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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 H01G
管理番号 1287837
審判番号 不服2013-19383  
総通号数 175 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2014-07-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2013-10-04 
確定日 2014-05-15 
事件の表示 特願2013- 38533「積層セラミックコンデンサ及びその製造方法」拒絶査定不服審判事件〔平成25年11月14日出願公開、特開2013-232627〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 【第1】経緯

[1]手続の概要
本願は、平成25年2月28日(優先権主張平成24年3月30日)の出願であって、手続の概要は以下のとおりである。

拒絶理由通知 :平成25年 3月21日(起案日)
意見書 :平成25年 4月19日
手続補正 :平成25年 4月19日
拒絶理由通知(最後) :平成25年 5月 7日(起案日)
意見書 :平成25年 6月13日
手続補正 :平成25年 6月13日
補正の却下の決定 :平成25年 7月 5日(起案日)
拒絶査定 :平成25年 7月 5日(起案日)
拒絶査定不服審判請求 :平成25年10月 4日

[2]査定
原審での査定の理由は、平成25年5月7日付け拒絶理由通知書に記載した理由とするものであり、概略、以下のとおりである。

〈査定の理由〉
本願の各請求項に係る発明は、下記の刊行物1?6に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができない。
記(刊行物)
刊行物1:特開2002-343669号公報
刊行物2:特開2000-269066号公報
刊行物3:特開2004-259500号公報
刊行物4:特開2010-212503号公報
刊行物5:特開2010-67721号公報
刊行物6:特開2007-22829号公報

【第2】本願発明
平成25年6月13日付けの補正は、平成25年7月5日付けで却下の決定がなされているから、本願の請求項1?4に係る各発明は、出願当初の特許請求の範囲,明細書及び図面の記載、及び平成25年4月19日付け手続補正書の特許請求の範囲の記載からみて、それぞれ、同手続補正書の特許請求の範囲の請求項1?4に記載した事項により特定されるとおりのものと認められるところ、そのうち、請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、下記のとおりのものである。
記(本願発明)
誘電体層と内部電極層とが交互に積層されてなる積層セラミックコンデンサであって、
前記誘電体層を構成する誘電体粒子が一層一粒子で存在する割合が50%よりも大きく、前記内部電極層は、その層厚を分断するように存在する粒界によって区切られた電極粒子で構成されており、前記電極粒子の最大厚さに対する当該厚さ方向に直交する最大長さの比である電極粒子アスペクト比の平均値が3よりも大きい、積層セラミックコンデンサ。

【第3】当審の判断

[1]引用刊行物の記載

[1-1]刊行物1:特開2002-343669号公報
原査定の拒絶理由に引用された刊行物1には、以下の記載(下線は、注目箇所を示すために当審で施したものである。)が認められる。

(K1)〈請求項1〉
【請求項1】 誘電体層と内部電極層とを有する積層セラミック電子部品であって、
前記内部電極層が、前記誘電体層と平行な方向に連なって配置された導電材粒子を含み、
前記導電材粒子が、前記誘電体層と平行な方向の第1平均粒径(R1)と、前記誘電体層と垂直な方向の第2平均粒径(R2)とを有し、
前記第1平均粒径(R1)と前記第2平均粒径(R2)との比(R1/R2)が2以上である積層セラミック電子部品。」

(K2)〈技術分野、従来の技術〉
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、単位体積当たりの取得静電容量の低下が改善された積層セラミックコンデンサなどの積層セラミック電子部品に関する。
【0002】
【従来の技術】積層セラミック電子部品の一例としての積層セラミックコンデンサの取得静電容量は、式(1):「C=ε0 ・εr ×n×(S/d)」の関係にある。ただし、式(1)において、C:静電容量(F)、ε0 :真空の誘電率、εr:誘電体材料の比誘電率、n:層数、S:有効面積、d:誘電体厚み、である。
【0003】このため、コンデンサの取得静電容量を増加させるためには、誘電体厚みdを薄くする、誘電体材料の比誘電率εr を増加させる、有効面積Sを増加させる、誘電体層数nを増加させる、のいずれかの方法が考えられる。しかし、小型で大容量を得るために、有効面積を増加させるには限界があることから、一般に比誘電率を増加させる、あるいは誘電体厚みを薄層化するなどの手法がとられている。誘電体厚みの薄層化は、厚みばらつき等の問題から、その限界は10μmとも5μmともいわれてきたが、最近では、製造技術の開発によりその限界を超えた薄層品も開発されるようになってきた。

(K3)〈課題〉
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、Niなどの卑金属を主成分とする内部電極は、誘電体材料の焼結の進行とともに太くなり、途切れていく傾向がある。このため、積層セラミックコンデンサの厚み方向が内部電極の太りとともに膨張してしまう現象や、内部電極が途切れることにより、コンデンサの取得静電容量が低下するといった問題が生じた。
【0006】なお、特開2000-269066号公報では、積層セラミックコンデンサの内部電極を構成する導電材粒子が、一対の誘電体層間で1個ずつ連なって形成されている積層セラミックコンデンサが開示されている。この公報では、このような構成を採用することにより、焼成時における内部電極と誘電体層とのストレスを緩和し、コンデンサ素体内部のクラックやデラミネーションの発生を防止できる旨が述べられている。しかしながら、この公報には、導電材粒子の平均粒径がコンデンサのどのような特性に影響を与えるかについてまでは言及されておらず、これが今後の課題であった。
【0007】本発明の目的は、単位体積当たりの取得静電容量を向上でき、小型化しても大容量を有し、信頼性の高い積層セラミックコンデンサなどの積層セラミック電子部品を提供することである。

(K4)〈作用等〉
【0015】
【作用】本発明者らは、誘電体層と、たとえばNiなどの卑金属で構成される導電材粒子を含む内部電極層とを、各々単独で焼成した場合と同時に焼成した場合とでは、異なる挙動を示すことを確認した。その原因としては、誘電体層と内部電極層とを同時に焼成した場合に、誘電体/導電材粒子の界面反応などの相互作用が関係していると推測される。このような現象を踏まえ、誘電体層と内部電極層とを同時に焼成した後の導電材粒子を特定の粒径比に制御することにより、内部電極層の途切れが抑制され、これにより取得静電容量の低下を改善できるなど、品質のよいコンデンサなどの積層セラミック電子部品が得られることを見出した。
【0016】すなわち、本発明によれば、導電材粒子を特定の粒径比に制御し、内部電極の途切れを抑制することによって、単位体積当たりの取得静電容量が増加し、小型化しても大容量を有し、かつ、界面の平滑性も向上するため、信頼性の高い積層セラミックコンデンサなどの積層セラミック電子部品を実現することができる。
【0017】内部電極層に含まれる導電材粒子を特定の粒径比に制御するには、焼成前の卑金属(たとえばNi)粉末の特性、ペースト化したときの内部電極層ペースト組成、このペーストの印刷条件、焼成条件、誘電体の組成などの様々な条件を最適化し、これらを綿密に制御することで実現することができる。従って、本発明に係る積層セラミック電子部品の製造方法は特に限定されず、これらの各種諸条件を最適化することにより、焼成後の導電材粒子の状態を制御すればよい。

