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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G06F
管理番号 1287831
審判番号 不服2013-11314  
総通号数 175 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2014-07-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2013-06-17 
確定日 2014-05-15 
事件の表示 特願2009- 54826「端末装置」拒絶査定不服審判事件〔平成22年 9月24日出願公開、特開2010-211369〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続きの経緯・本願発明
本願は、平成21年3月9日の出願であり、平成25年3月15日付けで拒絶査定がなされ、それに対して同年6月17日に拒絶査定不服の審判請求がされ、同時に手続補正がされたものであって、その請求項1に係る発明は、平成25年6月17日付けの手続補正により補正された明細書及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1に記載された次のとおりのものと認める。(以下、「本願発明」という。)
「【請求項1】
カーソルを表示し、該カーソルによる操作入力を受け付けるタッチパネルを備えたことを特徴とする端末装置。」

第2 引用文献
原査定の拒絶の理由に引用された特開2000-267808号公報(以下、「引用文献」という。)には、図面とともに次の記載がある。
(ア)「【0014】図1は本発明の第1実施例のタッチパネル入力装置付表示装置の入力方法の説明図であり、図1(A)は画面上のボタンを押下するケースの説明図、図1(B)は画面上に表示されている地図の座標を指し示すケースの説明図である。
【0015】図1(A)において、1101はタッチパネル入力装置付表示装置であり、縦をY座標、横をX座標とし、タッチパネル入力装置の座標を示すときには、(X座標、Y座標)という表現を用いる。1102は画面に表示されているボタンの例である。1103は画面に表示されているカーソルを意味する。このカーソル1103の形状や大きさは自由である。ここでは、座標(Xp,Yp)がカーソルの指し示す座標である。
【0016】黒い楕円1104が指接触位置(タッチパネル入力装置の表面に触れている指の部分)を表している。その中心を示す座標が(Xf,Yf)である。カーソルの座標と指の座標のずれが(Xd,Yd)である。
【0017】図1(B)において、1111はタッチパネル入力装置付表示装置であり、画面上に表示されている地図の絵1112があり、画面に表示されているカーソル1113ではその地図の座標(Xp,Yp)を指し示している。
【0018】黒い楕円1114は指接触位置(操作者の指がタッチパネル入力装置の表面に触れている部分)を表している。その中心を示す座標が(Xf,Yf)である。カーソルの座標(Xp,Yp)と指の座標(Xf,Yf)のずれが(Xd,Yd)である。」(段落【0014】?【0018】)

(イ)「【0020】図2は本発明の第1実施例のタッチパネル入力装置付表示装置の入力動作フローチャートである。この図を用いて前述の各構成がどのように関連してカーソル制御を行うのか、その動作を説明する。
【0021】まず、タッチパネル入力装置において画面上の指の接触を検知する(ステップS1)。次に、指が一定時間接触していたかどうかを判断する(ステップS2)し、一定時間接触していたら、現在の指接触位置(Xf,Yf)よりカーソル表示位置(Xp,Yp)を計算する(ステップS3)。計算に用いる差分(-Xd,Yd)は、ある決められた値である。そこで、計算されたカーソル位置(Xp,Yp)に実際のカーソルを表示させる(ステップS4)。なお、ここでは、(-Xd,Yd)は、指を接触させた位置の左上にカーソルが表示されるような値に設定されている。これにより、カーソルが自分の指でかくれて見えなくなることを防止している。
【0022】次に、指の接触位置が移動したかどうかを判断する(ステップS5)。移動したら、現在のカーソルを消去し(ステップS6)、再度指の位置からカーソル位置を計算し(ステップS3)、カーソルを表示(ステップS4)させる。ステップS5において、指が移動していない場合には、指が離れたかどうかを判断する(ステップS7)。指が離れた場合には、現在のカーソル位置(Xp,Yp)に対してクリック(マウスクリックと均等)されたと判断し、クリック処理(ボタンならボタン押下、地図なら座標の指示)を行う(ステップS8)。そして、カーソルは消去される(ステップS9)。なお、ステップS7において、指が画面上から離れていない場合には、ステップS3へ戻る。
【0023】以上のように、第1実施例によれば、以下のような効果を奏することができる。
【0024】(1)指自身のタッチでボタンの押下をするのではなく、指の接触位置と相対して移動するカーソルによってボタンの押下をするため、小さなボタンでもクリックが可能となる。つまり、画面作成上ボタンの大きさ等の制限がなくなるため、自由な画面上のボタンのレイアウトが可能となる。
【0025】(2)既にマウス操作用の画面があれば、その画面をそのままタッチパネル操作用の画面として利用可能となる。例えば、タッチパネルを意識しないで作成されたホームページの情報を、マウス操作と同じ間隔で閲覧可能となる。
【0026】(3)地図のような座標を示す場合には、特定のポイント(座標)が指定可能となる。その場合、指タッチ位置はその画面の下隅などの外れた位置とすることができる。
【0027】(4)指の太さに関係なくきめ細かい操作が可能となり、操作性が向上する。」(段落【0020】?【0027】)

