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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) G06Q
管理番号 1288269
審判番号 不服2012-15619  
総通号数 175 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2014-07-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2012-08-10 
確定日 2014-06-06 
事件の表示 特願2010-241171「医用画像の読影管理システム及び読影依頼装置」拒絶査定不服審判事件〔平成23年 3月17日出願公開、特開2011- 54194〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は,平成12年9月28日を出願日とする特願2000-297224号の一部を,平成22年10月27日に新たな特許出願として分割出願したものであって,平成23年10月21日付けの拒絶理由通知に対して,平成23年12月26日に意見書の提出とともに手続補正がなされ,平成24年1月18日付けの拒絶理由通知に対して,平成24年3月26日に意見書の提出とともに手続補正がなされ,平成24年4月24日付けで平成24年3月26日付け手続補正が却下されるとともに拒絶査定がなされ,これに対して平成24年8月10日に審判請求がなされるとともに手続補正がなされ,平成25年3月7日付けの当審の審尋に対して,平成25年5月20日に回答書が提出され,平成25年8月28日付けで当審より拒絶理由を通知したところ,平成25年11月5日に意見書の提出とともに手続補正がなされたものである。

第2 本願発明について
本願の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は,平成25年11月5日の手続補正で補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される,次のとおりのものである。
「医用画像診断装置により取得された画像情報に読影医師識別情報を付帯させる情報付帯付け手段と,
前記画像情報に付帯された読影医師識別情報で識別される読影医がログインした場合,前記ログインした読影医に対応する読影医師識別情報を付帯した画像情報を表示部に表示させる表示手段と,
前記表示された画像情報に付帯された読影医師識別情報と読影依頼情報とに基づいて,前記ログインした読影医の操作を許容して,前記表示された画像情報に関する読影レポートを生成させる読影レポート生成手段と,
を有することを特徴とする医用画像の読影管理システム。」

第3 当審における拒絶の理由について
当審における平成25年8月28日付けで通知した拒絶理由の概要は,本願発明は,後記する,引用例1?引用例3に記載された発明に基いて,その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから,特許法29条2項の規定により特許を受けることができないというものである。

第4 当審の判断
(1)引用例1について。
当審の拒絶理由通知で引用した引用例1(長谷川高志,”セコムのテレラジオロジーサービス「ホスピネット」の現状,遠隔仮想医療とマルチメディア技術の発展”,医療とコンピュータ第10巻第6号,株式会社日本電子出版,1999年6月20日,p.16-20)には,以下の記載がある。
(以下「引用例1摘記事項」という。)
(ア)「ホスピネットのシステム技術と読影業務方式
ホスピネットサービスの中核は専門読影医による医療機関支援であり,そのツールたるシステムも重要な要素である。そこでホスピネットのシステムを紹介する。
単純に言えば画像伝送・蓄積・表示を行うシステムであり,計算機や情報通信技術から見れば安心して使える枯れた技術のみで構築できる。東京三鷹にあるホスピネットセンターと,日本全国の契約先医療機関との間はISDN(NS64)回線で接続されている。各契約先医療機関にあるMR,CTからオンラインで画像信号を収り出す。画像データは送信端末と呼ぶPCに蓄積し,一検査分の画像と検査依頼情報等を合わせて一単位のデータパッケージにまとめて,ISDN回線を通じてホスピネットセンターに送る。機器イメージを図3に示す。
ホスピネットセンターではISDN回線を通して受信した患者データをデータベースサーバーに登録・蓄積する。その上で読影用ステーション(図4)に画像データを送り,そこで専門医による読影を行う。読影結果はレポートとしてFAX等で依頼先医療機関に送られる。
ホスピネットセンター内の業務スタイルは,計算機の高度利用面を除けば,一般の医療機関での読影作業と同様のものである。しかしながら,計算機利用により「ワークフロー管理」などのIT(情報技術)による進んだ運営形態を採用できた。これにより,読影案件の受付業務から読影業務,報告書作成,報告書送付に至る一連の作業が,LAN上で自動的に送付管理される。そのイメージを図5に示す。
ホスピネットでは受付た読影案件を全てデータベースに登録している。そのために同じ患者の過去画像も検索して,最新画像と同時に読影することを標準手順としている。登録と検索は専任の運営スタッフが担当しており,医療機関と同等の患者管理業務が行われている。報告書作成は,口述筆記する専任スタッフ(トランスクライバー)が担当している。こうしたスタッフに支えられて専門医が効率よく高品質な読影業務に専念できる環境を整えている。
ホスピネットの読影形態は「蓄積読影スタイル」と言える。依頼側医療機関からは読影データを検査後の都合の良い時間(例えば夜間)に電送し,ホスピネット側も読影医の時間が空き次第読影し報告を作成する形態を採用している。」
(18ページ右欄1行?19ページ左欄下から3行)
(イ)図5には,「ホスピスネットのセンター業務システム」として,契約先からの読影案件に対し,「読影案件受付業務」,「専門別等の割り振り」,「読影業務」,「スクライビング(報告作成)」のワークフロー管理が開示されている。