(K5)〈実施の形態〉
【0019】
【発明の実施の形態】以下、本発明を、図面に示す実施形態に基づき説明する。図1は本発明の一実施形態に係る積層セラミックコンデンサの概略断面図、図2は図1に示す内部電極層の要部拡大断面図、
【0020】図3(A)?(C)は実施例1のコンデンササンプルの断面および被覆面を示す顕微鏡写真、図4は実施例1のコンデンササンプルの断面研磨面の顕微鏡写真、図5(A)?(C)は比較例1のコンデンササンプルの断面および被覆面を示す顕微鏡写真、図6は比較例1のコンデンササンプルの断面研磨面の顕微鏡写真である。
【0021】図1に示すように、本発明の一実施形態に係る積層セラミックコンデンサ1は、誘電体層2と内部電極層3とが交互に積層されたコンデンサ素子本体10を有する。コンデンサ素子本体10の両端部には、素子本体10の内部で交互に配置された内部電極層3と各々導通する一対の外部電極4が形成してある。コンデンサ素子本体10の形状に特に制限はないが、通常、直方体状とされる。また、その寸法にも特に制限はなく、用途に応じて適当な寸法とすればよいが、通常、縦(0.6?5.7mm)×横(0.3?5.0mm)×厚さ(0.3?5.0mm)程度である。

(K6)〈誘電体層の積層数、厚み等〉
【0025】なお、誘電体層2の積層数や厚み等の諸条件は、目的や用途に応じ適宜決定すればよい。たとえば、各誘電体層2の厚みは、通常30μm以下、好ましくは10μm以下、より好ましくは5μm以下、さらに好ましくは3μm以下であり、その下限は好ましくは0.2μm程度である。また、各誘電体層2の積層数は、好ましくは50層以上、より好ましくは100層以上、さらに好ましくは300層以上である。
【0026】図1?2に示すように、内部電極層3は導電材粒子3aを含有する。導電材粒子3aは、誘電体層2と平行な方向に1個ずつ連なって配置して構成してある。

(K7)〈R1/R2、その作用、誘電体材料等〉
【0028】本実施形態では、内部電極層3に含まれる導電材粒子3aは、誘電体層2と平行な方向の第1平均粒径(R1)と、誘電体層2と垂直な方向の第2平均粒径(R2)とを有する。第1平均粒径(R1)は、内部電極層3の厚みdよりも大きいことが好ましく、たとえば2.5μm以上、好ましくは3μm以上である。第2平均粒径(R2)は、特に限定されないが、2μm以下が好ましく、より好ましくは1.6μm以下であり、下限は0.5μm程度である。これ以上薄いと、途切れの増加による容量の低下が著しくなる。
【0029】しかも本発明では、上述した第1平均粒径(R1)と第2平均粒径(R2)との比(R1/R2)が2以上である。なお、第1平均粒径と第2平均粒径との比(R1/R2)が大きいほど取得静電容量は大きくなる。しかし、第1平均粒径と第2平均粒径との比(R1/R2)が小さい場合、焼成の際に内部電極層3が途切れやすく、粒子が球状化する傾向があり、取得静電容量が低下したり、ショート不良が増加する。
【0030】なお、第1平均粒子径(R1)は以下のように定義される。すなわち、図2に示す切断面において誘電体層2間の中央部分に、誘電体層と略平行な直線Hを引き、この線と交差する導電材粒子3aの数をn(nは10以上)、線の長さをL1としたときL1/nを第1平均粒径(R1)とする。また、第2平均粒子径(R2)は、内部電極層3の厚さd方向に対する各導電材粒子3aの最大長さL2の平均値である。本実施形態では、第2平均粒子径(R2)は内部電極層3の厚さdに等しい。
・・・(中略)・・・
【0034】誘電体原料には、前述した誘電体磁器組成物の組成に応じ、主成分を構成する原料と、副成分を構成する原料と、必要に応じて焼結助剤を構成する原料とが用いられる。主成分を構成する原料としては、Ti,Ba,Sr,Ca,Zrの酸化物および/または焼成により酸化物になる化合物が用いられる。副成分を構成する原料としては、Sr,Y,Gd,Tb,Dy,V,Mo,Zn,Cd,Ti,Ca,Sn,W,Mn,SiおよびPの酸化物および/または焼成により酸化物になる化合物から選ばれる1種類以上、好ましくは3種類以上の単一酸化物または複合酸化物が用いられる。

(K8)〈実施例〉
【0055】
【実施例】本発明の実施の形態をより具体化した実施例を挙げ、本発明をさらに詳細に説明する。但し、本発明は、これらの実施例のみに限定されるものではない。
【0056】実施例1
下記の手順で、2個の積層セラミックコンデンサのサンプルを作製した。まず、BaTiO3 の一部をCa、Zrで置換した、主成分原料としての母材原料(母材組成:(Ba_(0.95),Ca_(0.05))(Ti_(0.8) Zr_(0.2))O_(3) 、平均粒径:0.7μm)と、副成分原料としてY_(2) O_(3) 、MnCO_(3) 、SiO_(2) とを用いた。
・・・(中略)・・・
【0057】平均粒径0.4μmのNi粒子100重量部と、有機ビヒクル(エチルセルロース8重量部をテルピネオール92重量部に溶解したもの)50重量部と、テルピネオール35重量部とをポット混合により混練してペースト化し、内部電極層ペーストを得た。
【0058】前記誘電体層ペーストを用いてPETフィルム上に、厚さ5μmのグリーンシートを形成し、この上に前記内部電極層ペーストを所定パターンで印刷し乾燥させた。印刷・乾燥後の内部電極層ペーストの厚みは2μmであった。その後、前記グリーンシートをPETフィルムから剥離した。これらの内部電極が印刷されたグリーンシートを複数枚積層し、加圧接着して積層体を得た。なお、誘電体層2の積層数は100層であった。 ・・・(中略)・・・
【0069】コンデンササンプルを、内部電極に垂直で、且つ両端子電極を通る断面で切断し、その切断面を顕微鏡(SEM)で観察した。結果を図3(A)?図3(C)に示す。
【0070】また、前記切断面を研磨し、サーマルエッチングしてその研磨面を顕微鏡(SEM)で観察した。その結果を図4に示す。 ・・・(以下略)
【0071】その結果、導電材粒子の第1平均粒径(R1)は5.4μm、第1平均粒径(R1)と第2平均粒径(R2)との比(R1/R2)は3.4、単位体積当たりの静電容量(C)は12.4μFであった。結果を表1に示す。

(K9)〈表1〉
【0078】【表1】には、
焼成後のNi粒子のR1/R2が、
(実施例1)3.4(R2:1.6μm)のとき、静電容量Cが12.4μF、
(比較例1)1.5(R2:1.8μm)のとき、静電容量Cが11.6μF、
(実施例2)2.0(R2:1.7μm)のとき、静電容量Cが12.2μF、
(比較例2)1.0(R2:1.9μm)のとき、静電容量Cが11.0μF、
(実施例3)2.7(R2:1.7μm)のとき、静電容量Cが12.3μF、
(比較例3)1.5(R2:1.7μm)のとき、静電容量Cが11.5μF、
であったことが 示されている。」
「【0079】表1により、実施例1?3と比較例1?3とを比較して分かるように、導電材粒子の第1平均粒径と第2平均粒径との比(R1/R2)が2以上である場合に、単位体積当たりの取得静電容量を向上でき、小型化しても大容量を有し、信頼性の高い積層セラミックコンデンサを実現することができることが確認できた。

