• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) F28F
管理番号 1287824
審判番号 不服2012-24487  
総通号数 175 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2014-07-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2012-12-10 
確定日 2014-05-15 
事件の表示 特願2008- 86757号「熱交換器」拒絶査定不服審判事件〔平成21年10月15日出願公開、特開2009-236470号〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯
本願は、平20年3月28日の出願であって、平成24年9月7日付けで拒絶査定がなされ、これに対し、平成24年12月10日に拒絶査定不服審判の請求がなされると共に、手続補正がなされたものである。
その後、当審において、平成25年3月26日付けで審尋がなされ、平成25年6月3日に回答書の提出がなされ、平成25年6月25日付けで拒絶理由が通知され、平成25年9月2日に意見書が提出されると共に、手続補正がなされ、更に平成25年11月7日付けで拒絶理由が通知され、平成26年1月10日に意見書が提出されると共に、手続補正がなされたものである。

2.本願発明
本願の特許請求の範囲の請求項4に係る発明(以下「本願発明」という。)は、平成26年1月10日付けの手続補正書により補正された特許請求の範囲、明細書及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項4に記載された以下のとおりのものと認める。

「エンジン冷却水を流通させるチューブ(32)と、
前記チューブ(32)に熱的に接続されて前記チューブ(32)の外部を流通する空気の流通方向(AA)に沿って設けられ、所定のフィンピッチFpで前記チューブ(32)の延伸方向(BB)に並列するフィン(31)とを備え、
前記チューブおよび前記フィンは、アルミニウム材又はアルミニウム合金材により形成されており、
前記流通方向(AA)に対して所定の傾斜角度Lθで傾斜して前記フィン(31)に形成され、所定のルーバピッチLpで前記流通方向(AA)に並列する複数のルーバ(313)を備え、
前記フィンピッチFp及び前記ルーバピッチLpがLp≦0.7×Fp、但しLp≧0.7/1.65×Fpを除く、の関係にあり、かつ前記ルーバピッチLpが0.5(mm)≦Lp≦0.75(mm)であり、前記フィンピッチFpが、Lp/0.7≦Fp、但しLp×1.65/0.7≧Fpを除く、である前記エンジン冷却水を冷却するラジエータであって、
前記ルーバピッチLp、前記傾斜角度Lθ及び前記ルーバ(313)の板厚tは、0.2(mm)≦Lp×sinLθ-t≦0.3(mm)
の関係を満たすことを特徴とするラジエータ。」

3.引用発明
これに対して、当審で通知した平成25年11月7日付けの拒絶理由に引用された本願出願前に頒布された刊行物である特開昭57-12296号公報(以下「引用例1」という。)及び特開2000-234892号公報(以下「引用例2」という。)には、それぞれ図面と共に次の事項が記載されている。

〔引用例1について〕
(1a)「被冷却流体を流すための偏平チューブと熱的に結合し、偏平チューブとともに被冷却流体の放熱部分をなすコルゲートフィンにおいて、前記コルゲートフィンのピッチFpを
Fp=1.5?3.3mm
の範囲内とし、かつ、前記コルゲートフィンのルーバ幅Lwを
Lw=0.7?1.2mm
としたことを特徴とする熱交換器用コルゲートフィン。」(特許請求の範囲)

(1b)「3発明の詳細な説明
本発明は熱交換器用コルゲートフィンに関するもので、特に自動車用ラジエータ、および自動車用暖房装置のヒータコア等に用いて有効である。」(第1ページ左欄第15?18行)

(1c)「なお、チューブ1cは黄銅製の条材(例えば板厚0.13mm)を第2図に示すように偏平形状に成形してなり、本発明ではこの偏平チューブ1cを断面の長手方向が図示しない送風ファンによりラジエータ1に送風される空気流イと平行となるように配列してある。また、コルゲートフィン1eは銅製の条材(例えば板厚0.05?0.06mm)を第2図に示すように波型成形してなり、フィン1e上には多数のルーバ1e’が切り起し角θ(第4図図示)が25?30°となるようにして一体に切り起こされている。」(第2ページ左上欄第10?20行。なお、上記(1c)記載中の「ルーバ1e’」について、引用例1では、「コルゲートフィン」が「1e」とされていること、並びに第2図及び第4図においてルーバを指し示す記号が「1e’」であること等から、「ルーバ1e」は「ルーバ1e’」の誤記であるとして上記のように認定した。)