(2)引用発明について。
上記引用例1摘記事項によれば,引用例1には,以下の発明が記載されていると認められる。
(以下,「引用発明」という。)
「各契約先医療機関のMR・CTの画像データと,検査依頼情報等を一単位のデータパッケージとしてホスピネットセンターに送り,ホスピネットセンターでは受信した患者データをデータベースサーバーに登録・蓄積し,読影用ステーションに画像データを送り,専門医による読影を行い,読影結果のレポートを作成する,専門読影医による医療機関支援のシステムであって,
読影案件の受付業務から読影業務,報告書作成,報告書送付に至る一連の作業が,ワークフロー管理でLAN上で自動的に送付管理され,契約先からの読影案件に対し,読影案件受付業務ののち,専門別等の割り振りをし,読影医の時間が空きしだい読影医が読影し,読影結果のレポートを作成する,
システム。」

(3)引用例2について。
当審の拒絶理由通知で引用した引用例2(特開平08-161461号公報)には,以下の記載がある。
(以下「引用例2摘記事項」という。)
(ア)「【0010】
【実施例】図1は,本発明に係る医用画像情報管理システムの第1実施例を示す構成図である。
【0011】図1に示すように第1実施例の医用画像情報管理システム(以下PACSと記す)1は,患者を撮影して画像を得る二つのX線CT装置3a,3bと,二つのMRI装置5a,5bと,これらX線CT装置3a,3b,MRI装置5a,5bにより得られた画像を患者別に記憶するファイルシステム7a,7bと,画像の読影を行う読影医師毎に設けられ,ファイルシステム7a,7bから読み出された読影用画像を保持する読影医用画像サーバ装置9a,9b,…,9fと,読影医師が読影を行うワークステーション11a,11b,11cとを備える。
【0012】また,X線CT装置3a,3b,MRI装置5a,5bとファイルシステム7a,7bはLAN13に接続され,ファイルシステム7a,7bとワークステーション11a,11b,11cはLAN15に接続されている。このとき,LAN15は,情報転送速度の高速なものを用いることが望ましい。
【0013】また,LAN15には,図2(a)に示すように各患者の画像が記憶されているファイルシステム7の固有の番号と,その患者を担当する読影医師名と,そのファイルシステム7に記憶されている画像の検査番号を患者名毎に記憶するとともに,図2(b)に示すように各読影医師名に対応する読影医用画像サーバ装置の固有の番号(読影医用画像サーバ装置番号)を記憶するシステムマネージャ17が接続されている。なお,システムマネージャ17の構成は図示していないが,少なくとも図2に示す前記情報を記憶するメモリと,装置全体の動作を制御するCPUを備えている。さらに,前記患者名に換えて患者識別番号,前記読影医師名に換えて読影医師識別番号,または,それら双方を記憶するようにしても良い。
(途中略)
【0023】読影医用画像サーバ装置9aは,転送されてきた画像を高速メモリ73に一時保持するとともに,患者別で検査番号毎に磁気ディスク67に記憶する。また,読影医用画像サーバ装置9aは,前記記憶された画像の検査番号を列挙したディレクトリを作成して磁気ディスク67に記憶しておく。
【0024】次に,読影医師がワークステーション11を用いて読影を行うときの動作を説明する。
【0025】まず,読影医師はワークステーション11のキーボード(図示せず)を用いて読影医師名(または読影医師識別番号)を入力する。このとき,読影医師は,いずれのワークステーション11を用いても良い。なお,ここではワークステーション11aを用いたとする。
【0026】ワークステーション11aは,読影医師名(または読影医師識別番号)が入力されると,システムマネージャ17に記憶されている情報を参照し,これから読影を行う画像が記憶されている読影医用画像サーバ装置9(ここでは読影医用画像サーバ装置9a)を決定し,前記ディレクトリの転送命令をその読影医用画像サーバ装置9aに出力する。