(ウ)「【0030】図3は本発明の第2実施例のタッチパネル入力装置付表示装置の入力方法の説明図であり、図3(A)はその画面上の操作の初期表示時を示す図、図3(B)はその画面上の操作の移動時を示す図である。なお、ここでは、第1実施例と異なる点のみ説明する。
【0031】上記した第1実施例と異なり、第2実施例では、タッチパネル入力装置の右下にボタン2102が配置された例を示している。
【0032】まず、図3(A)に示すように、2104は、最初にカーソルが表示された時(指接触位置0)を示している。また、図3(B)に示すように、2105は、次に指が置かれた位置(指接触位置1)を示し、2106は、更に、指を移動した時の移動先位置(指接触位置2)を示している。(△X,△Y)は、指の移動距離を示しており、その時のカーソルの移動距離と等しい。なお、図3において、2101はタッチパネル入力装置付表示装置、2103は画面に表示されているカーソルである。
【0033】以下、このタッチパネル入力装置付表示装置の動作について説明する。
【0034】図4は本発明の第2実施例のタッチパネル入力装置付表示装置の入力動作フローチャート(その1)、図5はそのタッチパネル入力装置付表示装置の入力動作フローチャート(その2)である。これらの図により、前述の各構成がどのように関連してカーソル制御を行うのか、その動作を説明する。
【0035】〔I〕まず、図4に示すように、カーソルが画面上に表示されていない状態で、指の接触を検知する(ステップS11)と、次に、指が一定時間接触していたかどうかを判断する(ステップS12)し、一定時間接触していたら、現在の指接触位置(Xf,Yf)よりカーソル表示位置(Xp,Yp)を計算する(ステップS13)。計算に用いる差分(-Xd,Yd)は、ある決められた値である。そこで、計算されたカーソル位置(Xp,Yp)にカーソルを表示させる(ステップS14)。なお、ここでは、(-Xd,Yd)は、指を接触させた位置の左上にカーソルが表示されるような値に設定されている。
【0036】次に、指の接触位置が移動したかどうかを判断する(ステップS15)。移動したら、現在のカーソルを消去し(ステップS16)、再度指の位置からカーソル位置を計算し(ステップS13)、カーソルを表示(ステップS14)させる。ステップS15において、指が移動していない場合には、指が離れたかどうかを判断する(ステップS17)。そこで、指が離れた場合には、一定時間後にカーソルを消去する(ステップS18)。なお、ステップS17において、NOの場合にはステップS13に戻る。
【0037】このように第2実施例は、基本的には第1実施例と同様であるが、唯一異なるのは、指が離れたかどうか判断した(ステップS17)直後に第1実施例ではクリック処理を行っていたのが、第2実施例では一定時間カーソルを表示しておくだけに留まっている点にある。
【0038】次の指接触検知がなければ、一定時間経過後にカーソルを消去する(ステップS18)。」(段落【0030】?【0038】)