(K10)〈効果〉
【0080】
【発明の効果】以上説明してきたように、本発明によれば、単位体積当たりの取得静電容量を向上でき、小型化しても大容量を有し、信頼性の高い積層セラミックコンデンサなどの積層セラミック電子部品を提供することができる。

[1-2]刊行物4:特開2010-212503号公報
同じく、原査定の拒絶理由に引用された刊行物4には、以下の記載(下線は、注目箇所を示すために当審で施したものである。)が認められる。

(L1)〈請求項1〉
【請求項1】
積層された複数の誘電体セラミック層および誘電体セラミック層間の特定の界面に沿って形成された内部電極を含む積層体と、内部電極の特定のものに電気的に接続されるように積層体の外表面上に形成された外部電極とを備える、積層セラミックコンデンサにおいて、
前記積層セラミックコンデンサの断面を観察したとき、隣り合う二つの内部電極に接する結晶粒子の個数割合が50%以上であり、
前記誘電体セラミックがBaTiO3系ペロブスカイト化合物を主成分とし、Ca、Mn、Vから選ばれる少なくとも一種を含む組成を有することを特徴とする、積層セラミックコンデンサ。
【請求項2】
前記主成分が(Ba,Ca)TiO3であることを特徴とする、請求項1に記載の積層セラミックコンデンサ。

(L2)〈技術分野、背景技術,従来の技術〉
【技術分野】
【0001】
この発明は、積層セラミックコンデンサに関するもので、特に、小型・大容量で、一層あたりの誘電体セラミック層厚みが薄い薄層型の積層セラミックコンデンサに関するものである。
・・・(中略)・・・
【0008】
近年においては、積層セラミックコンデンサの小型・大容量化の要求が大きく、誘電体セラミック層一層あたりの厚みが2μm以下と薄くなってきている。このような薄層化が進むと、積層セラミックコンデンサとしての絶縁性や、負荷試験時の寿命特性が問題になることが多い。このような場合、誘電体セラミック層を構成する結晶粒子を小さくし、結晶粒界の絶縁性を高めることが考えられるが、誘電率が低くなるなどの弊害がある。よって、できる限り誘電率を確保しつつ、ある程度の絶縁性、寿命特性も確保したい。
【0009】
そこで、特許文献1では、誘電体セラミック層一層中に一のセラミック粒子で形成されている一層一粒子の部分の割合が20%以上であることを特徴とする積層セラミックコンデンサが開示されている。ここでは、誘電体セラミック層の厚みに同程度に結晶粒子の径を大きくすることにより、絶縁性を確保できる旨が記されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開平11-317322号公報

(L3)〈課題〉
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかしながら、特許文献1における積層セラミックコンデンサにおいては、絶縁性や負荷試験時における寿命特性がまだまだ不十分である、という問題があった。
【0013】
そこで、この発明の目的は、薄層の積層セラミックコンデンサにおいて、ある程度の大きさの結晶粒子径を確保しながらも、高い絶縁性と寿命特性を有するする積層セラミックコンデンサを提供しようとすることである。

(L4)
【課題を解決するための手段】
【0014】
すなわち本発明は、積層された複数の誘電体セラミック層および誘電体セラミック層間の特定の界面に沿って形成された内部電極を含む積層体と、内部電極の特定のものに電気的に接続されるように積層体の外表面上に形成された外部電極とを備える、積層セラミックコンデンサにおいて、前記積層セラミックコンデンサの断面を観察したとき、隣り合う二つの内部電極に接する結晶粒子の個数割合が50%以上であり、前記誘電体セラミックがBaTiO3系ペロブスカイト化合物を主成分とし、Ca、Mn、Vから選ばれる少なくとも一種を含む組成を有することを特徴とする。
【0015】
また本発明は、前記主成分が(Ba,Ca)TiO3であることが好ましい。

(L5)
【発明の効果】
【0018】
本発明の積層セラミックコンデンサにおいては、誘電体セラミック層が1つの結晶粒子から構成されている箇所が多いため、寿命特性には殆ど結晶粒界の特性は影響せず、結晶粒子自体の特性が影響する。このとき、誘電体セラミックの主成分BaTiO3系に対し、Ca、Mn、Vの少なくとも一種が含まれることで、結晶粒子自体の絶縁性および寿命特性が非常に高く向上する。特に、Caが結晶粒子に均一に固溶した(Ba,Ca)TiO3である場合、高い絶縁性と寿命特性を有する。

(L6)〈実施の形態〉
【0022】
図1は、この発明の一実施形態による積層セラミックコンデンサ1を示す断面図である。
【0023】
積層セラミックコンデンサ1は、積層体2を備えている。積層体2は、積層された複数の誘電体セラミック層3と、複数の誘電体セラミック層3間の特定の複数の界面に沿ってそれぞれ形成された複数の内部電極4および5とをもって構成されている。
・・・(中略)・・・
【0027】
本発明の積層セラミックコンデンサの断面を観察したとき、隣り合う二つの内部電極に接する結晶粒子の個数割合が50%以上である。すなわち、誘電体セラミック層一層が結晶粒子1個で構成されている箇所が50%以上あるということであり、従来のものより、結晶粒界の占める面積が非常に少なくなっている。この個数割合は本発明を損なわない限り高いことが望ましく、80%以上であるとさらに本発明の効果が顕著になることが期待される。
【0028】
本発明において、誘電体セラミックの組成は、BaTiO3系ペロブスカイト化合物を主成分とし、Ca、Mn、Vから選ばれる少なくとも一種を含む。これらの成分は、結晶粒界に若干位置することもあるが、大部分が結晶粒子の内部に固溶する。これらの副成分が、結晶粒子における酸素空孔の電界印加による移動を抑制し、結晶粒子自体の信頼性を大きく向上させるものと考えられる。この作用効果は、主成分が(Ba,Ca)TiO3であるとき、より大きくなる。
【0029】
また、結晶粒子が、積層方向に短い扁平状の形状を有していて、そのアスペクト比が1.5以上、より好ましくは2以上の偏平形状である場合、結晶粒界の占める面積がさらに少なくなる。このような偏平形状の結晶粒子を得るには、内部電極の厚みを誘電体セラミック層の厚みの0.75倍以上程度にしておき、かつ1μm以上にすることが有効である。すなわち、焼成時に粒成長が生じても、積層方向への粒成長は抑制され、面方向への粒成長のみ促進されるため、このような偏平形状が得られるわけである。

