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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) A47J
管理番号 1287990
審判番号 不服2012-14841  
総通号数 175 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2014-07-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2012-08-02 
確定日 2014-05-21 
事件の表示 特願2008-524368号「温かい飲み物を調合する自動機械用の制御パネルおよびこのような制御パネルを備える自動機械」拒絶査定不服審判事件〔平成19年 2月 8日国際公開、WO2007/014584、平成21年 1月29日国内公表、特表2009-502375号〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯
本願は、2006年4月21日(優先権主張外国庁受理2005年8月1日、欧州特許庁)を国際出願日とする出願であって、平成24年3月29日付けで拒絶査定がなされ、これに対して、平成24年8月2日に拒絶査定不服審判の請求がなされたものである。
その後、当審において、平成25年6月7日付けで拒絶理由が通知され、これに対して、平成25年12月2日に意見書が提出されるとともに、同日に手続補正がなされたものである。

2.本願発明
本願の特許請求の範囲の請求項1ないし14に係る発明は、平成25年12月2日に手続補正された明細書、特許請求の範囲及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1ないし14に記載されたとおりのものであると認められるところ、請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、以下のとおりである。
「使用者からの入力を受信する主要入力要素(1)と、
複数の入力識別子(21)によって、前記使用者に前記入力を表示する表示要素(2)と、
前記主要入力要素(1)および前記表示要素(2)とのデータ通信内の制御ユニット(9)と
を備える複数の配合に従って温かい飲み物を調合するように適合された自動機械(200)用の制御パネル(100)であって 、
前記主要入力要素(1)が、前記使用者の前記主要入力要素(1)に対する接触動作の動きを検知するように適合された知覚要素(11)を備え、前記主要入力要素(1)および前記表示要素(2)が、前記制御ユニット(9)を介するデータ通信内にあり、その結果、前記動作の動きが前記表示要素(2)上で前記複数の入力識別子(21)内のスクロールを決定し、これにより、前記複数の配合の少なくとも1つの配合、または前記自動機械(200)の複数の作動パラメータの少なくとも1つの作動パラメータを選択し、前記知覚要素(11)が互いから離間する複数の知覚部(11a)を備え、前記制御パネル(100)が前記使用者の接触が、前記知覚部(11a)の1つから別の知覚部を通って前記知覚要素(11)上を移動する際、音響信号を発する音響信号手段(12)を備えることを特徴とする前記制御パネル(100)。」

3.引用例
これに対して、当審で通知した拒絶理由に引用された本願優先権主張日前に頒布された刊行物である特開平4-193123号公報(以下「引用例1」という。)、特開2003-337649号公報(以下「引用例2」という。)及び特表2002-520706号公報(以下「引用例3」という。)には、それぞれ以下の各事項が記載されている。

[引用例1について]
(1a)「産業上の利用分野
本発明は、使用者による外部入力によりコーヒの各種抽出条件を自動決定して、最適なコーヒ抽出を行い、好みの味を実現するコーヒメーカに関するものである。」(第1頁右下欄19行?第2頁左上欄3行参照)

(1b)「実施例
以下本発明の一実施例について第1図?第10図を用いて説明する。まず第9図によりコーヒメーカ全体について説明する。水タンク13内の水をポンプ7によりパイプ15内を循環させる。この時、ヒータ4により循環水を加熱する。サーミスタ14で検出した水温が所定の温度に達すると、切り換えバルブ16で流水方向を切り換えて、水を粉容器17に注ぎ込む。注ぎ込まれた水はペーパーバスケット19通過時にコーヒを抽出し、受け容器20に溜る。」(第3頁左上欄14行?同右上欄4行参照)