(エ)「【0040】〔II〕まず、図5に示すように、カーソルが画面上に表示されている時に指の接触を検知する(ステップS21)と、次に、指が一定時間接触していたかどうかを判断し(ステップS22)、一定時間接触していたら、指の接触位置によりカーソル表示位置を変更することはなく、指を移動したか否かを判断し(ステップS23)、ステップS23において、移動した場合のみ、カーソル位置(Xp,Yp)のカーソルを消去し(ステップS24)、指の移動距離を計算し(ステップS25)、カーソル表示位置(Xp,Yp)を計算し(ステップS26)、ステップS23へ戻る。
【0041】ステップS23で指が画面から移動しない場合は、指が画面から離れたか否かを判断し(ステップS27)、ステップS27において指が離れたことを検知した場合には、指の移動があったかどうかを判断する(ステップS28)。ステップS28において移動がなかったとすると、つまりカーソル表示時に指接触を検知して移動せずに指を離したと判断し、クリック処理を行い(ステップS29)、一定時間後カーソルの消去を行う(ステップS30)。
【0042】以上のように構成したので、第2実施例によれば以下のような効果を奏することができる。
【0043】(1)画面の右下のようなポインタ指示がし難い所へも、タッチパネル上を何度か指を移動することでポインタを移動でき、自由にクリックできる。
【0044】(2)カーソルの移動後に指を離した場合には、クリックされるのではなく、一度指を離してからクリックする(つまり、2挙動となる)ことにより、誤ってタッチパネルに接触したと同時にクリックしてしまうような誤操作が起こり難くなる。」(段落【0040】?【0044】)

(オ)「【0047】第1実施例や第2実施例と異なり、第3実施例ではタッチパネル入力装置にもう一本の指を接触させることでクリック処理を行う場合について説明する。ここにおいても、クリック処理方法の違いを除き、第1実施例や第2実施例と同様である。
【0048】図6において、3101はタッチパネル入力装置付表示装置、3102は画面に表示されているボタン、3103はカーソル、3104は指接触位置(1本目の指接触位置)、3105は指接触位置(2本目の指接触位置)である。
【0049】この実施例では、2本目の指接触位置3105を操作する点が異なっており、その他は第1実施例の説明と同様であるので、その説明は省略する。
【0050】以下、このタッチパネル入力装置付表示装置の動作について説明する。
【0051】図7は本発明の第3実施例のタッチパネル入力装置付表示装置の入力動作フローチャートである。前述の各構成がどのように関連してカーソル制御を行うのか、その動作を説明する。
【0052】まず、タッチパネル入力装置において指の接触を検知する(ステップS31)。次に、指が一定時間接触していたかどうかを判断する(ステップS32)し、ステップS32において一定時間接触していたら、現在の指接触位置(Xf,Yf)よりカーソル表示位置(Xp,Yp)を計算する(ステップS33)。計算に用いる差分(-Xd,Yd)は、ある決められた値である。そこで、計算されたカーソル位置(Xp,Yp)に実際のカーソルを表示させる(ステップS34)。なお、ここでは、(-Xd,Yd)は、指を接触させた位置の左上にカーソルが表示されるような値に設定されている。これにより、カーソルが自分の指でかくれて見えなくなることを防止している。
【0053】次に、指の接触位置が移動したかどうかを判断する(ステップS35)。ステップS35において移動したら、現在のカーソルを消去し(ステップS36)、再度指の位置からカーソル位置を計算し(ステップS33)、カーソルを表示(ステップS34)させる。ここまでは、上記した第1実施例と同様であるが、指が移動したかどうか判断した(ステップS35)後、移動していない場合、2本目の指の接触を検出したかどうかの判断(ステップS37)を行い、ステップS37において、2本目の指を検出した場合には、クリック処理が行われる(ステップS38)。ステップS37において、2本目の指が検出されない場合は、指が離れたか否かを判断(ステップS39)し、指が離れない場合は、ステップS33に戻り、指が離れた場合には、カーソルを消し(ステップS40)終了する。
【0054】このように、この実施例では、2本目の指が検出された場合、カーソル表示処理からクリック処理(ステップS38)が行われる。
【0055】以上のように構成したので、第3実施例によれば、以下のような効果を奏することができる。
【0056】(1)1本目の指でカーソルを表示、目的のボタンの位置まで移動し、確定した時点で、2本目の指をタッチパネルに触れるだけでクリック動作ができるため、指の上げ下げの動作が最小限に抑えられ、簡単な動作でクリックが実行できる。
【0057】(2)2本目の指を接触させなければ、クリック動作を実行できないため、誤ってタッチパネルに接触してクリックしてしまうような誤操作が極めて起こり難くなる。
【0058】なお、本発明は、上記した実施例では、タッチパネル入力装置付の表示装置の例で示したが、ノートパソコンで用いられるマウスパッドや、電子手帳のような小型の携帯端末(特に、専用のペンでクリック操作しているような機種)にも応用可能である。」(段落【0047】?【0058】)