(L7)〈実施例〉
【0032】
[実験例1]まず、主成分の出発原料として、固相法によって合成した3種類のBaTiO3系粉末を用意した。この3種類は組成が互いに異なり、それぞれ、試料1:BaTiO3、試料2:(Ba0.95Ca0.05)TiO3、試料3:(Ba0.90Ca0.10)TiO3であった。
・・・(中略)・・・
【0038】
試料1?3の積層セラミックコンデンサそれぞれの破断面のSEM観察写真を、それぞれ図2?図4に示す。これらより、誘電体セラミック層が結晶粒子1個で占められる部分が明らかに80%以上であり、かつ、結晶粒子が面方向に長いアスペクト比1.5以上の偏平状であることがわかる。
・・・(中略)・・・
【0040】
図5より、Caの含まれた試料2および3は、Caの含まれない試料1と比較して、非常に長い寿命特性が得られた。
【0041】
[実験例2] まず、原料粉末として、試料101:試料1:BaTiO3、試料102:(Ba0.95Ca0.05)TiO3、試料103:(Ba0.95Ca0.05)(Ti0.9995V0.0005)O3、試料104:(Ba0.95Ca0.05)(Ti0.9995Mn0.0005)O3、の組成を有する粉末を用意した。
・・・(中略)・・・
【0044】
図6の結果より、Mn、Vを含んだ場合、含まない場合よりさらに高い絶縁性を得られることがわかった。

(L8)図6
図6には、(Ba0.95Ca0.05)TiO3(試料102)が、BaTiO3(試料1,101)より高い絶縁性が得られることが示されている。

[2]刊行物1に記載された発明(以下、「引用発明」という。)

ア 概要
刊行物1には、「単位体積当たりの取得静電容量の低下が改善された積層セラミックコンデンサなどの積層セラミック電子部品」{前掲(K2)【0002】}に関し、
概要、
従来より、「小型で大容量を得るために」「誘電体厚みを薄層化するなどの手法」{(K2)}が採られてきている中、
「積層セラミックコンデンサの厚み方向が内部電極の太りとともに膨張してしまう現象や、内部電極が途切れることにより、コンデンサの取得静電容量が低下するといった」{(K3)【0005】}課題を解決し、
「単位体積当たりの取得静電容量を向上でき、小型化しても大容量を有し、信頼性の高い積層セラミックコンデンサなどの積層セラミック電子部品を提供する」{(K3)【0007】}ために、
積層セラミック電子部品の構成を、
「誘電体層と内部電極層とを有する積層セラミック電子部品であって、
前記内部電極層が、前記誘電体層と平行な方向に連なって配置された導電材粒子を含み、
前記導電材粒子が、前記誘電体層と平行な方向の第1平均粒径(R1)と、前記誘電体層と垂直な方向の第2平均粒径(R2)とを有し、
前記第1平均粒径(R1)と前記第2平均粒径(R2)との比(R1/R2)が2以上」{(K1),請求項1}としたものであって、
これにより、
「内部電極層の途切れが抑制され、これにより取得静電容量の低下を改善できるなど、品質のよいコンデンサ」{(K4)【0015】}であって、「単位体積当たりの取得静電容量が増加し、小型化しても大容量を有し、かつ、界面の平滑性も向上するため、信頼性の高い積層セラミックコンデンサなどの積層セラミック電子部品」が実現できる(【0016】)ことが示されている。

上記において、「積層セラミック電子部品」の例として明記されている「積層セラミックコンデンサ」として、実施の形態に示される「誘電体層2と内部電極層3とが交互に積層されたコンデンサ素子本体10を有する」「積層セラミックコンデンサ1」{図1,(K5)【0021】}を引用発明とする。

以上を総合すると、引用発明は、

従来より、「小型で大容量を得るために」「誘電体厚みを薄層化するなどの手法」が採られてきている中、「積層セラミックコンデンサの厚み方向が内部電極の太りとともに膨張してしまう現象や、内部電極が途切れることにより、コンデンサの取得静電容量が低下するといった」課題を解決し、
「単位体積当たりの取得静電容量を向上でき、小型化しても大容量を有し」、「内部電極層の途切れが抑制され、これにより取得静電容量の低下を改善でき」、かつ、「品質」がよく、「界面の平滑性も向上」して「信頼性の高い積層セラミックコンデンサ」を提供するために、
(→引用発明のp)
「誘電体層2と内部電極層3とが交互に積層されたコンデンサ素子本体10を有する」「積層セラミックコンデンサ」において、
(→引用発明のq)
概要、
前記内部電極層が、前記誘電体層と平行な方向に連なって配置された導電材粒子を含み、 (→引用発明のr)
前記導電材粒子が、前記誘電体層と平行な方向の第1平均粒径(R1)と、前記誘電体層と垂直な方向の第2平均粒径(R2)とを有し、
前記第1平均粒径(R1)と前記第2平均粒径(R2)との比(R1/R2)が2以上」であるものが認められる。 (→r1’)

イ 詳細
〈寸法〉
実施の形態として示される「積層セラミックコンデンサ」は、「通常、縦(0.6?5.7mm)×横(0.3?5.0mm)×厚さ(0.3?5.0mm)程度」の「寸法」{(K5)【0021】}とされる。
(→引用発明のs)
〈誘電体層〉
「各誘電体層2の厚みは、通常30μm以下、好ましくは10μm以下、より好ましくは5μm以下、さらに好ましくは3μm以下であり、その下限は好ましくは0.2μm程度」、「各誘電体層2の積層数は、好ましくは50層以上、より好ましくは100層以上、さらに好ましくは300層以上」とされる{(K6)【0025】}。 (→引用発明のt)
また、誘電体の主成分原料は、Ti,Ba,Sr,Ca,Zrの酸化物および/または焼成により酸化物になる化合物が用いられる。{(K7)【0034】} (→引用発明のr4)
〈内部電極層〉
請求項1で特定する内部電極層について詳細に説明されていて、
「内部電極層3」の「導電材粒子3aは」「図2に示すように」「誘電体層2と平行な方向に1個ずつ連なって配置」される{(K6)【0026】}。
したがって、上記アで「前記内部電極層が、前記誘電体層と平行な方向に連なって配置された導電材粒子」は、「図2に示すように」「誘電体層2と平行な方向に1個ずつ連なって配置」されるものである。また、そのような態様は、実施例1の図4にも示されている。
(→引用発明のr)
《第1平均粒径(R1)、第2平均粒径(R2)について》
図2及び、段落【0030】によれば、
図2に示されるように、「第1平均粒径(R1)」は、「誘電体層2間の中央部分に、誘電体層と略平行な直線Hを引き、この線と交差する導電材粒子3aの数をn(nは10以上)、線の長さをL1としたとき」の「L1/n」とし、
「第2平均粒径(R2)」は、「内部電極層3の厚さd方向に対する各導電材粒子3aの最大長さL2の平均値」としている。
(→引用発明のr1)
また、「第1平均粒径(R1)」は、「たとえば2.5μm以上、好ましくは3μm以上」であり、
「第2平均粒径(R2)」は、「2μm以下が好ましく、より好ましくは1.6μm以下であり、下限は0.5μm程度」であり、「これ以上薄いと、途切れの増加による容量の低下が著しくなる」とされる。
(→引用発明のr2)
R1/R2について、
「第1平均粒径と第2平均粒径との比(R1/R2)が大きいほど取得静電容量は大きくな」り、「第1平均粒径と第2平均粒径との比(R1/R2)が小さい場合、焼成の際に内部電極層3が途切れやすく、粒子が球状化する傾向があり、取得静電容量が低下したり、ショート不良が増加する」とされる。{(K7)【0029】}。 (→引用発明のr3)