(1d)「この第3図でフインピッチFpが3.5?4mmのものは従来のフィンピッチFpであるが、この実験によりフインピッチFpは従来のものより小さくした方がより一層熱伝導率が向上することが判明した。そして、この第3図図示実験結果より、フインピッチFpが2.2mm付近の点でコルゲートフィン1eの熱伝導率はピークとなり、フインピッチFpを2.2mmの前後である。1.5?3.3mmの範囲内のものとすればコルゲートフィン1eの熱伝導率は大幅に向上していることが認められた。」(第2ページ左下欄第5?14行)

(1e)「この第5図において、破線Kはコルゲートフィン1eに沿って空気が剥離をおこすことなく流れた状態での理論的なフィン熱伝達率の値を示す線で、図よりフィン熱伝達率は所定値まではルーバ幅Lwを狭くするにつて増加していくことが分る。また第5図において実線G,H,i,Q,jはそれぞれフィンピッチFpを1.5mm,2.0mm,3.0mm,3.3mm,4.0mmとしたものであるが、図よりフィンピッチFpを1.5mm?3.3mmとしたものにおいてはルーバ幅Lwを0.7?1.2mmの範囲内とすれば、フィン熱伝達率を良好な値とすることができることが認められた。」(第2ページ右下欄第13行?第3ページ左上欄第4行)

上記記載事項1a?1e及び図面を総合すると、引用例1には、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されている。

「被冷却流体を流すための偏平チューブと熱的に結合し、偏平チューブとともに被冷却流体の放熱部分をなすコルゲートフィンを備え、
前記偏平チューブは黄銅製で、前記コルゲートフィンは銅製であり、
前記コルゲートフィンのピッチFpをFp=1.5?3.3mmの範囲内とし、かつ、前記コルゲートフィンのルーバ幅LwをLw=0.7?1.2mmとし、
フィン上には多数のルーバ1e’が切り起こし角θが25?30°となるようにして一体に切り起こされている自動車用ラジエータ。」

〔引用例2について〕
(2a)「【発明の属する技術分野】この発明は、車両用空調装置の蒸発器等に用いられる熱交換器に関し、特に高性能を維持したまま縮小化するための方法及びこの方法により製造される熱交換器に関する。」

(2b)「【0010】また、この発明者は、上記フィンピッチ、ルーバ隙間、及びフィン高さと冷房性能、即ち熱交換効率との間には、図6、図7、及び図8に示されるような関係があることを発見した。これによれば、フィンピッチ、ルーバ隙間、及びフィン高さはいずれにおいても、ある値においてピークを得て、このピークから離れるにつれて冷房性能は低下していく傾向にある。これは、ピークから離れるに従い、フィンの表面積が減少していくためか、若しくは表面積は増加するが通気性が低下していくためである。
【0011】上記のことから、この発明は、フィンピッチを2.0?3.4mm(請求項2)、ルーバ隙間を0.15?0.80mm(請求項3)、またフィン高さを4?9mm(請求項4)の範囲とするものである。」

(2c)「【0017】 図2及び図3に示されるこの実施の形態に用いられる熱交換器1は、アルミ合金から形成され、車両用空調装置のエバポレータ等に使用されるものであり、冷媒が流通する流路が内部に形成された複数のチューブエレメント3と、冷媒と空気との熱交換を促進させるための複数のコルゲートフィン2とが交互に積層されて構成されている。」

(2d)「【0023】この実施の形態に係るコルゲートフィン2は、前記フィンピッチBが、図6に示されるように、7?8割以上の性能を発揮できる2.0?3.4mmの範囲で形成され、また前記ルーバ隙間Dが0.15?0.80mmの範囲(図7参照)で、前記フィン高さCは4?9mmの範囲(図8参照)で形成されている。」

