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審決分類 |
審判 査定不服 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) B65D 審判 査定不服 特36条4項詳細な説明の記載不備 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) B65D 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) B65D |
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管理番号 | 1287980 |
審判番号 | 不服2013-3483 |
総通号数 | 175 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2014-07-25 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2013-02-22 |
確定日 | 2014-05-19 |
事件の表示 | 特願2010-511585「多結晶シリコン破砕物を包装する方法及び装置」拒絶査定不服審判事件〔平成20年12月18日国際公開、WO2008/151978、平成22年 8月26日国内公表、特表2010-528955〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
第1 手続の経緯 本願は、2008年6月5日(パリ条約による優先権主張外国庁受理 2007年6月13日(DE)ドイツ)を国際出願日とする出願であって、平成24年10月26日付けで拒絶査定がなされ、これに対し、平成25年2月22日に拒絶査定不服審判の請求がなされ、同時に手続補正がなされ、当審において同年9月10日付けで拒絶理由が通知され、同年11月25日付けで意見書及び手続補正書が提出されたものである。 第2 当審で通知した拒絶理由 当審において平成25年9月10日付けで通知した拒絶理由の概要は、以下のとおりである。 ●理由1:この出願は、明細書及び図面の記載が下記の点で、特許法第36条第4項第1号及び第6項第1、2号に規定する要件を満たしていない。 (1)請求項1、11に「鉄レベルが50pptw未満である多結晶シリコンが得られる」と記載されているが、そのための手段が具体的に記載されていないから、発明が不明確。 (2)請求項5の「複数の長いプレート、ストランド又はバーの形」を有するエネルギー吸収体が、具体的にどのようなものであるのかが不明である。 (3)請求項11の「回転充填及び密閉装置」は具体的装置が明確でなく、「回転充填及び密閉装置又は充填ステーションと密閉ステーションとを有する、円形に配置されていない装置」は、どのような装置を意味するのかが明確でない。 (4)本願発明のバッグやエネルギー吸収体の具体的な態様や作用が、発明の詳細な説明の記載によっても理解できず、図面による説明もなされていないので、当業者は本願発明を容易に実施できない。 段落【0027】に、エネルギー吸収体の作用が記載されているようであるが、「エネルギー吸収体がプラスチックバッグ中で自由に可動に懸吊されている」は、具体的態様が理解できないし、特許請求の範囲に記載された事項でもない。 また、自由に可動に懸吊されていると、なぜ「充填時に擦れが生じない」のかが不明であるし、充填時に擦れが生じなければ、運動エネルギーは吸収されないと考えられる。「多結晶シリコンの運動エネルギーは前記エネルギー吸収体の運動エネルギーに変換され」とする原理が、当業者には理解できない。 例えば、実施例のプラスチックホース(直径25cm、長さ15cm、壁厚5mm)は、どのようにして自由に動き、多結晶シリコンの運動エネルギーを吸収するのか。 エネルギー吸収体の具体的な態様や作用について、意見書において、図解する等により詳細に説明されたい。 (5)発明の詳細な説明に従来技術(EP A 1334907)と、その欠点が記載されているが(【0005】?【0011】)、これらの欠点が、本願発明によってどのように解決できるのか、その原理が理解できないから、当業者は本願発明を容易に実施できない。 第1に、従来技術は、プラスチックバッグの成形の際に、バッグ表面に金属汚染が生じるため、50pptw未満の鉄レベルを達成できないとのことであるが(【0006】)、本願明細書には、バッグをどのように成形するかは記載されていないから、上記欠点の解決手段は不明である。 第2に、充填管及びバッグ成形管との接触による汚染を問題としているが(【0007】)、「充填管及びバッグ成形管」が何を指すのかが不明であるし、本願発明がこの問題を解決できる理由も不明である。 第3に、充填管及びバッグ成形管のプラスチック被覆の磨損と(【0008】)、第4に、バッグ壁部の破損(【0009】)を問題としているが、従来技術もエネルギー吸収体を備えていることを考慮すると、本願発明が、どのようにして上記各問題を解決しているのかが不明である。 