〈実施例等〉
実施例を説明する前掲(K8)(K9)によれば、例えば、誘電体(層数100)が主成分原料を(Ba_(0.95),Ca_(0.05))(Ti_(0.8) Zr_(0.2))O_(3) とし、内部電極がNiである積層セラミックコンデンサであり、
(→引用発明のr4)
そこでは、まず、上記比(R1/R2)が3.4のもの(実施例1)が図3,図4と共に説明され、これが、実施例のうち最良、すなわち単位体積当たりの静電容量が得られること、比(R1/R2)が2.0→2.7→3.4と大きくにつれて単位体積当たりの静電容量も大きい結果が得られることが示される。
このことと、上記アのr1’「比(R1/R2)が2以上」、上記アのr3の「第1平均粒径と第2平均粒径との比(R1/R2)が大きいほど取得静電容量は大きくな」ることからすれば、
引用発明として、特に、上記比(R1/R2)が3.4程度であるものを認めることができる。 (→引用発明のr1)

ウ 引用発明
以上によれば、引用発明(刊行物1記載された発明)として、下記の発明を認めることができる。

記(引用発明)
p :従来より、小型で大容量を得るために誘電体厚みを薄層化するなどの手法が採られてきている中、積層セラミックコンデンサの厚み方向が内部電極の太りとともに膨張してしまう現象や、内部電極が途切れることにより、コンデンサの取得静電容量が低下するといった課題を解決し、
単位体積当たりの取得静電容量を向上でき、小型化しても大容量を有し、内部電極層の途切れが抑制され、これにより取得静電容量の低下を改善でき、かつ、品質がよく、界面の平滑性も向上して信頼性の高い積層セラミックコンデンサを提供するために、
q :誘電体層と内部電極層とが交互に積層されたコンデンサ素子本体を有する積層セラミックコンデンサにおいて、
r :前記内部電極層が、前記誘電体層と平行な方向に連なり、図2,図4に示すように、誘電体層2と平行な方向に1個ずつ連なって配置された導電材粒子を含み、
r1:前記導電材粒子が、前記誘電体層と平行な方向の第1平均粒径(R1)と、前記誘電体層と垂直な方向の第2平均粒径(R2)とを有し、
前記第1平均粒径(R1)と前記第2平均粒径(R2)との比(R1/R2)が2以上、特に、3.4程度である積層セラミックコンデンサであって、
ここに、図2に示されるように、
第1平均粒径(R1)は、誘電体層2間の中央部分に、誘電体層と略平行な直線Hを引き、この線と交差する導電材粒子3aの数をn(nは10以上)、線の長さをL1としたときのL1/nであり、
第2平均粒径(R2)は、内部電極層3の厚さd方向に対する各導電材粒子3aの最大長さL2の平均値であり、
s :寸法は、通常、縦(0.6?5.7mm)×横(0.3?5.0mm)×厚さ(0.3?5.0mm)程度であり、
t :各誘電体層は、
厚みが、通常30μm以下、好ましくは10μm以下、より好ましくは5μm以下、さらに好ましくは3μm以下であり、その下限は好ましくは0.2μm程度であり、
積層数が、好ましくは50層以上、より好ましくは100層以上、さらに好ましくは300層以上であり、
r2 :内部電極層は、
第1平均粒径(R1)は、たとえば2.5μm以上、好ましくは3μm以上であり、
第2平均粒径(R2)は2μm以下が好ましく、より好ましくは1.6μm以下であり、下限は0.5μm程度であり、
r3 :第1平均粒径と第2平均粒径との比(R1/R2)が大きいほど取得静電容量は大きくなり、第1平均粒径と第2平均粒径との比(R1/R2)が小さい場合、焼成の際に内部電極層3が途切れやすく、粒子が球状化する傾向があり、取得静電容量が低下したり、ショート不良が増加することになり、
r4 :誘電体の主成分原料は、Ti,Ba,Sr,Ca,Zrの酸化物および/または焼成により酸化物になる化合物が用いられ、例えば、誘電体(層数100)が主成分原料を(Ba_(0.95),Ca_(0.05))(Ti_(0.8) Zr_(0.2))O_(3) とし、内部電極がNiである
p :積層セラミックコンデンサ

[3]本願発明と引用発明との対比(対応関係)

(1)本願発明(構成要件の分説)

本願発明は、以下のように要件A?Cに分説することができる。
本願発明(分説)
A: 誘電体層と内部電極層とが交互に積層されてなる積層セラミックコンデンサであって、
B: 前記誘電体層を構成する誘電体粒子が一層一粒子で存在する割合が50%よりも大きく、
C :前記内部電極層は、その層厚を分断するように存在する粒界によって区切られた電極粒子で構成されており、前記電極粒子の最大厚さに対する当該厚さ方向に直交する最大長さの比である電極粒子アスペクト比の平均値が3よりも大きい、
A :積層セラミックコンデンサ。

(2)本願発明と引用発明との対比(対応関係)
本願発明の各構成要件について、引用発明と対応する。

ア 要件Aについて
A「誘電体層と内部電極層とが交互に積層されてなる積層セラミックコンデンサであって、」
引用発明のq「誘電体層と内部電極層とが交互に積層されたコンデンサ素子本体を有する積層セラミックコンデンサ」は、上記要件Aと一致するから、要件Aにおいて本件発明と相違しない。

イ 要件Bについて
B「前記誘電体層を構成する誘電体粒子が一層一粒子で存在する割合が50%よりも大きく、」
引用発明には、誘電体層について要件Bのような特定はない。
したがって、引用発明では、要件Bとしておらず、この点、本願発明と相違する。

ウ 要件Cについて
上記要件Cは、
前段C1「前記内部電極層は、その層厚を分断するように存在する粒界によって区切られた電極粒子で構成されており、」と、
後段C2「前記電極粒子の最大厚さに対する当該厚さ方向に直交する最大長さの比である電極粒子アスペクト比の平均値が3よりも大きい、」とに更に分説できる。

ウ-1 前段C1について
引用発明では、r「前記内部電極層が、前記誘電体層と平行な方向に連なり、図2に示すように、誘電体層2と平行な方向に1個ずつ連なって配置された導電材粒子を含み」としていて、図2から、導電粒子(本願発明の「電極粒子」に相当する)が層厚を分断するように境界で区切られていることが見て取れ、その内部電極層の態様・構成は、「その層厚を分断するように存在する粒界によって区切られた電極粒子で構成されており」といいえる態様・構成と認められ、前段C1において、本願発明と相違しない。

ウ-2 後段C2「前記電極粒子の最大厚さに対する当該厚さ方向に直交する最大長さの比である電極粒子アスペクト比の平均値が3よりも大きい、」について
〈本願発明〉
後段C2の上記「最大厚さ」,「当該厚さ方向」とは、
明細書の記載「【0030】・・・評価に用いる「電極粒子アスペクト比」は、これら電極粒子の最大層厚te1に対する、粒界で区切られる最大幅te2の比(電極粒子アスペクト比=te2/te1)として定義される。」および図2に照らせば、
それぞれ、「内部電極層の厚さ方向の最大長」「te1」、「内部電極層の厚さ方向」と解され、
後段C2の「厚さ方向に直交する最大長さ」とは、「te2」をいうものと理解される。