(1c)「第2図は本発明の入力・表示部の一実施例を表わす。手動入力部8は抽出するコーヒのカップ数と使用する豆種に関する入力を受け付けるもので、up/downボタンを押すことにより、カップ数および豆種を選択できる。抽出条件決定手段10は、前記手動入力部8からの情報により最適な豆量と水量を決定して表示手段9にその内容を表示する。
また同抽出条件決定手段10は豆種に応じた粒度、抽出速度、および豆量に応じた粉砕時間を決定する。そして制御手段3は前記決定内容通りに第1のモータ5、第2のモータ6およびポンプ7を制御する。
第3図は本発明の手動入力部の一実施例を示す。手動入力部11はコーヒの濃さ、酸味、苦みに関する使用者の好みを受け付けるものでup/downボタンで各項目の好みの度合を選択できる。この手動入力部11を第2図の手動入力部8に付加することにより、抽出条件決定手段10はカップ数、豆種、および濃さ、酸味、苦みに関する好みに応じた豆量、水量を決定し表示手段9にその内容を表示するとともに、粒度、抽出速度を決定することができ、豆種や各種好みに応じた最適なコーヒ抽出ができる。」(第3頁左下欄3行?同右下欄5行参照)

(1d)第2図において、「カップ数」の下の「2」が記載された枠の部分及び「豆種」の下の「ブルマン」が記載された枠の部分は、技術常識からみて、それぞれカップ数の表示部及び豆種の表示部と認められる。

(1e)第3図において、「濃さ」、「酸味」及び「苦み」の下のそれぞれの縦長の枠は、技術常識からみて、それぞれの表示部であり、そこに記載された横線は、それぞれの度合を示し、上下にスクロールする「表示バー」と認められる。

以上の記載によると、引用例1には、
「使用者による外部入力によりコーヒの各種抽出条件を自動決定して、最適なコーヒ抽出を行い、好みの味を実現するコーヒメーカの入力・表示部において、
入力・表示部は、手動入力部8及び手動入力部11を備え、
手動入力部8は、抽出するコーヒのカップ数と使用する豆種に関する入力を受け付けるもので、up/downボタンを押すことにより、カップ数および豆種を選択でき、選択されたカップ数および豆種は、それぞれカップ数の表示部および豆種の表示部に表示され、
手動入力部11は、コーヒの濃さ、酸味、苦みに関する使用者の好みを受け付けるもので、up/downボタンで各項目の好みの度合を選択でき、各項目の好みの度合は、それぞれの表示部に上下にスクロールする表示バーにより表示さる入力・表示部。」の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。

[引用例2について]
(2a)「【0002】
【従来の技術】従来、携帯電話端末などの電子機器において、複雑な入力操作が簡単に行えるようにするために、ジョグダイヤルと称される入力装置を備えたものが実用化されている。・・・」

(2b)「【0011】
【発明の実施の形態】以下、添付図面を参照して、本発明の一実施の形態を説明する。
【0012】本例においては、電子機器を構成する筐体の表面に配置して、ユーザが操作する入力装置としてある。図1は、本例の入力装置を、ジョグダイアル型の入力装置として構成した場合の1つの例を示した図であり、基板などの部品については分解して示してある。
【0013】機器の筐体10の入力装置が構成される部分には、環状の円形に形成された凹部11を有している。・・・本例の場合には、この環状の凹部11が、ユーザが指などで触れて操作する入力部に相当する。・・・
【0014】凹部11の裏側には、2枚の基板20,30が配置してある。・・・
【0015】ここでは、基板20の表面に、凹部11の環状形状に合わせた円形の放射状で、複数の電極21がほぼ一定間隔で配置してある。基板30には、凹部11の環状形状に合わせた円形形状の1個の電極31が配置してある。・・・
【0016】・・・電極21と電極31の距離は非常に近接した距離として、両電極21,31の間がコンデンサとして機能するようにしてあり、両電極21,31間の容量結合によって、送信電極21に印加される信号が、受信電極31側に伝達される。ここで、両電極21,31の間の容量値は、凹部11の表面に指などで触れることで、その接触で発生する指と電極21,31間の容量結合によって変化する。本例の場合には、この容量値の変化を電気的に計測して、接触位置を検出するようにしたものである。・・・」

(2c)「【0017】そして本例においては、筐体10の凹部11の形成位置の裏面側になる、基板20,30の取付け位置の近傍に、振動を伝えるアクチュエータとして、振動子40が取付けてあり、パルス発生器48からのパルス信号の供給で、凹部11の近傍を振動させることができる。・・・」