第5に、従来技術は、許容誤差でのポリシリコン破砕物の秤量が不可能であるというが(【0010】)、その理由が不明であるし、本願発明が、どのようにしてこの問題を解決しているのかが不明である。 上記第1の欠点に関連し、請求人は、平成25年7月10日付け回答書において、「本願発明においては、懸吊された成形済みのプラスチックバッグに多結晶シリコンを充填しているため、多結晶シリコンの金属汚染を低減することができます。」((3)(b)(i))と述べているが、懸吊することと汚染低減との関係は不明であるし、成形済みのプラスチックバッグを用いて汚染を低減できたとすれば、その効果は、当該プラスチックバッグに依存しており、本願発明に基づく効果ではない。 ●理由2:この出願の請求項1ないし11に係る発明は、その出願前日本国内又は外国において頒布された下記1ないし6の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 刊行物1.特開2003-237722号公報 刊行物2.特開平10-211908号公報 刊行物3.特開平8-104311号公報 刊行物4.実願平4-41796号(実開平5-94187号)のCD-ROM 刊行物5.実願昭59-177712号(実開昭61-91501号)のマイクロフィルム 刊行物6.特開2006-62948号公報 第3 当審の判断 1.本願の特許請求の範囲および発明の詳細な説明の記載 本願の特許請求の範囲の記載は、以下のとおりである。 「 【請求項1】 充填装置を用いて多結晶シリコンを、懸吊された成形済みのバッグに充填し、前記バッグは10?1000μmの壁厚を有する高純度プラスチックからなる多結晶シリコンを包装する方法において、前記充填装置は、低汚染の非金属材料からなる懸吊されたエネルギー吸収体を有し、前記エネルギー吸収体は、漏斗又は中空体の形を有し、かつ繊維材料又はプラスチックからなり、前記エネルギー吸収体が、前記エネルギー吸収体を多結晶シリコンの充填の前に前記プラスチックバッグ内へ導入し、前記吸収体を介して前記多結晶シリコンを前記プラスチックバッグ中へ充填し、前記懸吊されたエネルギー吸収体を引き続き多結晶シリコンの充填されたプラスチックバッグから取り出し、前記プラスチックバッグを密閉して、鉄レベルが50pptw未満である多結晶シリコンが得られることを特徴とする、多結晶シリコンを包装する方法。 ・・・(中略)・・・ 【請求項10】 充填ステーションと密閉ステーションとを有する、多結晶シリコン破砕物又はポリシリコン顆粒を包装する装置であって、前記装置中でPEバッグは把持システムに懸吊されていて、ステーションからステーションへ規則的に動く包装装置において、前記充填ステーションは低汚染の非金属材料からなる懸吊されたエネルギー吸収体を有し、前記エネルギー吸収体は、漏斗又は中空体の形を有し、かつ繊維材料又はプラスチックからなり、前記エネルギー吸収体はPEバッグに多結晶シリコンを充填する前に前記PEバッグ内へ導入され、前記PEバッグに多結晶シリコンを充填した後に前記PEバッグから取り出され、前記の充填されたPEバッグは前記把持システムを用いて密閉ステーション内へさらに送られ、そこで密閉され、鉄レベルが50pptw未満である多結晶シリコンが得られることを特徴とする、包装装置。」 本願の発明の詳細な説明には、以下の記載がある。 「【0001】 本発明は、多結晶シリコン粉砕物を包装するための装置及び方法に関する。 ・・・(中略)・・・ 【0005】 EP A 1334907(US 2005-0034430)からは、高純度のポリシリコン破砕物の低コストで完全自動化された小分け、充填及び包装を可能にする方法及び装置は公知である。前記装置は、ポリシリコン破砕物の小分けのための手段、プラスチックバッグを備えた充填装置、及びポリシリコン破砕物が充填されたプラスチックバッグ用の溶接装置を有する。この充填装置中で、高純度プラスチックシートから充填管及びバッグ成形管を用いてプラスチックバッグが成形される。この処理方法は多くの欠点を有する。 【0006】 第1に、プラスチックバッグの成形の際に、前記プラスチックバッグの内側に形成されるプラスチック表面と、前記充填管及びバッグ成形管の金属表面との接触が生じる。この接触により、内側のバッグ表面の不所望な金属汚染が生じる。包装されたポリシリコンのための<50pptwの鉄レベルは、従ってこの装置を用いては達成することができない。」 「【0015】 本発明の課題は、鋭いエッジのポリシリコン破砕物を低コストで低汚染で包装することを可能にする方法を提供することである。 【0016】 前記課題は、充填装置により多結晶シリコンを懸吊された成形済みのバッグに充填し、前記充填されたバッグを引き続き密封する方法において、前記バッグは10?1000μmの壁厚を有する高純度プラスチックからなることを特徴とする方法により解決される。」 「【0023】 有利に、前記プラスチックバッグはポリシリコン破砕物の充填の際に少なくとも2つのプライヤ状の把持装置を用いて保持され、前記把持装置を用いて密閉装置、有利に溶接装置に運ばれる。有利に、10?1000μmの厚さの前記PEバッグは前記把持装置によって充填の前に貯蔵容器から取り出され、開けられる。