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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) B29C
管理番号 1288343
審判番号 不服2012-14043  
総通号数 175 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2014-07-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2012-07-23 
確定日 2014-06-02 
事件の表示 特願2006-240818「射出モールド成形システム用の射出ノズルに取付ける加熱シリンダ」拒絶査定不服審判事件〔平成20年 2月21日出願公開、特開2008- 37084〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1.手続の経緯
本願は、平成18年8月9日の出願であって、平成24年3月15日付けで拒絶査定がなされ、同年7月23日に拒絶査定不服審判の請求がなされるとともに、同日付けで手続補正書が提出され、当審において平成25年9月6日付けで拒絶理由通知がなされ、これに対し、同年12月10日付けで意見書が提出されたものである。

第2.本願発明
本願の請求項1-13に係る発明は、平成24年7月23日付け手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1-13に記載されたとおりのものと認められるところ、その請求項1に係る発明は、以下のとおりである。
「【請求項1】
射出モールド成形システム用の噴射ノズルに取付けられる1個の中空の加熱シリンダであって、
外側に螺旋状に巻かれた細長い加熱カートリッジを有し、前記加熱カートリッジは電気的に加熱できる第一の加熱導体および電気的に加熱できる第二の加熱導体を有し、前記第一および第二の加熱導体は互いに電気的に絶縁されて、前記加熱シリンダの長手方向の実質的に異なる領域に配置され、前記第一の加熱導体は噴射ノズルのマウス領域のみを加熱するために配置され、前記第二の加熱導体は噴射ノズルの軸領域のみを加熱するために配置される加熱シリンダ。」(以下、「本願発明」という。)

第3.引用刊行物の記載事項
当審において通知した拒絶理由に引用された、本出願前に日本国内において頒布された特開平10-272653号公報(以下、「刊行物1」という。)、特開平9-85794号公報(以下、「刊行物2」という。)には、それぞれ、以下の事項が記載されている。
(1)刊行物1:特開平10-272653号公報
(1a)「【産業上の利用分野】本発明は射出成形機における射出ノズルに関する。」(【0001】)

(1b)「【0008】
【発明の実施の形態】図1は本発明にかかる射出ノズルの断面図であって、1は加熱シリンダ8の先端部に螺着される射出ノズル、2は内筒2_(1)と外筒2_(2)間に環状ジャケットを有するカセット式加熱筒である。図2は該加熱筒2の斜視図である。しかして、該加熱筒2内にはノズル1の先部加熱ゾーンZ_(1)および後部加熱ゾーンZ_(2)に相当する位置にコイルヒータ3_(1)からなる加熱器とコイルヒータ3_(2)からなる加熱器が内蔵されており、これら両加熱器間にはお互いの熱影響を及ぼし合わないように断熱リング4が介在されており、これらのコイルヒータ3_(1)、3_(2)、断熱リング4は伝熱性接着剤(アルミナ、酸化ベリリウム等の粉末を混入せるエポキシ樹脂系接着剤)5で環状ジャケット内にその長さ方向に固着されている。
【0009】6_(1)、6_(2)は射出ノズル1の先部加熱ゾーンZ_(1)および後部加熱ゾーンZ_(2)のノズル本体1_(1)内にそれぞれ埋設されている熱電対等の温度センサで、これらのセンサは図示しない温度制御器に接続されて射出ノズル1の先部加熱ゾーンZ_(1)と後部加熱ゾーンZ_(2)を個別に温度制御している。なお、7_(1)、7_(2)はカセット式加熱筒2とノズル本体1_(1)の脱着の際に、熱電対6_(1)、6_(2)が加熱筒2に係合しないように該加熱筒2の内筒2_(1)、外筒2_(2)の各端部に刻設した切欠溝である。そして、前記ジャケット式加熱筒2はノズル本体1_(1)の先端部から後部に向けてノズル本体1_(1)に挿入され、ノズル本体1_(1)の外周面と加熱筒2の内筒2_(1)の内周面とが密嵌した構造となっている。」

(1c)「本発明は上記の構造としたために、加熱シリンダ8内部およびスクリュ9の清掃に際し、ノズル本体1_(1)からカセット式加熱筒2を引き抜き、温度センサ6_(1)、6_(2)をノズル本体1_(1)から取り外すだけで簡単容易にかつ、短時間にノズル加熱部の分解作業ができるとともに、組立作業に際しても温度センサをノズル本体1_(1)の所定位置に埋設し、カセット式加熱筒2をノズル本体1_(1)に装着するだけで簡単にしかも、コイルヒータ3_(1)、3_(2)がノズル本体1_(1)の先部加熱ゾーンZ_(1)および後部加熱ゾーンZ_(2)の所定位置に確実に装着できる。……」(【0010】)