(2e)「【図4】図4は、熱交換器に使用されるコルゲートフィンを示す斜視図である。【図5】図5(a)は、コルゲートフィンの構造を示す断面図であり、また図5(b)は、コルゲートフィンに形成されたルーバの構造を示す断面図である。
【図6】図6は、コルゲートフィンのフィンピッチと冷房性能との関係を示すグラフである。
【図7】図7は、ルーバ隙間と冷房性能との関係を示すグラフである。
【図8】図8は、コルゲートフィンのフィン高さと冷房性能との関係を示すグラフである。」 (【図面の簡単な説明】)

(2f)図2には、チューブエレメント(3)の間にコルゲートフィン(2)が配置された態様が記載されている。

(2g)図4には、コルゲートフィン(2)に、複数のルーバ(15)が並んで設けられている態様が記載されている。

(2h)図5(b)には、複数のルーバ(15)が、切り起こして並んで設けられている態様が記載されている。

上記記載事項2a?2e及び図示内容2f?2hを総合すると、引用例2には、次の技術的事項(以下「引用例2記載の技術的事項」という。)が記載されている。

「アルミ合金から形成され、冷媒が流通する流路が内部に形成された複数のチューブエレメント(3)と、冷媒と空気との熱交換を促進させるための複数のコルゲートフィン(2)とが交互に積層されて構成され、コルゲートフィン(2)に複数のルーバ(15)が切り起こして並んで設けられ、フィンピッチを2.0?3.4mm、ルーバ隙間を0.15?0.80mmの範囲とした熱交換器において、ルーバ隙間と冷房性能との関係を示すグラフにおいて、ルーバ隙間のある値においてピークを得て、このピークから離れるにつれて冷房性能は低下していく傾向を示すこと。」

4.対比・判断
本願発明と引用発明とを対比すると、各文言の意味、機能または作用等からみて、
後者の「偏平チューブ」、「被冷却流体」、「コルゲートフィン」、「ピッチFp」、「ルーバ幅Lw」及び「自動車用ラジエータ」は、それぞれ前者の「チューブ」、「エンジン冷却水」、「フィン」、「フィンピッチFp」、「ルーバピッチLp」及び「ラジエータ」に相当する。
後者の「被冷却流体を流すための偏平チューブ」は、前者の「エンジン冷却水を流通させるチューブ(32)」に相当する。また、後者の「ラジエータ」が「エンジン冷却水を冷却する」ことは明らかである。
後者の「偏平チューブと熱的に結合し、偏平チューブとともに被冷却流体の放熱部分をなすコルゲートフィン」は、前者の「フィン」が「チューブ(32)に熱的に接続されて」いることといえる。
後者の「偏平チューブは黄銅製で、前記コルゲートフィンは銅製であ」ることと、前者の「前記チューブおよび前記フィンは、アルミニウム材又はアルミニウム合金材により形成されて」いることとは、「チューブおよびフィンが金属により形成されている」点で共通する。
後者の「コルゲートフィン」及び「偏平チューブ」は、引用例1の第2図の「偏平チューブ」と「コルゲートフィン」の配置及び空気流イの流れの方向並びに後者の「コルゲートフィンのピッチFpをFp=1.5?3.3mmの範囲内とし」ていることから、前者の「フィン」が「チューブ(32)の外部を流通する空気の流通方向(AA)に沿って設けられ、所定のフィンピッチFpで前記チューブ(32)の延伸方向(BB)に並列」するものといえる。
後者の「フィン上には多数のルーバ1e’が切り起こし角θが25?30°となるようにして一体に切り起こされている」ことは、引用例1の第2図、第4図の空気流イの流れの方向とルーバ(1e’)が複数並列している配置から、前者の「流通方向(AA)に対して所定の傾斜角度Lθで傾斜して前記フィン(31)に形成され、所定のルーバピッチLpで前記流通方向(AA)に並列する複数のルーバ(313)を備え」ることといえる。