前記把持アームは、PEバッグの有利に縁部をつかむ。それにより、EP 1334907 B1によるバッグ包装装置の場合とは異なり、ガイドプレートがないために、PEバッグの内部表面を汚染することはなくなる。これとは別に、前記プラスチックバッグを、実用新案登録DE 202 06 759 U1に記載されているように、真空吸引器によりベルトから取り外し、個別に包装装置内へ導入することができる。」 「【0027】 前記懸吊されたエネルギー吸収体は、前記バッグ内に落下するポリシリコン破砕物の運動エネルギーの大部分を吸収する。前記吸収体は、前記プラスチックバッグの壁部を鋭いエッジのポリシリコン破砕物との接触から保護し、前記プラスチックバッグが突き破られるのを防止する。前記エネルギー吸収体がプラスチックバッグ中で自由に可動に懸吊されていることにより、充填時に擦れが生じない、それというのもバッグ内へ落下する多結晶シリコンの運動エネルギーは前記エネルギー吸収体の運動エネルギーに変換され、その際に擦れは生じないためである。」 「【0033】 本発明による方法では、市場で入手可能な高純度プラスチックバッグ、有利に低密度(LD)PEバッグを使用する。前記バッグは、押し出しにより、クラス<100のクリーンルーム内で即座に密閉され、密閉されたプラスチックボックス中で輸送される。前記バッグの場合、特許EP 1334907 B1に使用された方法とは反対に、製品に接触するバッグの内側は、周囲から粒子で汚染される危険はない。前記ボックスはクリーンルームで始めて開封され、前記装置に前記バッグが供給される。前記装置中では、前記バッグは常にクラス<100のクリーンルーム条件下に維持され、ポリシリコンの充填の後でも有利に<10秒の間に密閉されるか又は有利に溶接される。」 「【0042】 有利に、前記把持システムは2つの把持装置を有し、前記把持システムの全部の部分は開放さえたバッグの横側又は下側に存在するように配置される。前記把持システムのこの配置によって、バッグ内側の汚染は回避される。」 「【0058】 実施例1:本発明による包装 5kgの破砕物サイズ5、4、3及び2をそれぞれ20回、低汚染に被覆された振動式トラフに供給し、10秒間に、前記PEバッグ(幅32cm、長さ45cm、厚さ300μ)中に導入された自由に動くプラスチックホース(直径25cm、長さ15cm、壁厚5mm、振動式トラフに対する傾斜角90°)を介して、前記の懸吊された高純度PEバッグ内に充填した。」 なお、「多結晶シリコン(ポリシリコン)は、・・・」(【0002】)と記載されているとおり、「多結晶シリコン」と「ポリシリコン」は同義である。 2.特許法第36条第4項第1号 (1)請求項1に記載された「鉄レベルが50pptw未満である多結晶シリコンが得られること」について検討する。 発明の詳細な説明には、公知技術について、高純度プラスチックシートからプラスチックバッグを成形する際にバッグ内面に金属汚染が生じるため、50pptw未満の鉄レベルを達成できない旨が記載されている(【0005】?【0006】)。 そうすると、「鉄レベルが50pptw未満である多結晶シリコンが得られること」を具体的に実現するためには、バッグ内面に金属汚染が生じないバッグ成形手段が明らかにされている必要がある。 しかしながら、発明の詳細な説明には、市場で入手可能な高純度プラスチックバッグを使用することが記載されているものの(【0033】)、プラスチックバッグをどのように成形するかは記載されていない。 よって、バッグ内面に金属汚染が生じないバッグをどのようにして成形できるかが明らかでなく、「鉄レベルが50pptw未満である多結晶シリコンが得られること」を具体化するための手段は明確でない。 また、発明の詳細な説明には、多結晶シリコン破砕物を低汚染で包装するとの課題を、10?1000μmの壁厚を有する高純度プラスチックからなる成形済みのバッグに充填することで解決できる旨が記載されている(【0015】?【0016】)。 しかしながら、多結晶シリコン破砕物の汚染にバッグの壁厚が関係することは技術常識に照らして理解できず、公知技術(【0005】?【0006】)も高純度プラスチックシートから成形された成形済みのバッグに充填するものであることを考慮すると、上記記載によっても、多結晶シリコン破砕物を低汚染で包装する課題を解決するための手段が明確でない。 なお、「成形済みのバッグ」が、「市場で入手可能な高純度プラスチックバッグ」(【0033】)を意味するとすれば、上記記載は、課題解決手段が公知であるというに等しく、その趣旨が理解できないものとなる。 さらに、発明の詳細な説明には、ガイドプレートがないことで、バッグの内面を汚染することがなくなる旨(【0023】)、把持システムの配置によってバッグ内側の汚染が回避される旨(【0042】)が記載されている。 しかし、発明の詳細な説明に、上記以外にガイドプレートに関する記載はないから、ガイドプレートがいかなるものかが不明であり、ガイドプレートや把持システムとバッグ内面の汚染との関係も技術的に理解できないから、これらの記載によっても、バッグ内面の汚染をなくす手段が明確でない。 