以上の記載によれば、引用文献には、第2、3実施例に関し、以下のような発明(以下、「引用発明」という。)が開示されていると認められる。
「カーソルが画面上に表示されていない状態で、指の接触を検知し、指が一定時間接触していたかどうかを判断し、一定時間接触していたら、現在の指接触位置(Xf,Yf)よりカーソル表示位置(Xp,Yp)を計算し、カーソル位置(Xp,Yp)にカーソルを表示させ、次に、指の接触位置が移動したかどうかを判断し、移動したら、現在のカーソルを消去し、再度指の位置からカーソル位置を計算し、カーソルを表示させ、指が移動していない場合には、指が離れたかどうかを判断し、指が離れた場合には、一定時間後にカーソルを消去し、
次に、カーソルが画面上に表示されている時に指の接触を検知し、指が一定時間接触していたかどうかを判断し、一定時間接触していたら、指の接触位置によりカーソル表示位置を変更することはなく、指を移動したか否かを判断し、移動した場合のみ、カーソル位置(Xp,Yp)のカーソルを消去し、指の移動距離を計算し、カーソル表示位置(Xp,Yp)を計算し、指が画面から移動しない場合は、指が画面から離れたか否かを判断し、指が離れたことを検知した場合には、指の移動があったかどうかを判断し、移動がなかったとすると、カーソル表示時に指接触を検知して移動せずに指を離したと判断し、クリック処理を行い、一定時間後カーソルの消去を行い、
カーソルの移動後に指を離した場合には、クリックされるのではなく、一度指を離してからクリックする(つまり、2挙動となる)ことにより、誤ってタッチパネルに接触したと同時にクリックしてしまうような誤操作が起こり難くなる、
あるいは、タッチパネル入力装置において指の接触を検知し、指が一定時間接触していたかどうかを判断し、一定時間接触していたら、現在の指接触位置(Xf,Yf)よりカーソル表示位置(Xp,Yp)を計算し、計算されたカーソル位置(Xp,Yp)に実際のカーソルを表示させ、次に、指の接触位置が移動したかどうかを判断し、移動したら、現在のカーソルを消去し、再度指の位置からカーソル位置を計算し、カーソルを表示させ、指が移動したかどうか判断した後、移動していない場合、2本目の指の接触を検出したかどうかの判断を行い、2本目の指を検出した場合には、クリック処理が行われ、2本目の指が検出されない場合は、指が離れたか否かを判断し、指が離れない場合は、カーソルを表示し、指が離れた場合には、カーソルを消し終了し、2本目の指を接触させなければ、クリック動作を実行できないため、誤ってタッチパネルに接触してクリックしてしまうような誤操作が極めて起こり難くなることを特徴とするタッチパネル入力装置付表示装置。」

第3 対比
本願発明と引用発明とを対比する。
(ア)引用発明の「タッチパネル入力装置」は、本願発明の「タッチパネル」に相当し、引用発明の「タッチパネル入力装置付表示装置」は、本願発明の「タッチパネルを備えたことを特徴とする端末装置」と「タッチパネルを備えたことを特徴とする装置」である点で共通する。

(イ)引用発明の「カーソルが画面上に表示されていない状態で、指の接触を検知し、指が一定時間接触していたかどうかを判断し、一定時間接触していたら、現在の指接触位置(Xf,Yf)よりカーソル表示位置(Xp,Yp)を計算し、カーソル位置(Xp,Yp)にカーソルを表示」及び「指を移動したか否かを判断し、移動した場合のみ、カーソル位置(Xp,Yp)のカーソルを消去し、指の移動距離を計算し、カーソル表示位置(Xp,Yp)を計算してカーソルを表示」させる構成は、本願発明の「カーソルを表示し」の構成に相当するといえる。

(ウ)引用発明の「クリック」は、本願発明の「カーソルによる操作入力」に相当するといえ、引用発明の「カーソルが画面上に表示されている時に指の接触を検知し、指が一定時間接触していたかどうかを判断し、」「指が画面から移動しない場合は、指が画面から離れたか否かを判断し、指が離れたことを検知した場合には、指の移動があったかどうかを判断し、移動がなかったとすると、カーソル表示時に指接触を検知して移動せずに指を離したと判断し、クリック処理を行い」あるいは「カーソルを表示させ、指が移動したかどうか判断した後、移動していない場合、2本目の指の接触を検出したかどうかの判断を行い、2本目の指を検出した場合には、クリック処理が行」われるタッチパネル入力装置は、本願発明の「該カーソルによる操作入力を受け付ける」タッチパネルと、「該カーソルによる操作入力を行う」タッチパネルである点で共通するといえる。