そこで本願発明の用語を用いて表現すると、両者は次の点で一致する。

(一致点)

「エンジン冷却水を流通させるチューブと、
前記チューブに熱的に接続されて前記チューブの外部を流通する空気の流通方向に沿って設けられ、所定のフィンピッチFpで前記チューブの延伸方向に並列するフィンとを備え、
前記チューブおよび前記フィンは、金属により形成されており、
前記流通方向に対して所定の傾斜角度Lθで傾斜して前記フィンに形成され、所定のルーバピッチLpで前記流通方向に並列する複数のルーバを備えた、
前記エンジン冷却水を冷却するラジエータ。」

そして、両者は、次の点で相違する。

(相違点1)
ラジエータを形成する金属について、本願発明は、チューブおよびフィンを、アルミニウム材又はアルミニウム合金材により形成されているのに対して、引用発明は、偏平チューブを黄銅製、コルゲートフィンを銅製としている点。

(相違点2)
フィンピッチFpとルーバピッチLpについて、本願発明は、フィンピッチFp及びルーバピッチLpがLp≦0.7×Fp、但しLp≧0.7/1.65×Fpを除く、の関係にあり、かつ前記ルーバピッチLpが0.5(mm)≦Lp≦0.75(mm)であり、前記フィンピッチFpが、Lp/0.7≦Fp、但しLp×1.65/0.7≧Fpを除く、としているのに対して、引用発明は、コルゲートフィンのピッチFpをFp=1.5?3.3mm(本願発明の「フィンピッチFp」の「0.75?1.65mm」の長さに相当。)の範囲内とし、かつ、前記コルゲートフィンのルーバ幅LwをLw=0.7?1.2mmとしている点。

(相違点3)
本願発明は、ルーバピッチLp、傾斜角度Lθ及びルーバの板厚tは、0.2(mm)≦Lp×sinLθ-t≦0.3(mm)の関係を満たすとしているのに対して、引用発明はそのような特定はしていない点。

そこで、上記各相違点について検討する。

(相違点1の判断)
ラジエータを構成する部材を、軽量化、耐腐食性等を考慮してアルミニウム材又はアルミニウム合金材を用いることは、文献を提示するまでもなく本出願前周知の事項であり、引用発明においても、軽量化、耐腐食性等の改善を意図してアルミニウム材又はアルミニウム合金材を用いることは、当業者が容易に想到し得たことである。

(相違点2の判断)
本願発明の「前記フィンピッチFp及び前記ルーバピッチLpがLp≦0.7×Fp、但しLp≧0.7/1.65×Fpを除く、の関係にあり、かつ前記ルーバピッチLpが0.5(mm)≦Lp≦0.75(mm)であり、前記フィンピッチFpが、Lp/0.7≦Fp、但しLp×1.65/0.7≧Fpを除く」ことは、言い換えると、フィンピッチFp及びルーバピッチLpの関係が、0.5(mm)≦Lp≦0.75(mm)であり、Lp<0.7/1.65Fp(≒0.42Fp)であるということを特定しているものである。
先ず、0.5(mm)≦Lp≦0.75(mm)について検討するに、引用発明のルーバ幅Lw(ルーバピッチ)の下限値(0.7mm)は、本願発明の0.5(mm)≦Lp≦0.75(mm)に含まれている。
また、特定のフィンピッチにおいて、ルーバを微細化するに際して、フィン熱伝達率は所定値までルーバピッチを狭くするにつれて増加していくことは引用例1に記載されているし(記載事項1e)、熱交換器においてフィンに設けたルーバの前縁効果を考慮して、ルーバピッチを小さくしてルーバを微細化し、熱交換量を増加させることは技術常識ともいえる(例えば、特開2007-10180号公報段落【0006】等参照。)。
以上を考慮すると、本願発明のルーバピッチの上限、下限については、請求人が明細書で述べるように、切り起こしルーバの加工限界とされる(本願明細書段落【0023】)0.5mmを下限とし、一般的熱交換器のルーバピッチである0.8mm(本願明細書段落【0023】)より狭い0.75mmを上限としていて、ルーバピッチとして製作可能な微細な範囲として特定したに過ぎないものであり、それ以上の技術的意味は見いだせない。
そして、アルミであっても熱伝達率の傾向は銅と格別な差があるとは認められないことから、上記範囲を選択することは当業者が容易に想到し得たことである。
次に、Lp<0.42Fpについて検討するに、この関係は、ルーバピッチLpがフィンピッチFpに対して細密化されていることを意味するものであるが、0.42Fp?0.7Fpについては補正により引用発明の範囲を除外したものであり、上記0.42に臨界的な意義があるものではなく、また、引用発明のFpは3.3(1.65)mmを上限としているものの、従来技術としてさらに大きいものも示されており、上記0.5(mm)≦Lp≦0.75(mm)を満たした上で、Lp<0.42Fpを満足するFpとすることは、当業者が容易になし得たことである。
以上のとおりであるから、引用発明において、相違点2に係る特定事項を採用することは、当業者が容易になし得たことである。