【0027】このとき,ワークステーション11aは,システムマネージャ17に読影医師名(または読影医師識別番号)を検索キーとして対応する読影医用画像サーバ装置9を検索させ,その結果から前記ディレクトリの転送命令を出力する読影医用画像サーバ装置9を決定する,若しくは,システムマネージャ17から前記図2に示す情報全てまたはその読影医師に関係のある情報のみを転送させ,その転送されてきた情報を参照して前記ディレクトリの転送命令を出力する読影医用画像サーバ装置9を決定する。
【0028】読影医用画像サーバ装置9aは,前記ディレクトリの転送命令が出力されると,ディレクトリをワークステーション11aに転送する。
【0029】ワークステーション11aは,転送されてきたディレクトリを表示装置97のに表示する。読影医師は,表示装置97に表示されたディレクトリを参照し,読影を行う画像を指定する。その後,ワークステーション11aは,指定された画像の転送命令を読影医用画像サーバ装置9aに出力する。
【0030】読影医用画像サーバ装置9aは,前記指定された画像をワークステーション11aに転送する。その後,ワークステーション11aは,転送されてきた画像を表示装置97に表示する。これにより読影医師は,表示装置97に表示された画像を読影する。
【0031】このように本実施例のPACS1では,読影医師毎に読影医用画像サーバ装置9設けるとともに,各患者の画像が記憶されているファイルシステム7の固有の番号と,その患者を担当する読影医師名と,そのファイルシステム7に記憶されている画像の検査番号を患者名毎にシステムマネージャ17に記憶するとともに,各読影医師名に対応する読影医用画像サーバ装置の固有の番号をシステムマネージャに記憶しているので,読影医師は,いずれのワークステーション11でも読影を行うことができ,かつ,効率的な画像の転送が可能となる。」
(イ)上記(ア)の段落【0011】【0013】【0026】【0031】等の記載事項を参照すれば,図2には,各患者の画像が患者別に記憶されているファイルシステム7の固有の番号であるファイルシステム番号と,その患者を担当する読影医師識別番号と,そのファイルシステム7に記憶されている画像の検査番号を患者識別番号ごとにシステムマネージャ17に記憶することが開示されている。

(4)引用例2記載事項について。
上記引用例2摘記事項(ア)(イ)によれば,引用例2には,システムマネージャに,各患者の画像が患者別に記憶されているファイルシステム7の固有の番号であるファイルシステム番号と,その患者を担当する読影医師識別番号と,そのファイルシステム7に記憶されている画像の検査番号を患者識別番号ごとに記憶(摘記事項の(イ)参照。)し,ワークステーションで読影医師が読影医師識別番号を入力(摘記事項(ア)の【0025】参照。)すると,システムマネージャを参照して画像の検査番号を列挙したディレクトリをワークステーションに表示(同【0026】?【0029】参照。)し,読影医師は,表示装置に表示されたディレクトリを参照し,読影を行う画像を指定することにより表示し,読影が許容されること(同【0029】?【0031】参照。)が記載されている。
つまり,引用例2には,読影医師が識別番号を入力すると,検査番号と患者識別番号とファイルシステム番号とが特定され,ファイル識別番号により特定される対応する患者ごとの医用画像が特定され,選択されて表示され,読影が許容される。
すなわち,引用例2には「取得された医用画像」と,「読影医師識別番号」とが,検査番号と患者識別番号とファイルシステム番号とで「ひも付け」られ,「読影医師識別番号にひも付けられた医用画像が読影医師に表示」され,「読影を許容」すること(以下「引用例2記載事項」という。)が記載されている。