(2d)「【0027】次に、このようにしてコントローラ47内で凹部11の接触位置を検出することで行われる処理を、図4のフローチャートを参照して説明する。まずコントローラ47は、ジョグダイアルに相当する凹部11に指が接触していることを検出したか否か判断する(ステップS11)。接触を検出しない場合には、接触を検出するまで待機する。そして、接触を検出した場合に、その接触を検出した指の接触位置(ここでは角度位置)を検出する(ステップS12)。ここで、前回検出した接触位置から一定量(ここでは一定角度)以上の変化があるか否か判断し(ステップS13)、一定量以上の変化がある場合に、クリックの発生処理を行う(ステップS14)。
【0028】ここでのクリックの発生処理としては、コントローラ47からパルス発生器48にパルス発生指令を送り、パルス発生器48から単発的なパルス信号を振動子40に供給して、振動子40を一時的に振動させて、凹部11に触れた指に一時的な振動を伝える処理である。
【0029】そして、ステップS14でのクリック発生処理を行った後、及びステップS13で一定量以上の変化を検出しなかった場合には、ステップS15に移って、そのときの接触位置の回転方向と回転量に応じた入力処理を行う指令を、コントローラ47が端子47aから出力させる。例えば、ジョグダイアルに相当する凹部11の接触操作で、表示装置での表示画面のスクロールを行うことが設定されている場合に、右回りに約180°接触位置の回転を検出したとき、その180°に対応した位置、画面を一方にスクロールさせる。また、左回りに約90°接触位置の回転を検出したとき、その90°に相当する位置だけ、画面を他方にスクロールさせる。このようにして入力処理を行った後、ステップS11の接触検出に戻る。
【0030】このようにして、回転つまみ等の可動部材を全く使用しないで、従来のジョグダイアルに相当する入力装置が構成できる。この場合、一定の角度以上、指で触れる角度が変化する毎に、振動子40を一時的に振動させて、クリック感に相当する振動を触れた指に伝えるようにしたので、クリック感のあるジョグダイアルを操作したのと同様の操作感が得られ、良好な操作性が確保される。・・・」

以上の記載によると、引用例2には、
「機器の筐体10の入力装置が構成される部分には環状の円形に形成された凹部11を有し、凹部11の裏側には2枚の基板20,30が配置し、基板20の表面に凹部11の環状形状に合わせた円形の放射状で複数の電極21がほぼ一定間隔で配置してあり、基板30には凹部11の環状形状に合わせた円形形状の1個の電極31が配置して、両電極21,31の間の容量値は、凹部11の表面に指などで触れることで、その接触で発生する指と電極21,31間の容量結合によって変化し、この容量値の変化を電気的に計測して、接触位置を検出するようにし、この凹部11の接触操作で、表示装置での表示画面のスクロールを行い、
筐体10の凹部11の形成位置の裏面側になる、基板20,30の取付け位置の近傍に、振動を伝える振動子40が取付けてあり、
そして、一定の角度以上、指で触れる角度が変化する毎に、振動子40を一時的に振動させて、クリック感に相当する振動を触れた指に伝えるようにしたジョグダイアル型の入力装置。」が記載されている。

[引用例3について]
(3a)「【請求項1】 複数のプログラマブル入力ゾーンを有する接触感知表面を含むタッチパッドであって、
各プログラマブル入力ゾーンは、前記タッチパッドに操作可能に接続されたマイクロプロセッサに独立して入力を伝達するようにプログラムされ、
前記複数のプログラマブル入力ゾーンの少なくとも一つは、前記複数のプログラマブル入力ゾーンの前記少なくとも一つに導体物が接近したときに、機械的ボタンを模擬するようにプログラムされているタッチパッド。
・・・
【請求項6】 請求項1に記載のタッチパッドであって、前記接触感知表面は前記複数のプログラマブル入力ゾーンの少なくとも一つに応答する感覚フィードバックを含むタッチパッド。
・・・
【請求項9】 請求項6に記載のタッチパッドであって、前記感覚フィードバックは、前記導体物が前記複数のプログラマブル入力ゾーンの前記少なくとも一つに接近したときに音を発するようにプログラムされたスピーカ装置を含むタッチパッド。」