その他、発明の詳細な説明に「鉄レベルが50pptw未満である多結晶シリコンが得られること」を具体化するための手段を明らかにする記載は見当たらず、当該手段が自明であるとする根拠も見出せない。 よって、請求項1に記載された「鉄レベルが50pptw未満である多結晶シリコンが得られること」は、発明の詳細な説明の記載を参酌しても、具体化するための手段が明確でないから、当業者がこれを実現することができない。 請求人は、平成25年11月25日付けの意見書の「(5)(a)」で、「審判官殿は、『(1)請求項1、11に「鉄レベルが50pptw未満である多結晶シリコンが得られる」と記載されているが、そのための手段が具体的に記載されていないから、発明が不明確。』と、指摘されております。このご指摘に鑑み、上述の補正により、請求項1および11(新たな請求項10)において、は漏斗又は中空体の形を有し、かつ繊維材料又はプラスチックからなることを具体的に特定しました。したがって、ご指摘の拒絶理由は解消されたものと思料します。」と主張する。 しかしながら、エネルギー吸収体が「漏斗又は中空体の形を有し、かつ繊維材料又はプラスチックからなる」ことと、「鉄レベルが50pptw未満である多結晶シリコンが得られること」との技術的な関連が不明であるから、上記請求人の主張は採用できない。 (2)請求項1に記載された「エネルギー吸収体」は、文言上、エネルギーを吸収する機能を有するものと解され、また、発明の詳細な説明には、エネルギー吸収体について、バッグ内に落下する多結晶シリコン破砕物の運動エネルギーの大部分を吸収すること、バッグ内へ落下する多結晶シリコンの運動エネルギーはエネルギー吸収体の運動エネルギーに変換されること、が記載されている(【0027】)。そして、エネルギー吸収体の実施例として、直径25cm、長さ15cm、壁厚5mm、振動式トラフに対する傾斜角90°の自由に動くプラスチックホースが記載されている(【0058】)。 しかしながら、どのようにしてエネルギー吸収体が多結晶シリコンの運動エネルギーの大部分を吸収するのか、あるいは、どのようにして多結晶シリコンの運動エネルギーがエネルギー吸収体の運動エネルギーに変換されるのか、を具体的に理解することができない。上記実施例のプラスチックホースについてみれば、直径25cmに対し長さがわずか15cmしかなく、例えばホース壁との接触により多結晶シリコン破砕物の運動エネルギーが吸収されるとしても、運動エネルギーの大部分が吸収されることは想定し難い。請求項1には、エネルギー吸収体が、懸吊され、漏斗又は中空体の形を有し、かつ繊維材料又はプラスチックからなるとの構成を備えることが特定されているが、上記構成と、多結晶シリコン破砕物の運動エネルギーを吸収する機能との関連も明らかでない。 したがって、発明の詳細な説明の記載を参酌しても、エネルギー吸収体が多結晶シリコン破砕物の運動エネルギーを吸収する原理を理解することができず、当業者は、請求項1に記載された「エネルギー吸収体」を実現することができない。 請求人は、平成25年11月25日付けの意見書の「(5)(d)」で、「請求項1および11(新たな請求項10)において、エネルギー吸収体は漏斗又は中空体の形を有し、かつ繊維材料又はプラスチックからなることを具体的に特定しました。例えば、実施例1において、落下する多結晶シリコンの運動エネルギーは、プラスチックバッグ内に導入されたエネルギー吸収体(プラスチックホース)の運動エネルギーに変換されます(本願明細書[0027])。懸吊されたプラスチックホースは、自由に動くことで、例えば左右に揺れることで、擦れを生じずに、エネルギーを吸収することができます。したがって、当業者であれば、補正後の請求項1および10に記載のエネルギー吸収体の具体的な態様や作用を十分に理解できるものと思料します。よって、ご指摘の拒絶理由は解消されたものと思料します。」と主張する。 しかし、「漏斗又は中空体の形を有し、かつ繊維材料又はプラスチックからなる」と特定したところで、単に形状と材料が明らかになったにすぎず、エネルギー吸収体が運動エネルギーを吸収する原理は明らかになっていない。当審で拒絶理由を通知するに際し、「エネルギー吸収体の具体的な態様や作用について、意見書において、図解する等により詳細に説明されたい。」(上記「第2」の「理由1」の(4)参照。)と釈明を求めたのに対し、意見書において、上記のとおり、発明の詳細な説明の【0027】に記載されている以上の詳しい説明はなされておらず、拒絶理由は解消されていない。 (3)以上のとおり、発明の詳細な説明の記載を参酌しても、請求項1に記載された「鉄レベルが50pptw未満である多結晶シリコンが得られること」、及び、「エネルギー吸収体」を実現することができないから、当業者は請求項1に記載された発明の実施をすることができない。 請求項1を引用する請求項2ないし9に記載された発明も、同様である。 また、請求項10に記載された「鉄レベルが50pptw未満である多結晶シリコンが得られること」、及び、「エネルギー吸収体」についても同様であるから、当業者は請求項10に記載された発明の実施をすることができない。 