(5)引用例3について。
当審の拒絶理由通知で引用した引用例3(特開平11-161729号公報)には,以下の記載がある。
(以下「引用例3摘記事項」という。)
(ア)「【0024】各種の装置1?4は例えば病院内又は医者の協同診察室内に配置することができる。カメラ26は最初の治療をする医者の診察室29内に置かれている。これらの各種の装置1?4又はカメラ26によって作られた医学的像は本発明によればデータネットワークつまりISDNネットワーク17を介してプロバイダ18に伝送され,そこでゲートウエイ19によって患者データサーバ23を介してデータバンク25内に記憶される。その医学的像はそこから専門医によってISDNネットワーク17を介して呼出され,所見ステーション27又はワークステーション11によって精査することができる。専門医はその所見をプロバイダ18に送り,プロバイダ18では所見をデータバンク25内に記憶する。治療医はその所見をデータバンクから呼出し,出力ステーションとしての像ステーション28又は所見ステーションによって見ることができるか又はプリンタによって印刷することができる。」

(6)引用例3記載事項について。
上記引用例3摘記事項によれば,引用例3には,以下の事項が記載されていると認められる。
(以下,「引用例3記載事項」という。)
「医学的像をデータバンクに記憶し,専門医が医学的像を所見ステーションに呼出して精査した所見をデータバンクに記憶すること。」

2.対比
引用発明と,本願発明とを対比する。
(ア)引用発明の,各契約先医療機関で取得されたMR・CTの画像データは,本願発明の,「医用画像診断装置により取得された画像情報」に相当する。
(イ)引用発明の「読影用ステーションで読影する専門医」は,後記する点で相違するものの,本願発明の「読影医師」に相当する。
(ウ)引用発明の,「読影結果のレポートの作成」は,本願発明の「画像情報に関する読影レポートの生成」に相当する。
(エ)引用発明は,「読影案件受付業務ののち,専門別等の割り振りをし,読影医の時間が空き次第読影を行う」ものである。
してみると,引用発明と本願発明とは,後記する点で相違するものの,「取得された画像情報を読影医師が読影する」という点で共通する。
(オ)引用発明は,画像情報が割り振られた読影医師の読影用ステーションで,担当する画像情報を表示して読影することが明らかである。
してみると,引用発明と本願発明とは,後記する点で相違するものの,「読影医が読影する画像情報を表示部に表示させる表示手段」を有する点で共通する。
(カ)引用発明のシステムは,各契約先医療機関の画像データと検査依頼情報を一単位として受信すると,専門別等の割り振りをして読影業務を行い,読影結果のレポートを作成することから,専門医に割り振られた読影依頼は,「検査依頼情報」に基づいてなされることが明らかである。
ここで,引用発明の専門医は,割り振られた読影依頼の画像を読影用ステーションの表示部に表示して読影結果のレポートを作成することから,引用発明と本願発明とは,後記する点で相違するものの,「表示された画像情報と読影依頼情報とに基づいて,読影医が表示された画像情報に関する読影レポートを作成」する点で共通する。
(キ)以上(ア)?(カ)のことから,引用発明と本願発明とは,後記する点で相違するものの,「医用画像の読影管理システム」である点で共通する。

以上(ア)?(キ)のことから,引用発明と本願発明とは,以下の点で一致し,また相違する。
[一致点]
「医用画像診断装置により取得された画像情報を読影する読影医の表示部に画像情報を表示させる表示手段を有し,
表示された画像情報と読影依頼情報とに基づいて,読影医が表示された画像情報に関する読影レポートを作成する,
医用画像の読影管理システム。」
[相違点1]
本願発明では,「画像情報に付帯する読影医師識別情報で識別される読影医」に操作が許容されるものであり,このため,「医用画像診断装置により取得された画像情報に読影医師識別情報を付帯させる情報付帯付け手段」を有し,「画像情報に付帯された読影医師識別情報で識別される読影医がログインした場合,ログインした読影医に対応する読影医師識別情報を付帯した画像情報を表示部に表示」し,「表示された画像情報に付帯された読影医師識別情報と読影依頼情報とに基づいて,ログインした読影医の操作を許容」するのに対し,引用発明は,そのような構成になっていない点。
[相違点2]
本願発明では,読影医が操作する「読影レポート生成手段」により「読影レポートを生成」するのに対し,引用発明は,「読影業務,報告書作成,報告書送付に至る一連の作業が,LAN上で自動的に送付管理される」ものであり,担当医師が口述筆記により「表示された画像情報に関する読影レポートを作成」するものの,「読影レポートを生成」する「読影レポート生成手段」を有するのか明確ではない点。