〈引用発明との比較〉
引用発明では、r1「前記導電材粒子が、前記誘電体層と平行な方向の第1平均粒径(R1)と、前記誘電体層と垂直な方向の第2平均粒径(R2)とを有し、
前記第1平均粒径(R1)と前記第2平均粒径(R2)との比(R1/R2)が2以上、特に、3.4程度である積層セラミックコンデンサであって、ここに、
第1平均粒径(R1)は、誘電体層2間の中央部分に、誘電体層と略平行な直線Hを引き、この線と交差する導電材粒子3aの数をn(nは10以上)、線の長さをL1としたときのL1/nであり、
第2平均粒径(R2)は、内部電極層3の厚さd方向に対する各導電材粒子3aの最大長さL2の平均値」としていて、
「導電材粒子」は本願発明でいう「電極粒子」といえることは明らかである。
《L2とte1》
その「内部電極層3の厚さd方向に対する各導電材粒子3aの最大長さL2」は、「電極粒子の内部電極層の厚さ方向の最大長」といえ、本願発明でいう「電極粒子の最大厚さ」「te1」に相当している。
《L1とte2》
引用発明の「L1」は、本願発明の「te2」に対応するものであるがその定義は異なる。すなわち、引用発明の「L1」は、本願発明の「当該厚さ方向に直交する」「長さ」ではあるが、「誘電体層2間の中央部分を通る」ものであって「最大」長とはしていない。
つまり、本願発明の「te2」は、「当該厚さ方向に直交する最大長さ」であるのに対して、
引用発明の「L1」は、「該厚さ方向に直交する誘電体層間の中央での長さ」である点で異なる。
《比》
また、引用発明の「平均粒径」の「比(R1/R2)」は、
(L1の平均)/(L2の平均)、すなわち、長さの平均の比であるのに対して、本願発明の「電極粒子アスペクト比の平均値」は、
(te2/te1)の平均値、すなわち、長さの比の平均値であるから、この点相違が認められる。
《一致、相違》
もっとも、本願発明も引用発明も、
電極粒子が層方向に扁平である度合いを特定程度大きいとする(その大きさの程度を特定の範囲であるとする)点では相違はなく、
その層方向に扁平である度合いを特定程度大きいとする」程度が、
本願発明では、後段C「前記電極粒子の最大厚さ(te1)に対する当該厚さ方向に直交する最大長さ(te2)の比である電極粒子アスペクト比(te2/te1)の平均値が3よりも大きい、」とするのに対して、
引用発明では、前記電極粒子の最大厚さ(L2)の平均値に対する当該厚さ方向に直交する誘電体層間の中央での長さ(L1)の平均値が、2以上、特に、3.4程度とする点で相違している。

[4]一致点、相違点
以上の対比結果によれば、本願発明と引用発明との一致点、相違点は次のとおりであることが認められる。

[一致点]
A 誘電体層と内部電極層とが交互に積層されてなる積層セラミックコンデンサであって、
C1 前記内部電極層は、その層厚を分断するように存在する粒界によって区切られた電極粒子で構成されており、
C2’電極粒子が層方向に扁平である度合いが特定程度大きい、
A 積層セラミックコンデンサ。

[相違点]
[相違点1]
本願発明では、
B 「前記誘電体層を構成する誘電体粒子が一層一粒子で存在する割合が50%よりも大きく」とするのに対して、
引用発明は、そのようにするとはしていない点。

[相違点2]
上記C2’の「電極粒子が層方向に扁平である度合いが特定程度大きい」とする特定程度の範囲が、
本願発明では、
C2「前記電極粒子の最大厚さ(te1)に対する当該厚さ方向に直交する最大長さ(te2)の比である電極粒子アスペクト比の平均値が3よりも大きい、」とするのに対して、
引用発明では、
前記電極粒子の最大厚さ(L2=te1)の平均値に対する当該厚さ方向に直交する誘電体層間の中央での長さ(L1)の平均値が、2以上、特に、3.4程度とする点。


[5]相違点等の判断

(1)[相違点の克服]
引用発明を出発点とし、
引用発明の誘電体層を、B「前記誘電体層を構成する誘電体粒子が一層一粒子で存在する割合が50%よりも大きく」すること(以下「相違点1の克服」という)で、上記[相違点1]は克服され、
引用発明の「電極粒子が層方向に扁平である度合いが特定程度大きい」とする特定程度の範囲を、C2「前記電極粒子の最大厚さに対する当該厚さ方向に直交する最大長さの比である電極粒子アスペクト比の平均値が3よりも大きい」とすること(以下「相違点2の克服」という)で、上記[相違点2]は克服され、本願発明に到達する。

(2)[相違点1の克服]の容易性判断

ア 刊行物4(特開2010-212503号公報)
前記[1-2]によれば、刊行物4には、
積層セラミックコンデンサを小型・大容量化するのに、誘電体セラミック誘電体層が薄層化されるところ、誘電体層が薄層化すると絶縁性、寿命が問題となること、
誘電体を薄層にしたとき、層を構成する結晶粒子を小さくすれば、結晶粒界の絶縁性が高まり絶縁性の点で有利ではあるが、誘電率が低くなる点で不利となる、すなわち、結晶粒子の大きさは、絶縁性と誘電率(容量)に関してトレードオフの関係にあること{前掲(L2)}にかんがみ、
ある程度の大きさの結晶粒子径を確保し、できる限り誘電率(容量)を確保しながらも、高い絶縁性と寿命特性を有する積層セラミックコンデンサを提供するため(段落【0008】,【0013】)、
隣り合う二つの内部電極に接する結晶粒子の個数割合が50%以上{(L1)請求項1,(L4)}、特に80%以上(段落【0027】,【0038】)としつつ、
誘電体セラミックがBaTiO_(3)系ペロブスカイト化合物を主成分とし、Ca、Mn、Vから選ばれる少なくとも一種、特に、主成分を、Caが結晶粒子に均一に固溶した(Ba,Ca)TiO_(3){請求項2,【0015】,【0028】}を含む組成を有するとして、これらの副成分が、結晶粒子における酸素空孔の電界印加による移動を抑制し、高い絶縁性と寿命特性を有するようにしたこと{(L1)(L4)(L6)【0028】(L8)}が認められる。

イ 判断
刊行物4の「隣り合う二つの内部電極に接する結晶粒子の個数割合が50%以上、特に80%以上としつつ」とする構成において、
その「隣り合う二つの内部電極に接する結晶粒子」は「一層一粒子」の結晶粒子といえ(「一層一粒子」との表現記載は、刊行物4の段落【0009】にも記載されている。)、
したがって、刊行物4の上記「隣り合う・・・としつつ」とする構成は、本願発明の要件B「前記誘電体層を構成する誘電体粒子が一層一粒子で存在する割合が50%よりも大きく」と一致する。