したがって、本願の発明の詳細な説明の記載は、当業者が請求項1ないし10に記載された発明の実施をすることができる程度に明確かつ十分に記載したものでないから、特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たしていない。 3.特許法第36条第6項第2号 請求項1の「鉄レベルが50pptw未満である多結晶シリコンが得られること」との記載は、請求項1に記載された「多結晶シリコンを包装する方法」の発明について、当該方法に含まれる手順や工程を直接に特定するものではなく、当該方法により得られる多結晶シリコンの性状を特定するものである。 しかしながら、得られる多結晶シリコンの性状を特定しても、そのような多結晶シリコンを得るための手順や工程がどのようなものであるのかは明らかとはならない。 また、請求項10の「鉄レベルが50pptw未満である多結晶シリコンが得られること」との記載は、請求項10に記載された「包装装置」の発明について、当該装置の構成を直接に特定するものではなく、当該装置により得られる多結晶シリコンの性状を特定するものである。 しかしながら、得られる多結晶シリコンの性状を特定しても、そのような多結晶シリコンを得るための装置の構成がどのようなものであるのかは明らかとはならない。 そして、前記2.(1)で検討したとおり、発明の詳細な説明の記載を参酌しても、「鉄レベルが50pptw未満である多結晶シリコンが得られること」を具体化するための手段は明確でない。 よって、「鉄レベルが50pptw未満である多結晶シリコンが得られること」は、そのための技術的手段が明確でないから、請求項1及び請求項10に記載された発明は明確でない。 請求項1を引用する請求項2ないし9に記載された発明も同様である。 したがって、請求項1ないし請求項10に記載された発明は明確でないから、特許請求の範囲の記載は、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。 4.特許法第29条第2項 (1)本願発明 上記3.で検討したとおり、本願の請求項1ないし10に記載された発明は明確でないが、「鉄レベルが50pptw未満である多結晶シリコンが得られること」との記載が、具体的な手段を特定するものではなく、結果として得られる多結晶シリコンについての要求仕様を特定した程度のものと理解し、本願の請求項1に係る発明を、特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定されるとおりのものと一応認定する(以下、「本願発明」という。請求項1の記載は、前記1.の【請求項1】参照。)。 (2)引用文献 ア.引用文献1 当審の拒絶の理由に引用された特開2003-237722号公報(以下、「引用文献1」という。)には、図面とともに以下の事項が記載されている。 「【請求項1】 高純度のポリシリコン砕片の低コストで汚染の少ない包装方法において、ポリシリコン砕片を自動的に包装することを特徴とする、高純度のポリシリコン砕片の低コストで汚染の少ない包装方法。」 「【0003】 【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、高純度のポリシリコン砕片の低コストで汚染の少ない包装を可能にする方法を提供することである。」 「【0009】ポリシリコン砕片の汚染の危険を回避するために、本発明による装置のポリシリコン砕片と接触する全ての部分は、特に有利にはシリコンで外装されているか又は高耐摩耗性プラスチックでライニングされている。」 「【0015】 【実施例】図1は、本発明の特に有利な実施例を示す。 【0016】この本発明による装置は、ポリシリコン砕片2のための搬送トラフ1、ホッパー4を備えた、ポリシリコン砕片2のための秤量装置3、転向板5、高純度のプラスチックシート7からプラスチック袋8を形成する充填装置6,ポリシリコン砕片が充填されたプラスチック袋8のための溶接装置10、搬送トラフ1、秤量装置3、充填装置6及び溶接装置10の上に設置され、ポリシリコン砕片2の粒子汚染を防止するフローボックス11、ポリシリコン砕片2が充填され、溶接されたプラスチック袋14のためのコンベアベルト12からなり、この場合ポリシリコン砕片と接触する全ての構造部分はシリコンで外装されているか又は高耐摩耗性のプラスチックでライニングされている。 【0017】有利には、本発明による装置は、コンベアベルト12に引き続き、高純度のプラスチックシート16からプラスチック袋17を形成するためのもう1つの充填装置15、前記のプラスチック袋17のための、それに溶接されかつポリシリコン砕片が充填されたプラスチック袋14が収容された後の溶接装置18、並びに二重袋包装21内に存在するポリシリコン砕片2のためのコンベアベルト19を有する。」 「【0020】有利には、プラスチックシート7,16はPEシートである。プラスチックシートは、有利には>200μmの厚さ、特に有利には290?350μmの厚さを有する。」 