したがって、本願発明の用語を用いて表現すると両者は、
「カーソルを表示し、該カーソルによる操作入力を行うタッチパネルを備えたことを特徴とする装置。」
で一致するものであり、次の(1)、(2)の点で相違している。

<相違点>
(1)本願発明は、「端末装置」であるのに対して、引用発明は、タッチパネル入力装置付「表示装置」である点。

(2)本願発明は、カーソルを表示し、「該カーソルによる操作入力を受け付ける」タッチパネルであるのに対して、引用発明は、カーソル表示時に指接触を検知して移動せずに指を離した場合にクリック処理を行う、あるいは、カーソルを表示させ、指が移動していない場合、2本目の指の接触を検出したかどうかの判断を行い、2本目の指を検出した場合には、クリック処理が行われる点。

第4 当審の判断
・相違点(1)について
引用文献には、「電子手帳のような小型の携帯端末(特に、専用のペンでクリック操作しているような機種)にも応用可能である。」(記載事項(オ)段落【0058】)ことが記載されている。
したがって、引用発明を、携帯端末(端末装置)とすることは当業者が容易になし得ることである。

・相違点(2)について
カーソル(ポインタ)を表示し、該カーソル(ポインタ)による操作入力を受け付ける手段を備えたタッチパネルは、本願の出願日前に周知の技術(例えば、特開2004-151987号公報、段落【0058】?【0061】「以上説明したように、情報処理装置1のCPU11は、アプリケーションプログラム毎に疑似スライドパッドの位置、サイズ、形状を設定して擬似スライドパッド設定テーブル140に記憶させ、この設定に基づいてアプリケーションプログラムの実行中にタッチパネル12aの所定領域を疑似スライドパッドに設定して、表示装置12の表示画面上に疑似スライドパッドを表示させる。また、CPU11は、疑似スライドパッド上が押下されると、押下位置に応じてカーソルを移動させ、ドラッグ、クリック、ダブルクリック等の入力の有無を判別し、判別結果に応じた処理を実行する。【0059】したがって、操作者が片手で情報処理装置1を支持しながらスライドパッドを使用して操作入力を行うことが可能となる。また、疑似スライドパッドの位置、サイズ、形状を操作者が自由に設定できるため、簡単に操作入力できる。更に、一体的に設けられたタッチパネル12aと表示装置12を疑似スライドパッドとして使用するため、情報処理装置1にスライドパッド専用の場所を設ける必要がなく、筐体の小型化及び軽量化を図ることができる。【0060】なお、上記実施の形態において説明した疑似スライドパッドの設定及び表示位置、サイズ、形状は、例示したものに限定されない。また、上記実施の形態では、CPU11がドラッグ、クリック、ダブルクリックの入力を判別してデータ処理を行う例を示したが、例えば、CPU11が押下位置と押下時間に応じてマウスの右クリックに相当する操作入力を判別し、画面上に実行可能な機能を表示させてもよい。また、例えば、疑似スライドパッドを特定の操作入力(例えば、クリック)のみに使用し、疑似スライドパッド上の1点を一定時間以上押下すると、他の操作入力(例えば、ドラッグ)を行うように切り替えてもよい。・・・中略・・・【0061】また、上記実施の形態では、疑似スライドパッドを表示装置12の表示画面に常に表示又は画面押下時のみに表示させる例を説明したが、例えばデータを閲覧する場合等の操作入力が不要な画面では疑似スライドパッドを表示せず、操作者の操作入力が要求される画面では疑似スライドパッドを表示させるように構成してもよい。」、特開2003-186620号公報、段落【0008】?【0009】「本発明の第1の実施例の情報処理装置では、図2(a)に示したカーソル位置で、利用者が例えば指により図2(b)に星マークで示した位置にタッチした場合、制御部2のCPU11はタッチパネル4からタッチ位置の座標情報を取得し、カーソル位置を図2(c)に移動させる。つまり、タッチ位置の座標値を取得した表示制御部14が、画像RAM内の図2(a)に示したカーソル画像領域の画像データをクリアし、図2(b)に星マークで示した位置に対応した取得座標値の位置にカーソル画像の画像データを書き込むのである。また、表示制御部14は、図2(c)に示したようにカーソル位置の近傍に操作ボタンの付いたマウスの画像を表示することができる。・・・中略・・・【0009】そして、図3(a)に示したようなマウス表示状態で、利用者が図3(b)に示したように表示されたマウス左ボタン(厳密には左ボタンを含む左ボタン領域)にタッチすると、CPU11はそれを認識して、図3(b)に示したカーソル位置でマウス左ボタンがクリックされたときの動作に対応する動作を実行する。