3.判断
ア[相違点1]について。
(ア)引用例2記載事項によれば,引用例2には,つまり,「取得された医用画像(すなわち「取得された画像情報」。)と「読影医師識別番号(すなわち「読影医師識別情報」。)とを「ひも付け(すなわち「付帯」。)」し,「読影医師識別番号にひも付けられた医用画像を読影医師に表示(すなわち「読影医師識別情報に付帯する画像情報を表示」。)」し,「読影を許容(すなわち「操作を許容」。)することが記載されている。
(イ)ここで,情報を付帯させる情報付帯付け手段を設けること,ログインした者を識別情報で識別し,識別された者に対応する情報を表示し,識別された者の操作を許容するよう構成することは,当業者が適宜なし得る設計的事項である。
(ウ)してみると,引用発明に引用例2記載事項及び設計的事項を適用することにより,引用発明が,専門別等の割り振りをして読影医に画像情報を表示し,読影する際,「画像情報に付帯する読影医師識別情報で識別される読影医」に「操作を許容」するよう構成すること,そのため,「医用画像診断装置により取得された画像情報に読影医師識別情報を付帯させる情報付帯付け手段」を有するよう構成し,「画像情報に付帯された読影医師識別情報で識別される読影医がログインした場合,ログインした読影医に対応する読影医師識別情報を付帯した画像情報を表示部に表示」するよう構成すること,そして引用発明が,表示された画像情報と読影依頼情報とに基づいて,読影医が読影する際,「表示された画像情報に付帯された読影医師識別情報と読影依頼情報とに基づいて,ログインした読影医の操作を許容」するよう構成することは,当業者が容易に想到することができたものである。
以上(ア)?(ウ)のことから,[相違点1]に係る発明特定事項は,引用発明及び引用例2記載事項から当業者が容易に想到することができたものである。

イ[相違点2]について。
(ア)引用例3記載事項によれば,引用例3には,再掲すれば,「医学的像をデータバンクに記憶し,専門医が医学的像を所見ステーションに呼出して精査した所見をデータバンクに記憶すること。」が記載されている。
(イ)してみると,引用発明で,担当医師が「表示された画像情報に関する読影レポートを作成」する際,引用例3記載事項を適用することにより,読影医が操作する「読影レポート生成手段」により「読影レポートを生成」するよう構成することは,当業者が容易に想到することができたものである。
以上(ア)?(イ)のことから,[相違点2]に係る発明特定事項は,引用発明及び引用例3記載事項から当業者が容易に想到することができたものである。

以上判断したとおり,本願発明における上記[相違点1]及び[相違点2]に係る発明特定事項は当業者が容易に想到することができたものであり,相違点を総合しても,想到することが困難な格別の事項は見いだせない。
そして,本願発明の作用効果も,引用発明,引用例2記載事項及び引用例3記載事項から当業者が予測できる範囲のものである。

したがって,本願発明は,引用発明,引用例2記載事項及び引用例3記載事項に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたものであるから,特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

5.むすび
以上のとおり,本願発明は,引用発明,引用例2記載事項及び引用例3記載事項に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたものであり,他の請求項について検討するまでもなく,特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって,本願は当審で通知した拒絶理由によって拒絶されるべきものである。

よって,結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2014-04-07 
結審通知日 2014-04-08 
審決日 2014-04-22 
出願番号 特願2010-241171(P2010-241171)
審決分類 P 1 8・ 121- WZ (G06Q)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 宮下 浩次  
特許庁審判長 清田 健一
特許庁審判官 須田 勝巳
西山 昇
発明の名称 医用画像の読影管理システム及び読影依頼装置  
代理人 特許業務法人東京国際特許事務所  

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