「【0025】ポリシリコン砕片2をシリコンで外装した搬送トラフ1上で秤量装置3に搬送し、その際秤量装置がホッパ4へのポリシリコン砕片2の充填度を調節しかつ、ホッパ4内に所定の充填量のポリシリコン砕片2が存在すると、ポリシリコン砕片2をホッパ4からプラスチック袋8にあけ、その際シリコンの不所望の後粉砕が行われないように、シリコンの落下高さを転向板5で最小にし、かつプラスチック袋8を充填後に溶接装置10により溶接し、かつそうして得られたポリシリコン砕片が充填されたプラスチック袋14を一重袋としてコンベアベルト12を介して、起こり得る金属汚染を検出するために磁気誘導検出器13を通過させる。」 「 ![]() 」 これらの記載によれば、引用文献1には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。 「充填装置6を用いてポリシリコンを、プラスチック袋8に充填し、前記プラスチック袋8は290?350μmの厚さを有する高純度のプラスチックシート7からなるポリシリコンを包装する方法において、 前記充填装置6は、転向板5を有し、前記転向板5を介して前記ポリシリコンを前記プラスチック袋8中へ充填し、前記プラスチック袋8を充填後に溶接装置10により溶接する、ポリシリコンを包装する方法。」 イ.引用文献2 当審の拒絶の理由に引用された特開平10-211908号公報(以下、「引用文献2」という。)には、図面とともに以下の事項が記載されている。(審決注:原文中の丸数字は、○1のように表記した。) 「【0016】図3の全体平面図に示すように、充填包装装置では、回動ベース1が中心軸2により、α方向へ間欠的に回動させられる。図3に示す充填包装装置は、6箇所の処理部○1,○2,○3,○4,○5,○6が設定されるものである・・・(中略)・・・前記処理部のうちの、○1は袋体Pの受取部、○2は袋体Pの口部Paを拡開する拡開部、○3は内容物である所定量(所定本数)のワークを袋体P内に落下させる充填部・・・(中略)・・・○5が袋体Pの口部Paをシールして密閉する閉鎖・シール部、○6は包装完了後の袋体Pを取り出す排出部である。 【0017】前記回動ベース1の外周部分には、対を成す保持部材(保持爪)3a,3bが設けられ、この保持部材3a,3bは、中心軸2から60°の配置角度にて6組設けられている。・・・(中略)・・・ 【0018】受取部○1にて保持部材3a,3bに受け渡された袋体Pは、前記保持部材3a,3bに保持されて拡開部○2へ移動する。・・・(中略)・・・そして、前記支持アーム4は、保持部材3a、3bと共に充填部○3の位置まで回動し、袋体Pは開口部材5aと5bで内側から開かれたまま充填部○3へ送られる。そして充填部○3では、シュートSからワークが落下して、口部Paから袋体P内へ入れられる。 【0019】・・・(中略)・・・図1では、充填部○3に移動した一対の保持部材3a,3bに保持されている袋体Pを鎖線で示しており、この袋体Pの口部Paを開いている開口部材5aも同様に鎖線で示している。」 袋体Pは、受取部○1にて保持部材3a,3bに受け渡され、充填部○3において図1に示されるように口部Pa付近を保持部材3a,3bに保持されているから、袋体Pは、充填包装装置外で成形された成形済みのバッグであり、保持部材3a,3bに懸吊されたものといえる。 よって、引用文献2には、「懸吊された成形済みのバッグに充填する」との技術事項が記載されていると認められる。 ウ.引用文献3 当審の拒絶の理由に引用された実願昭59-177712号(実開昭61-91501号)のマイクロフィルム(以下、「引用文献3」という。)には、図面とともに以下の事項が記載されている。 「第1図乃至第3図は本考案を粉末コーヒ・・・(中略)・・・等の粉粒体を供給する簡易装置に適用した場合の一実施例を示すもので・・・(中略)・・・ 9は、容器2、3の排出口に取付けられた粉粒体排出管で、可撓性を有する共に強靱な弾力性を備えたシリコンチューブ等によって形成されており、その下端は後述する電磁石固定プレート10内を通って上記吐出口4に引き込まれている。」(4頁1行?5頁10行) 第2図には、粉粒体排出管9が容器2、3の排出口2c、3cに取付けられて懸吊されている様子が見てとれる。粉粒体排出管9内を落下する粉粒体は、多少なりとも落下のエネルギーが粉粒体排出管9によって吸収されると認められるから、粉粒体排出管9は、エネルギー吸収体といえるものである。そして、シリコンチューブによって形成されることから、「中空体の形を有し」「プラスチックからなる」ものである。 よって、引用文献3には、「非金属材料からなる懸吊されたエネルギー吸収体」であって「中空体の形を有し、かつプラスチックからなるエネルギー吸収体」との技術事項が記載されていると認められる。 エ.引用文献4 当審の拒絶の理由に引用された特開2006-62948号公報(以下、「引用文献4」という。)には、以下の事項が記載されている。 「【請求項4】 単結晶シリコンの原料として用いる多結晶シリコン塊の酸洗浄後の純水洗浄工程において使用される方法であって・・・(中略)・・・多結晶シリコン塊表面の残留アルミニウム濃度および残留鉄濃度が何れも0.1ppbw以下に低減すされる請求項1?3の何れかに記載する洗浄方法。」 【0021】の【表1】に、多結晶シリコン表面に残留する金属濃度の測定結果が示されており、実施例1のFeについて0.017ppbwであること、すなわち、鉄レベルが17pptwであることが記載されている。 