そして、上記刊行物4の「容量を確保しながらも、高い絶縁性を有する」とする課題,目的は、引用発明のそれと共通する。
すなわち、引用発明は、「積層セラミックコンデンサ」を「小型で大容量を得るため誘電体厚みを薄層化」(p)しても、「取得静電容量が低下したり、ショート不良が増加」しないように(r2)すること、すなわち、容量を確保しつつ絶縁性も担保することを、その目的とし、
そのために、内部電極層に着目し、内部電極層を構成する導電材粒子(電極粒子)を「誘電体層2と平行な方向に1個ずつ連なって配置」すると共に「層方向に扁平である度合いを特定程度大きい」とする構成を採ることで、
「内部電極層の途切れ」を「抑制」し「界面の平滑性も向上」させて、上記目的を達成するものであるから、
その課題,目的は、「容量を確保しながらも、高い絶縁性を有する」とするものであり、上記刊行物4の課題,目的と共通する。
このうち、刊行物4が上記「隣り合う二つの内部電極に接する結晶粒子の個数割合が50%以上、特に80%以上としつつ」とした理由は、主に、「結晶粒子径を確保し、できる限り誘電率(容量)を確保」する、すなわち「容量を確保しながらも」にあると理解される{Ca、Mn、Vから選ばれる少なくとも一種を含む、との構成は、結晶粒子自体の絶縁性および寿命特性の向上を企図するものである(【0018】)。}。

そうすると、引用発明においても、誘電率(容量)確保のため、その誘電体層に、刊行物4が誘電率(容量)確保のために採る構成を適用する動機付けがあるといえ、引用発明の誘電体層を、「誘電体層を構成する誘電体粒子が一層一粒子で存在する割合が50%よりも大きく」とすることは、当業者が容易に想到し得ることである。(このとき、刊行物4の、上記Ca、Mn、Vから選ばれる少なくとも一種を含む、との構成の採用は任意選択事項である。)
加えて、引用発明も刊行物4も、共に誘電体層を構成する主成分に、結晶粒子にCaを含んだ(Ba,Ca)TiO_(3)を含んでいて、このことも、Caを含むことで寿命・絶縁性が向上するとする刊行物4の適用をより指向させるものである。

(3)[相違点2の克服]の容易性判断

ア 当該厚さ方向に直交する最大長さ(te2)と、該厚さ方向に直交する誘電体層間の中央での長さ(L1)の違いについて
上記te2とL1は、確かに同じものではなく異なるものではある。
しかしながら、引用発明も、厚さd方向長さ「L2」については上記のように「厚さd方向に対する各導電材粒子3aの最大長さ」としているのであり、
また、本願発明も引用発明も「内部電極層は、その層厚を分断するように存在する粒界によって区切られ」ているものであって、引用発明の図2,図4(実施例1)に示される導電粒子の形態をみても、「厚さ方向に直交する最大長さ(te2)」と「厚さ方向に直交する誘電体層間の中央での長さ(L1)」に実際上大きな差があるとは言えず、差があるとしても、区別する程の意義はなく、それは、実質的には、ほぼ同一視し得る程度の微差にとどまるものということができる。
つまり、te2≒L1であって、特に区別するほどの意義もなく、実際上te2=L1とみても特段の支障は無い。
以下、te2=L1として議論を進める。

イ 長さの比の平均値=3(本願発明の下限値)と、長さの平均値の比=3.4(引用発明の値)の違いについて
以下、粒子の水平方向長であるL1=te2をx,垂直方向長であるL2=te1をyとして、粒子形状を(x,y)で表わし、両者の違いについて、粒子形状の簡単な分布モデル例を挙げて検討する。
本願発明 比の平均値=(1/n)*Σ(x/y) =3
引用発明 平均値の比=Σ(y/n)/Σ(x/n)=3.4
なお、この平均値の比は、多数の(x、y)の重心点P(平均x,平均y)のtanP(平均x,平均y)に等しい。

イ-1 簡単な(x,y)の分布モデル例での計算

(1)各粒子が、yが一定で、xのみ分布している場合
(1.4,1.0):33.3% (1.0,1.0):25%
(3.4,1.0):33.3% (3.0,1.0):50%
(5.4,1.0):33.3% (5.0,1.0):25%
平均値の比=3.4 平均値の比=3.0
比の平均値=3.4 比の平均値=3.0
各粒子のyが一定であれば、xの分布にかかわらず両者は同じである。

(2)各粒子のxが一定で、yのみ分布している場合
(3.4,0.8):33.3% (3.0,0.8):25%
(3.4,1.0):33.3% (3.0,1.0):50%
(3.4,1.2):33.3% (3.0,1.2):25%
平均値の比=3.4 平均値の比=3.0
このとき、比の分布は、
4.25:33.3% 3.75:25%
3.4:33.3% 3.0:50%
2.833:33.3% 2.5:25%
比の平均値=3.49 比の平均値=3.06

(3)各粒子のy/xが一定の場合
(2.72,0.8):33.3% (2.1,0.7):25%
(3.4 ,1.0):33.3% (3.0,1.0):50%
(4.08,1.2):33.3% (3.9,1.3):25%
平均値の比=3.4 平均値の比=3.0
比の平均値=3.4 比の平均値=3.0
各粒子のy/xが一定であれば、分布にかかわらず両者は同じである。

(4)xの平均値、yの平均値のまわりに特に偏り無くx、yが分布している場合)
(2.8,0.8):6.25% (3.4,0.8):12.5% (4.0,0.8):6.25%
(2.8,1.0):12.5% (3.4,1.0):25.0% (4.0,1.0):12.5%
(2.8,1.2):6.25% (3.4,1.2):12.5% (4.0,1.2):6.25%
平均値の比=3.4
比の分布は、
3.5 :6.25% 4.25:12.5% 5.0 :6.25%
2.8 :12.5% 3.4 :25.0% 4.0 :12.5%
2.33:6.25% 2.83:12.5% 3.33:6.25%
であって、
比の平均値=3.47

(5)xの平均値、yの平均値の周りに特定の偏りをもってx、yが分布している場合1
(4.0,0.8):25%
(3.4,1.0):50.0%
(2.8,1.2):25%
このとき、平均値の比=3.4

比の分布は、
5.0 :25%
3.4 :50.0%
2.33:25%
であって、 比の平均値=3.53

(6)xの平均値、yの平均値の周りに特定の偏りをもってx、yが分布している場合2
(2.8,0.8):25%
(3.4,1.0):50.0%
(4.0,1.2):25%
このとき、平均値の比=3.4

比の分布は、
3.5:25%
3.4:50.0%
3.33:25%
であって、 比の平均値=3.408

イ-2 判断
上記イ-1の結果によれば、(x,y)の平均値の周りに特定の偏りがなく(x、y)が分布している場合においては、概ね、引用発明の平均値の比の方が、本願発明の比の平均値より小さめにでる。
このことは、本願発明の「比の平均値」である下限値「3」は、引用発明の「平均値の比」でいえば、例えば「2.9」のように「3」より少し小さな値に相当するということを意味している。