また、図3(c)に示したように、利用者が表示されたマウス右ボタンにタッチした場合、CPU11は図3(c)に示したカーソル位置でマウス右ボタンがクリックされたときの動作に対応する動作をする。なお、図3(b)、(c)に示したように表示されたマウスボタンへのタッチが検出された場合には、カーソル位置を移動させない。また、この実施例では、ドラッグ操作(引っぱり移動操作)が可能である。なお、ドラッグ操作とは、表示されたマウス中のマウスボタン(厳密には操作ボタン領域、以下同様)にタッチした状態でそのマウスを移動させる動作を言う。例えばWindowsシステムでは、マウス左ボタンを押しながらカーソルをドラッグすると、ドラッグを開始した座標からカーソルを移動した座標までを対角線とする矩形領域を生成することができるが、この実施例でも、前記のようなドラッグ操作により同様の機能を実現することができる。」、特開2003-108310号公報、段落【0012】?【0016】「【0012】また、本発明の目的は、マウス等詳細な位置特定が可能なポインティングデバイスを備えないタッチパネル入力システムにおいて、詳細なマウス位置の位置決めが可能な入力手段を提供することにある。【0013】また、本発明の目的は、マウス左クリックイベントだけでなく、その他のクリックイベントも発行できるタッチパネルに対応した入力手段を提供することにある。・・・中略・・・本願の発明の概略を説明すれば、以下の通りである。すなわち、本願発明の入力方法は、タッチパネルの接触またはキーボードの押下を入力イベントとして検知する情報処理システムの入力方法であって、入力モードの切り替えに応じてマウスポインタウィンドウを生成するステップと、入力イベントを受取り、フックするステップと、入力イベントがマウスイベントである場合に、マウス移動イベントに続くマウスイベントを無効化するステップと、入力イベントにおけるタッチパネルの接触位置(マウス位置)にマウスポインタウィンドウを表示するステップと、を含む。すなわち、本願発明では、入力イベントがあった場合に、直ちには実行せず、これをフックする。そして、フックされたイベントがマウス入力イベントである場合にはその後の処理を無効化し、タッチパネルへの接触位置にマウスポインタウィンドウを表示する。一般にATM等の自動機器では、マウスポインタは表示されないように設定されている。よって現在のマウス位置は不明であるが、本発明ではマウスポインタウィンドウを生成して現在のマウス位置に表示する。このため、マウス位置を正確に把握できる。また、マウスイベントが生じても、この段階ではマウス位置を移動し表示するだけであり、従来のようにマウス移動およびクリックイベントを同時に発生させない。このため、マウス移動と、その後に続く処理を分離できる。【0016】マウス移動に続く処理として、以下のような処理が例示できる。たとえば、本発明の入力方法では、タッチパネルにツールウィンドウを表示させ、このツールウィンドウ内の所定の機能ボタンに触れると、そのボタン領域に定義された所定の手順を実行できる。」の記載参照。)である。
引用発明と上記周知技術とは、タッチパネルの操作入力に関し、タッチパネルにカーソル(ポインタ)を表示し、そのカーソル(ポインタ)によるマウスでの動作(左クリック等)と同等の動作をタッチパネルで行う技術である点で共通するものである。
そうすると、引用発明において、上記周知技術を適用し、カーソルを表示し、該カーソルによる操作入力を受け付けるタッチパネルとすることは、当業者が容易になし得ることである。

そして、本願発明の作用効果も、引用発明及び周知技術から、当業者であれば予想できる範囲内のものである。

第5 むすび
以上のとおり、本願発明は、引用発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、本願は、その余の請求項について論及するまでもなく、拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2014-03-19 
結審通知日 2014-03-20 
審決日 2014-04-02 
出願番号 特願2009-54826(P2009-54826)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (G06F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 中田 剛史  
特許庁審判長 和田 志郎
特許庁審判官 清水 稔
山田 正文
発明の名称 端末装置  
代理人 特許業務法人 共立  

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