よって、引用文献4には、「鉄レベルが50pptw未満である多結晶シリコン」が記載されていると認められる。 (3)対比 引用発明の「ポリシリコン」、「プラスチック袋8」は、それぞれ、本願発明の「多結晶シリコン」、「バッグ(プラスチックバッグ)」に相当する。また、引用発明の「プラスチック袋8」は、充填する時点で既に「成形済み」であることは当然である。 引用発明のプラスチック袋8が「290?350μmの厚さを有する」こと、及び、「高純度のプラスチックシート7からなる」ことは、それぞれ、本願発明のバッグ(プラスチックバッグ)が「10?1000μmの壁厚を有する」こと、及び、「高純度プラスチックからなる」ことに相当する。 引用発明の「転向板5」は、引用文献1における、シリコンの落下高さを転向板5で最小にする旨の記載(【0025】)及び図面の記載を参酌すれば、シリコン落下時のエネルギーを吸収する機能を有すると認められるから、「エネルギー吸収体」といえるものである。また、引用文献1の図面に、転向板5がプラスチック袋8内に導入された状態でポリシリコンを充填している様子が示されていることから、引用発明が、転向板5をポリシリコンの充填前にプラスチック袋8内へ導入し、充填後にポリシリコンの充填されたプラスチック袋8から取り出していることは明らかである。 引用発明の「プラスチック袋8を充填後に溶接装置10により溶接する」ことは、本願発明の「プラスチックバッグを密閉」することに相当する。 よって、本願発明と引用発明との一致点、相違点は以下のとおりである。 [一致点] 「充填装置を用いて多結晶シリコンを、成形済みのバッグに充填し、前記バッグは10?1000μmの壁厚を有する高純度プラスチックからなる多結晶シリコンを包装する方法において、前記充填装置は、エネルギー吸収体を有し、前記エネルギー吸収体が、前記エネルギー吸収体を多結晶シリコンの充填の前に前記プラスチックバッグ内へ導入し、前記吸収体を介して前記多結晶シリコンを前記プラスチックバッグ中へ充填し、前記エネルギー吸収体を引き続き多結晶シリコンの充填されたプラスチックバッグから取り出し、前記プラスチックバッグを密閉する、多結晶シリコンを包装する方法。」 [相違点1] 本願発明のバッグ(プラスチックバッグ)は、「懸吊された」と特定されているのに対し、引用発明のプラスチック袋8は、そのように特定されていない点。 [相違点2] 本願発明のエネルギー吸収体は、「低汚染の非金属材料からなる懸吊された」ものであり、「漏斗又は中空体の形を有し、かつ繊維材料又はプラスチックからなり」と特定されているのに対し、引用発明の転向板5は、そのように特定されていない点。 [相違点3] 本願発明は、「鉄レベルが50pptw未満である多結晶シリコンが得られること」が特定されているのに対し、引用発明は、そのように特定されていない点。 (4)判断 ア.相違点1について 前記(2)イ.のとおり、「懸吊された成形済みのバッグに充填する」との技術事項が引用文献2に開示されている。 そして、引用文献1の図面には、プラスチック袋8が溶接装置10上に置かれているかのごとく図示されているが、当該図面は模式図にすぎず、一方、引用文献1には、プラスチック袋8を溶接装置10上に置くべき旨の記載はない。 また、本願明細書の記載を参酌しても、本願発明のバッグを「懸吊された」と特定したことによる格別の技術的意義は見出せない。請求人は、平成25年7月10日付け回答書において、「本願発明においては、懸吊された成形済みのプラスチックバッグに多結晶シリコンを充填しているため、多結晶シリコンの金属汚染を低減することができます。」((3)(b)(i))と主張するが、懸吊することと汚染低減との関係は本願明細書において明らかにされていないから、上記主張は採用できない。 よって、引用発明において、プラスチック袋8をどのようにして支持するかは、当業者が適宜に選択できる設計事項というべきであり、プラスチック袋8の口部を開いて充填することを考慮すると口部付近で保持して懸吊することが便利でもあるから、引用文献2の技術事項を採用して懸吊されたものとすること、すなわち、相違点1に係る本願発明の構成とすることは、当業者が容易に想到し得たことである。 なお、本願発明の「成形済み」が、バッグが充填装置外で成形されていることを意味するとしても、引用文献2には、前記(2)イ.のとおり、充填包装装置外で成形された「成形済みのバッグ」も示されている。そして、引用文献1に、プラスチック袋8が充填装置6内で成形されなければならない旨の記載はないから、引用発明のプラスチック袋8を充填装置6外で成形された「成形済みのバッグ」とすることも、引用文献2の技術事項を参酌して、当業者が容易に想到し得たことである。 イ.相違点2について 引用文献1には、ポリシリコン砕片の汚染の危険を回避するために、ポリシリコン砕片と接触する全ての部分を高耐摩耗性プラスチックでライニングすることが記載されており(【0009】)、転向板5は明らかにポリシリコン砕片と接触するから、引用文献1には、転向板5を高耐摩耗性プラスチックでライニングすることが示されているといえる。 