もっとも、(x,y)の平均値の周りに、例えば、上記(6)のような特定の偏りをもって(x、y)が分布しているような場合には、前者(平均値の比)が後者(比の平均値)よりも若干大きくなることもあり得ると考えられ、そのような場合には、本願発明の「比の平均値」である下限値「3」は、引用発明の「平均値の比」では、例えば「3.1」のように「3」より少し大きな値に相当することになる。とはいえ、仮に、そのような場合であったとしても、「3.4」より大きくなるとまでは、通常想定しがたい。

つまり、引用発明の「電極粒子が層方向に扁平である度合いが特定程度大きい」とする特定程度の範囲である、「前記電極粒子の最大厚さ(L2=te1)の平均値に対する当該厚さ方向に直交する誘電体層間の中央での長さ(L1)の平均値が」「特に、3.4程度」であるものは、
ほぼ、本願発明でいう、C2「前記電極粒子の最大厚さ(te1)に対する当該厚さ方向に直交する最大長さ(te2)の比である電極粒子アスペクト比の平均値が3よりも大きい」範囲に入っているということができるのである。
すなわち、上記相違点2は、実質上、相違ではなかったことになる。

《相違があった場合の検討》
とはいえ、上記(6)のような場合等、(x,y)の分布によっては、引用発明の上記「3.4程度」が、本願発明の「前記電極粒子の・・・の比である電極粒子アスペクト比の平均値」でいえば、例えば「2.9(程度)」に相当して、すなわち「3より大きい」とはいえず、この点相違点2が存在することも全くは否定はし得ないし、
上記アにおいて、実際上はte2=L1といえるとしても、te2とL1が全く同じとまで言いきることはできない。
これらのことから、相違点2の存在を前提に、上記[相違点2の克服]の容易性判断について、以下、検討する。

本願発明と引用発明が共にC2’「電極粒子が層方向に扁平である度合いが特定程度大きい」とした理由に格別異なるものはない。
すなわち、本願明細書によれば、その理由は、本願発明は、内部電極の表面を適正な程度に平坦化して凸凹を抑制することで、ショートを防止し絶縁性・耐電圧性を高める(段落【0007】【0008】【0013】) ためであるところ、
引用発明も、内部電極の界面の平滑性を向上する(p)とともに、焼成の際の内部電極層3が途切れや粒子の球状化を抑制して、ショート等も抑制する(r3)ものであるから、それら理由が格別異なるものではない。
そして、刊行物1(引用発明)のp、r2、特に「第1平均粒径と第2平均粒径との比(R1/R2)が大きいほど取得静電容量は大きくなり、第1平均粒径と第2平均粒径との比(R1/R2)が小さい場合、焼成の際に内部電極層3が途切れやすく、粒子が球状化する傾向があり、取得静電容量が低下したり、ショート不良が増加することになり」に接した当業者であれば、
引用発明の「3.4程度」をもう少し大きくすれば、より、「内部電極層の途切れ」が「抑制」されて「界面の平滑性も向上」し、大きな容量を実現できると普通に考えるといえ、そのようにする動機付けは十分にあるというべきである。
そして、そのようにすれば、「3.4程度」は大きくなって、本願発明の「前記電極粒子の・・・の比である電極粒子アスペクト比の平均値が3より大きい」を満たすことになり、結果、上記[相違点2の克服]がなされることとなる。
上記[相違点2の克服]は当業者が容易に想到し得ることである。

イ-3 臨界的意義について
本願発明の上記相違点2の構成とすることが当業者の容易想到であること、すなわち、構成の容易想到性については、上記で判断したとおりである。
次に、本願発明が、要件C2で「前記電極粒子の最大厚さ(te1)に対する当該厚さ方向に直交する最大長さ(te2)の比である電極粒子アスペクト比の平均値」の下限値を特に「3」であるとした点の格別顕著性についてみてみる。
本願明細書の段落【0038】?【0041】には、確かに、誘電体層の一層一粒子割合が50%よりも大きく、電極粒子アスペクト比が3よりも大きいものが、比誘電率ε>6000、50Vよりも高い耐電圧(70V/μmを超える耐電界強度)となることが示されている。
しかし、表1には、
試料4:アスペクト比3.05,一層一粒子割合65%で、比誘電率ε:6980、耐電圧51Vが、本願発明の範囲内であるのに対して、
本願発明の範囲外として、
試料3:アスペクト比2.91,一層一粒子割合71%で、比誘電率ε:7140、耐電圧46V、
試料16:アスペクト比2.85,一層一粒子割合48%で、比誘電率ε:5960、耐電圧49V、となることが示されていて、
アスペクト比が3より若干小さい2.91の試料3が、(上記50V及び)試料4の耐電圧51Vより若干小さい46Vの耐電圧を示し、また、
アスペクト比が3より若干小さい2.85の試料16(一層一粒子割合も50%より若干小さい48%)が、(上記50V及び)試料4の耐電圧51Vより若干小さい49Vの耐電圧と、上記6000より若干小さい比誘電率5960を示していることからみて、
電極粒子アスペクト比の平均値が「3」を境界にして、予測し得ない程顕著な特性の跳躍があるとまでは言えない。

(4)上記[相違点1の克服]と上記[相違点2の克服]を共になすこと
一般に、積層セラミックコンデンサでは小型化・大容量が要請され、そのため誘電体が薄層化(大容量化)されるが、これに伴い絶縁性が問題になることから、相反する容量と絶縁性の両者をある程度同時に満足すること必要であることは、当業者にごく普通によく知られていることであり(例えば、刊行物4の先行文献として挙げられた特開平11-317322号公報等)、このことは、刊行物1(引用発明)も刊行物4も同様であって、
刊行物1では、小型化・大容量,界面の平滑性向上、粒子の球状化・ショート抑制を目的とし、
刊行物4では、ある程度の大きさの結晶粒子径を確保し、できる限り誘電率(容量)を確保しながらも、高い絶縁性と寿命特性を有する積層セラミックコンデンサを提供することを目的とするとしている。

そうすると、引用発明において、主に薄層で容量確保の点から[相違点1の克服]をなし、絶縁性向上から[相違点2の克服]をなすことは、当業者にとって困難とは言えない。

(5)まとめ(相違点等の判断)
以上、引用発明を出発点として、上記[相違点の克服](上記[相違点1の克服]、及び上記[相違点2の克服])をすることで、本願発明の構成に達するところ、同克服は、刊行物1および刊行物4に基づいて当業者が容易になし得ることである。
効果についてみても、構成の採用に伴って予測し得ない格別顕著なものがあるとも認められない。

【第4】むすび

以上のとおり、本願の請求項1に係る発明は、上記刊行物1に記載された発明及び上記刊行物4に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
それ故、本願の他の請求項について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。

よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2014-03-10 
結審通知日 2014-03-11 
審決日 2014-03-31 
出願番号 特願2013-38533(P2013-38533)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (H01G)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 小山 和俊  
特許庁審判長 乾 雅浩
特許庁審判官 酒井 伸芳
石井 研一
発明の名称 積層セラミックコンデンサ及びその製造方法  
代理人 生川 芳徳  
代理人 津国 肇  
代理人 柳橋 泰雄  
代理人 伊藤 佐保子  
代理人 特許業務法人 津国  
代理人 坂本 幸男  
代理人 小澤 圭子  

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