(1d)
【図1】


【図2】



(2)刊行物2:特開平9-85794号公報
(2a)「【0015】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。図1は本発明の第1の実施の形態における射出ノズルの断面図、図4は本発明の第1の実施の形態における加熱管の断面図である。図において、10は射出ノズル、22はノズル本体、23は該ノズル本体22の周囲に配設され、環状の空間24を形成するノズルカバー、25はノズル本体22内に形成された樹脂流路である。
【0016】前記構成の射出ノズル10は、射出工程時に図示しない金型と当接させる必要があるので、前記金型内に深く挿入することができるように、径が小さく形成される。そして、溶融させられた樹脂14(図2参照)が容易に固化することがないように図示しない温調装置が配設され、該温調装置によって加熱シリンダ11と共に射出ノズル10を加熱することができるようになっている。
【0017】また、ノズル本体22の周囲の空間24内に、加熱管35が螺(ら)旋状に巻装される。さらに、空間24内を射出ノズル10の先端側のゾーンAと射出ノズル10の後端側のゾーンBとに区分し、熱電対29、30によって射出ノズル10の温度を検出し、前記ゾーンA、Bの温度をそれぞれ独立させて精密に制御することができるようにしてある。
【0018】そのために、前記加熱管35は、中空の管36、前記ゾーンAの温度を制御するために配設された第1の加熱手段37、及び前記ゾーンBの温度を制御するために配設された第2の加熱手段38によって形成される。そして、前記第1の加熱手段37は、ゾーンAに対応する部分に形成された発熱体部P1、及び該発熱体部P1に電流を供給するためにゾーンBに対応する部分に形成された非発熱体部P2から成る。また、前記第2の加熱手段38は、ゾーンBに対応する部分に形成された発熱体部P3から成る。
【0019】したがって、前記発熱体部P1、P3にそれぞれ異なる電流を供給し、前記第1の加熱手段37及び第2の加熱手段38をそれぞれ独立させて作動させることによって、各ゾーンA、Bの温度をそれぞれ独立させて精密に制御することができる。さらに、前記第1の加熱手段37の発熱体部P1と第2の加熱手段38の発熱体部P3とは、異なるゾーンに形成されているので、互いに干渉することがない。」(【0015】-【0019】)

(2b)「また、ゾーンB側において、二つのコイルヒータが横切ることがないので、ノズルカバー23の径を小さくすることができ、射出ノズル10を小型化することができる。そして、二つのゾーンA、Bの温度を一つの加熱管35によって制御することができるので、作業性を良くすることができるだけでなく、コストを低くすることができる。」(【0020】)

(2c)
【図1】


【図2】

【図4】



第4.刊行物記載の発明
上記記載事項(1a)-(1d)によれば、刊行物1には、
「射出成形機における射出ノズルに取付けられる1個のカセット式加熱筒であって、
ノズル1の先部加熱ゾーンZ_(1)および後部加熱ゾーンZ_(2)に相当する位置にコイルヒータ3_(1)からなる加熱器とコイルヒータ3_(2)からなる加熱器が内蔵されたカセット式加熱筒。」(以下、「刊行物1発明」という。)が記載されている。

また、上記記載事項(2a)、(2c)及び技術常識によれば、刊行物2には、
「射出ノズルのノズル本体の周囲の空間内に、螺旋状に巻装された細長い加熱管であって、前記加熱管は、電気的に加熱できる発熱体部P1および電気的に加熱できる発熱体部P3を有し、前記発熱体部P1およびP3は互いに電気的に絶縁されて、前記発熱体部P1は噴出ノズルの先端側のゾーンAのみを加熱するために配置され、前記発熱体部P3は噴出ノズルの後端側のゾーンBのみを加熱するために配置される加熱管。」が記載されている。
これを本願発明の構成に対応させて言い換えると、
「噴射ノズルのノズル本体の周囲の空間内に、螺旋状に巻かれた細長い加熱カートリッジであって、前記加熱カートリッジは電気的に加熱できる第一の加熱導体および電気的に加熱できる第二の加熱導体を有し、前記第一および第二の加熱導体は互いに電気的に絶縁されて、前記第一の加熱導体は噴射ノズルのマウス領域のみを加熱するために配置され、前記第二の加熱導体は噴射ノズルの軸領域のみを加熱するために配置される加熱カートリッジ。」(以下、「刊行物2発明」という。)が記載されているものと認められる。
そして、これにより、噴射ノズルの長手方向の二つのゾーン(領域)の温度を一つの加熱管(加熱カートリッジ)によって制御することができるので、作業性を良くすることができるだけでなく、コストを低くすることができるものである(上記記載事項(2b))。