そして、汚染の危険を回避するためとの目的に照らせば、転向板5を、高耐摩耗性プラスチックでライニングするだけでなく、高耐摩耗性プラスチックからなるものとすることも、当業者が適宜になし得たことといえる。上記高耐摩耗性プラスチックが低汚染の非金属材料であることは当然である。 また、引用文献1に転向板5の支持手段や形状を特定する記載はないから、当業者が適宜の支持手段や形状を採用し得ると理解される。そして、懸吊することは周知の支持手段にすぎないし、漏斗又は中空体の形は、容器に粒状体を導く部材として周知の形状にすぎない。 さらに、前記(2)ウ.のとおり、「非金属材料からなる懸吊されたエネルギー吸収体」であって「中空体の形を有し、かつプラスチックからなるエネルギー吸収体」との技術事項が、引用文献3に開示されている。引用文献3にポリシリコン砕片についての記載はないが、粉粒体を扱う装置に関する点では引用発明と共通している。 そして、本願発明のエネルギー吸収体が、懸吊されたものであること、及び、漏斗又は中空体の形を有していることに、格別の技術的意義は見出せない。なお、請求人は、平成25年11月25日付け意見書において「懸吊されたプラスチックホースは、自由に動くことで、例えば左右に揺れることで、擦れを生じずに、エネルギーを吸収することができます。」と主張するが、前記2.(2)で検討したとおり、エネルギーを吸収する原理が明確でないから、懸吊されたものであること、及び、漏斗又は中空体の形を有していることに基づく格別の効果を認めることはできない。 よって、引用発明の転向板5について、引用文献1、3に示された技術事項、周知技術を考慮して、相違点2に係る本願発明の構成とすることは、当業者が容易に想到し得たことである。 なお、請求人は、平成25年7月10日付け回答書において、引用発明について「ホッパの下部およびバッグの外に位置する転向板の頂部が懸吊できないことは、当業者には明らかであるものと考えます。仮に転向板の頂部が懸吊されていた場合、転向板の頂部が前後に揺れて、非常に高価な多結晶シリコンが、ホッパから地面へと落下してしまうためです。」((3)(b)(i))と主張するが、転向板5の頂部をホッパー4の下部に近付ける等の適宜の手段によりそのような不都合は回避できるから、請求人の主張は採用できない。 ウ.相違点3について 本願発明の「鉄レベルが50pptw未満である多結晶シリコンが得られること」は、結果として得られる多結晶シリコンについての要求仕様を特定したにすぎないものである。 引用文献1には、ポリシリコンの汚染の少ない包装を可能にすることが記載されていることを考慮すれば、引用発明において、得られるポリシリコンの汚染のレベルを所定値未満として定めることは、当業者が、ポリシリコンの用途等に応じた仕様として決定すべき設計事項と認められる。 そして、「鉄レベルが50pptw未満である多結晶シリコン」が引用文献4に示されていることから、具体的な仕様として、鉄レベルが50pptw未満と定めることにも困難性は認められない。 よって、相違点3に係る本願発明の構成は、引用発明のポリシリコンの汚染レベルとして、当業者が容易に決定できた程度の設計事項にすぎない。 エ.効果について そして、本願発明が、引用発明、引用文献1乃至4の技術事項、及び周知技術から予測できない格別顕著な効果を奏するものとは認められない。 (5)小括 本願発明は、引用発明、引用文献1乃至4の技術事項、及び周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 第4 むすび 以上のとおり、発明の詳細な説明の記載が、特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たしておらず(上記第3の2.)、特許請求の範囲の記載が、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしておらず(上記第3の3.)、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものである(上記第3の4.)から、本願は拒絶すべきものである。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2013-12-19 |
結審通知日 | 2013-12-20 |
審決日 | 2014-01-07 |
出願番号 | 特願2010-511585(P2010-511585) |
審決分類 |
P
1
8・
536-
WZ
(B65D)
P 1 8・ 537- WZ (B65D) P 1 8・ 121- WZ (B65D) |
最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 種子島 貴裕 |
特許庁審判長 |
栗林 敏彦 |
特許庁審判官 |
渡邊 真 紀本 孝 |
発明の名称 | 多結晶シリコン破砕物を包装する方法及び装置 |
代理人 | 浅野 真理 |
代理人 | 勝沼 宏仁 |
代理人 | 榎 保孝 |
代理人 | 箱田 満 |
代理人 | 小島 一真 |
代理人 | 中村 行孝 |