号 特許第5424389号(P5424389)
発明の名称 遊技機  
代理人 大西 正悟  
代理人 大西 正悟  

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