第5.対比・判断
刊行物1発明における「射出成形機における射出ノズル」、「カセット式加熱筒」は、本願発明における「射出モールド成形システム用の噴射ノズル」、「中空の加熱シリンダ」に相当する。
また、刊行物1発明における「ノズル1の先部加熱ゾーンZ_(1)および後部加熱ゾーンZ_(2)に相当する位置にコイルヒータ3_(1)からなる加熱器とコイルヒータ3_(2)からなる加熱器が内蔵された」ものは、本願発明における「外側に螺旋状に巻かれた細長い加熱カートリッジ」であって「電気的に加熱できる第一の加熱導体および電気的に加熱できる第二の加熱導体を有し、前記第一および第二の加熱導体は互いに電気的に絶縁されて、前記加熱シリンダの長手方向の実質的に異なる領域に配置され、前記第一の加熱導体は噴射ノズルのマウス領域のみを加熱するために配置され、前記第二の加熱導体は噴射ノズルの軸領域のみを加熱するために配置される」ものと、ノズルの先端ゾーンおよび後端ゾーンに相当する位置にそれぞれ加熱器を有する加熱手段である点において共通する。

よって、両者は、
「射出モールド成形システム用の噴射ノズルに取付けられる1個の中空の加熱シリンダであって、
ノズルの先端ゾーンおよび後端ゾーンに相当する位置にそれぞれ加熱器を有する加熱手段が配置される加熱シリンダ。」である点で一致し、以下の点で相違する。

(相違点)
前記「ノズルの先端ゾーンおよび後端ゾーンに相当する位置にそれぞれ加熱器を有する加熱手段」が、本願発明では「外側に螺旋状に巻かれた細長い加熱カートリッジ」であって「電気的に加熱できる第一の加熱導体および電気的に加熱できる第二の加熱導体を有し、前記第一および第二の加熱導体は互いに電気的に絶縁されて、前記加熱シリンダの長手方向の実質的に異なる領域に配置され、前記第一の加熱導体は噴射ノズルのマウス領域のみを加熱するために配置され、前記第二の加熱導体は噴射ノズルの軸領域のみを加熱するために配置される」ものであるのに対し、刊行物1発明では「ノズル1の先部加熱ゾーンZ_(1)および後部加熱ゾーンZ_(2)に相当する位置にコイルヒータ3_(1)からなる加熱器とコイルヒータ3_(2)からなる加熱器が内蔵された」ものである点。

上記相違点について検討する。
上記のとおり、刊行物2には、「噴射ノズルの周囲の空間内に、螺旋状に巻かれた細長い加熱カートリッジであって、前記加熱カートリッジは電気的に加熱できる第一の加熱導体および電気的に加熱できる第二の加熱導体を有し、前記第一および第二の加熱導体は互いに電気的に絶縁されて、前記第一の加熱導体は噴射ノズルのマウス領域のみを加熱するために配置され、前記第二の加熱導体は噴射ノズルの軸領域のみを加熱するために配置される加熱カートリッジ。」が記載されており、該カートリッジを適用することにより、噴射ノズルの長手方向の二つのゾーン(領域)の温度を一つの加熱管35によって制御することができるので、作業性を良くすることができるだけでなく、コストを低くすることができるものであるから、刊行物1発明の加熱シリンダにおける加熱手段として、「ノズル1の先部加熱ゾーンZ_(1)および後部加熱ゾーンZ_(2)に相当する位置にコイルヒータ3_(1)からなる加熱器とコイルヒータ3_(2)からなる加熱器が内蔵された」ものに替えて、作業性の向上、コスト低減の目的で、上記加熱カートリッジを適用することに格別の困難性は認められず、その際、該カートリッジを加熱シリンダの外側に巻くことは設計的事項にすぎない。
そして、本願発明が、刊行物1、2の記載からは予想しえない格別の効果を奏するものとも認められない。

よって、本願発明は、刊行物1、2に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

第6.むすび
以上のとおり、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、請求項2-13に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2013-12-27 
結審通知日 2014-01-07 
審決日 2014-01-20 
出願番号 特願2006-240818(P2006-240818)
審決分類 P 1 8・ 121- WZ (B29C)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 村松 宏紀  
特許庁審判長 鈴木 正紀
特許庁審判官 井上 茂夫
石川 好文
発明の名称 射出モールド成形システム用の射出ノズルに取付ける加熱シリンダ  
代理人 浅村 肇  
代理人 浅村 皓  
代理人 帯包 浩司  
代理人 白江 克則  
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