(3b)「【0025】
指、もしくは他の導体物を近づけることにより、タッチパッド21の表面近傍、及びタッチパッドの境界33内で移動させることにより、オペレータはモニタ25(「ディスプレイ」ともいう)に示されるカーソル37の進路を決めることができる。・・・」

(3c)「【0034】
図4は、タッチパッド21の裏面上にタッチパッドの電子部品45が搭載される、タッチパッド21の実施例を示す。この実施例は、聴覚フィードバックのための随意のスピーカ71も含む。スピーカ71は望ましくはピエゾアラーム又は他の公知の装置であって、タッチパッドの接触感知表面26の予め表示された領域が選択されたときに即時に応答するために、タッチパッド21に直接取り付けることができる装置である。・・・また、図4は、メインマイクロプロセッサと通信するタッチパッドケーブル57を示す。さらに、与えられたシステムは感覚フィードバック、聴覚、触覚及び視覚、の複数の形態を同時に採用することができる。」

以上の記載によると、引用例3には、タッチパッドにおいて、
「ユーザの指等がタッチパッドの複数のプログラマブル入力ゾーンの少なくとも一つに接近したときに音を発するようにプログラムされたスピーカ装置を含み、聴覚フィードバック」することが記載されているものと認められる。

4.対比
本願発明と引用発明とを対比すると、
引用発明の「コーヒ」は、記載事項(1b)の「ヒータ4により循環水を加熱する」との記載からすると、本願発明の「温かい飲み物」に相当し、
引用発明の「コーヒメーカ」は、「使用者による外部入力によりコーヒの各種抽出条件を自動決定して、最適なコーヒ抽出を行い、好みの味を実現する」ものであるから、本願発明の「複数の配合に従って温かい飲み物を調合するように適合された自動機械」といえ、
引用発明の「入力・表示部」は、上記「コーヒメーカ」用のものであり、本願発明の「制御パネル」に相当し、
引用発明の上記「入力・表示部」に備えられた「手動入力部8」及び「手動入力部11」の「up/downボタン」は、本願発明の「主要入力要素」に相当し、また、本願発明の「使用者からの入力を受信する」ものといえ、
引用発明における使用者が上記「up/downボタン」を押すことと、本願発明における「使用者の主要入力要素に対する接触動作の動き」とは、「使用者の主要入力要素に対する入力操作」である限りにおいて一致し、
引用発明の手動入力部8及び手動入力部11の各「表示部」は、本願発明の「表示要素」に相当し、
引用発明の手動入力部8の「up/downボタン」により豆種を選択することは、本願発明の「複数の配合の少なくとも1つの配合」を選択することといえ、引用発明の「表示部」に表示される各豆種は、本願発明の「入力識別子」に相当し、さらに、上記表示される各豆種は、上記「up/downボタン」を押すごとに順次変更されるものと認められることから、引用発明において「up/downボタン」を押すことにより豆種を選択することは、本願発明でいう「表示要素上で複数の入力識別子内のスクロールを決定」することに相当し、
引用発明の手動入力部11の「up/downボタン」により各項目の好みの度合を選択することは、本願発明の「複数の作動パラメータの少なくとも1つの作動パラメータを選択する」ことに相当し、
引用発明の上記各「up/downボタン」と上記各「表示部」とは、本願発明でいう「制御ユニット」を介してデータ通信され、「データ通信内」にあることは明らかである。
よって、両者は、
「使用者からの入力を受信する主要入力要素と、
複数の入力識別子によって、前記使用者に前記入力を表示する表示要素と、
前記主要入力要素および前記表示要素とのデータ通信内の制御ユニットと
を備える複数の配合に従って温かい飲み物を調合するように適合された自動機械用の制御パネルであって 、
前記主要入力要素および前記表示要素が、前記制御ユニットを介するデータ通信内にあり、その結果、使用者の前記主要入力要素に対する入力操作が前記表示要素上で前記複数の入力識別子内のスクロールを決定し、これにより、前記複数の配合の少なくとも1つの配合、または前記自動機械の複数の作動パラメータの少なくとも1つの作動パラメータを選択する前記制御パネル。」
である点で一致し、以下の点で相違する。