(相違点3の判断)
本願発明の「ルーバピッチLp」、「傾斜角度Lθ」及び「ルーバの板厚t」により定義される「Lp×sinLθ-t」は、本願明細書記載のルーバクリアランスLcを表すものである。
一方、引用例2には、アルミ合金により形成され、チューブエレメント間のコルゲートフィンにルーバが切り起こして設けられた熱交換器の冷房性能について、ルーバ隙間(本願明細書記載の「ルーバクリアランスLc」に相当。)と冷房性能との関係を示すグラフにおいて、ルーバ隙間のある値において冷房性能がピークを示すことが記載されていて(記載事項2b)、引用例2記載の技術的事項のルーバ隙間は、7?8割以上の冷房性能を発揮できるルーバ隙間として、冷房性能のピークを示す値を含む0.15?0.80mmの範囲としたものである(記載事項2d、2e参照)。
そして、冷房性能は熱交換効率と言い換えることができるので(記載事項2b)、引用例2記載の技術的事項は、アルミ合金により形成された熱交換器のフィンにルーバを設ける場合に、ルーバ隙間と熱交換効率との間にピークを有することを考慮し、熱交換効率が7?8割以上の範囲となるようにルーバ隙間を設けることを示すものである。
そして、引用発明も、コルゲートフィンにルーバを設けるものであり、引用例2記載の技術的事項が示すように、ルーバ隙間と熱交換効率との間にピークを有することを考慮し、熱交換効率が一定以上の範囲となるようにルーバ隙間を設けることは、当業者が容易に想起し得たことである。
また、相違点2におけるフィンピッチFpとルーバピッチLpとが特定の関係を示す場合であっても、ルーバ隙間と熱交換効率とがピークを示す関係を有することは、当業者が当然考慮したことである。
さらに、ルーバ隙間の具体的な値は、実験等を通して、引用例2記載の技術的事項におけるルーバ隙間と熱交換効率とのピークを示す関係を求め、当業者が適宜定め得る事項である。
以上のとおりであるから、引用発明において、相違点3に係る特定事項を採用することは当業者が容易になし得たことである。

そして、これらの相違点1、相違点2及び相違点3に係る事項をあわせてみても、格別な効果があるとも認められない。

5.むすび
以上のとおり、本願発明は、引用発明、引用例2及び周知の事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるので、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができない。
したがって、本願は、他の請求項について検討するまでもなく拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2014-03-13 
結審通知日 2014-03-18 
審決日 2014-03-31 
出願番号 特願2008-86757(P2008-86757)
審決分類 P 1 8・ 121- WZ (F28F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 柿沼 善一  
特許庁審判長 竹之内 秀明
特許庁審判官 山崎 勝司
鳥居 稔
発明の名称 熱交換器  
代理人 野々部 泰平  
代理人 矢作 和行  
代理人 久保 貴則  

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