相違点;本願発明では、主要入力要素が、使用者の前記主要入力要素に対する接触動作の動きを検知するように適合された知覚要素を備え、前記知覚要素が互いから離間する複数の知覚部を備え、使用者の主要入力要素に対する入力操作が接触動作の動きであり、制御パネルが前記使用者の接触が、前記知覚部の1つから別の知覚部を通って前記知覚要素上を移動する際、音響信号を発する音響信号手段を備えているのに対し、引用発明では、手動入力部は、使用者により押されるup/downボタンを備えるものであり、使用者の主要入力要素に対する入力操作が「up/downボタン」を押すことであり、また、そのような音響信号手段を備えるとはされていない点。

5.判断
上記相違点について検討すると、
引用例2に記載されたジョグダイアル型の入力装置の「入力装置」、「凹部11」及び「複数の電極21」は、それぞれ本願発明の「主要入力要素」、「知覚要素」及び「複数の知覚部」に対応し、
同「入力装置」及び「表示装置」は、本願発明の「制御パネル」を構成し、
同「振動を伝える振動子40」は、「一定の角度以上、指で触れる角度が変化する毎に、振動子40を一時的に振動させて、クリック感に相当する振動を触れた指に伝える」ものであり、上記「指で触れる角度」は指で触れた位置に対応する電極21に関連して検出されるものであることから、本願発明の「使用者の接触が、知覚部の1つから別の知覚部を通って知覚要素上を移動する際、使用者の上記接触動作を知らせる手段」とは、「使用者の接触が、知覚部の1つから別の知覚部を通って知覚要素上を移動する際、使用者の接触動作を知らせる手段」である限りにおいては一致しているといえることから、
引用例2に記載されたジョグダイアル型の入力装置は、「使用者の主要入力要素に対する接触動作の動きを検知するように適合された知覚要素を備え、前記知覚要素が互いから離間する複数の知覚部を備え、使用者の主要入力要素に対する入力操作が接触動作の動きであり、制御パネルが前記使用者の接触が、前記知覚部の1つから別の知覚部を通って前記知覚要素上を移動する際、使用者の上記接触動作を知らせる手段」を備えている点で本願発明と共通するといえる。
そして、引用例2に記載されたようなジョグダイアル型の入力装置は、入力操作が簡単に行えるようにするためのものであるが(記載事項(2a)参照)、入力装置において、入力操作を簡単に行うことは、一般的な技術課題と認められることより、引用発明の手動入力部に、入力操作を簡単に行うために、引用例2に記載されたジョグダイアル型の入力装置を採用することは、当業者が容易に想到し得た事項である。
また、使用者の接触動作を知らせる手段が、本願発明では、音響信号を発する音響信号手段であるのに対し、引用例2に記載されたものにおいては、振動を伝える振動子40である点で相違するものの、引用例3には、タッチバットにおいて、使用者(ユーザ)の操作を聴覚フィードバックするのための音を発するようにプログラムされたスピーカ装置を含むことが記載され、また、各種入力装置において使用者の操作を音(操作音)で知らせることは、例を挙げるまでもなく本願優先権主張日前に周知の技術とも認められるので、引用例2に記載されたものにおいて、使用者の接触動作を知らせる手段として、「振動を伝える振動子40」に換えて、または、それに加えて、音響信号を発する音響信号手段を用いることは、当業者が容易に想到し得た事項である。
よって、引用発明において、手動入力部に引用例2に記載されたジョグダイアル型の入力装置を採用し、その際に上記周知の技術を考慮すれば、上記相違点の本願発明のようになすことは、当業者が容易になし得たことである。

したがって、本願発明は、引用発明及び引用例2に記載された発明並びに周知の技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

6.むすび
以上のとおり、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、本願は、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、拒絶をすべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2013-12-18 
結審通知日 2013-12-19 
審決日 2014-01-07 
出願番号 特願2008-524368(P2008-524368)
審決分類 P 1 8・ 121- WZ (A47J)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 丹治 和幸田村 佳孝  
特許庁審判長 鳥居 稔
特許庁審判官 山崎 勝司
平上 悦司
発明の名称 温かい飲み物を調合する自動機械用の制御パネルおよびこのような制御パネルを備える自動機械  
代理人 津軽 進  
代理人 笛田 秀仙  

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